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6 BayCurrent Consulting 2017年、全世界の小売市場に占めるeコマース(電子商 取引)のシェアはついに10.2%となり、総売上は約250兆円 (2.3兆米ドル)に達した。そしてこの市場シェアは2021年 には17.5%にまで増加すると予想される。流通総額(Gross Merchandise Value)ベースでグローバルeコマース市場の 55%は電子小売業トップ4企業が占めている。このような電 子小売業者の進出により、約8,950もの従来型小売店舗が 2017年に閉店に追い込まれており、それは2018年以降に はさらに大幅に増えると見込まれている。また、メーカー企 業も同様にこのように成長するeコマース関連企業に対し て、当然発言力を弱められつつある。では、急成長を遂げ 影響力を高めている電子小売業者に対して、従来型小売 業者やメーカーはどうすれば勝ち残ることができるのだろう か。今回は、小売業者やメーカーにとって将来想定しうる勝 ち残りのシナリオについて検証したい。 最近、私たちが海外で小売業者や業界有識者と討議す ると、業界の変化やサービスの台頭に関する様々な新しい動 向の話をよく耳にする。どれも興味深い内容だが、今回はこれ らの中から「eコマースのイネイブラー」 「Retail 4.0」 「写真・動 画ベースの双方向eコマース」という3つの注目動向をピック アップした。これらを通じて、従来型小売業者やメーカーが電 子小売業者と差別化し勝ち残るヒントを考えたい。 今日Amazonが台風の目となっているeコマース。 市場は膨らみ続けるが、果たして勝ち筋はあるのか。 海外有識者の声をもとに、メーカーや小売業者の勝ちシナリオを検討した 未来の e コマース

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6 BayCurrent Consulting

2017年、全世界の小売市場に占めるeコマース(電子商

取引)のシェアはついに10.2%となり、総売上は約250兆円

(2.3兆米ドル)に達した。そしてこの市場シェアは2021年

には17.5%にまで増加すると予想される。流通総額(Gross

Merchandise Value)ベースでグローバルeコマース市場の

55%は電子小売業トップ4企業が占めている。このような電

子小売業者の進出により、約8,950もの従来型小売店舗が

2017年に閉店に追い込まれており、それは2018年以降に

はさらに大幅に増えると見込まれている。また、メーカー企

業も同様にこのように成長するeコマース関連企業に対し

て、当然発言力を弱められつつある。では、急成長を遂げ

影響力を高めている電子小売業者に対して、従来型小売

業者やメーカーはどうすれば勝ち残ることができるのだろう

か。今回は、小売業者やメーカーにとって将来想定しうる勝

ち残りのシナリオについて検証したい。

最近、私たちが海外で小売業者や業界有識者と討議す

ると、業界の変化やサービスの台頭に関する様 な々新しい動

向の話をよく耳にする。どれも興味深い内容だが、今回はこれ

らの中から「eコマースのイネイブラー」「Retail 4.0」「写真・動

画ベースの双方向eコマース」という3つの注目動向をピック

アップした。これらを通じて、従来型小売業者やメーカーが電

子小売業者と差別化し勝ち残るヒントを考えたい。

今日Amazonが台風の目となっているeコマース。市場は膨らみ続けるが、果たして勝ち筋はあるのか。

海外有識者の声をもとに、メーカーや小売業者の勝ちシナリオを検討した

未来のeコマース

7未来のeコマース

eコマース・イネイブラーとの協業

eコマース・イネイブラーとは、情報技術(IT)、流通お

よびマーケティング機能を備える複合企業だ。彼らがエ

ンド・ツー・エンドのeコマース関連サービスをメーカー

や小売業者に提供することで、エンドカスタマーまでのe

コマースサービスを可能とする。ここでは、メーカーや従

来型小売業者が直面している3つの主要課題とeコマー

ス・イネイブラーがどのようにそれらの課題を解決しうる

かを紹介しよう。

課題1: ニューエコノミーや新技術による    バリューチェーンの複雑化

ニューエコノミーや新技術(例 シェア化、プラットフォー

ム化、デジタル、コネクテッド、スマート化、循環経済)の台

頭が著しい。例えば、図3で示すように、シェアリングエコノ

ミー(共有経済)は2014年時点で1.6兆円(150億米ドル)

の規模だったが、2025年には36.6兆円(3,350億米ドル)

と約22倍に成長すると言われる。またグローバルでIoT接

続デバイス数は2015年から2025年で7倍の754億個に達

するという。同様にコネクテッドカーの世界市場は2021年

までの3年で1.7倍の15.4兆円(1,409億米ドル)となる見

込みだ。さらにスマートホーム製品は2018年から2022年の

間、毎年14.2%増のスピードで成長し5.8兆円(535億米ド

ル)に達すると言われる。これらの台頭により新たな消費

者体験が生まれてきた。それは言い換えるならば、新たな

販売チャネルが作られたとも言えるだろう。

このようにニューエコノミーや新技術が極めて大きな影

響力を持つようになるため、メーカーや小売業者は新しい

販売チャネルを開拓せざるをえなくなっている。しかし、複

図2

Source:Statista e-commerce report *予測

eコマースの台頭による米国チェーン店への影響

6950

4150

800

4550 49503500 3750

19003450 3750 4000

8950

米国主要チェーン店の閉店閉店数:2007-2019年の実績および予測

12950

20082007 2019*2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018*

図1

Source:Statista

17Taobao.com

15Amazon

14Tmall.com

9JD.com

55総シェア

2017年; %; 流通総額(Gross Merchandise Value)ベース%

eコマースの市場シェア

*予測

2015-2021年; %

▎グローバル小売市場に占めるeコマース(電子商取引)のシェア ▎グローバルeコマース市場における電子小売業トップ4企業のシェア

2018*

14

18

10

6

2

0 2015

7.4

17.5

2016

8.6

2017

10.211.9

13.715.5

2019* 2020* 2021*

図3

Source:Statista

335

152025*2014

+2,133%

2014-2025年; 十億米ドル

ニューエコノミーや新技術の台頭

▎グローバルシェアリングエコノミー市場 ▎グローバルにおけるInternet of Things (IOT)  コネクテッドデバイス数(設置ベース)

▎コネクテッドカーの世界市場規模

*予測

2015-2025年; 十億個 2015-2021年; 十億米ドル

15.41 17.68 20.3523.14 26.66

30.73 35.8242.62

51.1162.12

75.44

201720162015

+390%

2025*2024*2023*2022*2021*2020*2019*2018*

68.68

2017

56.76

2016

49.61

2015

+70% 140.88

2021*

121.67

2020*

100.56

2019*

83.1

2018*

8 BayCurrent Consulting

数の販売チャネルを管理することは小売バリューチェーン

を複雑なものにしてしまう。販売チャネル毎に業務オペレー

ションを複数業者へアウトソースしてしまうと、チャネルごと

に顧客体験が異なってしまうリスクがある。つまり、顧客は

企業全体としての一貫したブランド体験というより、むしろ

バラバラのチャネル体験を経験することになってしまうの

だ。確かにビッグデータ、AI、自動化のような新技術により、

このような新チャネルを管理する手法も出てきている。しか

し残念ながら、メーカーが自分たちでそれらの技術を見極

め活用するとすれば大変な費用がかかってしまうだろう。

課題2: 大手eコマース・エコシステムへの依存

Amazon、Alibaba、JD.comのようなeコマースプラット

フォームの台頭により、プラットフォーム上でのメーカーの発

言力は弱くなってしまった。例えば、Alibabaは2018年に約

5.8億人のユーザーを、Amazonは2016年に約3.1億人の

アクティブユーザーを有している(図4参照)。このように巨大

なアクティブユーザー基盤を持たれては、多くのメーカーは

彼らのプラットフォーム上で自社製品を販売せざるをえない

だろう。もちろんメーカーはこれらのプラットフォームを通じて

より多様な顧客層へアプローチできるが、同時に価格やプ

ロモーションの競争に巻き込まれやすくなってしまう。

課題3: 新規市場参入の障壁

世界を見渡してみるとeコマース市場が急速に成長して

いるのは先進国ではなく新興国だ(図5参照)。メーカーに

とってこれら新興国市場に単独で参入するのは言語や好

みのローカル性などの障壁が高く決して容易ではない。

これらの課題を解決する一つの方法がeコマース・イ

ネイブラー企業と協業することだ。業界横断で様々なメー

カーを支援した経験を持つeコマース・イネイブラー企業

は、膨大なナレッジを蓄積してきている。新興国市場への

迅速な参入や新技術を利用した新しいビジネスモデル構

築のために、そのようなナレッジをメーカーが活用すること

図5

2018-22年; 主要国の抜粋

2015-2025年; 十億米ドル

9.110.711.311.4121212.613.7

17.719.9インド

インドネシア

南アフリカ

メキシコ

トルコ

中国

アルゼンチン

サウジアラビア

ブラジル

スペイン

8.8オーストラリア

8.5フランス

8.3米国

7.9カナダ

7韓国

6.5ドイツ

6.2日本

5.8 平均9.6英国

小売eコマース市場規模の国別比較

Source:Statista

2025 予測2015 実績

5.5合計

1.7インドネシア

1.0シンガポール

1.0ミャンマー

0.9タイ

0.5フィリピン

0.4

87.8

46.0

5.4

8.2

11.1

9.7

7.5ベトナム

+1,496%

+2,606%

+440%

+720%

+1,133%

+1,840%

+1,775%

▎主要国における小売eコマース売上のCAGR(複合年間成長率)予測

▎東南アジアの小売eコマース市場規模の予測

eコマースプラットフォームの台頭 図4

Source:Statista

224 237209 215

244 250 260 270 278 285 294 304 310

Q1’16

Q4’15*

Q3’15

Q2’15

Q1’15

Q4’14

Q3’14

Q2’14

Q1’14

Q4’13

Q3’13

Q2’13

Q1’13

552 576

Q2’18

Q1’18

515

Q4’17

488

Q3’17

466

Q2’17

454

Q1’17

443

Q4’16

439

Q3’16

434

Q2’16

423

Q1’16

407

Q4’15

Q3’15

Q2’15

Q1’15

Q4’14

Q3’14

Q2’14

Q1’14

Q4’13

Q3’13

Q2’13

386367350334307279255231202185

百万人; グローバル 百万人

▎Amazon社のアクティブ顧客アカウント数 ▎Alibaba社オンラインショッピングの年間アクティブ顧客数

9未来のeコマース

ができる。下図はイネイブラーがメーカーを支援しうる業

務機能の概要だが、その範囲は極めて広いと言える。

eコマース・イネイブラー企業を活用することの主なメリッ

トは大きく2つだ。

•利用量に応じた費用負担: イネイブラーは複数メー

カーに対して同時にサポートを行うため規模の経済

が働く。そのため、より低い費用でインフラなどを利用

することが可能だ。また、イネイブラー企業のインフラを

利用した分だけ利用料をメーカーは請求される。一般

的に、メーカーが自社でエンド・ツー・エンドのバリュー

チェーンを所有するのに比べて、イネイブラーを活用し

たほうが費用は安く済む。

•新市場への迅速な進出: イネイブラーに蓄積された経

験やナレッジを活用することで、メーカーは自社で市場

調査を行ってから進出するよりも、よりすばやく市場進

出が実現できると考えられる。

最近これらの領域で立ち上がったスタートアップ企業を

見かけるようになった。例えば、Shopee、SP eCommerce、

aCommerceなどのような会社だ。彼らは短期間・低費用

でメーカーが複数市場にリーチするためのワンストップサー

ビスを提供し始めており、上手に見極めて協業すればメ

リットを得られるかもしれない。

Retail 4.0〜ローカル店舗の商品在庫の見える化〜

図7は消費者が実店舗での買い物ではなくオンライン

ショッピングを選ぶ最も重要な理由を示している。40%の

回答者が「時間の節約」が理由と選んでおり、20%が「商品

探しの面倒さ」を挙げている。商店街にあるような地元商

店の在庫はオンラインで確認することができないため、この

不透明性により消費者の一部がオンラインのeコマースにシ

フトしていると考えられる。では、このような消費者をどのよ

うにすれば地元の商店に連れ戻すことができるだろうか。

地元商店の在庫をオンラインで消費者が確認できるよう

にするためのサービスモデル像を考えてみよう。

このようなシナリオに挑む企業の例として、アイルラン

ドのスタートアップ企業であるPointy社を紹介しよう。彼

らは地元商店に対してシンプルなデバイスを使って簡単

eコマース・イネイブラーの業務範囲 図6

・新規市場参入戦略(例チャネル活用、顧客セグメント選択)・越境eコマース戦略(例 税関手続き、支払手法、出荷方法、文化理解)・オムニチャネルおよび製品(例 消費者の嗜好性理解)・人事労務(例 採用、育成)

・パーソナライズド広告・リアルタイムキャンペーン・ビッグデータ解析に基づく顧客アプローチ

・サプライチェーン戦略・倉庫内フルフィルメント・店舗内フルフィルメント

・マルチチャネル取引のパートナーシップ・マルチデリバリーチャネルのパートナーシップ

・ホスティングとウェブデザイン・言語とコンテンツのローカル化・モバイル/PC/タブレット用アプリ開発・支払システム

・受注管理および在庫管理・仕分け・店舗在庫のオンライン表示・プロモーションとキャンペーン

・マルチ出荷管理・着払い管理・集荷支援およびトラッキング・保険管理

・入電・架電管理・ソーシャルメディア管理・チャットボット開発・運用

eコマース戦略策定

主な活動内容業務機能

ロジスティクス

テクノロジープラットフォーム

オンラインストア用ITインフラ

オフラインストアオペレーション

デリバリー

カスタマーサービス

デジタルマーケティング

消費者が実店舗でなくオンラインで買い物をする理由

2016年; %; グローバル

図7

Source:Statista

15

20

27

29

29

39

40

46

54

5824時間365日買い物ができる

価格を比較できる

オンラインの方が価格が安い

時間を節約できる

外出せずに済んで利便性が良い

選択肢が多い

配送費がかからない

1箇所ですべての買い物が終わる

商品探しが大変

人混みを避けられる

15自分の街や地域には売っていない商品がある

11レジに並ばなくて済む

10 BayCurrent Consulting

に在庫情報を入力できるソリューションを通じて問題を

解決しようとしている。彼らのデバイスは店舗のバーコー

ド読み取り機と接続し、自動的にスキャンした情報を

Pointyのウェブサイトに連携する。顧客が類似商品を検

索した際には、検索結果としてその該当商品が上位に

表示される仕組みだ。なお、商店が顧客の現在地など

に近い場合には、検索結果としてAmazonよりも上に表

示されることもあるという。そして顧客はすぐにお店に足

を運び、商品を購入することができる。

このソリューションのメリットは大きく3つあると考える。

•地元商店の売上増: ローカル店舗はより多くの顧客を

お店に誘導できるため、売上増が期待できる。また数

時間の待ち時間も許容されないような購買活動は比

較的ニッチセグメントであるため、規模を追求する大手

電子小売業者が不得手とする領域である。

•顧客の時間節約: 顧客は商品を求めて複数の店舗

を訪れる必要がなくなる。また、eコマースの配送を

待つ必要もない。

•ローカルコミュニティの強化: 地元でのさらなる消費

が地元での雇用を増やしていくことで、地元のコミュ

ニティが強化されうる。

写真・動画ベースの双方向eコマース

Netflixの契約世帯数は2020年までに1億1,400万に到

達すると見込まれる。Netflix以外にもYouTubeなどのサー

ビスも含めれば、オンデマンド型の動画配信サービスを視

聴する世帯数はさらに大きく増えるだろう。大きなユーザー

ベースが出来上がりつつある。私たちが考えるもう一つの

シナリオは、次世代のeコマースがNetflixのようなコンテン

ツメーカーにより主導されるというものだ。コンテンツメー

カーはコンテンツ上にeコマースのレイヤーを作り出すこと

ができると考える。そして視聴者はコンテンツ上の商品を

購入する選択肢を持つことになるのだ。

写真や動画などのコンテンツベースの双方向eコマース

がどのようなサービスモデルなのかを見ていこう。

消費者はアプリなどで視聴しているコンテンツ上で、出

演者が着た服や使っている家具などと同じ商品をすぐに

注文ができるようになる。同じ商品を購入するために、画

像を保存したり、Googleで検索したり、店舗を訪れたりする

必要はもうなくなるのだ。

これにより、メーカーは大手電子小売業者への依存度

を減らすことができるだろう。このような新しい双方向型の

ローカル店舗の在庫を透明化 図8

概念図 説 明 メリット

店舗アライアンス

オンラインデータベース

消費者

・店舗を訪問しても商品在庫がない場合に消費者の時間の無駄が発生していた・最短のローカル店舗に行き、すぐに商品が手に入るため、入手リードタイムはeコマースよりも短くなる・さらにローカル店舗での商品購入が増えることでローカルコミュニティの再活性化にも貢献しうる

・ローカル店舗がIT企業と提携し、商品在庫情報をオンラインデータベースに連携することを許可・在庫情報は手作業もしくはPOSシステムとの連携などによりオンラインデータベースにアップデート

・オンラインデータベースは検索エンジンやソーシャルネットワーク、メッセンジャーなどのアプリと統合・連携

・消費者が検索エンジンやソーシャルネットワーク、メッセンジャーなどのアプリで問い合わせる・アプリが商品在庫がある近い店舗を表示し、さらにその経路まで提示

お気に入りのスカルプシャンプーがなくなってしまった。Amazonの翌日配送まで待てないから近くのお店で買えないかな。

・ローカル店舗の在庫の不透明性が消費者をeコマースにシフトさせる要因になっていた・新しいマーケティングチャネルが一部の消費者をローカル店舗に連れ戻す機会となりうる

SHOP SHOP SHOP

シリコンシャンプー

オーガニックシャンプー

複数店舗によるアライアンス

スカルプシャンプー

データベース

距離

店舗

ルート

100M 2200M 1

在庫

シャンプー

スカルプ

スカルプ

11未来のeコマース

コンテンツを活用することができれば、AmazonやGoogle

などの巨大なeコマースプラットフォームだけに頼らなくて済

むからだ。また、メーカーが直接消費者と接点を持つことに

よって、コストを削減できるだけでなく、顧客との長期的な

関係構築もできるようになるだろう。

この領域における企業例がSpott.ai社だ。彼らはNike

やIKEAのようなメーカーをサポートしており、彼らのウェブ

サイト上でユーザーは動画や写真のような双方向コンテン

ツを通じて効率よくオーダーができる。さらにこのような仕

組みはNetflixなどの巨大な写真・動画プラットフォームへ

の展開が進むであろうと予想される。

結論

eコマース・イネイブラー、Retail 4.0、写真・動画ベースの

双方向eコマース以外にも将来の小売に変化をもたらす新

しいeコマースがまだまだある。スマートスピーカーを通じて

消費者が日常的に発注できる音声型eコマース、消費者が

スタイリストに嗜好品選びについてアドバイスを受けられる

パーソナルスタイリスト付きeコマース、消費者が家電などを

借りることができるレンタルeコマース、自動運転者が消費

者の自宅まで訪れ販売するモバイル小売店、ワンストップラ

イフアプリであるWeChatやGO-JEKのようなエコシステム

型eコマース、等など、挙げればキリがない。つまり、新しい

技術も廉価になり、アイディアが具現化しやすいステージに

なったと言えよう。

より身近になった技術を使えば、メーカーや従来型小売

業者も電子小売業者と差別化した新しいサービスモデル

が築けるはずだ。そうなれば、また彼らにも明るい未来が

見えてくるだろう。

Preetham Edamadaka:

ベイカレント・コンサルティング・シンガポールオフィス所属シニアマネージャ

Copyright © 2019 BayCurrent Consulting Inc. All rights reserved.

写真・動画ベースの双方向eコマース 図9

シーンの視聴 購入オプションの確認 オンライン店舗への移動

顧客体験

説 明

主な障壁

・選んだコンテンツにより、ユーザーは複数のオンライン店舗へ移動が可能・このような機能を通じて、メーカーや小売店はAmazonなどのマーケットプレイスや自社eコマースサイト以外に、新たなオンライン販売チャネルを獲得できる

・視聴者が購入オプションを有効にすると、ブランド・価格などの詳細がコンテンツ上に浮き出て表示される・視聴者が詳細情報をタップ/クリックすると、商品在庫を持つ店舗へ画面遷移する

・写真や動画のようなデジタルコンテンツを表示しているプラットフォーム内のAIにより、表示される商品と購入可能な店舗を事前に紐づけする・視聴者は写真や動画に表示された商品を見て、購入意欲を持つようになる

・複数の会社間で同一商品を検索できるようにするために、メーカーや小売店共通の標準データファイル形式が必要・リアルタイムに動画と商品を紐づけできる高い処理能力が求められる・ステークホルダーを見極めて上でのビジネスモデル(誰にいくらを課金するか)の設計が課題

視聴者

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