「千葉県透析医療における災害対策アンケート調査」の結果報告 ·...

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「千葉県透析医療における災害対策アンケート調査」の結果報告 一般社団法人 千葉県臨床工学技士会 調査委員会 平山 和也(旭中央病院:設問&集計担当) 立石 好行(玄々堂君津病院:分析&結果担当) ※委嘱 【背景】 慢性維持透医療は、災害発生時においても安定継続して提供されることが不可欠であり、大規模被災時には円滑に施行 するために域共助で対応することが求められる。 【目的】 県内を 5 ブロック(中央、東葛、葛南、南部、東部)に分類した透析医療施設における防災状況を調査し、防災対策を 推進すると共に地域版防災資料を作成し、災害時の支援活動に繋げる。 【方法】 県内透析医療施設における防災状況をアンケート調査。対象機関は千葉県内透析施設 150 施設(PD を除く維持透析患 者が在籍する)。調査方法は選択式、一部記述式アンケートを郵送、記載後郵送にて回収。調査期間は平成 26 年 9 月 9 日~10 月 31 日とした。 【結果】 県内 150 施設のうちアンケートを回収できたのは 104 施設であった(収率 69.3%) 1.アンケート回収状 ブロック 送付 施設 回収 施設 回収率 [%] 中央 43 28 65.1 南部 28 19 67.9 東葛 37 26 70.3 東部 14 12 85.7 葛南 28 19 67.9 150 104 69.3 2.施設概要について (1) 回答者職種 医師 1 名 臨床工学技士 99 名 看護師 4 名 事務 3 名その他 1 名 1% 91% 4% 3% 1% 医師 臨床工学技士 看護師 事務 その他

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Page 1: 「千葉県透析医療における災害対策アンケート調査」の結果報告 · 推進すると共に地域版防災資料を作成し、災害時の支援活動に繋げる。

「千葉県透析医療における災害対策アンケート調査」の結果報告

一般社団法人 千葉県臨床工学技士会

調査委員会 平山 和也(旭中央病院:設問&集計担当)

立石 好行(玄々堂君津病院:分析&結果担当)

※委嘱

【背景】

慢性維持透医療は、災害発生時においても安定継続して提供されることが不可欠であり、大規模被災時には円滑に施行

するために域共助で対応することが求められる。

【目的】

県内を 5 ブロック(中央、東葛、葛南、南部、東部)に分類した透析医療施設における防災状況を調査し、防災対策を

推進すると共に地域版防災資料を作成し、災害時の支援活動に繋げる。

【方法】

県内透析医療施設における防災状況をアンケート調査。対象機関は千葉県内透析施設 150 施設(PD を除く維持透析患

者が在籍する)。調査方法は選択式、一部記述式アンケートを郵送、記載後郵送にて回収。調査期間は平成 26 年 9 月 9

日~10 月 31 日とした。

【結果】

県内 150 施設のうちアンケートを回収できたのは 104 施設であった(収率 69.3%)

1.アンケート回収状

ブロック 送付

施設

回収

施設

回収率

[%]

中央 43 28 65.1

南部 28 19 67.9

東葛 37 26 70.3

東部 14 12 85.7

葛南 28 19 67.9

計 150 104 69.3

2.施設概要について

(1) 回答者職種

医師 1 名 臨床工学技士 99 名

看護師 4 名 事務 3 名その他 1名

1%

91%

4% 3% 1% 医師

臨床工学技士

看護師

事務

その他

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(2) 施設形態

国立 1 施設 市町村立 2 施設 その他の公的医療機関 2

施設 医療法人 87 施設 その他の法人 6施設

個人病院 4施設 その他 2 施設

(3) 入院病床数

0 床 46 施設、 1~19 床 12 施設、

20~99 床 7 施設、100~199 床 14 施設、

200~299 床 7 施設、300~499 床 8 施設、

500 床~7 施設、 未記入 3 施設

(4) 透析ベッド数

0 床 2 施設

1~9 床 3 施設、 10~19 床 16 施設、

20~29 床 23 施設、 30~39 床 17 施設、

40~49 床 17 施設、 50~59 床 14 施設、

60~99 床 8 施設、 100 床~4 施設、

(5) 透析患者数(PD のみ実施者を除く)

0 人 4 施設、 1~19 人 6 施設、

20~49 人 13 施設、 50~99 人 31 施設、

100~199 人 36 施設、 200 人~12 施設、

無効回答 2施設、

(6) 透析室の設置階数(重複回答あり)

1 階 35 施設、2 階 45 施設、 3 階 24 施設、

4 階 7 施設、5 階 4 施設、 6 階 2 施設

7 階 0 施設、 8 階 2 施設、 9 階 1 施設

(6) 透析実施クール数

クール数 月 火 水 木 金 土

なし 1 4 1 4 1 4

1クール 11 25 11 25 11 25

2クール 69 69 69 69 69 69

3クール 21 4 21 4 21 4

無効回答 2 2 2 2 2 2

合計 104 104 104 104 104 104

(7) 透析業務従事者数

1)医師

1 名 32 施設、 2~3 名 41 施設、4~5 名 18 施設、

6~9 名 9 施設、10 名~2 施設、 無効回答 2施設

2)臨床工学技士

1 名 6 施設、2~3 名 25 施設、 4~5 名 26 施設

6~9 名 21 施設、 10~19 名 23 施設、20 名~3 施設

1% 2% 2%

83%

6% 4% 2% 国 市町村 その他の公的医療機関 医療法人 その他の法人 個人 その他

2% 3% 15%

22%

16%

16%

14%

8% 4% 0 1~9 10~19 20~29 30~39 40~49 50~59 60~99 100~

4% 6% 12%

30% 35%

11% 2% 0 1~19 20~49 50~99 100~199 200~ 無効回答

29%

37%

20%

6% 3% 2% 0% 2% 1% 1階

2階 3階 4階 5階 6階 7階 8階 9階

31%

40%

18%

9% 2% 1

2~3

4~5

6~9

10~

44%

11% 7%

13%

7% 8%

7% 3% 0 1~19 20~99 100~199 200~299 300~499 500~

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3)看護師

1~2 名 8 施設、 3~5 名 22 施設、6~9 名 33 施設

10~19 名 30 施設、 20 名~9 施設、 無効回答 2施設

3.防災計画の策定について

Q1. 地震等を想定した防災マニュアルを策定している

( はい の場合は Q1-1にも回答)

はい 87施設、 いいえ 15施設、 不明 2施設

Q1-1 防災マニュアルの定期的な見直しを行っている

はい 67施設、 いいえ 14施設、不明 2施設

Q2. 地域のハザードマップの予測被害地域内に位置し

ている ( はい の場合は Q2-1~2にも回答)

はい 36施設、 いいえ 44施設、不明 23施設、

無効回答 1施設

Q2-1 予測被害地域内の場合、災害の種類について教え

ください(複数回答あり)

地震 27施設、 津波 11施設、 河川洪水 11施設、

土砂災害 4施設、 液状化 11施設

Q2-2 予測被害地域内の場合、その災害を想定した防災

マニュアルを策定している

全てに策定 7施設、 一部に策定 19 施設

策定していない 8施設、 不明 1 施設、 無効回答 1施設

Q3. ライフライン(電気・ガス・水道等)の停止を想定

した防災訓練を行っている

はい 40 施設 いいえ 62 施設 不明 2 施設

Q4. 透析室内の災害対策として実施している事項

(複数選択可)

6%

24%

25% 20%

22%

3% 1 2~3 4~5 6~9 10~19 20~

8% 22%

32% 29%

9% 1~2 3~5 6~9 10~19 20~

いいえ 14%

不明 2%

定期的に見直している

77%

いいえ 16%

不明 7%

策定している

84%

35%

42%

22%

1% はい

いいえ

不明

無効回答

0 5

10 15 20 25 30

地震 津波 河川洪水

土砂災害

液状化 その他

19%

53%

22%

3% 3% 予測される全ての災害について策定

一部の災害について策定

策定していない

不明

無効回答

38%

60%

2% はい

いいえ

不明

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● その他

・透析液供給管はガイド管を使用したフレキシブルチュ

ーブ採用

・透析液供給装置は耐震ジェルマットで固定

・窓ガラスフィルム貼り、落下防止対策

・ベッドとコンソールが大きく離れないようにワイヤー

でつなげている

・装置のみアンカーボルト固定

・点滴スタンドと装置の一体化、避難セットの配置、装

置のベルト固定

・監視装置とベッドの結束

・原水供給ライン 2系統の新設

・透析液供給装置と RO 装置のアジャスタ固定

・水の運搬手段をしてある

・カウンターや棚上に物をおかない

・透析液供給装置と RO 装置をゲルセーフにて固定

Q5 他の医療機関との間で災害時の連携・応援体制を策

定している

( はい の場合は Q5-1にも回答)

はい 40施設、 いいえ 52施設、不明 11施設、

無効回答 1施設

Q5-1 連携・応援体制の種類 (複数回答可)

医療従事者の派遣 34施設、 患者搬送 29施設、

医療品提供 24 施設、透析用水提供 12 施設、その他 5 施

Q6 情報伝達を目的に透析情報の類を患者様に持参して

いただいている

( はい の場合は Q6-1にも回答)

はい 75 施設、 いいえ 25 施設、不明 3施設、

無効回答 1施設

Q6-1 情報提供の種類(複数回答可)

印刷した帳票類 11施設、 印刷したカード類 61施設、

手帳等に記載 11施設、 その他 1施設

4.建物の構造的耐震性について

Q7. 透析室のある建物の耐震構造

(新耐震基準 1981年 6月の建築基準施行令による)

旧耐震基準に準拠 16施設、新耐震基準に準拠 64施設、

制震構造 2施設、免震構造 6施設、

その他 1施設、 不明 15施設、無効回答 2施設

96施設(92%)

98施設(94%)

39施設(38%)

63施設(61%)

13施設(13%)

施設割合[%]

その他

透析液供給装置・RO装置の壁面との接続部にフレキシブルチューブの採用

透析液供給装置・RO装置のアンカーボルト固定

患者ベッドのキャスターロック

38%

50%

11% 1% はい

いいえ

不明

無効回答

0

10

20

30

40

医療従事者の派遣

患者搬送 医療品提供

透析用水提供

その他

72%

24%

3% 1% はい

いいえ

不明

無効回答

11

61

11 1 0

50

100

施設数 印刷した帳票類 印刷したカード類

手帳等に記載 その他

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5.備蓄・必要物資の確保について

Q8. 飲料水の備蓄計画を策定している

( はい の場合は Q8-1~2にも回答)

はい 53 施設、 いいえ 45 施設、 不明 6 施設

Q8-1 飲料水は入院患者の他、職員の分も備蓄している

はい 43施設、 いいえ 6施設、 不明 4施設

Q8-2 飲料水の備蓄量

~半日分 3 施設、 ~1 日分 11 施設、~3 日分 30 施設、

~5日分 2施設、~1週間分1施設、 ~2週間分 0施設、

2 週間~1 施設、 不明 4 施設、無効回答 1施設

Q9. 食糧の備蓄計画を策定している

( はい の場合は Q9-1~2にも回答)

はい 51施設、 いいえ 45施設、不明 6施設、

無効回答 2施設

Q9-1 食糧は入院患者のほか、職員の分も備蓄している

はい 40施設、 いいえ 6施設、 不明 4施設、

無効回答 1施設

Q9-2 食糧の備蓄量

~半日分 1施設、~1日分 8 施設、~3日分 37 施設、

~5 日分 2 施設、~1週間分1施設、~2週間分 0施設

2 週間~0 施設、不明 2施設、無効回答 1施設

Q10. 非常時に備えた透析用医薬品、材料の備蓄計画を

策定している

( はい の場合は Q10-1~2にも回答)

はい 66施設、いいえ 35施設、 不明 2施設、

無効回答 1施設

Q10-1 備蓄している医薬品のリストを作成している

15%

60%

2% 6%

1% 14% 2%

旧耐震基準に準拠

新耐震基準に準拠

制震構造

免震構造

その他

不明

無効解答

51% 43%

6%

飲料水を備蓄

いいえ

不明

81%

11% 8%

職員分も備蓄

いいえ

不明

6%

21% 56%

4% 2% 0% 2% 7% 2% ~半日分

~1日分 ~3日分 ~5日分 ~1週間分 ~2週間分 2週間~ 不明 無効回答

49% 43%

6% 2% はい

いいえ

不明

無効回答

78%

12% 8% 2%

はい

いいえ

不明

無効回答

2% 16%

72%

4% 2% 0% 0% 4% ~半日分

~1日分

~3日分

~5日分

~1週間分

~2週間分

2週間~

不明

63% 34%

2% 1% はい

いいえ

不明

無効回答

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はい 43施設、いいえ 18施設、不明 2施設、

無効回答 3施設

Q10-2 医薬品の備蓄量

~半日分 0施設、~1日分 3 施設、~3日分 25 施設、

~5 日分 7 施設、~1週間分 22 施設、~2週間分 6施設

2 週間~0 施設、不明 2施設、無効回答 1施設

Q11. 災害発生後の必要物資の調達方法について、予め

関係業者と調達計画を定めている

( はい の場合は Q11-1にも回答)

はい 24施設、 いいえ 67施設、不明 12施設、

無効回答 1施設

Q11-1 調達方法について定めている必要物資

(複数回答可)

医薬品 19施設 医用材料 17施設 医療機器 9施設

食糧 4施設 燃料 13施設

6.給水設備について

Q12. 透析用水の供給源

(上水道のみ または混合の場合は Q12-1にも回答)

上水道のみ 66施設、上水道と地下水の混合 31施設、

地下水のみ 7施設

Q12-1 上水道の供給元浄水場名称

知っている 65施設、知らない 14施設、無効回答 18施設

Q13. 受水槽を利用している

( はい の場合は Q13-1にも回答)

はい 95施設、 いいえ 8施設、 不明 1施設

Q13-1 受水槽の容量

~半日分 26施設、~1日分 28施設、~2日分以上 7施設、

不明 29施設、無効回答 14施設

65%

27%

3% 5% はい

いいえ

不明

無効回答

0% 5%

38%

11%

33%

9% 0% 3% 1% ~半日分 ~1日分 ~3日分 ~5日分 ~1週間分 ~2週間分 2週間~ 不明 無効回答

23%

64%

12% 1% はい

いいえ

不明

無効回答

19 17

9 4

13

施設数

医薬品

医用材料

医療機器

食糧

燃料

63% 30%

7% 上水道のみ

上水道と地下水の混合

地下水のみ

67% 14%

19% 知っている

知らない

無効回答

91%

8% 1% はい

いいえ

不明

25%

27% 7%

28%

13% ~半日分

~1日分 2日分以上 不明

無効回答

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Q14.災害時(停電時でも)使用可能な井戸設備等がある

( はい の場合は Q14-1~2にも回答)

はい 30施設、 いいえ 71施設、 不明 3施設

Q14-1 飲用可能な井戸設備等である

はい 29施設、 いいえ 1施設

Q14-2 井戸設備等は透析用にも使用可能である

はい 28 施設、 いいえ 2 施設

7.電気設備について

Q15. 非常用電源として透析装置へ供給可能な自家発電

機を設置している

(はい の場合は Q15-1~2にも回答)

はい 39施設 いいえ 65施設

Q15-1 自家発電の燃料の種類

Q15-2 備蓄燃料による自家発電機の稼働時間

~3時間 2施設、~6時間 7施設、~半日 3施設、

~1日 9施設、~3日 13施設、~1週間 1施設、

1週間~1施設、不明 3施設

Q16. 持ち運び可能はポータブル発電機を所有している

はい 20施設、いいえ 72施設、不明 5施設、

無効回答 7施設

8.燃料の確保について

Q17. 都市ガス・プロパンガス・軽油など、異なる複数

種類のエネルギーを利用している

はい 27施設、 いいえ 67施設、不明 8施設、

無効回答 2施設

Q18. 備蓄燃料の種類(複数回答可)

プロパンガス 12施設、重油 14施設、 灯油 6施設、

軽油 22施設、ガソリン 3施設、その他 4施設、

備蓄なし 55施設

29%

68%

3% はい

いいえ

不明

97%

3%

はい

いいえ

はい 93%

いいえ 7%

いいえ

63% 38%

5% 54%

0% 3%

はい 37%

重油 灯油 軽油 ガソリン その他

5%

18% 8%

23% 33%

2% 3% 8% ~3時間 ~6時間 ~半日

~1日 ~3日 ~1週間 1週間~ 不明

19%

69%

5% 7% はい

いいえ

不明

無効回答

26%

64%

8% 2% はい

いいえ

不明

無効回答

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●その他

都市ガス、カセットボンベ、太陽光発電

9.通信設備について

Q19. 災害時用の通信手段を設置している

(はい の場合は Q19-1にも回答)

はい 65 施設 、いいえ 34 施設、不明 3施設、

無効回答 2施設

Q19-1 設置している通信手段の種類(複数回答可)

災害時優先固定電話 52 施設、災害時優先携帯電話 12 施

設、MCA無線通信9施設、 衛星電話 16施設

Q20. 非常時も使用できる院内連絡用トランシーバまた

は PHSを備えている

はい 46施設、いいえ 49施設、不明 4施設、

無効回答 5施設

10.患者搬送手段について

Q21. 災害時に使用できる患者搬送手段を有している

(はい の場合は Q21-1にも回答)

はい 71施設 いいえ 30施設 不明 3施設

Q21-1 調査日時点で所有している手段

乗用車 47 施設、バス(10 人乗り以上)、 救急車 16施設、

その他(ドクターヘリ、車椅子移動車)

Q22. 患者搬送や物資搬送用のヘリコプターの離発着陸

が可能である (はい の場合は Q22-1にも回答)

はい 11施設、いいえ 87施設、不明 4施設、

無効回答 2施設

Q22-1 離発着陸可能な場合、ヘリポートの位置

病院建物上部 3施設、病院敷地内 5施設、

病院敷地外 3施設

12 14 6 22

3 4

55

施設数

プロパンガス

重油

灯油

軽油

ガソリン

その他

備蓄なし

62% 33%

3% 2% はい

いいえ

不明

無効回答

52

12 9 16

施設数

災害時優先固定電話

災害時優先携帯電話

MCA無線通信

衛星電話

44% 47%

4% 5% はい

いいえ

不明

無効回答

68% 29%

3%

はい

いいえ

不明

47

17 16 11

施設数

乗用車

バス(10人乗り以上) 救急車

その他

10%

84%

4% 2% はい

いいえ

不明

無効回答

27%

46%

27% 病院建物上部

病院敷地内

病院敷地外

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11.その他

Q23. 災害対策として効果的な取り組み(自由記載)

Ø 東葉クリニックグループで各施設の場所が離れているため被害のない施設での患者移送、職員の移動で対処する事

になっています。HFK,回路な当院の横芝に物流センターがありここから供給できるようになっています。

Ø 災害時に必要な患者教育をしかりしておく。飲水量、食べ物の種類(カリウムの高いものなど)

Ø HPなし

Ø 繰り返しの避難訓練で体にたたきこむ

Ø 病院として薬剤師が医薬品メーカー(卸業者)と覚書を協定し、災害時には優先的に災害拠点病院である当院に供

給してもらえる。

Ø 年2~数回の避難訓練→自分たちでできること、できないことが明確になる。

Ø 171災害伝言ダイアルを使用できるよう毎月 1日に訓練として行っていた。現在は外来患者の 6~7割の方が操作可

能となり訓練は 9 月 1 日~1 週間の施行としている。伝言ダイアルを使用することで病院からのお知らせを行うこ

とができ患者も災害時に行動がとれるのではないかと考えている

Ø ショッピングモール内にクリニックがあるので、年 2回防災、災害の訓練を行っている。(他の店と共同で)

Ø 地域医療施設の連携が必要と思う

Ø 年に 2回 3月と 9月に災害対策として訓練を行っている。当院では防災対策委員会が設置されており定期的に飲料

水、食糧の備蓄チェック、HD 中の緊急離脱、患者搬送、救護方法、AED の操作設定、人工呼吸法、消火器訓練、

患者保護、誘導、自衛消防隊の設置

Ø 年に 1回、当院とメールによる緊急時情報伝達訓練を行っています。

Ø 透析用給水パック 2t×2を東葉グループと共用し災害時は助け合うことになっている

Ø 災害を想定しての対策には限界があり、想定外とする 3.11があった。このような中で患者へ透析条件の書かれてい

るカードを携帯させていざという時に最低限の情報を透析してくださる施設へ提供すべきと考え透析情報カードを

携帯させたい。断水時に簡易給水車で何度か対応して透析を行いました。

Ø 病院全体の災害対策とは別に透析独自の対策を行い年に 2回 Pt講習を行う

Ø 患者参加型避難訓練

Q24. 貴施設における災害対策の問題点や地域連携で図るべき災害対策等の意見(自由記載)

Ø 入院施設が無いため、他院との連携を図りたい。

Ø 当院では市内での透析患者受け入れ施設になっていますが同じ市内にある透析施設との連携会議などが行われてい

ないのが実情です。今後は市を中心として具体的かつ実効性のあるマニュアル作成などが必要なのではと考えてい

ます。

Ø 災害が発生した時、実際にどう南部地域で連携するのか動くのか情報がわからない

Ø 3/11大震災には、地方の為公共交通機関が少なく患者送迎の際、渋滞やガソリン不足があった。また計画停電の際

にも実施されたり、されなかったりする事があり、地域連携および共助を図るために正確な情報(交通、インフラ

等)の提供、医療に対する優先ルール(エネルギー、物資等)の対策が必要だと考えられる。

Ø 自家発電装置と燃料電池装置はあるが透析室には供給していない。地下水も自家発電揚水可能であるが透析には使

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えない

Ø 半月に 1回ほど地域連携を行った小規模な災害訓練は行った方が良いと思います。

Ø 地域拠点病院における血液浄化療法センターの患者受け入れ体制の流れ等地域ごとで意見交換ができれば良いと思

Ø 当透析センターは3階にある為、避難時(搬送時)大変苦労することが予想される。災害拠点病院となっている為、

災害時どれくらい患者さんが集まるのか予想が難しく、前もっての対策が立てにくい

Ø 災害時の簡易的なマニュアルの策定を急いでいるところです。今回のアンケートで当施設に医薬品や材料の備蓄が

ないことに気づき準備をすすめます。

Ø 貸しビルの為自由に改善できない。スタッフの他施設との交流

Ø 現在の建物は旧耐震基準のため少しでもすみやかに避難することが課題となる。そのため患者のベット配置を看護

必要度を見ながら組むようにしている。(避難階段に近い所に自立している患者を配置)・地域連携としては災害に

関しての話合いはないため、今後、近隣の透析施設間や地域包括支援センター又、介護部門の方々との情報交換会

等を検討している。

Ø 透析用井戸施設を有しているが自家発電システムがないため電気が復旧しないと透析を継続することが不可能であ

る。地下水は水質的には飲料用にしても問題はないレベルではあるが飲料用として申請はしていない。

Ø 透析条件の書かれているカードを患者へ携帯させて、いざという時には、地域の連携をはかり患者の受け入れを行

うとして頂きたい。

Ø 電気、水道は 2系統化に設備し安定供給が可能と思われます。しかしながら当院が被災し、特に電気(電源)の供

給が失われ、復旧に時間を要した場合、病院機能(透析治療)が滞り、多くの患者様に影響が懸念されます。

Ø 3.11東日本大震災時は浦安地区の水道破裂等の現象が有り、市川行徳では市水は給水されていたが給水圧を抑えて

いたため透析用には使えず、安定供給される迄の一週間は妙典給水場からの給水車を直結で使用させて頂きました。

水の必要性を水道局に説明しても御理解頂くまでに若干の時間がかかってしまった。透析に限らず地域内一般家庭

も含めて周知作業を前もって行う事ができればと考えています。

Ø アンケートに飲料水、食糧の備蓄について書いてあるのですがスタンダードでしょうか。備蓄する内容も知りたい

です。

Q25. 今後、技士会や各種団体にて取り組むべき透析医療災害対策について、ご意見、ご要望等がありましたらお教え

ください(自由記載)

Ø 県に対して意見できるように取り組んでもらいたい。

Ø 各病院の代表者が集まり、地域全体での会議を行える取組み。・災害時の透析施設の被災状況及び受入可能情報をま

とめて発信する。

Ø 例えば患者情報(HD 条件が主になると思うが)カードなどはフォーマットを統一し、全ての施設で運用する事な

どが必要なのではないでしょうか?また、訓練や講習会など年に複数回実施して頂ければ参加しやすいと思います。

Ø 地域を遠くした広域連携(関東と関西など)

Ø 技士会主催の研究会などでやるのはどうでしょうか?

Ø 災害時の備蓄は各々の病院に委ねられているが”中央化”した備蓄団体の様なものがあれば情報と材料を一元管理

できるのではと思います。

Ø 各施設での避難訓練

Ø 地域連携のモデルの様なものを提示してほしい

Ø 地震を体感する装置にコンソールとベットを実際に持ち込んでみたいです。

Ø 県内外の病院(透析施設)との連携を強化して欲しい

Page 11: 「千葉県透析医療における災害対策アンケート調査」の結果報告 · 推進すると共に地域版防災資料を作成し、災害時の支援活動に繋げる。

Ø 大災害においては被災地はなにもできない。もし、インフラが大丈夫ならば、ボランティアの受け入れ時にボラン

ティアが混乱しないよう、業務マニュアル、支援システムマニュアル、電カルマニュアル、機器マニュアルを作成

し被災地職員が少ない状況でもボランティア被災地スタッフに気がねなく医療を行えるようにすることが望ましい。

Ø 災害時、停電時、透析施設への優先的な電気の復旧。計画停電の免除。又、給水車の優先的な手配等を可能として

頂きたい。

Ø 学会発表や技士会便り等で、災害対策の発表や東日本大震災で、災害対策の発表や東日本大震災で実際に発生した

施設の当時の状況を公開してほしい

Ø 正確な情報がどうしたら得られるかの対策を具体的に示してほしい

Ø 当施設はインターネット環境が普及しておらず自分の携帯を利用しています。あと透析室の携帯使用は災害時の事

があるのでハワイでは Ptも持ち込み必須な所もあるようです。日本他の施設はどうなっているでしょうか。

Ø 特にありません

【結果・考察】

Ø アンケートの回収率は 5ブロックでほとんど差が無く、内容についても平均した回答が得られたので、ブロッ

ク単位を止め全体集計にした。

Ø 回答者の職種は殆どが臨床工学技士であり、国立病院や個人病院など施設形態が異なっても、災害時に臨床工

学技士の果たす役割は大きいと考える。

Ø 医療機関の形態は半数が入院ベッドを持たない施設であった。透析ベッド数は 10床から 50床程度の施設が多

く、透析室の設置階数は 3階までに集中していた。8階や 9階の施設もあり、ビル入居の駅前クリニックを想

定した場合、避難でエレベータの使用ができない場合の困難が大きいと考えられる。

Ø 透析患者数は 50名から 200名未満で、毎日 2クール透析の施設が多く、1クールでの避難患者は 50名近いこ

とが想定される。

Ø 透析業務従事者数は施設での開きがあり、夜間帯での避難に際して人手が足りない施設も多いのではないかと

考えられる。

Ø 防災マニュアルは 8割以上の施設が策定しており、そのうち7割以上の施設で定期的な見直しが行われていた。

Ø 3割以上の施設がハザードマップの予測被害地域内に位置し、地震以外の様々な災害が想定されていた。

Ø すべての災害に対し防災マニュアルを策定している施設は7施設あったが、ハザードマップの予測被害地域内

に位置するか不明と回答した施設が 23施設あり、災害に関する意識は施設により大きな乖離がみられた。

Ø ライフライン(電気・ガス・水道等)の停止を想定した防災訓練は約 4 割の施設で行われていた。2011 年の

東日本大震災で被害を経験した施設も多く、訓練規模が大きくなっていることが示唆された。

Ø 透析室内の災害対策として、患者監視装置のキャスターフリーや患者ベッドのキャスターロックなど簡便で安

価な対策は殆どの施設で行われている反面、透析液供給措置や RO装置のアンカーボルト固定やフレキシブル

チューブの採用など比較的高価な対策は、費用対効果の施設判断により導入が異なっているようである。

Ø 5 割以上の医療機関で災害時、人員の派遣、患者の搬送、物品の提供など他の医療機関との連携・応援体制が

策定されておらず、災害時には消防や警察などの公的支援機関に頼ることが考えられる。しかし大災害の場合

は緊急対応に限界があるので、平時から近隣の医療機関と協力体制を構築しておく必要がある。

Ø 患者への情報提供は 7割以上の医療機関で行っていた。配布形態は印刷したカード類が最も多く、診察券や保

険証と一緒に携行することが想像できる。情報内容は透析施設により異なると思うが、血液型やアレルギーな

ど最低限の情報は統一・共有しても良いと考える。

Ø 耐震構造では、新耐震基準に満たない透析室のある建物が 16施設あったが、制震構造や免震構造の建物もあり、

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建物の老朽化により耐震性能の向上した建物が増えていくことが予想される。

Ø 半数の医療機関で 3日分程度の飲料水と食料が備蓄されていた。透析医薬品、材料は 6割以上の機関で 3日から

1週間分の備蓄がされていた。可能であれば、昨年 2月の大雪による交通マヒによる配送の滞りや、タイの洪水に

よる血液回路の不足などの経験から備蓄量を増やせればと考える。相反して、飲料水や食料の備蓄を行っていな

い医療機関が半数あり、透析医薬品や材料を備蓄していない機関も 3割以上ある。災害時、必要物資の調達に関し、

関係業者と調達計画を定めていない医療機関は 6 割を超えていることを考えると、災害時の準備を行っていない医

療機関が多いといえる。

Ø 9割以上の医療機関が受水槽を利用していた。災害時は給水車による透析用水として想定していると考えられるが、

受水槽の容量と透析可能人数を試算しておく必要がある。

Ø 3 割近くの医療機関で停電時でも使用可能な井戸水設備を有しており、ほとんどが飲料可能で透析用水にも使用で

きた。災害時には給水車の到着が期待できないことも考えられ、停電時にも飲料水や透析用水を確保できる井戸設

備を有することは心強いと考えられた。

Ø 非常電源を有さない医療機関は 6 割以上あった。患者生命を預かる医療機関には優先的に電源が与えられるものと

想定していたが、先の計画停電では医療機関でも停電による透析治療の中止を経験した。また、道路の寸断等の理

由で供給が遅れることも想定され、医療機関側でも準備をすることが望ましいと考える。

Ø 非常用電源として透析装置に供給可能な自家発電を設置している 39施設の稼働時間は様々であった。

Ø 都市ガスや太陽光発電を含め異なる複数種類のエネルギーを利用している医療機関は 3 割未満であったが、送電が

止まった際、燃料や太陽光による電気の確保が出来ることは、医療機関として非常に有利といえる。

Ø 災害時の通信手段を有している施設は 6 割で、ほとんどが災害時優先固定電話であった。衛星電話や非常時に院内

通話が可能なトランシーバや PHSを備えている施設もあったが、逆に非常時に外部との連絡手段を有さない施設も

3割あった。

Ø 災害時の患者搬送手段としては救急車の他に、乗用車やバスを有する施設が多く、それ以外には患者送迎車、ドク

ターヘリがあった。また患者輸送手段を有さない施設は 3 割近くあったが、公共の救急車などの利用を想定してい

ると考えられた。

Ø 患者搬送や物資搬送用のヘリコプターが離発着可能な施設は 11施設で、ヘリポートは病院建物上部や敷地内、敷地

外 500mと様々であった。

Ø 丘陵地帯が多い千葉県では雨による冠水などで通行が遮断する場合が多くある。患者を移送する際、ヘリポートを

有する医療機関までの道路が寸断することも考えられるので、施設近辺に離発着陸が可能な土地を確認しておくこ

と必要である。