「マルドリ方式施設設計支援システム」...

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「マルドリ方式施設設計支援システム」 使用マニュアル Ver. 2.01_0 平成 29 年 11 月 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 西日本農業研究センター・農村工学研究部門

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「マルドリ方式施設設計支援システム」

使用マニュアルVer. 2.01_0

平成 29 年 11 月

国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構

西日本農業研究センター・農村工学研究部門

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目 次

1 利用にあたっての注意事項・・・・・・・・・・・・・・・ 1

2 配布データの内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

3 コンピュータの環境の確認・・・・・・・・・・・・・・・ 3

4 設計の基本・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4

5 起動と終了・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

6 操作の概略・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7

7 水源データについて・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8

8 制御部データについて・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9

9 樹列・屈折点の登録・削除について・・・・・・・・・・・ 10

10 樹列・屈折点の設定について ・・・・・・・・・・・・・ 11

11 管材選択について・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12

12 点滴チューブの設定について・・・・・・・・・・・・・ 13

13 ブロック設定について・・・・・・・・・・・・・・・・ 14

14 結果表示について・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15

15 表示部設定について・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

16 データ入出力について・・・・・・・・・・・・・・・・ 18

17 応用操作・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19

18 設計サンプル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20

19 参考資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23

「マルドリ方式施設設計支援システム」使用許諾条件……巻末

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1

1 利用にあたっての注意事項

(1)利用条件の確認

(2)選択できる資機材

(3)資機材の価格

巻末の「使用許諾条件」を読み,同意できる場合のみ,本システムを利用してください。「使用許諾条件」は,本システムの「使用許諾条件」のリンクからも見ることができます。

本システムでは,使用する資機材を選択肢から選んで指定します。これは設計を省力的に行うことを目的としたものであり,マルドリ方式施設に使用する資機材を指定するものではありません。今後,選択肢は追加または変更されることがあります。

本システムでは,選択した資機材の価格の概算値を示す機能を持ちますが,計算に使用している単価は単なる参考値であり,定価または市場価格の平均値などのように明確な根拠のある値ではありません。したがって,本システムの算出価格で資機材を購入できることを保証するものでは

なく,実際に購入する際の価格とは大きく異なる場合があります。資機材購入の際には,必ず販売業者に価格をお問い合わせ下さい。

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2 配布データの内容

(1)プログラムとデータ

(2)その他の配布ファイル

本システムのプログラム本体と,初期化用データやサンプルデータとして以下のファイルを配布しています。

• marucad.jar - システム本体。• 初期データ .dat - 初期設定に戻す場合に読み込むデータ。• サンプルデータ .dat - マニュアル中で使用するサンプルデータ(直接読み込み

可能な形式)。• 設計データサンプル .txt - マニュアル中で使用するサンプルデータ(テキスト

データ)。• 設計データサンプル .xlsx - マニュアル中で使用するサンプルデータ(エクセル

データ)。

その他,以下のファイルを配布しています。

• readme.txt - 配布ファイルの概要。• muldori_information.html - 関連情報の htmlファイル。• muldori_license.html - 使用許諾条件の htmlファイル。• mulcad.css - 関係 htmlファイル用スタイルシート。• tubeloss.png - htmlファイルで使用する画像。• valveloss.png - htmlファイルで使用する画像。

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3 コンピュータの環境の確認

(1)Java のインストール状況の確認

本システムを使用するには,お使いの環境に最新の Javaがインストールされている必要があります。お使いの環境の Javaのインストール状況の確認は,下記ページを参考にして下さい。http://cse.naro.affrc.go.jp/shima/muldori/java_check.html

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4 設計の基本

 マルドリ施設は概ね下図のような資機材で構成されます。かん水時,すなわちパイプや機材の中を水が流れているときは,右図のように水圧が変化します。施設設計の基本は,かん水時の点滴チューブの圧力を計算で予測し,すべての点滴チューブの圧力が必要最小限の圧力を下回らないようにすることです。ただし,費用や利便性を考慮して最終的な設計案を決定します。

 なお,本システムは,圧力補正機構つきの点滴チューブの使用を前提としています。圧力補正機構とは,チューブの圧力が一定範囲内であれば,点滴孔から出る流量(一定時間内に出る水の量)が一定に保たれる機構です。 また,本システムでは,水圧をすべて水頭(水の深さに換算した値)で表します。水圧の単位の換算は,概ね次の通りです。 1 mH2 O(水頭) = 0 .1 kgf/cm2 = 0 .01 MPa

バルブ閉

バルブ開

水面は同じ高さ

圧力は標高が低いほど大きい圧力は標高が低いほど大きい

連続的な圧力損失局所的な圧力損失

バルブやフィルタ,管の曲がりなど

ブロック1

ブロック2

給水管

高さ?

面積?

ブロック数?

圧力は十分?

バルブフィルタ

液肥タンク

導水管

太さ?機種?

液肥混入器

設計事項

水源タンク

点滴チューブ

マルチシート

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5

5 起動と終了

システムを起動するには,ファイル“marucad.jar”を実行します。正常に起動すると,以下のような 2つのウィンドウが開きます。主要な構成要素は図に示した通りです。ただし,使用するコンピュータ環境によって表示のデザインは異なります。

起動時に表示部に示されている「制御部」とは,第4章の資機材構成図に示した,フィルタからバルブまでを一カ所に設置することを前提とした,これら一式のことです。青い線が給水管,緑の線が樹列です。樹列とは,1本または 1組の点滴チューブでかん水される樹の列です。青線の番号はブロック番号,緑線の番号は樹列番号です。なお,水源から制御部までの導水管は図として示されません。

操作ウィンドウ操作パネル切替メニュー

メッセージ表示部

表示ウィンドウ

各種の操作や,データの入力を行う。

決定ボタン各パネルで入力する場合に,最後に押して入力を確定させる。

操作の種類毎に,操作部のパネルを切り替える。

各種の補足情報やエラーメッセージを表示する。

入力データや計算結果が表示される。

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起動時は表示部は縦横 100 mの範囲を表示しています。下図のように,表示部では制御部を原点 (0 ,0 ) として,右方向へ x軸,下方向へ y

軸を取って位置を表現します。長さの単位は mです。起動時に,自動的に樹列 1が作成されます。樹列 1の上流端(給水管に接続される端)の座標は(0,10),下流端は(20,10)です。つまり,制御部の真下 10 mの位置にある長さ 20 mの樹列です。

終了するには,ブラウザを終了してください。なお,一度に複数のシステムを起動しないでください。動作が異常になる場合があ

ります。また,使用中に表示が乱れた場合は,ブラウザを最小化してから再び元の大きさに

戻すと直ることが多くあります。それでも戻らない場合は,ブラウザを一度終了してから起動し直してください。

X軸方向

原点Y軸方向

10m

20m

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6 操作の概略

 操作の概略は概ね以下のようになります。

• ・行おうとする操作に合わせて操作パネル切替メニューでパネルを切り替え,データを入力し,決定ボタンを押します(決定ボタンの不要なパネルもあります)。

• ・メッセージ表示部に,補足メッセージやエラーメッセージが表示されることがあるので,適宜参照してください。

• ・「結果表示」パネルで各種の結果を確認し,不都合があればデータを変更します。• ・これらの作業を繰り返して,最終的な設計案を決定します。システムを初めて使用する場合は,まず,パネル切替メニューで各パネルを順次表

示してみてください。操作の内容がある程度理解できると思います。操作パネルは以下の 10枚であり,それぞれについて次章より解説します。

1)水源データ2)制御部データ3)樹列・屈折点の登録・削除4)樹列・屈折点の設定5)管材選択

6)点滴チューブ7)ブロック設定8)結果表示9)表示部設定10)データ入出力

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7 水源データについて

(1)水源の種類

(2)標高

(3)制御部までの距離

(4)「高所タンク」以外の水源を使用する場合

現在のバージョンでは,選択できるのは「高所タンク」だけです。「高所タンク」とは,園地より高いところに設置した貯水タンクであり,水面は常に一定の高さにあると仮定します。

タンクの水面の高さを入力します。ただし,通常はタンクの底の高さとした方がより安全です。なお,高さの基準点は自由に取ることができます。たとえば,水源の標高を 0 mとし,樹列の標高をマイナス値で入力することもできますし,園地の一番低いところを 0 mとして,そこからの高さとしてすべての標高を扱うこともできます。

第4章の機材構成図に示した,導水管の長さです。直線距離ではありません。

「高所タンク」以外の水源を使用する場合については,現在のバージョンでは次のようにします。ポンプを使う場合には,かん水時の流量を大雑把に予測してそのときのポンプの圧

力を標高として計算し,流量が確定したら,それに対応したポンプ圧力を再入力します。圧力調整弁を使用する場合は,圧力調整弁の設定値を標高として入力します。たとえば,圧力調整弁を 4 kgf/cm2に設定するなら,標高を 40 mとします。

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8 制御部データについて

それぞれ,使用する機材を選択します。使用しない機材については,「*なし*」のままにしておきます。なお,現在のバージョンでは,フィルタの複数設置には対応していません。

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9 樹列・屈折点の登録・削除について

このパネルでは,樹列と屈折点の登録と削除を行います。屈折点とは,右図のような,給水管が曲がる点です。樹列と屈折点は,まずこのパネル

で追加登録してから,「樹列・屈折点の設定」パネルで位置を入力したり,「ブロック設定」パネルで所属ブロックを指定したりします。登録時は自動的にブロック 1の最も下流に追加されます。下の図は,樹列を 1つと屈折点を 1つ,順次追加した場合の表示です。このパネルでは,「決定」ボタンは使用しません。

屈折点

樹列を追加 屈折点を追加

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10 樹列・屈折点の設定について

ここでは,登録した樹列または屈折点の位置の情報等の入力を行います。第5章で説明した通り,位置は制御部を原点として,右へ X軸,下へ Y軸を取って

定めます。樹列については上流端と下流端の座標,標高,および列内の樹の数を入力します。

屈折点については,位置の座標と標高を入力します。ただし,現在のバージョンでは,第12章で記すように,樹の数は点滴チューブを

渦巻き方式で設置する場合のみ意味を持ちます。したがって,渦巻き式で設置しない場合は列内樹数の入力は 0のままで問題ありません。また,屈折点の標高も考慮しませんので,入力値は意味を持たないため,これも 0のままで問題ありません。樹列の標高は,実際の樹のうち最も高いものの標高とするのが最も安全な方法です。入力値の精度は,± 1 m程度の誤差があってもたいていの場合は実用上問題ありま

せん。1つのデータ入力毎に,「決定」が必要です。なお,入力中に改行キーを押しても,「決

定」ボタンを押した場合と同様に動作します。

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11 管材選択について

ここでは,導水管(水源から制御部までの管)および給水管(制御部から各ブロックまでの管)の規格を指定します。管種と径をそれぞれ選択します。「決定」は,全データを指定後に一括して行うことができます。その際,選択した規格の一覧が表示されるので確認してください。それぞれの管規格の詳細な情報は,システム情報サイトの「マルドリ資機材情報」

のページから得ることができます。

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12 点滴チューブの設定について

ここでは,使用する点滴チューブの規格と,チューブの設置方式を設定します。チューブ規格の詳細は,システム情報サイトの「マルドリ資機材情報」のページか

らご参照ください。現在のバージョンでは,チューブの設定は全樹列同一となります。ブロック毎に異

なる設定にする場合は,ブロック毎の結果の計算をするときにそれぞれチューブの設定を行ってください。片側蛇行,両側蛇行ともに,現在のバージョンでは樹の数などに関わりなく,チュー

ブ長は直線の場合の 1 .4倍とします。渦巻きの場合は,現在のバージョンでは,渦巻き長は 4 .5 mに固定で,チューブを

連結するパイプは ISO規格 16 mm管に固定です。

• ユニラム RC-30 cm2 .3 L:ネタフィム社,ユニラム RC,流量 2 .3 L/h,ピッチ 30 cm

• ユニラム RC-30 cm1 .0 L:ネタフィム社,ユニラム RC,流量 1 .0 L/h,ピッチ 30 cm

• ラム 17:ネタフィム社,ラム 17(旧型),流量 2 .3 L/h,ピッチ 30 cm

• ドリップネット _20 cmピッチ:ネタフィム社,ドリップネット,流量 1 .0 L/h,ピッチ 20 cm

• ドリップネット _30 cmピッチ:ネタフィム社,ドリップネット,流量 1 .0 L/h,ピッチ 30 cm

• ナーン PC-16 -1 .6:ナーンダン社,NaanPC,径 16 mm,流量 1 .6 L/h,ピッチ 30 cm

• ナーン PC-16 -2 .1:ナーンダン社,NaanPC,径 16 mm,流量 2 .1 L/h,ピッチ 30 cm

このバージョンでは,以下の製品が選択可能です。

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13 ブロック設定について

ここでは,以下のような多くの作業を行えるので注意してください。また,「決定」ボタンは表示部を再描画するだけであり,ブロックや樹列などのデー

タ変更は入力した時点で確定されます。したがって,「決定」しないでパネルを切り替えると表示とデータに一時的に相違が生ずるのでご注意ください。

(1)ブロックの追加と削除

(2) ブロック内の樹列と屈折点の接続順序の変更

(3)樹列と屈折点の所属ブロックの変更

「ブロック追加」ボタンを押すと空のブロックが 1つ追加されます。また,「操作するブロック」で 1つのブロックを選んで「ブロック削除」ボタンを押すとそのブロックが削除されます。ただし,削除する前に,後に示す方法でブロックを空にしておかなければなりません。

「操作するブロック」で選んだブロックに属する樹列と屈折点が「ブロック内の樹列」に上流から順番に表示されます。順序を変更したい樹列または屈折点を選んで「上流へ」または「下流へ」ボタンを

押すと給水管で接続する順序が変更されます。

たとえば,樹列1をブロック1からブロック2に移動する場合は,「操作するブロック」でブロック 1を選び,「ブロック内の樹列」で樹列 1を選び,さらに「樹列の所属ブロック変更」でブロック 2を選んで「ブロック変更」ボタンを押します。

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(1)点滴チューブの圧力

(2) 「その他の損失」の設定

(3)「マルチ幅」の設定

各樹列の点滴チューブの圧力は,ブロック毎に表示しますので,「表示するブロック」でブロックを選び,「決定」ボタンを押すと右図のように樹列番号の下流側に点滴チューブの圧力が表示されます。単位は mH2 O(水頭表示でメートル)です。このとき,圧力が過大であれば背景が

赤,適正なら白,過小なら黄色で表示します。過去の結果が表示されたままだと紛らわしいことがありますので,「計算結果の消去」ボタンで表示を消去できます。

パイプの曲がりや継ぎ手部分などの圧力損失は,圧力計算において考慮していません。そのため,ここで「その他の損失」として加算します。ブロック毎に異なる値を設定できます。 通常,一律に 2 .0 mとしてよいでしょう。また,システムで選択できない資機材を使用する場合なども,その資機材による圧

力損失を別途計算し,その値をここで設定して加算します。

この値は,資材量と費用の計算だけに使われます。ブロック毎に設定できます。

14 結果表示について

圧力過大

適正

過小

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(5) 資材量の表示

(4) 最低必要ブロック数の表示

(6)概算費用の表示

「資材量の計算」ボタンで以下のような情報が表示されます。パイプ類は,同じ規格のものを合算しています。これらの値はシステムに入力され

た値だけから算出していますので,最終的な必要量は,実際の園地に設置するときの状況を十分に考慮して決定してください。マルチの面積は,指定し

たマルチ幅に各樹列の長さをかけるだけで算出しています。また,点滴チューブを蛇行式で設置する場合は,現在のバージョンでは樹列の長さに一律に 1 .4をかけた値としています。

ブロック分割数の最低必要数を表示します。現在のバージョンでは,液肥混入器の最大許容流量と点滴チューブの流量だけに基

づいて算出しています。ブロック数は,さまざまな事項を考慮して決定する必要がありますので,ここで示

される数で十分ということではないことにご注意ください。

「概略費用の計算」ボタンで以下のような情報が示されます。資材量と同様,システムに入力された情報だけから算出していますので,管継ぎ手

などの費用は含まれていません。また,コントローラを必要とするバルブを選択している場合は,コントローラの費用を含んでいませんのでご注意ください。第1章に記したとおり,算

出根拠としている単価は参考情報に過ぎませんので,実際の価格は販売業者にご確認ください。

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15 表示部設定について

表示部の図の移動や拡大・縮小を行います。起動時は表示部の横幅,縦幅ともに 100 m,制御部の位置はx,yともに 50 mに設

定されます。それぞれの値の意味は下図に示すとおりです。表示部に見えているのは確保されている描画領域の一部で,スクロールバーを用いてスクロールすることにより,全領域を表示できます。それぞれの値は自由に変更できます。「倍率」は,1 mに対応するピクセル数で,大きくすれば表示される図が大きくなります。倍率を変更しても,実長で指定した他の値に対応して表示領域も変更されます。

スクロールバー

確保されている描画領域(スクロールすれば表示できる。)

制御部の位置(x方向)

表示部の横幅

制御部の位置(y方向)

表示部の縦幅

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18

16 データ入出力について

データの一覧表示と一括入力は,「決定」すると下図のような画面が表示されます。一覧表示データは一定のルールに従って記述されており,そのまま一括入力で読み

込むことができます。そのため,一覧表示の内容をテキストエディタ(Windowsならメモ帳など)などにコピーして保存すれば,データをすべて保存・読込することができます。また,コンマ区切りデータとして表計算ソフト(エクセルなど)で読み込み編集することもできます。その場合,表計算ソフト上から直接コピーしても,タブ区切りデータになっていれば読み込み可能です。一括入力は,区切り記号として,カンマとタブが使用可能です。

ファイルの書き出し,読み込み機能はで扱うデータファイルは,特殊な形式ですので本システムでしか読み書きできません。

データの一覧表示 データの一括入力

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19

17 応用操作

(1)本システムで選択できない資機材の使用

(2) 樹列データ入力の簡略化

本システムでは,あらかじめいくつかの資機材のデータが用意されており,設計ではリストから選択する形で入力できます。しかし,選択できない資機材を使用する場合は,利用者自身でプログラムの追加を行う,資機材の製造または販売業者などにプログラムの追加を依頼する,当センターにプログラムの追加を依頼するなどが考えられますが,第 14章に記したように,管材以外の水源や各種機材については「その他の損失」として取り扱うことがで きる場合が多くあります。水源や各種機材は,流量を定めれば損失や圧力が定まる場合が多いので,別途算出

したこれらの値をもとに「その他の損失」として補正値を入力することで必要な結果を得ることができます。

樹列や屈折点の位置データは基本的に各点の座標を入力しますが,計算上必要な値は長さと高さだけであるため,これらの値が実際の値と合致していれば表示上の位置は設計計算には影響しません。そのため,状況によってはこれらのデータを簡略的に,あるいは図を見やすくするために実際とは異なる位置として入力することができます。

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18 設計サンプル

「マルドリ技術マニュアル」p.28の図 39(下図)にほぼ対応するように作成したサンプルデータを示します。

水源タンク液肥混入器

バルブ ディスクフィルタ

本文 6.5)

液肥タンク

10

11

11

9樹

9樹

10

10

32mm管

25mm管

25mm管

16mm管

灌水チューブ(渦

巻4.5m) 水源から

の落差15.4m

16.2m

ブロック1

ブロック1

ブロック2

ブロック2

17.1m

18.0m

18.8m

19.7m

20.5m灌水チュ

ーブ(往復蛇行)

距離35m

距離

10m

距離17.5m

樹列間隔は全て2.5m 樹列長は全て25m

園地傾斜20度

片側チューブ長 32.5m流量 139cc/s(32.5×2×2.13)

31.8m136cc/s

流量 96cc/s(渦巻長4.5m×樹数10×2.13)

86cc/s

105cc/s

31.8m136cc/s

31.2m133cc/s

JIS規格1インチポリパイプ

16mm,25mm,32mm管は国際規格管(ISO規格)

1.2m

1.88m蛇行配管の長さ

0

5

10

15

20

8.2

m

9.0

m

9.9

m

5.9

m

6.6

m

7.4

m

8.2

m

チューブ末端の圧力(5m以上確保する)

水源からの落差 (m

)

地盤

管の摩擦

損失水頭の計算

構成例

0.4(図31で,管内径28.0mm,距離35m)

0.44(図31で,管内径21.2mm,距離10m,

流量288cc/s)

0.05(〃,流量192cc/s)

0.02(〃,105cc/s)

0.6(図36で,樹数10,渦巻4.5m,間隔2.5m)

0.6(1列目と同じとする。)

0.6(〃)導水管

灌水チューブ

バルブまでの

損失水頭(流

量 288 cc/s)

1列目末端ま

での損失

2列目3列目

0.03

(〃,136cc/s)0.10

(〃,268cc/s)

0.76

(〃,31.8m)

4列目

1.30(管内径28.0mm,距離35m)

0.75(図31で,管内径27.2mm,距離17.5m,流

量543cc/s)

0.21

(〃,管内径21.2mm,距離2.5m,流量404cc/s)

0.81(図35で,チューブ長32.5m)

0.76(〃,31.8m)

ディスクフィルタ 0.064(図33で,40~120メ

ッシュの線)

0.26液肥混入器 3.19(

図34で,DR-6の線)

6.18バルブ 0.47(図32)

0.72

管の曲り等 2.00(本文 6.

3) )

2.00

バルブまでの

損失水頭(流

量 543 cc/s)

1列目末端ま

での損失

2列目

0.72

(〃,31.2m)

3列目

参考資料9.システム水理設計(4)

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図39 システム水理設計の例

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「マルドリマニュアル」図 39 対応サンプルデータ

水源 [ 種類 ] [ 標高 ] [ 制御部までの距離 ]高所タンク , 0 .0 , 35 .0

制御部 [ 液肥混入器 ] [ フィルタ ] [ バルブ ]ドサトロン DR-6 , Arkal ディスク 1 インチ #40 -120 , アクアプロ

ブロック [ 番号 ] [ その他の損失 ] [ マルチ幅 ]1 , 2 .0 , 3 .0[名称] [標高] [上流X] [上流Y] [下流X] [下流Y] [樹数]屈折点 1 , 0 .0 , 1 .0 , 5 .0樹列 1 , -15 .4 , 1 .0 , 10 .0 , 26 .0 , 10 .0 , 10樹列 2 , -16 .2 , 1 .0 , 12 .5 , 26 .0 , 12 .5 , 9樹列 3 , -17 .1 , 1 .0 , 15 .0 , 26 .0 , 15 .0 , 11

ブロック [ 番号 ] [ その他の損失 ] [ マルチ幅 ]2 , 2 .0 , 3 .0[名称] [標高] [上流X] [上流Y] [下流X] [下流Y] [樹数]樹列 4 , -18 .0 , 0 .0 , 17 .5 , 25 .0 , 17 .5 , 11樹列 5 , -18 .8 , 0 .0 , 20 .0 , 25 .0 , 20 .0 , 10樹列 6 , -19 .7 , 0 .0 , 22 .5 , 25 .0 , 22 .5 , 9樹列 7 , -20 .5 , 0 .0 , 25 .0 , 25 .0 , 25 .0 , 10

導水管国内規格(JIS)一般用 1 種管 25 mm

給水管 [ ブロック番号 ] [ 規格 ]1 , 国際規格(ISO)25 mm2 , 国際規格(ISO)32 mm

点滴チューブラム 17 , 渦巻き (4 .5 m)

表示部 [ 倍率 ] [ 制御部 X] [ 制御部 Y] [ 横幅 ] [ 縦幅 ]10 .0 , 50 .0 , 50 .0 , 100 .0 , 100 .0

ブロック 2の計算の際には両側蛇行に変更

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計算結果は以下のとおりで,両側蛇行の場合のチューブ長がマニュアルでの計算より長いため,樹列 4で若干圧力が不足する結果となっています。

図を見やすくするため便宜的に配置

ブロック1は渦巻きで計算

ブロック2は両側蛇行で計算

32mm

末端まで

 に設定

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19 参考資料

必要に応じて以下の資料を参照してください。

• 森永邦久ら,マルドリ方式技術マニュアル,http://www.naro.affrc.go.jp/warc/original_contents/tech/category3 /index.html(2003)

• 森永邦久ら,カンキツ生産の新しい技術マルドリ方式,近畿中国四国農業研究叢書1,http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/laboratory/warc/other/072967 .html(2005)

• 農林水産省構造改善局計画部編,土地改良事業計画指針 マイクロかんがい,(1994 )

• オラクル社の Java関係ソフトウェアダウンロードサイト,http://java.com/ja/

以下,かん水資機材関連会社,五十音順。• ディスクフィルタなどのメーカ,アミアド社のWebサイト(英語),http://www.

amiad.com/

• 日本での点滴かん水資材の取り扱い会社,イーエス・ウォーターネット社のWebサイト,http://www.es-waternet.co.jp/

• 日本での点滴かん水資材の取り扱い会社,サンホープ社のWebサイト,http://www.sunhope.com/

• 液肥混入器などのメーカ,ドサトロン社のWebサイト(英語),http://www.dosatron.com/

• 点滴チューブなどのメーカ,ナーン・ダン・ジェン社のWebサイト(英語),http://naandanjain.com/

• ネタフィム社を中心とした点滴チューブなどの資材取り扱い会社,ネタフィムジャパン社のWebサイト,http://www.netafim.jp/

• 液肥混入器などのメーカ,TEFEN社のWebサイト,http://tefentech.com/

• 点滴チューブなどのメーカ,リブリス社のWebサイト(Plastro社と合併) http://rivulis.com

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「マルドリ方式施設設計支援システム」使用許諾条件                               平成 29 年 9 月 15 日                国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構                マルドリ方式施設設計支援システム提供担当者

 「マルドリ方式施設設計支援システム(登録番号 機構- N01 )」(以下「システム」とします)に含まれる主処理プログラム(ファイル名 "marucad.jar" および "muldori.jar",以下「プログラム」とします)の著作権は,独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構(以下「機構」とします)に帰属します。また,システムに含まれる,プログラム以外の情報は,それぞれ著作権者が異なる場合があります。 システムを使用した場合,同時に使用者は以下の条件に同意したものと見なします。なお,システム内のプログラム以外の情報について,以下に定めのない事項に関しては一般的な著作物と同様に取り扱ってください。

(第1条)使用者は,第2条以下の条件に反しない限り,プログラムを複製することができます。また,複製したプログラムについても,第2条以下の条件が適用されるものとします。

(第2条)プログラムは,使用者本人,および使用者と利害関係がなく,使用者がプログラム使用に関して監督可能な者(所属組織における部下や家族など)だけが使用できます。

(第3条)プログラムによって得た結果を第三者に提供する場合には,いかなる理由および形態によっても結果の提供の対価を受け取ることを禁じます。

(第4条)システムの使用により生じた一切の結果について,直接的および間接的な損害を含め,機構は一切責任を負いません。

(第5条)システムの利用に関するサポート,システムの欠陥の改善および機能の向上について,機構はその義務を負いません。

(第6条)機構は,システムに関する利用状況や効果等の調査のための情報収集を行うことがあります。これに対し,使用者は積極的に協力していただくものとします。

(第7条)プログラムを自ら改変することを希望する使用者にはプログラムのソースコードを提供し,その改変を許諾します。

(第8条)第7条によりソースコードの提供を受けた使用者は,提供を受けたと同時に,改変を行った場合は改変した部分のソースコードを機構のシステム配布担当者に提出するとともに,改変により生じたすべての二次的著作物について,その著作権を機構に譲渡し,機構が改変および公表することに同意したものと見なします。

(第9条)別途に機構と契約を締結しない限り,使用者は機構からのシステム利用の対価要求を拒否できます。

(第 10 条)本使用許諾条件は,機構により今後予告なく変更されることがあります。その場合,機構は条件変更の公表は行いますが,全使用者への周知の義務は負いません。また,使用者は,条件変更を承知の有無にかかわらず条件変更に同意したものと見なします。ただし,第9条に反する条件変更についてはこの限りではありません。

(第 11 条)使用者は,本使用許諾条件を一部でも遵守しない状況に至った場合は,システムおよびそのすべての複製物について直ちに使用を中止し,これらを機構に返納していただくか,または廃棄していただきます。

(第 12 条)本許諾条件は,使用者がシステムを機構に返納するか,廃棄するまで有効とします。                                     以上

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プログラムバージョン 2 .01 用初版,平成 29 年 11 月 9 日