ppm分析yoneyama.net/strategy13_2013.pdfppm分析の枠組み 相対的市場地位 市 場 成 長...
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第13回
PPM分析
複数の製品・事業活動の間で、いかに資源を有効に配分し、企業全体の成長を図っていくことができるか?
❖「選択と集中」の意思決定
♦ 今後、どの事業分野に最も注力していくべきか?
♦ 逆に、どの事業分野を撤退ないし売却するべきか?
♦ 全体として、企業の長期的な成長のために、事業分野間でどのように資源配分を行っていくべきか?
経営資源の配分 2
❖分析の焦点
♦ 事業間の連係を「カネ」の観点から考える
❖利用するデータ・セット
♦ それぞれの事業が属する業界の市場成長率 ▸通常、10%を基準に高低を区別する(企業の成長目標に依存)
♦ それぞれの事業の業界内での相対的な市場地位(占有率)
▸業界内で、自社を除き最も市場占有率の高い企業との相対値で位置付ける
▸通常、1を基準に高低を区別する
♦ それぞれの事業の売上規模
PPM分析 3
PPM分析の枠組み
相対的市場地位
市場成長率
高い
低い
高い 低い
小型ページプリンタ
パーソナルワープロ
電卓
複写機
一眼レフ
カメラ
レンズシャッター
カメラ
カメラ用交換
レンズ
キャノン:1989
1
10
インクジェットプリンタ
4
❖3つの前提
♦ 「市場成長率が高いほど、資金流出が大きい」
▸製品ライフサイクル理論からの前提
♦ 「相対的な市場地位(占有率)が高いほど、資金流入が大きい」
▸規模の経済性、経験効果理論からの前提
♦ 「市場成長率は時間の経過とともに低下していく」
▸製品ライフサイクル理論からの前提
分析の前提 5
PPM分析の枠組み
相対的市場地位
市場成長率
高い
低い
高い 低い
各セルの資金ポジション
6
❖全く調整がない場合(完全な独立採算)
PPM分析の枠組み
金のなる木
花形
負け犬
問題児
相対的市場地位
市場成長率
高い
低い
高い 低い
7
❖理想的な資源配分
PPM分析の枠組み
金のなる木
花形
負け犬
問題児
収穫・撤収
拡大
収穫
維持
相対的市場地位
市場成長率
高い
低い
高い 低い
8
❖戦略展開の指針
♦ 今後、どのビジネスに集中し、どのように資源配分を行っていくべきか?
❖他社の戦略行動の予測
♦ 他社のPPMの状態はどのようなものであり、今後どのような戦略展開をとると予想されるか?
❖自社の製品・事業ポートフォリオの診断
♦ 将来の成長を支える「これからのビジネス」がそだっているか?
♦ それへの投資を可能にする資金源となるビジネスが存在する
PPM分析の効用 9
キヤノン (1989)のPPM
相対的市場地位
市場成長率
高い
低い
高い 低い
小型ページプリンタ
パーソナルワープロ
電卓
複写機
一眼レフ
カメラ
レンズシャッター
カメラ
カメラ用交換
レンズ
キャノン:1989
1
10
インクジェットプリンタ
10
キヤノン (2000)のPPM
複写機
ファクシミリ 電卓
カラーLBプリンタ
一眼レフカメラ
カメラ用交換レンズビデオカメラ
複合複写機
ワープロ
LBプリンタIJプリンタ
コンパクトカメラ
デジタルカメラ
半導体製造装置
-40
-20
0
20
40
60
80
100
120
0.00.11.010.0
相対市場地位
市場成長率(%
)
11
❖2×2のマトリックスでは単純すぎる
❖相対市場地位が低くても、高収益(資金流入が大きい)の場合がある(差別化戦略・集中戦略など)
❖負け犬の中でも高収益の場合がある
❖市場成長率が時間の経過とともに自然と低下するとは 限らない。また、市場成長率が低くても、再活性化されて、成長率が高まることもある
❖新製品・導入期の製品などの評価が難しい
❖製品・事業の定義の仕方によって、評価が異なる
❖製品・事業間の相補的・相乗的な関係が考慮されていない
PPM分析の限界 12
PPMの発展形1
相対的市場地位
市場成長率
高い
低い
高い 低い 1
10
電卓
カメラ用交換
レンズ
複写機 レンズシャッター
カメラ
一眼レフ
カメラ
インクジェットプリンタ
パーソナルワープロ
小型ページプリンタ
勝者(維持)
敗者(回収)
稼ぎ手(維持)
問題児(拡大)
平均(維持)
13
PPMの発展形2
自社の強み
(現在・将来のミックス)
市場の魅力度
(現在・将来のミックス)
高い
低い
強い 弱い
増強
現状維持
利益回収
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❖市場の魅力度
♦ 市場規模,市場の成長性,価格動向,細分化度,安定度,シェア動向,新規参入,競合の正確,代替品,垂直統合,業界1位企業の収益,収益の鍵となる変数,市場の成熟度,複雑度,政治・社会動向,組合,規制
❖自社の強み
♦ 売上,参入セグメント,価格,ブランドイメージ,販売網,市場シェア,固定客,限界利益,キャッシュフロー,ROI,特許,ライセンス,品質,デザイン,生産プロセス,組織,経営体質
PPMの発展形2-2 15
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❖デルの低価格サーバー戦略
♦ 「1990年代半ばになると、ライバルの一部が、利益の半分以上をサーバー分野で稼いでいることが明らかになった。さらに、彼らのサーバーは、優れた製品であったが、他の最も収益性の低いPC事業を支えるために、法外に高い価格で販売されていた。これは、信じがたいほど大きなチャンスだった」。
cf. サントリーの緑茶飲料ビジネスのジレンマ
他社の事業ポートフォリオ分析の活用