「毒」がたまっています。 あなたの体には、 毎日︑老廃物を ... · 2016. 4....

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あなたの体には、

毎日︑老廃物をはじめとした

「毒」がたまっています。

1

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それが積み重なると︑

体の中はどんどん「濁った川」のように︑

汚れてしまいます︒

2

5th_doku_20160415.indd 2-3 2016/04/15 14:26

でも︑その毒を抜く

画期的な方法があります︒

それを実践すれば︑

体の中は「澄んだ川」のように

ちゃんときれいになるのです︒

4

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じつは︑

多くの病気や体調不良は︑

体にたまった毒が原因で起こっています︒

︱︱たとえば︑こんな症状です︒

肝臓病

腎臓病•

動脈硬化

便秘

栄養失調

尿毒症

心臓病

脳疾患

血液疾患

心臓疾患

内臓系疾患

体調不良

めまい

中枢神経系疾患

末梢神経系疾患 •

睡眠障害

免疫系疾患

うつやストレス

6

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でも︑安心してください︒

これらの症状は︑

体に毎日たまる毒を抜きさえすれば、

ちゃんと改善していくのです︒

8

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はじめに

私は薬剤師免許を持ちながら、約二〇年にわたり外資系製薬会社で新薬の開発

に携わってきました。そして、今では薬学部トップクラスの大学において、最年

少客員教授となり、教きよう

鞭べん

をとっています。

薬が人間に与える影響を長年、それこそ毎日のように休まず観察していくうち

に、私はあるひとつの事実に気づきました。

それは、体が丈夫な人もそうでない人も、「毒をためなければ健康になる」と

いうことです。

信じたくない話かもしれませんが、私たちの体には毎日、確実に毒がたまって

います。その毒は、少量であれば問題ないのですが、どんどんたまっていくと、

次のようなさまざまな臓器や器官に異常をもたらします。

今からその︑

毒を抜く方法をお伝えしたいと思います︒

まずは﹁はじめに﹂をお読みください︒

11 10

はじめに

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・肌 ・血管 ・胃 ・腸 ・肝臓 ・心臓 ・肺 などなど……。

体の各部位の機能を低下させるこの毒こそ、私たちが健康になることを阻害し

ている最大の障壁であり、元をたどればさまざまな病気の原因となっているもの

なのです。

でも、過剰に恐れる必要はありません。

なぜなら、体に毎日たまる毒が原因なら、それを取り除けばいいからです。し

かも、誰でもできる簡単な方法がちゃんとあるのです。

毒は毎日の食事でつくられる

その方法をお伝えする前に、そもそも毒とはいったいなんなのかを説明しま

しょう。

多くの人は「毒」というと、青酸カリやヒ素のような死に至る危険な毒物を思

い浮かべることでしょう。一般の人はそういった危険な毒物に接することはほと

んどないため、体に毎日毒がたまるといわれてもピンとこず、大丈夫だと思って

しまうかもしれません。ところが、そう簡単に安心はできないのです。

なぜなら私たちの生活には、一見すると無害に思える毒が、身近なところに驚

くほどたくさん潜んでいるからです。

たとえば食品添加物や呼吸するたびに吸いこんでしまう排気ガス――これらは

少量なら生死にかかわることはありませんが、健康状態にダメージを与えてしま

うという意味では、まぎれもない「毒」であるといえるでしょう。

罪のない顔をしてわれわれを油断させてしまう、こうした「一見すると無害な

毒」こそ要注意です。

より身近なものでいうと、私たちの不調を治すはずの「薬」も、その一つにな

りえます。

たとえば、自分なりの判断で薬の種類や量を変えてしまう人をときどき見かけ

ますが、過剰な薬の摂取は体に毒をためてしまい、ますます不健康になるという

13 12

はじめに

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悪循環をもたらします。だからこそ、薬とのつき合い方をないがしろにしてはい

けません。

では、食品添加物や排気ガス、薬といったものをいっさい摂取しなければ、私

たちは健康になれるのでしょうか?

答えは「NO!」です。

なぜなら人間は毒を摂取しなくても、自ら体内で毒をつくってしまうからです。

人間は生きるために食事を通じて必要な栄養を摂取しています。その際の化

学反応によって生じる、体にとって不要なもの――これを「老廃物」と呼びます

――こそが体に毎日たまる最大の「毒」となっているからです。

通常なら、こうした老廃物は尿や便、汗、呼気などとともに体外に順次排出さ

れます。ところが、なんらかの原因でその排出のスピードが鈍り、体内に過剰に

たまってしまうと、老廃物はどんどん毒を強め、健康状態に異常をきたす原因に

なってしまうのです。

私は「薬のプロ」として、薬が人間の体にいかに作用し、いかに排出されてい

くかを観察してきましたが、体内の毒や老廃物を素早く排出できる人とそうでな

い人がいることに気づきました。

そしてどのケースを見ても、前者は常に健康でハツラツとした人生を送ってい

るのに、後者はいつも体調が悪そうで辛そうにしていました。

そうした体験を何度も重ねた結果、私は、健康になる秘ひ

訣けつ

が「体内に毒をため

ないこと」であるという確信を抱くようになったのです。

毒を抜くだけで体は健康になる!

「毒の正体」がわかったところで、話をもとに戻しましょう。

体に毎日たまる毒が原因なら、それを取り除けばいいわけです。しかも、その

方法は、決して難しいことではありません。毒をためないようにするには、次の

15 14

はじめに

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二つのことだけ気をつけて生活すればいいからです。

  ①毒をためない

  ②たまってしまった毒は、早く出す

この二つを心がけるだけで、体にたまる毒を無理なく確実に減らし、健康な体

をつくることができるのです。

本書ではこの二つのポイントを、生活の中でどうやって取り入れていけばいい

かを書いています。

体に毒をためないことが理想ではありますが、そうはいっても毎日食事をして

生きていくかぎり、老廃物という名の毒がたまります。だから、それをいかにちゃ

んと抜き出すか、その方法がより重要になります。

キーワードは「水」と「食事」です。

私は三〇年以上薬に携わり、「毒をためない生活」が健康に与える重要性を何

度も肌で感じてきました。本書を通して、毒をちゃんと抜く方法を実践していた

だければ、あなたが本当に健康を手に入れられると信じています。

健康になれば、毎日がとてもラクになります。

自分の好きなことができるようになり、今よりずっと幸せな人生が訪れます。

とにかく、まずは実践してみてください!

「毒をためない生活習慣」に切り替えれば、必ずやみなさんの健康状態は好転し、

人生を謳おう

歌か

できるようになることをここにお約束いたします。

17 16

はじめに

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はじめに………011

健康な人は、毒をとらない

○あなたの体には毎日、毒がたまっている………024

○高血圧を下げるのは自殺行為である………029

○薬の有用性はかなり「あいまい」………033

○「病気を治す」より「健康を保つ」ほうがはるかに大事………036

○野菜中心の偏食がスティーブ・ジョブズを殺した………041

○炭水化物は「肉」でも十分代用できる………044

○体力回復の特効薬は「ドリンク剤+ビタミン錠剤」が最高………047

○がん細胞を殺すために、あなたは風邪を引いている………052

第1章

○寝る前に目薬をさすと、副作用のリスクが急上昇する………055

○うつ病より「ただの風邪」こそ心が病んだサインである………058

○毎日たまる毒を抜けば、血管や臓器が若返る………061

白湯を飲めばすぐ「毒抜き」できる

○毒がたまっている人の尿や便は、色が濃くてにおいがキツい………070

○水の飲み方しだいで、毒は誰でもすぐ出せる………076

○風邪で入浴はOK、スポーツドリンクはNG………083

○四〇度の「白湯」を朝・夜・夜の三回飲みなさい………086

○目の疲れ、むくみ、肩こり、筋肉痛は「きれいな水」で治る………091

○整水器でつくった「アルカリイオン水」で料理をするといい………094

○鼻血が出たときに「上を向く」のは間違った治療法………098

○お酒を飲んで顔が赤くなる人は健康である………102

第2章

体に毎日たまる毒をちゃんと抜く技術 

目次

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○四日以上便秘が続く人は、年一回の「腸内洗浄」も「アリ」………105

○松井秀喜のように「コントロールできること」に努力する………109

毒抜きを助ける食事は「肉と食物繊維」

○便の色が「こげ茶色」だと野菜不足のサイン………116

○二種類の食物繊維を「二対一」の割合で食べなさい………121

○健康を考えるならしゃぶしゃぶより焼肉のほうがいい………126

○「キャベツとワカメスープ」の組み合わせが最強………129

○朝食にご飯やパンはいらない!………131

○体が整う朝食は「バナナ+季節の果物」………137

○朝食後にはコーヒーを飲むのが一番いい………141

○サプリメントの乱用は消化・吸収能力を退化させる………144

○高齢になっても元気な人は「油を使った料理」が大好き………149

第3章

○疲労回復には生ではなく「加熱したニンニク」がいい………152

もう、「たまらない体」をつくる生活術

○「足裏ウォーキング」で一七キロの減量に成功………158

○「サラサラ汗」をかけば新陳代謝は活性化する………163

○三〇分・週二回の運動で老廃物がどんどん消える………169

○食後の運動は必ず一~二時間空けてからやりなさい………173

○「青竹踏み」をすると、なぜ心臓の負担が軽くなるのか?………176

○マッサージは入浴「後」ではなく入浴「中」がベスト!………180

○夜はぬるめの半身浴、朝は熱めのシャワーにする………185

○体には、あなたが思っている以上の力がある………189

おわりに………194

第4章

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第1章

健康な人は、毒をとらない

ブックデザイン………

ISSHIKI

協力…………………………………

ネクストサービス株式会社 

松尾昭仁

編集協力………………………

株式会社コンセプト21、梅村このみ

編集…………………………………

綿谷翔、蓮見美帆(サンマーク出版)

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て体内に毒が蓄積されているからです。

毒をつくり出す微生物をヒトデや貝が食べて体内に毒をため、フグがそのヒト

デや貝を食べることで、フグの体内に毒が蓄積されるのです。

つまり、食物連鎖によって毒化しているだけで、フグそのものはもともと無毒

だということで、そのためフグの稚魚に無毒のエサだけを食べさせつづけると、

毒のないフグを育てることも可能なのです。

毒を体内にためこんでいるのは、フグだけとはかぎりません。何を隠そう、私

たち人間も毎日自分の体の中に毒をためこんでいるのです。

たとえば、私たちは気づかないうちに体にとって不要な異物である合成保存料

や合成着色料などの「毒」を取りこんでいます。

食品を長持ちさせるため、腐らないようにするためには必要なのかもしれませ

んが、これらは明らかに体にとってはよくないものです。もちろん、一回、二回

食べるぶんにはなんら問題はありませんし、腐ったものを食べるよりは保存料が

入っていて食中毒の心配がないものを食べたほうがいいという考え方もあるで

あなたの体には毎日、毒がたまっている

みなさんは「毒」というと何を連想されますか?

毒ヘビ、毒キノコ、毒グモ……どれも恐ろしげなイメージですね。でも、なか

には猛毒をその身に持つにもかかわらず、食用とされている生き物もいます。てっ

ちり(ふぐ鍋)やてっさ(ふぐ刺)などでお馴な

染じ

みのフグもその一例です。

食用のフグの卵巣や肝臓などの有毒部位には、青酸カリの約一〇〇〇倍ともい

われる強力な毒・テトロドトキシンが含まれています。日本国内では毎年およそ

五〇名のフグによる中毒患者が発生し、そのうちの数名が死亡しています。フグ

毒の死亡率はとても高く、日本で起きる食中毒死亡者の過半数はフグ毒が占めて

いるのです。

そんな猛毒を持つフグですが、意外なことにフグ自身には毒をつくり出す能力

はまったくありません。フグの体に毒があるのは、彼らが食べているエサによっ

25 24

健康な人は、毒をとらない第1章

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ぼしてしまいます。その影響は老廃物が直接触れているところだけではなく、胃・

腸・肝臓・腎臓・膀ぼう

胱こう

などの臓器、血管、神経、肌など全身に及ぶことがあるの

です。

具体的には以下のような症状に影響を及ぼす可能性があります。

・肝臓病

・腎臓病

・動脈硬化

・便秘

・栄養失調

・尿毒症

・心臓病

・血液疾患

  しょう。たしかに一つひとつの食品に含まれるこれらの量はほんの微量なものに

すぎないのですが、毎日のように保存料の入った食品を口にするとなれば軽視は

できません。

また、私たちは自分自身でも体にとってよくないものをつくり出しています。

それは、いわゆる「老廃物」と呼ばれるものです。

人間が活動するためには、水や酸素と同じように日々の食事も不可欠です。私

たちは食べ物から栄養を取り出し、それをエネルギーにして生命活動を維持して

いるわけですが、その過程で生じるのが「老廃物」です。

老廃物とは、私たちの体がエネルギーを取り出しやすくするために食物を変質

させ、必要なものを体に取りこんだあとの「残りカスの集合体」のこと。いわば、

体にとって不要なものですから、体に長く残っていては困ります。というのも、

単純に体に老廃物が残るということ以上に恐ろしい事実があるからです。

それは、この老廃物は体内に長く滞留すればするほど、体内で腐敗が進んでい

くということです。すると、さらなる「毒」が生じて、私たちの体に悪影響を及

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健康な人は、毒をとらない第1章

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本書では老廃物をはじめ、こうした体内にたまって健康を害するものを「毒」

と呼びます。

私たちの体はこの「毒」をためるか、それともためないかによって、大きく変

わってきます。いつまでたっても健康になれない人というのは、体内に蓄積する

「毒」の悪影響を強く受けている人ということにほかならないのです。

いかに毒をためないか――それが健康になるためのもっとも基本的なスタート

地点です。本章では、知らず知らず毒をためないためのポイントに触れながら解

説していきたいと思います。

高血圧を下げるのは自殺行為である

これは私の持論なのですが、風邪をはじめとする病気や体の不調というものは、

すべて自分の脳がコントロールして引き起こしたものなのだから、人工物である

薬なんかにコントロールさせてはいけないと考えています。

また、これらの症状が引き起こされたあと、改善されなかった場合、次のよう

な病気や症状も発生してしまいます。

・脳疾患

・心臓疾患

・内臓系疾患

・体調不良

・めまい

・中枢神経系疾患

・末梢神経系疾患

・睡眠障害

・免疫系疾患

・うつやストレス

29 28

健康な人は、毒をとらない第1章

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脳に酸素や栄養が不足すれば、脳細胞は次々と死んでしまうでしょうし、解毒作

用をつかさどる肝臓に酸素や栄養が届かなければ、そのうち肝不全を起こして毒

を排出できなくなってしまいます。いずれの場合も命にかかわる問題です。

そういった事態を避けるために、人間の体は血管が老齢化して弾力を失ったと

判断するとあえて血圧を上げて、末端まで血流が届くようにしている、と考える

ことができるのです。一六〇〜一七〇程度であれば、それは体からの合図です。

血圧が高い原因もわからずに下げようとする、それこそ大きな問題といえます。

ただし、一年中ずっと一六〇〜一七〇で安全というものではないので、下げて

いく努力は必要です。原因を解明しながら、薬を使わずに対処していくのが理想

です。

せっかく体が上げた血圧を薬で無理やり下げてしまえば、もしかすると体は「お

い、ふざけるな!」と叫んでいるかもしれません。薬を飲んでも血圧が下がらな

いというのは、体が必死に薬に抵抗して血圧を上げようとしていることも考えら

れるのです。

病気というのは過労などから身を守るため、あるいは体に入ってきた毒から身

を守るために、脳が警告を出して痛くさせたり、その原因を排除しようとして熱

を出させたりしているのです。

だとすれば、薬などに頼らなくても、自分の脳に治させればいい。病気を引き

起こす原因となったものを体から排除すれば、十分な効果が得られます。

このほか、私たちの体には今の自分には何が必要なのかをきちんと見極める力

も備わっています。一般的に、人間は加齢とともに血圧は上がっていくものです。

そうなると多くの人が病院に通い、血圧を下げる薬の世話になりはじめます。で

も、私は老齢化とともに血圧が上がるのは理にかなったことなのではないかと考

えています。なぜなら血管が老齢化すれば収縮力は衰え、血圧をコントロールす

るのが難しくなってくるからです。

必要なときに血管をギュッと収縮させることができないということは、脳をは

じめとする体の末梢に血液を送る力が弱まってしまうということ。血液が届かず

31 30

健康な人は、毒をとらない第1章

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に必要だと判断してコントロールしている結果だとすれば、私たちはもっと自分

の体の声に耳を傾けたほうがいい。私たちに必要なのは、薬に体をコントロール

させることではなく、自分の体の持つ力を信じてみることなのではないでしょう

か。

薬の有用性はかなり「あいまい」

大学では薬学部に進学した私が、とくに興味を持ったのは薬理学。

どういう化合物を体の中に入れたら瞳どう

孔こう

が開くのか、血管が拡張するのか、筋

肉が緩むのかといった薬が生体に与える影響を勉強する学問です。

最初は薬の効果に対して希望を持ちつつも半信半疑の状態で薬学部に入った私

ですが、実習をするうちに明らかな薬の効果を目にし、薬のよさというものを素

直に認めることができるようになりました。

薬に対してポジティブな感情を抱くようになった私はその後、外資系大手の製

また、育児中のお母さんを悩ませる子どもの好き嫌いにも、ちゃんと理由があ

ると考えています。

子どもが嫌いな野菜といえば、まず思い浮かべるのがピーマンでしょうか。私

自身、子どもの頃はあの独特の苦みが大嫌いで食べられませんでしたが、不思議

と大人になってからはおいしく食べられるようになりました。

ピーマンには血液をサラサラにする効果のある成分や血圧を下げる成分などが

あり、大人にとってはありがたい効果が期待できます。でも、そういった成分は

子どものうちは逆に体によくない「毒」だからこそ、体が不要と判断して拒絶し

ているのではないでしょうか。

だとすれば、人間の体は自分が摂取すべき栄養はなんなのか、いま食べなくて

はいけないものはなんなのか、ちゃんと判断していることになります。

年をとって血圧が高くなるのも、子どものときに好き嫌いがあるのも、脳が体

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健康な人は、毒をとらない第1章

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さらにその評価のスコアもたった五段階に分けるだけで、細かな症状には対応し

ていません。

また、薬学部では薬効に関しては詳しく勉強するのですが、副作用に関しては

それほど詳細には学んでいませんでした。だからこそ薬を肯定的に捉えることも

できたのですが、開発職になるとあらためて副作用という薬のマイナスの部分を

突きつけられたような気がしました。

新薬開発に思い入れがある人ほど、副作用はあって当然といって軽視する傾向

にありました。いつしか、私はそこに疑問を持つようになっていったのです。

新薬研究に携わり、薬の光と影のようなものを知ったおかげで、ようやく中立

のポジションから薬というものが、体にとってどんな影響を及ぼすのかといった

ことを、全体的に俯ふ

瞰かん

できるようになったのかもしれません。

だからこそ七種類もの新薬開発を必死になって手掛け、自分なりに健康を手に

するための正解とはなんなのか、薬のプロとしてさまざまなことを考え、今に至っ

薬会社に就職し、新薬開発に携わるようになりました。

そこで働いた二〇年弱の間に、B型肝炎ワクチンや抗高血圧薬、抗ヘルペス薬、

抗アレルギー薬など、七種類もの新薬の開発を手がけました。通常の新薬開発担

当者であれば一生かけて二~三種類の新薬開発に携われるかどうかといわれてい

る業界ですから、通常では考えられないような、非常に貴重な体験をさせていた

だきました。

ただ、開発職になって驚いたのが、薬の有用性を見る判断基準が思っていたよ

りも、はるかにあいまいだったということ。血圧のように数値として出てくれる

場合にはいいのですが、なかには薬の効果が数値化できないものもあります。

たとえば抗ヘルペス薬です。

この場合、治癒状態をスコア化して判定するのですが、水ぶくれがかさぶたに

なったら完治したとみる医者もいれば、かさぶたが落ちてようやく完治と判断す

る医者もいます。その判定基準は往々にして医者の主観によるところが大きく、

35 34

健康な人は、毒をとらない第1章

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てどうやって体外に出ていくのか、それをもっともよく把握しているのが、私た

ち「薬のプロ」なのです。

仕事として薬を扱い、体の中に異物を入れるという作業を常に見守っているか

らこそ、私たちは投薬による効果や副作用といった結果だけではなく、人間の体

がどうしたら、どのように健康になっていくのか、そのすべての「過程」を見て

います。

このような人間の体内における普遍的な健康の仕組みを直視しているからこ

そ、「薬のプロ」は医者とは異なる視点で健康というものの本質を考えたり、人

間の体が本来持っている力にも気づいたりすることができるのです。

医療の知識に関しては医者のほうが薬剤師よりも詳しいのは当然ですが、薬に

関しては、薬剤師は医者以上に多くの知識を幅広い分野にわたって持っています。

医者は医学部で病気の研究をし、その治療法を学びます。いわば「治療のプロ」

であり、「対症療法のプロ」です。ですから、「医者=健康のプロ」と思っている

ているのだと思います。

そのような過程を経ているからこそ、私たちの体にはいかに日々毒がたまって

いるのか、そしてその一端を、ほかでもない薬が担っているということについて、

自信を持って言えるのです。

「病気を治す」より

「健康を保つ」ほうがはるかに大事

薬を飲むということは、副作用があるとわかっていながら病気を治すため体に

無理やり人工的な異物を入れる行為です。

もちろん副作用以上のメリットがあるからこそ薬が必要とされているわけです

が、体への影響は決して小さくはありません。人間の体にしてみれば、ウイルス

などの病原体だけではなく、薬も「異物」ということになります。その異物がど

うやって取りこまれて、どうやって体の中をめぐって、どのように影響し、そし

37 36

健康な人は、毒をとらない第1章

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「塩分の取りすぎに注意して、適度な運動を心がけてください」

健診のたびにこんな医者のセリフを聞くと、耳にタコができると思う方も多い

のではないでしょうか。でも、医者からもらうアドバイスがこういった一般常識

レベルなのも、彼らが健康のプロではないと考えれば仕方がないことなのです。

たとえば、病気やケガで苦しんでいる人を「マイナスの状態」だとしましょう。

そうすると、それらが治ったときは「プラスマイナス0の状態」ということに

なる。医者はマイナスの状態にある患者を診察して治療を施し、病気ではない「プ

ラスマイナス0の状態」にまで回復させることに関しては間違いなくプロです。

とはいえ医者にできるのはそこまでで、患者の体をそれ以上の状態、つまり真

に健康な「プラスの状態」にするのは彼らの責務ではありません。

そもそも保険が適用される医療行為は、患者の命にかかわる病気やケガを治し

て現状に戻すことを目的としています。さらに上のプラスの状態を目指す薬や医

療はとても少ないのです。あえて言うのなら、美容整形外科手術などの一部の医

方が多くいらっしゃいますが、それは大きな誤解です。医学部では健康に関して

はほとんど学んでいないのです。

私たちの健康は、日々体にどれだけの毒がたまるかによって大きく左右されま

す。ということは、毒が体に及ぼす影響やプロセス、毒への対処法などを知らな

ければ、体の根本から健康を維持し、さらに高めていく方法もわかりません。少々

極端にいうならば、「毒のプロ」こそ「健康のプロ」といえるのです。

現役の医者は病気の人を診る機会は多いものの、健康な人を診察することはほ

とんどありません。健診などを通じてその機会を得たとしても、健康の秘ひ

訣けつ

まで

わかる医者はほとんどいないといっていいでしょう。

私はこうしたことからも、医者は病気を治すプロではあるが、健康という点に

関しては決してプロではないと考えています。

「健康のためにタバコをやめて、お酒は控え目にしましょう」

39 38

健康な人は、毒をとらない第1章

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か、よほどご自身で勉強されている方でないかぎり、あまり知識はないといえる

でしょう。

私たちは、健康を決定づける「異物」がいかに体内で作用し、健康にいい影響

を与えるのか、もしくは悪い影響を及ぼすのか、それこそ毎日必死に観察してい

ます。

だからこそ、私も真に体の健康状態を「プラス」に変える要因や方法に気づく

ことができたのです。

野菜中心の偏食がスティーブ・ジョブズを殺した

「ベジタリアン(菜食主義者)」という言葉はよく耳にしても、その実態を詳し

く知っているという方は、それほど多くはいないのではないでしょうか。

ベジタリアンに対する印象も人によって大きく異なると思います。ヘルシー志

向だとか、健康的なイメージを持つ人もいれば、偏った食生活に危機感を抱く人

療行為やED治療薬のバイアグラ、あるいはAGA(男性型脱毛症)治療薬のプ

ロペシアなどがそれにあたるといってもいいかもしれません。ただし、これらは

保険適用外となります。

もっとも最近では、実際の足以上に高性能なバイオニック義足や、介護分野な

どでも活躍が期待されているロボティックスーツなど、プラスの状態を目指そう

という考え方が徐々に浸透しつつあるので、将来的には医療の考え方も変わる可

能性もあります。

でも、現時点での医療や薬に関しては、原状復帰がゴールとされています。

いわば、「病気を治す」という医療行為と、「いかに健康を保つか」ということ

は、似て非なるものだということ。あくまでマイナスをプラスマイナス0にする

原状回復までが医者の仕事であり、そこから先の健康はまた別の話だということ

です。

六〇歳以上の医師には詳しい方も多くいますが、元来「治療のプロ」である医

者は、体の外から体内に入った異物がその後、体にどのような影響を及ぼすの

41 40

健康な人は、毒をとらない第1章

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二〇一一年一〇月五日、彼はすい臓がんにより五六歳という若さで亡くなりま

した。一説によれば、二〇〇三年にすい臓がんだと診断されてすぐに手術をすれ

ば、彼の命は助かったのではないかと喧けん伝でんされています。しかし、彼は手術や抗

がん剤治療などの治療を九か月にわたって拒否し、民間療法での完治を目指しま

した。残念ながらその試みはうまくいかず、のちに手術を受けたときには、すで

に手遅れになってしまっていたのです。

とはいえ、私は手術の遅れだけが彼の死期を早めたわけではないと考えていま

す。彼がベジタリアンとして長い間偏った食生活を続けてきたことが、彼の体か

ら毒に抵抗する力を奪い、ひいては、病魔に抵抗する力を奪ってしまったのでは

ないでしょうか。

たしかに、体の中で毒を生み出す老廃物の多くは、日々の食事によって形成さ

れます。

そのなかでもたんぱく質の占める割合は大きいといえるので、肉を食べないこ

とによって毒をためないようにする、という話も決してわからないわけではあり

もいるかもしれません。

ベジタリアンの語源となっているのは、野菜を意味するベジタブルという言葉

ではなく、ラテン語で「活気ある」という意味の「Vベ

EGETUS」という言葉

だそうです。つまり、ベジタリアンというのは野菜だけを食べる人をさすのでは

なく、もともとは「健康で活力がある人」を表す言葉だったのです。また、ひと

口にベジタリアンといっても、植物性食品のみを食べるビーガンや、乳卵も食べ

るラクト・オボ・ベジタリアンなど、その分類も多岐にわたっています。

ダ・ヴィンチやエジソンのような歴史的な偉人や、マイケル・ジャクソンやマ

ドンナといったエンターテイナー、あるいはカール・ルイスのような有名スポー

ツ選手まで、各界にはたくさんのベジタリアンがいます。

アップル社の創設者、スティーブ・ジョブズもそのひとりです。彼は若い頃か

ら熱心なベジタリアンで、リンゴなどの果物や非加熱の野菜以外、口にしなかっ

たといわれています。

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健康な人は、毒をとらない第1章

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肉やささみなどの良質な動物性たんぱく質です。

ご飯やパンなどの炭水化物は、体内で消化されると糖質と食物繊維に分解され

ます。この糖質が筋肉や脳が活動するときのエネルギーとなります。しかし炭水

化物には、必須アミノ酸はまったく含まれていません。

一方、肉の栄養はたんぱく質だけではなく、脂質、カルシウム、鉄分、ビタミ

ンB類など、多岐にわたります。そのため体内で消化されると、必須アミノ酸だ

けではなく、エネルギー源となる糖質も得ることができます。

つまり、炭水化物は肉の代用となることはできませんが、肉はご飯やパンなど

の炭水化物の代用となることができるということです。

よく「肉を食べ過ぎるとがんになる」とか「がんになったら菜食を心がけたほ

うがいい」と言う人がいますが、その根拠もじつにあいまいです。

肉をよく食べる人とベジタリアンを比較すると、ベジタリアンのほうががんの

発生率がやや少ないというデータもあるようですが、こういった統計そのもの自

ません。実際に菜食をはじめてから体調がいいという人がいるのもそのためで

しょう。

でも野菜や果物を食べているだけでは、人間の体には絶対に必要な栄養である

「必須アミノ酸」がどうしても足りなくなってしまいます。

炭水化物は「肉」でも十分代用できる

人間の体はたんぱく質によってできていますが、そのたんぱく質を構成してい

るのがアミノ酸です。私たちの体をつくっているアミノ酸は二〇種類あり、その

うちの一一種類のアミノ酸に関しては、私たちは体内でつくることができます。

ところが、残りの九種類のアミノ酸は体の中ではつくり出すことができません。

つまり、その九種類こそが毎日の食事で必ず摂取しなくてはいけない「必須ア

ミノ酸」であり、どれか一つが欠けても重大な栄養障害を起こす原因となってし

まうのです。これらの必須アミノ酸をすべてバランスよく含んでいるのが、赤身

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健康な人は、毒をとらない第1章

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体力回復の特効薬は

「ドリンク剤+ビタミン錠剤」が最高

人類の歴史に「薬」というものが登場したのは、紀元前数千年だといわれてい

ます。太古の人たちは気が遠くなるほどたくさんの食の経験を重ねることで、病

気の治療に効果のある食べ物や天然の薬物などを見出し、伝承してきたのでしょ

う。私

たちは「毒」というと人の健康や生命を害するものであり、「薬」といえば

病や傷を治して健康にするものと考えてしまいがちですが、毒と薬は表裏一体で

す。どんな良薬でも過剰に摂取すれば毒になる恐れがあるし、正しく服用しても

副作用が出る可能性もあるわけです。

「薬のプロ」である薬剤師も、そうした薬の本質をよく理解しています。だから

体、ある目論見があって作成された場合が多いので信しん

憑ぴよう

性は高くないと私は考

えています。

それよりも肉を食べないことで体力が落ち、がんと闘えない体になるほうがよ

ほど大きな問題です。

日本人は欧米人に比べて腸が長いので、肉を食べるといつまでも老廃物が腸内

にとどまってしまうので体によくないなどといわれます。ただ、毒をためないに

こしたことはありませんが、それによって体の抵抗力を低下させてしまっては本

末転倒といえます。

体内に日々たまっていく毒を完全にゼロにすることはできません。

ですから、必須アミノ酸を摂れないことで体の機能が低下することのほうが

ずっと怖いことなのです。

スティーブ・ジョブズは果物を中心とした食生活が彼の創造性を刺激し、成功

へと導いてくれたと主張していました。でも、その一方で偏った食生活は彼から

生きる力を奪い、その寿命を縮めてしまったのではないでしょうか。

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ドリンク剤と錠剤は効き目の速さが違うので、効果が表れるピークが二度にわ

たって訪れること、そして就寝直前に飲めばビタミン剤に含まれるカフェインの

利尿作用が表れる前に眠ってしまうので、有効成分が朝までじっくりと体の中を

めぐっている状況がつくれることからよく効くわけです。

これが、体に毒をためずに効果的に体を回復させる特効薬です。

もとより風邪薬というのは、風邪そのものを治す薬ではありません。

熱や咳、鼻水、のどの炎症といった風邪によるさまざまな症状を個々に抑える

ものです。だから、風邪を引いて病院に行くと、症状によっては解熱剤に咳止め、

抗炎症薬など何種類もの薬が処方されます。でも、そういった薬では風邪そのも

のは治せない。結局、休息と栄養をしっかり取るしかないのです。だから、薬剤

師は眠ることができないほどひどい症状が出ているときだけ、その症状を抑える

薬を服用します。

また、薬の副作用は服用する薬の種類が二倍に増えると、単純に倍になるので

こそ、彼らの薬の飲み方は普通の人の薬の飲み方とは少し異なり、極力毒をため

ずに体がもっとも健康でいられる薬のつき合い方を実践しています。

薬には病気を治すという効果がある一方で、必ず副作用という負の側面があり

ます。薬の効果も欠点も熟知している薬剤師は、必ずリスクとベネフィットを考

えて薬を使用するかどうかを判断するのです。

もし、そのベネフィットを薬以外の何かで得ることができるのであれば、その

ほうが薬を服用するよりもリスクが少なくてすむので体にいいわけです。その何

か、というのはサプリメントの場合もあれば食事の場合もあるでしょう。あるい

は、蜂蜜しょうが湯や白さ

湯ゆ

などを積極的に取り入れる人もいます。もちろん、な

かには風邪を引いたらすぐに病院で処方された薬を飲む薬剤師もいますが、私の

感覚ではそれは圧倒的に少数派です。

知り合いの薬剤師に聞いてみると、とくに多いのは就寝直前にドリンク剤と錠

剤のビタミンを同時に飲むという方法でしょうか。私もこの方法は実践していま

すが、すごく効くことを実感しています。

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起こし、最悪の結果を招いてしまったのです。

その結果、ソリブジンは発売中止となり、ひとつの有用な薬がこの世から姿を

消しました。もし、この薬を提供していた製薬会社が併用禁忌などの情報周知を

徹底していればこのような悲劇は起こらず、ソリブジンは今も効果のある薬とし

て残っていたはずです。

薬剤師は、このような薬の併用の怖さもよく知っています。

薬は飲む種類が増えれば増えるほど、そのリスクは指数関数的に増加してしま

う。だからこそ、薬剤師は本能的に薬に敏感であり、うまく薬とつき合うことで

体の健康を維持しているのです。

はなく、四倍五倍と膨れ上がります。それぞれの相互作用で思いもよらぬ副作用

が起きることがあるので、〝毒〟としての危険性はより大きくなってしまうのです。

こうした薬の併用による副作用は時に深刻な事態を招き、場合によっては死に

至るケースもあります。

かつて、ヘルペスや帯状疱ほう

疹しん

の治療薬でとても有用な「ソリブジン」という薬

がありました。単独で使用すれば激しい副作用もなく、効き目も高かったため、

多くの医者が患者に処方していましたが、現在、この薬はいっさい市場に出まわっ

ていません。それはソリブジン発売後の一年間で、この薬を抗がん剤と併用した

患者が一五名も亡くなってしまったからです。

がん患者は帯状疱疹の併発率が高いため、当時、多くのがん患者にこの薬が処

方されました。ソリブジン単体で服用した場合には、重篤な副作用はなかったの

で、多くの医者は安心して処方したのです。

ところが、この薬には抗がん剤の代謝を阻害する働きがありました。そのため、

この二つの薬を併用した患者は抗がん剤の血中濃度が急上昇して重い血液障害を

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が弱まって、かえって風邪を長引かせることにもなってしまいます。

また、人間の体内では毎日およそ五〇〇〇個ものがん細胞がつくられています。

私たちが健康でいられるのは、私たちの免疫細胞が毎日生まれる五〇〇〇個のが

ん細胞をその都度殺してくれているからなのです。

ところが、免疫力が低下して一日に四〇〇〇個しかがん細胞が殺せなくなって

しまったら、どうなるでしょうか。

どんどんがん細胞が増殖し、腫瘍ができてしまいます。風邪の原因の多くは不

明だといわれていますが、もしかすると体の中でがん細胞が増えてしまったとき

に、発熱することでがん細胞を退治しようとしているのではないでしょうか。

がん細胞が正常な細胞に比べて熱に弱いことから、がんの治療法にも温熱療法

というものがあります。それと同じ原理で、私たちの免疫細胞ががん細胞を攻撃

している可能性は十分考えられます。ひょっとすると原因不明の風邪は体ががん

と闘っている証あかしなのかもしれません。だとすれば、薬で熱を下げるなど、とんで

もないことです。だから、必要のない薬は医者のアドバイスさえあれば飲まない

がん細胞を殺すために、

あなたは風邪を引いている

もうひとつだけ、薬のプロとして、毒をためずに体の調子を整える薬とのつき

合い方の話をしましょう。

私自身は熱が出たからといって必ずしも解熱剤を飲む必要はないと考えていま

す。飲んだほうがいいのは、高熱の影響で食事が摂れなかったり、睡眠がとれな

かったりするときだけ。それ以外のときに無理やり熱を下げてしまうのは、逆に

体にとってマイナスなのです。

発熱というのは、私たちの体がわざと引き起こしている生体防御反応だと考え

ています。発熱によって風邪のウイルスやがん細胞などに抵抗する免疫力は高め

られます。だからこそ、風邪で発熱したときに無理に熱を下げてしまうと抵抗力

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寝る前に目薬をさすと、

副作用のリスクが急上昇する

基本的に西洋医学で処方される薬は食後に飲むように指示されることが多いの

ですが、それはこうした薬が空腹時に服用すると胃粘膜を荒らす恐れがあるから

です。食後というのは、食事をしてから二〇〜三〇分後のこと。そのタイミング

で服用すれば、胃の中にすでに食べ物が入っていますから、薬による胃への刺激

を低減することができるのです。

なかには食後に飲んでも胃を荒らしかねないほど、刺激の強い薬もあります。

そういった薬を服用する際には、必ず胃粘膜保護作用のある薬もいっしょに処方

されます。でも、健康な人の場合、基本的には食後に飲むということを守りさえ

すれば、胃粘膜保護薬を飲まなくてもほぼ大丈夫です。

それに対して、漢方の薬の多くは食前、つまり食事の二〇~三〇分前に飲むよ

という選択をしてもかまわないのです。

ただし、薬を飲むタイミングだけは、絶対に医者や薬剤師の指示に従ってくだ

さい。これを守らないと、薬の効果が弱まってしまったり、副作用が強く出て体

に害を及ぼしたりする可能性もあるからです。

前項で、風邪を引いたときは寝る直前にビタミン剤を服用すると効果的と述べ

ましたが、それはビタミン剤だから許されること。薬の場合、いつ飲めばもっと

も効果を発揮して、副作用をいちばん低く抑えられるのか、臨床試験で確認され

ています。

だから、医者や薬剤師に食前に飲むように言われたのなら食前に、食後に飲む

ようにと指示されたのなら食後にと、服用するタイミングだけは自分で勝手に判

断せず専門家の言うことを守らなくてはなりません。

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また、目薬にもいろいろな種類があるので一概にはいえないのですが、点眼の

タイミングが明確に指示されていないのであれば、就寝直前に目薬をさすのはや

めたほうがいいでしょう。本来、目薬は涙で押し流されることを前提でつくられ

ているので、寝る直前に点眼してしまうと目に薬効成分が想定以上に滞留しつづ

けることになって、それが体にとっての〝毒〞となってしまい、副作用が出てし

まう可能性があるからです。

薬というものは、正しいタイミングで使うことが重要です。そうすれば、薬効

をもっとも効果的に享受できるだけでなく、毒に変わってしまうリスクを減らす

こともできるからです。

服用の方法が必ず指示されているということは、その理由があるということを

決して忘れないようにしましょう。薬を正しく利用することができれば、病気を

恐れることはないのです。

うに指示されます。それは食事とともに胃の中に入ると、漢方薬が吸収されにく

くなってしまい、食べ物の吸収が優先されて漢方薬が排出されてしまうからです。

漢方薬以外にも、食べ物や胃酸の影響を受けたくない薬や、糖尿病の際に食事

で高くなる血糖値を下げるための薬、あるいは胃の調子を整える食欲増進剤、食

べたあとの吐き気を事前に抑える薬なども食前に飲む必要があります。

では、「食間に服用」と指示された薬はいつ飲むべきか、みなさんにはわかり

ますか?

これは誤解されることが多いのですが、食間というのは食事の最中ということ

ではなく、食事と食事の間、平たくいえば食事を終えてから約二時間後を指しま

す。食間に飲むように指示される薬は空腹状態で飲むと効果的なものなので、食

事をしながら飲んでしまっては、その効果が台無しになってしまうかもしれませ

ん。

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なぜなら、前にも述べたように風邪の多くは原因不明で、おそらく今後もその

原因を解明することは不可能だからです。なかにはインフルエンザや緑膿菌、マ

イコプラズマのように原因となるウイルスや細菌がはっきりとわかっているもの

もありますが、そんなものは〝風邪症候群〞全体のわずか一パーセントにも満た

ないと考えられるからです。

実際、医療現場で風邪の原因菌、原因ウイルスを確認してから治療開始するこ

となど、ほとんどないのが現状です。

風邪に関しては、私なりの〝矢城理論〞というものがあります。

よく、うつ病のことを「心の風邪」などと言いますが、私に言わせれば風邪こ

そが「心の病」なのです。風邪の原因のほとんどは、体の過労や心労が影響して

いて、たとえばストレスがたまったり、何かに悩んでいたりすることが原因で、

酷使しすぎた心身を休ませようと脳がわざと信号を出しているのです。

つまり、風邪を治すには心身を休ませて、自分自身の自己治癒力を高める以外

うつ病より「ただの風邪」こそ

心が病んだサインである

できないこと、実現が難しいことのたとえとして、よく「〇〇を発明したらノー

ベル賞もの」「〇〇を発見したらノーベル賞は間違いない」などと流布されます。

ノーベル賞といえば世界的に権威ある賞だからでしょうか。たとえば、水虫を

完全に治せる薬やがんの特効薬などに関しても、発明すればノーベル賞ものだと

いわれています。なかでも、もっともよく耳にするのは「風邪の特効薬を発見し

たらノーベル賞」という言葉ではないでしょうか。

かつてSFの父とも讃えられたフランスの小説家、ジュール・ヴェルヌは「人

間が想像できることは、人間が必ず実現できる」という名言を残しました。たし

かに人間の想像力には無限の可能性が秘められているのかもしれません。でも、

私は風邪の特効薬の発見に関しては絶対に実現不可能だと確信しています。

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だからこそ、具合が悪いときには「薬には病気の症状を抑える力はあっても、

私たちを健康にする力はない」ということをしっかり頭に入れて、何よりも休養

を最優先し、薬を利用する場合でも正しい使い方を心がけなくてはならないので

す。

毎日たまる毒を抜けば、血管や臓器が若返る

「健康は第一の富である」というアメリカの詩人エマソンの言葉にもあるように、

健康というものは他の何ものにも代えがたい宝です。でも、その宝がどんな状態

のことを指すのかをたずねると、人によってその答えは変わってきます。

アサヒグループホールディングスが二〇一〇年に全国の成人男女一二五五名を

対象に実施したアンケート調査(複数回答可)によると、「あなたにとって『健康』っ

て何ですか?」という設問に対し、次のような回答が得られたそうです。

には方法がないということ。薬なんかで治せるはずがないのです。

前述したように、風邪薬は風邪そのものを治すのではなく、風邪によってあら

われたさまざまな症状を抑えるために飲むもの。そういった症状を抑えるために

薬を飲んで、その薬を肝臓が分解することで体力を使うよりも、ゆっくり寝て十

分休養をとるほうがずっと大事なことなのです。

社会人のなかには風邪を引いても会社は休めないからと、解熱鎮痛剤を飲んで

発熱やひどい頭痛を抑えて会社に行く人もいますが、そんなのは言語道断です。

くり返しになりますが、解熱鎮痛剤は頭痛や熱のせいで睡眠や食事がとれない

ときに、しっかり体を休ませるために使うものであり、決して体に鞭むち

打う

って無理

をさせるためのものではありません。

風邪や頭痛のような症状は、脳が体に不調があることを知らせている「休め!」

のサインなのですから、その声にしっかり耳を傾けて休養すべきです。そうすれ

ば、私たちの体が本来持っている力を高めることができ、健康な体へと一歩近づ

けるはず。

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このWHOが定義する「健康」を私の言葉で置き換えれば、「健康とは、あり

のままで正常な状態である」となります。それはまさに、元気のエネルギーに満

ちあふれ、体の細胞一つひとつがきれいな水や酸素、バランスのとれた栄養で満

たされ、精神的にも安定している状態のこと。人間の体が本来あるべき状態です。

健康というものがありのままの状態だからこそ、昔の人は意識しないでそのま

ま受け入れていました。日本人にとっては、新鮮で清浄な水もきれいな空気も常

にすぐそばにあったように、健康というものも当たり前のもので、改めて定義づ

けするようなものではなかったからです。

ところが、現代になって健康ではない人が増えてきて、健康とは何かをわかっ

ていない人がわからぬままに無理やり定義しようとしたために、無理が生じてし

まったのです。つまり、健康というものは病気を患っている人や不健康な人を基

準に定義するようなものではないということ。基準が間違っているからこそ、「病

気ではない状態」「弱っていない状態」を健康と捉えるような間違った認識、お

かしな定義が広まってしまったのでしょう。

一位 病気がないこと

七八・三パーセント

二位 ぐっすりと眠れる(寝起きがいい)

三九・三パーセント

三位 何を食べても美味しいと感じる食欲

三八・八パーセント

四位 心が平和で穏やかな気持ちで過ごせる

三四・八パーセント

五位 不満やストレスがないこと

三一・三パーセント

圧倒的に多かったのは、「病気がないこと」。やはり一般的には健康というと「病

気ではない状態」「弱っていない状態」と思われがちなのでしょう。でも、本当

はそれだけでは健康とはいえません。

WHO憲章では、その前文の中で「健康」について、次のように定義しています。

「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、

精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます」

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――それは何か?

ひと言でいうなら、体内にたまった毒を「抜き去る」仕組みです。医学的な言

い方をするならば、異物を取り入れ、排出する「循環の仕組み」であり、「異物

をすぐ出す技術」といえます。つまり、

毒を抜く=異物をすぐ出すということ=循環の仕組みを整える

ということです。

異物を摂取し、体の中に老廃物がたまって毒として作用することで、私たちの

臓器や血管は悪化し、病気になるなどの不健康を引き起こします。

冒頭でお伝えした、毒がたまることで引き起こされる症状や病気を、もう一度

不健康というマイナスの状態を基準にして健康を定義しようとすると、プラス

マイナス0の状態を健康とみなしてしまいますが、健康というものを直接定義で

きていれば、もっと上の状態、心身ともに健全でさらにやる気に満ちあふれた、

もっとすばらしい何かを定義できるはずです。

おそらく、病気の人もプラスマイナス0の状態、つまり病気が完治した状態を

目指すのではなく、最初からもっと上のプラスの状態、真に健康な状態を目標に

していれば、プラスマイナス0の状態に到達するのも早くなるのではないでしょ

うか。

健康な状態をなかなか保てない人、病気をくり返す人というのは、もしかする

と間違った健康に対する意識が要因になって、マイナスの状態から抜け出せずに

いるのかもしれません。

じつは、私たちの体には、自分の体をプラスの状態に保つためのすばらしい機

能がもともと備わっています。

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とはいえ、その毒の大部分は毎日の食事によって生じます。栄養を摂取しなけ

れば生きていけない以上、「食事という異物」は摂取しつづけなければいけません。

健康のためには毒をためないことが理想ですが、生きているということは、毎

日着々と、確実に私たちの体に毒がたまっていくということでもあるのです。残

念ながら、そこから逃れることはできません。

重要なのは、毎日たまる毒を体内に長くとどめないということ。だからこそ、

すぐに「毒を抜く」仕組みを整えることが重要なのです。

「毒を抜く」仕組みが正常に働くだけで、臓器や血管の「毒性」は低下し、少な

からずきれいな状態に若返ります。その結果、誰でも健康になる、これは間違い

ありません。

くり返すようですが、すぐ「毒を抜く」仕組みは、元来、私たちの体に備わっ

ている機能です。その機能を高めることで、体の細胞一つひとつがきれいな水や

酸素、バランスのとれた栄養で満たされた健康な状態になります。

この仕組みさえうまく働いていれば、毎日体にたまっていく毒からも、腐敗し

だけお伝えいたします。

・肝臓病

・腎臓病

・動脈硬化

・便秘

・栄養失調

・尿毒症

・心臓病

・血液疾患

・脳疾患

・心臓疾患

・内臓系疾患

・体調不良

・めまい

・中枢神経系疾患

・末梢神経系疾患・睡眠障害

・免疫系疾患

・うつやストレス

まずは体に不必要な毒をためないことが、健康を維持するうえでは大切になり

ます。

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ていく老廃物からも私たちを守ってくれます。流は

行や

りの健康法や薬などに頼らな

くても、体の不調から私たちを解放してくれるのです。

では、どうすればすぐにたまった毒を抜き出すことができるのか?

その方法を、次章で具体的に説明していきましょう。

第2章

白湯を飲めば

すぐ「毒抜き」できる

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一章分まるごと読める「サキ読み」

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