philadelphia chromosome positive acute...
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比治山大学現代文化学部紀要,第11号.2∞4 B叫.Hijiyama Univ. No.11, 2∞4
Ph陽性急性白血病
Philadelphia Chromosome Positive Acute Leukemia
和泉莞己・田中公夫・小村亮・山下美佐子・久島公夫
τakaki IZUMI, Kimio TANAKA.τakashi KOMURA,
Misako YAMASHITA and Kimio KUSHIMA
Abstract
197
We report a case Philadelphi (Ph) -positive ALL, AML in Which is interphase fluorescence in
site hybridization (FISH) analysis.
We also investigate exsistence of the M-BCR or m-BCR at the RNA on DNA level by the
reverse transcriptase polymerase chain reaction southernblot analysis.
The Philadelphia (Ph) chromosome results from the, t (9;22) translocation in seen in 10~20% of
acute. lymphoblastic leukemia (ALL)
It is also occasionarlly found in acute myelocyticleukemia (AML) .
目的
Ph-ALL. Ph-AML。について
Ph染色体は, 1975年にアメリカのフラデルフイアの研究所でP.Nowel1らにより発見された。慢性
骨髄性白血病にML)にいつも小さい染色体として観察されていた。それでPh染色体となづけられて
いるo CMLでは95%以上の症例にPh染色体は観察される o Ph染色体はその後 急性リンパ性白血病
(Ph-ALL)の約30%と,急性骨髄性白血病(Ph-AML)の約 2-3 %に観察されることがその後の調査
でわかってきた。 Ph染色体は 9番染色体と22番染色体の相互転座により生じることが知られている
(図 1)。その22番側の異常が小さい染色体でPh染色体と呼ばれているo
ここ10年間の分子生物学的検討により Ph染色体は, 9番の染色体のABL癌遺伝子と22番のBCR遺
伝子が融合をしていることがわかっている(図 1) 0 融合することで通常(p150)より長さが長く,機
能の変化したp210ABL-BCR融合たんぱく質ができることが,これらの病気の発症に深くかかわって
いることがわかっている o またこの異常はかなり未分化な造血幹細胞の中に生じたと考えられる。
CMLとは異なり, Ph-ALLとPh-AMLでは長さが小さいp185BCR-ABL融合たんぱく質も約半数の症
例で観察されることがわかっている(図 1) 0 転座の切断点はBCR遺伝子の主領域とまれな領域に主
に生じているo それらをMbcr(major)領域と, mbcr (minor)領域と呼ぶ。 Mbcr領域はCMLのほとん
どの症例と,約半数のPh-ALLに, mbcr領域の切断は約半数のPh-ALLやPh-AMLに多く観察さ
れる。
我々がこれまでに経験をしたPh染色体陽性の急性リンパ性白血病 (Ph-ALL) と急性骨髄性白血病
(Ph-AML)について,細胞形態(とくに微小な巨核芽球細胞(Micromegakaryocyte)の頻度について)
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198 和泉亮己・田中公夫・小村亮・山下美佐子・久島公夫
と染色体異常の特徴を調べた。またこれまで出されている文献とも比較して考察をした。
対象と方法
対 象:59例のPh陽性急性リンパ性白血病 (Ph-ALL) と12例のPh陽性急性骨髄性白血病 (Ph-
AML) を対象とした。 Ph-ALLは男36例 女23例である。 Ph-AML 男8例,女3例(不明 1例)で
あるo これらの病気は男性に多く発症していた。表 lにPh染色体を持つ白血病のFAB分類との対応
を示した。 ALLではL2に多くみられた。 AMLはM1,M2に多かった。文献的にはM4,M5に多
いとあるが,ここでは 1例にしか観察されなかった。またまれに観察される, Ph-ALLには 2例の形
質細胞性白血病 (PCL) とT細胞性ALLの2例にPhが観察された。 (ALLの大半はB細胞性)
2例のT細胞性急性リンパ性白血病 (T-ALL)が含まれていた。また世界でこれまで10例程度の報
告のあるPh陽性のMDSFAB分類でRAEBが l例に観察された。
また, Ph-ALLの発症時の年齢分布を調べた。乳児白血病にはみられてないが,小児白血病からみ
られており,すべての年齢層に観察された。なかでも 50~6併℃に多い傾向がみられた。 Ph-AMLでも
同様な傾向であった。
なお, 1.5km以内被曝の近距離の被爆者はPh-ALLとPh-AMLとに 2例確認された。
方法:
A. 1. 白血病はFAB分類で区別した。
B. 1. G分染法による染色体解析:
一部の症例はサザン法, RT-PCR法によるBCR遺伝子の再構成とBCR遺伝子とABL遺伝子を
表 Ph+急性白血病の病系 表 2 Ph+急性白血病の発症年令分布
Ph+ALL
合計〉o0・55-18 18-却泊代紛代田代的代 7吠船代
59 0 1 8 7 9 5 10 15 2
Ph+ALL
FAB分類
合計 L1 L2 L3 PCL T-ALL未同定59 9 23 0 2 2 22
{疋関門ワ白
牛木5B
mml
Mo
附
0附
oa且τM
l
mo
畑一地3
'RU--A
ιm一M5
+
計
2
m
合1
Ph+AML
合計〉o0・55・1818切泊代紛代田代印代 7脱却代不明
12 1 0 1 0 3 0 2 3 1 1
白血病細胞 正常細胞
2 ・bcr
~- ,bcr3-abl'-125bP
12 副島R-柵
R-咽園砂
5.Okb,..... G-・'働 G・+僻 j 争 eロー圃邑 R-
3.3地r→許-&:-・~. 11
B 句 B句 B8gK
DNA分析(サザン法)
hu a
内
4
p
r
b
c
mlゅ e • RNA分析
(RT・PCR法)
図2
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Ph陽性急性白血病
プロープとしたFISHi法を行った。
2.サザン法, RT-PCR法でのBCR遺伝子再構成
の検出(図 2): Mbcrに切断点があるかは22番
染色体上のBCR遺伝子のプロープを用いてサ
ザン法で検出できるo 正常のバンド (G)以外
に異常のバンド (R)が出現することで電気泳
導でゲル上で検出できる o (図 2)に解析の l
例を示した。またRNAを抽出して,用いるこ
とでRT-PCR法でもこのバンドが出るか否か
でBCRに異常があるかを検出できる O またこ
の方法では融合(キメラ)RNAのタイプも検
出できる(図2右)。
3. FISH法によるBCR遺伝子の異常の検出, (図
3) BCRとABL遺伝子内にあるプロープを混
合して(図 3上), FISH法 (fluorescencein
situ hybridization‘法)で細胞核や染色体DNA
上にハイプリダイスさせることで, Mbcr,と
mbcrのどちらに転座が生じでしたのかを判定
できる(図3下)。また細胞核で判定する方法
は,患者の治療後の残存している白血病細胞
の割合を観察できる利点があるので応用され
ているo
結果と考察
199
9 22噂五~O.:>IVI質調事実」二-C:-o.>争IIItW
m-IICR II<<:R
Chr.22 ~ E....l 131415
園田 -E臨調・・・・・・・・ ・・・・・・マ竺ユコン〕伽 .9 宅f 1..[ 細見
同刊 降臨調・ABL
'‘31・• h ___~'.田町 、四同町r-・2
・・・・ ・田・園田・ーー開刊 冊磁調・M昆
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………… の州仙川
……………… • • 22 22 • 22 Iqt-P111
FISH法によるM-BCR再構成陽性9; 22転座はABLとM-BCRprobe を混合して, m-BCR陽性9;22転座はGreenABLとm-BCRprobeを混合してハイプリダイズして赤,緑色の2色を用いるFISH法を用いて,間期核上や染色体分裂像上で検出した。上段は使用したprobeの位置を,下段は 9; 22転座陽性細胞の核上で判定する方法を示す。赤色と緑色の重なるシグナルを転座陽性細胞としてスコアした。
図3
A.細胞形態の特徴
FAB分類-Ph-ALL,Ph-AML
Micromegakary∞yteがPh-ALLにみられた。
Ph-ALLとPh-AMLの比較 Phを持たないALLとの比較したら, Phを持たないALLでは,
Micromegakaryocyteが認められなかった。
FAB分類L2では, (図 8)の様に細胞質も多く, L2より細胞学的に異型性が強い。
(図 9),(図10),(図11)の様にPh+ALLではMicromegakaryocyteが多く見られた。
本来Micromegakaryocyteは胎児期に通常認められるものであるo
B. Ph-ALL, Ph-AMLにみられた染色体異常
1. Ph染色体 (9;22番染色体転座)に付加する異常について調べた。
2.染色体異常を(表3),(表4)にまとめた。 慢性骨髄性白血病にML)の急性期によく観察さ
れるmajorルートである+8,i (17q), +Phは(表4中で#で示した)CMLより少なく, Ph-ALLで
27個/59症例で45.8%,Ph -AMLで3個112症例で25%でCMLにみられるものはCMLでは約80%
の症例に急性期にこの 4個の異常(表4に#で示した)が見られる o MajorJレートの中では,
Phや+8はみられたが, i (17)は1例にしかみられなかった。また出現する染色体異常もCML
のminorJレートにみられるものが多く,異なる特徴があった。特に多いものはPh-ALLでは
der(l), der(9), der(l1), +2, -7, +21などが多い,特に9:22転座にさらに二次的に異常が生じた
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2∞ 和泉莞己・田中公夫・小村亮・山下美佐子・久島公夫
表3 Ph+急性白血病の染色体異常
Ph+ALL 59症例 Ph+AML 12症例
付加的異常 染色体数 染色体数
* 47 47-50 > 50 4747・50>50 hyperdiploid
18個(仏31) 7 5 5 4個(0.33) 4 O O
hypodiploid 8個(0.136) 42< 45 4個(0.33) 42< 45
3 5 1 3 pseudodiploid
13個(0.22) 4個(0.33)
Phに付加的異常がない症例22症例(37.2%) 2症例(16.7%)
ComplexPh 染色体異常5症例(8.5%) l症例(8.3%)
l(a治te療ap後戸P5ahrがing出Pてh来た症例)2症例(3.4%) 3症例(25%)
途中でクローンの交代した症例2症例(3.4%) O症例
」一
* 1症例あたりの異常クローン数
表4 Ph+急性白血病に多い付加的染色体異常 表5 M患-者bcのr,年町b令cr分で布の表転座切断(遺伝子再構成)と
Ph+ALL Ph+AML
59症例 12症例Ph-ALL
M-,mbcr 年齢異常 個数 個数 < 10 10・20,20 II 40 50 ω 70 合計+Ph# 19 O サザン法 M‘bbr+ 1 2 1 1
++i(8119,7者.)t (qlO)書 ? (45%) ~ (25%) l O O O
m-bcr+ 8 m,Mbcr-
FISH法 M‘bbr+ l 1 3 3 l
dtdddddd百EHeeu(E&rr〈((((((2田辺179l511) ))))))) tt(C(((((qQqqq9a33211, 0a3121n) ) -32n) ) 521 ) )
4 O 2 6 3 O 4 O 5 1 3 O 2 2 O 2
m-bcr+ 4 2 m,Mbcr-
Ph-AML M-,mbcr 年齢
< 10 10-20. 20 II 40 ω ω 70|合計
サザン法 M-bbr+ m-bcr+
+2, -7,
+'91, 3, +21
4 O 4 O 4 2
m,Mbcr-FISH法 M司 bcr+
4 1 m-bcr+ 2 5 1 m,Mbcr-
#慢性骨髄性白血病にML)の急性期に多い異常
と考えられるder(9)t (9;22) der(22)t (9;22)に関係した異常が4例 2例で合計6例が59例中に
(10.2 %)に観察された。 Ph-AMLでは 5番染色体に異常のder(5)が6例と多く見られた。この
中に大変興味深いことに, Phのt(9;22)転座にt(8;21)の転座を伴うものが2例に観察された(1
例の核型異常を後のページの写真に示す)。世界でも数例の論文の発表しかない。先にt(8;21)
転座が生じたのか, t (9;22)転座が先に生じたのかは不明である。
l例はt(9;22)転座にt(8;21)の転座のみ持ったが,もう 1例はt(9;22)転座, t(8;21)の転座と
del (5) (q)を治療後に持った。
3. (表 3)に示す用に, Ph染色体は通常 9番と22番の染色体の転座でできるが,これ以外の第 3
の染色体も異常に関与している複雑な異常(complexPh異常)が幾分多く観察された (8.5%)。
CMLではこのような異常は数%に出現する。
4. Ph-ALLとPh-AMLには, Ph染色体がはじめからあるわけでなく,病気が進展するなかであと
からでてきたものが多く観察された。これは時間をおって観察され症例で初めてわかったo そ
のような例はPh-ALLで2例に, Ph-AMLに3例が観察された。頻度は高かった。 Ph-AMLの
1例はMDSが進展する途中でPh染色体を持つクローンがでてきた。
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Ph陽性急性白血病 201
表6 Results of chromosαne, DNA/RNA analyses in four Ph 1 positive acute leukemia patients
Case Age Sex Dlagnosls Surface Rl・-PCE/RA aM l ys i Rs /ADNA ana l y-s i s FISH R/aA nal ys i s Rl/ziA s No. phenotype Y-BCR/ABL a-BCR/ABL Y-BCR/ABL m-BCR/ABL (1 Y AYL YH CBIO-CDA1-3.D CD19. + 3' . 5' Y-BCR (ー} ー(3.2) +(63. 2)
CD33. HLA-DR 2 3411 ALL L2 + 3. 5' Y-BCR (+) + (97. 1) +(1. 8)
2(11 ALL Ll + NN..DD .. -j37!+j597j 5 F ALL Ll + -(3. 1 毒事 + (17. 6 事事
5.染色体異常が変換された いわゆるクローンの交代した例もPh-ALLの1例に観察された。そ
の例ははじめPhを持つクローンであったが,あとから,まったく Phを持たない異常クローン
が出てきた。
6. Ph-ALLとPh-AML症例中で M-BCRとm-BCRの陽性の頻度を調べたO
(表5)を参照。これは言い変えると,これら白血病の 9; 22転座の切断点がM-bcrにあるか,
mbcrの領域にあるかを検討するものである。 Ph-ALLでサザン法とFISH法で調べた24症例の
うちで, 14例にM-bcr (58.3 % ) , 7例にmbcr(29.2%)の異常が観察された。 PCLの1例と
T-ALLの l例にはこの 2領域には切断がみられず これ以外のところに切断点があることが
推測された。 Ph-ALLにはmbcrが多かった。また年齢分布でみると, mbcrで、の異常は小児白
血病に大変多く, 18歳以下の小児白血病の 8症例中 6例であった。小児例はmbcrが多いこと
はこれまでのよく言われている。この観察ではmbcrで、の異常は30代のPh-ALLと40代のPh-
AMLにも観察されたo Ph-AMLでは文献的には殆どがmbcrに切断点を持つ。今回の l例の
FABでM4のl例のPh-AMLは珍しく, Mbcrに切断を持った。またt(9;22) とt(8;21)転座
をともに持つ中の l例ではmbcrで転座が生じていた。
7.サザン法ではBCRの3 ‘側の遺伝子領域が欠失しているのは文献上では約30%あるというが,
ここではPh-ALLの1例に観察された。また,興味あることに 5'bcr欠失と考えられる症例
が1例観察された。その症例はT細胞性ALL(T-ALL)であった。
8. FISH法は患者のPh陽性細胞が化学療法でどのくらい残存しているか,を調べるのに有効であ
る,その時間を追い調べた例を図に示す(図4)0Ph-ALLの4症例を初診時からFISH法を使
用して残存するPh染色体陽性細胞の頻度を観察した。 1例目は末梢血幹細胞移植(PBSCT)を
した成人症例で, mbcrで、異常であったのでmbcrとABL遺伝子をプロープとして約 2年間フア
ローアップした。 50%のPh細胞の残存が一時期 0-20%まで減少してきて, (その時のRNAの
RT-PCR解析では陽性であったが+の印),
その後増加して30-50%になったにがよくわ
かる o 他の l例は骨髄移植 (BMT)をした
症例で, BMT後,残存Ph細胞, (いわゆる
白血病細胞が)数%以下に減少しているこ
とがわかった。また他の 3例は成人Ph-
ALLと 4例は小児のPh-ALL症例で,こ
の場合も化学治療後のPh細胞の推移がよく
わかった。なおこの図では通常の染色体観
察でPh染色体があったか,みられなくなっ
たかについても図中に黒,白の矢印で示し
た。ただし,この方法は必ずしも感度がよ
Years after ir首世altreatment
l1~ m叶管曲ム寸3 4
-主50%
・三30・.50%
企主20-30%
Aミ10・m鴎
o 0-10% , pt官官似路Itive
v Ph1n噌 atl嶋
+ RT-PCRP儲 Itlve・・・圃圃圃圃圃圃』
1 2 3 Y包箇唱safterBMT
4
図4
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202 和泉嘉己・田中公夫・小村亮・山下美佐子・久島公夫
A CMLの細胞遺伝・分子生物学的分類 C Ph'陽性急性リンパ性白血病
.康.同・後色体制ぬ'量a管.ー 加骨再竃・伝a
子鳳大曾'圃事剛似Aba3w--M蛋白 遍僻事盤
.・名
CML + + + 1.5 P21・+++ CML
+ + 1.5 P210 +++ 圃_kedph・CML
+ +
+・・ 7.S
ALL + + + 1.5 P21・+++ CML(・・a転}
+ ー 7.4 PIIO
+ ー
ー
.5 PI白 +
+ + 互
‘M・g叫."
wac ~.-~:' .・a園理臣賞 鎗色体BM PB
Ph'
.色"-------(事}“日開曹蝿
1.絹.JI 23.輔副輔 ..15(+1 岨.XY.同・.+I.+I%.ー崎、+Ph' 12 +
輔.XY (寛濁鴎}
2.33.男 32.1帽輔刷 CALLA(+I輔. XY. t('; 22)(q34;qlll げ
柑. XY. -'.-11.ー怨 15.0 +曲.(I)t【1:111.+問、,
f‘令周・}
.:--創・...,.・r~ utiDn広'"・・E・,1......プロープによ・
B D Side Lineの模式図
定例 75才男
理学的所見 肝腫 6cm ... -
血液所見
主宣車 量豊亙星WBC 188,000 NCC 75.9万Blast 56.5 Blast 73.0" Monobl 10.5 Monobl 4.5" Ly. bl 7.5 Ly.bl 9.5" NAPスコア 285
所見 記. .式国
mwmw
46, XX/46, XX,企邑 -O 細胞表面形質 (BM)
PO染色+ 20
" My7 24.4% 80" My9 ;;:;~ butylate染色
OKlal 77 % J5 59
"
Phl染色体 1ω%
E)8@ ゐλ46,XX, Phl
啄:@バ…品ph I positive Acute Mixed Lineage Leuk・mia
図5
いわけではなく, 1 %以下の残存には,どうしてもバックノイズが大きいために使用できず,
感度のよいRT-PCR法と併用して使用するとよいと考えるo これらの患者の一部の臨床結果と
染色体と遺伝子解析の結果を図 5BCに示す。
9. BCRとABL遺伝子をプロープとして細胞核や染色体上でFISH法を用いて観察したシグナルを
(図 6)に示した。
10. Ph-ALL, Ph-AMLの今回見られた染色体異常の核型の主なものを(図 7)にまとめて載せた。
考 察
1.グリベックによる分子標的治療について。慢性骨髄性白血病にML) にみられるPh染色体は治
療では消えないことが言われていた,がIFN療法で消えることがあることがここ10年いわれてい
たが,完全な治療ではなかった。最近,イマニチプ(ギリベック)という薬がでて,効果は大変
よくてPh染色体が完全に多くの症例で消失しているo ただ一部の症例で副作用や効果にみれれ
ない症例が報告されているo この薬はBCR-ABLの融合(キメラ)たんぱく質はCMLやPh-ALL,
Ph-AMLでは9;22転座ができることで生じるo このたんぱく質の立体構造を調べて,チロシンキ
ナーゼの活性化部位にはまりこむように設計されているoこの活性を抑える分子標的薬剤である O
効果のない患者ではこのはまりこむ部位に突然変異があるとういわれている。
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Ph陽性急性白血病 203
2. Ph染色体はどの細胞分化段階で生じるか。
CMLにみられるPh染色体とPh-ALLの染色体は区別される, Ph-ALLでは化学治療すると消える
がCMLでは消えないことが言われていた。それはCMLでのPh染色体は多能性の血液幹細胞に生
じるが, Ph-ALLやPh-AMLではより分化した細胞に生じることが,知られている。
図説明(図 1......図7)
図1 9番, 22番染色体の転座型異常とそれに伴う融合(キメラ)遺伝子の形成
図中の小さい22番染色体をPh染色体と呼ばれているo この染色体上ではBCR-ABL遺伝子から
なるキメラ遺伝子が形成されているo
図2 (左)BCR遺伝子部位のサザン法によるDNA分析これで遺伝子再構構成があると, BCR遺伝子
内に転座があることがわかる。 CMLでは98%の症例に, ALLでは約30%に,観察されるので,
特にこの方法はFISH法とともに, CMLという病気であるかの診断によく使われる o (右)RT-
PCR法によるRNA分析この方法でCMLであるかの診断はもとより, bcr3-abl, bcr2-ablのどの
タイプのキメラRNAができているかの判定ができるD
図3 9;22転座のFISH法による細胞間期核上での検出(上)は22番染色体 (Chr22)のBCR遺伝子
と9番染色体 (Chr9)のABL遺伝子での位置のマップとFISH法に使用するプロープの位置を
示す。(下)細胞核の間期核上での検出される仕組み。 M-bcrとm-bcr領域で、の転座が簡便に
検出できる, CMLやPh-ALLの病気の診断や治療後の白血病細胞の残存の割合を調べ,治療効
果の判定や予後判定にも使われる。
図4 FISH法を用いてのPh-陽性白血病の治療効果の判定
4例のPh陽性白血病の経時的観察
図5 A CML, Ph+ALLの細胞遺伝学的分類染色体検査では,形態上区別できないけれども遺伝子検
査では区別できるo
B Ph+PCLの臨床像 Ph+ acute mixed lineage leukemiaと診断されていたO
C Ph+ALLの2例の臨床像 l例目はMBCR+,で2例目はmBCR+であった。
D 白血病のsidelineの模式図 上は正常細胞中に異常クローンが出現する。図 7Dの様にPh+
の治療後に別のクローンの出現はこれによる O 下はPhクローンに付加的異常が出現する例
である(図 7B,C, E)o
図6 A左 Ph ALLの染色体上のBCR-ABLキメラ遺伝子(矢印),赤と緑色シグナルが重なってい
るO 赤色:BCR遺伝子, 22番染色体上にある o 緑色:ABL遺伝子 9番染色体上に
ある。
A右 同じ染色体分裂像をDAPI染色したものO
B上下 Ph+, MBCR+, ALLでの間期核上のMBCR-ABLキメラ遺伝子(矢印)
C Ph+, mBCR+, ALLでの間期核上のmBCR-ABLキメラ遺伝子(矢印)赤と緑色シグナルが
重なっていない細胞はP仕の正常細胞である。以下のように, FISH法でMBCR,mBCRで、
転座切断点があるかが区別できる O
FISH法
MBCR再構成陽性のALL,AML
mBCR再構成陽性のALL,AML
4
-司司.
4
『司司‘
MBCRのプロープ mBCRプロープ
キメラあり キメラあり
キメラなし キメラあり
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204 和泉亮己・田中公夫・小村亮・山下美佐子・久島公夫
図7 写真A 成人Ph,MBCR+, ALL t (9;22)転座,染色体形態上からはMBCR再構成陽性かmBCR
再構成陽性かは区別できない。遺伝子検査で始めて判定できるo
写真B 成人Ph,MBCR+, ALL t (9;22)転座, -8, dup (13), i (17) (q10), +marの不可異常が
あるo
写真C 成人Ph,ALL t (9;22)転座, +7, +9, +14, +14, +19, +21, +der(22)t (9;22)の不可異常が
ある o
写真D 成人Ph,ALL t(9;22)転座症例で,治療後見られたクローンの変換(違う染色体異
常が出現した)。
写真E 成人Ph,mBCR+, ALL t(9;22)転座症例で,初診時正常核型で,再発時にt(9;22) ,
t (8;21)の異常がともに観察された。このような異常は非常に極稀に観察されている O
世界的にも数例の報告しかない。
写真F 成人Ph,NHL, t (9;22)転座症例で,悪性リンパ腫にPh異常は,非常に極稀に観察され
ている。世界的にも数例の報告しかない。この症例はPCLと同じく, MBCR, mBCRー
であり,切断点はMBCR,mBCR以外に存在するo
文 献
我々は 3例にPh染色体を悪性リンパ腫 (NHL)に観察しているが,その 3例はCML
とNHLを共に持つ症例であり 2例は腫癌形成型の慢性骨髄性白血病にML) と診
断されており 1例は不明だが, NHLの治療後生じた二次性白血病も考えられる O
(1) Tanaka, K., Arif, M., Asou, H., Shimizu, K., Ohki,M., Kyot., Dohy, H. and Kamada, N. (1996).
Detection of 8:21 Translocation on interphase cells from acute myelocytic1eukemia by f1uorescence
in site hybridizasion, Genes Chromosome Cancer, in press.
(2) Druker B], et al.: Efficacy and safety of a specific inhibitor of the BCR-ABL tyrosine kinase in
chronic myeloid leukemia. N Engl. Med 344: 1031-1037,2001
(3) Talpaz M, et al. : Imatinib induces durable hematologic and cytogenetic responses in patients with
accelerated phase chronic myeloid leukemia : results of a phase 2 study Blood 99 : 1928-1937,
2002
(4) Sawyers CL, et al. : imatinib induces hematologic and cytogenetic responses in patients with
chronic myelogenous leukemia in myeloid blast crisis : results of a phase II study. Blood 99 : 3530
-3539,2002
和泉桑己(社会臨床心理学科)
田中 公夫((賜環境科学技術研究所生物影響部)
小村 亮(広島工業大学)
山下美佐子(広島文教女子大学)
久島公夫(敬和学園大学)
(2004. 10. 29 受理)
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BCR-A8Lキメラ遺伝子
Ph陽性急性白血病
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Chr. No. 9 transJoc副川不.._-------_.-
m-BCR-2 何事邸調・2 ・ M-BCR(bcr)
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8.5kbmRNA
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当 ー-P210bcr3-ABL
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間 期桜上での BCR-ABLキメラ遺伝子の
検出
矢印は '"叫ιキ メ ラ 遺 伝 子
B
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図 1
図 6
HkbmRNA
BCR-ABL 一ー-P185
205
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206 和泉莞己 ・田中 公夫 ・小村 嘉 ・山下美佐子・久島公夫
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-Ph陽性急性白血病 207
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208 和泉嘉己 ・田中 公夫・小村亮 ・山下美佐子・久島公夫
図 8
図9
図10