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中核的研究拠点研究(COE)育成 事後評価 「新情報処理パラダイムに基づく技術分 野:大域情報処理技術の研究」 研究総括責任者名:大蒔 和仁 研究期間:平成 8年 4月~平成18年 3月

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中核的研究拠点研究(COE)育成 事後評価

「新情報処理パラダイムに基づく技術分

野:大域情報処理技術の研究」

研究総括責任者名:大蒔 和仁

研究期間:平成 8年 4月~平成18年 3月

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野の研究

研究計画の概要 p.1

研究成果の概要 p.7

研究成果の詳細報告

1. グリッド技術に関する研究 p.21

2. グローバル情報技術に関する研究 p.29

3. システム検証技術に関する研究 p.36

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

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研究計画の概要

■ プログラム名

中核的研究拠点研究(COE)育成 (事後評価)

■ COE 化対象領域名

大域情報処理技術の研究

■ COE 育成機関名

通商産業省 工業技術院 電子技術総合研究所(H8.4.1~H13.3.31)

独立行政法人 産業技術総合研究所(H13.4.1~H18.3.31)

■ 研究総括責任者名(所属研究機関名・役職)

大蒔 和仁(独立行政法人 産業技術総合研究所・研究コーディネータ(情報通信・エレクトロニクス担当))

■ 研究期間及び研究総経費 (金額単位:百万円)

第Ⅰ期 研究期間:5年, 研究総経費:1,759百万円(調整費充当額分)

第Ⅱ期 研究期間:5年, 研究総経費: 194百万円(調整費充当額分)

■ 研究規模

第Ⅰ期 サブテーマ数:6(うち調整費充当領域分3), 個別課題数:6(うち調整費充当領域分3),

延べ研究者数:116

第Ⅱ期 サブテーマ数:6(うち調整費充当領域分3), 個別課題数:6(うち調整費充当領域分3),

延べ研究者数: 149

■ COE 化の趣旨

21 世紀には、コンピュータは単なる計算をする機械の概念をはるかに凌駕し、人の知性的、感性的情報処理を増強する

メディア機器として、あるいは、あらゆるシステム、あらゆる機器に内蔵される知的エンジンとして使用されるようになる。そし

て、それらすべてが有機的に結合され、全世界を覆うネットワークを形成する。その結果、あらゆる社会活動、産業活動がこ

の超分散システムに載る情報処理活動として推進されるようになるであろう。このような超巨大システムの片鱗がすでにイン

ターネットとして具現化されている。

しかしながら、それはあくまでも原型であり、多くの課題を抱えていると同時に多くの発展の可能性を秘めている。これら

の原型を発展させ、有効に機能するときに出現する「超情報化社会」とでも呼ぶべき未曾有の文明社会の基盤構造を作り

上げることが本研究の意義である。

本 COE 化設定領域に関わる技術を研究する目的は、超情報化社会の基盤構造となる超分散システムを健全に、破綻

なく高度化し、拡大し、定着させて行くことである。また、人間が 情報処理システムと向かい合う時に、情報処理機器の違

いや使用法やあるいは存在すらも意識させないようにすることも必要である。

そのため、世界中に分散して置かれる膨大な計算機資源を有効に利用するとともに、ハードウェア的にもソフトウェア的

にも継ぎ目がないように構成し、接続するための基礎技術を開発する。また、人間を超情報化社会とスムーズに向き合わせ

るために、人間と同程度のパターン認識能力を持つコンピュータの開発と知的エンジンとしてあらゆる機器に内蔵されるコ

ンピュータを協調させて働かせるための基礎技術の確立を目指す。また、これらの複雑なシステムを扱うための理論を確立

する。

これらの研究は、これまでの科学技術が対象としてきたものとは質・量ともに格段に複雑な対象を扱う必要があり、これま

でとは違った「新しい情報処理のための科学」の創出が必要不可欠である。この分野における研究の発展によって人間の

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

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知的活動に基づく文化や芸術の創造やさらなる科学技術の発展のために強力な手段を提供することのできる基盤技術が

確立する。

■ 研究計画の概要

巨大計算機ネットワーク社会では(1)「膨大な数の計算機」をネットワークで結合し、(2)「多様な計算機」を統一的に利用し、

(3)「多様なデータ」を効率的に共有・利用し、さらに(4)「多様な利用者」が容易に入手できるようにするための技術開発が必

要とされる。本 COE 化対象領域ではこれら(1)から(4)の項目に対応させてそれぞれ、(1)大域情報処理技術の研究、(2)複

雑系の研究(人工知能や脳情報処理技術)、(3)知的ヒューマンインタフェースの研究(パターン情報処理技術)、(4)遍在型

ロボット技術の研究(ユビキタスなロボット技術)と名づけて研究を推進している。このうち、調整費充当領域は(1)の大域情

報処理技術の研究である。

(1) 調整費充当領域

(a) 大域情報処理技術の研究

世界中に分散して置かれる膨大な計算機資源を、計算機ネットワークを用いて有効に利用するとともに、ハードウェア的

にもソフトウェア的にもつなぎ目がないように構成し接続するための基礎技術の確立を目指す。また、大域での情報処理

の方式についてシステムが正しく動作することを保証するための理論の確立を目指す。

ⅰ) ワールドワイドプログラミング:セキュリティを確保しつつ、膨大な量の情報とソフトウェアを有効に活用するためのソ

フトウェア技術を開発する。

ⅱ) インタラクティブ・アーキテクチャ:情報コンポーネントとしての計算処理のために、ハードウェアと通信ネットワークを

融合するためのミドルウェア技術を開発する。

ⅲ) 大域情報学:大域情報を効率的に処理するための方法として、大局的な情報処理から徐々に局所的な情報処理

へと進む多層的な情報処理の方式を開発する。

(2) 自己努力領域

(b) 知的ヒューマンインタフェース技術の研究

人間が情報処理システムを違和感なく利用できるようにするために、画像音声、自然言語などの多様な情報を統合的に

認識・理解するための技術、学習能力や自己組織化能力を具現化する技術、および、それらを実現するための理論基

盤の確立を目指す。

(c) 遍在型ロボット技術の研究

知的エンジンとしてあらゆる機器に内蔵されるコンピュータを協調させて人間の知的活動を支援できるようにするために、

センサやアクチュエータの機能をもち、自律的に外界を認識し、行動できるロボットの利用技術の開拓を目指す。

(d) 複雑系の研究

世界規模で複雑化するネットワーク上で全体として効率的な情報の共有と流通を可能にする技術、および、それらに共

通する複雑なシステムを統一的に扱うための理論の確立を目指す。特に人工知能の分野の研究成果の活用を行う。また、

脳情報処理の研究者との強い連携を図る。

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

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■ 実施体制

第Ⅰ期

研 究 項 目 担当機関等 研究担当者

(調整費充当領域分)

1. 大域情報処理技術の研究

(1) ワールドワイドプログラミングの研究

(2) インタラクティブ・アーキテクチャの研究

(3) 大域情報学の研究

(自己努力領域分)

2. 知的ヒューマンインタフェース技術の研究

3. 遍在型ロボット技術の研究

4. 複雑系の研究

工業技術院電子技術総合研究所

情報アーキテクチャ部

情報アーキテクチャ部

情報アーキテクチャ部

知能システム部

企画室長

情報アーキテクチャ部

知能システム部

情報科学部

知能情報部

情報科学部

知能情報部

知能システム部

知能システム部

企画室長

情報科学部

◎大蒔 和仁(部長)

○戸村 哲(総括主任研究官)

田代 秀一(主任研究官)

平野 聡(主任研究官)

一杉 裕志(主任研究官)

磯部 祥尚(主任研究官)

他 4 名

○関口 聡嗣(主任研究官)

児玉 祐悦(主任研究官)

松井 俊浩(主任研究官)

他 7 名

○中島 秀之(企画室長)

木下 佳樹(主任研究官)

國吉 康夫(主任研究官)

橋田 浩一(部長)

他 10 名

大津 展之(部長)

坂上 勝彦(主任研究官)

田中 和世(総括主任研究官)

元吉 文男(主任研究官)

(兼)橋田 浩一(部長)

速水 悟(主任研究官)

原 功(主任研究官)

他 28 名

平井 成興(部長)

末廣 尚士(総括主任研究官)

富田 文明(主任研究官)

他 28 名

(兼)中島 秀之(企画室長)

梅山 伸二(総括主任研究官)

他 14 名

◎ 代表者

○ サブテーマ責任者

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

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第Ⅱ期

研 究 項 目 担当機関等 研究担当者

(調整費充当領域分)

1. 大域情報処理技術の研究

(1) グリッド技術に関する研究

(2) グローバル情報技術に関する研究

(3) システム検証技術に関する研究

(自己努力領域分)

2. ユビキタス環境に関する研究

3. メディアインタラクションに関する研究

4. 情報基盤技術に関する研究

産業技術総合研究所

グリッド研究センター

情報技術研究部門

システム検証研究センター

情報技術研究部門

情報技術研究部門

情報技術研究部門

知能システム研究部門

脳神経情報研究部門

◎大蒔 和仁(研究コーディネータ(情

報通信・エレクトロニクス担当))

○関口 智嗣(研究センター長)

横川 三津夫(副研究センター長)

小島 功(主任研究員)

小川 宏高(研究員)

田中 良夫(主任研究員)

中田 秀基(主任研究員)

他 12 名

○戸村 哲(総括研究員)

平野 聡(主任研究員)

半田 剣一(主任研究員)

錦見 美貴子(主任研究員)

高橋 直人(主任研究員)

他 9 名

○木下 佳樹(研究センター長)

高橋 孝一(副研究センター長)

渡邊 宏(研究員)

古澤 仁(研究員)

他 6 名

橋田 浩一(副研究部門長)

車谷 浩一(研究グループ長)

和泉 憲明(主任研究員)

他 16 名

坂上 勝彦(研究部門長)

浅野 太(研究グループ長)

麻生 英樹(主任研究員)

他 15 名

元吉 文男(研究グループ長)

平井 成興(研究部門長)

栗田 多喜夫(副研究部門長)

他 66 名

◎ 代表者

○ サブテーマ責任者

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

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■ 機関評価委員会

氏 名 所 属

◎野口 正一

竹内 郁雄

米崎 直毅

後藤 滋樹

安浦 寛人

財団法人 仙台応用情報学研究振興財団 理事長・東北大学名誉教授

東京大学 情報理工学系研究科 創造情報学専攻 教授

東京工業大学 大学院情報理工学研究科 計算工学専攻 教授

早稲田大学 理工学部 情報学科 教授

九州大学 大学院 システム情報科学研究院 教授

◎ 機関評価委員長

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

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大域情報学

インタラクティブ ワールドワイド

プログラミング

大域情報処理技術

知的ヒューマンインタ

フェース技術 (知的パターン認識)

複雑系

(人工知能・脳情報

処理技術) 遍在型ロボット技術

(ユビキタスなロボット)

新情報処理パラダイムに

基づく技術分野

調整費充当領域

レスポンシブプロセッサリコンフィギュアラブル実験装置

広域分散ネットワーク環境 標準的なインターフェースをミドルウエアとして規定

ワールドワイドプログラミング

インタラクティブ・アーキテクチャ

大域情報学

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

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研究成果の概要

■ 総 括

平成13年度までは、ワールドワイドプログラミングの研究、インタラクティブ・アーキテクチャの研究、および大域情報学の

研究の 3 つのグループに分けて実施した。

ワールドワイドプログラミングの研究グループでは Mule, DeleGate、HORB など、現在インターネットの世界において使わ

れている数々の著名なソフトウェアをオープンソースソフトウェアとして生み出してきている。これらに加え、平成 13 年度は

MixJuice と名づけたソフトウェアの研究チームを強化した。MixJuice は Java をベースとし、モジュール機構を差分ベースモ

ジュールに入れ換えた言語である。また MixJuice の前身である EPP は Java プログラムの解析機構を有し、これを利用した

ソフトウェア複雑度解析システムが商用化されている。また、EPPやMixJuiceの応用として大規模なシステムのモジュールを

動的に検査の実行効率を改善する方法を提案した。

インタラクティブ・アーキテクチャの研究グループではハードウェア研究に加え、特に世界の標準活動が行われているグ

リッド(Grid)への貢献に対する充実を図った。この研究グループではこれまでネットワークワイドな RPC(遠隔呼び出し手続

き)技術を実装するミドルウェア Ninf を開発してきた。平成 13 年度は Ninf の研究成果を発展させ、グリッドにおけるセキュリ

ティおよび情報サービスの標準技術として普及している GSI(グリッド用セキュリティ基盤)および GIS(グリッド用情報サービ

ス)のプロトコルおよび API(プログラム用インターフェース)等に準拠したユーザ認証機構および情報サービス機能の実装

を行なった。これにより、ユーザ証明書に基づくユーザ単位での認証機構を備えた RPC(遠隔呼び出し手続き)システムが

実現されるとともに、他のグリッドソフトウェアとの相互利用性を強化することができた。

大域情報学の研究グループでは複雑性の情報処理について 3 つのアプローチの研究を遂行してきた。1)「全身行動実

験用ヒューマノイドロボット」の全関節部にトルクセンサを実装し、外力を精密に検出する機能を付加した。これによって、全

身行動の大域力学構造を検知し活用するための装置が完成した。2)「構造的意味論」については、モデル検査の技法を

並列ごみ集めに関する新アルゴリズム発見に適用し、いくつか新アルゴリズムを発見した。また、実用化研究として、企業と

共同で、非自動秤組み込みソフトウェアの正当性検証をモデル検査の技法を用いて行ない、仕様の不完全さを発見する

などの結果を得た。3)「サイバーアシスト」について、マルチエージェント的な計算アーキテクチャを意味構造化された情報

コンテンツと位置に基づく通信のための基本アーキテクチャとして用いることとした。

平成13年度以降は上記の中から、平成13年に実施した中間評価委員会の結論の基づき、次の 3 つに絞り、研究を実

施した。

1.グリッド技術に関する研究

前期のワールドワイドプログラミングおよびインタラクティブ・アーキテクチャの成果を発展させ、高速ネットワークに

接続された情報コンポーネントに対し、ユーザが求める必要なサービスをいつでも、どこからでも、誰にでも透過的

に提供する技術基盤の確立を目指す。

2.グローバル情報技術に関する研究

前期のワールドワイドプログラミングの成果を発展させ、個人の集団が情報技術を活用・発展させるための情報

技術の研究分野、研究方法論を実証的に実施する研究拠点を実現する。

3.システム検証技術に関する研究

前期の大域情報学の成果を発展させ、情報システムの動作検証を数理的モデルに基づいて検証する技術の開発を

行う。

以下、サブテーマごとの成果の概要を記す。

(1)グリッド技術

グリッド技術とはいつでも、どこからでも、誰にでも情報処理サービスを透過的に提供する技術基盤である。本課題では

科学技術計算に限定して遠隔地の計算機を高性能かつ安定にアクセスして処理を行わせるグリッド技術の確立を目指す。

これを実現するためのソフトウウェアとして Ninf-G の設計および研究開発を行った。Ninf-G は遠隔地の計算機を呼び出す

手法(Grid RPC) の国際的標準規格として認知された。Supercomputing 国際会議において研究成果を展示し国際的な研

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

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究協力による実験の実施や、COE として広く技術力をアピールした。これらの成果として米国 NSF が作成するソフトウェア

パッケージ NMI に非米国初のソフトウェアとして登録された(Release 8.0)。

また、遠隔地の計算機を高性能かつ安定にアクセスして処理を行わせる技術を実現するためのソフトウウェアとして

Ninf-Gの設計および研究開発を行い、Ninf-Gは遠隔地の計算機を呼び出す手法(Grid RPC) の国際的標準規格として認

知された。Supercomputing 国際会議において研究成果を展示し国際的な研究協力による実験の実施や、COE として広く

技術力をアピールした。これらの成果として米国 NSF が作成するソフトウェアパッケージ NMI に非米国初のソフトウェアとし

て登録された(Release 8.0)。

米国において、国外の研究機関が開発した初のソフトとして Ninf-G が採用されたことは、Ninf-G の成熟度と有用性が評

価されたことを示すものである。全米科学財団(NSF)が作成して大学や研究機関に無料配布しているソフトのパッケージに

組み込まれた。

(2)グローバル情報技術

グローバル情報技術の研究では、地球上のいろいろな人たちが、その言葉や文化や社会や習慣に適応した方法で情

報技術を活用でき、人類が使用する新しい社会基盤である情報技術がほかの社会基盤と同じように安心して利用できるこ

とを目指している。ソフトウェア研究の方法論としては、従来のソフトウェア研究手法に加えて、インターネットを活用し、オー

プンソースソフトウェアなどの方法によって、世界中の人々に幅広く利用してもらうことで、ソフトウェアの有用性などを実証

的に評価する手法を用いて研究および研究拠点の構築を推進した。

研究成果としては次の 6 つを挙げることができる。

・Linux/Unix 汎用多言語情報処理ライブラリ m17n-lib を開発した。 m17n-lib は、Linux/Unix において、ライブラリレ

ベルで多言語情報処理機能を提供するものであり、C ライブラリレベル、X ライブラリレベル、グラフィカルユーザ

ーインターフェースツールキットに対応している。web ページ(http://www.m17n.org/m17n-lib) に本ライブラリの普

及のためのページを公開し、ライブラリを公開している。

・オブジェクト指向言語 MixJuice を開発した。MixJuice は Java をベースとし、モジュール機構を差分ベースモジュールに入

れ換えた言語である。また MixJuice の前身である EPP は Java プログラムの解析機構を有し、これを利用したソフトウェア

複雑度解析システムが商用化されている。また、EPP や MixJuice の応用として大規模なシステムのモジュールを動的に

検査の実行効率を改善する方法を提案した。

・オープンソースソフトウェアを利用したコンピューティング環境のセキュリティレベルを向上させるために、RedHat Linux ベ

ースのコンピュータにインストールされているソフトウェアに関する情報をデータベースで管理し、セキュリティ対策のため

のコンピュータの状態把握とソフトウェアの更新処理を自動化するシステムを開発した。

・不正コピーを抑止する技術である電子透かしを利用した安全な配信システムの基礎となる ID 符号化法において、現時点

で最高レベルの実用性、安全性をもつ方式を開発した。

・ソフトウェアのソースやドキュメントだけではなく、バグレポートや開発者のコミュニケーションなどまで情報を統合して

提供するシステムの研究を行った。

・オープンソースソフトウェアを推進した。未踏ソフトウェア創造事業のプロジェクトマネージャとして大きな成果を挙げた。

NPO フリーソフトウェアイニシアティブを立ち上げた。産業技術総合研究所とフリーソフトウェアイニシアティブの共同主催

でフリーソフトウェアに関する国際シンポジウムを開催した。

(3)システム検証技術

情報処理システム開発・検証のための形式的技法を含む数理的技法は、近年情報処理システムの社会影響が増すに

つれて、認証が規制化される動きが出ており、産業を含む社会からの大きな関心を呼んでいる。本研究では組み込みシス

テムに特徴的な、リアクティブシステム検証のための論理を研究し、そこでの形式理論の精製に、本プロジェクト前半に行

われた精製法研究の成果を応用した。同時に、前半の代数的意味論研究のノウハウを活かして正則表現の代数表現であ

る Kleene 代数周辺の自由構成などについて研究した。さらに、これらの成果を含む数理的技法の研究成果普及の基盤を

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

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構築するため、モデル検査の技術者向け研修コースの研究開発を行った。これには十数回にわたるコース試行を含み、こ

の基盤を用いて、産総研が別途共同研究を行っている企業が数理的技法を自社開発手法の一部として取り入れる経営判

断をくだすまでにいたった。

具体的な成果は次のとおりである。

理論研究については、一階様相μ計算に関しては、数理論理学における構文と構造(モデル)の概念に基づいて直接

的な方法で健全性を示した。また、Dekker の算法やデッドロック発生に関する Koffman 条件に関する検証事例を与え、こ

の体系の有用性を示した。Kleene 代数に関しては、Kleene 代数およびテスト付 Kleene 代数の構造を有限極限スケッチで

記述し、「有限極限スケッチで表現できる構造は、必ず自由代数を持つ」という圏論におけるよく知られた定理を用いてこれ

らの(準)代数構造が自由代数を持つことを一般的な形で初めて示した。また、テスト付 Kleene 代数については、自由代数

の構成を、組み合わせ論的にも示した。

システム検証技術の研修コース研究開発では、モデル検査初級コース教材および対話型検証初級コースに関して、CD

からブート可能な Linux 上に研修に必要なソフトウェア(SMV, Spin, Agda など)を搭載したものを開発し、それらのソフトウェ

アを用いた実行例をつけた研修生用教科書および講師用手引書を執筆し、これらをひとつの研修コース教材としてノウハ

ウ登録した。また、受講者を一般から公募して、試験的な研修コース開催を十数回にわたって行い、この過程で研修コース

の修正を行うほか、講師の養成を合わせて行った。

システム開発実験に関しては、別途システム検証研究センターで行われた企業との個別の共同研究の成果の一部を体

系化し、一般のシステムに適用可能な総合的検証手法にまとめて環境ドライバ法と名づけた。これはモデル検査の分野で

reduction by cone of influence と呼ばれる手法と関連していると思われ、さらに解析を続けている。

■ COE化の目標 (課題採択時に決定した目標を簡潔に箇条書きで記入してください)

① 億のオーダー計算機が接続されるネットワーク社会において、特定のコンピュータへの負担が集中することなく、信

頼性の高い運用ができるソフトウェア並びにハードウェアを構築する。

② 米国に遅れているというわれている基本ソフトウェア技術についても、わが国でも十分に対抗できる技術水準に上げ、

基本ソフトウェアに関する中核的研究拠点として優れた多くの研究者を結集することを可能とし、活発に成果を発信

できる組織とする

③ 個々の利用者が特定の知識がないままに利用でき、操作性が高く、人間にとって違和感のない入・出力の技術を確

立する。

■ 目標に対する結果 (前記目標に対比させてその結果を箇条書きで記入してください)

① グリッド技術に関して、グリッド研究センターを設立し内外に対して研究拠点としての地位を確立している。また、信頼

性の高いソフトウェア作成について、特に数学的手法を用いたシステム検証技術について、システム検証研究セン

ターを設立し我が国有数の研究拠点を形成している。

② Mule, DeleGate、HORB など、現在インターネットの世界において使われている数々の著名なソフトウェアをオープン

ソースソフトウェアとして生み出してきている。これらに加えて Linux を中心とする研究拠点ともなっている。

③ 人間にとって違和感のない入出力技術に関して、通商産業省(当時)のリアルワールドコンピューティングのプロジェ

クトの支援も得て、音声・画像の統合システムを構築した。この成果を産総研秋葉原拠点の情報技術研究部門にお

いて秋葉原ソフトウェアショーケースとして公開している。

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

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3. 研究マネジメントの実績

■ 優秀な人材の確保・育成について

若手グループリーダーやポスドクなど若手研究員を積極的に採用し、また任期付採用を経た者をパーマネント採用に

することを基本とするなど、優秀な人材の育成・確保につとめた。また採用に当たっては国籍・性別などを無視して採用

を行うなど国内外研究者を有機的に組織してCOE化を推進した。

■ 優れた研究基盤の整備について

主に情報処理関係として、平成16年に9階建ての情報技術共同研究棟を建築し、グリッド研究用のクラスタコンピュー

タを設置した。さらに平成17年4月には秋葉原のダイビルに研究拠点を構えるなどCOE化設定領域に対して設備、施

設、研究スペースを適切に設置し、基盤の充実に取り組んでいる。

■ 開放性と流動性の確保について

グリッドについてはサンディエゴに分室を設け、また、ロボットのグループはフランス CNRS とのジョイントラボを設けるな

ど、国外研究施設への研究者の派遣・受け入れ等、研究交流を積極的に行っている。また、グリッドについてはグローバ

ルグリッドフォーラム(GGF)での年数回の標準化活動および SC|05 などの著名な国際会議での発表出展などを行ってい

る。ソフトウェアについては Open Software Group などの国際団体への成果の発信を行っている。システム検証技術につ

いても大阪千里に新拠点を作り人的交流を図っている。このように各グループとも、シンポジウムや研究会等を開催し研

究者交流を行うことにより、より解放性と流動性を持った研究機関に変貌したという成果を得ている。

■ 研究評価機能の充実について

平成13年度に外部評価委員会を設置した。特に独法化後は大幅な組織改革により研究グループ毎に毎年外部評価

を受け、その結果を予算や人材配置に反映させている。また評価も研究ユニットの性格により独自性を出せるような工夫

なされている。例えばグリッドについては 2005 年シアトルで行われた SC|05 に外部評価委員におこし頂き評価を得る、と

いうことを行った。これも独立行政法人になったゆえに行うことができた画期的な手法といえる。

■ 研究運営の弾力化について

COE プログラムによって初めて旧電総研において非常勤研究員の雇用が可能になった。また COE プログラムが初め

て十分かつ柔軟に運用できる旅費を提供し、そのおかげで度々国内研究集会を開催し、また一ヶ月単位で海外から有

力研究者を招聘することが可能になって、研究分野(研究グループ)の開拓ができた。

さらに COE では旧来の研究室組織を超えたグループ構成をとることを幸いにも余儀なくされた。独法化後もこの経験

をもとに、組織の大幅な再編を自由に行うことができるように制度改革をおこない、研究運営の弾力化が図られるようにな

った。

■ 研究成果の発信について

特に当該COE充当領域については通常のアカデミックな学会での成果発表はもちろん積極的に行っている。しかし

それのみでなく、上記ウ)で述べたようにグリッドやオープンソースの分野では広義の標準化活動が極めて重要であると

考え着実にそのような活動を行っている。またシステム検証技術については法定計量に関する活動を行っており、特に

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

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計量器に組み込まれているソフトウェアについて輸出入に関する規制に使われる可能性も大きい。

4. 調整費によるCOE化の意義・効果について

COEの平成8年のスタート時には、インターネットで使われるソフトウェア技術開発に関するグループ(ワールドワイドプロ

グラミング)、ハードウェア開発を含む分散コンピューティング技術開発に関するグループ(インタラクティブ・アーキテクチ

ャ)、および分散計算に関する理論的研究に関するグループ(大域情報学)という3つのグループに対して調整費を充当し

た。

ワールドワイドプログラミングのグループは現在情報技術研究部門としてメディアを含む研究部門として拡大している。こ

のグループで作成されているオープンソースソフトウェアは例えば米国の Free Software Foundation という団体から公式に

認知され世界に広く利用されている。

インタラクティブアークテクチャのグループは現在グリッド研究センターとなっている。この研究センターはグリッド技術の

アジアの拠点として広く知られるようになり、センター長はグローバルグリッドフォーラムという標準化組織の副議長を務めて

おり、ヘテロなコンピュータネットワークのミドルウェア作成に対して世界をリードしているといえる。

さらに大域情報学のグループは現在システム検証研究センターとなっている。この種の研究グループとしては我が国で

は最大級のものであると考えられる。特に近年組み込み系に載せるソフトウェアの検証技術の確立が、貿易における非関

税障壁として特にヨーロッパからの圧力があるなか、このグループの重要性が増している。

また、COEの平成8年のスタート時には充当領域のほかに、COE化対象領域として、ロボット、メディア、人工知能に関

する領域を設定した。

ロボットは現在知能システム研究部門でヒューマノイドロボットの研究ではフランスの CNRS とのジョイントラボを置くなど、

世界のヒューマノイド研究の拠点となっている。メディアのグループはおもに RWC(新情報処理)のプロジェクトから予算を

得ていたが、人工知能のグループおよびCOEの充当領域であるソフトウェア開発のグループと一緒にし、情報技術研究部

門としてあらたに発足させ、融合させることを企図して研究を遂行している。また人工知能のグループの一部はバイオとの

融合を企図して、脳神経情報研究部門となり、これもあらたなグループとして発展させている。

このようにCOE調整費充当研究はいずれも大きなグループとして産業技術総合研究所の情報研究の「顔」として成長し

ている。

5. 6年目評価の反映 (6年目評価で受けた指摘があればその内容と対応を記入してください)

本研究テーマの大きな目的は、世界中に分散して置かれる膨大な計算機資源を、ⅰ)計算機ネットワークを用いて有効

に利用するとともに、ⅱ)ハードウェア的にもソフトウェア的にもつなぎ目がないように構成し、接続するための基礎技術の確

立を目指す。ⅲ)また、大域での情報処理の方式についてシステムが正しく動作することを保証するための理論の確立を

目指す、ということである。

平成8年度から12年度までは調整費充当領域は、ワールドワイドプログラミングの研究、インタラクティブ・アーキテクチャの

研究、および大域情報学の研究の3つのグループに分けて実施してきたが、上記「2.研究成果の概要」の「総括」でも記し

たように、平成13年度の中間評価委員会にて、前期までより研究テーマを絞りこむように、との指摘がなされた。

それを踏まえ、上記ⅰ)~ⅲ)の目的のためにそれぞれに対応して、グリッド技術、グローバル情報技術、システム検証技術、

の3つに絞り研究を実施してきた。

また 6 年目評価時において,TLOを通じた成果の技術移転,リエゾンを通じた産業界のニーズ把握の必要性が指摘さ

れた。独立行政法人への移行と時期を同じにして後期が開始されたので、研究所全体としてTLOの再編(外部から専門家

を数名以上採用)し,強化した。COE の研究領域に関して言えば、企業との契約書作成にはこの組織が非常に強力にサ

ポートしている。一方産業界のニーズの把握については特に IT の分野は日進月歩の領域であり、TLO が必ずしも最新技

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

12

術に長けているとは限らず、むしろ現場の研究チームリーダの価値観の方が重要な働きをしているのが現状であると考え

る。

6. 今後の発展方向、改善点等

10 年間の COE プログラムによって、グリッドの拠点、基盤ソフトウェアの拠点、およびシステム検証技術の拠点の形成が

できたと自負している。さらに調整費充当領域以外の自己努力の部分では特にロボットに関するグループおよびパターン

認識に関する研究グループが顕著な成果を上げてあげている。

今後さらに発展させなければならないのは、情報セキュリティの分野、人間福祉に関する分野、さらにはデバイスなどハ

ードウェアも込みにした情報システムの総合的分野、あるいは地質情報など国土の安全と情報技術の融合的分野である。

これまでのような、特定の研究分野への研究投資というよりもむしろ、総合的・分野横断的なプログラム構築が必要である

と考えられる。今後の情報技術関連の研究予算もこのような指向での仕組みづくりが必要とされると考える。

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

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7. 所要経費

第Ⅰ期

所要経費

研 究 項 目 担当部署等 研 究

担当者 H8

年度

H9

年度

H10

年度

H11

年度

H12

年度 合計

(調整費充当領域分)

1. 大域情報処理技術の研究

(1) ワールドワイドプログラミング

の研究

(2) インタラクティブ・アーキテク

チャの研究

(3) 大域情報学の研究

(自己努力領域分)

2. 知的ヒューマンインタフェ

ース技術の研究

3. 遍在型ロボット技術の研究

4. 複雑系の研究

工業技術院 電子技術

総合研究所

情報アーキテクチャ部

情報アーキテクチャ部

情報科学部

情報アーキテクチャ部

知能システム部

知能情報部

情報科学部

知能情報部

知能システム部

知能システム部

情報科学部

大蒔 和仁

戸村 哲

関口 聡嗣

中島 秀之

大津 展之

平井 成興

中島 秀之

(兼)

125

176

122

312

243

69

196

114

176

568

442

126

181

135

198

709

551

158

141

144

167

501

390

111

137

141

199

591

460

131

780

710

862

2,681

2,086

595

所 要 経 費 (合 計) 1,047 1,622 1,932 1,454 1,659 7,714

うち調整費充当額

(合 計) 353 360 359 341 346 1,759

(単位:百万円)

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

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第Ⅱ期

所要経費

研 究 項 目 担当部署等 研 究

担当者

H13

H14

H15

H16

H17

合計

(調整費充当領域分)

1. 大域情報処理技術の研究

(1) グリッド技術に関する研究

(2) グローバル情報技術に関

する研究

(3) システム検証技術に関す

る研究

産業技術総合研究所

グリッド研究センター

情報技術研究部門

システム検証研究セン

ター

大蒔 和仁

関口 智嗣

戸村 哲

木下 佳樹

279

142

52

541

133

59

469

125

174

415

194

256

352

195

137

2,056

789

678

所 要 経 費 (合 計) 473 733 768 865 684 3,523

うち調整費充当額

(合 計) 40 38 38 38 40 194

(単位:百万円)

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

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8. 使用区分

第Ⅰ期 (調整費充当分のみ記入してください)

サブテーマ1 サブテーマ2 サブテーマ3 計

設備備品費※ 110 180 61 355

試作品費 8 42 191 241

消耗品費 31 51 40 122

人件費 29 22 81 132

その他 405 218 286 909

計 583 513 663 1,759

(単位:百万円)

※設備備品費の内訳 (購入金額 5 百万円以上の高額な設備備品の購入状況を記入してください)

(装置名:購入期日,購入金額,購入テーマの順)

① 高速グラフィクス装置:1996 年 11 月,5 百万円,サブテーマ3

② 高速中継システム開発用ワークステーション:1996 年 12 月,4 百万円,サブテーマ1

③ 広域ネットワークルータ:1996 年 12 月,5 百万円,サブテーマ1

④ ワークステーション:1996 年 12 月,5 百万円,サブテーマ1

⑤ 論理回路エミュレーション装置:1996 年 12 月,82 百万円,サブテーマ2

⑥ 高速数値制御情報ライブラリサーバ装置:97 年 10 月,47 百万円,サブテーマ1

⑦ ゲート拡張装置:97 年 12 月,42 百万円,サブテーマ2

⑧ SMP クラスタ装置:98 年 9 月,11 百万円,サブテーマ1

⑨ 並列アーキテクチャ用基板:98 年 10 月,8 百万円,サブテーマ2

⑩ Ninf サービス負荷分散装置:2000 年 9 月,12 百万円,サブテーマ2

⑪ リコンフィギュアラブル実験装置:2000 年 9 月,12 百万円,サブテーマ2

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

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第Ⅱ期 (調整費分のみ記入してください)

サブテーマ1 サブテーマ2 サブテーマ3 計

設備備品費※ 0 0 0 0

試作品費 0 0 0 0

消耗品費 0 0 0 0

人件費 24 14 40 78

その他 34 47 35 116

計 58 61 75 194

(単位:百万円)

※設備備品費の内訳 (購入金額 5 百万円以上の高額な設備備品の購入状況を記入してください)

(装置名:購入期日,購入金額,購入テーマの順)

該当なし

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

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9. 研究成果の発表状況

■ 研究発表件数

(調整費充当領域分)

原著論文による発表

(査読付き) 左記以外の誌上発表 口頭発表 合 計

国 内 第Ⅰ期 82 件

第Ⅱ期 16 件

第Ⅰ期 55 件

第Ⅱ期 13 件

第Ⅰ期 207 件

第Ⅱ期 72 件

第Ⅰ期 344 件

第Ⅱ期 101 件

海 外 第Ⅰ期 65 件

第Ⅱ期 28 件

第Ⅰ期 4 件

第Ⅱ期 5 件

第Ⅰ期 78 件

第Ⅱ期 36 件

第Ⅰ期 147 件

第Ⅱ期 69 件

合 計 第Ⅰ期 147 件

第Ⅱ期 44 件

第Ⅰ期 59 件

第Ⅱ期 18 件

第Ⅰ期 285 件

第Ⅱ期 108 件

第Ⅰ期 491 件

第Ⅱ期 170 件

(自己努力領域分)

原著論文による発表

(査読付き) 左記以外の誌上発表 口頭発表 合 計

国 内 第Ⅰ期 190 件

第Ⅱ期 135 件

第Ⅰ期 112 件

第Ⅱ期 414 件

第Ⅰ期 530 件

第Ⅱ期 1,098 件

第Ⅰ期 832 件

第Ⅱ期 1,647 件

海 外 第Ⅰ期 288 件

第Ⅱ期 277 件

第Ⅰ期 7 件

第Ⅱ期 563 件

第Ⅰ期 228 件

第Ⅱ期 612 件

第Ⅰ期 523 件

第Ⅱ期 1,452 件

合 計 第Ⅰ期 478 件

第Ⅱ期 412 件

第Ⅰ期 119 件

第Ⅱ期 977 件

第Ⅰ期 758 件

第Ⅱ期 1,710 件

第Ⅰ期 1,355 件

第Ⅱ期 3,099 件

■ 特許等出願件数

(調整費充当領域分)

第Ⅰ期 5 件 (うち国内 3 件、国外 2 件)

第Ⅱ期 1 件 (うち国内該当なし、国外 1 件)

合 計 6 件 (うち国内 3 件、国外 3 件)

(自己努力領域分)

第Ⅰ期 47 件 (うち国内 43 件、国外 4 件)

第Ⅱ期 258 件 (うち国内 182 件、国外 76 件)

合 計 305 件 (うち国内 225 件、国外 80 件)

■ 受賞等

(調整費充当領域分)

第Ⅰ期 12 件 (うち国内 11 件、国外 1 件)

1) 野田 五十樹:「(社)人工知能学会 RoboCup ジャパンオープン 99JSAI 優秀賞」,1999.5.3

2) 本村 陽一,松井 俊浩,麻生 英樹,浅野 太,原 功:「社団法人 人工知能学会研究奨励賞」,1999.6.16

3) 田中 良夫,佐藤 三久,中田 秀基,関口 智嗣:「インターネットコンファレンス論文賞」,1999.12.16

4) 磯部 祥尚:「電子情報通信学会 第 12 回 回路とシステム(軽井沢)ワークショップ奨励賞」,2000.4.24

その他 8 件

第Ⅱ期 2 件 (うち国内 2 件、国外該当なし)

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

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1) 中村 章人:「情報処理学会第 65 回全国大会大会優秀賞」,2004.3.9

2) 谷村 勇輔,池上 努,中田 秀基,田中 良夫,関口 智嗣:「2005 年ハイパフォーマンスコンピューティングと計算

科学シンポジウム 最優秀論文賞」,2005.1.19

(自己努力領域分)

第Ⅰ期 29 件 (うち国内 26 件、国外 3 件)

1) 田中 久美子,松原 仁,野田 五十樹,中島 秀之,橋田 浩一:「RoboCup Federation RoboCup-98

Scientific(challenge)award」,1998. 7. 8

2) 栗田多喜夫,大津 展之:「IARP MVA 組織委員会 Most Influential Paper of the Decade Award」,1998.11.18

3) 坂上 勝彦:「人工知能学会ベストプレゼンテーション賞」,1999.12.17

その他 26 件

第Ⅱ期 78 件 (うち国内 69 件、国外 9 件)

1) 車谷 浩一,幸島 明男,和泉 憲明,松尾 豊,平塚 誠良:「Best Application(2ndPlace) Agentcities Agent

Technology Competition & Exhibition2003」,2003.2.6

2) 平野 聡,早川 豊(日立超 LSI システムズ):「日本経団連会長賞」,2003.6.8

3) 音田 弘,北垣 高成,末廣 尚士:「 IROS Cyberbotics 賞(ファイナリスト)」,2005.8.3

その他 75 件

■ 主な原著論文による発表 (査読制度のある雑誌の投稿論文に限る)

(調整費充当領域分)

国内誌(国内英文誌を含む)

1) 磯部 祥尚,佐藤 豊,大蒔 和仁:「グレイド付き空間プロセス代数による近似解析」,コンピュータソフトウェア,

Vol.14,Np.2,pp.4-12(1997)

2) Virach Sornlertlamvanich(NECTEC),高橋 直人,井佐原 均(通信総合研究所):「Building a Thai part-of-speech

tagged corpus (ORCHID)」,The Journal of the Acoustical Society of Japan (日本音響学会英文論文誌),Vol.20 No.3

(1999)

3) 小池 汎平,山名 早人,山口 喜教(筑波大):「逐次プログラムの投機並列実行を行なう中間コードインタプリタの

構成法 Design of Automatic Parallelizing Intermediate Code Interpreter」,情報処理学会論文誌:プログラミング,

Vol.40 No.SIG10(PRO2)(1999)

4) 松井 俊浩,麻生 英樹,John Fry(CLSI, Stanford University),浅野 太,本村 陽一,原 功,栗田 多喜夫,速

水 悟,山崎 信行(慶応大学):「オフィス移動ロボット Jijo-2 の音声対話システム」,日本ロボット学会誌,Vol.18

No.2 pp.300-307(2000)

5) 中田 秀基,竹房あつ子(お茶大),松岡 聡(東工大),佐藤 三久(RWCP),関口 智嗣:「グローバルコンピュー

ティングのためのスケジューリングフレームワーク A Scheduling Framework for Global Computing」,情報処理学会論

文誌,Vol.41 No.5 pp.1617-1627(2000)

6) 宮腰 清一,多賀 厳太郎(東京大学),國吉 康夫,長久保 晶彦:「神経振動子を用いた三次元2足足踏みシミュ

レーション -ヒューマノイドの実世界内行動を目指して-Three Dimensional Bipedal Stepping Motion using Neural

Oscillators -Towards Humanoid Motion in the Real World-」,日本ロボット学会誌 Journal of the Robotics Society

of Japan,Vol.18 No.1 pp.87-93(2000)

7) 車谷 浩一:「蟻コロニーにおける協調採餌行動のマクロモデルの生成(1)~単純モデルにおけるシミュレーションと

モデル生成~Macro-Model Generation for Emergent Cooperative Behaviors in Ant Colony's Foraging(1)~A Simple

Model Case~」,人工知能学会誌,Vol.15 No.5 pp.829-836(2000)

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

19

8) 武宮 博,首藤 一幸,田中 良夫,関口 智嗣:「Grid 環境における気象予報シミュレーションシステムの構築」,情報

処理学会論文誌 コンピューティングシステム,44,SIG 11 (ACS 3),23-33,(2003)

9) 谷村 勇輔,池上 努,中田 秀基,田中 良夫,関口 智嗣:「耐障害性を考慮した Ninf-G アプリケーションの実装と評

価」,情報処理学会論文誌,46,SIG7,pp.18-27,(2005)

海外誌

1) Sarmenta LFG(MIT),平野 聡:「Bayanihan: building and studying web-based volunteer computing systems using

Java」,FUTURE GENERATION COMPUTER SYSTEMS (FGCS),15: (5-6) pp.675-686 OCT 1999(1999)

2) 山口 喜教(筑波大),児玉 祐悦,山名 早人:「Latency tolerance in parallel and distributed computers」,Proc. of

the Second AEARU Workshop on Web Technology,pp.20-27(1999)

3) 中島 秀之:「AI as complex information processing」,Mind and Machines,Vol.9 No.1 pp.57-80(1999)

4) 木下 佳樹, John Power(University of Edinburgh):「Data refinement and algebraic structure」,Acta Informatica,

Volume 36 Issue 9/10 (2000) pp.693-719(2000)

5) 角川 裕次, 錦見 美貴子, 高橋 直人, 戸村 哲, 半田 剣一:「A general purpose font module for multilingual

application programs.」, SOFTWARE-PRACTICE & EXPERIENCE, Vol. 31, No. 15, pp.1487-1508, (2001)

6) 渡邊 創, 北川 隆: 「A Random-Error-Resilient Collusion-Secure Fingerprinting Code, Randomized c-Secure

CRT Code」, ICICE Transactions on Fundamentals of Electronics Communications and Computer Sciences,

E86-A(10),pp. 2589-2595, (2003)

7) 田中 良夫,武宮 博,中田 秀基,関口 智嗣:「Design, Implementation and Performance Evaluation of GridRPC

Programming Middleware for a Large-scale Computational Grid」,Fifth IEEE/ACM International Workshop on Grid

Computing,pp.298-305,(2004)

(自己努力領域分)

国内誌(国内英文誌を含む)

1) 北垣 高成, 末廣 尚士,小笠原 司,劉 雲輝(香港中文大学)「並列処理型センサベーストマニピュレーションシ

ステム: 匠」,日本ロボット学会誌,15 巻, 3 号, pp.363-372,(1997)

2) 王 彩華,坂上 勝彦:「モーションステレオによる3次元物体形状の獲得」,電子情報通信学会論文誌 D-II,

Vol.J81-D-II, No.8, pp.1885-1894(1998)

3) 岩田 昌也,梶谷 勇(筑波大学大学院工学研究科),村川 正宏(東京大学大学院工学系研究科),平尾 友二

(徳島大学大学院工学研究科),伊庭 斉志(東京大学大学院工学系研究科),樋口 哲也:「進化するハードウェア

を用いたパターン認識システム」,電子情報通信学会論文誌,Vol. J81-D-II, No.10, pp.2411-2420(1998)

4) 坂根 広史,児玉 祐悦,建部 修見,小池 汎平,山名 早人,山口 喜教(筑波大),弓場 敏嗣(電通大):「ウェ

ーブフロント型並列処理における分散メモリ型並列計算機の通信機構の評価」,情報処理学会論文誌,

Vol.40,No.5,pp.2281-2292(1999)

5) 西村 拓一,十河 卓司,小木 しのぶ,岡 隆一,石黒 浩(客員研究員):「動き変化に基づく View-based Aspect

Model による動作認識」,IEICE TRANSACTIONS ON INFORMATION AND SYSTEMS,Vol.J84-D-II No.10,

pp.2212-2223(2001)

6) 興梠 正克,蔵田 武志,坂上 勝彦,村岡 洋一(早稲田大学理工学部):「パノラマ画像群を位置合せに用いたライ

ブ映像上への注釈提示とその実時間システム」,電子情報通信学会論文誌(D-II),Vol.J84-D-II No.10,

pp.2293-2301(2001)

7) 植芝 俊夫,富田 文明:「平面パターンを用いた複数カメラシステムのキャリブレーション」,情報処理学会論文誌:コ

ンピュータビジョンとイメージメディア,Vol.44 No.SIG 17(CVIM 8),pp.89-99(2003)

8) 浜中 雅俊(客員研究員),後藤 真孝,麻生 英樹,大津 展之:「Guitarist Simulator:演奏者の振舞いを統計的に

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

20

学習するジャムセッションシステム」,情報処理学会論文誌,Vol.45 No.3,pp.698-709(2004)

9) 金広 文男,金子 健二,藤原 清司,原田 研介,梶田 秀司,横井 一仁,比留川 博久,赤地一彦(川田工業

(株)),五十棲 隆勝(共同研究):「ヒューマノイドの転倒回復機能の実現」,日本ロボット学会誌,Vol.22 No.1,

pp.37-45(2004)

10) 須崎 有康,飯島 賢吾,八木 豊志樹,北川健司(アルファシステムズ),田代秀一(情報処理推進機構):「ネットワ

ークに対応した分割圧縮ループバックデバイス HTTP-FUSE-CLOOP とそれから起動す Linux Internet Conference

2005(2005)

海外誌

1) 須崎 有康:「Implementation of the combination of time sharing and space sharing on AP/Linux」,David Walsh(オ

ーストラリア国立大学),Lecture Notes in Compuer Science,p.1459(1998)

2) 西田 佳史,堀 俊夫,末廣 尚士,平井 成興:「Monitoring of Breath Sound under Daily Environment by Ceiling

Dome Microphone」,Proc. of 2000 IEEE International Conference on Systems, Ma & Cybernetics,

pp1822-1829(2000)

3) 樋口 哲也,Yong Liu,,Xin Yao:「Evolutionary Ensembles with Negative Correlation Learning」,IEEE Transactions

on Evolutionary Computation,vol.4 no.4 pp.380-387(2000)

4) 和泉 潔:「Phase Transition in a Foreign Exchange Market: Analysis Based on an Artificial Market Approach」,IEEE

TRANSACTIONS ON EVOLUTIONARY COMPUTATION,Vol.5 No.5,pp.456-470(2001)

5) 麻生 英樹,本村 陽一,浅野 太,原 功,速水 悟,伊藤 克亘,栗田 多喜夫,松井 俊浩,Nikos Vlassis(Univ. of

Amsterdam),Ronald Bunschoten(Univ. of Amsterdam),Ben Kroese(Univ. of Amsterdam):「Jijo-2: An Office

Robot that Communicates and Learns」,IEEE INTELLIGENT SYSTEMS,Vol.16 No.5,pp.46-55(2001)

6) Chong Nak-Young(外国人客員研究員),神徳 徹雄,大場 光太郎,佐々木久幸(NHK 秋田),小森谷 清,谷江

和雄:「Multioperator Teleoperation of Multirobot Systems with Time Delay: Part II- Testbed Description」,

PRESENCE:TELEOPERATORS AND VIRTUAL ENVIRONMENTS,Vol.11 No.3,pp.292-303(2002)

7) 角 保志,河井 良浩,吉見 隆,富田 文明:「3D Object Recognition in Cluttered Environments by Segment-based

Stereo Vision」,INTERNATIONAL JOURNAL OF COMPUTER VISION,Vol.46 No.1,pp.5-23(2002)

8) 尹 祐根,御所園 敏彦(東芝),川辺 洋,木南 匡敬(新日鉄ソリューション),妻木 勇一(弘前大学),内山 勝(東

北大学大学院工学研究科),小田 光茂(宇宙開発事業団),土井 利次(東芝):「Model-Based Teleoperation of a

Space Robot on ETS-VII Using a Haptic Interface」,IEEE TRANSACTIONS ON ROBOTICS AND AUTOMATION,

Vol.20 No.3,pp.602-612(2004)

9) 横井 一仁|,金広 文男,金子 健二,梶田 秀司,藤原 清司,比留川 博久:「Experimental Study of Humanoid

Robot HRP-1S」,INTERNATIONAL JOURNAL OF ROBOTICS RESEARCH,Vol.23 4 月 5 日号,pp.351-362

(2004)

10) 幸島 明男,和泉 憲明,車谷 浩一:「Agents that Coordinate Web Servies in Ubiquitous Computing」,LECTURE

NOTES IN COMPUTER SCIENCE,Vol.3598,pp.131-145(2005)

■ 情報発信(一般向けのセミナー、Web 公開等)

1) Web 公開:「リナックスソフトの多言語化をオープンソースで実現」

(http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2004/pr20040219/pr20040219.html),2004.2.19

2) Ninf-G Workshop 2006, 2006.1.18 http://ninf.apgrid.org/event/ninfg06/index.html

3) イベント(主催)「AIST/CVS ワークショップ-AIST/CVS Workshop on shapeanalysis and program analysis」,関西センタ

ー千里サイト システム検証研究センター,2006.4.7

その他 22 件

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

研究成果の詳細報告

21

1. グリッド技術に関する研究

独立行政法人産業技術総合研究所グリッド研究センター

関口 智嗣、横川 三津夫、小島 功、小川 宏高、田中 良夫、中田 秀基、首藤 一幸、工藤 知宏、児玉 祐悦、

松田 元彦、建部 修見、伊藤 智、山本 直孝、池上 努、谷村 勇輔、竹房 あつ子、Bagarinao Epifanio Jr.

■ 要 旨 (研究内容及び研究成果の要約を記入してください)

グリッド技術とはいつでも、どこからでも、誰にでも情報処理サービスを透過的に提供する技術基盤である。本課題では

科学技術計算に限定して遠隔地の計算機を高性能かつ安定にアクセスして処理を行わせるグリッド技術の確立を目指す。

これを実現するためのソフトウウェアとして Ninf-G の設計および研究開発を行った。Ninf-G は遠隔地の計算機を呼び出す

手法(Grid RPC) の国際的標準規格として認知された。Supercomputing 国際会議において研究成果を展示し国際的な研

究協力による実験の実施や、COE として広く技術力をアピールした。これらの成果として米国 NSF が作成するソフトウェア

パッケージ NMI に非米国初のソフトウェアとして登録された(Release 8.0)。

■ 目 的 (研究を実施した目的を記入してください)

大域情報処理技術においては地球規模に地理的に分散配置された計算機を統合して仮想的に創出された単独装置

による情報処理を実現する技術である。この中でグリッド技術とはいつでも、どこからでも、誰にでも情報処理サービスを透

過的に提供する技術基盤である。本課題では科学技術計算に限定して遠隔地の計算機を高性能かつ安定にアクセスして

処理を行うグリッド技術の確立を目指す。ソフトウェアの研究開発と実証実験による有効性の確認、さらにソフトウェアの国

際的普及を通じてグリッド技術における中核的研究機関であることを示す。

■ 目 標 (課題採択時に決定した研究目標を簡潔に箇条書きで記入してください)

① 広域に多数の計算機が接続された環境(グリッド)での大規模計算処理を簡単に実現するソフトウェア Ninf-G を開発

し、その呼出手続きを GridRPC という名称で国際的標準化の手続きを踏み広く利用されることを目指す。

② GridRPC のクライアントライブラリ群を開発し、ユーザのプラットフォームに応じて遠隔実行を可能とする技術を確立

する。

■ 目標に対する結果 (前記目標に対比させて簡素に箇条書きで記入してください)

① ネットワーク透過な標準的なインターフェースとして遠隔地のPCやワークステーションから特定の計算サービスを呼

び出す RPC 技術に基づいたミドルウェア Ninf を開発した。Ninf はネットワークに接続される PC やワークステーショ

ンの CPU や OS の違い等を意識しなくても、ユーザが必要なサービスの提供を受けられる。ユーザの認証機能の付

与、ならびに複数のコンピュータに対応するよう高度化を行った。さらに、その次世代システムである Ninf-G を開発し

た。Ninf-G は Ninf に対してセキュリティや情報サービスなど様々な要素技術においてグリッドの標準技術を導入した

システムである。

② GridRPC に基づいて、気象予報を行なう既存の逐次プログラムをグリッド上で動作するように対応を行い気象予報

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

研究成果の詳細報告

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グリッドポータルを開発した。既存プログラムの Ninf-G 対応は極めて容易であり少ない労力でグリッドポータルを構

築できた。これにより、GridRPC の有効性のひとつを示すことができた。また、香港大学や米国 TeraGrid に導入して

予備的実験を行い、遠隔実行が可能であることを実証した。

■ 研究方法 (試験研究の実験手法等を記入して下さい)

科学技術計算に限定して遠隔地の計算機を高性能かつ安定にアクセスして処理を行わせるグリッド技術のソフトウェア

研究開発、実証実験による技術的優位性の実証と宣伝、国際標準化戦略による技術普及を通じてグリッド技術における中

核的研究機関となることを目指す。

【研究開発】

(1) 世界規模のネットワークに接続された計算機に分散計算させるソフトウェア Ninf-G を開発する。

(2) 高性能化のために遠隔手続き呼び出しにともなう起動コストや通信コストの低減を図る。

(3) 安定化のためにハートビート機能や関数ハンドル作成タイムアウト機能、サーバ属性の個別設定機能を提供する。

【実証実験】

(1) 基本性能の評価を行う。

(2) 典型的なタスク並列アプリケーションである気象シミュレーションプログラムを用いて小規模クラスタで構成されるグリッ

ドのテストベッド上で Ninf-G の性能評価を行う。

(3) 量子化学計算の1つである TDDFT を例にとり、科学技術計算のために Ninf-G が備えているべき機能を検証する。

(4) 4 サイト 64CPU を用いた長時間実行により、障害を適切に検知する機能により実用性を明らかにする。

【成果普及】

(1) Ninf-G が用いている GridRPC の呼出手続き手順(API)を国際標準規格とする。このため、標準化委員会へ提案と説

明を行う。

(2) 国内および海外において Ninf-G が用いられるようにするため、関係者が参集する国際会議等で効果をデモンストレ

ーションする。

図-1 ネットワーク透過な標準ミドルウェア開発

広域分散ネットワーク環境

Ninf _call(“xx”, a, b, c); ミドルウェア

ユーザ認証機構/グリッド認証技術

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■ 研究成果 (研究の成果を簡潔かつ具体的に記述して下さい)

13 年度から 15 年度においては GridPRC クライアントライブラリの開発を行った。ネットワーク透過な標準的なインターフ

ェースとして遠隔地の PC やワークステーションから特定の計算サービスを呼び出す RPC(リモートプロセジャーコール)技

術に基づいたミドルウェア、GridRPC のクライアントライブラリ群を開発し、ユーザのプラットフォームに応じて遠隔実行を可

能とする技術の確立を目的として研究を実施した。特筆すべき成果は、香港大学や米国 TeraGrid に導入して予備的実験

を行い、遠隔実行が可能であることを実証したことである。7)

また、GridRPC に基づいて気象予報を行なう既存の逐次プログラムを、グリッド上で動作するように対応を行い、気象予報

グリッドポータルを開発した。既存プログラムの Ninf-G 対応は極めて容易であり少ない労力でグリッドポータルを構築でき

た。これにより、GridRPC の有効性のひとつを示すことができた。 4),6)

16 年度および 17 年度は Grid の基盤ミドルウェアの開発および実証実験を行った。大規模 Grid 環境において高い性能

と利便性を提供する GridRPC プログラミングシステムである Ninf-G Version 2 の実装と予備評価を行った。その結果、ベン

チマークプログラムを用いた性能評価により、複数の大規模クラスタにより構成される計算グリッドにおいて高い性能を提供

することが実証された。1), 2), 3), 5)

GridRPC のアプリケーション・プログラミング・インターフェイス(以下 API)に準拠して作成されたプログラムが複数のシス

テム上で動作をするように、API の標準化を目指している。Ninf-G システムを提案 API の参照実装のひとつとして提供し、

実際に Ninf-G を用いたグリッドの応用プログラムを開発、評価しながら提案 API の妥当性を検証中である。 9)

グリッド上でタスク並列を行うアプリケーションを開発する手間を削減することを目指して、GridRPC の上位にタスクファー

ミング API を提供するミドルウェアを設計した。実アプリケーションの事例研究から得られた要求仕様をもとに API を提案し、

タスクの自動割り当てや耐障害に関する機能をミドルウェア内部に実装した。そのような上位ミドルウェアを実装するために、

Argument Array API に引数データのコピー機能が求められること、ノンブロッキング呼び出しにおけるデータ通信のタイミ

ングと RPC の実行情報を取得する方法が GridRPC で標準化される必要があることを明らかにした。8)

米国において、国外の研究機関が開発した初のソフトとして Ninf-G が採用されたことは、Ninf-G の成熟度と有用性が評

価されたことを示すものである。全米科学財団(NSF)が作成して大学や研究機関に無料配布しているソフトのパッケージに

組み込まれた。

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

研究成果の詳細報告

24

図-2 GridRPC: 「計算の処理の一部をネットワーク経由で遠隔実行

(Remote Procedure Call)させる」というアイデアに基づくプログラミングモデル

■ 考 察 (研究成果からの考察を記入して下さい)

研究開始当時、ネットワーク的に可達であれば計算機の遠隔利用において技術的課題が無いのではないかという指摘

を受けた。しかし、異機種計算機を接続するためのミドルウェアの設計、高性能を維持するためのオーバーヘッドの削減、

安定化のための工夫、セキュリティ機構の導入など多くの課題があった。これらの課題を克服することで、実用化に耐える

レベルまで昇華することができた。また、Supercomputing 国際会議において研究展示を行い、国際的なアピールを行った

ことで海外にも多くのユーザを獲得できた。この実績に基づき、米国NSFの収集する NMI パッケージに非米国初のソフトウ

ェアとして Ninf-G が採用されたことは画期的である。中核研究拠点となるためにソフトウェア開発、応用による実証、国際標

準を目指した普及活動などの戦略が有効であったと結論できる。

■ 参考(引用)文献

該当なし

■ 関連特許

1. 基本特許 (当該課題の開始前に出願したもので、当該課題の基本となる技術を含む特許)

該当なし

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

研究成果の詳細報告

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2. 参考特許 (当該課題に関連する周辺特許)

1) 2000.3.24、「高速並列計算用同期及び通信制御装置」、関口 智嗣他、工業技術院長他、アメリカ 09/535630

膨大な計算機資源をハードウェア的につなぎ目がないように構成し、接続するための基礎技術

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研究成果の詳細報告

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■ 成果の発表

(成果発表の概要)

1. 原著論文による発表(査読付き) 9 報 (筆頭著者:6 報 共著者:3 報)

2. 原著論文による発表(査読なし) 5 報

3. 原著論文以外による発表

(レター、レビュー、出版等)

国内誌:2 報、国外誌:1 報、書籍出版:0 冊

4. 口頭発表 招待講演:3回、主催講演:0回、応募講演:42 回

5. 特許出願 出願済み特許:1 件 (国内:0 件 国外:1 件)

6. 受賞件数 1 件

1. 原著論文による発表 (査読制度のある雑誌への投稿のみ。本文中の成果の番号と対比)

1) 谷村 勇輔,池上 努,中田 秀基,田中 良夫,関口 智嗣:「耐障害性を考慮した Ninf-G アプリケーションの実装と評

価」,情報処理学会論文誌,46,SIG7,18-27,(2005)

2) 谷村 勇輔,池上 努,中田 秀基,田中 良夫,関口 智嗣:「耐障害性を考慮した Ninf-G アプリケーションの実装と評

価」,2005 年ハイパフォーマンスコンピューティングと計算科学シンポジウム,2005,1,99-106,(2005)

3) 中田 秀基,田中 良夫,松岡 聡,関口 智嗣:「耐故障性を重視した RPC システム Ninf-C の設計と実

装」,SACSIS2004 予稿集,(2004)

4) 武宮 博,首藤 一幸,田中 良夫,関口 智嗣:「Grid 環境における気象予報シミュレーションシステムの構築」,情報

処理学会論文誌 コンピューティングシステム,44,SIG 11 (ACS 3),23-33,(2003)

5) 田中 良夫,武宮 博,中田 秀基,関口 智嗣:「Design, Implementation and Performance Evaluation of GridRPC

Programming Middleware for a Large-scale Computational Grid」,Fifth IEEE/ACM International Workshop on Grid

Computing,298,305,(2004)

6) 武 宮 博 , 首 藤 一 幸 , 田 中 良 夫 , 関 口 智 嗣 : 「 Constructing Grid Applications using Starndard Grid

Middleware」,Journal of Grid Computing,1,2,117-131,(2004)

7) 田中 良夫,中田 秀基,関口 智嗣,鈴村 豊太郎,松岡 聡:「Ninf-G: A Reference Implementation of RPC-based

Programming Middleware for Grid Computing」,JOURNAL OF GRID COMPUTING,1,1,41-51,(2003)

8) Keith Seymour,中田 秀基,松岡 聡,Jack Dongarra,Craig Lee,Henri Casanova:「Overview of GridRPC: A Remote

Procedure Call API for Grid Computing」,"(GRID COMPUTING - GRID 2002, LNCS 2536)",274-278,(2002)

9) Bagarinao Tila Epifanio Jr.,田中 良夫,松尾 香弥子,中井 敏晴:「BAXGrid: A software package for the remote

analysis of functional MRI data using grid technology」,NEUROIMAGE,26,S1,S37-S37,(2005)

2. 原著論文による発表 (査読制度のない雑誌への投稿)

1) 首藤 一幸,武宮 博,平野 基孝,田中 良夫,関口 智嗣:「気象予報グリッドポータルの開発」,情報処理学会 研究

報告, 2003-HPC-93,167-172,(2003)

2) 中田 秀基:「Grid 上でのプログラミング」,電気学会全国大会予稿集,(2005)

3) 谷村 勇輔,池上 努,中田 秀基,田中 良夫,関口 智嗣:「Ninf-G2 の性能評価:科学技術計算における事例」,情

報処理学会研究報告,2004,81,37-42,(2004)

4) 中田 秀基,田中 良夫,松岡 聡,関口 智嗣:「The Design and implementation of a Fault-Tolerant RPC system:

Ninf-C」,Proc. of HPC Asia 2004,9-18,(2004)

5) 中田 秀基,田中 良夫,松岡 聡,関口 智嗣:「Ninf-G: a GridRPC system on the Globus toolkit」,Grid Computing:

Making the Global Infrastructure a Reality,(2003)

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

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3. 原著論文以外による発表(レター、レビュー、書籍出版等)

国内誌(国内英文誌を含む)

1) 関口 智嗣:「グリッド・コンピューティング論」,日経バイト,日経 BP 社,(2005)

2) 中田 秀基:「グリッドコンピューティングの現在を探る」,Software Design,2003,6 月,(2003)

国外誌 1) 中田 秀基,田中 良夫,松岡 聡,関口 智嗣",Ninf-G: a GridRPC system on the Globus toolkit,Grid Computing:

Making the Global Infrastructure a Reality,John Wiley & Sons Ltd,(2003))

書籍出版

該当なし

4. 口頭発表

招待講演

1) 田中 良夫:「Status and Future Direction of Grids」, Bangkok, Annual Symposium on Computing Science and

Engineering, 2004.3.23

2) 田中 良夫:「Experiences on feasibility studies of Grid technologies in scientific applications」, Taiwan, Taiwan

CFD Conference,2004.8.6

3) 建部 修見,関口 智嗣:「Recent Efforts on Grid Technology in Japan」, Stuttgart, 5th HLRS Metacomputing

Workshop,2002.5.27

主催・応募講演

1) 中田 秀基:「Grid 上でのプログラミング」, 徳島, 電気学会全国大会シンポジウム,2005.3.19

2) 田中 良夫,武宮 博,関口 智嗣:「QM/MD Simulation on AIST-TeraGrid Testbed」, Seoul, The Usable Grid

Workshop,2005.3.14

3) 谷村 勇輔,池上 努,中田 秀基,田中 良夫,関口 智嗣:「耐障害性を考慮した Ninf-G アプリケーションの実装

と評価」, 東京, ハイパフォーマンスコンピューティングと計算科学シンポジウム,2005.1.19

4) 田中 良夫:「Programming on the Grid using GridRPC」, Bangkok, 19th APAN meeting,2005.1.25

5) 田中 良夫:「Grid Development in Japan and Asia Pacific」, Hague, e-IRG Workshop,2004.11.18

6) 田中 良夫,武宮 博,中田 秀基,関口 智嗣:「Design, Implementation and Performance Evaluation of GridRPC

Programming Middleware for a Large-scale Computational Grid」, Pittsburgh, International Workshop on Grid

Computing,2004.11.8

7) 中田 秀基,田中 良夫,松岡 聡,関口 智嗣:「The Design and implementation of a Fault-Tolerant RPC system:

Ninf-C」, 大宮, HPCAsia2004,2004.7.21

8) 武宮 博,田中 良夫,中田 秀基,関口 智嗣:「Ninf-G2: 大規模 Grid 環境での利用に即した高機能、高性能

GridRPC システムの実装と評価」, 札幌, 先端的計算基盤システムシンポジウム SACSIS2004,2004.5.26

9) 田中 良夫:「Trends in Grid Computing」, Manila, Philippine-Japan Symposium on Medical Applications on Grid

Technology,2004.2.16

10) 田中 良夫,中田 秀基,武宮 博,関口 智嗣:「Ninf-G Applications on the ApGrid Testbed」, San Franscisco,

Globus World 2004,2004.1.20

11) 田中 良夫,武宮 博,中田 秀基,関口 智嗣:「Ninf-G2 の設計、実装および評価」, 東京, HPCS2004,2004.1.15

12) 田中 良夫,中田 秀基,朝生 正人,関口 智嗣:「Ninf-G2: 大規模環境に即した高機能、高性能 GridRPC シス

テム」, 松江, ハイパフォーマンスコンピューティング研究会,2003.8.4

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

研究成果の詳細報告

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13) 田中 良夫,中田 秀基:「How to build a Grid / How to use a Grid (前半)」, 東京, CGrid 2003,2003.5.12

14) 中田 秀基,Keith Symour:「Grid RPC Tutorial」, 東京, GF7,2003.3.4

15) 田中 良夫:「Introduction to the Globus Toolkit 2 by a Globus user」, Taipei, International Symposium on Grid

Computing,2003.3.9

16) 田中 良夫:「Ninf-G Tutorial」, 博多, 3rd PRAGMA Workshop,2003.1.24

17) 田中 良夫,中田 秀基:「Ninf-G applications on the ApGrid Testbed」, San Diego ,Globus World, 2003.1.13

18) 中田 秀基,齋藤 真幸,鈴村 豊太郎,田中 良夫,松岡 聡,関口 智嗣:「Grid ポータル構築ツールキット Ninf-

Portal」, つくば, JSPP2002 ,2002.5.30

19) 田中 良夫:「Grid Programming Tools - Globus Toolkit and Ninf -」, Taiwanl, Tutorials on Cluster/Meta/Grid

Computing,2001.12.18

20) 田中 良夫:「Introduction to Grid Computing」, Taiwan, Tutorials on Cluster/Meta/Grid Computing,2001.12.17

5. 特許等出願等

1) 2000.3.24、「高速並列計算用同期及び通信制御装置」、関口 智嗣他、工業技術院長他、アメリカ 09/535630

膨大な計算機資源をハードウェア的につなぎ目が無いように構成し、接続するための基礎技術。

6. 受賞等

1) 谷村 勇輔、池上 努、中田 秀基、田中 良夫、関口 智嗣:「2005 年ハイパフォーマンスコンピューティングと計

算科学シンポジウム 最優秀論文賞」、2005.1.19

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2. グローバル情報技術に関する研究

独立行政法人産業技術総合研究所情報技術研究部門

戸村 哲、平野 聡、半田 剣一、錦見 美貴子、高橋 直人、田代 秀一、一杉 裕志、 新部 裕、

田中 哲、田沼 均、中村 章人、渡邊 創、北川 隆、上野 乃毅

■ 要 旨 (研究内容及び研究成果の要約を記入してください)

グローバル情報技術の研究では、地球上のいろいろな人たちが、その言葉や文化や社会や習慣に適応した方法で情

報技術を活用でき、人類が使用する新しい社会基盤である情報技術がほかの社会基盤と同じように安心して利用できるこ

とを目指し、さらにグローバル情報技術の研究拠点を構築することによって、人類の文化・社会制度と整合性の取れた方法

で、情報技術の恩恵を安定して人類全体が享受できることの実現を目指した。ソフトウェア研究の方法論としては、従来の

ソフトウェア研究手法に加えて、インターネットを活用し、オープンソースソフトウェアなどの方法によって、世界中の人々に

幅広く利用してもらうことで、ソフトウェアの有用性などを実証的に評価する手法を用いて研究および研究拠点の構築を推

進した。

■ 目 的 (研究を実施した目的を記入してください)

グローバル情報技術の研究では、グローバルに、つまり地球上のいろいろな人たちが、その言葉や文化や社会や習慣

に適応した方法で情報技術を活用できること、人類が使用する新しい社会基盤である情報技術がほかの社会基盤と同じよ

うに安心して利用できることの二つを目指す。さらにグローバル情報技術の研究拠点を構築することによって、人類の文

化・社会制度と整合性の取れた方法で、情報技術の恩恵を安定して人類全体が享受できることの実現を目指す。

■ 目 標 (課題採択時に決定した研究目標を簡潔に箇条書きで記入してください)

① 個人の集団が情報技術を活用・発展させるための情報技術の研究分野、研究方法論を実証的に実施する研究拠

点を実現する。

■ 目標に対する結果 (前記目標に対比させて簡素に箇条書きで記入してください)

① 日本においてオープンソースソフトウェアが普及する以前からオープンソースソフトウェアの方法論に基づくソフトウェ

ア研究の実証的アプローチを行い、日本におけるオープンソースソフトウェアの推進拠点のひとつとなった。

■ 研究方法 (試験研究の実験手法等を記入して下さい)

従来のソフトウェア研究手法に加えて、インターネットを活用し、オープンソースソフトウェアなどの方法によって、世界中の

人々に幅広く利用してもらうことで、ソフトウェアの有用性などを実証的に評価する手法を用いて研究および研究拠点の構

築を推進する。

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

研究成果の詳細報告

30

図-3 インターネット上で実証的ソフトウェア開発

■ 研究成果 (研究の成果を簡潔かつ具体的に記述して下さい)

(1) Linux/Unix 汎用多言語情報処理ライブラリ m17n-lib を開発した。 M17n-lib は、Linux/Unix において、ライブラリ

レベルで多言語情報処理機能を提供するものであり、C ライブラリレベル、X ライブラリレベル、グラフィカルユー

ザーインターフェースツールキットに対応している。web ページ(http://www.m17n.org/m17n-lib) に本ライブラリ

の普及のためのページを公開し、ライブラリを公開している。11),16),19)また多言語情報処理機能を拡充するための自

然言語処理技術の研究開発も行った。7),8),9),10),17)

(2) オブジェクト指向言語 Java の研究 1)を行い、Java をベースとしてオブジェクト指向言語 MixJuice を開発した。オブジェ

クト指向言語MixJuice を開発した。MixJuiceはJavaをベースとし、モジュール機構を差分ベースモジュールに入れ換え

た言語である。また MixJuice の前身である EPP は Java プログラムの解析機構を有し、これを利用したソフトウェア複雑度

解析システムが商用化されている。また、EPP や MixJuice の応用として大規模なシステムのモジュールを動的に検査の

実行効率を改善する方法を提案した。2),3),4),12)

(3) オープンソースソフトウェアを利用したコンピューティング環境のセキュリティレベルの向上させるために、RedHat Linux

ベースのコンピュータにインストールされているソフトウェアに関する情報をデータベースで管理し、セキュリティ対策の

ためのコンピュータの状態把握とソフトウェアの更新処理を自動化するシステムを開発した。

(4) 不正コピーを抑止する技術である電子透かしを利用した安全な配信システムの基礎となる ID 符号化法において、現時

点で最高レベルの実用性、安全性をもつ方式を開発した。6),14),15),18)暗号化技術を用いて匿名アンケートを実現する

プロトコルを開発した。5),13)

(5) ソフトウェアのソースやドキュメントだけではなく、バグレポートや開発者のコミュニケーションなどまで情報を統合し

て提供するシステムの研究を行った。

(6) オープンソースソフトウェアを推進した。未踏ソフトウェア創造事業のプロジェクトマネージャとして大きな成果を挙げた。

NPO フリーソフトウェアイニシアティブを立ち上げた。産業技術総合研究所とフリーソフトウェアイニシアティブの共同主

催でフリーソフトウェアに関する国際シンポジウムを開催した。

■ 考 察 (研究成果からの考察を記入して下さい)

Linux/Unix 汎用多言語情報処理ライブラリをはじめとして、日本におけるオープンソースソフトウェアの開発・普及に一定の

貢献をすることができ、また情報技術をその他の社会インフラと同様に安心して利用するための研究拠点として産業技術

総合研究所情報セキュリティ研究センターの設立に貢献するなど、一定の目標を達成している。一方では、グローバル情

報技術は、情報システムのための技術分野と人類文化論、社会論、組織運営論などの文科系分野との融合研究分野であ

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

研究成果の詳細報告

31

り、両者の交流を図りつつ、バランスの取れた、情報技術の研究拠点の構築については今後の課題として残っている。

■ 参考(引用)文献

該当なし

■ 関連特許

1. 基本特許 (当該課題の開始前に出願したもので、当該課題の基本となる技術を含む特許)

該当なし

2. 参考特許 (当該課題に関連する周辺特許)

該当なし

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

研究成果の詳細報告

32

■ 成果の発表

(成果発表の概要)

1. 原著論文による発表(査読付き) 19 報 (筆頭著者:15 報、共著者:4 報)

2. 原著論文による発表(査読なし) 0 報

3. 原著論文以外による発表

(レター、レビュー、出版等)

国内誌:3 報、国外誌:0 報、書籍出版:0 冊

4. 口頭発表 招待講演:15 回、主催講演:1 回、応募講演:34 回

5. 特許出願 出願済み特許:0 件 (国内:0 件、国外:0 件)

6. 受賞件数 1 件

1. 原著論文による発表 (査読制度のある雑誌への投稿のみ。本文中の成果の番号と対比)

1) 田中 哲, 一杉 裕志:「バイトコード編集による Java 言語の表明検査の制御」, コンピュータソフトウェア, Vol. 18, No.

3, 34-39, (2001)

2) 一杉 裕志:「シンプルかつ強力なモジュール機構を有するオブジェクト指向言語 MixJuice の提案」, コンピュータソ

フトウェア, Vol. 18, No. 6, 54-58, (2001)

3) 田中 哲, 一杉 裕志:「MixJuice 言語によるデザインパターンの改善」, 情報処理学会論文誌:プログラミング, Vol.

44, IG4(PRO17), 25-46, (2003)

4) 一杉 裕志, 田中 哲, 渡部 卓雄:「安全に結合可能な mixin を提供するためのルール」, コンピュータソフトウェア,

Vol. 20, No. 3, 80-87, (2003)

5) 北川 隆ほか:「大学における講義評価のための匿名アンケートプロトコルとその試作」, 情報処理学会論文誌, Vol.

44, No. 9, 2353-2362, (2003)

6) 渡邊 創, 北川 隆: 「A Random-Error-Resilient Collusion-Secure Fingerprinting Code, Randomized c-Secure

CRT Code」, ICICE Transactions on Fundamentals of Electronics Communications and Computer Sciences,

E86-A(10), 2589-2595, (2003)

7) Mats U. Nystrand, Kazuhiro Ueda, Naoto Takahashi:「Word acquisition with neural networks based on the state of a

small world: Handling multiple uestion types」, Proceedings of the Pacific Association for Computational Linguistics,

Vol. 1, No. 1, 207-213, (2001)

8) Mats U. Nystrand, Naoto Takahashi, Kazuhiro Ueda:「Acquiring word meanings with questions, answers and a

dynamic environment - generalizing with neural networks」, Proceedings of the Sixth Natural Language Processing

Pacific Rim Symposium, 625-630, (2001)

9) 高橋 直人:「Polysemous words and the FGREP algorithm」, Proceedings of the Second Workshop on Natural

Language Processing and Neural Networks, 101-106, (2001)

10) 高橋 直人ほか:「PP-Attachment Ambiguity Resolution Using a Neural Network with Modified FGREP Method」,

Proceedings of the Second Workshop on Natural Language Processing and Neural Networks, 1-7, (2001)

11) 角川 裕次, 錦見 美貴子, 高橋 直人, 戸村 哲, 半田 剣一:「A general purpose font module for multilingual

application programs.」, SOFTWARE-PRACTICE & EXPERIENCE, Vol. 31, No. 15, 1487-1508, (2001)

12) 一杉 裕志, 田中 哲:「Difference-Based Modules: A Class-Independent Module Mechanism」, Proceeding of

ECOOP 2002, LECTURE NOTES IN COMPUTER SCIENCES, Vol. 2374, 62-88, (2002)

13) 北川 隆ほか:「An Anonymous Questionnaire System for Rating Faculty Courses in Universities」, PROCEEDINGS

OF ISITA2002, 559-562, (2002)

14) 渡邊 創, 北川 隆:「An Attack for a Fingerprinting Code and its Success Probability」, PROCEEDINGS OF

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

研究成果の詳細報告

33

ISITA2002, 555-558, (2002)

15) 渡邊 創, 北川 隆:「An ID Coding Scheme for Fingerprinting, Randomized c-secure CRT Code」, LECTURE

NOTES IN COMPUTER SCIENCES, Vol. 2513, 173-183, (2002)

16) 錦見 美貴子, 高橋 直人, 半田 剣一, 戸村 哲:「The m17n Library - A general purpose multilingual library for

Unix/Linux applications」,Proceedings of Asian Symposium on Natural Language Processing to Overcome Language

Barriars,17-23, (2004)

17) 本木 実, 冨浦 洋一,高橋 直人「Problems of FGREP Modules and their Solution」, Third IEEE International

Conference on Cognitive Informatics, 220-227, (2004)

18) 渡邊 創, 北川 隆:「On Code Lengths of Random-Error-Resilient Collusion-Secure Fingerprinting Codes」,

Proceedings of ISITA2004, 640-645, (2004)

19) 錦見 美貴子, 半田 剣一, 高橋 直人, 戸村 哲:「A library for Multilingual Text Processing」, Proceedings of the

27th Internationalization and Unicode Conference, Vol.1, No.B13, 1-11, (2005)

2. 原著論文による発表 (査読制度のない雑誌への投稿)

該当なし

3. 原著論文以外による発表(レター、レビュー、書籍出版等)

国内誌(国内英文誌を含む)

1) 田代 秀一:「国際化ドメイン名について」,情報処理, Vol. 42, No. 5, 483-487, (2001)

2) 田代 秀一ほか:「インターネットコンテンツ配信技術の最新動向」, 情報処理, Vol. 42, No. 11, 1082-1091,

(2001)

3) 田代 秀一:「Foreword : Special Issue on New Technologies in the INternet and their Applications」, IEICE

Transactions on Information and Systems, Vol. E86-D, No. 11, 2255-2255, (2003)

国外誌

該当なし

書籍出版

該当なし

4. 口頭発表

招待講演

1) 新部 裕:「フリーソフトウェアってなに?」, 名古屋, オープンソースシンポジウム,2001.6.12

2) 新部 裕:「SuperH におけるキャッシュ管理」, 東京, Linux Kernel Conference 2001, 2001.9.14

3) 新部 裕:「「自炊」ソフトウェアとその未来」, 東京, Debian Conference 2001(でびとーく), 2001.10.25

4) 田代 秀一:「国際化ドメイン名について」, 大阪, インターネットカンファレンス 2001, 2001.11.1

5) 田代 秀一:「Internet New Technology」, ハノイ, Final Seminar of the project on Vietnam Information

Technology Training, 2001.11.21

6) 新部 裕:「未定ソフトウェア想像授業」, 名古屋, 名古屋大学 名大祭, 2002.6.8

7) 新部 裕:「ソフトウェアの自由 ― GNU 放題、Hack 三昧」, 東京, ITX2002, 2002.6.28

8) 新部 裕:「プログラミングと身体性、そしてソフトウェアと社会」, 横浜, Linux カーネルシンポジウム第一回,

2002.7.25

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

研究成果の詳細報告

34

9) 田代 秀一:「Asia e-Learning Network- Network for promoting e-Learning in Asia -」, マレーシア, Asia

e-Learning Forum, 2003.1.21

10) 田代 秀一:「Open Source Software Policy in Japan」, ソウル, オープンソース活性化セミナ, 2003.2.13

11) 田代 秀一:「Asia e-Learning Network」. 台北, Re-Think Some Policy and Legal Issues in E-Learning Era,

2003.10.30

12) 半田 剣一, 錦見 美貴子, 高橋 直人, 戸村 哲:「Emacs の多言語化」, シンガポール, Asia OSS

Symposium, 2003.11.3

13) 田代 秀一;「オープン・ソース・ソフトウェアへの新たなる期待」, 東京, Linux World Expo / Tokyo 2004,

2004.6.4

14) 半田 剣一, 錦見 美貴子, 高橋 直人, 戸村 哲:「m17n-library」, タイ, Linux Localization, 2004.11.23

15) 田代 秀一:「Collaboration for e-Learning in Asia」, スリランカ, 6th International Information Technology

Conference (IITC), 2004.11.29

主催・応募講演

1) 半田 剣一:「Emacs の最新の動向」, 藤沢, WIDE プロジェクト研究会, 2001.5.19

2) 新部 裕:「GNU/Linux on SuperH プロジェクト」, 東京, Linux World/Expo Tokyo 2001, 2001.5.30

3) 平野 聡:「組込み Java のためのオブジェクトシリアライザ生成法」, 東京, オブジェクト指向 2001 シンポジウム,

2001.8.23

4) 田中 哲, 一杉 裕志:「プログラミング言語 MixJuice による HTTP server のモジュール化」, 函館, 日本ソフトウ

ェア科学会第 18 回大会, 2001.9.19

5) 一杉 裕志:「Java 言語ソースコード処理フレームワーク EPP と MixJuice 言語」, 京都, The Java Technology

Workshop, 2001.9.25

6) 中村 章人:「XML による Java プログラムの API ドキュメント生成」, 山口, 情報処理学会 第 63 回全国大会,

2001.9.27

7) 加藤 洋平, 渡邊 創, 嵩 忠雄:「暗号技術が利用できない環境において閲覧履歴保護を実現する HTTP サ

ーバの機能拡張」, 石川, 電子情報通信学会情報セキュリティ研究会, 2001.11.9

8) 田代 秀一:「Hot topics of Internet standardization」, ベトナム, Lecture for C/P for VITTI, 2001.11.20

9) 一杉 裕志, 田中 哲:「差分ベースモジュール:クラス独立なモジュール機構」, 東京, オブジェクト指向シンポ

ジウム2002, 2002.8.30

10) 半田 剣一, 錦見 美貴子, 高橋 直人, 戸村 哲:「m17n ライブラリにおける表示機能の実現」, 東京, Linux

Conference 2002, 2002.9.18

11) 北川 隆ほか:「An Anonymous Questionnaire System for Rating Faculty Courses in Universities」, 西安, 2002

International Symposium on Information Theory and its Applications, 2002.10.7

12) 中村 章人, 戸村 哲:「XML と SOAP によるセキュリティ関連情報 Web サービス」, 八王子, 情報処理学会第

65 回全国大会, 2003.3.25

13) 北川 隆, 、渡邊 創:「Randomized c-Secure CRT 符号のための新しいトレースアルゴリズム」, 北九州, コンピ

ュータセキュリティシンポジウム 2003, 2003.10.31

14) 半田 剣一, 錦見 美貴子, 高橋 直人, 戸村 哲:「Font Layout Table --m17n ライブラリにおける柔軟なフォ

ント処理--」, 京都, 組版ワークショップ, 2003.11.28

15) 田中 哲:「データマイニングを利用したプログラムの改善」, 上諏訪, 第7回プログラミングおよび応用のシステ

ムに関するワークショップ (SPA2004), 2004.3.1

16) 渡邊 創, 北川 隆: 「On Code Lengths of Random-Error-Resilient Colusion-Secure Fingerprinting Codes」,

イタリア, 2004 International Symposium on Information Theory and its Applications, 2004.10.12

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17) 半田 剣一, 錦見 美貴子, 高橋 直人, 戸村 哲:「CJK text handling in the m17n library」, 香港, 自然言語

処理中国・日本合同会議, 2004.11.12

18) 半田 剣一, 錦見 美貴子, 高橋 直人, 戸村 哲:「The m17n library - a library for handling multilingual text」,

ハノイ, VAST-AIST ワークショップ, 2004.12.15

19) 上野 乃毅, 田中 哲:「再現テストを自動的に行うバグトラッキングシステム」, 伊香保, 第8回プログラミングお

よび応用のシステムに関するワークショップ(SPA2005), 2005.3.9

20) 一杉 裕志ほか: 「エンドユーザ向けのスクリプト言語:チャミー」, 水上, 第 7 回プログラミングおよびプログラミ

ング言語ワークショップ(PPL2005), 2005.3.10

5. 特許等出願等

該当なし

6. 受賞等

1) 中村 章人:「情報処理学会第 65 回全国大会大会優秀賞」,2004.3.9

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3. システム検証技術に関する研究

独立行政法人 産業技術総合研究所 システム検証研究センター

木下 佳樹、 高橋 孝一、 渡邊 宏、 古澤 仁、 大崎 人士、 松岡 聡、 岡本 圭史、

尾崎 弘幸、 西原  秀明、 西澤 弘毅

■ 要 旨 (研究内容及び研究成果の要約を記入してください)

情報処理システム開発・検証のための形式的技法を含む数理的技法は、近年情報処理システムの社会影響が増すに

つれて、認証が規制化される動きが出ており、産業を含む社会からの大きな関心を呼んでいる。本研究では組み込みシス

テムに特徴的な、リアクティブシステム検証のための論理を研究し、そこでの形式理論の精製に、本プロジェクト前半に行

われた精製法研究の成果を応用した。同時に、前半の代数的意味論研究のノウハウを活かして正則表現の代数表現であ

る Kleene 代数周辺の自由構成などについて研究する。さらに、これらの成果を含む数理的技法の研究成果普及の基盤を

構築するため、モデル検査の技術者向け研修コースの研究開発を行った。これには十数回にわたるコース試行を含み、こ

の基盤を用いて、産総研が別途共同研究を行っている企業が数理的技法を自社開発手法の一部として取り入れる経営判

断をくだすまでにいたった。

■ 目 的 (研究を実施した目的を記入してください)

情報処理システムの認証基盤を与える数理的技法をリアクティブシステムに応用に便利な論理を構築し、また、その代

数的意味論を与える。さらに、以上の基礎研究を含む数理的技法全般を産業に技術移転するための基盤を構築する。

論理については、リアクティブな性質を記述可能にする命題様相μ計算に、本プロジェクト前半に研究した精製法の代

数的意味論を適用して、命題様相μ計算の形式理論の精製法を与えた。また、動的にプロセスが生成、消滅する現象をも

記述可能にするため、命題様相μ計算を述語に拡張して一階様相μ計算を構築することを目的とする。

代数的意味論については、プログラムの実行履歴が正則表現で表現可能なことに着目し、その代数表現である Kleene

代数に関する自由生成の可能性を調べることにより Kleene 代数に基づいてプログラムの代数的意味論を展開することを目

的とする。

技術移転のための基盤に関しては、数理的技法は現場の技術者にとって完全に新しい技法であり、その教育が技術移

転において最もコストのかかる部分であるため、数理的技法として最も使いやすいと思われているモデル検査の研修コース

の研究開発を行うことを目的とする。

■ 目 標 (課題採択時に決定した研究目標を簡潔に箇条書きで記入してください)

① 前期の手法をリアクティブシステムに適用するための理論基盤の構築

② 数理的技法に関する研究成果普及の基盤構築。

■ 目標に対する結果 (前記目標に対比させて簡素に箇条書きで記入してください)

① 一階様相μ計算に関しては、健全性を示し、さらに recursively axiomatisable でなく、したがって、この体

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系が本質的に不完全であることを示した。また、検証事例を与え、この体系の有用性を示した。また、命題様相μ計

算の部分体系 Rμを与え、これが CTL*を拡張した、十分強い体系であること、さらにこの論理の形式理論の精製法

の基本定理を前半での研究成果である精製法の代数的意味論に基づいて与えた。

② Kleene 代数に関しては、Kleene 代数およびテスト付 Kleene 代数の構造を有限極限スケッチで記述し、これらの準代

数構造が自由代数を持つことを一般的な形で初めて示した。

研修コース研究開発では、モデル検査初級コース教材および対話型検証初級コースに関して、CD からブート可能

な Linux 上に研修に必要なソフトウェア(SMV, Spin, Agda など)を搭載したものを開発し、それらのソフトウェアを用い

た実行例をつけた研修生用教科書および講師用手引書を執筆し、これらをひとつの研修コース教材としてノウハウ

登録した。また、受講者を一般から公募して、試験的な研修コース開催を十数回にわたって行い、この過程で研修コ

ースの修正を行うほか、講師の養成を合わせて行った。

■ 研究方法 (試験研究の実験手法等を記入して下さい)

一階様相μ計算に関しては、数理論理学における構文と構造(モデル)の概念に基づいて直接的な方法で健全性を示

した。また、ω×ω recurrent tiling problem がΣ11-完全であることを用いて一階様相μ計算が recursively axiomatisable

でないことを示した。また、Dekker の算法やデッドロック発生に関する Koffman 条件に関する検証事例を与え、この体系の

有用性を示した。

Rμの精製法の研究では Lawvere theory の一般化 Lawvere A-theory の理論を構築、これに関して、前半の成果と同等

の手法を用いて精製法の代数意味論を展開した。

Kleene 代数に関しては、Kleene 代数およびテスト付 Kleene 代数の構造を有限極限スケッチで記述し、「有限極限スケッチ

で表現できる構造は、必ず自由代数を持つ」という圏論におけるよく知られた定理を用いてこれらの(準)代数構造が自由

代数を持つことを一般的な形で初めて示した。また、テスト付 Kleene 代数については、自由代数の構成を、組み合わせ論

的にも示した。

研修コース研究開発では、モデル検査初級コース教材および対話型検証初級コースに関して、CD からブート可能な

Linux 上に研修に必要なソフトウェア(SMV, Spin, Agda など)を搭載したものを開発し、それらのソフトウェアを用いた実行例

をつけた研修生用教科書および講師用手引書を執筆し、これらをひとつの研修コース教材としてノウハウ登録した。また、

受講者を一般から公募して、試験的な研修コース開催を十数回にわたって行い、この過程で研修コースの修正を行うほか、

講師の養成を合わせて行った。

■ 研究成果 (研究の成果を簡潔かつ具体的に記述して下さい)

一階様相μ計算 1)に関しては、数理論理学における構文と構造(モデル)の概念に基づいて直接的な方法で健全性を

示した。また、ω×ω recurrent tiling problem がΣ11-完全であることを用いて一階様相μ計算が recursively

axiomatisable でなく、したがって、この体系が本質的に不完全であることを示した。また、Dekker の算法やデッドロック発生

に関する Koffman 条件に関する検証事例を与え、この体系の有用性を示した。

Rμ2),3),4)については、これが CTL*を拡張した、十分強い体系であること、さらにこの論理の形式理論の精製法の基本定

理を前半での研究成果である精製法の代数的意味論に基づいて与えた 8),14)。

Kleene 代数 5),6),7)に関しては、Kleene 代数およびテスト付 Kleene 代数の構造を有限極限スケッチで記述し、「有限極限ス

ケッチで表現できる構造は、必ず自由代数を持つ」という圏論におけるよく知られた定理を用いてこれらの(準)代数構造が

自由代数を持つことを一般的な形で初めて示した。また、テスト付 Kleene 代数 9),10),11),12),16)については、自由代数の構成を、

組み合わせ論的にも示した 13),15)。

研修コース研究開発では、モデル検査初級コース教材および対話型検証初級コースに関して、CD からブート可能な

Linux 上に研修に必要なソフトウェア(SMV, Spin, Agda など)を搭載したものを開発し、それらのソフトウェアを用いた実行例

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

研究成果の詳細報告

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をつけた研修生用教科書および講師用手引書を執筆し、これらをひとつの研修コース教材としてノウハウ登録した。また、

受講者を一般から公募して、試験的な研修コース開催を十数回にわたって行い、この過程で研修コースの修正を行うほか、

講師の養成を合わせて行った。

システム開発実験に関しては、別途 CVS で行われた企業との個別の共同研究の成果の一部を体系化し、一般のシステ

ムに適用可能な総合的検証手法にまとめて環境ドライバ法と名づけた。これはモデル検査の分野で reduction by cone of

influence と呼ばれる手法と関連していると思われ、さらに解析を続けている

■ 考 察 (研究成果からの考察を記入して下さい)

一階様相μ計算を構築したので、動的にプロセスが生成、消滅するようなリアクティブシステムの検証が行えるようになっ

た。今までの命題様相μ計算では、システム実行開始時に、プロセスの最大数を指定する必要があって、検証の精度を下

げる原因となっていた。今後、記述例を増やす、一階様相μ計算の自動検証(モデル検査)アルゴリズムの構築、、高階様

相μ計算など、いくつかの方向に発展しうる研究テーマである。

しかし、当初用いようとしたファイブレーションによる一階様相μ計算の定式化には至らなかった。これは研究担当者が

圏論に通じていなかったため、通常の論理学的アプローチによるほうが効率よく研究を進めることができると考え、途中で

方針を変更してファイブレーションを使うのをやめたたためである。しかし、部分的にはファイブレーションに関する結果も得

られた。

Kleene 代数については、この分野に圏論的手法を初めて導入した。今後、木構造オートマトンとの関係など、まだ研究

発展の余地が十分にある。

数理的技法の技術移転の基盤構築については、モデル検査初級研修コースを完全に開発し終え、教科書を書店から

刊行し、講師用手引きを産総研ノウハウ登録するに至った。このノウハウをライセンス利用して研修コースを運営しようとする

人材養成企業も現れており、十分な成果だと考える。今後、モデル検査中級、上級および対話型検証の研修コースなどを

構築していくことのほかに、研修コースの修了認定の制度を構築することが、人材養成に重要であろうと考える。

■ 参考(引用)文献

1) 古澤 仁:「A framework for Kleene algebra with an embedded structure」産業技術総合研究所算譜科学研究速

報,2004.12

2) 古澤 仁、高井 利憲「クリーニ代数」、コンピュータソフトウェア掲載予定

3) 西原 秀明(編):「モデル検査研修コース(NuSMV 版)」, 産総研システム検証研究センター, 2005.7(改)

4) 西原 秀明(編):「モデル検査研修コース(Spin 版)」, 産総研システム検証研究センター, 2005.2

■ 関連特許

1. 基本特許 (当該課題の開始前に出願したもので、当該課題の基本となる技術を含む特許)

該当なし

2. 参考特許 (当該課題に関連する周辺特許)

該当なし

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■ 成果の発表

(成果発表の概要)

1. 原著論文による発表(査読付き) 16 報 (筆頭著者:15 報、共著者:1 報)

2. 原著論文による発表(査読なし) 6 報

3. 原著論文以外による発表

(レター、レビュー、出版等)

国内誌:0 報、国外誌:0 報、書籍出版:0 冊 ノウハウ登録:1 件

4. 口頭発表 招待講演:2 回、主催講演:0 回、応募講演:13 回

5. 特許出願 出願済み特許:0 件 (国内:0 件、国外:0 件)

6. 受賞件数 0 件

1. 原著論文による発表 (査読制度のある雑誌への投稿のみ。本文中の成果の番号と対比)

1) K. Okamoto: A first order extension of modal mu calculus, submitted.

2) 西澤 弘毅:「述語論理の抽象モデルの研究に関する成果として-Lawvere Theories for Complete Fibrations and

Fibred CCCs-」, University of Wales Swansea, Conference of algebra and coalgebra in computer science-jnr,

2005.9.2

3) 西澤 弘毅, Anthony John Power:「Lawvere Theories Enriched over a General Base」, Journal of Pure and Applied

Algebra,出版予定

4) 西澤 弘毅、武山 誠:「Algebraic Structure for a Modal Fixed Point Logic and Abstract Interpretation」, 投稿中

5) 古澤 仁,木下 佳樹:「テスト付きクリーニ代数の準代数構造 Essentially algebraic structure for Kleene algebra with

tests ソフトウェアサイエンス 20(2), 47-53, 2003.03.

6) 古澤 仁:「The category of Kleene algebras, action algebras and action lattices are related by adjunctions」,

Lecture Notes in Computer Science, 3051, 124-136, 2004.6

7) 古澤 仁:「A free construction of Kleene algebras with tests」, Lecture Notes in Computer Science, 3125, 129-141,

2004.7

8) 西澤 弘毅:「Algebraic Structures for Cocomplete Fibrations and Fibred CCCs」,University of Wales Swansea

Report Series, University of Wales Swansea, CSR 18-2005, pp55--69, 2005.12

9) 古澤 仁:「A framework for Kleene algebra with an embedded structure」, participants proceedings of 8th

International Conference on Relational Methods in Computer Science, 77-84, 2005.2

10) 古澤 仁:「A free construction of Kleene algebras with tests」, Lecture Notes in Computer Science, 3125, 129-141,

2004.7

11) 古澤 仁,木下 佳樹:「Essentially algebraic structure for Kleene algebra with tests and its application to

semantics of while programs」, プログラミング, 44(SIG 4)47-53, 2003.3

12) 古澤 仁,木下 佳樹:「テスト付きクリーニ代数の準代数構造 Essentially algebraic structure for Kleene algebra with

tests」,ソフトウェアサイエンス 20(2), 47-53, 2003.3

13) 古澤 仁,堀部 久寿男(熊本県庁),河原 康雄(九州大学):「Schroeder 圏における整基関係と関係システム」,九州

大学大学院システム情報科学紀要,2002.9

14) 渡邊 宏,Anthony John Power:「Combining a monad and a comonad」, Theoretical Computer Science, vol.280, pp.

137-162, 2002.5

15) 河原 康雄,古澤 仁:「Crispness in Dedekind Categories」,Bulletin of Informatics and Cybernetics, 33(1,2)1-18,

2001.12

16) 古澤 仁:「A framework for Kleene algebra with an embedded structure」,Lecture Notes in Computer Science,印刷

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

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2. 原著論文による発表 (査読制度のない雑誌への投稿)

1) 岡本 圭史:「A first order extension of modal mu calculus」, 産業技術総合研究所算譜科学研究速報,2006.4

2) 西原 秀明(編):「モデル検査研修コース(NuSMV 版)」,産総研システム検証研究センター, 2005.7(改)

3) 西原 秀明(編):「モデル検査研修コース(Spin 版)」,産総研システム検証研究センター, 2005.2

4) 西澤 弘毅,Anthony John Power:「Lawvere Theories Enriched over a General Base」,産業技術総合研究所算譜科

学研究速報,2005.2

5) 古澤 仁:「A framework for Kleene algebra with an embedded structure」,産業技術総合研究所算譜科学研究速

報,2004.12

6) 松岡 聡:「Integrity Check of Embedded Software in Weighing Instruments via Internet」, OIML Bulletin, XLV(2)

14-18, 2004.4

3. 原著論文以外による発表(レター、レビュー、書籍出版等)

国内誌(国内英文誌を含む)

該当なし

国外誌

該当なし

書籍出版

該当なし

ノウハウ登録

1) 産業技術総合研究所職務発明(ノウハウ)「モデル検査研修コース初級編講師用手引き」,指定番号 H17NOH-332

4. 口頭発表

招待講演

1) 木下 佳樹:「システム検証の総合環境」,阪大中之島プラザ,情報処理学会関西支部大会,2005.10

2) 木下 佳樹:「数理的技法でのスケーラビリティを得るために」,東京電気通信大学,情報処理学会, 2005.3

主催・応募講演

1) 岡本 圭史:「一階様相μ計算」,愛知県蒲郡市, 第 39 回 MLG 研究集会, 2005.12

2) 岡本 圭史:「一階様相μ計算」,東北大学,第 22 回日本ソフトウェア科学会全国大会,2005.9

3) 西澤 弘毅:「述語論理の抽象モデルの研究に関する成果として-Lawvere Theories for Complete Fibrations

and Fibred CCCs-」, University of Wales Swansea, Conference of algebra and coalgebra in computer science-jnr,

2005.9

4) 岡本 圭史:「不動点付高階層様相論理」,電気通信大学,情報処理学会第67回全国大会,2005.03.03

5) 岡本 圭史:「高階論理の完全性とその周辺について」,名古屋大学,第 21 会記号論理学と情報科学 (SLACS

2004),2004.9

6) 早水 公二,水口 大知,渡邊 宏:「モデル検査による組込みソフトウェア仕様書の検証」,情報処理学会ソフト

ウェア工学研究会組込みソフトウェアシンポジウム 2003,2003.10

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新情報処理パラダイムに基づく技術分野

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7) 松岡 聡:「Integrity Check of Embedded Software via Internet」,Ljubljana, Metrology Institute of Republic of

Slovenia (MIRS), Workshop on Future Aspects of Software and IT in Legal Metrology (FASIT), 2003.9

8) 西澤 弘毅,木下 佳樹:「抽象解釈にみられる圏論的構成について」,愛知県立大学, 日本ソフトウェア科学

会第20回大会,2003.9

9) 大崎 人士,古橋 隆宏:「Formal Methods in Software Production」, CWI, Amsterdam, 2003.9

10) 木下 佳樹,松岡 聡,新田 直也,高橋 孝一:「Model Checking a clause of OIML R 76-1」,Torino, Italy,

Advanced Mathematical and Computational Tools in Metrology, 2003.9

11) 高橋 孝一:「Formal Proof of Abstract Model Checking of Concurrent Garbage Collection」, Heriot-Watt

University, Edinburgh, Automath 2002, 2002.4

12) 木 下 佳樹 :「Category theoretical aspects of Kleene Algebra 」 ,Tulane University, New Orleans, LA,

Mathematical Foundations of Programming Semantics, 2002.3

13) 木下 佳樹:「不動点をめぐる代数構造たち」函館,日本ソフトウェア科学会第18回大会, 2001.9

5. 特許等出願等

該当なし

6. 受賞等

該当なし