相対的貧困率の動向: 2012-2015...2012年から2015年の動き...

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相対的貧困率の動向: 2012-2015 阿部 首都大学東京 子ども・若者貧困研究センター 201811月公表

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  • 相対的貧困率の動向:2012-2015

    阿部 彩首都大学東京 子ども・若者貧困研究センター

    2018年11月公表

  • • 本報告は、厚生労働省の許可を受けて、厚生労働省「平成25年、28年国民生活基礎調査」の個票を用いて推計されたものです。(承認番号:平成29年9月25日厚生労働省発政統0925第3号)。

    • 本報告は科学研究費助成事業(科学研究費補助金)(基盤研究(B))「「貧困学」のフロンティアを構築する研究」(平成29~32年度、代表者:阿部彩)の一環として行っています。

    • 本報告の数値を引用する場合は、必ず、以下の引用元を明記してください。:阿部彩(2018)「日本の相対的貧困率の動態:2012から2015年」科学研究費助成事業(科学研究費補助金)(基盤研究(B))「「貧困学」のフロンティアを構築する研究」報告書

    【問い合わせ】首都大学東京 人文社会学部 人間社会学科 社会福祉学教室〒192-0397 東京都八王子市南大沢1-1 5号館255号室

    阿部彩研究室 Tel: 042-677-2126E-mail : [email protected]

    子ども・若者貧困研究センター 5号館358号室Tel: 042-677-2065

  • 日本の相対的貧困率(厚労省の公式発表)

    3

    出所:厚生労働省(2017)『平成28年国民生活基礎調査 結果の概況』

    12.0

    13.2 13.5 13.8

    14.6 15.3 14.9

    15.7 16.0 16.1 15.6

    10.9

    12.9 12.8

    12.2

    13.4

    14.4 13.7

    14.2

    15.7 16.3

    13.9

    8.0

    10.0

    12.0

    14.0

    16.0

    18.0

    1985 1988 1991 1994 1997 2000 2003 2006 2009 2012 2015

    相対的貧困率の推移:1985-2015

    相対的貧困率

    子どもの貧困率

    %

    このグラフは、厚生労働省が『国民生活基礎調査』の大調査年(3年毎)のデータを用いて相対的貧困率を公表しているものです。本報告においては、同じデータを用いて、より詳細な属性(年齢、性別等)別の相対的貧困率を見ていきます。

  • 相対的貧困率の定義『国民生活基礎調査』にて用いられている相対的貧困率の定義は、世帯可処分所得(世帯内のすべての世帯員の所得を合算)を世帯人数で調整した値(等価世帯所得)の中央値の50%*を貧困線として、これを下回る世帯可処分所得の世帯に属する人の割合です。可処分所得とは、稼働所得、財産所得などから、所得税、住民税、固定資産税および社会保険料を差引き、公的年金、児童手当、生活保護などの社会保障給付を足した値です。この方法は、OECDなどで用いられている国際的に最も普及している相対的貧困率の推計方法です。本報告でも同じ定義を用いています。

    * EUでは60%を基準としています。

  • • 2012年から2015年にかけて、男女共に子ども期から50歳代前半までは相対的貧困率は減少した。しかし、50歳代以降については横ばい、もしくは若干の増加が見られる。

    • 勤労世代(20-64歳)の世帯構造別では、2012年時点で貧困率が高かった世帯構造(単独世帯、ひとり親と未婚子のみ世帯)の貧困率が最も減少しているが、依然として高い状況にある。

    • 高齢者(65歳以上)については、2012年時点で最も貧困率が高かった単独世帯の貧困率は男性では横ばい、女性では増加している。

    • 子ども(20歳未満)においては、年齢が高い子どもの方が低い子どもよりも貧困率が高くなっているが、この差は2012年に比べ小さくなっている。

    概要

  • • 勤労世代の配偶状況別では、男女共に死別男性の貧困率が上昇、未婚男性および離別女性の貧困率は減少している。

    • 高齢者の配偶状況別は、未婚男性の貧困率が上昇、未婚女性では減少している。

    • 就労状況(日中の活動)別では、勤労世代において学生(「主に通学で仕事あり」「通学」)において貧困率が大きく減少している。人数的に勤労世代の大半を占める「主に仕事」をしている人については、男性では若干の減少、女性では若干の増加。高齢者では、働いている層の貧困率が減少。

    • ワーキングプア率(働いている層で世帯所得が相対的貧困線以下の人の割合)は、20歳代前半から30歳代後半にかけて若干減少し、その後は50歳代前半から上昇。高齢期では75歳以上で突出して高くなっている。

    • 学歴別では、「中卒」「高卒」「大学以上卒」の順に貧困率が高くなる傾向が、男女ともにどの年齢層でも見ることができるが、60歳代以上ではその差は小さい。

    概要(続き1)

  • • 再分配前後の貧困率を性別・年齢層別に見ると、高齢者においては大きな再分配効果が確認できるものの、勤労世代・子どもにおいては小さく、0-4歳においては逆機能。

    • 再分配前の貧困率は0-24歳にて減少した。

    概要(続き2)

  • 年齢層別の貧困率

  • 年齢層別・性別の相対的貧困率(2015年)

    男性では、最も貧困率が高いのは、80歳以上、次は20-24歳。 女性では、高齢期(70歳以上)の貧困率が最も高い。

    0%

    5%

    10%

    15%

    20%

    25%

    30%

    相対的貧困率(2015年)

    男性 女性

    出所:阿部彩(2018)「日本の相対的貧困率の動態:2012から2015年」貧困統計HP

  • 男性の年齢階層別の貧困率の推移:2012年から2015年の動き

    2012年から2015年にかけて、男性の子ども・若者の貧困率は減少。特に最も高かった20-24歳の貧困率が減少したものの、依然としてライフコースの前期にて最も高い。

    勤労世代では、40-44歳の減少が最も大きい。 65歳以上においては、若干の上昇(特に、65-69歳、80歳以上)。

    0%

    5%

    10%

    15%

    20%

    25%

    30%男性: 年齢層別

    1985

    2012

    2015

    出所:阿部彩(2018)「日本の相対的貧困率の動態:2012から2015年」貧困統計HP

  • 女性の年齢階層別の貧困率の推移:2012年から2015年の動き

    2012年から2015年にかけて、女性の子ども・若者の貧困率は減少。特に5-9歳の貧困率が減少。

    勤労世代では40-44歳が最も減少。 65歳以上においては、80歳以上にて上昇。ほかはほぼ同じであり、依然として、高齢期の貧困率が高い。

    0%

    5%

    10%

    15%

    20%

    25%

    30%女性: 年齢階層別

    1985

    2012

    2015

    出所:阿部彩(2018)「日本の相対的貧困率の動態:2012から2015年」貧困統計HP

  • 世帯構造別の貧困率

  • 勤労世代(20-64歳)男性:2012年から2015年の動き

    • 勤労世代(20-64歳)男性の世帯構造別の貧困率は、2012年から2015年にかけて、概ね、減少している。最も大きく減少したのは「ひとり親と未婚子のみ」世帯であり4.2%と大きく減少。

    • 「その他世帯」については若干の上昇。※「ひとり親と未婚子のみ世帯」=父親又は母親と未婚の子のみで構成する世帯。子どもおよび親の年齢は制限なし。

    23.2%

    10.8% 10.7%

    29.4%

    11.0%

    16.1%

    21.1%

    8.9%10.3%

    25.2%

    8.9%

    17.8%

    0%

    5%

    10%

    15%

    20%

    25%

    30%

    35%

    単独世帯 夫婦のみ 夫婦と

    未婚子のみ

    ひとり親と

    未婚子のみ

    三世代世帯 その他世帯

    男性(20-64歳)の貧困率:世帯構造別

    2012 2015

    出所:阿部彩(2018)「日本の相対的貧困率の動態:2012から2015年」貧困統計HP

  • 勤労世代(20-64歳)女性:2012年から2015年の動き

    • 勤労世代(20-64歳)女性の世帯構造別の貧困率は、1985年から2015年にかけて、子どもがない世帯においては減少しているが、子どもがある世帯では上昇。

    • 2012年から2015年にかけては、概ね減少。最も大きく減少したのは「単独世帯」であり4.3%、次に「ひとり親と未婚子のみ」世帯であり3.6%の減少。

    • しかし、「夫婦と未婚子のみ」と「その他世帯」については若干の上昇。

    33.3%

    11.0%9.7%

    35.1%

    12.3%

    20.4%

    29.0%

    10.3% 10.0%

    31.5%

    10.9%

    20.9%

    0%

    5%

    10%

    15%

    20%

    25%

    30%

    35%

    40%

    単独世帯 夫婦のみ 夫婦と

    未婚子のみ

    ひとり親と

    未婚子のみ

    三世代世帯 その他世帯

    女性(20-64歳)の貧困率:世帯構造別

    2012 2015

    出所:阿部彩(2018)「日本の相対的貧困率の動態:2012から2015年」貧困統計HP

  • 高齢男性:2012年から2015年の動き

    • 高齢(65歳以上)男性の世帯構造別の貧困率は、2012年から2015年にかけて、「ひとり親と未婚子のみ」では1.8%、「単独」世帯では若干の減少。

    • しかし、その他の世帯構造については上昇。

    29.3%

    14.2%12.7%

    23.1%

    8.4%

    13.4%

    29.2%

    15.3%13.5%

    21.5%

    8.5%

    14.7%

    0%

    5%

    10%

    15%

    20%

    25%

    30%

    35%

    単独世帯 夫婦のみ 夫婦と

    未婚子のみ

    ひとり親と

    未婚子のみ

    三世代世帯 その他世帯

    高齢男性(65歳以上)の貧困率: 世帯構造別

    2012 2015

    出所:阿部彩(2018)「日本の相対的貧困率の動態:2012から2015年」貧困統計HP

  • 高齢女性:2012年から2015年の動き

    • 高齢(65歳以上)女性の世帯構造別の貧困率は、2012年から2015年にかけて、「ひとり親と未婚子のみ」では5.4%と大きく減少、「三世代」世帯では1.9%の減少。

    • しかし、最も構成比が大きい「単独世帯」、「夫婦のみ」世帯については上昇。

    44.6%

    14.8%12.7%

    30.2%

    12.5%15.3%

    46.2%

    15.4%12.8%

    24.8%

    10.6%

    15.6%

    0%

    5%

    10%

    15%

    20%

    25%

    30%

    35%

    40%

    45%

    50%

    単独世帯 夫婦のみ 夫婦と

    未婚子のみ

    ひとり親と

    未婚子のみ

    三世代世帯 その他世帯

    高齢女性(65歳以上)の貧困率: 世帯構造別

    2012 2015

    出所:阿部彩(2018)「日本の相対的貧困率の動態:2012から2015年」貧困統計HP

  • 子どもの年齢層別の貧困率の動向:2012年から2015年の動き

    • 2012年から2015年にかけて、子どもの貧困率はすべての年齢層で減少。

    14.0%15.6% 14.9%

    16.6% 17.5%18.1%

    19.6%

    11.8%13.8%

    12.1%

    14.3%15.6%

    14.6%15.8%

    0%

    5%

    10%

    15%

    20%

    25%

    0-2歳 3-5歳 6-8歳 9-11歳 12-14歳 15-17歳 18-19歳

    子どもの貧困率:年齢層別2012 2015

    出所:阿部彩(2018)「日本の相対的貧困率の動態:2012から2015年」貧困統計HP

  • 配偶状況別の貧困率

  • 配偶状況別貧困率(勤労世代)

    2012年から2015年にかけて、未婚の男女および離別の女性の貧困率が減少。 死別の男性の貧困率は大きく上昇。女性は横ばい。 既婚の男性は若干の減少、女性はほぼ横ばい。

    女性

    10.1%

    19.8% 20…20.4%

    11.1%

    17.2%

    29.3%

    36.0%

    9.3%

    17.7%

    24.6%

    20.7%

    10.8%

    17.0%

    29.7%32.3%

    0%

    5%

    10%

    15%

    20%

    25%

    30%

    35%

    40%

    既婚 未婚 死別 離別 既婚 未婚 死別 離別

    勤労世代(20-64歳)2012 2015

    男性

    出所:阿部彩(2018)「日本の相対的貧困率の動態:2012から2015年」貧困統計HP

  • 配偶状況別貧困率(高齢者)

    2012年から2015年にかけて、男性の高齢者については「離別」以外の配偶状況にて上昇。最も上昇したのは、未婚の高齢男性。

    女性の高齢者については、「未婚」「離別」で貧困率が減少。既婚・死別では若干上昇。

    出所:阿部彩(2018)「日本の相対的貧困率の動態:2012から2015年」貧困統計HP

    女性

    13.2%

    32.4%

    20.7%

    31.0%

    14.0%

    35.2%

    29.9%

    42.3%

    14.1%

    35.8%

    21.7%

    30.4%

    14.7%

    32.6% 30.6%

    40.3%

    0%

    5%

    10%

    15%

    20%

    25%

    30%

    35%

    40%

    45%

    既婚 未婚 死別 離別 既婚 未婚 死別 離別

    高齢者(65歳以上)2012 2015

    男性

  • 就労状況別の貧困率

    日中の活動を「主に仕事をしている」「主に家事で仕事あり」「主に通学で仕事あり」「仕事あり(その他)」「通学」「家事」「仕事なし(その他)」「不詳」の選択肢で聞いた設問の回答別。なお、高齢者は「通学」「主に通学で仕事あり」のサンプル数が5以下であったため集計外としている。

  • 就労状況別の貧困率:勤労世代(20-64歳)男性2012年から2015年の動き

    • 勤労世代の男性のうち圧倒的多数を占める「主に仕事」をしている人の貧困率は減少。

    • 「通学」「主に通学で仕事あり」の貧困率は大きく減少。• 「家事」「仕事なし(その他)」では上昇。

    10.3%

    30.0% 33.5%29.6% 28.3% 27.0%

    30.3%

    60.1%

    9.7%

    28.7%25.2%

    22.0% 23.6%

    27.8% 33.2%

    48.0%

    0%

    10%

    20%

    30%

    40%

    50%

    60%

    70%

    主に仕事

    主に家事で

    仕事あり

    主に通学で

    仕事あり

    仕事あり

    (その他)

    通学

    家事

    仕事なし

    (

    その他)

    不詳

    勤労世代(男性)2012 2015

    出所:阿部彩(2018)「日本の相対的貧困率の動態:2012から2015年」貧困統計HP

  • 就労状況別の貧困率:勤労世代(20-64歳)女性2012年から2015年の動き

    • 勤労世代の女性のうち多数を占める「主に仕事」をしている人の貧困率はほぼ横ばい。

    • 「通学」「主に通学で仕事あり」の貧困率は大きく減少。• 「家事」「仕事なし(その他)」では若干の減少。

    出所:阿部彩(2018)「日本の相対的貧困率の動態:2012から2015年」貧困統計HP

    13.0% 14.1%

    34.2%

    19.2%

    25.6%

    14.3%

    34.2%

    41.9%

    13.6% 13.1%

    14.2% 16.4%21.5%

    13.4%

    28.3%

    49.0%

    0%

    10%

    20%

    30%

    40%

    50%

    60%

    主に仕事

    主に家事で

    仕事あり

    主に通学で

    仕事あり

    仕事あり

    (その他)

    通学

    家事

    仕事なし

    (

    その他)

    不詳

    勤労世代(女性)

    2012 2015

  • 就労状況別の貧困率:高齢(65歳以上)男性2012年から2015年の動き

    • 勤労世代の男性のうち多数を占める「仕事なし(その他)」や「家事」の貧困率が上昇。

    • 「主に仕事」は若干の減少。

    出所:阿部彩(2018)「日本の相対的貧困率の動態:2012から2015年」貧困統計HP

    12.4%

    16.1% 16.0% 16.3% 15.1%

    30.1%

    11.7%

    16.2%18.6% 19.7%

    16.8%

    28.8%

    0%

    5%

    10%

    15%

    20%

    25%

    30%

    35%

    主に仕事 主に家事で

    仕事あり

    仕事あり

    (その他)

    家事 仕事なし

    (その他)

    不詳

    高齢(男性)

    2012 2015

  • 就労状況別の貧困率:高齢(64歳以上)女性2012年から2015年の動き

    • 高齢女性のうち「仕事」をしている層の貧困率は減少。特に「主に仕事」の高齢女性の貧困率が減少。

    • 仕事をしていない「家事」「仕事なし(その他)」の貧困率は上昇。

    出所:阿部彩(2018)「日本の相対的貧困率の動態:2012から2015年」貧困統計HP

    19.3%16.4%

    25.8%

    21.1%24.2%

    37.6%

    16.2% 15.5%

    23.2%21.9%

    25.4%

    34.6%

    0%5%

    10%15%20%25%30%35%40%

    主に仕事 主に家事で

    仕事あり

    仕事あり

    (その他)

    家事 仕事なし

    (その他)

    不詳

    高齢(女性)2012 2015

  • 働く層の貧困率(ワーキングプア率)

    日中の活動が「主に就労」または「仕事あり(その他)」と回答した人の貧困率。

  • ワーキングプア率(年齢5歳階級別、性別)

    • 働いている層の貧困率は、男性においては、20-24歳から40代に向けて減少し、50-59歳から再上昇する。

    • 働いている女性の貧困率は、25-29歳を除くと、どの年齢層でも男性よりも高く、30歳代から60歳代までほぼ横ばいであるが、70歳代にて急増する。

    出所:阿部彩(2018)「日本の相対的貧困率の動態:2012から2015年」貧困統計HP

    13.3%12.0%

    10.9%9.3%

    8.3%9.3% 8.4% 9.2%

    11.6% 10.7% 11.5%

    17.6% 17.0%

    17.3%

    8.7%

    15.3%

    12.8% 12.9% 13.1% 13.7%14.6% 14.4%

    13.0%

    20.5%

    24.0% 24.8%

    0%

    5%

    10%

    15%

    20%

    25%

    30%

    20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80+

    ワーキングプア率(2015)男性 女性

  • ワーキングプア率(男性):2012年から2015年の動き

    • 年齢層別の男性のワーキングプア率は、2012年から2015年にかけて、ほぼ横ばいである。

    • 40-44歳層においては3.0%、20-24歳、75-79歳では2.5%の減少が確認できる。

    出所:阿部彩(2018)「日本の相対的貧困率の動態:2012から2015年」貧困統計HP

    0%

    5%

    10%

    15%

    20%

    25%

    20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80+

    ワーキングプア率(男性)

    2012 2015

  • ワーキングプア率(女性):2012年から2015年の動き

    • 年齢層別の女性のワーキングプア率は、年齢層によって、上昇、下降しており、はっきりとしたトレンドは見えない。

    • 65-69歳では4.9%、40-44歳では3.4%の減少であるが、80歳以上では上昇。

    出所:阿部彩(2018)「日本の相対的貧困率の動態:2012から2015年」貧困統計HP

    0%

    5%

    10%

    15%

    20%

    25%

    30%

    20-2425-2930-3435-3940-4445-4950-5455-5960-6465-6970-7475-79 80+

    ワーキングプア率(女性)2012 2015

  • 学歴別の貧困率

    学歴別の貧困率。30歳未満はまだ在学中である可能性が高いため集計外。学歴は、「小学・中学」「高校・旧制中」「専門学校」「短大・高専」「大学」「大学院」の選択肢で最終卒業学校を聞いた回答を用いて算出。

  • 学歴別(年齢10歳階級別):男性 2015年

    • どの年齢層においても、学歴による貧困率の差が見られるが、その差は特に40歳代、50歳代において顕著。

    • 中卒の40歳代、50歳代の貧困率は3割を超えるが、30歳代、60歳代では約2割である。

    出所:阿部彩(2018)「日本の相対的貧困率の動態:2012から2015年」貧困統計HP

    19.8%

    31.3%32.5%

    21.2%24.2%

    13.2% 12.1%13.8% 14.7% 14.1%

    7.4%4.9%

    6.2%

    9.6%

    5.8%

    17.2% 17.0%15.1%

    22.1%22.5%

    0%

    5%

    10%

    15%

    20%

    25%

    30%

    35%

    30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳以上

    学歴別(男性)2015

    中卒 高卒 大学以上 不詳

  • 学歴別(年齢10歳階級別):女性 2015年

    • どの年齢層においても、学歴による貧困率の差が見られる。その度合いは30歳代から50歳代までほぼ同じ。

    • 中卒の貧困率は3割を超えるが、60歳代のみ2割台である。

    出所:阿部彩(2018)「日本の相対的貧困率の動態:2012から2015年」貧困統計HP

    35.5%32.9% 33.6%

    22.7%

    30.5%

    14.1% 13.6%16.0%

    14.0%

    21.3%

    9.2%7.4%

    9.8%11.4%

    8.2%

    20.2% 21.2%18.0%

    23.9%

    27.9%

    0%5%

    10%15%20%25%30%35%40%

    30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳以上

    学歴別(女性)2015

    中卒 高卒 大学以上 不詳

  • 再分配前後の貧困率

    再分配前の貧困率は、世帯員の稼働(雇用者所得、事業所得、農耕・畜産所得、家庭内労働所得)、財産所得、仕送り等の所得を合算した世帯所得を世帯人数で調整 した値を用いて算出。貧困線は、通常の相対的貧困率と同じく、等価可処分所得の中央値の50%を用いている。再分配後の貧困率は、通常の相対的貧困率であり、可処分所得を用いて算出。再分配前と再分配後の貧困率の差は、政府による再分配の貧困削減効果を表す。

  • 再分配前と再分配後の貧困率(男性)

    政府の再分配によって、高齢者においては大きな貧困率の改善が見られるものの、勤労世代・子どものおいては、その改善度は大きくない。

    0-4歳のみ、再分配後に貧困率が若干悪化している(この現象は2012年でも見られる)。

    10.7% 12.6%16.6% 17.9% 17.6%

    13.6% 14.3% 15.1% 14.9%16.9% 12.9% 14.9%

    24.4%

    48.4%

    67.4%72.4%

    69.0%

    11.9%12.9% 16.0%

    17.2% 17.3% 13.4% 12.7%

    10.9% 9.7%12.4% 10.9% 12.3%

    15.6% 14.9% 14.8% 16.8%19.5%

    0%

    10%

    20%

    30%

    40%

    50%

    60%

    70%

    80%

    再分配前

    再分配後

  • 再分配前と再分配後の貧困率(女性)

    男性と同様に、政府の再分配によって、高齢者においては大きな貧困率の改善が見られるものの、勤労世代・子どもにおいては、その改善度は大きいとは言えない。

    0-4歳のみ、再分配後に貧困率が若干悪化している(この現象は2012年でも見られる)。

    11.5% 12.5%16.2% 17.5%

    18.2%

    12.9%15.4% 17.0% 16.5% 16.7% 16.6%

    20.3%

    36.8%

    58.7%

    70.8%68.7%

    65.8%

    13.6%11.3% 15.3%

    15.5% 18.1%11.8%

    14.2%

    12.8% 11.8% 13.6% 14.1%15.4% 16.6% 15.9%

    22.0%25.2% 27.0%

    0%

    10%

    20%

    30%

    40%

    50%

    60%

    70%

    80%

    再分配前

    再分配後

  • 男性の再分配前(市場所得)の貧困率の推移:2012年から2015年の動き

    2012年から2015年にかけて、再分配前(市場所得)の貧困率は、子どもと35-44歳層にて改善した。高齢期は殆ど差がない。

    0%

    10%

    20%

    30%

    40%

    50%

    60%

    70%

    80% 再分配前の貧困率(男性)

    再分配前(男性)2015

    再分配前(男性)2012

  • 女性の再分配前(市場所得)の貧困率の推移:2012年から2015年の動き

    男性と同じく、2012年から2015年にかけて、再分配前(市場所得)の貧困率は、子どもと35-44歳層にて改善した。高齢期は殆ど差がない。

    0%

    10%

    20%

    30%

    40%

    50%

    60%

    70%

    80% 再分配前の貧困率(女性)

    再分配前(女性)2015

    再分配前(女性)2012

  • 再分配前後の貧困率の「差」の変化:子どもと勤労世代(男性)2012年から2015年の動き

    2012年に比べ、2015年は再分配前の貧困率が改善したこともあり、再分配前後の貧困率の差(再分配による貧困率の改善)は減少し、再分配機能が減った。

    0-4歳に関しては、2012年でもマイナスであったが、2015年はさらに大きくマイナスとなった。

    -0.2%

    1.3%

    3.1% 3.0%

    1.2%0.6%

    2.5%

    6.2%

    5.2% 4.9%4.3%

    2.0%

    -1.2% -0.3%

    0.5% 0.8% 0.4% 0.2%

    1.6%

    4.2%

    5.2%4.5%

    2.0%2.6%

    -2%

    0%

    2%

    4%

    6%

    8%

    0-4歳 5-9歳 10-14歳 15-19歳 20-24歳 25-29歳 30-34歳 35-39歳 40-44歳 45-49歳 50-54歳 55-59歳

    再分配前後の貧困率の「差」

    男性(2012) 男性(2015)

  • 再分配前後の貧困率の「差」の変化:子どもと勤労世代(男性)2012年から2015年の動き

    男性と同様に、女性においても、2012年に比べ、2015年は再分配前後の貧困率の差(再分配による貧困率の改善)が減少した。

    0.8%

    1.8%2.6%

    2.1% 1.8%

    0.3%

    4.3%5.1%

    5.6%

    3.5%2.9%

    6.3%

    -2.2%

    1.2% 0.9%

    2.0%

    0.1%

    1.1% 1.3%

    4.2%4.7%

    3.1%2.5%

    4.9%

    -4%

    -2%

    0%

    2%

    4%

    6%

    8%

    0-4歳 5-9歳 10-14歳 15-19歳 20-24歳 25-29歳 30-34歳 35-39歳 40-44歳 45-49歳 50-54歳 55-59歳

    再分配前後の貧困率の「差」

    女性(2012) 女性(2015)

  • 再分配前後の貧困率の「差」の変化 :高齢者(男性)2012年から2015年の動き

    高齢男性については、70-74歳については、2012年に比べ、2015年は再分配による貧困率の改善が大きくなっているが、それ以外の年齢層は、改善度が減っているか横ばい。

    12.7%

    38.4%

    50.5%

    57.0%

    51.0%

    8.9%

    33.5%

    52.6%55.5%

    49.5%

    0%

    10%

    20%

    30%

    40%

    50%

    60%

    60-64歳 65-69歳 70-74歳 75-79歳 80歳以上

    再分配前後の貧困率の差(%):高齢男性

    男性(2012) 男性(2015)

  • 再分配前後の貧困率の「差」の変化 :高齢者(女性)2012年から2015年の動き

    高齢女性についても、70-74歳以外の年齢層においては、再分配前後の貧困率の差はほぼ横ばい、もしくは若干の減少となっている。

    22.7%

    42.2%45.8% 45.8%

    39.1%

    20.2%

    42.9%

    48.8%

    43.5%

    38.8%

    0%

    10%

    20%

    30%

    40%

    50%

    60%

    60-64歳 65-69歳 70-74歳 75-79歳 80歳以上

    再分配前後の貧困率の差(%):高齢女性女性(2012) 女性(2015)

  • 【問い合わせ】首都大学東京 人文社会学部 人間社会学科 社会福祉学教室〒192-0397 東京都八王子市南大沢1-1 5号館255号室

    阿部彩研究室 Tel: 042-677-2126E-mail : [email protected]

    子ども・若者貧困研究センター 5号館358号室Tel: 042-677-2065

    【厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査」を用いた貧困率の推計】(パート1)「相対的貧困率の動向:2012-2015」(2018年11月公表)

    (パート2)「子どもの貧困率の動向:2012-2015」(2019年1月公表予定)(パート3)「相対的貧困率の長期的動向」(2019年2月公表予定)

    相対的貧困率の動向:�2012-2015スライド番号 2日本の相対的貧困率(厚労省の公式発表)相対的貧困率の定義スライド番号 5スライド番号 6スライド番号 7年齢層別の貧困率年齢層別・性別の相対的貧困率(2015年)スライド番号 10スライド番号 11世帯構造別の貧困率勤労世代(20-64歳)男性:� 2012年から2015年の動き勤労世代(20-64歳)女性:� 2012年から2015年の動き高齢男性:2012年から2015年の動き高齢女性:2012年から2015年の動き子どもの年齢層別の貧困率の動向:�           2012年から2015年の動き                                          配偶状況別の貧困率配偶状況別貧困率(勤労世代)スライド番号 20就労状況別の貧困率就労状況別の貧困率:勤労世代(20-64歳)男性�           2012年から2015年の動き就労状況別の貧困率:勤労世代(20-64歳)女性�           2012年から2015年の動き就労状況別の貧困率:高齢(65歳以上)男性� 2012年から2015年の動き就労状況別の貧困率:高齢(64歳以上)女性� 2012年から2015年の動き働く層の貧困率(ワーキングプア率)ワーキングプア率(年齢5歳階級別、性別)ワーキングプア率(男性):�           2012年から2015年の動きワーキングプア率(女性):�           2012年から2015年の動き学歴別の貧困率学歴別(年齢10歳階級別):男性 2015年学歴別(年齢10歳階級別):女性 2015年再分配前後の貧困率スライド番号 34スライド番号 35男性の再分配前(市場所得)の貧困率の推移:� 2012年から2015年の動き女性の再分配前(市場所得)の貧困率の推移:� 2012年から2015年の動き再分配前後の貧困率の「差」の変化:�子どもと勤労世代(男性)2012年から2015年の動き再分配前後の貧困率の「差」の変化:�子どもと勤労世代(男性)2012年から2015年の動き再分配前後の貧困率の「差」の変化 :�      高齢者(男性)2012年から2015年の動き再分配前後の貧困率の「差」の変化 :�      高齢者(女性)2012年から2015年の動きスライド番号 42