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164 資料編 第 1 回検討委員会議事概要 平成 27 年度天然更新活用による森林整備手法に関する調査委託事業 1 回天然更新活用による森林整備手法検討委員会 議事概要 日時:平成 27 10 16 日(金)13301525 場所:航空会館 202 会議室 検討委員名簿 区分 氏 名 所属・役職 委員 (順不同・ 敬称略) 伊藤 哲(座長) 宮崎大学農学部・教授 澁谷 正人 北海道大学大学院農学研究院・准教授 正木 隆 国立研究開発法人森林総合研究所・森林植生研究領域長 青柳 浩 国立研究開発法人森林総合研究所 森林整備センター 森林業務部森林企画課・課長 林野庁及び事務局名簿 区分 氏 名 所属・役職 林野庁 大沼 清仁 林野庁 森林整備部整備課・森林資源循環施業推進官 久保 芳文 業務管理班・課長補佐 中村 勉 業務管理班・業務調整係長 事務局 石山 浩一 株式会社森林環境リアライズ・専務取締役 北川 弘美 ・東京事務所長代理 附野 泰久 ・主幹技師 1.議事 (1)平成 26 年度事業の振り返り <議論要旨> ・ 間伐回数が増加するほど、稚樹密度は減少する傾向があり、生物学的な現象ではなく、 伐倒時の刈り払いなどによるダメージと推測される。無間伐でも良くなく、1 回の場 合に一番本数が多くなる。 時系列を丁寧に追うと、間伐後に一度更新木が減少し、年数の経過と共に増加する 傾向がある。その際、間伐回数と経過年数で状況が異なるため、そのような情報を今 年度以降の調査で加えるのが良いのではないか。 (2)平成 27 年度事業内容について ① 既存の研究成果等の収集・分析 <議論要旨>

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資料編

第 1回検討委員会議事概要

平成 27 年度天然更新活用による森林整備手法に関する調査委託事業

第 1 回天然更新活用による森林整備手法検討委員会 議事概要

日時:平成 27 年 10 月 16 日(金)13:30~15:25

場所:航空会館 202 会議室

検討委員名簿

区分 氏 名 所属・役職

委員 (順不同・

敬称略)

伊藤 哲(座長) 宮崎大学農学部・教授

澁谷 正人 北海道大学大学院農学研究院・准教授

正木 隆 国立研究開発法人森林総合研究所・森林植生研究領域長

青柳 浩

国立研究開発法人森林総合研究所 森林整備センター

森林業務部森林企画課・課長

林野庁及び事務局名簿

区分 氏 名 所属・役職

林野庁

大沼 清仁 林野庁 森林整備部整備課・森林資源循環施業推進官

久保 芳文 同 業務管理班・課長補佐

中村 勉 同 業務管理班・業務調整係長

事務局

石山 浩一 株式会社森林環境リアライズ・専務取締役

北川 弘美 同 ・東京事務所長代理

附野 泰久 同 ・主幹技師

1.議事

(1)平成 26年度事業の振り返り

<議論要旨>

・ 間伐回数が増加するほど、稚樹密度は減少する傾向があり、生物学的な現象ではなく、

伐倒時の刈り払いなどによるダメージと推測される。無間伐でも良くなく、1 回の場

合に一番本数が多くなる。

時系列を丁寧に追うと、間伐後に一度更新木が減少し、年数の経過と共に増加する

傾向がある。その際、間伐回数と経過年数で状況が異なるため、そのような情報を今

年度以降の調査で加えるのが良いのではないか。

(2)平成 27年度事業内容について

① 既存の研究成果等の収集・分析

<議論要旨>

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・ 森林総合研究所の広葉樹林化プロジェクトは、本事業においても非常に重要な位置づ

けになってくる。

・ 広葉樹林化プロジェクトでの成果報告会と一般向けのシンポジウムを東京で開催す

るので、参加してもらうと良い。

・ 広葉樹林化プロジェクトでは、本来自然林で成育している種から考えた結果、大きく

2 つの軸があり、①何が主役の樹種か、②何が準主役の樹種かである。

主役の樹種とは、全国的にブナ科樹種であり、準主役は冷温帯と暖温帯で変わり、冷

温帯ではカバノキ科、シデ類が準主役になり、暖温帯ではクスノキ科の樹木が準主役

になる。下層に、ブナ科が多いかどうか、ブナ科が無い場合は、準主役樹種が成育し

ているかどうかで、将来成立する広葉樹林の目安になってくると考える。

・ 天然更新を行う場合、目標林型があり、高木性広葉樹主体や、高木性に限らず広葉樹

に被覆されれば良い場合等が考えられるが、どちらが現実的かは現地の組成から考え

ると具体的に落とし込んでいけるのではないか。

・ 収集した文献について、マニュアルに記載できるものを整理していくことが必要であ

るが、文献を収集する段階で戦術を持って収集していくことも必要である。課題やマ

ニュアル作成でキーワードになる知見に、それぞれの地域が加わり、その中でどの分

野が文献で拾え、どの分野に不足があるといった整理が今年の段階で行えると、不足

している文献や探すべき文献が明らかとなる。文献の内容を精査するのは大変なため、

どの分野が出てきているかいないかを整理するのがよいと考える。

・ 目標林型によって対象とする樹種も変わる。天然更新完了基準とは別に、水源林をど

のような状態にするのが望ましいということを考えることと、その場合に各県の更新

完了基準との間に齟齬はないかということを考えていく必要があるのではないか。

・ 各県の天然更新完了基準は広葉樹林施業を見越した樹種で、相当縛りの厳しい基準で

あり、経験的に天然更新完了基準を満たせる森林は非常に少ない。本事業は用材の育

成が目的ではないので、ここまでで良いという基準を持っておくことが必要である。

このあたりをマニュアルの中で、「目標林型の考え方」という項目を整理し記載した

方が良いと考える。例えば、地面を覆う状態をレベル 1 とし、薪炭林のように人為に

より組成が単純な状態、近隣にある自然林に発達した状態の 3 つぐらいの目標林型に、

経済的な視点を加えた有用広葉樹の考え方が入り、計 4 つの林型にレベル分けする。

重視される状態を整理すると、目標林型に沿って可能性の判断が変わるので、整理で

きるのではと考える。

・ PDCA の段階で、PC、PC を検証し、目標を変えることもあり得るのではないか。

・ 目標林型の設定を整理し、更新完了基準を類型化できないかということと、可能な範

囲で文献についての星取表を作成すべきである。

② 天然力を活用した森林施業の事例調査

<議論要旨>

1)「林縁からの距離と更新木の分布」について

・ 北海道の経験では、林縁からの距離と更新木の密度に、意外と相関が出ない。風散布

樹種は、カエデ類を除き耐陰性の高い樹種が少なく、東北の研究者からも同様の報告

がある。

・ 風散布樹種はカンバ類、カエデ類があるが、カエデ類は意外と距離と更新密度の相関

がでない。

・ カエデ類は飛行距離が長いので、本州も同じである。シデ類などで関係性が見られる。

地域の植物相によって変わり、一律に考えるのは難しい。地域ごとのマニュアルを考

えていくべきである。

・ 地域別に主要になる種があり、生活史の特性として種子散布距離などが解っていれば、

このような樹種を 1 つのガイドラインとして提示でき、広葉樹で風散布とラフな捉え

方にならずに済むかもしれない。

・ 研究レベルであれば、膨大なデータを取らなければならないが、エキスパートシステ

ムとして、機能グループが定義できれば良いのではないか。

・ 風散布樹種の中でも樹種特性により、分けて考えるべきである。常緑樹林では、重力

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散布は距離依存が厳しすぎて 5m以内に収まる。樹種によって 5mで距離依存性が見

えなくなる種、5~6km ないと見えない種、数百mでちょうど見える種などがある。

各樹種について、そのような特性を持つ樹種であると言えれば良い。全体的に「ある」、

「ない」で検討すると、状況的に合わなくなると思われる。

・ 東北大学の実験でも、間伐により光環境を改善すると林縁効果が出てくることがある。

林縁からの距離に対して、更新稚樹がどのように分布しているかは、光環境、すなわ

ち植栽木の混み具合と距離といった見方をするのがいいかもしれないし、間伐によっ

てそのような効果を発現させられるといった提言につながるかも知れない。調査は、

距離に依存して見ていく時に、どのような光環境で成立しているかを合わせて分析し

てもらいたい。

2)「胸高直径断面積」について

・ 胸高直径断面積(BA)の合計と密度の関係はとても難しい。

・ 一般的にBA計の増加により更新木は出なくなる方向かもしれないが、北海道のトド

マツ人工林ではトドマツの更新プロセスがあり、更新時期にBA計が増加している場

合もある。自然現象の中で解釈するのが難しい場面も有り得る。また、トドマツ人工

林では、クマイザサ、ミヤコザサではトドマツが更新する場合が結構ある。

・ 目標林型の考え方にもよるが、機能を果たせば針葉樹の更新でも良く、便宜上、針広

混交林としているという認識で良い。

・ 1 回目の間伐では、ある程度広葉樹が入っているが、2 回目、3 回目の間伐を実施し

た森林では少ない。間伐時の刈り払いにより減少していると推測される。

・ BA計で考える場合、同じBA計でも樹高の違いにより全く意味が異なる。

・ 時間の経過、林齢の上昇により、無間伐の場合でも適切に管理されていれば、BA計

は上がる。林齢が高くなればなるほど、極相に近い遷移後期種が戻ってくるため、100

年ぐらいの伐期を考えた場合、林齢による依存性はBA計に対してプラスになる。短

い範囲で見ると、同じ林齢、同じ樹高で混み入っているBAの大小は光環境に反映し

て、マイナスとなる。間伐直後に刈り払いされた状態なのか、一定時間が経過し植生

が戻ってきている状態なのか、また、時間が経過し過ぎたため、再閉鎖し暗くなって

いる状態なのか、経過時間によって状況は大きく異なる。そうなるとBAは何も効い

てこないことになり、解釈が難しい。

・ 10 齢級程度を対象に検討していくのだが、立地条件による樹高が変わってくる。樹

高が低ければ暗く、高ければ明るくなるので、BAを扱うのであれば樹高も扱う必要

がある。

・ もっと直接的な間伐からの経過時間、Ryのような要間伐基準が混み具合を示してい

るので、その時の光環境というのは、BAよりもダイレクトなものを使った方が良い

のではないか。

・ 樹冠疎密度でもかまわない。

・ それで説明できなければ、間伐の影響や種子類の影響となり、光があるにもかかわら

ず更新していないのは何故かという段階になる。

3)「地質と微地形」について

・ 地質と安定斜面かどうかの 2 項目だけを調査すれば良い。

・ 微地形は侵食前線のことであり、安定斜面かどうかである。その部分だけを記載すれ

ば良いのではないか。

・ 侵食部分で更新種を増加さようとする場合、表土が移動しているのが問題であれば止

める、光が足りないのであれば開ける、種子がないのであれば植える、という考え方

となる。どの要素が更新阻害要因となっているかを調べ、「マニュアルⅱ」の中で、

その原因が具体的特定できれば、その要素を除去、緩和するための更新補助作業がマ

ニュアルで挙げられてくるのではないか。

・ 調査の要点は、更新阻害要因が何かを調べることである。その結果により、対策方法

の有無を判断することにつながる。BAでは更新阻害要因が何か解らないため、解る

ような調査をしてもらいたい。

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・ 天然更新完了基準の樹種での更新は非常に手間暇が掛かるため、更新する樹種が更新

すれば良いのではと考える。安定斜面ではきちんとそこに生育する樹種が生育すれば

良く、急斜面では、そこに生える樹種が生えていれば良しとするのがよいのではない

か。

4)「帯状伐採」について

・ 事務局で調査した昨年の事例の 1 つは、間伐ではなく、広葉樹の仕立てを前提にした

更新伐といえる。主伐として帯状伐採を行う考え方は有りで、オプションの 1 つであ

る。メリットは、弱度多間伐では樹冠がすぐに閉じ、手間が掛かりすぎるため、簡単

に再閉鎖されないようにすることである。強度の伐採が必要であり、その延長線上で、

森林の機能を失わない程度の全伐により、保残帯の下層に林縁から光が入る効果を期

待する考え方も有り得るのではないか。

・ 水源林造成事業地での保安林規制の問題により、実行可能性の問題はあるが、技術論

としては有り得る。しかしながら、間伐効果、施業目的から、この施業を間伐と呼ぶ

のには抵抗がある。

・ 群馬県の利根沼田森林管理署管内において、環境林整備で実施した 20×20m のギャ

ップを開けた事例では、林縁(保残帯でギャップに接する部分)に一番広葉樹が多く

成育し、ギャップにはタラノキやクサギばかりで、林内(保残帯の内部)は何もなか

った。林縁には、クサギは入れないが広葉樹が入れるちょうどいい光環境があり、そ

こに色々な広葉樹が見られた。後継樹を育て作っていく観点から、皆伐のギャップ内

より林縁が効果を発揮する場合があるのではないか。

・ 保残帯の林縁の光環境の改善は、地表の撹乱も無く、鳥も呼び、光も入って来るため、

前生樹を多様にするにはいい状況を作ってくれる。均一な間伐による均一な光環境の

改善はコスト的な問題もある。すぐに閉鎖しない広めの空間を作る方法もオプション

の1つである。

・ 九州森林管理局の綾の森では、約 10 年分の試行の事例がある。例えば、伐採方法と

種子の散布効果、定性間伐と列状間伐の違い、小面積皆伐による林縁の創出、シカ食

害の影響調査など数多くの調査結果がある。可能であればデータごと調査結果を入手

してもらいたい。

・ 九州森林管理局森林技術・支援センター(宮崎市高岡)で、帯状伐採などの多様な森

造りの試験を H2 年から H6 年ごろに実施し、報告書も出ている。すでに完了してお

り、暖温帯のため冬季調査も可能である。主伐も視野に入れるのであれば、多くの試

験地や情報があると思われる。

・ 昨年の事例の 8m幅の伐採は広いと思うが、北海道でも 5~6m までの伐採跡は見ら

れる。その部分は作業道として使用し更新地ではないが、狭い範囲で主伐に近い状況

を見るのであれば、そのような場所の調査も良いのではないか。

・ 北海道、本州、九州では状況が違うかもしれないが、帯状伐採をオプションに入れる

かどうかで、効率の観点から大きく異なってくる。

・ 生真面目に多間伐を実施していれば、天然更新は無理と推測される。更新の可能性の

高い箇所があれば、なおさら強間伐に行く。林業を考えると好ましくなく、実生で極

性混交の林が列状になるのは勧めがたいが、30 年間の伐期延長をした森林の天然更

新を主な目標とするならば、ありと考える。

・ 広葉樹の成長に必要な光は、皆伐による全面的な光でなくても良く、光合成曲線から

見ても、全天候の光の 4~5 割で飽和する。そうでない全天候の部分にはアカメガシ

ワなどの広葉樹が生育する。それらの種が生育し難い林縁は、普通に成長する広葉樹

にとって、競争相手がいない良好な環境となる。

・ 最終的に森林を構成する種の種子源があり、その種が樹冠に到達できるような状況が

あって、阻害要因が少ないのであれば、むしろ弱い光で良いかもしれない。先駆種し

か成育していないとなれば、先駆種を絶対に消失させないように、樹冠を大きく開け

ることが必要になってくる。

・ 目標林型にもよるが、アカメガシワ、カラスザンショウでいいのであれば、整備のや

り方が変わってくる。

・ サンプルは少なくても良いので、このような部分を事例でサポートできれば良いので

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はないか。

③ 水源林造成事業の契約地における調査について

<議論要旨>

1)契約地調査について

・ 現地調査は、良い比較対象が見つかるかどうかに掛かっている。

・ 施業履歴がはっきりしているのであれば、他所で捕らえにくい弱度多間伐が更新阻害

要因となることを検証できると良いのではないか。

2)事例調査を含めた現地調査の調整状況について

・ 来年度を考えるなら、今年度中にプロットの設定、地権者との交渉等を進めるべきで

ある。

・ 茨城県や埼玉県など、太平洋側の雪の少ない地方の落葉広葉樹林帯は、可能性がある

かもしれない。

・ 樹種判定がかなり難しいと思われる。

・ 山梨県は、昨年のドカ雪は別として、標高が高くても雪がない。茨城県の阿武隈山地

一体でも、ほとんど雪が降らない。茨城県も水源環境税を導入しているので、施業を

最近実施している可能性がある。

・ 調査ができる見通しがある箇所をきっちり調査すべきと考える。この事業では、優良

に働いている要因、強い阻害要因が解ればよく、調査が担保できることを考え、スケ

ジュールをたてるべきである。

・ 参考として、茨城県にはシカがおらず、埼玉県、山梨県には多く生息している。そこ

を比較することで、シカによる影響が見えるかも知れない。

・ 天然更新は、技術開発の重点課題として H8 ぐらいから相当数を扱っており、10 年分

のデータが蓄積され、試験地もそのまま残っている場合がある。技術センターや指導

普及課に問い合わせた方が、候補が挙がると考える。民有林で調査承諾に時間を要す

るのであれば、国有林での調査が早くできるのではと考える。

・ 技術開発部会は指導普及課で行っているので、直接問い合わせるのが良い。

・ 事務局は県の担当に打診したが、県もすぐには動けない。調査地の候補を挙げ、そこ

を管轄している森林組合が水源林造成事業を実施していれば、組合で調整してくれる

のではないか。

・ 国有林の試験地では、データ込みの情報を提供してもらえるかも知れない。文献調査

も兼ねられる可能性があり、よい事例になるのではないか。

・ 九州森林管理局指導普及課では、すべて PDF 形式で情報を公開している。

・ 表計算形式のデータとして蓄積されている場合も有る。

・ ここで議論してきた重要ではないかといった箇所を重点的に調査することとし、照葉

樹林帯で調査できるところがあれば実施する。加えて、落葉広葉樹林帯でもトライす

る。現地調査の地方については現場で判断してもらいたい。

・ 文献で現地調査をフォローできることもあると考えられるため、前述のとおり星取表

を整理するのがよい。

④ 天然林を活用した森林施業を推進する上で留意すべき課題の検討について

<議論要旨>

・ 間伐時の刈り払いについて、ある程度大きく成長したものは残されるが、目線に葉が

茂っている更新木は刈り払われる。目線に更新木が多くあるような現地では、更新木

は失われる可能性はかなり高い。広葉樹を残すように配慮した施業であっても刈り払

われる場合もあり、配慮されなければ無くなる。2mを超えれば邪魔にならず残され

るので、そのようなサイズがあるかどうかが、調査時のポイントになる。

・ 北海道の地形の緩い箇所では機械施業が行われるため、更新木はつぶされる。施業が

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冬季だと残る。

・ 広葉樹林化を目的としていても、せっかく侵入した前生樹を全部刈り払ってしまった

事例がある。方針が現場に伝わらず、施業安全上刈り払ってしまったためである。こ

の問題はとても根が深い。

・ 現実問題として、前生稚樹には期待ができなくなってしまう。

・ 施工業者との契約書や仕様書に反映されれば、多少なりとも刈り払われることは無く

なるであろう。

・ この調査委託事業では、前生樹の更新がメインになると思うが、それをいかに促進す

ることを考えていくべきである。刈り払いの問題とあわせて実行されないと意味を無

くしてしまう。

・ 施業については、実行の可能性も考慮して記載する必要がある。

・ そうした場合、帯状の皆伐がますます候補にあがってくる。目標林型を高木性樹種の

林にするならば、高木性広葉樹の樹冠幅はスギやヒノキの 3 倍程度となるため、伐採

幅が 10~15mであっても樹冠は閉鎖する。

・ 実行可能性を考慮すると、帯状伐採のオプションになるであろう。また、どうしても

刈り払いをしなければならないのであれば、残さなければならない樹種、サイズ、量

などの情報も載せたい。刈り払いにより消失する樹種、復元する樹種の情報もあれば

いいかも知れない。

・ 一番良くないことは、間伐後 5 年程度経過し、目線の高さまで成長した広葉樹を刈り

払うことである。

・ 低木性樹種は戻るが、高木性樹種は刈り払われると戻らない。

・ 優良地を調査し、更新にとっていい部分を整理し、阻害要因などもあれば抽出する。

帯状伐採地などの調査が簡単に出来るのであれば、調査を行う。これらの整理ができ

た上で、現実問題として施業上に注意、留意すべきことをマニュアルの中で整理して

いくことを考えればよいのではないか。

・ 調査結果を整理し、重要な阻害要因として刈り払いが挙げられれば、マニュアルの中

で重点的に記載していくことになるのではないか。

・ 事例調査では、自然条件だけではなく、施業条件の違いといった社会的なファクター

も拾い上げていければ、意味のあるものになってくると考える。例えば、施業の手を

抜いたため、更新が多くなった事例もあるのではないか。

(3)その他の質疑応答

・ 次年度は可能な限り早く開始してもらいたい。

・ この事業の成否は、いつ始めるかに懸かってきている。暖温帯のみの現地調査であれ

ば、課題が残ってしまう。最低限でも冷温帯でいくつかのサンプル調査ができるよう

な期間を確保してもらいたい。

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第 2回検討委員会議事概要

平成 27 年度天然更新活用による森林整備手法に関する調査委託事業

第 2 回天然更新活用による森林整備手法検討委員会 議事概要

日時:平成 28 年 3 月 10 日(木)13:25~15:40

場所:農林水産省 北別館 7 階 共用第 5 会議室

検討委員名簿

区分 氏 名 所属・役職

委員 (順不同・

敬称略)

伊藤 哲(座長) 宮崎大学農学部・教授

澁谷 正人 北海道大学大学院農学研究院・准教授

正木 隆 国立研究開発法人森林総合研究所・森林植生研究領域長

青柳 浩

国立研究開発法人森林総合研究所 森林整備センター

森林業務部森林企画課・課長

林野庁及び事務局名簿

区分 氏 名 所属・役職

林野庁

大沼 清仁 林野庁 森林整備部整備課・森林資源循環施業推進官

久保 芳文 同 業務管理班・課長補佐

小林 敬子 同 業務管理班・森林土木専門官

上田 益大 同 業務管理班・造林調整係長

中村 勉 同 業務管理班・業務調整係長

事務局

石山 浩一 株式会社森林環境リアライズ・専務取締役

附野 泰久 同 ・主幹技師

(1)第 1回検討委員会の振り返り

(2)現地調査結果について

① 宮崎 1(J9)

・ 定性間伐の 2 年後に、樹冠がすぐ閉じない群状・帯状の試験伐採により、伐採面や林縁

部の光環境の改善を想定した試験地である。シカ激害地で更新がシカに左右される状況

であることから、低コストの一手法として切捨間伐の残材を積み上による更新促進の試

験も実施している。今年度の調査結果では、効果的な残材の置き方、積上げ方が整理さ

れるようだ。

・ マニュアル化には作業時の条件も関係してくる。間伐時の刈り払いが稚樹を減少させる

場合があり、作業者に意図が伝わらず伐倒木で稚樹が減少することも他所であった。

・ これまでの試験結果では、伐採により稚樹が減少し現時点までに伐採前の状況に復元し

ていない。現地では、若干支障木の刈り払いが見られたが、大部分では刈り払いは見ら

れなかった。

・ 人工林を天然化するプロセスとして、群状伐採で良い結果が出れば導入する結論になる

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だろうが、これを間伐として位置付けるのは難しい。

・ 通常、初回の間伐は列状や定性によると考えられ、その技術論の中で検討を行う必要が

ある。斜面位置や広葉樹林との距離等の結果は納得できる。

・ 現地が急傾斜地で林道から 100m程度離れているのであれば、コスト面から切捨て間伐

となる可能性が高い。

・ 相対照度の計測は天候等に左右されるため、広葉樹林化プロジェクトで作成したアプリ

ケーションを活用してはどうか。立木密度、平均直径、平均樹高、緯度、経度を入力す

ると計算できる仕組みであり、定性間伐と群状伐採の組み合わせなどにも対応している。

② 宮崎 2(J10)

・ 18m幅の皆伐地と隣接する列状間伐地で 1 箇所ずつプロットを設定し調査を実施。

・ 高木性樹種は、出現数から見ると同じ傾向である。樹高は皆伐地の光環境を考慮すれば

妥当ではないか。

・ 皆伐地と列状間伐地では樹種構成が少し異なり、列状間伐地で多い。また、既存の資料

から調査プロットが伐採地、林内のどちらに設定されたか確認できなかったため、「皆

伐により生育していた広葉樹が一度伐採され、そこから更新しやすい特定の樹種が更新

している」までは言い切れないようである。

・ 列状間伐から 8 年経過した現時点の樹冠は完全には閉じておらず、伐採列が確認できる

状態にある。相対照度は 3.2%であった。

・ 照度は、林内の胸高直径付近で複数回測定した値と同時刻の林外の値を比較した。相対

照度の低さの原因として、林外照度の計測で直射日光が当たり分母が大きくなったため

と考える。

・ 相対照度や樹冠開空度の実測は、測定場所よりも低く地面に近い位置の光環境でしかな

い。通常植栽木の林冠をコントロールし、地面の光環境を変え更新を促進したいと考え

ているが、更新が進み中層に広葉樹が増えると、上部は開いているが、地表近くは暗く

なる。広葉樹林化プロジェクトでの光環境を推測するアプリケーションが今回の目的に

合っているのではないか。

・ アプリケーションでは、地上から様々な高さで計測でき、稚樹が置かれている光環境を

直接推定できる。林内に遮蔽する広葉樹林がないとの前提で計算できるメリットがある。

③ 山梨(J11)、群馬 1(J12)、群馬 2(J13)

・ 「山梨」「群馬 1」のスギ林の立地は、ヒノキ林のほぼ同一の標高で隣接し、特に下方

に植えられているわけではなかった。

・ スギ林よりヒノキ林の更新が良いのは、一般的な知見と逆のようだが、斜面下部にスギ

林があるのでなければ、埼玉県と群馬県境付近の地域性があるのかもしれない。

・ 間伐されていればヒノキ林で下層植生が入りやすい印象がある。同様の内容が記載され

た文献があったと記憶している。

・ アカマツやカラマツで見られる傾向ではなく、スギとヒノキの比較でそこまで顕著に差

が出るプロセスも見当がつかない。地域性が関係していることもあり、慎重に考えるべ

きである。

・ 林冠を構成している樹種で下層の傾向を統一的に記述するのは難しいのではないか。

・ スギ林では、枝打ちによる枝条が土壌保全の面でヒノキより良いと言われ、更新阻害の

可能性があるが、今回の調査結果からはそこまで言及できないようである。

・ 常にマニュアル化を念頭に置き、知見の落とし込み方を想定し、根拠と当てはめること

のできる条件を考える必要がある。「更新木の成長には、侵入時期(若齢時の侵入)と

ギャップの有無が影響」をそのまま受け取ると、若齢段階で侵入させるのは良いが、老

齢段階では侵入が見込めないことになり、群状レベルの施業へつながっていく方向で記

載されている。そうであるのならば、根拠をしっかり示す必要がある。

・ おそらくこの推測は正しいだろうが、マニュアルに落とし込むには根拠を示した方が信

頼性は高まる。

・ 資料 3 より相対照度との関係を見ると、相対照度が一定以上ある場合、高さ 50cm 以上

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の高木性樹種がある程度確保されているように見られる。このあたりがターゲットとな

るのではないか。Ry も樹高により多少意味が変わり、平均樹高、Ry、相対照度の関係

は上手く整理できそうにないが、その整理が可能ならば 50cm 以上の高木性樹種密度を

ターゲットとして整理すると良いのではないか。相対照度の関係も多少乱れているが、

20%以上あると 50cm 以上の高木性密度がある程度確保できているのが全体の傾向だ

と考えている。ただし、相対照度の計測プロセスが重要になってくる。

・ 共通意見は光環境の取り扱いであり、実測値より先ほどから挙がっているアプリケーシ

ョンにより、林冠から全体の光環境を推定すると良いのではないか。

・ 更新完了基準にあがっている 50cm 以上の個体密度も見ていくのはどうか。

④ 宮城 1(J14)、宮城 2(J15)、北海道(J16)

・ ササ・シダ類により林床が繁茂するタイプと集材時の地表撹乱の組み合わせにより、更

新の度合いが変化する可能性がある。事例調査よりそれらが分かれば、各ケースに対し

ての対応がオプションとして出るかもしれない。集材方法は把握するべきである。

・ 本事業での更新対象は、水源涵養機能が発揮できる森林に戻れば良いということで、カ

ラマツなどの針葉樹も含める。

・ ヒノキ樹下のヒノキ更新は、「宮崎 2」の文献で実生発生後消失した例があり、「群馬

2」ではヒノキを混生するスギ林下で樹高 50cm 程度に更新しているのが見られた。

・ ヒノキ間伐後にヒノキが更新する条件は不明であるが、そのような事例は少ないが有り

得る。

・ 北海道は、ササが繁茂するため天然更新が難しく特にカラマツは生えない。そのため更

新は、間伐時にいかにササを攪乱できるかにかかる。植栽木の密度が高い方がササは薄

くなるため、更新木の本数が多い結果になったのかもしれない。

・ 宮城の2件は更新完了基準を満たし、高さ 50cm 以上の割合が高い林分である。ここに

ヒントがあるかもしれない。現状のみで考察するのは難しいため、履歴も考える必要が

ある。

・ 「宮城 2」は明らかに林齢の効果ではないか。しかし 80 年生になれば全て更新してく

る訳ではなく、履歴が重要と考える。

・ 「宮城 2」は幅 20m程度で伐採した更新伐施業地の残地林内のプロットと列状間伐地の

プロットで、間伐履歴は前回までの施業情報しか得ていない。

・ 「宮城 2」は 80 年生程度であり、現在ターゲットにする予定の林分を誘導した結果の

モデルの一つに位置づけられると考える。

・ 光環境と距離で整理ができるのではないか。相対照度は誤差が多きいため、Ry など計

算で出る数字が良いだろう。ただし、Ry は樹高により意味合いが異なるため注意が必

要である。

・ マニュアルでは、相対照度の計測を盛り込むと無理が出るだろう。何らかの指標を計算

し、その裏付けに相対照度の計測を行う位置づけであれば相対照度の計測値も生きるの

ではないか。現場で対応できることが重要になる。

・ 樹冠疎密度で計算する案も当初は計画されていた。樹冠疎密度の基準、Ry の基準等な

ど複数の指標を用いて、現場で判断しやすいガイドラインに落とし込めると良い。

・ 一般的な結果として述べるのは難しいため、現地の毎木調査結果の数値から整理するの

が良いのではないか。地域性は無視できないため、少なくとも常緑広葉樹林帯、落葉広

葉樹林帯、ササ型林床などは分けて考える必要がある。優占する林床植生は重要である。

良否の判断基準も重要であり、今回は樹種と樹高を考慮している。樹高は各県の基準か

ら 50cm でよいのではないか。

・ 各県の更新完了基準には違いがあり、保安林の指定施業要件の対象種と更新完了基準の

対象種が必ずしも一致しない問題がある。

・ 調査結果からシカ被害の痕跡が多かったのは、「宮崎」と「千葉契約地」の1プロット

である。「千葉」は本数が少なく、「宮崎」は更新基準の数を満たしているが樹高が不

足していた。「宮崎」はこのまま成長すればコストをかけずに更新基準を満たす可能性

があるが、減るようであれば対策が必要である。すべてを囲うのはコストがかかり現実

的ではないと考えている。

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173

・ シカはあらゆる森林管理で問題となり、どうにもならなくなる。このため、この件は一

旦置くことにする。シカをコントロールする手段の有無で条件が全く変わってしまう。

・ 参考情報として、シカ食害の影響により更新していない可能性について、今回の調査結

果を解釈する上で付加される段階まではあるのではないか。

⑤ 契約地(千葉、宮城)

・ 多間伐では生育している更新木を伐り、林冠の閉鎖によりすぐに光環境改善の効果が消

える可能性がある。樹冠を強度に開け、林床攪乱の回数が少ない方が更新木の生育が良

い可能性は多分にある。「宮城契約地」ではその傾向があり、可能性を示す根拠となる

かもしれない。「千葉契約地」で傾向が見られない理由はなぜなのか。

・ 多間伐は良くないが、1 回目の間伐から放置する期間が長くても良くない結果となって

いる。

・ 除間伐回数が少なく更新木も少ない「千葉 332 号」では、間伐からの経過期間が長く、

当時の間伐強度も 10~11%小さかった。

・ 間伐回数が多ければ更新木が減少し、少なければ増加するという単純な関係ではないと

考えられ、難しい問題である。

・ モデル的に考えるのが良いのではないか。

・ これまでの調査結果から何をどう導き出していくかについて、定性的に個別データを検

証していく方法が 1 つある。2 つ目は、多変量分析的に考え導き出す方法がある。特に

前者は仮説があった方が良い。今回の調査結果から、明るさで更新木が多くなる傾向で

はない結果が出ており、明るくするために更新木が壊された可能性、明るくなったばか

りで効果がまだ出ていない時期である可能性、現在それ程明るくないが昔明るかった時

の効果で更新した更新木が現在見られる可能性もあり、間伐状況や時間経過に伴う変化

のプロセスを想定しながらデータを見る必要がある。

・ 前回間伐した森林の林況と間伐強度、経過時間、現在の光環境を合わせた結果として、

現在生育している更新木と密度を説明するのが望ましい。目的変数は 2 種類で、更新樹

か、更新完了基準に合う更新樹の密度で、おそらく両方を考えるべきである。それを説

明する要因は、直接的な光だけではなく、前回間伐からの期間、前回の間伐強度、伐採

時の林分の樹高等の要因を組合せ、説明することが考えられる。これは考え方であり、

光環境だけで判断すれば誤って読み取るかもしれない。

・ これまでは光環境と人為による排除の有無で決定されてくることに絞っているが、更新

木の稚樹侵入には、種子散布の制限の有無といった生物的な要因が関わる。広葉樹林化

プロジェクトの事例では、過去の土地利用、最近接の種子源との距離、種あるいは繁殖

体が侵入可能な場所か困難な場所かが最初にある。資料 3 に光の効果を時間経過に考慮

して見て行くのが望ましい。

・ もう一つ大切な点は、おそらく種子は遠くから飛んでくるが、ある程度時間をかけなけ

れば溜まらず、そこには林齢が影響してくる。先程の 80 年生のスギ林で更新木が多か

ったのは溜まる期間があったためだろう。更新木の溜まりやすさはリターの多い少ない

も関係する可能性があり、様々な要因が関わってくる。マニュアルをどこまでクオリテ

ィのものにしていくかにかかわってくる。

・ 今の議論は森林生態学の最もホットな部分であり、このプロジェクトの中で閾値を求め

ていくことは無理であるが、大事なものは何であるか、配慮すべき事項については評価

が必要であり、一般的に言われてきた内容や今回の調査結果から言及できそうな内容に

ついて、種子源からの距離、過去の土地利用形態、間伐強度経過時間等の重要度が少し

でも出てくれば、現場の判断基準に近づくのではないか。

・ 数字ではなく、○×△でしか示せないのではないか。これは、現場に行くまでの予想で

あり、最終的には現場での更新木の有無により判断をしていくのが望ましいのではない

か。

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⑥ 調査地の平均値による比較と高木性更新木密度に関する因子・傾向

・ 単独要因の傾向にどの程度の信頼性があるか分からない。他の影響を拾っているだけの

可能性があり、それをどう振り分けていくかである。

・ 広葉樹林化プロジェクトでは、北海道から九州までのデータを収集したが、稚樹密度と

土地履歴の関係は見られなかった。

・ 採草地跡の造林地と元森林の造林地では関係が見られた。広葉樹跡の初代造林、二代目

造林、針葉樹の二代目造林では、はっきり関係が出ないことが多い。先ほどからの議論

で、一般的に重要とされている項目の重みがでてくるのではないか。極端な事案があれ

ば考慮していくということである。原野造林であれば注意しなければならないが、それ

以外であれば詳細に見る必要がないということである。重要でないことを落としていけ

れば、絞り込んでいけるのではないか。

・ 今年度の調査結果では、ある程度できているのではないか。

・ 他の要因を含んでいる可能性については、統計的な問題ではなく、プロセスを考えなけ

ればならない。

(3)既存の研究成果等の収集・分析について

・ 現地調査よる検証結果と文献が異なる部分がかなりある。

・ 今回の調査結果では文献に示されている種子散布による制限は見られないとのことだ

が、どのような解釈ができるか。

・ 大まかな傾向は見られるが、個別の事例ではばらつきが出る。

・ 距離には風散布が強く影響し鳥散布も影響する。同じ距離を飛ぶにしても延長が長くな

れば薄くなる。

・ 事前に林分情報から目安を立てる部分と現場確認により判断することにならざるを得

ないと考える。

・ 文献がより汎用的な内容を示している。種子源からの距離は明瞭に効いていないとの調

査結果は一般的な評価とは異なるが、他の条件で大きく変わる可能性を示しているので

はないか。

・ 森林調査簿や地形図、航空写真から判断できる天然更新の可能性のレベルと、現地確認

による判断が必要であり、マニュアルではその違いによる使用方法を変えていくことで

はないか。文献の現象がすべて肯定される必要はなく、今回否定された部分が重要な判

断材料になる可能性もある。結果が矛盾しているのではなくバラツキを捉えていると考

えるべきではないか。

(4)マニュアル作成に向けて

・ 林野庁の指導では、保安林指定施業要件で認められる間伐の上限は材積率 35%までで、

樹種は広葉樹を含めても良いとしている。さらに、指定施業要件の本数も人工植栽木だ

けではなく、広葉樹更新木を含めた本数が指定施業要件の本数を超えていれば良いとし

ている。水源林造成事業地では林野庁の指導基準への変更を自治体に依頼しているが、

県の諸事情により過去の基準の変更が進んでいない状況が見られる。

・ 前提条件では、材積伐採率が 35%、5 年後の樹冠疎密度 80%以上は必ずしも要件では

ないとする。

・ マニュアル作りの全体構成は、針広混交林化が可能かの判断基準を作成し、可能性を

高・中・低それぞれに対応する形で森林タイプ別の施業方法を作成する。

・ 順応的に行い、PDCAサイクルの流れは明確に提示すべきである。数学的に予測でき

る簡単なものではなく非常に不確定要素が多いため、モニタリングしながら順応的に進

めることは避けられない。

・ 「マニュアルⅰ」は、地図や調査簿、航空写真での判断により、文献にあるような要因

について検討し想定する広域的な推定の面と、プロセスが分からない状態では現場で確

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認せざるを得ず、現地から判断材料を得る形になるのではないか。

・ ササ地のように可能性の低い場所に対して事前の下刈りを繰り返すことで可能性を高

めることは、目標林型を段階的に検証していくことで可能になるのではないか。そのた

めにも、施業は間伐のみではなく、補助作業を組み合わせて考えていくべきである。

・ 目標林形を達成する可能性を高めるには、地表処理が入るのではないか。地形等は人為

的に変えられないため、人為的に操作できることを中心に考える必要がある。人為で操

作できるのは間伐の方法や、地表処理である。

・ コストの問題もあるが、その部分はどちらを選択するかの話になってくる。急傾斜地で

は困難だが、重機で簡単に地表処理ができるならば良い場合もある。

・ 日本全国を対象としているマニュアルの中で、地域的なオプションとして別に位置づけ

るのが良いのではないか。前更更新が有効な地域があると盛り込んでも良く、「マニュ

アルⅱ」には地表処理も地域によって入れることとする。

・ 伐採時期、強度、集材方法、下層の攪乱、光環境の制御、地表に近い樹木と土壌の攪乱

の抑制の部分でマニュアル化を進めていくことになる。

・ 間伐前の下刈りは厳につつしむべきことであるとマニュアルに記載すべきである。

・ 個人的な感想にはなるが、活用する立場からは「マニュアルⅰ」が重要と考える。可能

な箇所が判断できれば、施業につながるのではないかと考える。

・ 定性的で良いので、文献と事例調査から、組み合わせにより可能性かある場所、もしく

は組み合わせにより 100%無理な場所、その他グレーな場所を○×の組み合わせにより

高・中・低を導き出せるよう情報を抽出していければと考える。

・ マニュアルの使いやすさ、分かりやすさについて意見を述べてもらうためにも出来るだ

け早い段階で森林整備センターに確認してもらう。また、「マニュアルⅰ」の現地確認

では、手間がかからない調査が望まれる。

・ 今回の事業はメインユーザーがはっきりしているため、マニュアルはユーザーの意向を

取り入れフィードバックできると良い。大枠で良いので、できるだけ早い時期にプロト

タイプを作成し、フィードバックしたものを委員が検討する形式をとれば良いマニュア

ルができるのではないか。そのため事業開始時期をなるべく早くすることが必要である。

・ 林野庁でも早期開始に向け、準備を進めている。

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既存の知見一覧

文献

NO 区分 キーワード 文献に示されている結果

文献の

調査

地域

文献の

対象

森林

文献対象の条件

1 更新判断

HB

目標林型の判断 更新状況が試験時の判定結果と異なるケースがしばしば見られる。 新潟県、

岩手県

ブナ

2 更新判断

HB

目標林型の判断 天然下種による更新は、省力化が出来る半面、不確実性が高い。更

新完了後の継続的なモニタリングと適切な管理が成林させる重要な

要素。

3 更新判断

HB

更新完了の判断 初期段階の密度だけで成林の成否判断は不十分な場合がある。更新

木の樹高も考慮。

4 更新判断

(条件)

HB

上木と前生稚樹の樹種によ

る広葉樹林化の可能性

前生樹が多い森林では、特段の配慮をしなくても更新が容易な場合

がある。特に、カラマツやアカマツ等林内が明るい林分で萌芽性の

強い下木が生えている場合は、省力的に広葉樹林へ誘導できる可能

性が高まる。

カラマ

ツ・アカマ

5 更新判断 更新判断 伐採 10 年後にブナの更新完了基準を満たしていたが、30 年後には、

その他広葉樹に被圧されていた。更新の初期段階で下された更新の

成否判定が妥当ではなかった。

弱度の伐採が行われたブナ林でも、高密度で更新したのはウダイカ

ンバやホオノキ等で、ブナは少なかった。ただし、さらに下層を除

去し入念な下刈を加えるとブナ稚樹が増加した。 この方法は、ブナ

の天然更新には有効な施法かもしれないが、林分構造の同復に要す

る時間やコストの点で問題がある。

岩手県 ブナ ブナ皆伐母樹保残施

業地(標高 500~570

m)、育成天然林施

業地(標高 520~680

m)

6 更新判断 更新の判断要素(密度・樹

高)

競合植生の影響

ブナ天然更新試験地の 30 年間のデータの解析から、高木性の樹木が

更新する確率は、1982 年当時の稚樹の密度と高さのみでよく説明さ

れた。高木性樹種の更新の成功率は、稚樹密度が 20 万本/ha 以上、

かつ植生が除去された場合にようやく 8 割を超えると推定された。

各地の広葉樹天然更新完了基準、稚樹高 30cm,密度 5,000 本/ha で

は低すぎ、伐採前に前生稚樹の密度を高める等の作業を行わない限

り、天然下種によるブナ林の更新は難しいと考えられた。

新潟県 ブナ 標高 1169~1642m。

土地履歴はブナ天然

林。1968 年強度伐

採、林床処理を実施、

1978 年に母樹伐採。

7 更新判断 更新の判断 不確実性を引き受けざるを得ない判断には、順応的に、研究からの

知見を繰り返しインプットする必要があることを強調したい。

8 影響要因 樹種ごとに異なる更新木の

影響要因

トドマツ人工林への広葉樹の侵入には、林齢、胸高断面積合計、標

高、傾斜が関係していた。林齢は正の影響を与えており、胸高断面

積合計はイタヤカエデ以外で負の影響を与えていた。

種子の散布距離の指標になると考えられる小班面積はいずれも無相

関。標高はブナ,ホオノキで正、傾斜はブナで正の影響を与えてい

たが、これらの現象を説明する各樹種の生理生態的特性については

明らかでない。

北海道 トドマツ 平均 48 年生。平均樹

高 16m、地位指数

18、標高 40~500m、

傾斜 2~32°

9 影響要因

HB

カラマツ林での更新密度と

影響要因(光環境、広葉樹

からの距離との関係は明瞭

ではない)

カラマツ林では林内の光環境(胸高断面積合計)と樹木の更新密度

の関係は明瞭でない。広葉樹林からの距離も明瞭ではない。

山梨県 カラマツ

10 影響要因 高木性樹種のサイズ別の本

数と影響要因(下刈り回数、

列状間伐の方法、間伐後の

年数などの施業に関する要

因、土地利用前歴、斜面位

置)

稚樹サイズの高木種個体数は、下刈り回数や列状間伐の方法、間伐

後の年数などの施業に関する要因のほか、土地利用前歴や斜面位置

に影響を受けていることが示された。下刈りの影響が最も大きく、

その他の要因は同程度であった。

実生サイズの高木種個体数は、斜面位置、広葉樹林からの距離の影

響が強かった。成林後の高木種の新規加入は、種子供給源との位置

関係、地形の影響が相対的に高くなることが示唆された。

群馬県 スギ

11 影響要因

HB

スギ林での前生稚樹密度と

影響要因(光環境に関係性

あり)

スギの胸高断面積合計(林内の光環境)が低いほど前生稚樹の密度

が高い。

群馬県 スギ

12 影響要因

HB

影響要因(植栽木の種類、

広葉樹からの距離、標高、

光、伐採後経過年数、林齢、

降水量、傾斜、日当たり)

高木性広葉樹の稚樹密度に影響する環境要因は、植栽木(スギ・ヒ

ノキ別)、広葉樹からの距離、標高、光、伐採後経過年数、林齢、

降水量、傾斜、日当たり。

三重県 スギ・ヒノ

13 影響要因 出現個体数に影響するプラ

ス要因(高い林齢、急傾斜、

高い光強度)とマイナス要

因(草本植被率)

出現個体数が多かったのは、ヒサカキ、コガクウツギ、シロダモ、

ネズミモチ、タブノキ、イヌビワであった。林齢の高いところ、傾

斜が急なところ、相対散乱光強度が高いところほど定着数が多い傾

向が見られた。また、負の要因としては草本植被率が認められた。

福岡県 スギ・ヒノ

14 影響要因

HB

常緑樹、落葉樹別の影響要

広葉樹密度に影響する環境要因のうち常緑樹では、抜き伐り後の年

数、相対照度、履歴、地形(直射面、凸斜面、尾根)が正の影響を

与え、標高、谷地形が負の影響を与えた。落葉樹では、標高、相対

照度、植栽樹種、地形(直射面、凸斜面、尾根)が正の影響を与え、

シカの生息、谷地形が負の影響を与えた。

抽出されなかった要因に傾斜、林齢、広葉樹林からの距離がある。

福岡県 スギ・ヒノ

15 影響要因

と樹種特

更新木の影響要因と樹種ご

との侵入状況

稚樹の侵入では母樹からの距離の影響はほとんどみられず、相対散

乱光強度、地形因子(斜面の上下、尾根、谷部、凸型、凹型、凹凸

度)が有意に影響している樹種が多かった。樹種ごとに侵入パター

ンや侵入適地が異なる。

三重県 ヒノキ

16 影響要因 列状間伐地での更新木の影

響要因(樹高、樹種、本数

と斜面方向)

本数伐採率 50%の列状間伐後 4 年後の下層木本は、樹高は南斜面で

北斜面より高く、樹高、個体数種数と均等度は間伐列で残存列より

高かった。

高木性樹種の本数

南斜面間伐列 9 本/24 ㎡(3,750 本/ha)、南斜面残存列 4 本/24

㎡(1,667 本/ha)、

北斜面間伐列 15 本/24 ㎡(6,250 本/ha)、北斜面残存列 6 本/24

㎡(2,500 本/ha)

岡山県 ヒノキ 40 年生ヒノキ人工

林、36 年生時に 2 残

2 伐の本数伐採率

50%の帯状間伐実

施。

17 影響要因 侵入植生に影響する要因

(過去の撹乱程度、種子源

からの距離、植栽木、林齢、

種子散布者)

人工林は植栽以降の時間経過に伴い、様々な植物種が侵入し植生が

冉生する二次遷移プロセスが進行するが、それは、過去の撹乱の程

度、種子源からの距離、植栽種の特徴、林齢などに依存している。

また、動物によって種子が散布されることを契機とする侵入・再生

プロセスも大きな役割を果たしている。

18 更新特性 更新樹種(後生稚樹)の特 林冠ギャップができた後に発生・定着する稚樹(後生稚樹)は少な

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177

(後生稚

樹) HB

性 く、更新への貢献は限られるが、更新樹種の多様性を増す効果があ

る。

19 更新特性

(収量比

数)

上木の収量比数 混交林を構成するスギは、地位5等以下の成長を示している林分が

多い。また、標準的な管理密度(収量比数で 0.6 ~ 0.8)未満の疎

な状態であることが多く、標高とともに密度(収量比数)が減少す

る傾向が見られた。広葉樹はスギの収量比数が低くなるほど生育本

数が多い傾向がみられた。

秋田県 スギ

20 更新特性

(種子)

種子(照葉樹堅果)の分散 多くの堅果は、設置場所より斜面下方に散布された。頂部斜面では

設置場所から半径 14m 程度の範囲に分散して散布され、下部斜面で

は 4 m 程度の範囲に集中して散布れた。急傾斜地でのネズミによる

堅果散布の大多数は、傾斜によって斜面上方への散布を制限され、

さらに下部斜面では谷によって斜面下方および対岸への散布を制限

されると考えられた。

宮崎県 照葉樹二

次林

ネズミによる堅果散

布。84 年生照葉樹二

次林。標高 175~205

m。

21 更新特性

(種子)

照葉樹林の種子散布特性 照葉樹林と隣接する林縁付近では、森林性木本種の種子が散布され、

人工林伐採後の森林再生にとって有利であるが、種子が散布される

距離は、林縁から 20m 以内と比較的に短い。

宮崎県 スギ

22 更新特性

(種子)

種子の散布(鳥類散布で秋

~冬に多く林内にランダ

ム)

人工林内に落下した鳥散布種子の種数と種子数は、自然落下種子よ

りも有意に多く、またそれらは春~夏季よりも秋~冬季で多い。

人工林内に落下した自然落下種子は広葉樹林との境界部に分布が限

られたが、鳥散布種子は、林分内に広くランダムに落下した。調査

地で観察した 14 種の果実食性鳥類のうち、秋~冬季にヒヨドリの出

現頻度が最も高かった。

鹿児島県 スギ 45 年生及び 80 年生

スギ人工林(約 1900

本/ha)。傾斜約 19.5

度、北西向き、標高

550m。

23 更新特性

(種子散

布)

出現樹種の種子散布特性 カラマツ人工林では、鳥散布と風散布の樹種が多く出現し、更新本

数、樹種数は間伐を契機に増加している。更新広葉樹の密度は、880

~4780 本/ha。40 年生以降間伐を 4 回実施されたトドマツ林では、

カラマツ人工林並みの更新本数があり、広葉樹の更新は間伐を契機

として生じていた。

北海道 カラマツ

24 更新特性

(種子散

布)

種子散布形態の違いに影響

する要因(母樹からの距離、

散布者の行動)と人工林内

への散布状況

アサダ、イタヤカエデ、シラカンバなど風散布種子は、母樹からの

距離に依存して散布数が著しく減少。長距離散布されるシラカンバ

を除くと、トドマツ人工林内に散布される種子数は全トラップの 4%

程度と極めて少ない。鳥被食散布のミズキ種子は、人工林内へ 18%

の種子が散布されており、散布が同時期に結実する植物に影響を受

けていた。磁石付き堅果の最大散布距離は、広葉樹林で 32m、人工

林で 71m に達していたが、約 70%の堅果は餌台から 10 m 以内に

散布され、平均散布距離はそれぞれ 8.1m、12.6m であった。以上の

ことから、広葉樹林に近い場所ほど種子の供給量が多いが、鳥被食

散布種子と貯食散布種子では散布者の行動に影響を受けるため複雑

である。

北海道 トドマツ

25 更新特性

(種子散

布)

再造林放棄地での前生稚

樹・新規実生(後生稚樹)

の樹種と分布

主伐後2年間経過した再造林放棄地では、残存前生樹はアラカシ、

シイ類、ヤブツバキ、シロダモ等で、広葉樹隣接地の方が非隣接地

よりも多い。新規実生も広葉樹隣接地で多く、風散布の散布様式を

示すケヤキやアカシデの出現本数が多かった。

三重県 スギ・

ヒノキ

再造林放棄地

26 更新特性

(種子散

布形態)

埋土種子の樹種特性と間伐

後に発生した実生樹種(先

駆性、動物散布型が多い)

埋土種子からはヒサカキが最も多く、アカメガシワ、カラスザンシ

ョウ、タラノキなどの先駆性樹種やイヌビワ、リョウブなどが多か

った。動物散布型の植物が多かった。間伐後に発生した広葉樹実生

は、ヒサカキが最も多く、アカメガシワ、イヌビワ、カラスザンシ

ョウ、リョウブが多かった。

福岡県 スギ・ヒノ

27 更新特性

(種子散

布)

暖温帯の種子散布特性 暖温帯における散布種子による更新は、風散布型木本種がほとんど

なく、重力散布型および被食散布型の木本種が主となる。そのなか

で、伐採後の森林の再生を短期的な視点で捉えると、重力散布種子

の散布は林縁周辺に限定され、被食散布型種子も伐採直後に伐採地

内に散布される種子数は少ないことから、散布種子による更新は非

常に難しいと考えられる。

宮崎県 スギ

28 更新特性

(種子散

布) HB

更新木の分布と広葉樹林と

の距離

種子散布特性と散布者の関

広葉樹の種子散布は、広葉樹林からの距離に依存して減少傾向。風

散布の種子で顕著。

種子の多くは林縁から 30m 以内、100m を超えると少なくなる。種

子散布は豊凶、散布者となる動物相にも注意が必要。

29 更新特性

(鳥散

布) HB

更新方法と阻害要因の排除 鳥散布種子を誘導する効果を広葉樹林化に活用するためには、幅

20m 以上の林冠ギャップを開けることと、ササやツルの更新阻害要

因が数年間は生じないことが前提。

30 更新特性

(鳥散

布) HB

鳥散布種子の効果を発揮さ

せるまでの期間

大きな林冠ギャップでも鳥散布種子を誘導する効果は、数年経過し

ないと顕著にならない。

31 更新特性

(樹種)

更新木の侵入状況(亜高木

種で高木性は稀)

スギ人工林内の定着した広葉樹の大部分は亜高木種で、照葉樹林の

林冠層で優占する種(主要高木種)は稀であった。

宮崎県 スギ

32 更新特性

(樹種、

埋土種

子)

更新樹種の特性(ギャップ

種が後生樹種、埋土種子は

広葉樹の樹種後生と類似し

ない)

広葉樹の樹種数は、間伐にともなって階段的に増加し、特にギャッ

プ種は、初回間伐以降に樹種数が増加していた。埋土種子の種構成

は、広葉樹の樹種構成とは類似していない。

北海道 カラマツ 41~51 年生カラマ

ツ人工林。火山噴出

物土壌。

33 更新特性

(前生稚

樹)

更新木の侵入状況(高木性

広葉樹は少なく、更新木の

主体は低木種)

林床の前生広葉樹幼樹が豊富でよく発達しているスギ壮齢人工林で

は、高木となる広葉樹種のクリ、コナラ、エンコウカエデ、ミズキ、

アオダモ、ヤマザクラ等の密度は低く、広葉樹幼樹の主体はアブラ

チャン、ガマズミ、ムラサキシキブなどの低木種であった。

群馬県 スギ

34 更新特性

(前生稚

樹)

前生稚樹の育成 ウリハダカエデの前更更新には、間伐など、上木の部分的な伐採に

よって大きな林冠の疎開(ギャップ)を生み出す森林施業が有効で

あると考えられた。

兵庫県 スギ

35 更新特性

(前生稚

樹)

前生樹の森林性高木種再生

への寄与

前生樹の立地条件(上部下

部の差なし)

実生の密度分布(斜面下部

で優位)と構成樹種

豊富な前生樹が伐採後の森林性高木種の初期再生に大きく寄与す

る。

前生樹の生残・萌芽再生率は、斜面の上部・下部間で大きな差はみ

られず、再生個体数の違いは前生樹数の違いをほぼそのまま反映し

ていた。

実生個体は、斜面下部で個体密度が高く、照葉樹林林冠構成種は極

めて低かった。

宮崎県 スギ

36 更新特性

(前生稚

樹) HB

人工林の現状 多くの林分で前生稚樹の密度が低い。 三重県 スギ・ヒノ

37 更新特性

(前生稚

樹) HB

前生稚樹の有効性 前生稚樹がギャップ内の更新稚樹の組成と密度を決める。

38 更新特性

(前生稚

樹) HB

前生稚樹の有効性 抜き伐り後の生存率は前生稚樹で高く、実生による後生稚樹ほど低

くなり成長量も小さい。強度の抜き伐りでは同程度。常緑広葉樹は

サイズの大きい前生稚樹ほど生存率が高く、成長も大きい傾向。

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178

39 更新特性

(前生稚

樹、種子)

HB

人工林の現状

種子散布型の違いによる更

新木の分布(鳥散布種の割

合が高い)

稚樹密度が低い林分が多く、小さい個体がほとんどで、常緑ブナ科

の出現頻度は低い。主として鳥が運ぶ周食散布型の樹種の割合が高

い。

福岡県 スギ・ヒノ

40 更新特性

(前生稚

樹、種子

散布形

態)

被災林での広葉樹の更新経

緯(初期に落葉鳥類散布の

種が優占)

自然林に近接する放置人工林が風害・雪害後に成立した二次林では、

撹乱前からアラカシを主体とした高木性非鳥類散布の常緑種の稚樹

が多く存在していた。しかし、初期の二次林では撹乱後 1~2 年のう

ちに侵入した落葉鳥類散布の種が初期成長が高いため優占し、その

後も胸高断面積合計が増加し、放置二次林の優占種となった。一方

高木性非鳥類散布の常緑種も胸高断面積合計は増加傾向にある。

東京都 ヒノキ・サ

ワラ

標高 195~230m、ヒ

ノキ・サワラ 23 年生人工

林の風倒被害地、

翌々年に冠雪害発

生。

林冠層にイイギリ・ミズ

キ、林冠下にアラカシ等常

緑樹。

41 更新特性

(前生稚

樹等)

HB

人工林の現状

前生稚樹の蓄積、育成の必

要性

天然更新で自然植生に近い林分に誘導できるのは一部で長時間かか

る。抜き伐りによる前生稚樹の蓄積、発達が不可欠。

福岡県 スギ・ヒノ

42 更新特性

(光環

境) HB

トドマツ林での更新密度と

胸高断面積合計との関係

(上木の違いにより影響要

因が異なる)

トドマツ林では胸高断面積合計(林内の光環境)に依存して広葉樹

の更新密度が少なくなる。

北海道 トドマツ

43 更新特性

(萌芽、

定着時

期)

更新木の萌芽幹、単幹別の

成長の違い

更新木の成長と、定着時期

の違いによる影響

萌芽幹とそれ以外の単幹との間で成長比較を行った結果、萌芽由来

の幹の伸長成長がより良好である。

壮齢スギ人工林の閉鎖林床では、アオハダ、ウリハダカエデ、コシ

アブラ、マルバアオダモなどの小高木が旺盛な成長を続けているが、

スギ植栽後の比較的初期に定着した高木性広葉樹の平均幹長は、こ

れら小高木のサイズを大きく上回っている。

群馬県 スギ

44 更新特性

(埋土種

子)

埋土種子の特性(鳥散布型

の先駆性樹種がほとんどで

隣接広葉樹の構成と異な

る)

埋土種子に広葉樹林からの距離と発生した種子数との間に明らかな

相関は見られない。

人工林内の埋土種子数は広葉樹林内に比べて少なく、そのうち 9 割

は鳥散布型の先駆性木本で、隣接広葉樹林の構成種とは異なってい

た。

東京都

45 更新特性

(埋土種

子) HB

埋土種子の特性 埋土種子からは短命の先駆種、低木種がほとんど。高木性樹種の多

くは埋土種子をつくらない。

46 更新特性

(立地)

HB

カラマツ林での更新密度と

広葉樹からの距離との関係

(上木の違いにより影響要

因が異なる)

カラマツ林では林分面積(広葉樹林からの距離)に依存して広葉樹

の更新密度が少なくなる。

北海道 カラマツ

47 更新特性

(立地)

HB

広葉樹林の距離と前生稚樹

の種類の関係

原生的な広葉樹林に優占する種の前生稚樹は距離が遠いほど少なく

なる。

群馬県 スギ

48 更新特性

(立地)

HB

立地(標高)による常緑更

新木、落葉更新木の分布特

侵入した高木性樹種は、常緑樹は遷移後期種から構成され低標高で

出現。落葉樹は二次林種と先駆種から構成され、高標高で出現。

三重県 スギ・ヒノ

49 更新特性

(立地、

樹種)

林床植生の種数(被覆率に

比例し、斜面上部で高い)

林床植生の多様度(間伐か

らの期間の短さと斜面上部

で大きい傾向)

林床植生の種数は、林床合計被覆率(植被+リター)が高い林分や斜面

上部で多く、林床植生の種多様度指数は、最近間伐した林分や斜面

上部で大きい傾向が示された。

神奈川県 スギ・ヒノ

キ・広葉樹

50 阻害要因 ヒノキ更新木の競合植生に

よる影響

ヒノキ上木択伐の場合、単木よりも群状伐採の方がヒノキ更新木の

サイズが大きいものが多い。しかし分布のムラが多く、林床にマル

バノキが繁茂する斜面下部には更新不良のところも見られた。

長野県 ヒノキ

51 阻害要因

HB

ササ類の繁茂が阻害要因 カラマツ林ではササ類が繁茂することが多く、そのよな場所では樹

木の更新は困難になる。

山梨県 カラマツ

52 阻害要因

HB

間伐の影響と阻害要因 スギやヒノキ人工林の抜き伐りでは、光環境の好転は一時的で、一

定以上に明るいと低木や高茎草本との競争に負ける場合があること

が予想される。

スギ・ヒノ

53 阻害要因

HB

強間伐の林冠閉鎖までの期

上木を強度に抜き伐りすると、下木の広葉樹の成長は促進されるが、

林冠ギャップの閉鎖などにより、伐採後 10 年以内に下木への成長阻

害が始まると考えるべき。

54 阻害要因

HB

間伐方法の違いによる前生

稚樹への影響(形状比の高

い前生稚樹の枯死や高茎草

本繁茂による生育阻害の発

生)

帯状伐採は、光環境を大幅に改善するが、10m幅での伐採は、サイ

ズが小さく形状比の高い前生稚樹の枯死率が高まる。また、帯状伐

採で伐採幅が広い(20m幅)と低木や高茎草本の繁茂により、稚樹

の生育(更新)が阻害されやすくなる。

55 阻害要因

(階層)

階層の密度が下層に与える

負の影響

階層の発達したアカマツ人工林では庇陰効果により、亜高木層の落

葉広葉樹の密度が林床のクマイザサの密度に対し負の影響を、クマ

イザサの密度が稚樹の密度に負の影響を与えている。

岩手県 アカマツ アカマツ 31~39 年

生人工林

56 阻害要因

(間伐)

間伐による更新阻害 間伐区では一部で前生樹の成長が改善される傾向がみられたもの

の、間伐時の前生樹の損傷が幼木の生存率の低下や成長の抑制をも

たらしていた。

高知県 ヒノキ

57 阻害要因

(競合植

生)

ササ類による更新の阻害 カラマツ林内の広葉樹の密度は、林床にササが優占する林分で小さ

く、ササ類は広葉樹の更新に負の影響を与えていると考えられた。

北海道 カラマツ 41~51 年生カラマ

ツ人工林。火山噴出

物土壌。

58 阻害要因

(シカ)

シカの影響(食害割合の高

い樹種が場所ごとで異な

る)

調査地により食害発生率及び食害指数平均値の高かった樹種は異な

っていた。試験地で食害発生率及び食害指数平均値の低かった樹種

は、クスノキ,シキミ,シロダモ,アブラギリ,センダンであった。

千葉県

59 阻害要因

(シカ)

HB

シカ食外によるリスク回避 シカの増加によって稚樹は減少する。 北海道 高齢トド

マツ

60 伐採によ

る変化

(影響要

因)

上木の違いによる更新の傾

向と影響要因、更新木の密

通常の施業ではカラマツ林の下層には広葉樹が見られるが、トドマ

ツ林は少ない傾向にある。カラマツ林では広葉樹林からの距離が、

トドマツ林では林内の光環境が広葉樹の更新にとって影響力の強い

要因である。2 伐 3 残、3 伐 2 残の強間伐では、大型草本の被圧を抜

け出した樹高 1m 以上の広葉樹が 11 種、2500~3750 本/ha 存在。

北海道 カラマ

ツ・トドマ

60年生以上のカラマ

ツ林とトドマツ林。

トドマツ林の更新樹

種は不明。

61 伐採によ

る変化

(影響要

因)

更新木の分布と広葉樹林と

の距離(影響見られない)

間伐の影響(更新・成長の

契機)

スギ人工林に侵入・定着する広葉樹の個体数・種数に、広葉樹林か

らの距離による影響はみられなかった。一方、間伐は人工林内への

広葉樹の侵入・定着を促進すると考えられ、多くの種で実生の成長

を促進させた。

宮城県 スギ

62 伐採によ

る変化

間伐の影響(更新の契機) 広葉樹の更新個体数は間伐後に増加する傾向が顕著で、間伐は広葉

樹の更新契機になっていると考えられた。

北海道 カラマツ 41~51 年生カラマ

ツ人工林。火山噴出

物土壌。

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63 伐採によ

る変化

間伐の影響(更新の契機で

はあるが成長への影響は大

きくない)

疎に管理されたカラマツ林では、間伐は広葉樹の契機ではあるが、

成長への影響は大きくないといえる。

北海道 カラマツ

64 伐採によ

る変化

間伐の影響(更新の契機)

と更新密度

カラマツ人工林では、鳥散布と風散布の樹種が多く出現し、更新本

数、樹種数は間伐を契機に増加している。更新広葉樹の密度は、880

~4780 本/ha。

トドマツ林では、カラマツ人工林並みの更新本数があり、広葉樹の

更新は間伐を契機として生じていた。

北海道 カラマ

ツ・

トドマツ

65 伐採によ

る変化

間伐による更新木侵入・成

長契機

侵入時期と更新木の成長の

違い

広葉樹の種数や密度は 4 回の間伐を経て増加していた(トドマツ林

に侵入した高木性広葉樹 1,218 本/ha)。間伐が広葉樹の侵入契機で

あり、成長契機でもある。広葉樹の成長量は生態的特性によって異

なり、遷移後期種と比べて中間種の成長量は全体的に大きく、間伐

による成長の増大量も大きかった。また、成長量の増大が認められ

る個体割合や増大回数は、より早期に侵入した高齢の個体ほど大き

かった。

北海道 トドマツ 80年生トドマツ人工林。

標高 450m、東向き、

勾配 18 度、火山放出

物由来土壌。下刈 8

回,除伐 2 回,40 年生

時に初回間伐、10 年

ごとに計 4 回間伐実

施。

66 伐採によ

る変化

間伐強度と更新木の個体数

との関係

間伐強度と大型草本の回

復、高木性・亜高木性樹種

密度

異なる強度の列状間伐(1 伐 4 残,2 伐 3 残,3 伐 2 残)では、間伐

後の林内の相対光合成有効光量子束密度は、間伐強度が強くなるに

したがって明るくなる傾向があった。

高木性・亜高木性広葉樹の種の豊富さと個体数は、無間伐区に比べ

間伐区で高かったが、間伐区間では間伐強度が強いほど、個体数が

少なくなる傾向があった。

低木類と草本類の最大植生高と植被率は、間伐強度が強くなるにし

たがい増加。2 伐 3 残区と 3 伐 2 残区では、ウド,アキタブキなど

の大型草本の回復が著しく、多くの高木性・亜高木性広葉樹はこれ

らの草本類により覆われたが、大型草本の被圧を抜け出した樹高 1m

以上の広葉樹が 11 種、2,500~3,750 本/ha 存在していた。

北海道 トドマツ 39年生トドマツ人工林。

植栽後 9 年間は下刈

り,除伐を実施。間伐

は 20 年生時に伐捨

間伐、28 年生時に実

施、林床植生は欠如。

南向き、勾配 5~10

度。リターを傷つけ

ないよう、人力伐採

搬出を実施。

67 伐採によ

る変化

更新木本数(上木が疎なほ

ど広葉樹の本数が増加)と

前生樹の有効性

誘導伐(本数率で 25%~ 59%の強度な抜き伐り)を実施したスギ

人工林内には、ホオノキやミズナラ、コシアブラをはじめとする 42

種の高木性広葉樹の生育が確認された。広葉樹の大半は、伐採前か

ら生育していた前生樹で、誘導伐後のスギの収量比数が低い林分ほ

ど広葉樹の成長が良好。

秋田県 スギ

68 伐採によ

る変化

間伐が植生被度に及ぼす影

響の不確実性

間伐による高木性樹種の種

数、個体数と相対照度の関

係(見られない)

間伐が植生被度におよぼす影響は必ずしも一定ではなかった。

スギ上木を除く高木性樹種は、1試験地限定で、間伐前は相対照度

の高い Plot ほど種数が多い傾向が見られたが、個体数は相対照度に

は無関係であった。また、間伐後も同様の傾向で、種数、個体数と

も変化が少なく、間伐による影響が見られなかった。

秋田県 スギ

69 伐採によ

る変化

皆伐地と隣接人工林内の更

新本数(林内が少ない)

スギ人工林皆伐後、1~19 年経過した伐採跡地では平均 17 本/100 ㎡

の高木性広葉樹が出現し、隣接するスギ人工林内では、平均 11本/100

㎡が出現した。伐採跡地では伐採から 10 年で平均樹高 3m 前後、最

大 5m の広葉樹林の再生が見られた。

秋田県 スギ

70 伐採によ

る変化

間伐除伐の影響(更新・成

長の契機)

除間伐を契機として、多くの萌芽幹の再生や後更実生の参入、成長

が生じることが新たに明らかにされた。

群馬県 スギ

71 伐採によ

る変化

皆伐地の更新状況と更新樹

種の違いによる樹冠構成樹

伐採後に放置すると、数年で、アカメガシワやヌルデなどの先駆種

や低木、アラカシなどの常緑高木(以下、「カシ類」という)が密

生し、人が入るには困難な状況になる。

また、カシ類の高密地と低密地に分けられ、高密地では放置すると

カシ類中心の常緑広葉樹林になっていく。一方、カシ類の低密地で

は、低木や先駆種が多く、16 年経過しても将来の主要な高木性の樹

種が決まっていない状況であった。

東京都 スギ・ヒノ

72 伐採によ

る変化

択伐による光環境の変化

林床植生と更新木の関係

光環境は、択伐後 1 年目に 26~49%に増加し、2 年目より低下、10

年目に 2~3%へ低下。

シカの影響の無い高齢級スギ・ヒノキ林では、植被率が低いほど択

伐後に更新木が多く発生、定着、成長。

神奈川県 スギ・ヒノ

90 年生スギ、ヒノキ

林。

架線集材(材積率

30%)択伐。前生稚

樹は被度 1%未満。

73 伐採によ

る変化

更新の特性(後生樹種は鳥

散布の先駆種が定着し、時

間の経過で種数や個体数が

増える)

林床における高木性樹種の定着状況は、間伐後の人工林ではヤマグ

ワ、カラスザンショウ、ミズキなどの先駆的な鳥散布種が定着し、

間伐から時間が経つと種数や個体数が増える傾向があった。

神奈川県 スギ・ヒノ

キ・広葉樹

74 伐採によ

る変化

列状間伐地の高木性広葉樹

の更新密度と樹種別のスギ

との距離の関係(違いなし)

高くなるためには空間が必

33 年生スギ人工林の列状間伐(3 残 1 伐)地では、高木性広葉樹は

1,480 本/ha 出現した。林内では、クリ、ミズナラ、ウワミズザクラ

は狭い範囲で集中分布し、ホオノキ、コシアブラはより広い範囲で

集中分布をしていた。これら広葉樹からの一定の距離にあるスギの

本数には有意な違いは無かった。樹高階級ごとに比較したところ、

樹高の高いミズナラ、ウワミズザクラでは相対的にスギの密度が低

いエリアに分布していた。他の広葉樹では明瞭な傾向はなかった。

新潟県 スギ

75 伐採によ

る変化

列状間伐地での更新樹種と

定着時期(萌芽による発

生)、成長特性

32 年生スギ人工林の列状間伐(4 残 1 伐)地では、伐採列内に出現

したコナラ、ミズナラ、クリ、ホオノキ、ウワミズザクラ、ウリハ

ダカエデ、コシアブラの定着時期は除伐翌年に最も集中していたこ

とから若い萌芽から成長した可能性がある。平均肥大成長量はクリ

で有意に大きく、コシアブラで小さかった。ホオノキ、コシアブラ

では間伐時期に関わらず成長に波があるなど、樹種により成長に違

いが見られた。間伐後に有意に肥大成長が大きくなった樹種はクリ、

ウリハダカエデ、スギであった。平均樹高成長量に有意差は見られ

なかった。

新潟県 スギ

76 伐採によ

る変化

皆伐地に侵入する更新木の

種類と時間的経緯前生樹の

少ない皆伐跡地の更新

前生樹が少ない林分では、皆伐後 5 年間に発生した高木性木本は総

出現種数 30 種,99,400±64,200 本/ha で、そのうち 8 割以上が伐

採当年に発生した。当年発生実生の 86%はアカメガシワとカラスザ

ンショウの 2 種が占めたが、これらの先駆性樹種は,伐採 5 年目ま

でに著しく生存本数が減少し、樹高成長も停滞するなど、短期間で

衰退する傾向を示した。替わって生存率が高く、樹高成長も著しか

ったのが、オニグルミ、ミズキ、ホオノキ、ウワミズザクラなどの

ギャップ種であった。

富山県 スギ 72年生スギ人工林皆

伐跡地。標高 375~

470m。北向き。平均

傾斜 25 度。

77 伐採によ

る変化

皆伐地での更新樹種の構成

と、その後の生存状況、稚

樹発生数のばらつき

伐採当年に発生した高木性稚樹は 84,000 本/ha で、発生本数が多い

順に、アカメガシワ、カラスザンショウ、キハダ、クマノミズキ、

スギなどで、アカメガシワが全体の 74%を占めた。発生本数が最も

多かったアカメガシワやカラスザンショウは、生存本数の減少が著

しく、衰退する傾向がみられた。対照的に、オニグルミやホオノキ

などは、発生本数は少ないが生存本数の減少はあまり見られず、樹

高成長は良好であった。

稚樹発生数は 0.8~26.3 本/㎡と大きくばらついた。発生本数と各年

の生存本数には正の相関がみられ、発生時の分布の傾向が維持され

富山県 スギ

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180

ていた。

78 伐採によ

る変化

収量比数と高木広葉樹種、

更新密度、成長促進、土砂

流出防止に必要な林床植生

回復の期間

本数間伐率 40%以上の強度間伐により収量比数を 0.6 以下に調整す

ることで、間伐後 2~5 年に、より多くの種類の高木広葉樹の更新が

期待できる。

強度間伐により、5000 本/ha 以上の高木広葉樹の更新密度を維持す

ることができ、成長促進も期待できる。

強度間伐により、約 3 年で林内の土砂流出防止に必要な林床の植生

被度(75%以上)への回復が期待できる。

石川県

79 伐採によ

る変化

間伐からの経過期間と更新

木の生育

高木性樹種の成長特性

間伐からの年数が経過しているほど高木層に達している天然更新し

た樹木(ミヤマザクラ・ミズキなど)は豊富であったが、高木性稚

樹は年数に関わらず発生・消失を繰り返しているのみであった。

山梨県 カラマツ

80 伐採によ

る変化

間伐後の林床整理が高木性

広葉樹の成長に及ぼす影響

(阻害)

間伐による更新木の枯損、

樹冠閉鎖による枯損の影響

萌芽により広葉樹が更新したが、帯状伐採後に林床整理を繰り返す

と灌木や草本の繁茂で高木性広葉樹の成長が阻害される場合があっ

た。なお、帯状伐採を行う際に下層の広葉樹を残した場合でも、直

径が細く形状比が高いものが枯損した。また、下層に発生した広葉

樹の樹高成長は、上木の本数管理を行う必要があり、上木の本数管

理を行わずに放置すると光環境の悪化で下木が枯損する場合もあっ

た。

長野県 カラマツ 下層に高木性広葉樹

が認められるカラマ

ツ林。林床を整理し、

点状の強度間伐や列

状間伐を実施

81 伐採によ

る変化

強間伐によるヒノキの更新

経過年(29 年後)による樹

高と密度

ヒノキ林では、強間伐によるヒノキの天然更新が期待できるが、間

伐 29 年後の高さ 30cm以上のヒノキ更新木は 1,000~6,000 本/ha し

かない。強すぎる間伐は低木類の繁茂をもたらし、むしろ更新の進

行を遅らせる可能性がある。

長野県 ヒノキ

82 伐採によ

る変化

伐採方法の違いによるヒノ

キ更新木のサイズと分布

ヒノキ上木択伐の場合、単木よりも群状伐採の方がヒノキ更新木の

サイズが大きいものが多い。しかし分布のムラが多い。

長野県 ヒノキ

83 伐採によ

る変化

下層植生回復の傾向(3 年

目以降に増加する傾向が多

い)

下層植生の回復程度は調査地により著しく異なる。植被率の増加は

施業 3 年目以降に現れる林分が多かった。

植被率が短絡的に増加する林分では、先駆樹種が侵入、繁茂し優占

することが認められた。

静岡県 スギ・ヒノ

スギ・ヒノキ人工林、

24~55 年生、標高

270~1100m、全方

位、傾斜 4~45 度、

本数40%の抜き伐り

(幅 5m の列状、5m

角程度の群状、単木

伐採)

84 伐採によ

る変化

皆伐地に侵入する更新木の

種類と時間的経緯

前生樹の萌芽特性

人工林皆伐 5~11 年まで広葉樹の幹密度が増加。人工林の皆伐 11 年

後の時点で常緑広葉樹林が成林し、常緑広葉樹の伐採後に萌芽や種

子から更新した二次林の成長に劣らない。

個体の約 65%が多幹個体であったことから、前生樹からの萌芽再生

が更新に重要と示唆された。林分構造と種組成の変化から、クサギ

などの先駆性の低木種の大部分が枯死し、常緑広葉樹林の林冠構成

種、特にシイ類が優占する傾向が強まった。

高知県 スギ 63年生スギ人工林皆

伐跡地。標高 210~

230m。

85 伐採によ

る変化

間伐による植生の発生と、

その後の樹冠閉鎖にともな

う更新木への影響

ヒノキ林を間伐すると多くの植物が発生するが、林冠の閉鎖に伴い

先駆種が衰退し、ヒサカキなど耐陰性の高い種が残っていく。

高知県 ヒノキ

86 伐採によ

る変化

高木性樹種の定着の困難さ

影響要因(人工林は傾斜角、

皆伐地では標高。林齢、皆

伐後の経過年数の影響が大

きい点が共通)

人工林,皆伐地の全種の定着密度は、広葉樹天然林と比べ低く、と

くにプナ科高木種などの林冠優占種の定着は困難である。定着密度

に大きく影響した要因は、人工林では傾斜角、皆伐地では標高と、

両者で異なるが、成立後の年数(林齢,皆伐後経過年数)が最も大

きい点は共通していた。

福岡県、

大分県、

熊本県、

宮崎県

スギ・ヒノ

87 伐採によ

る変化

更新木の侵入状況(埋土種

子由来の先駆性樹種の割合

が高い)

スギ・ヒノキ人工林の間伐後、種数、実生数ともに埋土種子由来の

樹種が占める割合が高くなるが、これらの多くは、先駆性樹種や明

るい場所を好む樹種である。

福岡県 スギ・ヒノ

88 伐採によ

る変化

帯状伐採による光環境・微

気象の変化と林床植生の多

様度指数回復状況。

林床の相対光強度は、伐採前の 0.15 から伐採部中央で 0.6、林縁で

0.3 程度まで上昇した。林床の気温,飽差,地温および土壌含水率の

うち、伐採部と林縁における地温の変化が著しかった。伐採部の多

様度指数(H´)は伐採直後が最低で、15 カ月後には林内と同じ程

度にまで回復。林縁部の H'は調査期間を通して高く、林内は上昇し

ていた。

福岡県 ヒノキ 21 年生ヒノキ人工

林。チェーンソー伐倒+人力

搬出。10m 幅の帯状

伐採。標高60~70m、

傾斜は平坦~25 度。

地質は砂岩,シルト岩。

89 伐採によ

る変化

間伐後の相対照度は 3 年目

でも維持

更新木の侵入状況(高木性

が少ない)

50%の列状伐採では、伐採 3 年後でも高木性稚樹が生育可能な相対

照度が維持される。

落葉・常緑高木の常在度及び優占度は比較的低かった。

佐賀県 スギ・ヒノ

スギ・ヒノキ 43 年生、標

高約 600m、傾斜 12

~20 度、北西,南東

向き。'06.1 に 2 残 2

伐,3 残 3 伐,4 残 4

伐の列状間伐実施。

90 伐採によ

る変化

施業後の更新木の単層化、

単純化

下層植生の垂直的構造に着目すると、複数の階層が同時に発達する

タイプは少なく、亜高木層が発達する箇所の多くで、低木層および

草本層が未発達であった。また、分類されたタイプには、種多様度

および垂直的構造の発達度合いの両方をともに高く維持しているタ

イプは検出されなかった。特に、40 年生以下のパッチでは、一つの

下層植生タイプがパッチ内に優占し、単純な構造であった。

大分県 スギ 標高 790m、平坦斜

面。82年生スギ林に、

40 年前、21 年前、4

年前に 0.1ha の小面

積伐区を設定。伐区

にスギヒノキ植栽

91 伐採によ

る変化

HB

間伐による前生稚樹、後生

稚樹の成長量と生存率(前

生稚樹が有効)

抜き伐り後の生存率は前生稚樹で高く、実生による後生稚樹ほど低

くなり成長量も小さい。強度の抜き伐りでは同程度。

92 補助作業

の効果

地剥ぎ処理が更新木の成長

に及ぼす影響

カラマツの天然更新のための表土除去によって、1 年目および 2 年目

の苗木の成長が減少することが示唆された。表土除去が地位の低下

につながる可能性があることを、あらかじめ考慮しておくべき。

北海道 カラマツ

93 補助作業

の効果

阻害要因(ササ)排除と経

過年による更新樹種への影

ササ掻き起こし地で、キハダ、ナナカマドの成長量と生存率が高く、

アカエゾマツが低かった。多くの樹種は、下層植生の量から促進効

果を受けていた。ただし、シラカンバは、施業後 3~5 年目時点での

促進効果から、施業後 6~8 年目の結果で競争効果に転じていた。多

くの樹種の生存率は、周囲の針葉樹による負の影響が認められた。

(稚樹密度の上位 4 種はいずれも風散布樹種で、トドマツ稚樹密度

は 229 千本/ha と他樹種よりも多い。)

北海道 針広混交

トドマツ,アカエゾマツ,シラカン

バ,ミズナラ混在の針広

混交林(人天不明)。地

形はほぼ平坦。上層

木が少ない孔状地を

対象に、レーキドーザー

による掻き起し。

94 補助作業

の効果

阻害要因(競合植生)排除

と母樹による更新本数への

効果(効果なし)

ブナ試験地では、地床処理の有無、種類による更新木本数のちがい

は、30 年間を通してほとんど検出されなかった。また、保残木が母

樹としての役割を果たさず、むしろ前更更新により更新林分が成立

していた。

青森県 ブナ

95 補助作業

の効果

間伐方法と更新補助作業の

違いによる更新木密度の違

カラマツ林で木本数伐採率 50%の強度間伐(中下層木を全伐採、林

床植生の全刈り払い、枝条除去のための重機走行による地表落葉層

の剥ぎ取り地)では、処理 10 年後にウダイカンバを主としてホオノ

キ, ミズナラ, ウワミズザクラ, ヤマグワ, アズキナシ, アカ

イタヤ,ミズキ,シラカンバ,ダケカンバなどが更新し、高木性更

新木は幹密度で 2,850 本/ha。

幅 20m の帯状皆伐(重機による地掻き)地では、処理 7 年後にウダ

岩手県 カラマツ

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181

イカンバを主としてシラカンバ, ミズナラ, カラマツ, アカマツ,

ヤマグワなどからなる更新林分が成立し、高木性更新木は 10,000~

17,900 本/ha。

96 補助作業

の効果

強度間伐と更新補助作業の

組み合わせによる更新木密

強度間伐と重機による地表攪乱が行われたウダイカンバ母樹が散在

する 39 年生のカラマツ人工林では、本数伐採率約 50% の間伐,中

下層木, 林床植生の除去、一部でホイールトラクタにより枝条除去

により、間伐 14 年後にはウダイカンバ,ミズナラ,ホオノキ,ヤマ

グワ,ウワミズザクラなどの更新木が下層を形成し,二段林を呈し

た。ホイールトラクタによる枝条除去を行った部分では行わなかっ

た部分に比べてウダイカンバの密度が有意に高かった。

岩手県 カラマツ

97 補助作業

の効果

更新密度の不足と地剥ぎ処

理の効果

複幹樹種による萌芽のみでは十分な更新木が確保できていないこと

が示され、ウダイカンバなどの単幹樹種の実生更新を加えても、更

新木密度は標準的な広葉樹二次林の値を大きく下回り、収量比数の

値も疎林であることを示しているが、地掻き処理は更新木の不足を

軽減する効果をもたらし、しかも有用樹種を含む多様な樹種の更新

を促進すると考えられる。

岩手県 カラマツ

98 補助作業

の効果

更新状況の違いの要因(施

業と結実のタイミング、前

生稚樹)

刈り払いがプナ稚樹の定着、生存に大きな効果をもつが、刈り払い

が実施され多くのブナ稚樹が定着した林分がその後必ずしもブナ再

生林へと推移しているとは限らない。刈り払いの実施にもかかわら

ずプナの更新状況にちがいを生じさせた要因として、施業とプナ結

実とのタイミングに加えて、施業前のプナ稚樹生育状態、も関係し

ている可能性がある。

岩手県 ブナ 母樹保残法施業試験

地、ブナ純林

99 補助作業

の効果

柵によるシカ対策の効果 柵外(シカの影響下)では択伐後 12 年目には更新木の種数と個体数

に差異はないが、柵内と比較すると種数と個体数ともに少なかった。

神奈川県 スギ・ヒノ

90 年生スギ、ヒノキ

林。

架線集材(材積率

30%)択伐。前生稚

樹は被度 1%未満。

100 補助作業

の効果

阻害要因(競合植生)排除

による更新木樹冠面積への

効果(相関あり)

ササ抑制処理が行われなかった対照区では、伐採直後を除き、ササ

の衰退がみられない。除草剤散布と刈り払いによるササ処理区の抑

制効果の持続期間は 3 年間程度であったと見積られた。伐採 36 年後

には、更新木樹冠の面積比率は対照区で約 24%,処理区では 70%以

上であり、伐採10年後のササ面積比率との間に負の相関がみられた。

伐採 36 年後の更新林分の上層木密度は、上層平均樹高が同等の標準

的な人工林に対し、対照区で 24%、処理区で 61%に相当した。

長野県 ヒノキ ヒノキ主体の人工

林、帯状皆伐地、下

層チマキザサ繁茂。

標高 1400~1440m。

南向き。傾斜 5~30

度。

101 補助作業

の効果

地剥ぎ処理地の植生回復

(早期化確認できず)

間伐による更新木の影響

帯状伐採跡地の地掻き試験で、植生回復の早期化は確認できなかっ

た。

強度間伐は、下層広葉樹の成長促進効果が大きいが、下層広葉樹や

埋土種子が乏しい林地では、短期間での広葉樹導入は困難な場合も

ある。

岡山県 スギ・ヒノ

帯状伐採地:スギヒ

ノキ 53 年生、平均傾

斜 28°、伐採幅 8m、

残存幅 16m

102 補助作業

の必要性

HB

更新の不確実性を減らすた

めの対策

林内に結実している鳥散布型樹木がある場合は、結実による散布誘

導効果によって稚樹が増えることに期待ができるが、散布された種

子の捕食回避や光環境の改善等、追加的な施業が必要となる。

山梨県 カラマツ

103 維持管理 倒木の分解速度 寒冷地に植栽されるアカエゾマツとトドマツ,カラマツは,スギや

ヒノキよりも分解が遅く、ほぼ同じ気候範囲に植栽されるスギとヒ

ノキには樹種間差がなかった。5~15cm の小径な倒木は温暖で湿潤

な地域で分解が速かった。倒木の 15~40cm と根株は分解速度と気

象要因との関係は不明瞭であったが、寒冷地ではほとんど分解しな

かった。

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既存の知見出典一覧

1) 森林総合研究所 (2010) 広葉樹林化ハンドブック

2010

2) 森林総合研究所 (2010) 広葉樹林化ハンドブック

2010

3) 森林総合研究所 (2010) 広葉樹林化ハンドブック

2010

4) 森林総合研究所 (2012) 広葉樹林化ハンドブック

2012

5) 正木 隆・杉田久志・金指達郎・長池卓男・太田敬

之・櫃間 岳・酒井暁子・新井伸昌・市栄智明・上

迫正人・神林友広・畑田 彩・松井 淳・沢田信一・

中静 透 (2003.8) 東北地方のブナ林天然更新施業

地の現状 -二つの事例と生態プロセス-,日本森

林学会誌 Vol.85(2003) No.3 p.259-264

6) 正木 隆・佐藤 保・杉田久志・田中信行・八木橋

勉・小川みふゆ・田内裕之・田中 浩 (2012.5) 広

葉樹の天然更新完了基準に関する一考察 ―苗場山

ブナ天然更新試験地のデータから―,日本森林学会

誌 Vol.94(2012) No.1 p.17-23"

7) 田中 浩 (2011.3) 天然更新の成功をどう判断する

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8) 八坂通泰・菅野正人・寺田文子 (2015.2) 道南地方の

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9) 森林総合研究所 (2010) 広葉樹林化ハンドブック

2010

10) 平田晶子・酒井武・高橋和規・杉田久志・佐藤保・

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大会学術講演集 122

11) 森林総合研究所 (2010) 広葉樹林化ハンドブック

2010

12) 森林総合研究所 (2010) 広葉樹林化ハンドブック

2010

13) 桑野 泰光 (2009.3) スギ・ヒノキ人工林における広

葉樹の更新に影響を与える要因について,日本森林

学会大会学術講演集 120

14) 森林総合研究所 (2010) 広葉樹林化ハンドブック

2010

15) 島田 博匡, 野々田 稔郎 (2009.3) 強度間伐後のヒ

ノキ人工林における高木性広葉樹の侵入に地形依存

性はみられるか?,日本森林学会大会学術講演集

120

16) 廣部 宗・糸原まりな・近藤順治・音田高志・赤路

康朗・牧本卓史・坂本圭児 (2013) 列状間伐 4 年後

のヒノキ人工林における下層木本群落構造と立地環

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17) 長池卓男 (2000.11) 人工林生態系における植物種

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18) 森林総合研究所 (2010) 広葉樹林化ハンドブック

2010

19) 新田響平 (2014.3) 混交林誘導初期に対応した誘導

伐指針の作成,公立林業試験研究機関研究成果選集

No.11

20) 山川博美・池淵光葉・伊藤 哲・井藤宏香・平田令

子 (2010.8) 急傾斜地の照葉樹二次林における森林

性ネズミによる堅果の散布,日本森林学会誌

Vol.92(2010) No.3 p.157-161

21) 山川博美・末原正興・伊藤 哲・中尾登志雄 (2007.3)

照葉樹二次林に隣接するスギ人工林伐採跡地におけ

る種子散布,日本森林学会大会学術講演集 118

22) 平田令子・畑邦彦・曽根晃一 (2008.1) 果実食性鳥

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23) 渋谷正人 (2010.1) 針葉樹人工林における天然更新

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24) 今博計・明石信廣・南野一博・倉本惠生・飯田滋生

(2013.7) 北海道中央部の広葉樹林に隣接するトド

マツ人工林での種子散布,日本生態学会誌 63:

211-218

25) 福本 浩士 (2013.8) 三重県内のスギ・ヒノキ人工林

伐採跡地における広葉樹の更新状況,日本森林学会

大会学術講演集 124

26) 桑野 泰光 (2009.3) スギ・ヒノキ人工林における広

葉樹の更新に影響を与える要因について,日本森林

学会大会学術講演集 120

27) 山川博美・伊藤哲・中尾登志雄 (2013.7) 照葉樹二

次林に隣接する伐採地における 6 年間の種子散布,

日本生態学会誌 63:219-228

28) 森林総合研究所 (2010) 広葉樹林化ハンドブック

2010

29) 森林総合研究所 (2012) 広葉樹林化ハンドブック

2012

30) 森林総合研究所 (2012) 広葉樹林化ハンドブック

2012

31) 齊藤哲・小南陽亮・永松大・佐藤 保・大谷達也

(2004.3) 暖温帯のスギ人工林内における広葉樹の

混交状態*1,九州森林研究 No.57

32) 花田尚子・渋谷正人・斎藤秀之・高橋邦秀 (2008.1)

カラマツ人工林内における広葉樹の更新過程,日本

森林学会誌 Vol.88(2006) No.1 p.1-7

33) 高橋 和規, 酒井 武 (2009.3) スギ壮齢人工林にお

ける林床木本の群落構造,日本森林学会大会学術講

演集 120

34) 谷口 真吾 (2009.3) 前更更新による高木性稚樹群

の確保 -更新可能なスギ人工林の環境要因、施業履

歴- ,日本森林学会大会学術講演集 120"

35) 松永 慎平, 上原 尚, 伊藤 哲, 下村 治雄 (2009.3)

伐区幅の異なる帯状伐採地における前生樹の萌芽再

生と実生更新,日本森林学会大会学術講演集 120

36) 森林総合研究所 (2010) 広葉樹林化ハンドブック

2010

37) 森林総合研究所 (2010) 広葉樹林化ハンドブック

2010

38) 森林総合研究所 (2010) 広葉樹林化ハンドブック

2010

39) 森林総合研究所 (2010) 広葉樹林化ハンドブック

2010

40) 勝木俊雄・島田和則・西山嘉彦 (2003.8) 関東南部

の人工林跡地に成立した放置二次林における高木種

組成の変化,日本森林学会誌 Vol.85(2003) No.3

p.265-272

41) 森林総合研究所 (2010) 広葉樹林化ハンドブック

2010

42) 森林総合研究所 (2010) 広葉樹林化ハンドブック

2010

43) 高橋 和規・酒井 武・九島宏道・平田晶子・田内裕

之 (2010.3) スギ壮齢人工林における林床広葉樹の

生育状況,日本森林学会大会学術講演集 121

44) 塚田 夢人, 石川 信吾, 生原 喜久雄, 戸田 浩人,

崔 東寿, 西澤 敦彦 (2009.3) 奥多摩の人工林にお

ける埋土種子と伐採放棄地の天然更新,日本森林学

会大会学術講演集 120

45) 森林総合研究所 (2010) 広葉樹林化ハンドブック

2010

46) 森林総合研究所 (2010) 広葉樹林化ハンドブック

2010

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183

47) 森林総合研究所 (2010) 広葉樹林化ハンドブック

2010

48) 森林総合研究所 (2010) 広葉樹林化ハンドブック

2010

49) 指村 奈穂子, 成瀬 真理生, 田村 淳 (2014.7) 神奈

川県小仏地域の水源林において混交林化に向けた間

伐が林床植生に及ぼす影響,日本森林学会大会学術

講演集 125

50) 九島 宏道, 杉田 久志, 楯 直顕, 今村 正之, 酒井

武 , 齋藤 智之 , 西村 尚之 , 三村 晴彦 , 森澤 猛

(2014.7) 赤沢施業実験林における択伐約 30 年後の

ヒノキの更新状況,日本森林学会大会学術講演集

125

51) 森林総合研究所 (2010) 広葉樹林化ハンドブック

2010

52) 森林総合研究所 (2012) 広葉樹林化ハンドブック

2012

53) 森林総合研究所 (2012) 広葉樹林化ハンドブック

2012

54) 森林総合研究所 (2012) 広葉樹林化ハンドブック

2012

55) 國崎貴嗣 (2004.8) 岩手県鶯宿地方のアカマツ人工

林における亜高木層の落葉広葉樹の密度の違いが林

床のクマイザサ, 稚樹の密度に及ぼす影響,日本森

林学会誌 Vol.86(2004) No.3 p.258-264

56) 野口 麻穂子, 奥田 史郎, 宮本 和樹, 伊藤 武治

(2010.3) 強度間伐を行なったヒノキ人工林におけ

る広葉樹稚樹の動態,日本森林学会大会学術講演集

121

57) 花田尚子・渋谷正人・斎藤秀之・高橋邦秀 (2008.1)

カラマツ人工林内における広葉樹の更新過程,日本

森林学会誌 Vol.88(2006) No.1 p.1-7

58) 岩澤勝巳 (2010.3) 千葉県におけるシカ食害の樹種

間差,日本森林学会大会学術講演集 121

59) 森林総合研究所 (2010) 広葉樹林化ハンドブック

2010

60) 今博計 (2010.3) 人工林から混交林への誘導技術の

開発,公立林業試験研究機関研究成果選集 No.7

61) 江藤 幸乃, 加納 研一, 清和 研二 (2006.3) スギ人

工林における間伐による種多様性の回復-間伐直後

の広葉樹侵入過程-,日本森林学会大会学術講演集

117

62) 花田尚子・渋谷正人・斎藤秀之・高橋邦秀 (2008.1)

カラマツ人工林内における広葉樹の更新過程,日本

森林学会誌 Vol.88(2006) No.1 p.1-7

63) 岩﨑ちひろ・渋谷正人 (2013) カラマツ人工林にお

ける除間伐が広葉樹の侵入・成長に及ぼす影響と混

交林化の施業指針,北海道大学演習林研究報告 第

69 巻第 1 号

64) 渋谷正人 (2010.1) 針葉樹人工林における天然更新

と風害跡地の再生,山林 第 1508 号

65) 野々田秀一・渋谷正人・斎藤秀之・石橋 聰・高橋

正義 (2008.11) トドマツ人工林への広葉樹の侵入

および成長過程と間伐の影響,日本森林学会誌

Vol.90(2008) No.2 p.103-110

66) 今 博計・渡辺一郎 ・八坂通泰 (2008.8) トドマツ

人工林における間伐が広葉樹の天然下種更新に及ぼ

す影響,日本森林学会誌 Vol.89(2007) No.6

p.395-400

67) 新田響平 (2014.3) 混交林誘導初期に対応した誘導

伐指針の作成,公立林業試験研究機関研究成果選集

No.11

68) 大原 偉樹, 金子 智紀, 和田 覚, 北田 正憲, 齋藤

武史, 平井 敬三, 杉田 久志, 八木橋 勉 (2009.3)

スギ人工林における高木性広葉樹の侵入状況と下層

植生の繁茂量 強度間伐 2 年目の事例 ,日本森林学

会大会学術講演集 120"

69) 和田覚 (2009.3) スギ伐採跡地における広葉樹の植

被率による更新判定,公立林業試験研究機関研究成

果選集 No.7

70) 高橋 和規、酒井 武、九島 宏道、平田 晶子、田内

裕之 (2011.3) スギ列状間伐地における林床広葉樹

の成長,日本森林学会大会学術講演集 122

71) 西澤 敦彦 (2012.3) スギ・ヒノキ人工林伐採跡地の

広葉樹林化技術開発,公立林業試験研究機関研究成

果選集 No.9

72) 田村淳 (2015.4) 高齢級スギ・ヒノキ人工林の林床

植被の多寡が択伐後の高木性樹木稚樹の更新に及ぼ

す影響―シカを排除した12年間の調査から―,日

本森林学会誌 Vol.96 No.6 p.333-341

73) 指村 奈穂子, 成瀬 真理生, 田村 淳 (2014.7) 神奈

川県小仏地域の水源林において混交林化に向けた間

伐が林床植生に及ぼす影響,日本森林学会大会学術

講演集 125

74) 石川 衡志朗, 柳田 克也, 紙谷 智彦 (2014.7) 列状

間伐された多雪地のスギ人工林に侵入した高木性広

葉樹,日本森林学会大会学術講演集 125

75) 小澤 悠紀, 紙谷 智彦 (2013.8) 列状間伐されたス

ギ人工林に出現した高木性広葉樹の成長過程,日本

森林学会大会学術講演集 124

76) 高橋由佳・長谷川幹夫・図子光太郎・相浦英春

(2013.7) 富山県のスギ人工林皆伐跡地における実

生更新初期段階の稚樹の動態,日本森林学会誌

Vol.95(2013) No.3 p.182-188

77) 高橋由佳・長谷川幹夫・相浦英春・図子光太郎

(2012.2) スギ人工林皆伐後 7 年間の天然更新稚樹

の動態,日本森林学会大会学術講演集 123

78) 石川県 (2009) 強間伐による針広混交林化と機能

評価,石川県農林水産研究成果集報 第 11 号

79) 長池 卓男, 高野瀬 洋一郎 (2009.3) 間伐後の年数

が異なるカラマツ人工林における高木性稚樹の 6 年

間の動態,日本森林学会大会学術講演集 120

80) 小山泰弘・近藤道治・岡田充弘・大矢信次郎 (2013)

針広混交林の育成に向けた下層広葉樹の育成管理技

術-広葉樹林化のための更新予測及び誘導技術の開

発-,長野県林業総合センター研報第 27 号 (2013)

81) 杉田 久志, 九島 宏道, 酒井 武, 齋藤 智之, 今村

正之, 三村 晴彦 (2014.7) 木曽地方のヒノキ人工林

における天然更新試験 29 年後の状況,日本森林学会

大会学術講演集 125"

82) 九島 宏道, 杉田 久志, 楯 直顕, 今村 正之, 酒井

武 , 齋藤 智之 , 西村 尚之 , 三村 晴彦 , 森澤 猛

(2014.7) 赤沢施業実験林における択伐約 30 年後の

ヒノキの更新状況,日本森林学会大会学術講演集

125

83) 近藤晃・加藤徹 (2012) スギ・ヒノキ人工林の針広

混交林化を目的とした抜き伐り後 4 年間の下層植生

の動態,静岡県農林技術研究所報告書 第 5 号

84) 野口麻穂子・奥田史郎 (2012.9) 四国の暖温帯域の

スギ人工林皆伐跡地における林分構造と種組成の変

化 -皆伐 5 年後から 11 年後まで-,日本森林学会

誌 Vol.94(2012) No.4 p.192-195"

85) 酒井 敦 (2012.2) ヒノキ林間伐後の実生発生と動

態,日本森林学会大会学術講演集 123

86) 斉藤哲・猪上信義・野田亮・山田康裕・佐保公隆・

高宮立身・横尾謙一郎・小南陽亮・永松大・佐藤保・

梶本卓也 (2008.1) 九州における針葉樹人工林およ

び皆伐後再造林未済地に定着した樹木の本数密度の

予測,日本森林学会誌 Vol.88(2006 ) No.6

p.482-488

87) 桑野泰光 (2009.3) スギ・ヒノキ人工林において間

伐後に発生した実生と埋土種子との関係,九州森林

研究 No.62

88) 作田耕太郎・谷口 奨・井上昭夫 ・溝上展也

(2009.7) ヒノキ人工林における帯状伐採が林床の

微気象と樹木種の多様性に与える影響,日本森林学

会誌 Vol.91(2009) No.2 p.86-93

89) 宮崎潤二・山上健次・馬場 彰 (2011.3) 異なる伐

採幅の列状間伐が下層植生に及ぼす影響,九州森林

研究 No.64

90) 山川博美・伊藤 哲・作田耕太郎・溝上展也・中尾

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184

登志雄 (2009.1) 針葉樹人工林の小面積皆伐による

異齢林施業が下層植生の種多様性およびその構造に

及ぼす影響,日本森林学会誌 Vol.91(2009) No.4

p.277-284

91) 森林総合研究所 (2010) 広葉樹林化ハンドブック

2010

92) 中川昌彦・蓮井聡・石濱宣夫・滝谷美香・大野泰之・

八坂通泰 (2012.2) カラマツの天然更新施業のため

の表土除去が樹木の成長に与える影響-東神楽町で

の一例-,北方森林研究第 60 号

93) 原田 茜・吉田俊也・Victor Resco de Dios・野口

麻穂子・河原輝彦 (2009.1) 北海道のササ掻き起こ

し地における施工後 6~8 年の高木性樹種の動態,日

本森林学会誌 Vol.90(2008) No.6 p.397-403

94) 杉田久志・高橋 誠・島谷健一郎 (2010.3) 八甲田

ブナ施業指標林のブナ天然更新施業における前更

更新の重要性,日本森林学会誌 Vol.91(2009) No.6

p.382-390

95) 杉田久志・猪内次郎・百目木忠之・田口春孝・岩根

好伸・大石康彦・昆健児 (2003) 天然更新によるカ

ラマツ人工林の広葉樹林への誘導-小岩井農場山林

における事例-,東北森林科学会誌第 8 巻第 1 号

96) 杉田久志・猪内次郎・昆健児・岩根好伸・田口春孝・

大石康彦 (2008) 強度間伐および重機による地表撹

乱を行ったカラマツ人工林におけるウダイカンバの

更新と成長,東北森林科学会誌第 13 巻第 1 号"

97) 杉田久志・高橋利彦・松木佐和子・猪内次郎・田口

春孝 (2012.2) カラマツ人工林における帯状皆伐・

地掻き処理によるウダイカンバを含む広葉樹林への

誘導,日本森林学会大会学術講演集 123

98) 杉田久志・金指達郎・正木隆 (2008.1) ブナ皆伐母

樹保残法施業試験地における 33 年後,54 年後の更

新状況 -東北地方の落葉低木型林床ブナ林におけ

る事例-,日本森林学会誌 Vol.88(2006) No.6

p.456-464

99) 田村淳 (2015.4) 高齢級スギ・ヒノキ人工林の林床

植被の多寡が択伐後の高木性樹木稚樹の更新に及ぼ

す影響―シカを排除した12年間の調査から―,日

本森林学会誌 Vol.96 No.6 p.333-341

100) 森澤 猛・杉田久志・橋本良二・赤井龍男 (2010.4)

空中写真から解析した木曽地方三浦実験林のヒノキ

帯状皆伐天然更新試験地におけるササおよび更新木

樹冠被覆の 36 年間の変遷,日本森林学会誌

Vol.92(2010) No.1 p.22-28

101) 黒瀬勝雄 (2008) 針広混交林等造成技術の開発,

岡山県林試研報 24: 1-26 (2008)

102) 森林総合研究所 (2012) 広葉樹林化ハンドブック

2012

103) 酒井佳美・高橋正通・石塚成宏・稲垣善之・松浦

陽次郎・雲野 明・中田圭亮・長坂晶子・丹羽花恵・

澤田智志・北条良敬・玉木泰彦・綛谷珠美・武田 宏・

相浦英春・山内仁人・島田博匡・岩月鉄平・山場淳

史・山田隆信・前田 一・室 雅道 (2008) 材密度変

化による主要な針葉樹人工林における枯死木の分解

速度推定,森林立地 50(2):153~165

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平 成 2 7 年 度 天 然 更 新 活 用 に よ る

森 林 整 備 手 法 に 関 す る 調 査 委 託 事 業

調 査 期 間:平成 27年 9月 19日~平成 28年 3月 18日

委 託 者:林野庁

受 託 者:札幌市中央区北 1条西 21丁目 3-35

株式会社 森林環境リアライズ

代表取締役 堀束恭弘

担当者 附野泰久

TEL(011)699-6830/FAX(011)699-6831