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PLリスク解説シリーズ PL関連事故・訴訟の現状 C O N T E N T S 事故等の状況 訴訟案件 保険事故の状況 東京海上日動火災保険株式会社

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Page 1: PLリスク解説シリーズ PL関連事故・訴訟の現状 · PL関連事故・訴訟の現状 5 東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 れる事故は1,436件発生しており、これらが「製品に起因する事故」の約91%を占めています。

PLリスク解説シリーズ

PL関連事故・訴訟の現状

C O N T E N T S

■ 事故等の状況

■ 訴訟案件

■ 保険事故の状況

東京 海上日動火 災保険株式 会 社

Page 2: PLリスク解説シリーズ PL関連事故・訴訟の現状 · PL関連事故・訴訟の現状 5 東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 れる事故は1,436件発生しており、これらが「製品に起因する事故」の約91%を占めています。

PL関連事故・訴訟の現状

1

東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

目 次 1 事故等の情報 ......................................................................................................................................2

1-1 国民生活センターの危害・危険情報 ..........................................................................................2 1-2 製品事故により拡大損害を伴った苦情相談件数.........................................................................4 1-3 製品評価技術基盤機構事故情報収集制度 ...................................................................................4 1-4 各PLセンターの相談受付件数..................................................................................................6

2 訴訟案件..............................................................................................................................................8 3 保険事故の状況 .................................................................................................................................21

[参考資料]

・ 消費生活年報1998~2009(独立行政法人国民生活センター編)

・ 平成19年度 事故情報収集制度報告書(独立行政法人製品評価技術基盤機構ホームページ)

・ 消費者の窓(内閣府ホームページ)

・ 自動車製造物責任相談センター「事業報告書(平成 20 年度)」(自動車製造物責任相談セン

ターホームページ)

・ 家電製品PLセンター「平成 20 年度事業報告」(家電PLセンターホームページ)

・ 化学製品PL相談センター「2008(平成 20)年度活動報告書」(化学製品PL相談センター

ホームページ)

・ 住宅リフォーム・紛争処理支援センター「相談統計年報 2009」(住宅リフォーム・紛争処理

支援センターホームページ)

・ 中小企業関連情報 PL保険(日本商工会議所ホームページ)

・ 「製造物責任法の運用状況等に関する実態調査報告書」(内閣府)

・ 「製造物責任(PL)法による訴訟一覧」国民生活センター

・ 全国消費者団体連絡会PLオンブズ会議報告会資料

・ 判例データベース

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PL関連事故・訴訟の現状

2

東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

1995年7月1日に製造物責任法(PL法)が施行されました。その後の事故等の事例、訴訟、

保険事故などの状況をまとめます。 1 事故等の情報 1-1 国民生活センターの危害・危険情報

国民生活センターは、昭和45年に設立され、その後、平成15年10月、行政改革の一環として

独立行政法人国民センター法により独立行政法人となりました。「国民生活の安定及び向上に寄与する

ため、総合的見地から、国民生活に関する情報の提供及び調査研究を行うこと」を目的としており、

内閣府(国民生活局)が監督する法人です。 国民生活センターは、全国の自治体にある消費生活センターおよび協力病院(2008年3月末現

在20病院)から、商品やサービス、設備等により危害・危険が発生した事例を収集しています。こ

こでいう「危害」とは、商品やサービス、設備等により生命や身体に危害を受けた事例であり、「危険」

は危害には至っていませんが、そのおそれがある事例(財物損壊を含む)を対象としています。 図1~3は、これらの統計からPL法の対象とならないもの(たとえばサービス)を除いた統計を

グラフ化したものです。

3,5924,062 4,167 4,309

5,435 5,544

1,8872,178

2,5762,153

3,305 3,325

4,2393,768

4,131

5,134

3,471

1,8781,5771,358

1,7221,7702,183

1,2791,2161,783

6,8566,487

8,0117,697

8,555 8254

5,1695,4895,254

4,521 4,604

6,4225,538 5,940 6,054

8,822

8,6148,7399,191 9,497

10,0659,816

8,792

10089

9,186 9,186

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

年度

件数

消費生活センター (危害) 消費生活センター (危険)

消費生活センター (危害+危険) 病院 (危害)

図1 危害・危険情報収集件数の推移(除サービス/含土地・建物)

(出典:「消費生活年報2009」国民生活センター編)

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東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

消費生活センターに寄せられた危害情報を商品分類別に見ると、食料品(健康食品、飲料、牛

乳・乳製品など)、保健衛生品(化粧品、家庭用電気治療器具、医薬品など)の2つが他を圧倒し

ていることがわかります。この傾向は、過去10数年間変わっていません。より細かい商品別に

見ると、化粧品類、健康食品が上位2商品であり、これは過去10数年不変です。

土地・建物・設

備, 116

光熱水品, 25

車両・乗り物

226

住居品

956

保健衛生品

1,318

食料品

1,902

その他, 110

教養娯楽品

399

被服品

492

図2 2008年商品分類別割合(危害)(除サービス/含土地・建物)

(出典:「消費生活年報2009」国民生活センター編)

消費生活センターに寄せられた危険情報を商品分類別に見ると、住居品(ストーブ、電子レン

ジ類など)、車両・乗り物(自動車など)、が多く、教養娯楽品(テレビ、携帯電話機、パソコン、

タバコ用品など)、食料品(菓子類、調理食品など)、と続いています。商品別には、自動車が最

も多く、過去20年近くこの傾向は変わっていません。

光熱水品

67

被服品

67

保健衛生品

137土地・建物

・設備

159

食料品

405

教養娯楽品

443

車両・乗り物

865

住居品

1,556

その他

10

図3 2008年商品分類別割合(危険)(除サービス/含土地・建物)

(出典:「消費生活年報2009」国民生活センター編)

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東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

1-2 製品事故により拡大損害を伴った苦情相談件数

都道府県、政令指定都市の消費生活センターおよび国民生活センターが受け付けた、製品事故に係

る相談件数及び拡大損害が生じた苦情相談件数の推移は図4の通りです。1995年7月に製造物責

任法が施行されてから、苦情相談が急激に増加し、その後ほぼ一定数で推移しています。

0

2000

4000

6000

8000

10000

12000

14000

1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004年

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%製品関連事故に係る相談件数

製品関連事故に係る相談件数のうち拡大損害が生じた相談件数

製品関連事故に係る相談件数のうち拡大損害が生じた相談割合

図4 製品事故による拡大損害を伴った苦情相談件数の推移

(出典:「消費者の窓」内閣府ホームページ) http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20051006_5.pdf

1-3 製品評価技術基盤機構事故情報収集制度

経済産業省所管の消費生活用製品等については、経済産業省から、製造・輸入事業者、地方公共団

体、消費生活センター、消費者団体等に対して、事故情報を独立行政法人製品評価技術基盤機構に通

知するように協力を求めており、同機構において、収集された事故情報のすべてについて、事故原因

の究明と事業者の再発防止措置の評価を行っています1。なお、他省庁所掌の製品(たとえば、自動車、

医薬品、食品)は収集対象に含まれていません。 2007年度(2007年4月~2008年3月)に収集された事故情報は、図5の通り6,37

1件(内、重大製品事故情報が1,126件)です2。期間中に調査が終了した、非重大製品事故2,

460件のうち、事故原因が判明したものは2,216件あり、そのなかで「製品に起因する事故」

は1,571件です3。「製品に起因する事故」で、製品の設計、製造又は表示に問題があると判断さ

1 平成 19 年 5 月 14 日に施行された改正消費生活用製品安全法に基づき報告される重大製品事故情報については、経

済産業大臣の指示に基づき調査を実施している。 2 平成 19 年度は前年度比約 1.8 倍の増加となっており、増加した原因として、抗菌デスクマットによる事故報告(約

1,000 件)が含まれていることに加え、重大製品事故情報報告・公表制度の施行により、事業者の安全意識が向上した

ことが指摘されている。 3 重大製品事故については、経済産業省が製品に起因する事故及び原因不明であると判断したものを調査終了の対象

としており、1,126 件中 329 件であった。

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東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

れる事故は1,436件発生しており、これらが「製品に起因する事故」の約91%を占めています。

残りは、製品自体の問題や使用法の他、製品の長期使用による劣化によって発生したと考えられます。

3,103

5,245

1,126

2,0552,1241,5941,7281,536

1,4449561,015

1,1321,0131,051552400402410

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007

年度

件数

※重大製品事故

図5 事故通知件数の年度別推移

(出典:「平成19年度事故情報収集制度報告書」 独立行政法人製品評価技術基盤機構 HP)

2007年度の事故情報通知件数を商品分類別に見てみますと、図6の通り、家庭用電気製品、

燃焼器具、そして2007年度に事故報告が多く寄せられた抗菌デスクマットを含む身のまわり

品が全体の約8割以上を占めています。また、原因が判明している家庭用電気製品の事故(78

1件)および身のまわり品(849件)のうち「製品に起因する事故」は1,317件となって

おり、他の商品を含む「製品に起因する事故」全体の約8割を占めています。

保健衛生用品

117台所・食卓用品

122

レジャー用品,

113

乳幼児用品

131

繊維製品

18

その他

2

乗物・乗物用品

154

家具・住宅用品

285

身のまわり品

1261

家庭用

電気製品

2555

燃焼器具

1613

図6 2007年製品区分別事故通知件数 (出典:「平成19年度事故情報収集制度報告書」独立行政法人製品評価技術基盤機構 HP)

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東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

1-4 各PLセンターの相談受付件数

裁判によらずに公平性・中立性に配慮した紛争処理、苦情処理を行うため、裁判外紛争処理機関が

あります。民間では製品分野別に各業界団体が設立したPLセンターがそれで、そのいくつかは相談

受付件数を公表しています。 ①自動車製造物責任相談センター

自動車製造物責任相談センターが受け付けた、日本国内で使用されている自動車(2輪自動車

や原付自転車等を含む)及び自動車用部品・用品に関する品質の不具合や製造物責任に関する苦

情相談件数は図7の通りです。相談件数は、2000年度に倍増して以降ほぼ横ばい傾向です。

193 237 173

881769

881

2009 1925 19101646

18771666

21571976

1787

467

984

198252179236176 128 180 264 2280

500

1000

1500

2000

2500

3000

1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008

年度

件数

区分なし

品質・機能

事故関連

図7 自動車製造物責任相談センター苦情関連相談受付件数 (出典:「事業報告書(平成 20 年度)」自動車製造物責任センターHP)

②家電製品PLセンター

家電製品PLセンターが受け付けた、家電製品に関わる事故相談件数は、図8の通りです。2

004年度以降、相談件数は減少傾向にあります。

168 5 7

68

3322

45

61

76 70

2427

8 7

3 014

363415

313 12

373228

00

20

40

60

80

100

120

1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008

年度

件数

品質相談

事故相談

図8 家電製品PLセンター事故相談受付件数

(出典:「平成 20 年度事業報告」家電製品PLセンターHP)

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東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

③化学製品PL相談センター 化学製品PL相談センターが受け付けた、化学製品に関わる事故クレームおよびクレーム関連

相談・意見・報告等の件数は、図9の通りです。製品群別に見ると、生活用品、家具、洗剤・洗

浄剤に関するクレームが上位を占めています。

7198

149122

101 99125 118

35 35

46 50

0

11698

135156

194

142

24

11

6

13

23

23

13

218

13

0

00

5510

9

9

4

18

0

1

0

50

100

150

200

250

1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008

年度

件数

クレーム関連意見・報告等品質クレーム関連相談

事故クレーム関連相談

図9 化学製品PL相談センター事故相談受付件数

(出典:「2008(平成 20)年度活動報告書」化学製品PL相談センターHP)

④住宅リフォーム・紛争処理支援センター

住宅リフォーム・紛争処理支援センターが受け付けた、住宅全般(住宅部品を含む)に生じた

拡大損害に関わる相談件数は、図10の通りです。

13 19 2713 17 18 23

141

125 108

8645

29 3248 30

24 260

40

80

120

160

200

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008年度

件数

拡大損害(身体)

拡大損害(財物)

図10 住宅リフォーム・紛争処理支援センター事故相談受付件数 (出典:「相談統計年報 2009」住宅リフォーム・紛争処理支援センターHP)

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PL関連事故・訴訟の現状

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東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

2 訴訟案件 PL法に基づいて提起された訴訟件数の正式な統計はありません。一般に公表されている訴訟案件

は下表の通りです。 表 PL訴訟一覧(1995 年 7 月~2010 年 4 月 23 日現在で弊社が把握した情報)

No. 事件名 提訴・控訴

年月日 判決・和解

年月日 原告・控訴

人 被告・被控

訴人 請求・認容・

和解額 提訴内容・原告の主張

(製造物責任以外の根拠法等4) H7.12.24 新潟地裁 長岡支部

H11.9.8 判決 請求棄却

レストラン経営者

業務用紅茶製造業者、紅茶容器製造業者

請求額 91万円 1 業務用紅茶紙パック容器指負傷事件

H11.9.22 東京高裁

H12.2.29 控訴棄却 確定

同上 同上

原告が紙パック入りの業務用紅茶の容器を開けようとしたところ、抽出口が鋭利であったため、開封の際に左手親指を計10回負傷した。 (不法行為責任)

2 パイプ式融雪装置欠陥事件

H8.8.8 札幌地裁 H8.11.20 (製造物責任追加主張)

H11.11.19 和解

電気工事業者

パイプ加工業者

請求額 5,124万円 原告が被告製造のヒートパイプ方式の融雪装置を販売したところ、販売した融雪装置約70台の約半数で、パイプ先端部分の雪が溶けないというクレームが発生し、原告は融雪装置販売・設置事業から撤退せざるを得なくなるなどの損害を被った。 (不法行為責任、後に製造物責任法施行後に販売した1台について製造物責任に基づく請求を追加)

3 カットベーコン急性胃腸炎事件

H8.11.18 前橋地裁

H10.6.15 和解

整体療術士 食品製造業者

請求額 95万円 原告がパチンコの景品で取得したカットベーコンをその場で食べたところ、発疹・下痢症状を来たし、急性胃腸炎と診断され10日間通院した。病院が依頼した民間検査機関の検査によると、ベーコンに青カビが付着していた。

4 学校給食 (O157)死亡事件

H9.1.16 大阪地裁 堺支部

H11.9.10 判決 確定

死亡した女児の遺族

地方自治体 請求額 7,770万円認容額 4,537万円

病原性大腸菌O157に汚染された学校給食を食べた結果、女児が死亡した。 (債務不履行責任、国家賠償法、憲法29条3項の類推適用)

5 生ウニ食中毒事件

H9.1.22 H9.4.10 仙台地裁 H9.6.5 併合

H11.2.25 判決 請求棄却 確定

飲食店経営業者、食材納入同族業者

食品輸入業者、水産物卸業者

請求額 3,495万円 被告が中国から輸入・販売した生ウニを、原告が自分の飲食店で客に提供したところ、23人が腸炎ビブリオ菌による食中毒に罹患し、5日間の営業停止処分を受けた (不法行為責任、不完全履行又は瑕疵担保責任)

H9.1.22 和歌山地裁

H12.10.17 判決

自宅所有者 プロパンガス装置設置供給業者

請求額 2,500万円認容額 1,700万円( 製 造 物 責 任 は 否定)

H12.11.1 大阪高裁 H13.3.1 (付帯控訴)

H13.12.20 判決 原判決取消・請求棄却

プロパンガス装置設置供給業者

自宅所有者 認容額 0万円 (原判決取り消し)

6 プロパンガスボンベ爆発事件

H14.3.19(上告受理申立)

H15.10.10 不受理決定

自宅所有者 プロパンガス装置設置供給業者

原告が自宅に設置してあるガスコンロに点火したところ、元栓口付近から火が広がり、戸外に設置してあったプロパンガスボンベが爆発し、自宅が全焼した。

7 台所用合成洗剤皮膚傷害事件

H9.2.5 東京地裁

H10.8.26 和解

化粧品販売員

台所用洗剤製造業者

請求額 70万円 原告が台所用洗剤を使用したところ、両手に皮膚障害が発生し、化粧品販売業に支障をきたした。

8 駐車場リフト死亡事件

H9.5.13 京都地裁

H10.6.18 和解

死亡した女性の遺族

駐車場経営業者、立体駐車場製造業者、立体駐車場販売業者

請求額 1,815万円 立体駐車場の1階にいた女性が、4階から下降してきたリフトの下敷きとなり、全身を打って死亡した。安全対策が不十分であった。

4 製造物責任法以外の根拠法については、判決文等から判明しているものだけを掲載しているため、全てを網羅して

いるわけではない。

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PL関連事故・訴訟の現状

9

東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

No. 事件名 提訴・控訴

年月日 判決・和解

年月日 原告・控訴

人 被告・被控

訴人 請求・認容・

和解額 提訴内容・原告の主張

(製造物責任以外の根拠法等4) H9.8.8 浦和地裁 熊谷支部

H12.6.29 判決

死亡した女性の内縁の夫、子供

油圧裁断機製造業者、合成樹脂成型加工販売業者

請求額 5,712万円認容額 1,490万円( 製 造 物 責 任 は 否定)

H12.7.19 H12.7.26 東京高裁 各控訴

H13.4.12 判決

同上 同上 認容額 2,408万円( 製 造 物 責 任 を 肯定)

9 食品容器裁断機死亡事件

H13.4.24 上告受理申立

H14.6.28 不受理決定

不明 不明

女性がプラスチック製食品容器を裁断して自動搬送する機械を操作中、自動搬送装置のリフトで荷崩れを起こした食品容器を除去しようとして身体を入れたところ、リフト上のコンベアと天井部分との間に頭を挟まれて死亡した。 (油圧裁断機製造業者に対して製造物責任、合成樹脂成型加工販売業者に対して債務不履行責任又は不法行為責任)

10 ライター炎上火傷事件

H9.12.1 名古屋地裁

H11.3.12 和解

飲食店経営業者、アルバイト従業員

ライター製造販売業者

請求額 43万円 原告がアルバイト勤務中に、他従業員がライターを点火しようとしたところ爆発炎上したため顔面に火傷を負い、さらに店内が大混乱に陥った。

11 耳ケア製品難聴事件

H10.1.22 仙台簡裁

H10.5.7 和解

飲食店経営者

耳ケア製品輸入販売業者

請求額 60万円 和解額 25万円

原告が、被告の代表取締役がテレビに出演して、キャンドルタイプの耳ケア製品で大量の耳垢が取れたとして宣伝するのを見て、同製品を購入し使用したところ、両耳にかゆみと難聴が発生した。

12 エアコン漏電事件

H10.3.2 東京地裁

H10.9.7 訴訟取り下げ

情報通信事業自営業者

エアコン製造業者、エアコン設置業者

請求額 420万円 賃貸住宅に設置されていたエアコンの露取り装置の不具合が原因で漏電が生じ、パソコンに入力していた大量のデータが喪失し、事業を1年間休業せざるをえなくなった。

H10.5.15 名古屋地裁

H11.6.30 判決

傷害を被った女性

飲食物製造販売業者

請求額 40万円 認容額 10万円

13 オレンジジュース異物混入事件

H11.7.13 名古屋高裁

H12.5.10 和解

不明 不明 和解額 30万円

原告が昼食用に購入したオレンジジュースをストローで飲み始めたところ、異物で喉に傷を負い、精神的苦痛を負った。 (債務不履行責任〔売買契約における安全配慮義務違反〕、不法行為責任)

H10.6.23 青森地裁H10.9.28 (PL追加主張)

H13.2.13 判決 請求棄却

食品製造業者

コンピューターシステム開発業者、オフィスコンピュータリース業者

請求額 1,392万円14 コンピュータープログラム税金過払い事件

H13.2.23 仙台高裁

H14.3.8 判決 控訴棄却 確定

同上 同上

原告が、売上金などの管理をするための販売管理システムを導入したオフィスコンピュータを使用していたところ、プログラムミスにより法人税などの税金を多く払いすぎ、そのうち還付されなかった部分について損害を受けた。 (債務不履行責任、不法行為責任)

15 化粧品皮膚傷害事件

H10.7.21 前橋地裁 高崎支部( 原告所在裁判所) H10.10.9 東京地裁 移送

H12.5.22 判決 請求棄却 確定

皮膚障害を負った女性

化粧品製造販売業者、販売百貨店

請求額 660万円 原告が、敏感肌にも安心である旨の記載がある化粧品を百貨店で購入し、使用したところ、顔面に赤斑等の症状が発生し、医師から接触性皮膚炎の疑いがあると診断された。 (化粧品製造販売業者に対して製造物責任又は不法行為責任、百貨店に対して不法行為責任又は債務不履行責任)

16 手術用縫合糸死亡事件

H10.7.22 神戸地裁

別訴(市民病院)で和解(H11.1.27)したため、H11.2.10 請求放棄

死亡した男性の遺族

手術用縫合糸輸入販売業者

請求額 4,962万円 病院にて、左顎動脈内膜剥離手術を受けた男性が、手術から2日後に縫合部分からの大量出血により死亡した。男性の遺族が、病院に対して損害賠償請求訴訟を提起したが、その訴訟において、病院側が「死亡の原因は縫合糸が切れたため」と主張したため、病院に対する訴訟とは別に輸入販売業者を訴える訴訟を起こした。

H10.10.8 名古屋地裁

H14.4.22 判決

主婦2名 漢方薬輸入販売業者

請求額 8,160万円認容額 3,353万円( 製 造 物 責 任 は 否定)

17 輸入漢方薬副作用事件①

H14.5.1 名古屋高裁 原告控訴 H14.5.7 被告控訴

H15.6.20 和解

両者 両者

原告が、冷え性治療のために通院していた開業医から中国天津製の漢方薬を処方され服用したところ、慢性腎不全になった。後日、輸入業者は本品を自主回収した。 (不法行為責任)

18 こんにゃく入りゼリー窒息死事件①

H10.10.30 水戸地裁

H13.2.23 和解

死亡した男児の遺族

食品製造業者

請求額 5,945万円 男児がこんにゃく入りゼリーを食べて喉につまらせ窒息死した。

19 エアバッグ指骨折事件

H10.11.9 長崎地裁

H12.2.29 和解

脳外科医 自動車輸入業者、販売業車

請求額 2億1,096万円

原告が乗用車を運転中に、エアバッグ噴出の警告サインが出ていることに気づき停車した。点検しようとクラクション部分を触ったところ、エアバッグが突然噴き出したために親指を骨折し、脳外科医としての機能が損なわれた。

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PL関連事故・訴訟の現状

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東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

No. 事件名 提訴・控訴

年月日 判決・和解

年月日 原告・控訴

人 被告・被控

訴人 請求・認容・

和解額 提訴内容・原告の主張

(製造物責任以外の根拠法等4) 20 電気ジャーポ

ット火傷事件 H10.12.14 鹿児島地裁

H11.9.27 和解

火傷した女児

電気ポット製造業者、販売業者

請求額 2,521万円和解額 800万円

原告が生後10ヶ月当時に、つかまり立ちをしようとして電気ポットのふた開閉器レバーに手をかけたところ、ポットが倒れてふたが開き、胸や腹、足などに熱湯を浴び火傷を負った。設計上の安全性の配慮が欠如しており、危険性についての警告表示も無かった。

21 輸入瓶詰めオリーブ食中毒事件

(第1事件)

H11.2.15 (第2事件)

H12.2.1 (第3事件)

H12.11.28 東京地裁 3事件を併合(併合日不明)

H13.2.28 判決 確定

(第1,2事件)

レストラン客(第2事件)

従業員、経営者

(第3事件)レストラン(法人)

(第1-3事件)

食品輸入業者 (第1事件)

レストラン経営者

請求額 (第1事件)1,470万円(第2事件)1,321万円(第3事件)1,719万円 認容額 (第1・2事件)820万円(第3事件)350万円

レストランで、客、従業員、経営者が、食品輸入業者がイタリアから輸入した瓶詰めオリーブを食べたところ、B型ボツリヌス菌による食中毒に罹患した。 (第1事件)客(治療費、慰謝料)→経営者及びオリーブ輸

入業者(債務不履行責任)

(第2事件)客、従業員、経営者(従業員治療費、被害者へ

の見舞金等)→オリーブ輸入業社

(第3事件)レストラン(営業損害及び信用損害)→オリーブ

輸入業者

22 自動車エアバッグシステム不作動事件

H15.3.31 判決 請求棄却

死亡した男性の遺族

自動車輸入販売業者、自動車販売業者

請求額 9,995万円 男性が普通乗用自動車を運転中、ハンドル操作を誤って電柱に衝突させて重傷を負った。事故から約1年9ヶ月後、死亡した男性の相続人である原告が、事故の際にエアバッグシステムが作動しなかったことについて、当該エアバッグシステムは通常有すべき安全性を欠いていたと主張した。 (自動車輸入販売業者に対して、不法行為責任〔不実表示責任〕及び契約責任〔保証責任〕、自動車販売業者に対して、契約責任〔債務不履行責任〕)

H11.3.12 長崎地裁

H14.5.29 判決

自宅所有者 竹材販売業者

請求額 1,913万円認容額 1,913万円

23 竹材害虫発生事件

H14.7.11 福岡高裁

H17.1.14 判決 控訴棄却 確定

竹材販売業者

自宅所有者

被告が伐採業者から購入し、販売した竹材を土壁内の竹組として使用して建設した木造住宅に大量の害虫が発生した。 (債務不履行責任)

24 ベビーシューズ転倒事件

H11.5.25 金沢地裁

H13.7.17 判決 請求棄却 確定

怪我をした女児

子供靴製造販売業者

請求額 104万円 幼児(原告)が履いていたベビーシューズが脱げて転倒し、顎を打ちつけて前歯を1本折った。ベビーシューズの甲の部分を止めるマジックテープがはがれやすく、マジックテープがはがれた時に脱げるのを防ぐ機能がなかった。 (不法行為責任)

H11.7.29 東京地裁

H14.2.26 判決 請求棄却

廃棄物処理業者代表取締役

産業機械製造業者

請求額 1億2,410万円

25 資源ゴミ分別プレス機上腕切断事件

H14.3.5 東京高裁

H14.10.31 判決 確定

同上 同上 認容額 3,712万円

原告が、資源ゴミを分別・プレスする機械のローラーに付着した異物を除去しようとして右手を挿入したところ、巻き込まれて上腕を切断する傷害を負った。本件プレス機は、異物の流入を防止する措置が不十分であり、また、掃除口が常時開放されており、誤って手を入れたことを検知する緊急停止スイッチもないなどの設計上の欠陥があった。また、取扱説明書が交付されておらず、当該危険部分に関する警告ステッカーがないことおよび口頭での説明も不十分であったことに基づく指示警告上の欠陥があった。

26 米国製キャンピングカー雨漏り事件

H11.7.30 大阪地裁

H13.4.17 判決 請求棄却 確定

自動車所有者の夫婦

自動車製造業者(ベース車体部分を製造)、自動車改造業者(架装)

請求額 249万円 原告が購入したキャンピングカーで外出時に、雨漏りが生じたため、修理(3回)に出したが、 終検査でも、内部に水漏れが生じた。 (不法行為責任) ※別訴において、原告が信販会社に自動車購入代金の一部を支払い、所有権を得ることで和解が成立した。

27 自動車一酸化炭素中毒死事件

H11.11.18 神戸地裁 豊岡支部

H15.7.15 判決 請求棄却 確定

死亡した男性の遺族

自動車製造業者

請求額 1億1,588万円

当時25歳の男性が自動車を運転中、発生した火災による一酸化炭素中毒で死亡した。火災原因は、リコール対象であったオーディオ装置電気系統の欠陥によるものであった。

H11.12.17 仙台地裁

H13.4.26 判決

菓子製造販売店経営者

フロントガラスカバー販売業車

請求額 4,084万円認容額 2,855万円

28 自動車フロントガラスカバー視力障害事件

H13.5.10 仙台高裁

H15.7.14 和解

同上 同上

原告が、購入した自動車の凍結防止用兼日除け用カバーを自動車のフロントガラスに取り付ける際、金属製フックをドア下のエッジにかけて固定しようとしたところフックが外れ、ゴム紐の張力で金属フックの先端部が左眼に突き刺さり、後遺障害7級の被害を被った。製品に設計上および指示・警告上の欠陥があった。

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東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

No. 事件名 提訴・控訴

年月日 判決・和解

年月日 原告・控訴

人 被告・被控

訴人 請求・認容・

和解額 提訴内容・原告の主張

(製造物責任以外の根拠法等4) 29 船舶用エンジ

ン慰謝料請求事件

H11.12.21 鹿児島地裁

H14.10.1 和解

元貨物船機関長

貨物船製造業者

請求額 330万円 船舶事故の原因は、被告が発注したエンジンの欠陥であったにも関わらず、当該船舶の機関長であった原告は、本事故に関わる海難審判で審議を受けることになり、精神的苦痛を被った。

H11.12.21 東京地裁

H13.5.22 判決

皮膚障害を起こした女性

エステティックサロン経営業者

請求額 2,500万円認容額 440万円 (不法行為責任を肯定。製造物責任については判断せず)

30 エステ施術(美容器具)アトピー発症悪化事件

H13.5.25 H13.6.1 東京高裁 各控訴

H13.9.13 和解

両者 両者

原告が、アトピー体質が改善するという被告の従業員の説明により、被告が製造した美容器具を使用したエステ施術を受けたところ、重度のアトピー性皮膚炎が発症、悪化した。当該器具には設計上および指示・警告上の欠陥があった。また、被告は当該器具の使用によりアトピー性皮膚炎が悪化することを認識しており、客に皮膚障害を与えないように配慮すべき注意義務を怠った。また、エステ施術を行うにあたっての安全配慮義務、説明義務を怠った。(不法行為責任、債務不履行責任)

H11.12.27 広島地裁

H14.5.29 判決 請求棄却

玩具資料館経営者

自販機所有会社、自販機貸与・設置業者、自販機販売業者(参加人)

請求額 1,472万円31 自動販売機出火事件

H14.6.10 広島高裁

H15.3.20 判決 控訴却下・棄却・確定

同上 同上(但し、自販機販売業者も被控訴人)

玩具資料館に隣接して設置されていた自動販売機から出火した火災により、展示物等が焼失した。 (不法行為責任、工作物責任、自販機の貸与を受けて原告に貸与した業者に対して債務不履行責任)

32 給食食器視力障害事件①

H11.12.27 東京地裁

H13.10.26 特別区と和解 H13.12.12 製造業者2社と和解、輸入加工業者2社に対して訴訟取り下げ

眼に傷害を負った女児

食器輸入加工業者2社、米国食器製造業者2社、特別区

請求額 1,533万円 当時小学校2年生だった原告が、給食配膳時に、廊下に落とした硬質ガラス製の食器の破片を右目に受け、角膜切創などの傷を被り、0.7だった視力が0.01まで低下した(矯正視力0.1)。 (特別区に対して国賠法)

H12.1.13 東京地裁

H15.9.19 判決

障害を負った男性

医療器具輸入販売業者、大学病院

請求額 1億5,834万円 認容額 1億1,692万円(大学病院の責任は否定)

33 カテーテル破裂事件

H15.9.29 東京高裁

H15.10.14 取下

不明 不明

原告の脳動静脈奇形について、大学所属の医師が、脳にカテーテルを挿入して塞栓物質を注入する手術をした際、カテーテルが破裂し、脳梗塞により左半身麻痺等の後遺障害が生じた。 (大学病院に対して使用者責任)

34 自動車制御不能転落事件

H12.1.24 広島地裁

H13.12.19 判決 請求棄却 確定

自動車に同乗していた3名

自動車製造販売業者

請求額 553万円 原告が、被告製造の自動車を運転していたところ、ハンドル制御がきかなくなり、崖下に転落した。

H12.2.10 徳島地裁

H14.10.29 判決

ヒラメ養殖業者

磁気活水器製造業者

請求額 825万円 認容額 670万円

35 磁気活水器養殖ヒラメ死滅事件 H14.11.10

高松高裁 H15.8.1 和解

不明 不明

ヒラメ養殖業者が、磁気活水器をヒラメ養殖池の給水管に設置したところ、養殖魚が全滅した。 (不法行為責任)

36 電動車椅子死亡事件

H12.3.21 福岡地裁

H14.4.12 和解

死亡した男性の相続人5名

電動車椅子輸入販売業者

請求額 2,860万円 原告が、被告が韓国から輸入販売した電動車椅子で走行中に、何らかの異常が発生して車椅子が加速し、ブロック塀に激突して、脳挫傷、急性硬膜下血腫、外傷性クモ膜下出血、頭蓋骨骨折により死亡した。当該車椅子には、異常加速時の制御装置が備えられていなかった。

37 カップ麺体調不良事件

H12.6.6 和歌山地裁 御坊支部

H12.12.25 和解

カップ麺を食べた男性

カップ麺製造業者

請求額 99万円 原告がカップ麺を食べたところ、混入していた異物によって体調を崩し、病院の精密検査の過程でインフルエンザにかかるなどの被害を受けた。被告の調査によると、異物はゴキブリの卵だった。

38 立体駐車場死亡事件

H12.6.16 福岡地裁 小倉支部

H14.10.29判決 確定

カラオケボックス経営者

立体駐車装置製造販売業者

請求額 4,100万円認容額 1,392万円(債務不履行責任を肯定。製造物責任については判断せず)

原告が経営するカラオケ店の従業員が、被告が販売・設置した立体駐車場を操作する際に、パレット上に車を停止させ、構内から客が退出していない状態で、装置を作動させてしまったため、パレットが回転を開始し、転倒した客がパレットと壁面の支柱との間に頭部を挟まれ死亡した。同装置には必要な人的センサがないなどの設計上の欠陥があった。また、被告が販売時にその旨の説明をしなかった。 原告は、死亡した被害者の相続人に和解金等の損害賠償を支払う損害を被った。 (債務不履行責任〔説明義務違反〕)

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東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

No. 事件名 提訴・控訴

年月日 判決・和解

年月日 原告・控訴

人 被告・被控

訴人 請求・認容・

和解額 提訴内容・原告の主張

(製造物責任以外の根拠法等4) 39 給食食器視

力障害事件②

H12.8.10 奈良地裁

H15.10.8 判決 確定

眼を負傷した女児

食器加工業者、食器販売業者、国(国賠法)

請求額 1,440万円認容額 1,037万円(表示上の欠陥のみ肯定)

原告(当時小学校三年生)が学校給食用として使用されていた強化耐熱ガラス製の食器を片付ける際に、誤って食器を床に落としたところ、その際に飛び散った破片により右眼に角膜裂傷、外傷性白内障などの傷を被り、さらに後遺障害を負った。 本件食器には微細な傷で割れやすくなり、割れた際に微細かつ鋭利な破片が広範囲に飛散するなどの欠陥があった。また、被告国が設置する本件小学校及びその教諭に過失及び本件食器の設置又は管理に瑕疵があった。 (国に対して国賠法)

40 中古車出火事件

H12.9.20 大阪地裁

H14.9.24 判決 請求棄却 確定

中古車を運転していた男性、同乗者

自動車製造販売業者

請求額 912万円 原告が社用に使用していた中古車を運転していたところ、突然車高が下がったため、路肩に停車したところ、出火し焼損した。車両に製造上の欠陥があった。 (不法行為責任、債務不履行責任)

41 ピアノ用防虫防錆剤欠陥事件

H12.12.13 東京地裁

H16.3.23 判決 確定

化学品販売業者

化学品製造業者

請求額 558万円 認容額 241万円

原告が被告に製造を委託し、楽器店に販売していたピアノ用防虫防錆剤について、顧客から本件錠剤から液だれが生じたとのクレームを受けた。本件錠剤には、ピアノ内部で使用中に液状化するなどの欠陥があった。 原告は本件防虫防錆材の製品化にかかった費用および楽器店からの苦情対応費用、売買契約を解除したことによる支払い済み売買代金等の損害を被った。 (債務不履行責任)

H13.1.26 神戸地裁

H14.11.20 判決 請求棄却

缶入り野菜ジュースを飲んだ家族3名

缶入り野菜飲料製造業者

請求額 660万円 42 缶入り野菜ジュース下痢症状事件

H14.11.28 大阪高裁

H15.5.16 控訴棄却 確定

同上 同上

夕食後、家族3人が缶入り野菜ジュースを飲んだところ気分が悪くなり、下痢症状が数日続き、将来の健康や生命への不安が生じる等の精神的苦痛を受けた。

H13.4.11 さいたま地裁

H15.10.31 判決 請求棄却

自動解凍装置製造業者

ポンプ製造業者、バルブ製造業者

請求額 3億4,661万円

H15.11.12 東京高裁

H16.10.12 判決

同上 同上 認容額 1,916万円

43 食肉自動解凍装置金属異物付着事件

(申立日不明) 上告受理申立

H17.5.16 不受理決定

不明 不明

原告は、顧客の食品製造業者からの注文を受けて、本件自動解凍装置の製作請負契約を締結し、被告らが製造したポンプとバルブを使用して、製作・納入した。顧客が本件装置を稼働させたところ、解凍した食肉に金属異物が付着する事故が発生した。金属異物はポンプ及びバルブに由来するバリであり、それにより、原告は食品製造業者から損害賠償を請求され売上額が減少するなどの経済的損害を被った。 (共同不法行為)

44 ガラスコーティング欠陥事件

H13.5.16 東京地裁

H15.9.4 判決 請求棄却

自動車用品販売業者

工業薬品等販売業者

請求額 1億6,550万円

被告が製造し、原告に供給(販売)したガラスコーティング剤に瑕疵があった。 (債務不履行責任、不法行為責任)

45 骨接合プレート破損事件

H13.6.8 神戸地裁

H15.11.27 判決 請求棄却 確定

手術を受けた男性

医療関連商品製造販売業者

請求額 378万円 原告男性が、被告が製作した骨接合プレートを左上腕骨の骨折部分に装着する骨接合手術を受けたところ、術後にプレートが破損し、再手術費用の損害を被った。本件プレートには、巣(金属材料の塊の中にある空洞)が存在していた等の理由で金属疲労が発生しやすかった。また、医師向け注意書には「インプラントの機能の限界について患者に文書で詳しい指示を与えて下さい」と記載されていたが、患者用の文書は作成されていなかった。

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東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

No. 事件名 提訴・控訴

年月日 判決・和解

年月日 原告・控訴

人 被告・被控

訴人 請求・認容・

和解額 提訴内容・原告の主張

(製造物責任以外の根拠法等4) H13.6.8 東京地裁

H17.2.8 判決 (甲事件)請求棄却

パチスロ機製造販売業者

電源表示製造業者、電源販売業者

(甲)請求額 61億4,774万円

46 パチスロ機火災事件

H17.2.16 東京高裁

H18.1.18 判決 控訴棄却 確定

パチスロ機製造販売業者

電源表示製造業者、電源販売業者

特注電源を使用したパチスロ機から火災事故(出荷13万台中4台)が発生した。 (甲事件)当該電源を発注した原告が、主位的に電源の表示製造業者、製造業者及び販売業者に対して債務不履行により、予備的に電源の表示製造業者、製造業者に対しては製造物責任により、販売業者に対しては取り交わした覚書に基づき、電源回収交換費用および逸失利益について損害賠償を請求した。 〔参考〕 (乙事件)火災事故発生後に、甲事件被告である電源表示製造業者が同事件原告であるパチスロ機製造販売業者に交換用の電源を納入したが、当該交換用電源の代金相当分の一部がパチスロ機製造販売業者から支払われておらず、当初の特注電源に欠陥がない場合、パチスロ機製造販売業者に交換用電源を無償で取得できる法律上の根拠がないとして、電源表示製造業者がパチスロ機製造販売業者に不当利得返還を請求した。 請求額 3,404万円/認容額 3,404万円

H13.6.13 甲府地裁

H14.9.17 判決

軽自動車所有者

電子材料セラミックス製造販売業者

請求額 20万円 認容額 20万円

47 自動車用燃料添加剤エンジン故障事件 H14.9.30

東京高裁 H15.2.18 和解

不明 不明

原告所有の軽自動車に、被告製造の自動車用燃料添加剤を使用したところ、同車にエンジン不調が生じるなどの故障が生じ、修理代金、エンジンおよび燃料タンクの交換代金などの損害が生じた。 (瑕疵担保責任)

H13.6.19 東京地裁

H14.12.13判決

食中毒を発症した8名

割烹料亭経営者

請求額 3,372万円認容額 1,216万円

48 イシガキダイ食中毒事件

H14.12.24 東京高裁

H17.1.26 判決 確定

両者 両者 認容額 1,318万円(付帯控訴に関する判断)

原告が料亭でイシガキダイのアライと兜焼きを食べたところ、イシガキダイに含まれていたシガテラ毒素による食中毒に罹患し、手足の感覚異常等の症状が生じて損害を被った。 (瑕疵担保責任)

H13.6.26 東京地裁

H15.7.31 判決

音響機器製造販売業者

電化機器機械部品製造販売業者

請求額 5,729万円認容額 5,705万円

49 カーオーディオ用スイッチ部品欠陥事件

H15.8.11 東京高裁

H16.4.13 和解

不明 不明

原告が、被告が製造したスイッチ部品を使用して、カーオーディオ製品であるMDチェンジャーメカニズムユニットを製造販売していたところ、このスイッチの一部が常時短絡して通電するようになり、これに起因して、自動車のバッテリーがあがるなどの事故が多発し、スイッチ交換等の対応のための損害を被った。 (不法行為責任)

H15.8.22 4家族8名の和解

食中毒を発症した5家族9名

乳製品製造業者

請求額 6,614万円和解額 不明

50 低 脂 肪 乳 等下 痢 症 状 事件

H13.7.12 大阪地裁

H18.9.26 和解

和解額 650万円

原告が低脂肪乳等を飲むなどして下痢などの食中毒症状を発症し、さらには心的外傷後ストレス障害(PTSD)に陥るなど精神的苦痛を被った。

H13.9.27 札幌地裁

H14.11.22 判決

車両に乗車していた夫婦

自動車製造業者、自動車販売業者

請求額 1,554万円認容額 229万円 (販売業者の製造物責任は否定)

51 車両噴射ポンプ欠陥事件

H14.12.6 札幌高裁

H15.3.17 和解

不明 不明

原告が自動車を運転中、先行車を追い越そうと加速した際に、アクセルレバーが全開状態になり、安定性を失って、対向してきた大型トレーラーと衝突した。調査により、エンジンの燃料噴射装置の部品が壊れていることが判明した。 ※部品が通常有するべき安全性を欠いていたため、自動車製造業者が製造物責任に基づき損害賠償をすることについては争いがなく、過失相殺の有無および自動車販売業者が製造物責任法の製造業者にあたるか等が争点になった。

H13.11.14 東京地裁

H15.5.28 判決

乗車していた男性、所有する医療法人

自動車輸入業者、自動車販売業者

請求額 1億2,332万円 認容額 1,327万円

52 外国製高級車発火事件

H15.6.11 東京高裁

H15.10.30 控訴棄却 確定

同上 同上

原告が、リコール2回を含む8回の修理を受けた外国製高級車で高速道路を走行していたところ、オイル漏れによってエンジンルームから発火し炎上したため、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を負った。 (自動車販売業者に対して債務不履行責任、不法行為責任)

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PL関連事故・訴訟の現状

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東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

No. 事件名 提訴・控訴

年月日 判決・和解

年月日 原告・控訴

人 被告・被控

訴人 請求・認容・

和解額 提訴内容・原告の主張

(製造物責任以外の根拠法等4) H13.12.26 東京地裁

H15.3.20 判決

死亡した男児の両親

医療器具製造業者、輸入販売業者、地方自治体

請求額 8,203万円 認容額 5,063万円

53 人工呼吸器死亡事件①

H15.3.24 東京高裁 地方自治体控訴 H15.3.26 輸入販売業者控訴 H15.4.2 医療器具製造業者控訴

H16.2.2 和解

医療器具製造業者、輸入販売業者、地方自治体

死亡した男児の両親

公立病院で、人工呼吸器接続チューブと気管切開チューブを接続した呼吸回路によって人工呼吸を行おうとしたところ、回路が閉塞して生後3ヶ月の男児が換気不能により死亡した。人工呼吸器接続チューブおよび気管切開チューブには欠陥があり、被告病院の医療従事者もしくは管理責任者が両器具の欠陥を確認しなかった。 (医療器具製造業者および輸入販売業者に対して製造物責任又は不法行為責任、地方自治体に対して使用者としての不法行為責任又は診療契約上の債務不履行責任)

54 骨折固定髄内釘破損事件

H14.2.20 津地裁

H14.4.4 和解

骨折固定手術を受けた男性

医療用器具製造輸入販売業者

請求額 273万円 原告が左上腕骨骨幹部骨折部の骨折固定手術を受けたところ、術後、手術で使用された髄内釘が就寝中に体内で破損し、再手術を余儀なくされた。

55 トラック積み荷焼失事件

H14.2.21 静岡地裁

H18.12.20 判決 請求棄却 確定

塗装工事業者

自動車製造業者

請求額 386万円 原告の従業員が2トントラックで高速道路を走行中に運転席の下側が次第に熱くなり、約10分後に車の後部から火と煙があがった。路上に停車したところ、まもなくトラックから出火し、積み荷などが焼損した。

56 人工呼吸器死亡事件②

H14.2.22 東京地裁

H16.2.23 和解

死亡した男児の両親

医療器具製造輸入販売業者、地方自治体

請求額 8,203万円 病院で気管チューブと人工呼吸器接続チューブとのコネクター部分の整合性がとられておらず、生後10ヶ月の男児が換気不能により死亡した。

57 オーブンレンジ火傷事件

H14.3.1 大阪地裁

H15.4.16 判決 確定

オーブンレンジ購入者

輸入販売業者

請求額 880万円 認容額 110万円

原告が、被告製造のオーブンレンジを購入設置したところ、指に火傷を負うなどして、精神的苦痛を負った。また、被告による改良では安全性が確保されないため、代替品への改修工事が必要となった。本件オーブンレンジには、人体にやけどを負わせるような欠陥があり、また被告は製品の安全性を確保すべき注意義務にも違反していた。 (不法行為責任)

H14.4.22 鹿児島地裁

H17.10.26 判決

出火した自動車の所有者

自動車製造業者、自動車販売業者、自動車整備業者

請求額 299万円 認容額 209万円 (製造業者の製造物責任を否定)

58 自動車ギア発火炎上事件

H17.11.8 福岡高裁 宮崎支部

H18.5.24 和解

不明 不明 不明

高速道路走行中、原告所有の車が発火・炎上した。被告自動車販売業者および被告自動車整備業者にはタイヤ交換における注意義務違反があった。また、被告自動車製造業者の取扱説明書にタイヤ交換に関する指示・警告上の欠陥があった。 (債務不履行責任、不法行為責任)

59 幼児用自転車傷害事件

H14.6.6 広島地裁

H16.7.6 判決 確定

けがをした女児

自転車製造業者

請求額 315万円 認容額 122万円

原告(当時5歳)が幼児用自転車に乗っていたところ、ペダル軸の根元から飛び出ていた針状の金属片(ばり)により、膝窩部裂挫傷の傷害を負い、傷跡が残った。自転車は被告自転車販売業者(その後倒産)にて 終組み立てして原告に引き渡されたものであった。

60 フラワースタンド失明事件

H14.6.17 盛岡地裁

H14.12.2 和解

失明した主婦

家具製造販売業者

請求額 2,195万円 原告が親戚から送られたフラワースタンドを移動させた際、先端の飾り部分が抜け、左目に刺さり失明した。

61 輸入漢方薬副作用事件②

H14.7.8 名古屋地裁

H16.4.9 判決 確定

主婦 漢方薬輸入販売業者

請求額 6,024万円認容額 3,336万円( 製 造 物 責 任 を 肯定)

原告が冷え性の治療のため、婦人科医の処方により漢方薬を2年間服用したところ、腎機能傷害により人工透析が必要になった。

H14.7.14 東京地裁

H17.3.24 判決 請求棄却

電気ストーブ購入者

電気ストーブ輸入販売業者

請求額 5億円

H17.4.7 東京高裁

H18.8.31 判決

同上 同上 認容額 554万円 ( 製 造 物 責 任 は 否定)

62 電気ストーブ化学物質過敏症事件

H18.9.14 上告受理申立

H19.3.1 不受理決定

電気ストーブ輸入販売業者

電気ストーブ

原告が、電気ストーブを購入・使用したところ、電気ストーブから発生した有害物質で化学物質過敏症になった。

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PL関連事故・訴訟の現状

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東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

No. 事件名 提訴・控訴

年月日 判決・和解

年月日 原告・控訴

人 被告・被控

訴人 請求・認容・

和解額 提訴内容・原告の主張

(製造物責任以外の根拠法等4) 63 クレーン船冷

蔵庫火災事件

H14.7.23 佐賀地裁 武雄支部

H16.5.11 和解

クレーン船所有業者

ガス冷蔵庫製造業者

請求額 2,444万円 クレーン船搭載のガス冷蔵庫から火災が発生し、当該船の住居区画が焼損した。

H15.3.5 横浜地裁 H16.2.17 (増額申立)

H18.4.18 判決 (トレーラー所有会社とは H17.2.22裁判上の和解)

死亡した主婦の実母

トレーラー所有会社、自動車製造業者、国

請求額 1億6,550万円(増額前550万円)※提訴後、「制裁的慰謝料」1億円など、合計約1億6千万円の増額申し立てを行った。

64 大型トレーラータイヤ直撃死亡事件

H18.4.18 横浜高裁

H19.2.27 控訴棄却

同上 同上 認容額 550万円

道路を走行中の大型トレーラーからタイヤがはずれて転がり、歩道を歩いていた主婦とその子供2人が死傷した。調査により、車軸と車輪を接続しているハブの金属部品が破損し、タイヤがブレーキドラムごと外れていたことが判明した。また、被告国は同種事故が発生していたにも関わらず、車検の際に、ハブの検査を指示する行政指導を行わなかった。

65 ロードレース用自転車転倒事件

H15.3.26 新潟地裁

H21.3.21 取り下げ 裁判外和解

けがをした男性

自転車製造業者

請求額 2億1,388万円

原告がオーダーメイドで購入したロードレース用自転車で走行していたところ、走行中に突然ハンドルの支柱(フロントフォーク)が折れて転倒し、四肢に麻痺が残るけがを負った。

①H15.4.2 ②H15.4.14 大阪地裁 ①②併合 H15.4.30

H17.1.12 判決

健康食品購入者

健康食品輸入販売業者(表示上の製造業者)、健康食品通信販売業者

請求額: ①42万円 ②43万円 認容額: ①2万円 ②2万円

66

健康食品違法添加物混入事件

H17.1.20 大阪高裁 原告控訴 H17.1.25 被告控訴

H17.10.14 判決 控訴棄却 確定

両者 両者

原告が通信販売で健康食品を購入したところ、その後、本製品に違法添加物(酸化防止剤エトキシキン)が含まれていることが判明した。購入代金および精神的損害を被った。 (債務不履行責任、不法行為責任)

67 節電器出火事件

H15.4.7 盛岡地裁 二戸支部(原告所在裁判所 提訴) H15.7.24 (東京地裁移送)

H18.3.30 和解

節電器購入業者

節電器販売業者、設置工事業者、製造業者

請求額 2,750万円 製材工場の変電所に設置された節電器付近より出火し、工場の大半が焼失した。

68 馬刺O157検出事件

H15.4.10 東京地裁

H16.8.31 判決 請求棄却 確定

食品販売業者、食品加工業者

食品輸入業者

請求額:4億7387万円

原告食品販売業者が、カナダから輸入した馬肉を購入し、子会社である原告食品加工業者でそれを馬刺に加工して飲食店に販売したところO157が検出されたため、在庫返品等の損害を被った。(第2事件) (食品販売業者は製造物責任、不法行為責任、瑕疵担保責任、債務不履行責任、食品加工業者は製造物責任、不法行為責任を主張。) 〔参考〕 (第1事件)食品輸入業者が食品販売業者に馬肉の売買代金の支払いを求めた。(食品販売業者は製造物責任法による損害賠償債権との相殺の抗弁を主張。) 請求額:3230万円/認容額:3230万円

H15.5.29 東京地裁

H17.7.19 判決 請求棄却

工業用品製造販売業者

化学製品製造販売業者

請求額 1億389万円

69 接着剤化学物質回収事件

H17.8.2 東京高裁

H18.1.19 判決 控訴棄却 確定

同上 同上

原告が製造した接着剤を、国内で流通また、海外に輸出した後、再び輸入したところ、被告が製造した接着剤原液に、行政取締法規によって使用が制限されている化学物質が含有されていたため、製造した接着剤の販売中止、回収を余儀なくされた。

70 24時間風呂死亡事件

H15.8.5 東京地裁

H17.12.20 和解

死亡した女児の遺族

24時間風呂製造業者

請求額 1億99万円 女児が祖父の家の浴室に設置されていた24時間風呂に入浴中、給水口に髪が吸い込まれ、溺死した。

H15.9.8 東京地裁

H16.3.25 判決

花火使用者 花火製造業者

請求額 6,912万円認容額 376万円

71 動 物 駆 逐 用花 火 手 中 爆発事件

H16.3.25 東京高裁

H17.1.13 判決 確定

同上 同上 認容額 405万円

原告が、被告製造の動物駆逐用花火を使用したところ、手中で爆発し、手指欠損等の損害を被った。当該花火は、導火線の火が見えない構造になっており、爆発までの残り時間が認識できなかった。また、取扱説明書の警告が不十分であった。

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東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

No. 事件名 提訴・控訴

年月日 判決・和解

年月日 原告・控訴

人 被告・被控

訴人 請求・認容・

和解額 提訴内容・原告の主張

(製造物責任以外の根拠法等4) 72 折り畳み自転

車転倒事件 ①H15.10.14 ②H15.12.8 千葉地裁 ①②併合 併合日不明

H17.1.31 判決 請求棄却 確定

傷害を負った女性及びその夫

自転車製造業者

請求額 211万円 原告(夫婦)が被告製造の折り畳み自転車2台を購入して使用していたところ、女性がハンドルをとられて道路上に転倒し、傷害を負った。

73 チャイルドシート死亡事件

H15.11.19 広島地裁 三次支部

H19.2.19 判決 確定

被害車両を運転していた夫婦

加害車両運転者の相続人、チャイルドシート製造業者

請求額 1億4,741万円 認容額 5,724万円 (チャイルドシート製造業者への製造物責任については請求棄却)

原告が車の後部座席に生後11ヶ月の子供をチャイルドシートに乗せて運転していたところ、反対車線を走行してきた車がセンターラインを越えて正面衝突し、チャイルドシートの肩ベルトが外れて子供が投げ出され死亡した。また、運転していた原告らも傷害を負った。チャイルドシートに製造上及び設計上の欠陥があった。 (加害車両の運転者(事故により死亡)の相続人に対し民法709条〔不法行為責任〕ないし711条〔近親者に対する損害の賠償)、自動車損害賠償保障法3条)

74 デジタルカメラ写真不良事件

H16.1.28 横浜地裁

H17.6.27 和解

カメラを購入した男性

カメラ製造業者

請求額 489万円 デジタルカメラの欠陥により、原告が旅行中に撮影した写真(489枚)が全て不良となり、1枚あたり1万円の修正費用の損害を被った。

75 マンションシックハウス事件

H16.1.29 H18.9.11 和解

マンション住民

マンション販売業者、施工業者、建材製造業者

請求額 3億円 新築分譲マンションに入居した住民20世帯46人が、入居後まもなく頭痛やのどの痛みなどを感じ、38人が専門病院で受診するなどシックハウス症候群の症状が出た。調査により、9割以上の住戸から国の指針値を超えるホルムアルデヒドが検出され、一級建築士による調査で、床下の建材に2001年7月に改正建築基準法により使用が規制されている建材が使用されており、ここから同物質が発生していることが判明した。

76 ポンプ船舶沈没事件

H16.2.6 東京地裁

H17.8.26 判決 確定

回漕業者代表者

ポンプ製造業者

請求額 499万円 認容額 399万円

原告がホームセンターで被告製造のポンプを購入し、原告所有の汽船の船底に溜まった雨水等の排水を自動で行わせるようにして使用していたところ、汽船が沈没した。原因は、ポンプ内部のナットが外れてポンプが作動しなかったためであった。 (不法行為責任)

77 エステ施術(美容器具)色素沈着事件

H16.3.8 岡山地裁

H17.10.26 判決 確定

エステ施術を受けた女性

美容器具製造販売業者

請求額 230万円 認容額 30万円

原告が、美容器具を使用した腹部エステ施術を受けたところ、水膨れの状態となり、その後リング状の色素沈着の後遺障害が残った。 (不法行為責任)

78 サイドボード下敷き事件

H16.5.28 東京高裁

H17.8.22 和解

傷害を負った女児及び両親

家具製造業者

請求額 147万円 女児がサイドボードの下から3段目の引き出しを開け、衣服を取ろうとしたところ、サイドボードが倒れてきて、下敷きとなり、頭蓋骨骨折、脳内出血等の傷害を負った。

H16.7.1 京都地裁

H19.2.13 判決 棄却

死亡した女性の遺族

ベッド製造業者゙、介護保険サービス事業者、介護用レンタル事業者

請求額 8,637万円79 介護用電動ベッド死亡事件

H19.2.23 大阪高裁

H19.9.21 和解

同上 同上

女性が介護用電動ベッドをレンタルし自宅で使い始めたところ、病気で腹が膨張し、背もたれを起こすと呼吸困難などの症状が現れるようになり、その後、寝たきりのまま心不全で死亡した。介護用電動ベッドには背もたれを起こすと胸や腹が圧迫される構造的欠陥があり、慢性呼吸不全で死期が早まった。

80 肺ガン治療薬死亡事件①

H16.7.15 大阪地裁

係争中 死亡した男性の遺族

国、医薬品製造輸入販売業者

請求額 3,300万円 男性が、副作用が少ないという新しいタイプの肺ガン治療薬(抗ガン剤)を服用したところ、本医薬品の副作用(間質性肺炎)で死亡した。

81 アマメシバ気管支炎発症事件

H16.7.21 鹿児島地裁 川内支部

係争中 気管支炎発症者

健康食品製造業者、健康食品販売業者

請求額 7,488万円 原告が、アマメシバの加工食品を摂取したところ閉塞性気管支炎を発症し、生体肺移植手術を受けることとなった。アマメシバ及びその表示に欠陥があった。 (健康食品製造業者に対して製造物責任または不法行為責任、健康食品販売業者に対して不法行為責任)

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東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

No. 事件名 提訴・控訴

年月日 判決・和解

年月日 原告・控訴

人 被告・被控

訴人 請求・認容・

和解額 提訴内容・原告の主張

(製造物責任以外の根拠法等4) H16.8.23 名古屋地裁

H17.12.16 名称使用承諾者に対して分離後の判 決 ( 訴 えを却下) H19.11.30 判決

アマメシバを購入摂取した女性2人

健康食品製造業者、健康食品販売業者、名称使用承諾者(氏名が商品名の一部に付された者)、雑医学博士、雑誌出版社

請求額 1億886万円 認容額 7,621万円(雑誌出版社に対する請求は棄却)

H19.12.10 名古屋高裁

(H20.8.29 雑誌出版社と医学博士が和解) H21.2.26 判決

両者 両者 (和解額 600万円) 認容額 7,600万円

82 アマメシバ呼吸機能障害事件

H21.3.13 高裁

(上告受理申立)

健康食品製造業者

アマメシバを購入摂取した女性2人

原告が、健康食品として被告雑誌出版社が発行した雑誌で特集されたアマメシバの加工食品を摂取したところ、重篤な呼吸器機能障害を発症した。 (健康食品製造業者に対して製造物責任、健康食品販売業者、名称使用承諾者、雑誌出版社、雑誌で健康食品を紹介した医学博士に対して不法行為責任)

H16.8.31 東京地裁

H18.10.27 判決 請求棄却

乗車していた夫婦

自動車輸入販売業者、自動車販売整備業者

請求額 693万円 83 自動車制御不能衝突事件

H18.11.10 名古屋高裁

H19.7.18 判決 控訴棄却 確定

同上 同上

原告が高速道路運転中、通常の運転操作を行っていたにもかかわらず制御不能となりガードレールに衝突した。パワーステアリング・ポンプ交換の改善対策がされていなかった。

H16.9.9 富山地裁

H17.12.20 判決

木製製品製造販売業者とその従業員

焼却炉製造業者

請求額 2,010万円認容額 2,010万円

84 無煙焼却炉火災事件

H18.1.5 名古屋高裁 金沢支部

H19.7.18 判決 控訴棄却 確定

原告が被告製造の焼却炉を購入・使用していたところ、焼却作業中に同焼却炉の灰出し口の扉を開いたところ,バックファイヤー(燃焼爆発)が発生し、従業員が火傷を負い、工場3棟が全半焼する損害を被った。当該焼却炉には、灰出し口を開けるとバックファイヤーが発生するという設計上の欠陥およびそれを伝えていなかったという指示警告上の欠陥があった。

85 軽乗用車出火焼損事件

H16.9.11 名古屋地裁

H18.2.24 判決 請求棄却 確定

軽乗用車所有者の遺族(夫、子供)

自動車製造業者

請求額 106万円 女性が軽乗用車で走行していたところ、タオル様の異物が車体下部からエンジンルーム内に入り込み、出火・焼損した。(原告であった女性は、訴訟係属中に死亡したため、その夫が承継した。)

H16.10.8 長野地裁 松本支部

H19.3.28 判決 請求棄却

システムバス所有者

住宅設備機器製造販売業者

請求額 2,721万円86 システムバス発火事件

H19.4.11 東京高裁

H19.9.26 判決 控訴棄却 確定

同上 同上

自宅に設置したシステムバスから発火し、建物や家財道具が焼損した。

87 肺ガン治療薬死亡事件②

H16.11.25 東京地裁

係争中 死亡した女性の遺族

国、医薬品製造輸入販売業者

請求額 3,850万円 女性が、副作用が少ないという新しいタイプの肺ガン治療薬(抗ガン剤)を服用したところ、本医薬品の副作用(間質性肺炎)で死亡した。

88 焼肉店ダクト低温発火事件

H16.12.8 大阪地裁

H18.10.20 判決 請求棄却 確定

損害保険会社(代位)

厨房機器類製造販売業者

請求額 6,741万円 損害保険会社が保険契約をしていた焼肉店で火災が発生した。原因は、無煙ロースターの廃棄ダクトに断熱材がまかれていなかったことによるダクトに接する根太(床板の下に渡し、床を支える横木)の低温発火であった。

89 光モジュール出力劣化事件

H16.12.24 東京地裁

H18.4.4 判決 ( 日 本 国 裁判所の管轄であることを認容した中間判決)

電子通信装置製造販売業者

米国デラウェア州法人、台湾法人

請求額 5億4,911万円

光モジュールに搭載されているレーザーダイオードの活性層の欠陥により、光出力劣化を生じ、保証された品質が備えられていなかったため、製品の交換を余儀なくされ損害を被った。

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東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

No. 事件名 提訴・控訴

年月日 判決・和解

年月日 原告・控訴

人 被告・被控

訴人 請求・認容・

和解額 提訴内容・原告の主張

(製造物責任以外の根拠法等4) 90 はしご車昇降

機落下事件①

H16.12.27 福島地裁 郡山支部

H19.7.3 和解

消防組合 はしご車昇降機製造業者

請求額 4,057万円 原告組合が被告製造のはしご車の梯体点検及び清掃点検を実施するため、原告の組合員2名をはしご車の昇降機に搭乗させたところ、梯体の樹脂滑車の止め輪の外れ・変形、ワイヤーの外れ・切断等が発生して、昇降機が落下し、地面に激突して破損した。昇降機の落下により、搭乗していた組合員2名のうち1人が死亡、1人が重傷を負った。 (債務不履行責任、不法行為責任)

H17.1.26 京都地裁

H18.11.30 判決

傷害を負った男性

洗車台製造業者、洗車台販売業者

請求額 149万円 認容額 149万円

H18.12.15 大阪高裁

H19.8.30 判決

不明 不明 認容額 189万円

91 折り畳み洗車台転落事件

H19.9.12 上告受理申立

H20.1.31 不受理決定

不明 不明

原告が、折り畳み洗車台の上に立って修理作業をしていたところ、突然洗車台脚部 下段の桟が座屈したため、転落し、外傷性気胸及び肋骨骨折の傷害を負った。

H17.1.31 東京地裁

H20.12.24 判決 請求棄却

死亡した夫婦の遺族

自動車製造業者、自動車輸入販売業者

請求額 3億6,086万円

92 自動車ハンドルリコール事件

H21.1.6 東京高裁

係争中 同上 同上

自動車を走行中に、反対車線にはみ出してトラックと正面衝突し、乗っていた夫婦が死亡、子供が重傷を負った。当該自動車は、ハンドルの欠陥で、事故の5年前及び事故の翌月にリコールが行われていた。

93 工作機械出火焼損事件

H17.2.23 東京地裁

H19.2.5 判決 請求棄却 確定

金型製造販売業者

工作機械製造販売業者

請求額 4,944万円 無人工場内で、コンピュータープログラムによる自動運転中の工作機械から出火し、工場の天井、内壁、工作機械、備品機械等を焼損した。

94 肺ガン治療薬死亡事件③

H17.3.7 大阪地裁

係争中 死亡した男性の遺族

国、医薬品製造輸入販売業者

請求額 3,300万円 男性が、副作用が少ないという新しいタイプの肺ガン治療薬(抗ガン剤)を服用したところ、本医薬品の副作用(間質性肺炎)で死亡した。

95 肺ガン治療薬死亡事件④

H17.4.25 大阪地裁

係争中 死亡した男性の遺族

国、医薬品製造輸入販売業者

請求額 3,300万円 男性が、副作用が少ないという新しいタイプの肺ガン治療薬(抗ガン剤)を服用したところ、本医薬品の副作用(間質性肺炎)で死亡した。

H17.6.2 仙台地裁

H19.7.10 判決 請求棄却

火傷を負った男性

携帯電話製造業者

請求額 224万円 96 携帯電話低温火傷事件

H19.7.18 仙台高裁

H22.4.22 判決

同上 同上 請求額 545万円 認容額 221万円

原告が、携帯電話をジーンズの左前ポケットに入れたまま、こたつでうたた寝していたところ、左太ももが携帯の形に腫れ上がっているのに気づき、病院で水ぶくれと激しい痛みが生じる「2度」の熱傷と診断された。

97 ロースカツ急急性大腸炎発症事件

H17.6.29 名古屋簡裁

H17.11.29 判決 請求棄却 確定

急性大腸炎発症者

惣菜販売業者

請求額 30万円 原告が、被告が加工販売したロースカツを食べたところ、急性大腸炎に罹患した。ロースカツが加熱不足であった。 (債務不履行責任、不法行為責任)

H17.7.21 東京地裁

H20.4.24 判決 請求棄却

不明 不明 不明 98 廃食用軽油代替燃料精製装置残留メタノール事件 不明 H21.2.11

判決 控訴棄却 (確定)

不明 不明

不明

99 バター異物混入事件

H17.7.27 甲府地裁 H17.9.12 東京地裁移送

H20.9.24 和解

菓子製造販売業者

乳製品輸入販売業者

請求額 6億241万円

海外の乳製品製造業者が製造し、被告が輸入したバターに、製造過程で異物を除去するフィルターが破損し、その破片が混入したことが判明し、原告は当該バターを使用した可能性のある菓子を自主回収する損害を負った。

100 肺ガン治療薬副作用事件

H17.7.29 大阪地裁

係争中 抗ガン剤を服用した男性

国、医薬品製造輸入販売業者

請求額 550万円 原告が肺ガン治療薬(抗ガン剤)を服用したところ、本医薬品の副作用(間質性肺炎)により、咳と高熱が続き一時的に呼吸ができない状態に陥った。

101 はしご車昇降機落下事件②

H17.7.29 福島地裁郡山支部

H19.7.3 和解

死亡した消防士長の遺族4人

はしご車製造業者

請求額 9,868万円 被告製造のはしご車の梯体点検及び清掃点検を実施するため、消防組合員2名が本件はしご車の昇降機に搭乗したところ、滑車が外れ、昇降機を上下させるワイヤが切れて昇降機が落下し、地面に激突して破損した。昇降機の落下により、搭乗していた組合員2名のうち1人が死亡、1人は重傷を負った。 (債務不履行責任、不法行為責任)

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PL関連事故・訴訟の現状

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東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

No. 事件名 提訴・控訴

年月日 判決・和解

年月日 原告・控訴

人 被告・被控

訴人 請求・認容・

和解額 提訴内容・原告の主張

(製造物責任以外の根拠法等4) 102 電器ストーブ

化学物質過敏症訴事件

H17.8.5 東京地裁

H20.8.29 判決 確定

電気ストーブ購入者

電気ストーブ輸入販売業者

請求額 1億円 認容額 27万円

原告が、電気ストーブを購入・使用したところ、化学物質過敏症になった。

H17.11.30 東京地裁

H19.4.24 判決

運送業者 自動車製造業者

請求額 300万円 認容額 30万円

103 軽貨物燃料ホースクラック出火事件 H19.5.7

東京高裁 H20.2.26 和解

同上 同上

軽貨物自動車を運転していたところ、高圧側燃料ホース内に大規模なクラックが生じ、噴出した燃料に引火してエンジンルーム付近から出火、車両が滅失した。

H18.1.17 鹿児島地裁

H20.5.20 判決

男児、両親 玩具等製造販売業者

1億798万円 認容額2,626万円

104 カプセル玩具誤飲事件

H20.6.3 福岡高裁 宮崎支部

H21.7.3 和解

男児、両親 玩具等製造販売業者

和解額 不明

内部に人形等が入っているプラスチック製球状カプセルを2歳10ヶ月の男児が飲み込み、低酸素状態となり、脳に重度の後遺症が残った。

105 ヘアマニキュア脱毛事件

H.18.3.2 奈良地裁

H20.2.14 判決 請求棄却 確定

脱毛した男性

ヘアマニキュア製造業者

請求額 441万円 ヘアマニキュア(酸性染毛剤)を2度目に使用したところ、顔の腫れ、頭皮のかぶれ、身体の湿疹等が生じ、頭髪、眉毛が脱毛した。

105 おしゃぶり歯列等異常事件

H18.5.31 東京地裁

H20.3.21 和解

女児、母親 ベビー用品販売業者

請求額 1,001万円 おしゃぶりを3年8ヶ月ほど使用した女児に、舌突出癖、口呼吸、顎顔面変形がみられ、発音の発達が遅れた。

106 ヘリコプターエンジン出力停止墜落事件

H18.6.9 東京地裁

係争中 国 航空機等製造業者

請求額 2億8,073万円

陸上自衛隊の対戦車ヘリコプターが、地上7.5メートルの高さから墜落し、乗員2人が重傷を負った。エンジンに製造上の欠陥があった。

107 鍬(農具)失明事件

H19.2.15 名古屋地裁

係争中 失明した女性

農具製造業者

請求額 5,736万円 原告が、小石の混じる土地も掘り起こすことができるとされた鍬を使用したところ、鍬の鉄片が左目に入り、失明した。

108 自動車ブレーキ不能事件

H19.3.9 大阪地裁

H21.2.9 和解

不明 自動車製造業者、自動車販売業者

不明 自動車走行中に、突然エンジンが停止し、ハンドルやブレーキが効かなくなるという精神的損害を被った。 (販売業者に対して担保責任)

109 こんにゃく入りゼリー窒息死事件②

H19.6.15 名古屋地裁

H20.9.5 和解

死亡した男児の両親

和洋菓子製造販売業者、地方自治体(国賠法)

請求額 7,482万円 小学1年生の男児が、学童保育所でおやつに出されたこんにゃく入りゼリーを食べたところ、のどに詰まらせて死亡した。ゼリーの形状や保育所側の対応に問題があった。

110 パソコンバッテリー発火火傷事件

H19.7.14 大阪地裁

H20.4.2 和解

パソコンを購入した夫婦

パソコン輸入販売業者、電池製造業者

請求額 202万円 原告が購入したパソコンバッテリーから白煙、炎が噴出したため、マットにくるみ屋外に運び出したが、指に火傷を負い、精神的に不安定になった。

111 自動車エンジンルーム出火事件

提訴日不明(平16(ワ)3427) 名古屋地裁

H18.2.24 判決 請求棄却

乗用車所有者

自動車製造業者

請求額 79万円 原告が被告製造の軽乗用自動車で国道を走行中に、エンジンルームから出火し車両の一部が焼損した。出火原因は、異物が車体下部からエンジンルーム内に入り込んだためで、当該自動車には、異物が入り込む設計上の欠陥またはその旨の警告を怠った指示警告上の欠陥があった。 (不法行為責任)

112 脚立変形転落事件

提訴日不明(平17(ワ)167) 京都地裁

H18.11.30 判決

脚立購入者 脚立製造業者、DIY用具等販売業者

請求額 150万円 原告が、脚立を購入し使用したところ、脚立の脚が1本変形し、脚立が傾いて転落し、左胸下部を強打した。脚立に初期不整(座屈の前の状態における微妙な変形)と補強金具の不具合があった。

113 遠赤外線ドーム両下肢網状皮斑事件

H19.12.28 大阪地裁

係争中 女性 遠赤外線機器製造業者、遠赤外線機器販売業者、エステサロン経営業者

不明 原告が、遠赤外線を照射するサウナドームを使用したところ、両下肢に網状皮斑が発生した。

H19.10.14 神戸地裁 姫路支部

H20.10.2 判決 請求棄却

男性 携帯電話製造販売業者

請求額 34万円 114 携帯電話カッターナイフ折れ刃付着受傷事件

H20.10.17 大阪高裁

H21.2.20 判決 請求棄却 確定

同上 同上

業務として、機械部品の設計作業を行っていた原告が、携帯電話の3Dサラウンドスピーカー部に使用されている磁石に、カッターナイフの折れ刃が付着し、左人差し指に刺さり、受傷した。

115 スキービンディング欠陥事件

H20.1.24 仙台地裁

係争中 高校生 スキー板製造業者

請求額 4,000万円(販売店とは120万円で和解)

原告がスキーで滑走中に転倒し、右脚を粉砕骨折する重傷を負ったのは、スキーの板と靴を固定する金具の設計に欠陥があったことが原因であった。

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東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

No. 事件名 提訴・控訴

年月日 判決・和解

年月日 原告・控訴

人 被告・被控

訴人 請求・認容・

和解額 提訴内容・原告の主張

(製造物責任以外の根拠法等4) 116 花火爆発事

件 H20.5.2 名古屋地裁

H20.7.24 和解

男性、女児 花火販売業者、イベント企画業者

請求額 282万円 原告の男性が、花火を左手で持ち、ろうそくの火で着火させたところ、花火が爆発し、男性が左腕に、近くにいた女児が右腕に熱傷を負った。

117 二重サッシ脱落事件

H20.7.31 大津地裁

係争中 女性 住宅建材設計製造施行販売業者

請求額2,077万円 原告が、自宅新築時に取り付けた二重サッシの室内側の窓を全開にし、そばで女性がかがんだ姿勢から上体を起こした際に、サッシに触れたところ、サッシが窓枠から脱落して、受傷した。

118 電気温水器ニッケル漏出事件

H20.8.22 京都地裁

係争中 設計事務所 電気機械製造販売業者

請求額 174万円 電気温水器を設置・使用していた設計事務所の社員が、電気温水器を経由する温水をコーヒーやお茶として継続して喫食していたところ、身体に湿疹様の炎症、掻痒感が生じた。また、使用していた電気ポット等に黒ずみを生じた。 調査したところ、水道水における厚生労働省の水質管理目標の33倍にも達するニッケルが温水に含まれていた。

119 公営住宅エレベーター戸開走行死亡事件

H20.12.22 東京地裁

係争中 被害者の両親

エレベーター製造業者、エレベーター保守管理業者4社

請求額 2億5,000万円

高校生がエレベーターを降りようとした際に、かごの扉が開いたまま突然上昇し、かごの床と天井に挟まれ死亡したのは、ドアの開閉状態を確認するスイッチや運転制御プログラムに不具合があったために、事故機の安全装置が動かなかったことが原因であった。

120 こんにゃく入りゼリー窒息死事件③(要介護高齢者)

H21.1.14 名古屋地裁

係争中 不明 不明 不明 不明

121 こんにゃく入りゼリー窒息死事件④

H21.3.3 神戸地裁 姫路支部

係争中 男児の両親 菓子製造業者、菓子製造業者の取締役

不明 男児がこんにゃく入りゼリーを食べて、窒息死した。(取締役に対して、会社法上の役員責任)

(出典:「製造物責任(PL)法による訴訟一覧」国民生活センター、「製造物責任法の運用状況等に関する実態調査報告書」内閣府、判例デ

ータベース、全国消費者団体連絡会調べ等)

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PL関連事故・訴訟の現状

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3 保険事故の状況 訴訟に至らず示談した案件の状況は、PL保険の支払い事例からもうかがえます。 図11は、中小企業を対象に1995年7月1日の製造物責任法施行日から開始された「中小企業

PL保険制度」による保険事故の件数です。 なお、この保険では、製品だけではなくPL法対象外の販売業者や工事業者も対象となります。

702

34

87

309

851885926937955815

654523

6875

12195106

129

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1995.7-

1996.6

1996.7-

1997.6

1997.7-

1998.6

1998.7-

1999.6

1999.7-

2000.6

2000.7-

2001.6

2001.7-

2002.6

2002.7-

2003.6

2003.7-

2004.6

契約期間

件数

支払予定事故

支払済事故

図11 中小企業PL保険制度事故件数の推移

(出典:日本商工会議所ホームページ)

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改定 2010 年 5 月