QOL調査ツールおよびデータ

新潟医療福祉大学

医療経済・QOL研究センター

能登 真一

QOL値とQALY

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0 10 20 30 40 50 60 70 80

No Intervention Intervention Co-mobidity

Life Years

QO

L値

QOL調査ツールと健康状態の数

質問表 換算できる 健康状態の数

Rosser Index 30

EQ-5D-3L 243

QWB 2,200

EQ-5D-5L 3,125

SF-6D 9,000

HUI Mark2 24,000

HUI Mark3 972,000

15D 3,052,000,000

NICEのTAで使用された尺度

35

2 7 1 1

14

12

Technology Appraisal (2005-2008)

EQ-5D

HUI2

HUI3

SF-6D

AQL

Disease specific

Mix

Tosh JC, et al.: Utility values in National Institute for Health and Clinical Excellence (NICE) Technology Appraisals. Value Health（2011）

QOL調査ツールの３大メジャー

開発者 開発年 換算法 推奨

EQ-5D EuroQol

group 1990 TTO

NICE, SMC, CADTH など

HUI3 Torrance （CA）

1982 （HUI1）

SG CADTH,

PBAC など

SF-6D Brazier （UK）

1998 （SF-36）

SG CADTH,

PBAC など

３大メジャーの測定領域

EQ-5D HUI3 SF-6D

身体的機能 移動 身体機能 身の回りの管理

移動 身の回りの管理

移動 手先の器用さ

身体機能 日常役割機能

精神機能 認知 感情

不安／ふさぎ込み 認知 感情

心の健康 活力

障害 感覚機能 痛みなどの症状

痛み／不快感 視覚 聴覚 痛み

痛み

社会的機能 社会的役割 コミュニケーション

ふだんの活動

会話

社会生活機能

EQ-5D-3L

• 長所

–低い値で感度が高い

–世界中で最も汎用されている

–組織がしっかりしており，研究も盛ん

• 短所

–領域ごとに3つのレベルしかない

– とくに，高い値で感度が低い（天井効果）

245通り→3,127通り 現在，各国でタリフ作成中

HUI3

• 長所 –あらゆる健康状態で感度が高い

– Proxy versionが改良されている

– Child versionが改良されている

• 短所 –換算式がカナダ国民のデータを基にしている

–組織が小さい

– HPがしばらくアップされていない

r=0.49

(p＜0.001)

EQ‐5D-3LとHUI3の比較

r=0.66

(p＜0.001)

EQ-5D-3L HUI3 泉良太，能登真一，他．健康関連QOLにおける日本語版効用値尺度の信頼性の検討．総合リハ39：569-575，2011

SF-6D

• 長所 –高い値でおおよそ感度が高い

– SF-36からのconvertが可能である

–翻訳が多い

• 短所 –低い値で感度が低い（床効果）

–妥当性の証明が一つの研究しかない

–日本のタリフが未公開

３大メジャーの測定可能範囲

-0.60

-0.40

-0.20

0.00

0.20

0.40

0.60

0.80

1.00

-0.59

-0.11

-0.36

0.30

-0.03 -0.21

Conflicting evidence sensitivity SF-36

Liver transplantation, Longworth et al., （2001）

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

SF-6D

EQ-5D

肝移植

３大メジャーの利点と欠点

利点 欠点

EQ-5D 最も汎用されている

5Lは3Lの弱点をカバー 3Lは高い値で感度が悪い

（天井効果）

HUI3 全体的に感度が良い 代理人回答が可能

カナダの換算式である

SF-6D 高い値で感度が良い 国内の換算式がない 低い値で感度が悪い

（床効果）

QOL値の分布の違い

Devlin N & van Hout B．An EQ-5D-5L value set for England. OHE seminar. 2014

医療経済評価研究のガイドライン （福田班）

Evidence sources in CUA

31

5

4 1

引用

調査

マッピング

その他

Kasai & Ikeda. Investigation of Evidence Sources for Health-Related QOL in Cost-Utility Analysis of Pharmaceuticals in Japan. Value Health Regional Issues（2014）

まとめ

• 国内で使用可能なQOL評価ツールはいくつかあるが，今後はEQ-5D-5Lをファーストチョイスとすべきである

• 国内で測定されたQOL値は非常に少ないた

め，文献から引用する際には細心の注意が必要である

今後の課題

1. QOL値を引用する際のより現実的な指針

2. マッピングについての具体的な事例検討

3. 引用に耐えうる疾患ごとのQOL値の収集

⇒重症度毎，疾病特異尺度と併せて

4. ノーマルデータ（健常者の位置付け）の収集

⇒高齢者の“perfect health”の議論

開設の背景

• 医療技術に対する費用対効果分析の施策応用の開始

• モデルに代入するQOL値の検索の必要性

• QOL値（効用値）研究の遅れ

• CEA Registryのようなデータベースがほしい

• 和文も対象に

平成25年度福田班研究課題

• 2014年までに掲載されたQOL値のレビュー

• 日本国内で調査された論文を対象

• 英文：29本（EQ-5D-3L，TTO）

• 和文：51本（EQ-5D-3L，HUI3，TTO）