手ぶれ補正機能を搭載した シグマの最新レンズに 東芝の を採用 ·...

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10 ARM PARTNERS SUCCESS ARM PARTNERS SUCCESS 11 Success STORIES 株式会社東芝 セミコンダクター&ストレージ社 / 東芝マイクロエレクトロニクス株式会社 Success STORIES 株式会社東芝 セミコンダクター&ストレージ社 / 東芝マイクロエレクトロニクス株式会社 創業当時から各メーカーの カメラに向けた交換レンズを用意 一眼レフ型カメラのブームから交換レンズの 需要も増えている。「カメラがデジタルになっ たことから、一眼レフ型の買い替え需要にとも ない交換レンズのマーケットも大きくなってい ます。」(シグマ成田氏)。 交換レンズはカメラメーカー以外にも、サー ドパーティベンダーからも提供されている。シ グマもその一社で1961年の創業当時から、各 メーカーのカメラに向けた交換レンズの開発、 製造、販売を行ってきた。さらに、イメージ センサまで自社開発したデジタルカメラとその 周辺機器も開発、製造、販売している。 シグマはオートフォーカス(AF)レンズとし て、APS-Cサイズ相当のイメージセンサに合わ せて設計した高性能レンズである「DCシリー ズ」、35mm判フルサイズに対応した高性能レン ズ「DGシリーズ」、ミラーレス一眼カメラ専用 高性能レンズ「DNシリーズ」など多くの製品を ラインアップしている。 近年、カメラは著しい進化を遂げ、AF、絞り の自動化、手ぶれ補正などの対応が当たり前と なった。それらの機能は、ボディとレンズ間で 通信し、協調して実施している。 「ボディとレンズ間の通信も日々進化してお り、通信速度の向上やデータ量は増大が図られ ています。高性能な交換レンズやデジタルカメ ラをユーザーに提供するためにも、ハイスペッ 一眼レフカメラの交換レンズのサードパーティベンダーとして長年業界をリードしてきたシグマ。手ぶれ補正機能を搭載した最新 レンズである「SIGMA 17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSM」「SIGMA 24-105mm F4 DG OS HSM」、さらにレンズのカスタマイズ に使用する「Sigma USB DOCK」に東芝セミコンダクター & ストレージ社(以下、東芝)の ARM® Cortex®-M3 搭載マイコン「TX03 シリーズ」が採用された。ここでは、各レンズの特長などに加え、採用のメリットなどを聞いた。 手ぶれ補正機能を搭載した シグマの最新レンズに 東芝の M342 を採用 クなマイコンが必要となっています」(成田氏) という。 ボディでのARMコア採用実績から M342 をレンズに採用 シグマの交換レンズの中でも手ぶれ補正 機能を搭載した最新機種である「Sigma 17- 70mm F2.8 - F4」および「Sigma 24-105mm F4」に東芝のARM Cortex-M3搭載マイコン 「TMPM342FY」が 採 用 さ れ た。 レ ン ズ の カ ス タマイズに使用する「Sigma USB DOCK」には、 「TMPM365FY」が採用されている(図1)。 シグマと ARM コアの出会いは、カメラボディ からだ。「ボディではすでに採用実績があった のでレンズでも安心して採用を決めました」(シ グマ高橋氏)。 「Sigma 17-70mm F2.8 - F4」は、 同一の焦点距 離の製品としては3世代目であり、手ぶれ補正 機能付の交換レンズとしては小型化を実現して いる。 「Sigma 17-70mm F2.8 - F4 は、マクロ撮影に も強くなっています。マクロレンズと合わせて 2本持っていくゆとりがないときに重宝するの ではないでしょうか」(高橋氏)。「最短撮影距離 が22cmであり、70mm時はレンズ先端から約 5.5cmまで被写体に寄ることができます。コン パクト型を使っている方でも違和感なく使えま す」(シグマ藤繁氏)。カメラにはじめから装備 されているレンズキットでは、少し物足りない というユーザーに向けたものとなるという。 「Sigma 24-105mm F4」は、35mm判フルサイ ズで要望の多い高倍率と高性能を両立した製品 であり、近年のデジタルカメラの高画素化に耐 えうる画質を実現しているものだ。 「APS-Cサイズ相当のレンズの場合、35mm 判フルサイズのイメージセンサでは、周りに ケラレが出てしまいます。35mm判に対応し つつ、ズーム性能を出すのは困難なのですが、 「Sigma 24-105mm F4」は、当社の技術を駆使 して相反する性能を両立したものです」(藤繁 氏)。ハイアマチュアやプロに向けたレンズで ある。 「Sigma USB DOCK」は、ピントの微調整など、 交換レンズの機能をユーザーの好みにカスタマ イズできる。「基本的に出荷時がベストになっ ていますが、あえて自分好みにカスタマイズし たいというご要望に応えたものです」(高橋氏)。 レンズの各種制御に 特化した機能を豊富に搭載 シグマの両レンズに採用された東芝の 「TMPM342FY」は、ARM 搭載汎用マイコンであ りながらカメラレンズの制御に特化した各種機 能が搭載されている ASSP(Application Specific Standard Product)マイコンである。 CPU コアにARM Cortex-M3/40MHz、周辺機 能としてサーボエンジンPSC(Programmable Servo / Sequencer Controller)、アナログ制御 株式会社シグマ 開発部 開発第 2 ユニット 第 6 課 係長 工学博士 成田 大助 株式会社シグマ 開発部 開発第 2 ユニット 第 6 課 工学博士 高橋 岳志 図1:交換レンズにTMPM342FY(左)、レンズ用USB DOCKにはTMPM365FYを採用(右)。

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10 ARM PARTNERS SUCCESS ARM PARTNERS SUCCESS 11

Success STORIES

株式会社東芝 セミコンダクター&ストレージ社 / 東芝マイクロエレクトロニクス株式会社Success STORIES

株式会社東芝 セミコンダクター&ストレージ社 / 東芝マイクロエレクトロニクス株式会社

創業当時から各メーカーのカメラに向けた交換レンズを用意

一眼レフ型カメラのブームから交換レンズの

需要も増えている。「カメラがデジタルになっ

たことから、一眼レフ型の買い替え需要にとも

ない交換レンズのマーケットも大きくなってい

ます。」(シグマ成田氏)。

交換レンズはカメラメーカー以外にも、サー

ドパーティベンダーからも提供されている。シ

グマもその一社で 1961 年の創業当時から、各

メーカーのカメラに向けた交換レンズの開発、

製造、販売を行ってきた。さらに、イメージ

センサまで自社開発したデジタルカメラとその

周辺機器も開発、製造、販売している。

シグマはオートフォーカス(AF)レンズとし

て、APS-C サイズ相当のイメージセンサに合わ

せて設計した高性能レンズである「DC シリー

ズ」、35mm 判フルサイズに対応した高性能レン

ズ「DG シリーズ」、ミラーレス一眼カメラ専用

高性能レンズ「DN シリーズ」など多くの製品を

ラインアップしている。

近年、カメラは著しい進化を遂げ、AF、絞り

の自動化、手ぶれ補正などの対応が当たり前と

なった。それらの機能は、ボディとレンズ間で

通信し、協調して実施している。

「ボディとレンズ間の通信も日々進化してお

り、通信速度の向上やデータ量は増大が図られ

ています。高性能な交換レンズやデジタルカメ

ラをユーザーに提供するためにも、ハイスペッ

一眼レフカメラの交換レンズのサードパーティベンダーとして長年業界をリードしてきたシグマ。手ぶれ補正機能を搭載した最新レンズである「SIGMA 17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSM」「SIGMA 24-105mm F4 DG OS HSM」、さらにレンズのカスタマイズに使用する「Sigma USB DOCK」に東芝セミコンダクター & ストレージ社(以下、東芝)の ARM® Cortex®-M3 搭載マイコン「TX03シリーズ」が採用された。ここでは、各レンズの特長などに加え、採用のメリットなどを聞いた。

手ぶれ補正機能を搭載したシグマの最新レンズに東芝のM342を採用

クなマイコンが必要となっています」(成田氏)

という。

ボディでのARMコア採用実績からM342をレンズに採用

シ グ マ の 交 換 レ ン ズ の 中 で も 手 ぶ れ 補 正

機能を搭載した最新機種である「Sigma 17-

70mm F2.8 - F4」および「Sigma 24-105mm

F4」に東芝の ARM Cortex-M3 搭載マイコン

「TMPM342FY」が 採 用 さ れ た。 レ ン ズ の カ ス

タマイズに使用する「Sigma USB DOCK」には、

「TMPM365FY」が採用されている(図 1)。

シグマと ARM コアの出会いは、カメラボディ

からだ。「ボディではすでに採用実績があった

のでレンズでも安心して採用を決めました」(シ

グマ高橋氏)。

「Sigma 17-70mm F2.8 - F4」は、 同一の焦点距

離の製品としては 3 世代目であり、手ぶれ補正

機能付の交換レンズとしては小型化を実現して

いる。

「Sigma 17-70mm F2.8 - F4 は、マクロ撮影に

も強くなっています。マクロレンズと合わせて

2 本持っていくゆとりがないときに重宝するの

ではないでしょうか」(高橋氏)。「最短撮影距離

が 22cm であり、70mm 時はレンズ先端から約

5.5cm まで被写体に寄ることができます。コン

パクト型を使っている方でも違和感なく使えま

す」(シグマ藤繁氏)。カメラにはじめから装備

されているレンズキットでは、少し物足りない

というユーザーに向けたものとなるという。

「Sigma 24-105mm F4」は、35mm 判フルサイ

ズで要望の多い高倍率と高性能を両立した製品

であり、近年のデジタルカメラの高画素化に耐

えうる画質を実現しているものだ。

「APS-C サイズ相当のレンズの場合、35mm

判フルサイズのイメージセンサでは、周りに

ケラレが出てしまいます。35mm 判に対応し

つつ、ズーム性能を出すのは困難なのですが、

「Sigma 24-105mm F4」は、当社の技術を駆使

して相反する性能を両立したものです」(藤繁

氏)。ハイアマチュアやプロに向けたレンズで

ある。

「Sigma USB DOCK」は、ピントの微調整など、

交換レンズの機能をユーザーの好みにカスタマ

イズできる。「基本的に出荷時がベストになっ

ていますが、あえて自分好みにカスタマイズし

たいというご要望に応えたものです」(高橋氏)。

レンズの各種制御に特化した機能を豊富に搭載

シ グ マ の 両 レ ン ズ に 採 用 さ れ た 東 芝 の

「TMPM342FY」は、ARM 搭載汎用マイコンであ

りながらカメラレンズの制御に特化した各種機

能が搭載されている ASSP(Application Specific

Standard Product)マイコンである。

CPU コアに ARM Cortex-M3/40MHz、周辺機

能としてサーボエンジン PSC(Programmable

Servo / Sequencer Controller)、アナログ制御

株式会社シグマ開発部 開発第2ユニット 第6課係長 工学博士

成田 大助 氏

株式会社シグマ開発部 開発第2ユニット 第6課

工学博士

高橋 岳志 氏

図1:交換レンズにTMPM342FY(左)、レンズ用USB DOCKにはTMPM365FYを採用(右)。

12 ARM PARTNERS SUCCESS ARM PARTNERS SUCCESS 13

Success STORIES

株式会社東芝 セミコンダクター&ストレージ社 / 東芝マイクロエレクトロニクス株式会社Success STORIES

株式会社東芝 セミコンダクター&ストレージ社 / 東芝マイクロエレクトロニクス株式会社

インタフェース、高分解能 PPG(Programmable

Pulse Generator)出力、高速シリアル通信、2 相

パルス入力カウンタなどを搭載している。

サ ー ボ エ ン ジ ン PSC は、CPU コ ア と の 並 列

処理により、光学手ぶれ補正で用いられる PID

(Proportional Integral Derivative)制御の高速化

と低消費電力化を実現する。しかも、制御内容

をソフトウェアでフレキシブルに変更でき、シ

ステム開発期間の大幅な短縮を実現できる。

高分解能 PPG 出力は、高分解能 6nsec、± 90°

可変位相差出力対応可能な PWM(Pulse Width

Modulation)タイマの内蔵により、超音波モー

タなどの駆動も可能とする。

ボディがマスタでレンズがスレーブとなる

「Sigma 17-70mm F2.8 - F4」での処理を図 2 に

まとめる。「ボディがマスタでレンズがスレー

ブとなり、ボディの指示にレンズが従うのが基

本です」(成田氏)。

処理の流れとして、まず通信がある。「ボディ

からレンズに対して、撮影したファイルにも記

録される焦点距離や絞り値などの各種情報を聞

いてくるので、それに答える通信を行っていま

す」(成田氏)。絞り制御は、ボディのマイコン

からレンズ側のマイコンに対して絞りの駆動量

が送られるので、レンズはステッピングモータ

レンズを縦横無尽に動かしたいというニーズが

あります。しかし、レンズというひとつのパッ

ケージとしてまとめる場合、基板やアクチュエー

タ、センサなどと場所の取り合いになってしま

います。そのため、基板面積は小さいほど喜ば

れます(図 3)。また、ドライバやセンサ関連の

回路を MCD(Motor Control Driver)で補えたの

は大きいと思います」(藤繁氏)。

さらに、HSM や手ぶれ補正の性能も向上した。

「HSM は、35KHz から 70KHz 程度の信号を回路

に 流 し て 制 御 し て い ま す。「TMPM342FY」の

16bit タイマは、以前のマイコンと比べてデュー

ティ比を自由に調整できるなど、自由度が高い

制御ができます。結果として滑らかな制御がで

き、お客様にとって使い勝手の良い製品に仕上

げることができました」(藤繁氏)という。

さ ら に、Cortex-M3 の コ ア が 想 像 以 上 に 処

理能力が高く、特に FPU(浮動小数点演算)や

割り込みにかかる速度が速かったという。「浮

動小数点演算が手ぶれ補正の計算に必要です。

しかし、浮動小数点演算にしてしまうと処理

が遅くなりがちですが、「TMPM342FY」では

それが高速に処理されるので助かりました」

(高橋氏)。

東芝の持つペリフェラルやサポートを高く評価

RTOS(リアルタイムOS)は、機能ごとにタス

ク分割を行い、マルチタスク化を実現するため

μT-Kernelを採用した。言語は、一部アセンブリ

で指示された量だけ絞りを絞る。フォーカス制

御は、ボディからレンズに対してフォーカスの

駆動量が送られてくるので、HSM(Hyper Sonic

Motor:超音波駆動モータ)を駆動させ、指定分

だけ駆動させる。手ぶれ補正は、ボディから手

ぶれ補正の開始 / 停止の指令が送られてくるの

で、レンズ鏡筒に搭載しているジャイロセンサ

(角速度センサ)からぶれデータを取得する。そ

のデータから手ぶれ補正のためのレンズの移動

量を決め、VCM(Voice Coil Motor:電磁コイル)

で移動させる。

実際の撮影時には複数の処理を同時並行的に実施

実際の撮影時には、これらの処理を同時並行

的に行うことになる。「実際の絞りの状態でライ

ブビューしながら、フォーカスや手ぶれ補正を

行うというのがマイコンへの負荷が大きくなる

一例です。それら並列処理を破綻なく行うため

には、それなりのノウハウが必要です」(藤繁氏)。

「東芝としては、レンズの動作を意識して PSC

を作りました。CPU とは完全に独立し、処理の

分散が可能であるのと同時に、動かしたいとき

だけ動作し、不要な時は完全に止まる消費電流

削減の対策もしています」(東芝徳山氏)。

「手ぶれ補正はジャイロセンサや位置センサ

(ホールセンサ)からの信号で常に動作させてお

く必要があります。そこで低消費電力かつ非同

期での動作が可能な PSC にて動作できるように

しました」(東芝有賀氏)。

ア ナ ロ グ 関 連 の ペ リ

フェラルも充実させた。

「シグマ様と一緒にレン

ズ向けに必要なペリフェ

ラルを企画し充実させま

した。たとえば、シグマ

様からのご要望に合わせ

16 ビットの分解能を持

つ A/D コンバータを搭載

しました。さらに、セン

サアンプやステッピング

言語を含んでいるが、基本的にC言語を用いている。

成田氏は、東芝のサポートを高く評価してい

る。開発環境とデバッグツールは IAR システム

ズ社の Embedded Workbench for ARM を使用し

ている。「ツールについては、東芝さんと主に

やり取りしていました。デバイス以外の部分で

も、東芝さんには大変良くサポートしていただ

きました」(成田氏)という。

さらに、「PSC はアセンブラのため、初めは

戸惑いもあったのですが、東芝さんが効率的な

コーディングなども含めて一緒にやっていただ

きました」(成田氏)。

「PSC は単なるコプロセッサではなく、ハード

演算器の代わりとなるもので、高速処理を意識

してアセンブラを用いています。お客様が容易

にご利用できるように、お客様の欲しい機能を

リファレンスとして検証し、サンプルソースと

してご提供させていただきました」(徳山氏)。

さらに、「基板設計における回路構成、部品

の配置、配線の仕方等、電気的な設計手法に関

するアドバイスまで丁寧に教えていただき、最

初の試作時点でおおよそ問題なく動作する設計

ができました」(藤繁氏)。

レンズのカスタマイズに使用する「Sigma

USB DOCK」は電源を持っていない※ ので、フ

ラッシュメモリへのアクセスが失敗したら最悪

の場合、レンズが動作しなくなる恐れがある。

「フラッシュメモリの書込みや消去において、

書込み途中で失敗してもリトライできるような

機能が必要でした。その際、メモリの分割につ

いても的確なアドバイスをいただきました」(高

橋氏)。

必要な速度が得られるコアを探していた

今後の展開について成

田氏は、「レンズの各モ

ジュールで独立させ、ソ

フ ト ウ ェ ア の 再 利 用 性

を 高 め て い き た い と 考

モータドライバを内蔵することで、外付け部品

を減らし、基板面積の削減を図れるようにしま

した」(有賀氏)という。

「A/D コンバータは、ジャイロセンサからの信

号入力に使っています。手ぶれ補正の精度を上

げるには、手ぶれデータの大元となるジャイロ

センサからの信号の分解能を上げておくことが

必要となります」(藤繁氏)。

部品面積で約30%を削減

「TMPM342FY」の 採 用 に よ り、 部 品 面 積 で

30%ほど大幅に削減できた。「最近のレンズは小

型化が進んでいるため、基板サイズの小型化が

求められています。光学設計の立場からすると

えています。組込みマイコンは日々進化してお

り、それら機能向上に合わせて積極的に新しい

マイコンを採用していく必要があります。その

際、スムーズな立ち上げができるようにソフト

ウェアの資産化を行うことや、RTOS を使いこな

すことなどを重要視していきます」という。

「いままで多数のチップが必要だった処理

をシングルチップで実現できました。お客様

は 同 じ 性 能 な ら 軽 く て 持 ち や す い レ ン ズ を

選ぶ傾向にあります。そういったことからも

「TMPM342FY」の採用が市場ニーズに応えられ

るレンズ開発に大きく貢献したのではないで

しょうか」(高橋氏)。

「東芝は 2008 年から ARM アーキテクチャを

搭載したマイコンを開発、提供してきましたが、

当初からコアで勝負する時代ではないと思って

いました。我々には長年のマイコン開発の実績

があり、豊富なペリフェラルとサポートの実績

を持っています。今後もそれを惜しみなくご提

供することで、お客様の製品開発を支援してい

きます」(徳山氏)。

成 田 氏 は、「 レ ン ズ 制 御 に 必 要 な 速 度 が 得

ら れ る コ ア を 探 し て い た の で す が、 東 芝 製

Cortex-M3 搭載 TX03 が最適でした」という。

PSC を始めとするペリフェラルやサポートが大

きく評価されたということだろう。

ステッピングモータで指示された量だけ絞りを絞る

ボディマイコン レンズマイコン

データ通信

HSMを駆動させ、指定分だけ駆動

フォーカス制御

フォーカスの駆動量指示

レンズの移動量を決め、VCMで移動

手ぶれ補正制御

手ぶれ補正の開始 /停止指示

絞り制御

絞りの駆動量指示

焦点距離・絞り値

図2:カメラボディとレンズ間での処理の流れ。 図3:TMPM342FYの採用により基板サイズの小型化・コストダウンにも貢献。

東芝マイクロエレクトロニクス株式会社アナログシステムLSI統括部

ミックスシグナルコントローラ応用技術部ミックスシグナルコントローラ応用技術第一担当

主務

有賀 弘 氏

東芝マイクロエレクトロニクス株式会社アナログシステムLSI統括部

ミックスシグナルコントローラ応用技術部ミックスシグナルコントローラ応用技術第一担当

担当部長グループマネージャー

徳山 均 氏

株式会社シグマ開発部 開発第2ユニット 第6課

藤繁 望 氏

※ 動作に必要な電源はパソコンから USB バスパワーで供給される