日本における孤食および朝食欠食 の現状日本における孤食および朝食欠食...

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日本における孤食および朝食欠食 の現状 ~社会生活基本調査の結果から~ 菊地慶子 菊地慶子 浜松医科大学医学部地域看護学講座 浜松医科大学医学部地域看護学講座

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Page 1: 日本における孤食および朝食欠食 の現状日本における孤食および朝食欠食 の現状 ~社会生活基本調査の結果から~ 菊地慶子 浜松医科大学医学部地域看護学講座

日本における孤食および朝食欠食

の現状

~社会生活基本調査の結果から~

菊地慶子菊地慶子

浜松医科大学医学部地域看護学講座浜松医科大学医学部地域看護学講座

Page 2: 日本における孤食および朝食欠食 の現状日本における孤食および朝食欠食 の現状 ~社会生活基本調査の結果から~ 菊地慶子 浜松医科大学医学部地域看護学講座

1.日本における孤食の現状

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1 日本における孤食の現状1.日本における孤食の現状

近年では個々のライフスタイルの多様化に

伴い 様々な食行動が見られるようになった伴い、様々な食行動が見られるようになった

核家族化や共稼ぎの増加、一人で食事する

ことへの抵抗感の減少などから孤食化が進

んでいることが懸念されるんでいることが懸念される

孤食は、人との関わりを持たないことからコ

ミ ケ シ の低下などの問題に ながミュニケーションの低下などの問題につなが

る可能性がある

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デ タデータ

社会生活基本調査(総務省 平成13年)社会生活基本調査(総務省、平成13年)一橋大学経済研究所附属社会科学統計情報研究センターのミクロデータ試行的提供を利用

標本数:291,148対象:無作為抽出された10歳以上の者

行動内容

睡眠 身の回りの用事 食事 通勤・通学 仕事 学業 家事 介護・看護 育児睡眠、身の回りの用事、食事、通勤・通学、仕事、学業、家事、介護・看護、育児、

買い物、移動、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌、休養・くつろぎ、学習・研究、趣味・娯楽、

スポーツ、ボランティア活動・社会参加活動、交際・つきあい、受診・療養、その他

一緒にいた人

人 家族 学校 職場の人 その他の人一人、家族、学校・職場の人、その他の人

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社会生活基本調査:調査票社会生活基本調査:調査票

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方法方法

孤食の定義

孤食とは、『食事』の時間帯で、一緒にいた

人 併記項目 『 人 』 記 る者人の併記項目に『一人で』に記入している者

全体の『孤食』の有無によって2群分け性別・年齢別の比較(クロス集計)SPSS Ver.17.0を使用を使用

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孤食有無 状況孤食有無の状況

孤食あり 孤食なし孤食あり 孤食なし

男性 33 6% 66 4%男性 33.6% 66.4%

女性 37 7% 62 3%女性 37.7% 62.3%

全体 35.8% 64.2%

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年齢階級別の孤食割合年齢階級別の孤食割合50%

全体

43.3

37.7 37.338.9 40.0 38.9

37.0 36.3

39.2 39.640%

33.3 32.2 31.633.5

30%

16 220%

16.2

10%

0%10-14 15-19 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80-(歳)10 14 15 19 20 24 25 29 30 34 35 39 40 44 45 49 50 54 55 59 60 64 65 69 70 74 75 79 80 (歳)

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年齢階級別の孤食割合(男女別)年齢階級別の孤食割合(男女別)47.5

46 050%

男性 女性44.9

40.4

36.7 36.835 6

41.8

39.5

42.8 43.041.8 41.2

42.8

46.0

40%

男性 女性

34.3 33.933.3

34.9 35.0 35.6

32.1

28.5 27.4 27.7

32.3

35.2

28.229.5

33.7

30%

16.920%

15.616.9

10%

0%10-14 15-19 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80-(歳)

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考察考察

20代は親から独立して一人暮らしの生活を

開始することが多く、個人中心のライフスタ

イ になるためイルになるため

も 高50代以上の女性は子どもの独立や独居高

齢者が多いため齢者が多いため

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課題課題

一人で食事をしなければならない社会的背

景(曜 就労 介護 孤食 多 時間帯景(曜日・就労・介護・孤食の多い時間帯

等)や孤食と関わる要因を明らかにしていく等)や孤食と関わる要因を明らかにしていく

必要がある必要がある

実際に孤食が増えているか否かについて実際に孤食が増えて るか否かに て

の時系列による分析が必要である

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2.児童・生徒による朝食の欠食状況

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童 生徒 る朝食 欠食状2.児童・生徒による朝食の欠食状況

朝食欠食などの食習慣の乱れが痩せや肥

満などの健康問題に関連満などの健康問題に関連

日本の児童 生徒における朝食欠食の記述日本の児童、生徒における朝食欠食の記述

疫学像を明らかにする

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デ タデータ

社会生活基本調査(総務省、平成13年)

・平成13年10月の2日間で実施

・約8割のリサンプリングを行ったミクロデータを利用

対象:小学校、中学校、高等学校に在籍中

の10歳以上の者

標本数:30,825 (小学生:8,082、中学生:11,192、高校生:11,551)

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方法方法

性別、学校種別、日付別(平日、土日)、

ど 帯休みの日(休暇・休日など)、地域、世帯の

家族類型 住宅の種類 等価所得の各項家族類型、住宅の種類、等価所得の各項

目毎についてクロス集計して朝食欠食者

の割合を算出

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定義定義

朝食欠食

朝食 食 午前 時 時 帯朝食欠食とは、午前5~11時の時間帯で

『食事』の行動がなかった者『食事』の行動がなかった者

等価所得等価所得

各世帯の所得を世帯員数の平方根で除し各世帯の所得を世帯員数の平方根で除し

たもの

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5 3%

0% 5% 10% 15% 20% 25%

5.3%

4.9%

5.7%

小学校  全体

男子

10.9%

10 4%中学校

女子

10.4%

11.4%

中学校

20.8%

23.1%高等学校

図1 学校別・性別朝食欠食率

18.3%

図1 学校別 性別朝食欠食率

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0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35%

2.9%

0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35%

小学校6.1%

14.4%

平日

小学校

中学校

高等学校

6.7%

13 7%休日 13.7%

24.4%

休日

8.5%

18.4%

31 9%

休みの日

図2 学校別・日程別朝食欠食率

31.9%

図2 学校別 日程別朝食欠食率

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0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35%

4.9%

10 9%

0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35%

核家族小学校

57%

10.9%

20.1%核家族

小学校

中学校

高等学校

5.7%

10.2%

19.5%

大家族

8.2%

15.4%

28 4%

ひとり親家族

3.4%7.1%

28.4%

単身赴任等

図3 学校別・家族類型別朝食欠食率

7.1%25.8%赴任等

図3 学校別 家族類型別朝食欠食率

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0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35%

5.7%12.6%

22 2%

0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35%

三大都市圏

小学校 

中学校

5.1%10.2%

22.2%

20 1%

都市圏

その他の地域

中学校

高等学校

図4 学校別・地域別朝食欠食率

20.1%の地域

0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35%

5.0%10.6%

20.1%持ち家

小学校 

中学校

高等学校

6.5%11.9%

23.9%

賃貸・給与住宅

図5 学校別・住居類型別朝食欠食率

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0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35%

8.8%12.6%

0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35%

<100万円小学校 

中学校

5.4%12 5%

12.6%25.0%

<100万円

100~

中学校

高等学校

4.9%9 9%

12.5%22.1%249万円

250~

4.5%

9.9%21.3%

250399万円

400~

57%

10.2%19.2%

400~499万円

図6 学校別 等価所得金額別朝食欠食率

5.7%10.2%

18.3%>500万円

図6 学校別・等価所得金額別朝食欠食率

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結果結果

小学校⇒中学校⇒高等学校と学校が上がる

につれ、子どもの朝食欠食の割合が多い

ひとり親世帯や賃貸・給与住宅居住、等価所

得200万円未満などの社会的支援が必要と

思われる世帯に朝食欠食が比較的多い思われる世帯に朝食欠食が比較的多い

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考察考察

部活や勉強、趣味による夜更かしなどによ

り、朝食摂取の時間が取りにくくなっている

ことが考えられる。

朝食摂取の優先度には、家庭環境も影響

していると考えられるしていると考えられる。

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方策方策

社会的支援が必要な世帯に朝食欠食が多

いことの要因を明らかにすべき。

生活習慣(特に食事)に関する知識の提供

や養育時間の確保 生活費の助成等の支や養育時間の確保、生活費の助成等の支

援を検討していくことが好ましい。援を検討して く 好まし 。

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ご清聴ありがとうございました

考える人間の最も美しい幸福は、究め得るものを究めてしま 究め得な も を静しまい、究め得ないものを静かに崇(あが)めることである。(「格言と反省」から)