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日本のMaaS目指すべき方向性と課題 Ver. 2020.8.11 横浜国立大学 副学長 大学院都市イノベーション研究院 教授 中村文彦

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Page 1: 日本のMaaS 目指すべき方向性と課題日本のMaaSの 目指すべき方向性と課題 Ver. 2020.8.11 横浜国立大学副学長 大学院都市イノベーション研究院教授

日本のMaaSの目指すべき方向性と課題

Ver. 2020.8.11

横浜国立大学 副学長

大学院都市イノベーション研究院 教授

中村文彦

Page 2: 日本のMaaS 目指すべき方向性と課題日本のMaaSの 目指すべき方向性と課題 Ver. 2020.8.11 横浜国立大学副学長 大学院都市イノベーション研究院教授

講演の構成

•都市交通の方向

•新しい動きの理解

• MaaSの理解

•日本の目指すべき方向性

• コロナ禍を受けて さらに

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講演の構成

•都市交通の方向

•新しい動きの理解

• MaaSの理解

•日本の目指すべき方向性

• コロナ禍を受けて さらに

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Keywords for discussion

提起するキーワード

WALKABLE

RELIABLE

ENJOYABLE

SUSTAINABLE

未来の都市交通の課題

都市交通の方向性の整理例

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WALKABLE (human oriented space)

安全な空間の確保Safe Space Provided

(Bangkok)

適切な運用Appropriate Use

(Vientiane)

公共交通と共存Share with Buses

(Himeji)

道路地下化の工夫Underground Road

(Kunming)

水辺空間再生Waterfront Rebuilt

(Seoul)

熱帯気候対応For tropical Weather

(Singapore)

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RELIABLE (public transport)

法令遵守Compliance at Busway

(BRT, Jakarta)

混雑による遅れDelay by Congestion

(Siam, BTS, Bangkok)

既存小型車両活用Small Vehicle Use

(Jeepney, Manila)

オンラインバイクタクシーOn-line Motorcycle Taxi

(GOJEK, Jakarta)

バス高速輸送システムBus Rapid Transit

(Transjakarta, Jakarta)

高架通勤鉄道Elevated Railways

(BTS, Bangkok)

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ENJOYABLE (stations and streets)

海岸眺望の駅Station with Sea-View

(Hitachi)

朝市と街路Morning Market

(Ekachai, Bangkok)

鉄道駅構内市場Market inside Station

(Insein, Yangon)

バスターミナル併設市場Market & bus terminal

(CBS, Vientiane)

歴史的建築物と街路Colonial Building

(Strand, Yangon)

公園と駅前広場Station with Parks

(West Gate, Oita)

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SUSTAINABLE (for anyone)

Perspective for Cities

都市の視点

Human-Oriented

Environment-Friendly

History-Appreciated

SustainableCreative

Diversity

SAFE AND

SUSTAINABLE

MOBILITY GOALS

安全で持続可能なモビリティの目標

Freedom

移動の自由度Choice

移動の選択肢

Important Aspects

for transportation

交通の重要な視点

WALKABLE

RELIABLE

ENJOYABLE

Environment 環境

Less burden for

Environment

低環境負荷

Walk, Bike, Public

Transport

徒歩、自転車、公共交通

Economy 経済

Financial

Stability

財政的安定性

Utilization of

Existing Transport

既存手段有効利用

Equity公平

Social

Inclusion

社会的包摂

Consideration for

Elderly and Disabled

高齢者、障害者配慮

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交通は

•今の都市の問題の解決につながるか?

•今後、予見される都市の問題の解決につながるか?

•都市を望ましい方向にひっぱっていけるか?

•都市を変えていけるか?

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交通政策の課題とはなんなのか?

•安全で円滑(渋滞解消)なのは当然。

•安全で円滑 だけでは済まされない。

•社会課題の解決のために

•都市・地域の持続可能性のために

•生活の質の確保、保持、改善&向上のために

• 新技術の活用の合理性もここにある。

•自家用車への過度な依存からの脱却が必要。

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「自動車への過度な依存脱却」の理解のために

キャプティブとチョイス

• キャプティブ(固定層):いつも同じ交通手段

• チョイス(選択層):場合によって交通手段を使い分ける

• 新しい交通サービスや都市のかたちが、自動車キャプティブの人をチョイスの人に変貌させられるか?

• いろいろなチョイスのかたち• ほぼほぼ自動車でたまに公共交通• ならせば半々くらいで自動車 などなど• 年間1000トリップのうち900自家用車の人が800になって、街中を歩くことが増えたら(どうやって測定するか?)• こういうデータがとれる時代になれば、こういう議論ができる。

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講演の構成

•都市交通の方向

•新しい動きの理解

• MaaSの理解

•日本の目指すべき方向性

• コロナ禍を受けて さらに

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新しいキーワード(三題噺)→シェアリング、自動運転、MaaS

•流行の絶頂期→高い関心

•一儲けする vs. 地域課題解決

•現実課題噴出

•実証実験重ねて様子をみていく

•個別交通手段の質をあげる等地道な努力を怠らない

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新しいキーワード(三題噺)→シェアリング、自動運転、MaaS

•シェアリング•公共交通利用を減らしている?•道路混雑を増やしている?

•自動運転•まだまだお金がかかる?•運賃箱と乗務員が義務づけられているバス?

•MaaS•個別の交通手段の質が悪いまま?•地域のすべての移動選択肢を含めていない?•割高な月額制なら利用されない?

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最適化

•最適な都市はありえない• →宇沢弘文先生他「最適都市」参照

• 実現象はトレードオフの組み合わせ。その中で折り合いをつけていく。都市を扱う人は安易に最適化などというべきではない。

•例• すべての人が完全に満足できる移動を実現できるか?

• システム最適化→これはあり得る。• 例:都市全体のすべての移動需要を実現しつつ、総燃料消費量を最小化する。

•全個人の移動の最適化→これが無理• みんな少しずつ我慢して妥協してなりたつ。その合意点を求めることはできるけど、それは最適状態ではない。

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オンデマンド

• いつでもどこでも乗れる便利なオンデマンドバス

•大嘘!!! いつでも乗れるわけではない。

•乗る場所や時刻の選択肢候補が相対的に多い?• 従来のバスよりも多い

• タクシーよりは少ない

•利用者が支払う費用、システム維持に行政が負担する費用が許容範囲• 従来のバスより? タクシーより?

• あくまで他のサービス形態との比較での評価

•歴史的な蓄積・経験を無視してはいけない。

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シェアリング

• 個人所有促進の第一歩としてのシェア• フランスの自転車シェアVelib、同電気自動車シェアAutolib

• 個人所有を減らすためのシェア• ドイツの住宅団地でのカーシェア

• 自家用車利用がすべてカーシェアになっても。。。• 駐車場需要は減る?

• 最大必要台数の車両が深夜一斉にどこかで駐車しているはず

• 台キロは減る?• 自動車トリップの一部が徒歩や自転車や公共交通に代われば、あるいはトリップ数が減れば、変わる。そうでなければ不変

• ビジネスモデルになると。。。。• 供給過剰による混乱(中国の自転車シェア、各国のライドシェア)• 管理コスト節約による混乱(フランスのオートリブ等)

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自動運転の理解 利用者目線

利用者・乗客からみた場合。

• 自動運転の自家用車

• 素敵な運転手さんのタクシー

違いは?

• 自動運転のバス

• ロボット・アンドロイドが運転しているバス

• ベテランの運転士さんが運転しているバス

違いは?

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例題:自動運転のバスの運賃箱

•路線バスは無料ではいけない。

•路線バスは、現金で乗車できないといけない。

→運転士や係員のいないバスはあり得ない。

•現金を受け付けないバス

•運転士(係員)がチェックしなくてもよいバス

日本で実現することが先決に思えるけど。

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新しい交通の技術によって

• 便利になる という考え方をしない。

• 移動の選択肢が増える

• 移動の自由度が増える

• 人々の行動が変わる• 行動の変更と行動の変容は意味が異なることに注意。

• 選択行動の規範、そのベースの価値観まで変わると変容

• まちづくりのプランナー・・デザイナー・アーバニストとして• 人々の行動がどのように変わってほしいのか?• どうなるとよいのか? (「よい」とは?)

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講演の構成

•都市交通の方向

•新しい動きの理解

• MaaSの理解

•日本の目指すべき方向性

• コロナ禍を受けて さらに

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MaaS

Mobility

As

A

Service

地域内のすべての移動手段(バスだけでなく)まとめてサービス(検索、予約、決済)する概念(データも蓄積されていく)

必ずしもスマホのアプリに限定しない

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MaaSの出現

• 2016年 ヘルシンキ(フィンランド)

•市内の鉄道、地下鉄、路面電車、バス、自転車シェアリング、カーシェア、ライドシェア、オンデマンドバスまでも一括で案内。

• スマホ上で予約と決済ができる。

•自家用車利用者の平均費用を目安とした月額使い放題サービスの実施

• その後各地で流行に。

•日本でも2019年度19地域で実証実験

•産官学連携団体JCoMaaSの立ち上げ(代表理事:中村文彦)

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ヘルシンキのローカルコンテクスト

•地球温暖化問題解決への高い意識• 自家用車利用を減らすという明確な政策目標

• ノキア発祥の国としての情報通信先進国のプライド

• もともと公共交通が一元的に管理運営されている

• シェアリングやオンデマンドサービス、自動運転など、都市交通の最先端技術の先行的導入経験豊富

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MaaS

Mobility As A Service

地域内のすべての移動手段(バスだけでなく)

まとめてサービス(検索、予約、決済)する

概念(データも蓄積されていく)

手間が省ける↓

人々の行動を変え課題解決↓

交通以外領域の目標達成

①情報提供②予約③決済④月極利用⑤ビッグデータ活用

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MaaSへの誤解?

• MaaSだけで問題が解決するわけではない

• MaaSは既存交通手段の統合だけではない

• MaaSは適用空間によってやることが異なる• 大都市、郊外、中山間等

• MaaSは人流だけを扱うわけではない

• MaaSはアプリ開発ではない

•課題• データ活用(実態、課題、潜在力分析)

• 実証実験の意味

筑波大学名誉教授石田東生先生メモを参考に

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心配なMaaS(1)

• MaaSの推進のために ???

• MaaSが普及することが目的 ???• MaaSと言えばお金がもらえる ??

• うまくいかなそうなら、すぐにやめればよい ??

•地域の解決すべき課題は放置 ???

•囲い込み活動、縄張り争い、市民不在 ???

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心配なMaaS(2)

• いざというとき(事故や災害発生)に使える?• すぐにシステムダウンするとか?

•競争と協調の混乱を越えている?• ライバル会社の情報に不親切→その先にあるのは?

•日本型MaaS (なぜ「日本型」?)

•小規模からトライアルし、少しずつ修正していくのは良いが、途中は不完全であることの理解が必要。

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日本でのMaaSに対する懸念

• なんのため?• 社会的意義or民間事業者の儲け(囲い込み)

• 自家用車依存を下げるため• あれば便利=なくても困らない のレベルでは駄目だろう。

• 大枠の政策課題:環境改善、交通事故抑止、高齢者社会包摂、障害者外出支援、防災(被災直後の復旧活動移動支援)、地方都市中心市街地活性化、

• データ蓄積機能(戦略評価分析に資する)

• だれがやる?• 運輸事業者 → ライバル事業者を排除する危険性• 自動車関連産業 → 政策意識希薄 シェアリング重視• オープンな共通データ基盤が前提• 利用者インターフェイスは一元的

• どうやる?• 制度面:旅行業との調整他

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都市交通でのMaaSへの期待

• MaaSは、つなげるきっかけになる• 交通手段間を

• 既存技術と新技術を

• 生活と交通を

• 将来ビジョン(目的)と政策ツール(手段)を

• データ解析とマーケティングを

• そのためにも• 実証実験は数多く

• 本格実施は、地域で包括的に官民役割分担(リスク分散、責任明確化)

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位置づけの再整理

• ゴールからの整理

•住みよい都市• その目標を支えるためにできること

•住みよい都市での移動• 移動の抱える問題を解決するためにすべきこと

• Maasは、あくまで道具• 目的達成のために上手に使うことが目的

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政策領域でいくなら

•環境問題

•防災&災害復興問題

•地域活性化問題

•健康問題

(渋滞解消などという議論はしない)

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もっと身近に 例:福祉連携だと

•未来の医療をイメージする• 在宅医療&遠隔治療

• Face-to-Faceの面談を実現するには?• 診察予約と乗り物予約が同時、薬処方と帰宅乗り物予約が同時

• 薬を届けるには?

•障害のある人たちと一緒に活動する、過ごす• 同じ手順でバスでおでかけできるようになるには?

•子育ての苦労と楽しさをみんなで共有する• 保育園問題、保健所検診問題は交通と無関係?

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関連分野で積極的に研究展開・発信へ

• 通信が高速かつ強靭でなければ

• 選択肢たる車両がしっかりとしていなければ

• 道路交通インフラが強靭でなければ

• 電車、バス、シェアリングシステムの管理ソフトの充実

• 人々の行動変化分析(ミクロ経済的に)

• ビジネスとしての持続性(企業経営、マクロ的なキャッシュフロー

• 社会問題解決との連携• 多文化共生、男女共同参画、ダブルケア• 障害のあるひとたちの社会参加• 環境問題解決貢献 SDGs• 子育て、教育との連携(大きな移動ニーズ)

• 法制度との関係• 独禁法との調整• 道路関連と運輸関連の諸法制との調整

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講演の構成

•都市交通の方向

•新しい動きの理解

• MaaSの理解

•日本の目指すべき方向性

• コロナ禍を受けて さらに

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地域の課題を解決し、地域の未来を先導するMaaSへ

•地域の課題の解決 (人々の行動を変えていく)• 自動車起因問題(交通事故、環境負荷、福祉課題、地域衰退)

• 自然災害の問題→避難、復旧、復興への貢献

• データ解析+新しいサービス(予約、月額)→行動変更へ• 自家用車を使わない外出の機会を増やす

• そもそも外出の頻度を増やす

•地域の未来を先導する• 多世代定住のために

• 地域の産業育成のために さまざまな産業と交通の連携へ

• 豊かな文化の継承のために

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敢えて投げかける視点;心の健康

•都市の中心はオフィスではなく劇場・スタジアム• 余暇は余る暇ではなく人間の根源

• 東京はスポーツや観劇を楽しめる街か?• 空間にも交通システムにも、わくわくも余韻もない

•本当に必要な移動は、お散歩。• 通勤、通学、通院だけ考えていてよいのか?

•観光の意味はもっと多面的にとらえたい• 市民による地元の再発見がまちを強くする

• たまにorときどきでかける場所が多いことの価値• それを支えるツールとしてのMaaS

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講演の構成

•都市交通の方向

•新しい動きの理解

• MaaSの理解

•日本の目指すべき方向性

• コロナ禍を受けて さらに

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非常事態宣言下で学んだこと

•感染症のほんとうのことはなかなかわからない。

• オンラインで出来ることの発見• オンラインで出来ないことの確認

•移動しなくて(させなくて)済むことの発見• 移動が絶対に必要な場面の確認

•通勤混雑(ピーク時集中)の大幅改善可能性• ピーク時で稼ぐビジネスの崩壊可能性

•郊外居住と近距離通勤の選択可能性• 都市と農村の結婚である本来の田園都市思想へ回帰

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この先にあるもの

•移動の中身の多様化• 頻度の多様化、時間帯の多様化、目的の多様化、距離の多様化、同行者の多様化、交通手段の多様化

•近距離の増加&健康志向→徒歩や自転車の増加• 限られた道路空間で、歩行者や自転車をより優遇→自動車の利用はある程度制限せざるを得ない

→ある程度まとまった輸送の公共交通は必ず活用

•公共交通を成り立たせる理屈• 終日需要が平準化する仕組み→料金制とコストモデル工夫

• 中心地区地価上昇に伴う税収増や健康向上に伴う医療費補助節約分が公共交通にまわる仕組み