proprotein convertase subtilisin/kexin type 9...

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1 Review Proprotein Convertase Subtilisin/Kexin Type 9 (PCSK9)Lessons Learned from Patients with Hypercholesterolemia Zuhier Awan 1 , Alexis Baass 2 and Jacques Genest 2 ,* Author Affiliations 1 King Abdulaziz University, Jeddah, Saudi Arabia2 The McGill University Health Centre, Montreal, Canada. * Address correspondence to this author atMcGill University Health Center/Royal Victoria Hospital, 687 Pine Ave. West, Montreal, QC, Canada H3A 1A1. Fax 514-843-2813e-mail [email protected] . Clinical Chemistry 2014601380-1389 Proprotein Convertase Subtilisin/Kexin Type 9 (PCSK9): 家族性高 コレステロール血症患者から学んだ教訓 背景: 3 番目の家族性高コレステロール血症(FH)の原因として、PCSK9 遺伝子を同定したこと、 そしてそれに関連する複雑な生物学を理解することが、新しい医薬品の発見につながった。 内容: PCSK9 は小胞体中にて自己触媒性の切断を受け、分泌経路に入る。PCSK9 遺伝子はステロー ル調節エレメント結合タンパク(sterol regulatory element binding protein, SREBP) 1 および 2 の調節下 にある。スタチンは PCSK9 を増加させるため、この薬物治療によりこの経路の応答が変化するかも しれない。血中では PCSK9 は、細胞上の LDL レセプターの表皮成長因子様ドメインに結合してお り、後期のエンドソーム経路にのみ作用して、LDL レセプターを細胞膜にて再利用し、むしろリソ ソームの分解に働かせている。このように機能欠損型の PCSK9 変異は、血中での LDL 粒子の LDL レセプターによるエンドサイトーシスの増加や、低コレステロール血症に関係しているにもかかわ らず、機能獲得型の PCSK9 変異は家族性高コレステロール血症を引き起こす原因となっている。従 って PCSK9 の抑制は、治療の標的として興味深い。現在、PCSK9-LDL レセプターの相互作用が、 アロステリックに抑制するモノクローナル抗体を用いることによって達成された。中等度、重症高 コレステロール血症患者 (FH を含む) を対象に行われている第 2 相、第 3 相臨床試験において、この 治療法が LDL コレステロールや Lp(a)の低下作用に安全で、かつ高い有効性が示されている。 まとめ: PCSK9 は細胞にウイルスを導入することや、インスリン抵抗性、肝組織修復など、in vitro の研究や動物実験の研究によって、他の生物学的役割を持つことが観察されている。多くのヒトが 訳者注:原文の sterol receptor は誤り

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Review

Proprotein Convertase Subtilisin/Kexin Type 9 (PCSK9): Lessons

Learned from Patients with Hypercholesterolemia

Zuhier Awan1, Alexis Baass

2 and Jacques Genest

2,*

Author Affiliations

1 King Abdulaziz University, Jeddah, Saudi Arabia;

2 The McGill University Health Centre, Montreal, Canada.

* Address correspondence to this author at: McGill University Health Center/Royal Victoria Hospital,

687 Pine Ave. West, Montreal, QC, Canada H3A 1A1. Fax 514-843-2813; e-mail

[email protected].

Clinical Chemistry 2014; 60: 1380-1389

Proprotein Convertase Subtilisin/Kexin Type 9 (PCSK9): 家族性高

コレステロール血症患者から学んだ教訓

概 要

背景: 第 3番目の家族性高コレステロール血症(FH)の原因として、PCSK9遺伝子を同定したこと、

そしてそれに関連する複雑な生物学を理解することが、新しい医薬品の発見につながった。

内容: PCSK9は小胞体中にて自己触媒性の切断を受け、分泌経路に入る。PCSK9遺伝子はステロー

ル調節エレメント結合タンパク(sterol regulatory element binding protein, SREBP)* 1および 2の調節下

にある。スタチンは PCSK9を増加させるため、この薬物治療によりこの経路の応答が変化するかも

しれない。血中では PCSK9は、細胞上の LDLレセプターの表皮成長因子様ドメインに結合してお

り、後期のエンドソーム経路にのみ作用して、LDLレセプターを細胞膜にて再利用し、むしろリソ

ソームの分解に働かせている。このように機能欠損型の PCSK9変異は、血中での LDL粒子の LDL

レセプターによるエンドサイトーシスの増加や、低コレステロール血症に関係しているにもかかわ

らず、機能獲得型の PCSK9変異は家族性高コレステロール血症を引き起こす原因となっている。従

って PCSK9の抑制は、治療の標的として興味深い。現在、PCSK9-LDLレセプターの相互作用が、

アロステリックに抑制するモノクローナル抗体を用いることによって達成された。中等度、重症高

コレステロール血症患者 (FHを含む) を対象に行われている第 2相、第 3相臨床試験において、この

治療法が LDLコレステロールや Lp(a)の低下作用に安全で、かつ高い有効性が示されている。

まとめ: PCSK9は細胞にウイルスを導入することや、インスリン抵抗性、肝組織修復など、in vitro

の研究や動物実験の研究によって、他の生物学的役割を持つことが観察されている。多くのヒトが

* 訳者注:原文の sterol receptor は誤り

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この新しい薬物治療を受け、その臨床試験の結果を注意深く評価することにより、初めて治療法と

して確立される。

細胞内タンパク質のプロセシング経路は、転写後の調整、細胞内小器官に転送、また細胞内小器官

から放出、成熟タンパク質に切断ということ等を含む、複雑な経路で構成されている。分泌経路に

入ったタンパク質は、生物学的に不活化前駆物質として合成され、高度に特殊化し、進化の過程で

保存されたタンパク質転換酵素の働きによってタンパク分解が起こる。9種類の PCSK3が過去 25年

間において、それらの広範囲の基質特異性とともに同定された。PCSKファミリーの最後の種類で

ある PCSK9は、Seidahらによって同定された(1)。PCSK9遺伝子 4が存在している染色体 1p32は、

Abifadelらによって常染色体優性遺伝の高コレステロール血症に関連する新たな遺伝子座であると

同定され、それは LDLR遺伝子の変異による FHと臨床的に同様の表現型であることが明らかとな

った(2)。この素晴らしい共同研究において、Abifadelらは、PCSK9の変異は原因として FH3に関連

していることを示すことができた。FH3はフランス人起源の家系において、常染色体優性遺伝の高

コレステロール血症の遺伝的原因として 3番目に同定された。驚くべきことに FH表現型は、

PCSK9の機能獲得型変異の原因と考えられた。

PCSK9の生化学的役割

PCSK9は染色体 1p32の短腕上に位置しており (図 1)、12個のエキソンと 11個のイントロンを含む

(3,4)。それは 25kDaの成熟したタンパク質として、血中に分泌されるようにコードされている。

PCSK9は、プロテイナーゼ Kの類似点を共有している点が異なるものの、細菌性スブチラーゼ

(subtilase) ファミリーに属するセリンエステラーゼ様構造を持つ典型的な PCSKである。

図 1 (A) PCSK9遺伝子は染色体 1p32の短腕上に位置しており、12個のエキソンを持っている

成熟した PCSK9は、シグナルペプチド(SP)とプロセグメント(PRO)、活性ドメインと C-末端ドメイン上にあるシス

テイン/ヒスチジンが多いドメインによって構成される。(B)LDLレセプターの EGF領域と PCSK9の間の作用領域

での結晶構造は、表面上が平坦であることが明らかである。(C)変異は家族性高コレステロール血症(機能獲得型,

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GOF)を引き起こす PCSK9と同定されたが、LDLコレステロール低下(機能欠損型, LOF)に関係するものも見いださ

れている。

自己触媒的切断

タンパク切断による PCSK9の唯一知られている基質は、PCSK9そのものである。PCSK9全長

(prepro-PCSK9)は、9つのロイシンが続くシグナルペプチドドメインによって特徴付けられており、

そこで合成されたタンパク質を小胞体 (ER)に導いている。PCSK9は、シグナルペプチド、プロセグ

メント、P-ドメインではない活性ドメインを持っている。P-ドメインの代わりとして、C-末端ドメ

インにシステイン/ヒスチジンが多いドメインがある。(図 1A) ヒンジ領域は、活性中心ポケットと

システイン/ヒスチジンが多いドメインの間に存在している。ヒンジ(蝶番)領域の機能はよくわか

っていない。小胞体で PCSK9のシグナルペプチドドメインが一旦切断すると、692個のアミノ酸は

VFAQ152–SIPで自己触媒性の過程を経る。そのプロセグメントは、急速に活性ドメインを占めるよ

うになるため、この自己触媒性の過程は成熟 PCSK9のタンパク分解特性を奪うこととなる。この段

階は小胞体から放出されるために必要であり、それは成熟 PCSK9が小胞体から分泌されることを確

実なものにする(5,6)。真核細胞は、COPIIに覆われている小胞で、小胞体からゴルジまで輸送する

ための輸送タンパクを内包している。COPII構造体である SEC24Aは、小胞体からゴルジに PCSK9

の放出を行っている(7)。PCSK9は大部分が肝臓で生産や分泌され、腎臓や腸では少ない。そして胚

形成期において、中枢神経系でも一過性に発現する。PCSK9の結晶構造は、2007年に決定された

(8,9)(図 1B)。活性ドメインの配列解析では、3つの保存された残基(Asp186, His226, Ser386)が活性部

位を構成することを示し、これらの残基の変異はタンパクを不活性化したり、細胞内で分解に関与

している(9)。分泌した成熟タンパクは、翻訳後修飾や機能基を追加されて、最終的に 3次元構造を

得る(10)。体循環において、PCSK9は活性ドメインの 218番目アミノ酸残基で、フューリン(もしく

は PC5/6A)の酵素的な不活化を受ける(11,12)。フューリンにより分解された PCSK9は、完全な

PCSK9と比較して LDLレセプターの調節ができない(13)。しかし、PCSK9の生物学的機能を調節し

ているとされるフューリンの生物学的意義は、よくわかっていない。

PCSK9の体循環中アイソフォーム、成熟型、フューリンによる分解型(潜在的な役割)

一旦体循環に入ると、成熟 PCSK9は LDLレセプターにタンパク間で相互作用することによって、

細胞表面上で LDLレセプターの EGF前駆体相同ドメインに相互的に影響を及ぼす。これは PCSK9

の活性ドメインに近い領域で起こる(14)。血漿中では体循環中の PCSK9のおおよそ 40%が、LDL粒

子によって運ばれ、apoB100と結合していることが想定されている(15)。

LDLレセプターの調節と、細胞内、細胞外プロセシング

PCSK9遺伝子 mRNAは、ステロール反応エレメント結合タンパク(SREBP)-1aと 2よって調節を受

ける。細胞内低コレステロールでは、PCSK9発現を上方調節する。その効果は、薬物治療(スタチ

ン)の HMG CoA 還元酵素インヒビターによって示された。スタチンは肝臓の LDLレセプター発現

を上方調節し、それは血漿から LDL粒子を除去することに寄与している。PCSK9もまたスタチン

による上方調節を受け、そして反対の生物学的効果を提供することによって、スタチンに対する生

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理学的反応を変化させるかもしれないし、同時にそれはスタチンの潜在的な限界であろう。PCSK9

の機能欠損は、LDLコレステロール濃度とアポリポ蛋白 B (apoB)の産生低下に関係している。これ

らの発見は PCSK9の発現抑制後に、肝細胞の初期培養において apoB 濃度が減少することと一致す

る(5,16)。PCSK9は apoB産生を増加することによって、肝臓でのトリグリセリドの多いリポ蛋白*

に効果があることが示された(17,18,19)。最近、apoB代謝での PCSK9の役割は、腸の細胞でも同様

の働きをすることが報告されている(20)。

Farnesoid Xレセプターや PPAR(ペルオキシゾーム増殖活性化レセプター)、HNF1(肝細胞核因子)

を含む肝臓のリガンドによって活性化されたレセプターは、PCSK9転写を調節する(21)。これらの

調節経路の生理学的意義はよくわかっていない。

PCSK9プロセグメント複合体は、タンパク間の相互影響によって LDLレセプターの EGF様(EGF-A)

ドメインに結合する(22)(図 1A)。LDLレセプターと PCSK9の相互影響関係は、LDLレセプターにリ

ソソームの分解をするように働きかける(23)。分解過程に LDLレセプター/PCSK9複合体を差し向け

るための鍵となるメカニズムは、まだよくわかっていない(24,25)。PCSK9プロセグメントドメイン

の N-末端領域(31-52 aa)は、LDLレセプター結合するために必要である(15)。興味深いことに、役割

は少ないが可能性として、生理学的に意義のあるエンドソームやリソソームに、直接的に LDLレセ

プターを向かわせる細胞内経路がある(26)。このように、PCSK9が LDLレセプターに相互影響する

ことができる 2つ部位がある(27)。それは肝細胞の表面上(主要な細胞外経路)(27)や、trans Golgi

network (TGN)中である(マイナーである細胞内経路)(26,28)(図 2)。これによって、なぜ PCSK9の

体循環中の濃度が LDLコレステロールとあまり関係していないのということを、ある程度説明する

ことができるかもしれない(29)。

*訳者注:VLDLのこと

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図 2 肝細胞の理論モデル

(A) LDLレセプターが LDL粒子と apo B (赤丸)の複合体と結合し、レセプターを介したエンドサイトーシスによっ

て、複合体が細胞内に組み込まれる。LDLレセプターは細胞膜に再循環し、その間に LDL粒子はエンドソームから

リソソームの分解まで直接的に移動する。PCSK9は ERで自己触媒性分解をうけ、TGNに輸送される。(B)マイナ

ーな PCSK9細胞内経路である。(C)大多数の PCSK9経路はこれである。PCSK9は血漿中に分泌され、そこで LDL

レセプターの EGF領域に結合する。細胞内、細胞外での LDLレセプター-PCSK9複合体は、リソソーム分解に向か

う。

遺伝学とメンデル遺伝ランダム化解析

PCSK9遺伝子は、タンパク転換酵素スーパーファミリーとは別の遺伝子に相同性があるという特徴

によって、同定されることとなった(1)。染色体 1p32にあるこの遺伝子は、25kbに及ぶ 12個のエキ

ソンで構成され、ステロール調節要素(SRE)領域を含んでいる。3731bpの mRNAでコードされてい

る SREBP-1cと SREBP2は、この遺伝子の発現を増強することが知られている。細胞内コレステロ

ール濃度に関して、SREBP2による PCSK9の転写調節が重要である。しかしインスリンもまた、

SREBP-1cによる PCSK9発現を調節することが示された (30,31)。

PCSK9の変異で一番初めに同定されたものが、S127R変異である。その後、高い親和性があり、

LDLレセプターの分解増加に関係した機能獲得型 PCSK9変異がいくつか同定され、それらに F216L

が含まれる(32)。有名なものとしてアングロサクソン D374Yがあり、それは LDLレセプターに

PCSK9の親和性を 100倍高め、家族性高コレステロール血症をより重症化させる(33)。

機能欠損型の PCSK9変異はより一般的で、日本人のコホート研究ではじめに同定された(34)。これ

らの変異は LDLレセプターとの親和性の減少に関係しており、このレセプター分解の減少、それに

よって血漿 LDLコレステロールの減少を引き起こす。これらの相対的に一般的な機能欠損型の

PCSK9多様体の 3つの効果は、2006年に Cohenらによって ARICコホート研究で明らかになった

(図 3)。R46L PCSK9変異は、大心血管イベントでのリスクを 47%減少させるのみならず、LDLコレ

ステロールを 15%減少させることに関係していた(35)。機能欠損型 PCSK9 C679X変異は、LDLコ

レステロールをおおよそ 1mmol/L (39mg/dL) 減少させ、アテローム性動脈硬化症を 88%減少させる

ことに関係していた(35)。これは Cholesterol Treatment Trialist’s estimate と比較して、LDLコレステ

ロールの 1mmol/L減少あたり心循環系のリスクでは、21%の減少があることと非常に対照的である

(36)。メンデル遺伝ランダム化解析の結果では、生涯低 LDLコレステロールであることは、心循環

系の疾病から守られ、LDL由来コレステロールがアテローム性動脈硬化の原因となることに強い確

証となった。R46L PCSK9多型は、フランス系カナダ人のような集団で、おそらく創始者効果によ

り頻繁に見られる(37)。これまで同定された変異は図 1.Cに示す。

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図 3 PCSK9の一般的な機能欠損型変異である R46Lは、一生涯で LDLコレステロールをおおよそ

15%減少させ、心循環系リスクを 47%減少さることに関係している(35)

PCSK9抑制が治療標的となることを、概念的に支持するデータ

概して家族性高コレステロール血症患者のおおよそ 2~3%は、PCSK9に変異を持っている。LDL

レセプター遺伝子に 3分の 2の変異があり、家族性高コレステロール血症 FH2では APOB遺伝子

に 10%以下の変異がある(38)。あるいは FH患者の 20%が知られている遺伝子の中に、原因となる

変異は見られない。近年、次世代シークエンサーやバイオインフォマティクスを用いたエキソーム

解析では、2つの報告された症例に関係して APOE p.Leu167del変異 (FH4)が同定された(39,40)。FH

患者の 20%は、ゲノムワイド連関研究 (GWAS) で LDLコレステロールに関係した遺伝子多型の集

積を持っているかもしれない。そしてそれらの多型の蓄積効果によって、LDLコレステロールが著

明増加している(38)。GWASにより、PCSK9多型 (rs11591147, rs28362286, rs6708943) は LDLコレス

テロールの減少や(41)、心循環系のリスクに関係していることを確認した(42)。実際、ほとんどの脂

質遺伝子研究 GWASによりにおいて、PCSK9多型が他の遺伝的多型より LDLコレステロールによ

り強い関係性を持っていることがしめされた。

機能欠損型 PCSK9変異を複合型ヘテロ接合性として持っている若い女性での報告では、血漿中の免

疫的に検出できる PCSK9がなく、LDLコレステロール濃度が著明低下していた (14mg/dL)。大学を

卒業しており、明らかに肉体的や精神的な障害はなかった(43)。LDLコレステロール欠乏状態の別

型である無 βリポプロテイン血症では*、APOB遺伝子の常染色体優性アポ B短縮に関係していて、

結果として LDL粒子の欠乏が起こる。この変異を有する人は成人するまで正常であったが、肝硬変

や肝癌の症例において、ヘテロ接合体性のアポ B短縮変異が同定された。これは多分、トリグリセ

リドを多量に含んだリポ蛋白を分泌することができないことにより、脂肪肝になったと思われる

(44)。このように、著明な LDLコレステロール低下作用が異なる臨床経過をもつことは、その疾患

の分子メカニズムに依存するかもしれない。

PCSK9の臨床生化学

測定技術と挑戦

PCSK9の血漿(もしくは血清)中での測定は、普通ではない挑戦をもたらした。PCSK9量の定量する

ためのゴールドスタンダードな方法はいまだにない。PCSK9 mRNA濃度の結果は、血中での生物学

的活性のある PCSK9量に必ずしも相関していない(5)。ELISAが一般的に用いられる。抗体の種類

によって、数値は mg/Lの範囲で、10~100倍を超える測定範囲で測定されている(45,46)。さらに

PCSK9は、血漿中でフューリンによって分解され、生物学的には不活化されるようである。ほとん

どの ELISAの方法では、フューリンによって分解された PCSK9と、分解されていない PCSK9の違

いを認識しない。分光光度分析はより正確であるが、血漿中蛋白が低濃度のときでは濃縮作業を必

要とする。この技術により、PCSK9の循環血漿中での様々な状態の同定が可能である(47,48)。血漿

中での PCSK9濃度の測定範囲は、健常人で 20~230ng/mL(45)から 10~3000ng/mLの間に変化する(46)。

* 訳者注: 原文では apobetalipoproteinemiaとあるが abetalipoproteinemiaの間違いであり、しかも、本来な

ら abetalipoproteinemiaでなく homozygous hypobetalipoproteinemiaとするべきだろう

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女性は男性と比べて PCSK9濃度が高い(29,46,49)。生涯で、男女間、青年期、思春期で、PCSK9濃

度は大きく異なり、おそらくホルモンに関係し、変化しているだろう(49)。女性では、PCSK9濃度

は閉経後より閉経前で高濃度である。比較して、男性では 50歳前後では違いはない(46)。興味深い

ことに、血清 PCSK9は妊娠期間で増加する。しかしながら、濃度は母親の血中より臍帯血中で著し

く低下する(50)。しかしながら、閉経後のエストロゲンは PCSK9濃度にほとんど影響がない。高エ

ストロゲン投与を行う体外受精を経験した女性は、より低い数値になることが報告されている(51)。

PCSK9濃度の変動因子(食事と薬物)

地中海沿岸地域の食事は、体重の変化のないメタボリックシンドローム患者において、血漿 PCSK9

濃度を低下させることができた(52)。前述において、PCSK9 mRNAは SREBP-2の転写調節下にある

と述べた。SREBP-2は LDLレセプター様遺伝子であり、PCSK9もまた細胞内ステロール除去や、

HMG CoA 還元酵素インヒビター(スタチン)による治療によって調節される(53)。さらに PCSK9転写

は空腹時で抑制され、インスリンにより誘導されることが示された(30)。それは肝臓 Xレセプター

や SREBP-1を活性化することによるようである。PCSK9は、調節のチェックポイントのように振る

舞っており、LDLレセプターの細胞表面上での利用も調節する。この理由は不明確であるが、臨床

的影響はスタチンの治療効果を制限するかもしれない。実際に、いかなるスタチンでもその高用量

の投与では、LDLコレステロール低下作用が漸近したという臨床研究がある(29,31)。まだこの研究

の臨床的意義はよくわかっていない。JUPITER(Justification for the Use of Statins in Primary Prevention:

An Intervention Trial Evaluating Rosuvastatin)研究では、LDLコレステロールのパーセント低下は

PCSK9濃度では予測することはできないが、PCSK9値と LDLコレステロール低下の間に意義深い

傾向が観察された。つまり、PCSK9濃度は HMG CoA還元酵素の抑制の効率を測るバイオマーカー

になるかもしれないということであるが、これはまだ仮説である(29)。面白いことに、腸でのコレ

ステロール吸収をブロックすることによる LDLコレステロール低下作用の NPCL-1インヒビターの

エゼチミブは、PCSK9濃度を変えない(54)。

動物モデル

PCSK9 遺伝子配列は、多種の動物間で保存されている。それはチンパンジー、アカゲザル、マウス、

ラット、ニワトリ、ゼブラフィシュなどである。マウスでのアデノウイルスを用いた PCSK9発現は、

LDLレセプターノックアウト表現型に関係していた(55)。PCSK9は、ほとんど初期の parabiosis実験*によって示されたように、パラクリン様に働く(27)。予想通り、PCSK9発現トランスジェニックマ

ウスは生存可能であり、高コレステロール血症になる。Apoeノックアウト下での Pcsk9トランスジ

ェニックマウスでは、通常の食事を与え続けた時、アテローム性動脈硬化を促進させることと同様

に、プラークの蓄積が見られる。しかしながら保護的な効果が、Pcsk9と Apoeの両方をノックアウ

トしたマウスで発見された(56)。石灰化アテローム性動脈硬化プラークの進行は、LDLレセプター

ノックアウトマウスより、PCSK9トランスジェニックマウスで低い度合いとなる(57)。更に近位の

プロモーターとエキソン1を不活化したマウスは、著明な低コレステロール血症であるが、生存、

繁殖可能であり、PCSK9抑制の効果が研究されている(5)。全 Pcsk9遺伝子ノックアウトマウスは、

*訳者注:二つの動物個体を結合させる

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見かけ上は普通であり、全コレステロールが 40%下がり、LDLコレステロールが 80%低下した。

全ノックアウトマウスでは、循環コレステロールがおおよそ 42%、肝臓特異性ノックアウトマウス

ではおおよそ 27%低下したことが示された。この結果は肝臓で産生された PCSK9が、表現型の 3

分の 2以上の原因となっていることを示す(5)。

上で述べたように、PCSK9は他のレセプターも標的にするかもしれない。VLDLレセプターは、特

にメスの Pcsk9ノックアウトマウスでの性腺周囲で、上方調節される。この結果より、これらの

PCSK9ノックアウトマウスの脂肪細胞では、VLDLレセプターの増加の結果、過度の脂肪酸吸収に

より脂肪組織が肥大化する(8)。反対に血漿トリグリセリド濃度は、PCSK9ノックアウトマウスのオ

スとメスでわずかに増加する。さらに in vitroの研究では、PCSK9欠損は食後トリグリセリド値が二

倍減少することに関係していることが示され、トリグリセリド・クリアランスを改善する PCSK9の

役割が示された(58)。PCSK9はこのように肝臓 LDLレセプター低下によって、循環コレステロール

を高く維持するので、脂肪代謝に必須の物質である。しかし同時に PCSK9は、脂肪組織の VLDLレ

セプター分解によって、内臓の脂肪生成を制限する (8)。

PCSK9の生理学的なはたらき

肝臓再生

肝臓発現という制限付きのノックアウトでは、細胞表面の LDLレセプター発現の増加に関係してい

る。部分的な肝臓除去のようないくつかの代謝ストレス下においての PCSK9 hep(-/-)遺伝子型マウス

は、肝臓再生の遅れや肝臓線維症、壊死性の傷害を示した(5)。これは高コレステロールの食事によ

って予防することができる。さらに、肝臓 PCSK9 hep(-/-)遺伝子型マウスで脂肪吸収は、普通食、高

コレステロール食の両方で著しく低下した。それは肝臓 PCSK9欠乏が、脂肪肝に抵抗性があること

を示唆している(5)。

インスリン抵抗性

成体マウスでの PCSK9欠乏は、グルコース耐性を損なう働きをするため、糖尿病のリスクがあるか

もしれない(59)。このメカニズムは、膵臓の β細胞の脂肪毒性に依存する。これは 1つの民族研究

で示された。apo E3または E4アイソフォームのキャリアに比較して、apo E2のみのキャリアの人

において、一般的な PCSK9 R46L機能欠損型変異ではインスリン濃度や、インスリン抵抗性指数や

レプチン濃度のようなインスリン抵抗性のマーカーの増加をもたらす(37)。これはインスリン抵抗

性に関与する、apo E2/PCSK9遺伝子の相互作用の可能性が示唆される。

神経学的作用

アミロイド β前駆体タンパク分解酵素 1(BACE1)は、アルツハイマー病でのアミロイド βの生成にお

いて、律速酵素としての働きをする膜タンパクである。BACE1は小胞体とゴルジ体の中間構成物中

で、リジン残基のアセチル化を一過性に行う。PCSK9は、アセチル化されていない BACE1の処理

に寄与している。BACE1がアミロイド βの除去に必要であり、この発見は興味深いことである。

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PCSK9は成人の脳に発現していないので、この発見が臨床的重要性を持つかどうかは不明である

(60)。

癌の転移

明らかにフューリンや PACE4のようなタンパク転換酵素は、腫瘍の進行に関わることが示されてい

る(61)。PCSK9野生マウスと PCSK9ノックアウトマウスでの B16メラノーマによる脾臓の傷害は、

癌細胞の動きを研究するために行われている。PCSKノックアウトマウスは、野生マウスと比較し

て肝臓の転移が 50%少なくなった。しかしながら、2週間、4週間の間高脂肪の食事によって肥育

したとき、この明確な予防効果は消失した(62)。スタチン試験のメタ解析では、癌発生の頻度の増

加は見られなかったため、この実験の臨床的意義は確かではない(36)。

ウイルス感染

HCVは、HCVに感染した患者の LDL粒子に関係している。LDLレセプターを介した細胞内侵入が

仮定されている。これより PCSK9抑制は HCVリスクを増加するかもしれないという理論的可能性

がある。HCVウイルスは CD81や SR-BI、Claudin-1を含む推定上の数である HCVレセプターと相

互作用している(63,64)。多量の PCSK9 は、細胞表面のレセプターを負に調節する効果を持っている。

LDLレセプターや CD81がウイルスによって細胞膜に接着できるようにするために使われ、そして

ホストを感染させる。In vitroの実験では可溶性の精製 PCSK9投与が、容量依存的に HCVを抑制し

たことが示された。これは肝臓 CD81発現が PCSK9ノックアウトマウスで増加し、PCSK9が独自に

LDLレセプターの CD81を下方調節したことが実験によって示された。さらに、PCSK9の血漿濃度

と活性の両方またはどちらかが、HCVのヒトに対する感染力を調節することができることを提唱し

た(65)。この論議に加えて、スタチンは LDLレセプター濃度と活性を強め、そして PCSK9を増加、

さらにメカニズムは知られていないが HCVの感染力を低下させる(66)。このように薬理学的に増加

している(例えばスタチンを用いて) PCSK9は、細胞内にウイルスの侵入を高めるかどうかはまだ確

かではない。

治療上の標的としての PCSK9

過去 10 年間で、基礎科学研究と PCSK9 の発見から、臨床試験第 2 相、初期の第 3 相の完了までの、

経験のないようなトランスレーションが見られた。この研究の本質としては、PCSK9インヒビター

の潜在的な治療効果が目立っている。先の総説の中で(67)、2’-o-メトキシエチル化チオリン酸エス

テルアンチセンスオリゴヌクレオチドや、核酸アンチセンスオリゴヌクレオチドを含んだいくつか

のアプローチは、更なる臨床試験を中止している。同様に、siRNAは臨床試験第 1相で用いられて

いたが、後に中止されている。PCSK9特異的抑制アドネクチン(おおよそ 12kDa)は、臨床試験第 1

相で用いられていたが同様に中止されている。

PCSK9 と LDL レセプター相互間に,低分子物質で抑制するものが理想の治療薬物の代表であろう。

しかしその相互作用は、相対的に平坦なタンパクの表面の間に起こり、この相互作用をブロックす

る低分子物質を開発することが難しい。他の可能性のある手段は、小胞体での PCSK9の作用をブロ

ックする低分子物質や、小胞体からゴルジ体への輸送を抑制する低分子物質を含む(7)。

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したがって、アロステリックな抑制を行うモノクローナル抗体(mAb)を用いることは、現在までで

は最善の選択の代表である。いくつかの製薬企業、バイオテクノロジー企業は、高コレステロール

血症の患者で行う臨床試験第 3相において、mAbを用いている。そして心循環系に高リスクな患者

群での大規模な臨床試験で、心血管イベント調査が始まっている(図 1)。

表 1 PCSK9インヒビターの成績調査 (evolucumab, alirocumab, bococizumab)

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ODYSSEY [Evaluation of Cardiovascular Outcomes After an Acute Coronary Syndrome During Treatment

With Alirocumab SAR236553 (REGN727)];急性冠症候群後に Alirocumab SAR236553(REGN727)を用い

た治療での心血管イベントの経過評価を行う

FOURIER (Further Cardiovascular Outcomes Research With PCSK9 Inhibition in Subjects With Elevated

Risk);更なる増加したリスク患者で PCSK9インヒビターを用いた心血管イベント経過研究を行う

SPERE [Evaluation Of PF-04950615 (RN316), In Reducing The Occurrence Of Major Cardiovascular Events

In High Risk Subjects];PF-04950615(RN316)の評価で、高リスク患者での大きな心血管イベントの発症

低下を観察する

Sc;皮下 、Q2W;二週間ごと、CHD;冠動脈疾患、CV;心血管系、MI;心筋梗塞

UA;不安定狭心症、ACS;急性冠症候群、PAD;末梢動脈疾患、RF;リスクファクター

LLT;脂質低下治療

現在のところ、広範囲の臨床試験を行った PCSK9の mAbは 4種類ある。alirocumab

(Sanofi/Regeneron)、evolocumab (Amgen)、 EFJE (Lilly)、bococizumab (Pfizer)である。初めの 3つの

mAbは、完全にヒト型であるが、bococizumabはヒト化 mAbである。

臨床試験第 2相で得られた結果は、現在、evolocumab と alirocumab で報告されている。OSLERや

DECARTESでの試験は、スタチン不応性、もしくはスタチンで最適に治療している心血管系高リス

クの家族性高コレステロール血症の患者で行われ、LDLコレステロールが 50~60%減少した。両方

の研究で、薬物と対照薬の両方で、副作用は類似していた。PCSK9 mAbでは、リポプロテイン(a)を

おおよそ 30%減少させることが注目に値する。この効果はナイアシンを含む他の種類の脂質低下薬

と比べ、目覚ましい効果である (68,69)。

広範囲な臨床試験第 3相は、最近仮説を解析するために進められている。それは高投与スタチンや

エゼチミブを併用した最適な医学的な治療に加え、心血管系高リスク患者に投与された PCSK9 mAb

が、より心血管系のイベントを減少するだろうという仮説である(図 1)。成績調査は 60,000人近く

の心血管系高リスク患者が参加するだろう。そして彼らに無作為的に最適な治療を行い、最近のガ

イドラインにしたがったスタチンによる LDLコレステロール減少、あるいは PCSK9 mAbによる治

療が行われる。これらの調査では、心血管系の死亡、非致死性の心筋梗塞、脳卒中、動脈の血行再

建という主要なエンドポイントの減少が検討できるように、統計力が考慮されている。

不確実な領域

いつ PCSK9を測るべきか

PCSK9 測定の臨床的有用性は、不確実である。前述において、測定技術は難解な結果を生んでいる。

血漿全 PCSK9濃度は、PCSK9の生物学的活性を反映していないかもしれない。そして PCSK9濃度

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とスタチン治療の結果の間に、相関性の欠落があった。このように PCSK9濃度の測定は、当分の間、

臨床応用に限定された研究手段として存在することとなるだろう。

PCSK9抑制が避けられなければならない状況はあるか(動物実験からの推定)

現在まで報告された臨床試験で、これらの薬剤の副作用について安全が証明されている。12週間か

ら12ヶ月の PCSK9 mAb抗体治療において、数 1000人の患者では激しい急性毒性は示さなかった。

PCSK9欠乏における HCVのホストへの侵入、糖尿病発症、肝臓外科手術後の回復、癌転移、神経

認知障害のような理論的な懸念は、進行中の臨床試験において、そのようなまれな事象を追跡する

ように監督機関を促さなければならない。どの薬剤においても同様に、PCSK9インヒビターは妊娠

中には用いてはならない。

PCSK9治療は標準的なケアとなるだろうか、併用療法なのか、単一療法なのか?

LDLコレステロールを下げる PCSK9 mAbの有効性については疑念がない。高コレステロール血症

患者、家族性高コレステロール血症患者において、PCSK9 mAbを付け加えることは、LDLコレス

テロールが、スタチン、もしくはエゼチミブ(胆汁酸レジンの有無と共に)の最適な使用で下がら

なかった患者で、治療のスタンダードになることはありそうなことであろう。国のガイドラインの

治療の目的に達しなかった、もしくはスタチン不応性の心血管系高リスク患者群での臨床試験第 3

相の検討の結果が重要であろう。最後に、心血管系高リスク、高コレステロールの患者群の一次予

防のために PCSK9 mAbを使用することは、ジェネリック・スタチンのコストと比較して、これら

の PCSK9 mAbの薬剤のコストは経済上での大きな負担となるだろう。

Alirocumabに関する公表データ(70)は、LDLコレステロールの低下に関して、アトルバスタチン

80mgあるいはプラセボにおいて、相加効果をほとんど持っていなかったことを示している。そのよ

うなデータは、PCSK9 mAbを支持して、スタチン治療を放棄するように内科医と患者を促すかもし

れない。しかし現在のスタチンの安全性及び有効性のデータが示すように、このような考えは薦め

ることはできない。

(訳者:稲津明広、四ツ谷拓歩、藤井允大)

Footnotes

3 Nonstandard abbreviations:

PCSK,

proprotein convertase subtilisin/kexin proprotein;

FH,

familial hypercholesterolemia;

LDL-R,

LDL receptor;

FH,

familial hypercholesterolemia;

ER,

endoplasmic reticulum;

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EGF,

epidermal growth factor;

LDL-C,

LDL cholesterol;

SREBP,

sterol responsive element binding protein;

HMG CoA R,

hydroxymethylglutaryl coenzyme A reductase;

TGN,

trans Golgi network;

SRE,

sterol regulatory element;

GWAS,

genome-wide association studies;

TG,

transgenic;

KO,

knockout;

APP,

amyloid precursor protein;

BACE1,

β-site APP-cleaving enzyme 1;

HCV,

hepatitis C virus;

mAb,

monoclonal antibody.

4 Genes:

PCSK9,

proprotein convertase subtilisin/kexin type 9;

LDLR,

low-density lipoprotein receptor;

APOB,

apolipoprotein B;

Apoe,

apolipoprotein E.

Author Contributions: All authors confirmed they have contributed to the intellectual content of this paper and have met the following 3 requirements: (a) significant contributions to the conception and

design, acquisition of data, or analysis and interpretation of data; (b) drafting or revising the article for intellectual content; and (c) final approval of the published article.

Authors' Disclosures or Potential Conflicts of Interest: Upon manuscript submission, all authors completed the author disclosure form. Disclosures and/or potential conflicts of interest:

Employment or Leadership: None declared.

Consultant or Advisory Role: J. Genest, Amgen and Sanofi.

Stock Ownership: None declared.

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Honoraria: J. Genest, Amgen and Sanofi.

Research Funding: None declared.

Expert Testimony: None declared.

Patents: None declared.

Received for publication July 7, 2014.

Accepted for publication August 28, 2014.

© 2014 American Association for Clinical Chemistry

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