オックスフォード大学出版局＆数研出版 中学高等学校教員向けセミナー(2016)

「次期指導要領を見据えた英語授業改善への一歩 」

You must be the change

you want to see in your class.

お茶の水女子大学附属高校

津久井貴之

”Reflection Time” （活動の振り返り）

□言いたかったけど、これうまく言えなかったなあ…はありましたか？

□相手の表現の仕方、理由の付け方、話し方、うまいなあ…はありましたか？

□もう一度、やるならここだけは気を付けたい、ここをうまくやりたいなあ…はありますか？

Why?

Q1. 「言語活動の目的は？」

A1. 「必要な技能や表現を身に付ける」

If not... 退屈なドリルや説明に耐えた「ご褒美」？「息抜き」？

活動することがゴールで、どんな英語を使っているか、使えていなかったかには教師も生徒も意識がいっていない？ 理解した文法や語いを身に付ける場は？

✦「言語活動を学習の場に」

How?

Updating from ver.1.0→2.0へ

□ タスクがある（目的がある） □ 考えやこだわりを伝える □ そのための理由付けを考える □ それに合った表現を選ぶ □ ストラテジー・トレーニングになる □ 振り返りがあり、次につながる □ できることしかさせない、からの脱却

✦普段の言語活動を改善するというスタンス

ディスカッション…

◆POINT 1 Communication Strategy Training

は strategy trainingなしには成立しない。

ディベート…

即時的なインタラクション…

教師も生徒も英語を使う授業…

◆ Communication Strategy Training

🌠 自然にstrategyが身に付くことはない。

その先にあるPDDにつながるから。小中高大で強化を。

•目的・目標・プロセスの共有が必要。

•言語活動が中心の授業なら、毎時間必ず訓練できる。

•ストラテジーに焦点を当てた活動や振り返りも必要

•音読の中にも入れ込める（Look up and Read）

•教室掲示、ワークシート…

•生徒が目標を決める、振り返る、互いに見合う…

◆POINT 2 Teacher-Student Interactionの質

🌠 いかに教師が伝え、応じられるか。

気づき、興味、疑問を引き出す。モデルを示す。

• 不安からくる繰り返しを止めて、言い換えをする。

• 生徒が分からないときの…を用意しておく。

• 間を取る。「５秒」

• 考える間、注意を引く間、よく見るための間

• 慌てず、やりとりを楽しむ。（生きたモデルとなる）

• Feedback+Commentをセットで伝える。

Q2. 「教材研究と聞いて思い浮かぶ内容は？」

A2. 「教科書を読むこと」

How?

「教師の」教科書の読み方の視点

メッセージ テキスト

タイプ

筆者のこだわりの表現

論理構成 トピック・

筆者 挿絵、写真

『英語教師のための発問テクニック』 田中武夫・知聡著(大修館）より

Why?

Q3. 「振り返り（自己評価や相互評価を含む） の目的は？」

A3. 「主体的な学びのプロセスとして必要だから」

◆POINT 4 ２つのReflectionを充実させましょう

🌠 Vision – Mission - Reflection

学びに向かう力、主体性、自律性を高める

• 授業中に言語活動を振り返る時間や機会を

• 学期や年間、長期休業を振り返る時間や機会も

• メモ、ＩＣ、録画、生徒のノートから

• 授業の感想やコメントを書いてもらう。

• 生徒は、家庭学習や授業への取組について

• 教師は、選んだ指導法や教材、活動について

「振り返り」について

Reflection is central for deepening learning process.

The strongest professionals often reflect on their own

experiences, with the intention of benefiting from them

in future situations.

“Not all types of reflection are equally beneficial.”

「振り返り」について

Meaning-oriented reflection is more

important than behavior-oriented reflection.

なぜ？

どんな価値や目的があるのか？

どんな変化が生まれるのか？

継続的な振り返りと 目標設定の工夫

目標設定や 修正の練習

教師と生徒の目線合わせ

Why?

Q4. 「家庭学習で指導していることは何 ですか？その目的は？」

If not? How?

◆POINT 5 Leaning Strategy Trainingを家庭学習で

🌠 WhyとHowを伝えずに自律した学習者は生まれない

学び方を授業で学び、家庭学習で試行し、自力で学習する力を身に付けることで、技能統合型の言語活動を実現させる。

• 家庭学習や課題に選択の余地を与える。

• 粘り強く我慢しながら最初の芽を逃さない。

• 特徴的な学習を記録しておく。

• 生徒同士紹介させ合う活動を授業に取り入れる。

• 学習スタイルの拡張を。

• バランスの良い学習、バランス良く能力の伸長を。

教室「外」の３つの取組

多読

Team Project 自学ノート

授業

・年間６～８冊程度。生徒が好きなタイトルを選んで読み、ブックレビューを書く。

多読

要約 感想 印象に残っ

た表現や文 本のキャッチ

フレーズ

The Last Sherlock Holmes Storyより

家庭学習（内容自由）用ノート 目標や振り返りシート、定期考査などを

貼る（ポートフォリオ化） 学習方法の多様性と試行錯誤の場 学習方法・実践の蓄積と共有

自学ノート

１年の春休み～２年３学期末まで １年春休み前にサブテキストをクラスご

とに購入。 ２年でクラス替え。旧クラスと新クラス

でTeam workを働かせる。

Team Project (reading+listening)

・聞き方・読み方のアドバイス、教え合い ・自動的にインフォメーションギャップ ＝言語活動で使える。（実験中）

番外編① 興味をもったテキスト まずは、先生自身の授業改善、Teacher Talkの質の向上のために！ 1. Headway Academic Skills 2. Q:Skills for Success 3. LECTURE READY(Academic Listening and Speaking)

4. Oxford EAP

経験則や固定観念、根性論からの脱却、英語で行う英語の授業のヒントが満載です。

Oxford EAP ADVANCED (C1)より

Oxford EAP ADVANCED (C1)より

番外編② 生徒の家庭学習、自主学習に本当に教えるべき語いや文法事項のヒントはある。

生徒の典型的誤用や表現したのにうまくできない場面や状況をいくつか挙げられますか？

最近K-popにハマっている。 留学する夢をあきらめた。

数研出版「必携英語表現集」より引用

「アクティブ・ラーニングの視点に立った」

アクティブ・ラーニング ＝授業改善？

授業改善

Why?

平成２７年８月２６日 教育課程企画特別部会論点整理（報告）及び補足資料（より津久井抜粋）を読んでみましょう

◆ 社会の変化に「対応」しているだけではだめ

⇛社会の変化の中で「生き抜いていく」必要がある

◆「何を知っているか」

⇛ 「知っていることを使ってどのように社会・世界と

関わり、よりよい人生を送るか」

↓

知識・技能、思考力・判断力・表現力等、人間性

や学びに向かう力など情意・ 態度等に関わるもの

の全てを総合的に育んでいくことが求められる。

学びの質や深まりが重要であり、課題の発見・解決に向けて生徒が主体的・協働的に学ぶ、いわゆるアクティブ・ラーニングの視点からの授業改善を図ることが必要である。

教員一人一人には、以下のような視点に立って、自ら指導方法 を丌断に見直し、改善していくことが求められる。

① 習得・活用・探究という学習プロセスの中で、問題発見・

解決を念頭に置いた深い学びの過程が実現できているかど

うか（解説・解答確認・反復、ではだめ）

② 他者との協働や外界との相互作用を通じて、自らの考え

を広げ深める、対話的な学びの過程が実現できているかどう

か（手や口が動いていても頭が動いていない、ではだめ）

③ 子供たちが見通しを持って粘り強く取り組み、自らの学習

活動を振り返って次につなげる、主体的な学びの過程が実

現できているかどうか （「振り返り」の場面がない、見通しを

もてない、次に繋がらない、はだめ）

指導法を一定の型にはめ、教育の質の改善のための取組が、狭い意味での授業の方法や技術の改善に終始することのないように留意する必要がある。 アクティブ・ラーニング≠万能な教授法 アクティブ・ラーニングの手法を取り入れることで、教師が思考停止に陥らないように。