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CAROWAA —-ちゃろわ アチョリの言語で「our village」「our home」「our land」といった意味を持つ言葉です。 JICAプロジェクトとともに自分たちの故郷がより発展する、という気持ちを込めて、グルオフィス の現地スタッフが名づけてくれました。ちなみに配色イメージは北部らしく「ラテライト」です。 JICA GULU OFFICE NEWSLETTER 2015101日発行 JICAグルオフィスニュースレター第25CAROWAA 発行: JICAグルオフィス 所在地: 6A Samuel Doe Road, Gulu, Uganda Phone: +256-(0)392 900158 Page 1 アチョリ地域村落給水プロジェクト(AWAT)完成引き渡し式 87日、グル県ウニャマ村において「アチョリ 地域国内避難民の再定住のための給水計画プロ ジェクト」の竣工式が行われました。本件プロ ジェクトの起工式は、昨年829日に、同じグル 県グル市で開催されましたので、2週間程ですが 1年を切るスピードでアチョリ全7県に75か所の 井戸と6か所の管路給水施設が建設されたことに なります。 本プロジェクトは、これまでアチョリ地域で実 施された無償資金協力プロジェクトの中で、日 本の施工業者が直接、工事を担当する初めての ケースとなりましたが、これまで2件の無償資金 協力プロジェクトがウガンダの現地施工業者によるものでしたので、我われも、その 工事管理の差に強い関心を寄せていたところでした。 というのも、先行した2件のプロジェクトでは、いずれも施工業者による工事管理が非 常に悪く、予定の工期が半年以上も遅れる始末でした。本プロジェクトでは、まさ に、その違いを確りと見せてくれました。勿論、設計、工事が全て順調だった訳では ありません。全6か所の2次給水施設建設サイトでは、基本設計時には全く予定にな かった大掛かりな国道改修工事が始まっており、給水用配管ルートの変更を余儀なく されました。また、高架水槽の設置現場では、極めて固い岩盤の掘削に難渋しまし た。これらもあり、コンサルタントのTECインターナショナルは、2名のエンジニア常 駐体制を配し、一方、施工を担当した (株)日さくは、所長を含め総勢8名の日 本人と2名のネパール人社員を投入するな どの努力を見せてくれました。 契約書を遵守する日本人の真摯さは、竣工式に 出席したウガンダ政府高官にとっても非常に印 象深かったようで、水環境省大臣を始め来賓者の挨拶では、「ウガンダにおける建設 工事では、期限が守られることは、極めて稀で、常に工期の延長、延長が繰り返され る。悪いことには、工事費用も水増しになる」と異口同音に述べられました。 ウガンダでは、「水は命」と言われま す。これまで、毎日の水汲みに多くの時 間と労力を費やしていた女性と子供達に とって新しい給水施設は、まさに救いと なりました。それにも増して、清潔で安全な水が提供されることによって約32,000の命が守られることにつながりました。20年以上に渡る内戦を乗り越えて、自分たち の力で生活の基盤を取り戻そうと奮闘する地域の人々が命の次に大事とするものを日 本人がプレゼント出来たことを改めて実感しました。 週末を返上し、マラリアなどの病気と闘いながら、本件プロジェクトの計画通りの完 成に熱心に取り組んで頂いた日本人工事関係者の皆様に紙面を借りて、そして、プロ ジェクトサイトの住民に代わって、心からの感謝の気持ちをお伝えします。 無償資金協力 「アチョリ地域国内避難民定住促進の ための地方給水計画(AWAT)」 本プロジェクトは、20年に渡る国内避難 民キャンプでの生活を終え、祖父伝来 の村に戻ったアチョリ地域住民に対し、 生活に必要となる安全水をコミュニティ 内で提供することを目指したもの。ア チョリ7県で合計75本の井戸、及び6所管路給水施設が建設された。無償資 金供与総額は、973百万円。 75本の井戸は全て、こんな堅牢な木の柵で家畜 や動物から守られています 給水施設を管理する住民代表に修理、点検方法 を丁寧に指導する日さくの肥后さん 竣工式に臨む(向かって左から)中村日本大使 館参事官、:カムンツ水環境省大臣、サム次官、 河澄JICA所長 公共水栓で安全水の感触を楽しむ大臣。 背景には、管理給水施設の高架水槽

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Page 1: Page CAROWAA - JICA - 国際協力機構...JICA GULU OFFICE NEWSLETTER 2015年10月1日発行 JICAグルオフィスニュースレター第25号 CAROWAA 発行: JICAグルオフィス

CAROWAA —-ちゃろわ

アチョリの言語で「our village」「our home」「our land」といった意味を持つ言葉です。

JICAプロジェクトとともに自分たちの故郷がより発展する、という気持ちを込めて、グルオフィス

の現地スタッフが名づけてくれました。ちなみに配色イメージは北部らしく「ラテライト」です。

JICA GULU OFFICE NEWSLETTER

2015年10月1日発行

JICAグルオフィスニュースレター第25号

CAROWAA

発行: JICAグルオフィス 所在地: 6A Samuel Doe Road, Gulu, Uganda Phone: +256-(0)392 900158

Page 1

アチョリ地域村落給水プロジェクト(AWAT)完成引き渡し式

8月7日、グル県ウニャマ村において「アチョリ

地域国内避難民の再定住のための給水計画プロ

ジェクト」の竣工式が行われました。本件プロ

ジェクトの起工式は、昨年8月29日に、同じグル

県グル市で開催されましたので、2週間程ですが

1年を切るスピードでアチョリ全7県に75か所の

井戸と6か所の管路給水施設が建設されたことに

なります。

本プロジェクトは、これまでアチョリ地域で実

施された無償資金協力プロジェクトの中で、日

本の施工業者が直接、工事を担当する初めての

ケースとなりましたが、これまで2件の無償資金

協力プロジェクトがウガンダの現地施工業者によるものでしたので、我われも、その

工事管理の差に強い関心を寄せていたところでした。

というのも、先行した2件のプロジェクトでは、いずれも施工業者による工事管理が非

常に悪く、予定の工期が半年以上も遅れる始末でした。本プロジェクトでは、まさ

に、その違いを確りと見せてくれました。勿論、設計、工事が全て順調だった訳では

ありません。全6か所の2次給水施設建設サイトでは、基本設計時には全く予定にな

かった大掛かりな国道改修工事が始まっており、給水用配管ルートの変更を余儀なく

されました。また、高架水槽の設置現場では、極めて固い岩盤の掘削に難渋しまし

た。これらもあり、コンサルタントのTECインターナショナルは、2名のエンジニア常

駐体制を配し、一方、施工を担当した

(株)日さくは、所長を含め総勢8名の日

本人と2名のネパール人社員を投入するな

どの努力を見せてくれました。

契約書を遵守する日本人の真摯さは、竣工式に

出席したウガンダ政府高官にとっても非常に印

象深かったようで、水環境省大臣を始め来賓者の挨拶では、「ウガンダにおける建設

工事では、期限が守られることは、極めて稀で、常に工期の延長、延長が繰り返され

る。悪いことには、工事費用も水増しになる」と異口同音に述べられました。

ウガンダでは、「水は命」と言われま

す。これまで、毎日の水汲みに多くの時

間と労力を費やしていた女性と子供達に

とって新しい給水施設は、まさに救いと

なりました。それにも増して、清潔で安全な水が提供されることによって約32,000人

の命が守られることにつながりました。20年以上に渡る内戦を乗り越えて、自分たち

の力で生活の基盤を取り戻そうと奮闘する地域の人々が命の次に大事とするものを日

本人がプレゼント出来たことを改めて実感しました。

週末を返上し、マラリアなどの病気と闘いながら、本件プロジェクトの計画通りの完

成に熱心に取り組んで頂いた日本人工事関係者の皆様に紙面を借りて、そして、プロ

ジェクトサイトの住民に代わって、心からの感謝の気持ちをお伝えします。

無償資金協力

「アチョリ地域国内避難民定住促進の

ための地方給水計画(AWAT)」

本プロジェクトは、20年に渡る国内避難

民キャンプでの生活を終え、祖父伝来

の村に戻ったアチョリ地域住民に対し、

生活に必要となる安全水をコミュニティ

内で提供することを目指したもの。ア

チョリ7県で合計75本の井戸、及び6カ

所管路給水施設が建設された。無償資

金供与総額は、9億7千3百万円。

75本の井戸は全て、こんな堅牢な木の柵で家畜

や動物から守られています

給水施設を管理する住民代表に修理、点検方法

を丁寧に指導する日さくの肥后さん

竣工式に臨む(向かって左から)中村日本大使

館参事官、:カムンツ水環境省大臣、サム次官、

河澄JICA所長

公共水栓で安全水の感触を楽しむ大臣。

背景には、管理給水施設の高架水槽

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北部ウガンダ復興支援の新たな地平—-西ナイル地域特集

西ナイル地域は、1914年、当時の英国とベルギーの交渉の結果、英国領となりました。一体に、ナイル

川の西岸地域は、ウガンダの辺境にあたり、当時は、それほど列強諸国が興味を持つ地域ではなかった

ようです。

昨年は、西ナイル地域がウガンダに併合されて丁度、100周年にあたり、西ナイル地域に関する多くの

特集記事が全国紙に連日のように掲載されました。

西ナイル地域は、その名の通り、ナイル川の西にある地域という

ことですが、不思議なことに、アジュマニ県だけは、ナイル川の

東岸(まさに「右岸だ!」)に位置しています。アジュマニ県

は、1997年に県に昇格するまでは、ナイル川西岸に県庁を持つモ

ヨ県の一部で、東部モヨ郡と呼ばれていました。モヨ県は、南

スーダン系のマディ族が多く住む地域ですが、アジュマニ県住民

も、その東に位置するアチョリ地域のアチョリ族とは異なる言

語、文化、社会習慣を有しています。従って、地理の上

ではナイル川の東側に位置するアジュマニ県ですが、

西ナイル地域の一部とすることは、決して不合理では

ありません。

因みに、このアジュマニ県、2013年12月に発生した南スーダンの内戦の結果、12万人を越える

南スーダン難民を受け入れており、現在は、アジュマニ県人口の4割が南スーダン難民とまで

言われています。一方で、アジュマニ県は、この南スーダン難民の受け入れを通じて、道路、

小学校、給水施設の整備を進めてきました。難民の受け入れを地域開発につなげようという地

方政府の強かな計算がここに感じられます。

西ナイル地域で忘れてならないのが、ウガンダの2代目大統領であったアミンの出身地という

ことです。ウガンダの北西端に位置するコボコ県がそこです。1971年のクーデターによって政

権を奪取したアミンは、その後、アジア人の追放、政敵の暗殺などの悪政を繰り返した結

果、1980年に失脚します。西ナイル地域出身者が中心となったアミン政府軍は、クーデター

を成功させた新政府軍に追われ、故郷の西ナイル地域に逃亡しますが、その途中、西ナイル

地域と本土を繋ぐナイル川に架かるパクワッチ橋の爆

破を企図します。しかし、一人の賢明な将軍がこれに

強く反対しました。その結果、アミン軍の全面降伏が

早まりましたが、落橋した場合に大きな影響を受けた

に違いない西ナイル地域の開発、住民の生活が守られ

ました。「発つ鳥、跡を汚さず」という言葉に通じる

ものがあります。

政権に返り咲いたオボテ大統領は、結局、1986年、ム

セベニ大統領に追い落とされます。このように書くと、まるで日本

の戦国時代のようですね。

西ナイル地域は、その後も苦難の時代を耐え忍びます。アチョリで猛威を振るった神の抵抗軍に

より、カンパラから西ナイル地域を結ぶ幹線道路上の物資運行が遮断される一方で、西ナイル地

域にも独自の反政府ゲリラが形成され、一時は、20万人を越える住民がスーダンやコンゴ民主共和国に難民として流出しました。

これらの結果、2000年の中頃まで、西ナイル地域には、開発の手が及ばなかったばかりか、2008年の神の抵抗軍との内戦が終わっ

た後も、国際機関、ドナーの援助は、アチョリ地域に集中し、西ナイル地域支援に目を向けるドナーは、非常に少ないままに推移

しました。

西ナイル地域の8県は、何れの県も、南スーダン共和国及びコンゴ民主共和国と国境を接して

います。加えて、国境周辺の住民は、どちらの国籍

を有するとしても、互いに同じ言葉、同じ文化を共

有する同胞であり、実際、難民にはカウントされな

い多くの隣国人が、ウガンダ側で学校や保健所など

の社会サービスを享受しています。

JICAは、来年4月に始まる北部復興支援プログラム第

二フェーズで、対象地域をアチョリ地域からこの西

ナイル地域に拡大することを計画しています。

南スーダン、コンゴ民主共和国といったアフリカの

火薬庫と言われるこれらの国々と国境を接する西ナ

イル地域の安定と発展は、アフリカ全体の平和

に間違いなくプラスの影響をもたらすものと期待されています。

③ユンベの目抜き通り

①アジュマニからモヨを結ぶLaropiフェリー

②白鶏がエンブレムの瀟洒なモヨ県庁舎

④西ナイル地域隋一の都会アルア

⑤コンゴ民への物流が盛んなネビ、ゾンボ間道路

⑥ナイル川に架かるPakwach橋

② ③

⑤ ⑥

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グル市中央市場、遂にオープン

大統領選挙と行政区分の変更

ウガンダ大統領選挙が来年2月に予定されています。これに向けて与党からは現職のムセベニ大統領が、野党は、統一候補を選考

すべく各党内外での調整が続いています。5年に1度、ウガンダで一番熱い、Hottest シーズンの到来です。

選挙戦略の一環と色眼鏡で見られているのが、地方行政区分の変更、正確には、細分化です。8月初めには、国会議員の小選挙区

となるCountyの数が、これまでの181から43追加されました。

8月中旬には、新しい県の誕生が発表されました。北部ウガンダ地域では、2016年7月にグル県からオモロ県が、2017年7月に、ネ

ビ県からパクワッチ県が、更に、2019年7月には、モヨ県からオボンギ県が、アルア県からマディ・オケロ県がそれぞれ分離独立

します。これに続いて、19の新Municipalityが発表され、同じく北部圏内では、今年の7月からキトゥグム町とコボコ町が、2016

年7月にはネビ町が新たにMunicipalityに仲間入りします。

この結果、2019年7月には、アチョリ地域は、現在の7県から8県に、西ナイル地域は、8県から11県に増えることになります。

この行政区分の変更には、県庁舎の建設など

に莫大な予算が必要となることもあり、国会

議員の中には反対する者も多かったのです

が、選挙対策の最大の武器には、抵抗出来な

かったということでしょうか。

これに伴い、来年2月の総選挙の後には、これ

までの375人から16%アップの435人の国会議

員が誕生することになります。この数は、ア

フリカの大国であるナイジェリアや、南ア、

ケニアと比べても大きな数字であり、人口の

割合いから見ると、ソマリアや南スーダンに

次ぐ国会議員が多い国となります。

因みに、ウガンダの国会議員は、小選挙区か

ら各1名が選ばれる他、各県1名の女性議員

枠、全国を5地域に分け、各地域毎に5名の青年枠、障碍者枠、労働者枠が設けられてい

る他、全体で10名の軍人枠があり、社会的弱者にも配慮された配分とはなってはいます。

グル市中央マーケットが遂に開業しました。今年4月、ムセベニ大統領がオープニングを行いましたが、その後、マーケット内

ブースの割り当て、使用料金の決定などに時間が掛かり、9月末、約半年遅れでやっとオープンにこぎ着けました。マーケット内

には、少ない数ですが駐車場が完備され、漸くグル市にも近代的なマーケットが誕生したことになります。

因みに、仮設のマーケットが置かれていたボマグランドでは、10月9日に、ウガンダ独立53周年記念式典が開催されることになっ

ており、隣接する仮設のマーケットでは、国の名誉にも関るということで旧施設の取り壊しが急ピッチで進められたという見方も

根強くあります。

旧施設は、2010年8月に設置されたそうです。それから約5年、我われ日本人を含めグル市民の台所を支えて来た中央マーケットで

すので、グルに滞在し、一度でも利用したことがある方には感慨も一入のことと思われます。

ところで、グルのマーケットで取引されている野菜の大部分は、ムバレやカンパラなどウガンダ中部から運ばれて来ます。これを

地元の野菜で置き換えようというのが、今年の末から始まる北部ウガンダ農民生計向上プロジェクトの主要目的のひとつです。

新しいマーケットにアチョリ産のトマトやナス、キュウリなどが整然と並ぶ日が来ることに期待を馳せながら、新しいマーケット

の旅立ちを祝福したいと思います。

取り壊された仮設マーケット おしゃれなスタンドが並んでいます

こんなに整ったネビ県庁舎は、全体の極く一部 マラチャ県庁舎のような貧弱な庁舎も少なくあ

りません

二階建の新しい中央マーケットです

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グルぐるめ

<編集後記>

佐藤さんが日本に一時帰国し、何時にも

増して寂しいグルになってしまいました。

そんな訳で、今回のニュースレターは、何

とも粗雑な出来になってしまいましたが、

グル愛好家の皆さまに、グルの変化を感

じとって頂ければ幸いです。

次号は、来年1月になります。乞う!ご期

待です。

高橋

グルの安全情報

今年の雨期は、エルニーニョによる影響よりウガンダ各地で洪水被害が発生するとの長期予報が出されていますが、グルでは、9月に入って

もまとまった雨が降らずに、何やら旱魃の心配が高まっています。

そんな中、9月15日の未明に雷を伴う激しい豪雨がありました。停電も重なったこの時間帯、ナショナルスタッフのケネスの家に強盗が入りま

した。賊は、台所につながる裏口から侵入、室内にあったガスクッカー等の台所用品数点とラジオを持ち去りました。

幸いにも就寝中の家族に被害がありませんでしたが、長年、グルに暮らしているケネスにとって強盗被害に遭ったことによる精神的ショック

は、相当に大きかったようです。翌日には、早速、南京錠より堅牢なイタリア錠をドアに備え付けたとのことでした。

最近、国連安全対策部のニュースでは、北部でも今回のような一般住宅での強盗被害が増えています。グルの一般住宅は、塀も植え込みも

なく、道路に剥き出しになったものがほとんどです。これは、コミュニティの安全程度を示すバロメーターでもありましたが、町の発展とともに、

犯罪被害の可能性も高まっているということかも知れません。

我々も安全に対する意識のアンテナを高める必要がありそうです。

ご意見・ご感想は: JICAグルオフィス: 2015年10月発行担当 Takahashi [email protected] まで

不思議なナイル川

日本で一番長い川は信濃川の367キロ、と小学校の地理の時間に記憶したことを思い出します

が、世界一長いナイル川は、その全長が6,600キロと言いますから、文字通り桁が違います。19世

紀の中頃、ナイル川の源流を訪ねリビングストン博士を始めとした多くの探検家がアフリカの奥

地に分け入りました。これらのアフリカ探検物語は、今、読み返してみても心が躍ります。ナイ

ル川の源に位置するウガンダは、ナイル川に所縁のあるビクトリア湖やキョガ湖、アルバート湖

を始めとして数多くの湖に恵まれています。

カンパラからグルに向かって北上するとウガンダ中部と北部を隔てるKafo川を渡ります。このKafo

川は、アルバート湖からキョガ湖に、つまり西から東に向

かって流れています。更に、北上を続けると、今度は、見る

ものを圧倒するAlbert Nile川が現れます。右の写真にあたる

Karumaでは、現在、中国政府の支援で巨大な水力発電所が建

設されています。ここでは、ナイル川は、東から西に向かって流れます。

KafoとVictoria Nile。どちらも、アルバート湖とキョガ湖をつないでいるのでですが、二つの川の

流れが全く逆というのは、この地域が如何に微妙に起伏しているかを示しています。

どちらも巨大な湖ですし、また、それぞれの川は、約70キロも離れていますので、よくよく考

えて見ると納得しますが、全ての川は海に向かって流れるといった、何かにつけて小さくまと

まった思考の日本人には驚くことが多いウガンダの大自然です。

グル市内には、ホテルを除けば、外国人が安心して食事が出来るレストランは、3軒しか

ありません。最近までイタリア人が経営していたピザ屋(ドイツ人が買い取りまし

た)、インド料理屋(インド人経営)、エチオピア

料理屋です。この中でも、我われが最も頻繁に利用

するのがその名もアビシニアというエチオピア料理

屋です。エチオピア料理に欠かせないインジェラは

勿論のこと、ここでしか食べられない生野菜サラダ

は、グルでの健康生活には欠かせません。中でも、

この店の最大の特長は、日本酒や露店で売っている

鳥のもも肉など何を持ち込んでも、いそいそと小皿

やナプキン、グラスを用意してくれる心優しいス

タッフです。今年の2月には、我われ日本人だけの

ため本格的なエチオピア料理を揃えた昼食パーティ

を催してくれました。

グルに住む日本人の間で自然発生した「金曜会」は、

そのメンバーが12人を越えた最盛期から最近は4人に

までに減ってしまいましたが、安くて、おいしく、何よりもお客さんを大事にしてくれ

るアビシニアが指定会場です。グルに来られる機会があれば、決して見逃せないグルメ

スポットです。

道路から剥き出しの典型的なグル市の高

級住宅———-ケネス宅ではありません。

何とも愉快なオーナー一家

AlbertからKyogaに流れるKafo 川

kyogaからAlbertに流れるNile 川