pfi seminar 2010 0902

52
PFIセミナー 位相幾何学入門

Upload: kenta-oono

Post on 17-Jul-2015

2.734 views

Category:

Education


0 download

TRANSCRIPT

PFIセミナー位相幾何学入門

目次

1 イントロダクション

2 分類問題(「比較」と「ラベル付け」)

3 比較・・・ホモトピー同値

4 ラベル付け1・・・ホモトピー

5 ラベル付け2・・・ホモロジー

6 ホモロジーの性質

7 ポアンカレ予想

目次

1 イントロダクション

2 分類問題(「比較」と「ラベル付け」)

3 比較・・・ホモトピー同値

4 ラベル付け1・・・ホモトピー

5 ラベル付け2・・・ホモロジー

6 ホモロジーの性質

7 ポアンカレ予想

参考文献?

幾何学(geometry)とは

・物の形を調べる学問

・古代オリエントでナイル川の氾濫をめぐる土地測量に由来する

geo(土地)+metry(測量)

幾何学の種類

ユークリッド幾何

非ユークリッド幾何(双曲幾何、放物線幾何)

位相幾何学

微分幾何学(リーマン幾何学、共形幾何)

微分位相幾何学

シンプレクティック幾何

代数幾何

非可換幾何

・・・

幾何学の種類

ユークリッド幾何

非ユークリッド幾何(双曲幾何、放物線幾何)

位相幾何学

微分幾何学(リーマン幾何学、共形幾何)

微分位相幾何学

シンプレクティック幾何

代数幾何

非可換幾何

・・・

位相幾何学の考え方

・図形はゴムのように伸び縮み、曲げ伸ばしできる

→ ドーナツと浮輪は「同じ」形

→ ドーナツとコーヒーカップは「同じ」形

・穴をあけてはダメ

→ ドーナツとスイカは「異なる」形

分類問題

世の中にある図形をグループ分けする

Q 2つの図形が「同じ」か「異なる」か判定する

Q 世の中にはどれだけの種類の図形があるか?

(モジュライ理論、サーストンの幾何化予想)

π1(SO(3)/I60)

→ 「同じ」の判定基準が必要

目次

1 イントロダクション

2 分類問題(「比較」と「ラベル付け」)

3 比較・・・ホモトピー同値

4 ラベル付け1・・・ホモトピー

5 ラベル付け2・・・ホモロジー

6 ホモロジーの性質

7 ポアンカレ予想

分類問題

世の中にある図形をグループ分けする

Q どの図形を「同じ」とみなすか?

Q 世の中にはどれだけの図形があるか?

グループ分けの基準が必要

分類の基準の違い

合同な図形が「同じ」

相似な図形が「同じ」

N角形なら「同じ」

分類の仕方を分類する

・「比較」

2つの図形を比較し、「同じ」か「異なる」かを判定する(合同、相似)

・「ラベル付け」

それぞれの図形に対してある量を付随させる

(辺の数による分類)

内在的方法

ラベル付けによる分類:辺の数

ラベル付けによる分類:辺の数

ラベル付けによる分類:辺の数

ラベル付けによる分類:種数

それぞれの長所・短所

・「比較」

「同じ」は示しやすいが「異なる」は示しにくい

・「ラベル付け」

「異なる」を示しやすいが、分類が荒くなりやすい

→ 「比較」で「同じ」と言える図形には同じ「ラベル」がついてほしい

それぞれの長所・短所

・「比較」 → ホモトピー同値

「同じ」は示しやすいが「異なる」は示しにくい

・「ラベル付け」 → ホモトピー、ホモロジー

「異なる」を示しやすいが、分類が荒くなりやすい

→ 「比較」で「同じ」と言える図形には同じ「ラベル」がついてほしい

目次

1 イントロダクション

2 分類問題(「比較」と「ラベル付け」)

3 比較・・・ホモトピー同値

4 ラベル付け1・・・ホモトピー

5 ラベル付け2・・・ホモロジー

6 ホモロジーの性質

7 ポアンカレ予想

予備知識 全単射

・定義

X,Yを集合(位相空間)とする。f : X→Yが全単射であるとは、g : Y→Xが存在して、

g・f=1X

f・g=1Y

となることである。

全単射:イメージ図

全単射:イメージ図

ホモトピー同値

定義

X,Yを位相空間とする、f : X→Yがホモトピー同値であるとは、g : Y→Xが存在して、

g ・ f ~ 1X

f ・ g ~ 1Y

を満たすことである。

ホモトピック

定義

p : A→Bとq : A→Bがホモトピックであるとは、p

を「連続的に変形」してqにできることであり、記号で

p~q

と書く。

目次

1 イントロダクション

2 分類問題(「比較」と「ラベル付け」)

3 比較・・・ホモトピー同値

4 ラベル付け1・・・ホモトピー

5 ラベル付け2・・・ホモロジー

6 ホモロジーの性質

7 ポアンカレ予想

ホモトピック

定義

正確にはF:A×[0,1]→Bが存在して

・F(a,0) = p(a) ∀a ∈ A

・F(a,1) = q(a) ∀a ∈ A

を満たすことである。

ホモトピー同値

イメージ図

→ ホワイトボードで説明します

良い「ラベル付け」をする

ホモトピー同値で同じになる「ラベル」にはどんなものがあるか?

ホモトピー(1904ごろ~?)

定義が簡単 ⇔ 計算しにくい

ホモロジー

定義が面倒 ⇔ 計算しやすい

図形にたくさんのラベル付けをする

(1次元)ホモトピー

直観的定義

「ある1点から出るループを何個にグループ分け出来るか」を表した量

数学的定義

Xを位相空間、x ∈ Xとする。

π1(X,x) =

{ l : [0,1] → X , l は連続、l (0) = l (1) = x } /

をxを起点とするXの1次元ホモトピー、もしくは基本群という。(1904年 ポアンカレ)

高次元ホモトピー

数学的定義

Xを位相空間、x∈Xとする。

π1(X,x) =

{ l : [0,1]n → X , l は連続、l (t) = x ∀t ∈ ∂In } / ~

をxを起点とするXのn次元ホモトピーという。

目次

1 イントロダクション

2 分類問題(「比較」と「ラベル付け」)

3 比較・・・ホモトピー同値

4 ラベル付け1・・・ホモトピー

5 ラベル付け2・・・ホモロジー

6 ホモロジーの性質

7 ポアンカレ予想

ホモロジー

特異ホモロジー・コホモロジー

チェックコホモロジー

層係数のホモロジー・コホモロジー

ドラームコホモロジー

エタールコホモロジー

・・・

(Eireberg – Steenrodの公理)

数学的定義

→ 略

目次

1 イントロダクション

2 分類問題(「比較」と「ラベル付け」)

3 比較・・・ホモトピー同値

4 ラベル付け1・・・ホモトピー

5 ラベル付け2・・・ホモロジー

6 ホモトピー、ホモロジーの性質・使用例

7 ポアンカレ予想

ホモロジーの良い性質

・マイヤー・ビエトリスの完全系列

(図形を2つ部分に分けて、その両方のホモロジーからもとのホモロジーを計算できる)

・0次元ホモロジーは連結成分の数

ホモロジーと種数の関係

gを種数とすると、

面の数ー辺の数+頂点の数=2-2g

ホモロジーと種数の関係

gを種数とすると、

面の数 ー 辺の数 + 頂点の数 = 2 - 2g

面の数 = 2次元ホモロジー H2(X) の次元

辺の数 = 1次元ホモロジー H1(X) の次元

頂点の数 = 0次元ホモロジー H0(X) の次元

ホモトピー・ホモロジーの性質

ホモトピー・ホモロジーは「良い」ラベル付けである

X ~ Y ならば、

πn(X,x) = πn(Y,y) (n = 0,1,2・・・)

Hn(X) = Hn(Y) (n = 0,1,2・・・)

ホモトピーで2次元と3次元を区別する

変わった空間

SL(n,R)

レンズ空間

関数空間

モジュライ空間

シュティーフェル多様体

目次

1 イントロダクション

2 分類問題(「比較」と「ラベル付け」)

3 比較・・・ホモトピー同値

4 ラベル付け1・・・ホモトピー

5 ラベル付け2・・・ホモロジー

6 ホモロジーの性質

7 ポアンカレ予想

ポアンカレ予想

3次元の閉多様体で1次元ホモトピーが消えているものは3次元球面と同相

これの難しいところ

「ホモトピーが違うなら違う図形」は言えるが

「ホモトピーが同じでも同じ図形」とは限らない