shojinmeat project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

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細胞培養による食糧生産へ 2016.12.6 Shojinmeat Project一同

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Page 1: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

細胞培養による食糧生産へ

2016.12.6Shojinmeat Project一同

Page 2: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

「純肉(培養肉)」

(自己紹介セッション)

純肉とは?(概念・歴史)

純肉の技術(理系的内容)

(質疑応答セッション)

純肉と社会(文系的内容)

(質疑応答セッション)

Page 3: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

純肉に興味のある、研究者・学部生・院生・科学ライター・イラストレーター・出版関係者・主婦・ボランティア等による任意団体

誰でも参加可能#ご興味ある方は是非ご一報ください。研究、勉強会、執筆、創作など、色々な形での携わり方があります。

小学生向けの細胞培養教室

純肉の同人誌を頒布する学生ボランティア

“Shojinmeat Project”紹介

Page 4: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

純肉の研究開発をしつつ、勉強会や情報発信をする団体大学とも大企業とも独立の任意団体(サークル)

実家にて、Amazon・楽天・モノタロウで買った物で低価格培地の実験

(株)リバネスのラボに中古CO2インキュベーターを置かせてもらって細胞培養実験

学生ボランティアが運営する科学イラスト制作&教育サービス「SCIGRA」で研究資金を自給http://scigra.com

“Shojinmeat Project”紹介

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11/29 NHKクロ現放送

番組中で「再生医療の細胞培養テクノロジーで、味を完全コントロールできる未来の肉づくり」として紹介。

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“Shojinmeat Project”メンバーはそれぞれの得意分野で活動(実験・勉強会・創作 etc.)

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活動/参加イメージ

・メンバーは自身に「タグ」を付ける#食文化 #料理 #研究 #生命倫理 etc.

・各クラスタは独自に活動し、発表資料や研究成果は他のクラスタとも共有する

・クラスタの核となる有志はおそらくその分野の第一人者になる

「分散クラスタモデル」

Page 8: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

「純肉(培養肉)」(自己紹介セッション)

純肉とは?(概念・歴史)

純肉の技術(理系的内容)

(質疑応答セッション)

純肉と社会(文系的内容)

(質疑応答セッション)

Page 9: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

「肉」

Page 10: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

「肉」←家畜 ←飼料・水・土地

どこから?

※穀物栽培の約40倍の量が必要羊:~50倍 牛:~40倍 豚:~20倍 鶏:~7倍

Page 11: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

「肉」←家畜 ←飼料・水・土地

森林破壊 焼畑農業 水源疲弊

Page 12: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

戦略資源としての食糧 (食糧安全保障)

「買い負け」

Page 13: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

国連:「昆虫食も選択肢に」

Page 14: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

筋肉細胞バイオリアクター(大型タンク)

培養液など

成形・熟成

「純肉(人工培養肉)」

Page 15: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

+人類文明10000年来の倫理問題の根本的解決?

資源消費⇒1/10~1/100

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1931    1997    2005    2013 

実は厚い基礎

魚肉培養実験@NASA

オランダ政府が研究開始

試食会開催 / Mark Post先生

概念自体は19世紀にも

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作り方も難しくない

http://www.nicovideo.jp/watch/sm30099092

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「細胞農業」Cellular Agriculture

技術は医療目的は農業

Page 19: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

19

大問題

¥28,000,000純肉ハンバーグ 200g

Page 20: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

培養

調理

作れるが、値段が高すぎる

¥3000

Page 21: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

元凶

なぜこれほど値が張るのか

細胞培養が高すぎる

Page 22: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

これまでの細胞培養は「極少量・超精鋭」

Page 23: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

これまでの細胞培養は、研究用に「極少量・超精鋭」

これからの細胞培養は、産業用に「大規模・普及用」

研究室・大学病院

ビール工場・化学コンビナート

目的や前提条件が変わる⇒物やプロセスの全取り換えが必要

Page 24: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

目的や前提条件が変わる⇒物やプロセスの全取り換えが必要

100mm dishじゃなくて25㎥タンク手袋じゃなくてタンクの滅菌ピペットじゃなくてパイプラインタンクを滅菌するなら培養液は抗生剤不要

Page 25: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

純肉とは?(概念・歴史) まとめ

・肉の生産には大量の農業資源が要る・資源不足による「争奪戦」は始まっている・純肉は一つの突破口になりうる・純肉は簡単に作れるが、お金がかかる・新たな前提での培養方法の開発が必要

Page 26: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

「純肉(培養肉)」(自己紹介セッション)

純肉とは?(概念・歴史)

純肉の技術(理系的内容)

(質疑応答セッション)

純肉と社会(文系的内容)

(質疑応答セッション)

Page 27: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

「要・考え直し」なものは何か

②培養系

①培養液

③運用

Page 28: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

基礎培地 + 牛胎児血清(FBS) + 成長因子アミノ酸・糖・ビタミン・無機物

アルブミン・インスリン・トランスフェリンなど

細胞増殖因子細胞生存因子

現行の培養液

¥2000    ¥49000   ¥45000

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一般的な培養液 の場合

¥¥¥

  ¥   ・・・細胞 分の培養液: ¥ ~

培養液の費用

100gで300万円

Page 30: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

再生医療などで肝臓細胞を培養する場合

より

    ¥¥

  ¥

¥  ¥

¥ ~

⇒肝臓細胞100gの培養に4200万円かかる

Page 31: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

培養液ボトルネック

狂牛病リスクその他感染リスク高価で供給不安定

きわめて高価

Gospodarowicz D and Moran JS, 1976, Annu Rev Biochem Eagle H, 1959, Science

アミノ酸・糖・ビタミン・無機物

アルブミン・インスリン・トランスフェリンなど

細胞増殖因子細胞生存因子

=スポーツドリンク?内容物の割に高価

Page 32: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

研究方針

・バイオハッカー路線特殊な権限を持った人しかできないことはしない

・激安なものからスタート そもそも動物由来の成分を含むとどうしても高価になる

・いきなり肉は作らないまず安い作り方を見つけてから

Page 33: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

カタログから購入可能「動物細胞培養用酵母エキス」

(Sheffield Bioscience Ltd.)

酵母粉末(ドッグフード)

ろ過して培養液として使用

pH7.4雑菌コンタミなし製造費: ¥0.9/L

酵母を使った代替血清の可能性

酵母を分解し、リン酸系緩衝液 & 塩分で浸透圧やpHを調整

Page 34: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

筋芽細胞と代替血清34

試作した培養液にて、一部でL6の成長と分裂を確認 ⇒(¥0.9/Lの)酵母エキスは代替血清となりうる

FBS無

制御区

(FB

S有)

マウスL6筋芽細胞密度 (定性観測)赤 ~ 黄 ~ 青(ゼロ)

DMEM無

DMEM有

DMEM無

DMEM有

酵母エキス(濃)

酵母エキス(薄)

Page 35: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

酵母エキスでのHeLa細胞35

sYE(酵母エキス)使用時の細胞数は、FBS使用時に対して80%だった。sYE(酵母エキス)使用時の細胞直径は、FBS使用時より大きくなった。

Cel

l cou

nt (x

10e5

)(HeLa=ヒト宮頚部癌細胞 )

Day0 Day7

FBS 10%

sYE 10%

sYE 10% +FBS 10%

Page 36: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

36

FBS要求が厳しい293T細胞もsYEで培養できる。

Cel

l cou

nt (x

10e5

)(293T = ヒト副腎細胞)

Day0 Day7

FBS 10%

sYE 10%

sYE 10%+FBS 10%

10% FBS

10% sYE

10% FBS10% sYE

酵母エキスでの293T細胞

Page 37: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

sYE中での細胞の組織化37

96-well suspension culture plate

マウス筋芽細胞をFBS使用培養液中で1.0E5個まで増やした。sYE培地中に細胞を4日間浮遊培養状態にした。⇒直径0.3~0.5mmの細胞塊に組織化した

Page 38: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

38

種 細胞腫 濃度 実験結果

ヒト ヒト宮頚部癌細胞 % 成長増殖確認 継続可能

ヒト ヒト副腎細胞セルライン % 成長増殖確認 継続可能

マウス 胚細胞 % 死滅

マウス 卵巣細胞 プライマリー % 成長増殖確認 継続可能

マウス 肝細胞 プライマリー % 成長増殖確認 継続可能

マウス 胎盤細胞 プライマリー % 成長増殖確認 継続可能

マウス 筋芽細胞 プライマリー % 当初は成長増殖も、 代ほどで増殖停止

マウス 細胞 % 死滅

酵母エキスには限界がある:未分化の細胞には使えない

sYEの限界

Page 39: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

「要・考え直し」なものは何か

②培養系

①培養液

③運用

Page 40: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

sYE培養液の「限界突破」には自然の体液はどこからアルブミンや成長因子を調達?⇒細胞間相互作用

Ohlsson C et al., 2009, Endocr RevFrancis GL, 2010, Cytotechnology

HGFEGF

TGFβアルブミン

アドレナリン

共培養システム(プロトタイプ)

PCT/JP2016/067599特願2016-568716

Page 41: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

共培養による培養液調製

制御区(0%) 10% 調製培養液 25% 調製培養液 50% 調製培養液

制御区に対する全細胞数

マウス胎盤細胞

12日齢の胎児肝細胞(FBS 10%培養液)

7日

使用済培養液を移転する

Conditioned Mediumは有効

Page 42: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

共培養による培養液の低価格化

    ¥  ¥

¥¥¥

コラーゲン細胞足場上の肝細胞塊sYE培養液を共培養環境で使用

    ¥¥

Page 43: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

超低コスト培養液へ

    ¥¥

  ¥¥

基礎培地 =

藻類からも製造?

アミノ酸・糖・ビタミン・無機物

Page 44: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

培養液を街角で調達?

Page 45: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

数百万円

還流共培養のみ sYE培地も使用従来の方法での細胞培養

6万円

600円

40万円

1万円

スポーツドリンクも使用

sYEと培養液を自前製造

基礎培地

血清成分

微量因子

2017.04目標 2018.04

目標代替血清

今ここ

細胞100gの培養液コスト

Page 46: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

600円1万円

スポーツドリンクも使用

sYEと培養液を自前製造

2017.04目標 2018.04

目標

培養方法の効率化

今の方法では培養皿の底に細胞一層分しか作れないため、まだ高い

Page 47: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

細胞一層方式のまま大規模化しても・・・

2013年の試食会での培養ハンバーグは、こうやって作られた

⇒2800万円

Page 48: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

より効率の良い培養方法

浮遊培養 細胞足場

⇒どちらも皿の底だけではない、「3次元培養」

Page 49: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

浮遊培養による効率化

FIRST岡野光夫プロジェクト

再生医療産業化に向けたシステム

インテグレーション  より

https://www.youtube.com/watch?v=g7lyTsxbt2U

3次元培養(浮遊培養)で培養液の必要量を減らせる

Page 50: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

細胞足場による効率化

細胞足場の使用でも3次元培養のメリットを得られる

カイメンのコラーゲン細胞足場 細胞足場で3次元培養した肝細胞

Page 51: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

細胞足場のほかのメリット

コラーゲン、キトサン、キチン、アルギン酸、セルロース、多糖類などの可食な材料

肉のスジを作り、食感を再現できる

mm単位以上のサイズの形状を作れる

Page 52: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

低価格培養液+共培養+細胞足場+浮遊培養

これまでの全要素を統合し、大規模化可能なシステムへ

~0.1gスケール ~10gスケール ~100kgスケールパイロットプラント

PCT/JP2016/067599 特願2016-568716

Page 53: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

低価格培養液+共培養+細胞足場+浮遊培養

Page 54: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

「ひき肉」 「シート肉」 「ステーキ」食肉としては成立 味わいが実現 食感も実現筋細胞+脂肪細胞 +脂肪組織 +血管などで作成可能実証済 ※コストはともかく 細胞足場技術 臓器再生技術

技術的難度 高

で、それ、おいしいの?

Page 55: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

「要・考え直し」なものは何か

②培養系

①培養液

③運用

Page 56: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

現時点で最大規模の細胞培養

食糧生産にはまったくの規模不足

Page 57: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

化学工学・Plant Engineering

Page 58: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

目的や前提条件が変わる⇒物やプロセスの全取り換えが必要

100mm dishじゃなくて25㎥タンク←攪拌方法?手袋じゃなくてタンクの滅菌←方法と頻度?ピペットじゃなくてパイプライン←太さと流速?タンクを滅菌するなら培養液は抗生剤不要

Page 59: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

「植物工場の肉版」

Page 60: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

農業タワー

Page 61: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

火星植民

Page 62: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

宇宙農業

Page 63: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

「純肉(培養肉)」(自己紹介セッション)

純肉とは?(概念・歴史)

純肉の技術(理系的内容)

(質疑応答セッション)

純肉と社会(文系的内容)

(質疑応答セッション)

Page 64: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

ベジタリアンは食べるのか?

ハラルなのか?

仏教が避ける「殺生」はしてない?

動物愛護団体は?

畜産業界は?

で、それ、おいしいの?

社会的・文化的インパクト

Page 65: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

国、宗教、社会集団ごとに違う論点

A. 動物愛護・宗教・倫理

B. 食糧安全保障 C.食の安全

D.環境問題

欧米: A~D > C > B日本: B~C > A > D欧米の論点が世界的に主導している。

Page 66: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

中東・インド Halal/Kosher・Chabad(ユダヤ教ハシド派の一派)のラビ、Yehuda Shurpin氏は、元の細胞がKosherなら、in vitro meatもKosherになるだろうが、もっと話が現実的になってから判断したいとコメント。

・ジッダ・イスラムアカデミーのAbdul Qahir Qamar氏は、動物の分泌物から作る食品で、ヨーグルトと同じとコメント。

・ヒンズー教では、殺生以前に神聖とされる牛を営利事業に使うのが忌まれる

・豚が不浄なのは、豚が汚いからか、豚のDNAが汚いからか?

Page 67: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

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「論点」

功利主義の拡張としての動物愛護

欧米型ベジタリアニズムとベーガニズム

アジア・日本型ベジタリアニズム

一般消費者への受容について

Page 68: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

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「最大多数の最大幸福」※「結果良ければ全てよし」ではなく、倫理性判断の材料とせよ、という考え方。

「功利主義(Utilitarianism)」

「5人よりは1人だけの方が最大多数の最大幸福になる。」という仮説ついて:

目先だけ見るならそうかもしれないが …

「最大幸福目的なら家族見殺しOK」が通念化⇒社会から「家庭」が失われる?「最大幸福目的なら殺人OK」が通念化⇒相模原障碍者施設殺傷事件みたいのが増える?

そんな社会は「最大多数の最大幸福」?「暴走ケーブルカー問題」このままだと5人死ぬが、ポイントを切り替えれば 1人で済む

Page 69: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

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功利主義の延長としての動物愛護

「最大多数の最大幸福」は1人1票ある一人の幸福が他の倍重要、ということはない

◆動物は幸福/苦痛を感じられるのか?◆「最大多数」の頭数に動物は入るのか?

動物愛護運動では、動物も幸福や苦痛を感じるほか、種の線引きは無意味なので頭数に入ると考える。

⇒功利主義的に判断すると、「苦痛を感じる能力を持つ存在を苦しめることは倫理的でない」と考える。

Page 70: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

動物愛護団体は純肉に賞金2008年発表⇒技術が追い付かず、2014年に中止

Page 71: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

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欧米型ベジタリアニズム

宗教ではなく、個人的信念が動機

この中でも・Vegetarian・Pescetarian・Vegan が多い

Page 72: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

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ベジタリアンである動機健康や環境という副次的メリットも意識しつつ、メインは動物愛護(倫理観)

功利主義を根拠とした動物愛護の倫理観

自身の健康

環境問題

自然でいたい

食の安全

動物愛護

痩せたい

太りたくない

動物愛護

倫理

健康

環境

宗教他理由(複数回答可)

Page 73: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

動物愛護⇒

↓ベジタリアン ○ ×○

「硬派」ベジタリアン(i.e.卵×)西洋型ベジタリアン主流

様子見・意見分かれる

健康目的ベジタリアン「魚OK」ベジタリアン

「自分は関係ない」...?

×動物愛護団体主流ペットなどで動物愛護寄りの人

大いに歓迎

「一般人」

何それおいしいの?GM食品?ゾンビ肉?

それぞれの意見(一部)

Page 74: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

東洋型ベジタリアニズム

「宗教」←功利主義や倫理ではなく、ほぼこれ。

純肉に「倫理的価値」があっても、東洋の「宗教的価値」には必ずしもつながらない。

Page 75: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

日本人と肉食: 和食に肉?

大和時代以前:普通に食べていた。脆弱な食糧生産体制の中、今あるものは食べないと死ぬから。

675年、天武天皇による殺生禁断令:米の安定確保に国民の労働力を振り向け、土着の動物供犠の風習をやめさせて信仰の対象を朝廷に向けるため※ちょうど同時期に仏教が伝来し、この教義も利用した

その後は明治まで肉食禁忌が定着し、庶民が肉の味を覚えたのは日清・日露戦争の戦闘糧食から。

Page 76: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

インドのベジタリアニズム

地域差が大きいが、総勢5億人とも

上位カーストに多く、ベジタリアン大富豪が純肉研究に資金提供する例も多い

ヒンズー教は肉食を禁じていないが、解釈として肉食禁忌が定着している。

現・インド首相はベジタリアン

緑 ベジ赤 非ベジ

Page 77: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

精進料理とは何か?

禅の修行での食事で、修行の一環という観点で作られている。

・仏教料理の総称で、定式はない。・作る人(典座)には調理も修行のうち・食材は七里四方(地産地消)が基本・寄進されたものは無駄なく使う・肉類(殺生)と五葷(煩悩)は原則不使用

※肉類であっても、もし寄進されたら使う。

純肉を使っても「殺生してないから精進料理!」にはならない。※”Shojinmeat”の名称は「環境破壊という無益な殺生を止めるために努力する」 というメッセージ

Page 78: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

英・左派中級紙”Guardian”調べ(2014/09/11記事。集計期間不明)

(2014/08/05記事・常時集計中)

消費者受容

論点が何かも認識されておらず、意見を持てる段階にない。

非常に流動的

Page 79: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

「新道徳」の可能性

2040年、純肉のシェアが~30%まで上がり、従来肉を食べない人が増えたら?

・従来型の畜産業がバッシングの対象となり、政治問題化する?・動物愛護を根拠に欧米主導でWTO等での貿易規制がかかる?

なぜ欧米では日本の捕鯨や中国の犬猫食、研究所での動物実験が問題化する一方、畜産・肉食はOKなのか?

⇒自分たちもやっているかどうかの差(欧米の一般消費者)

Page 80: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

主要な純肉NPO・ベンチャー

世界の食肉市場

150兆円

牛肉市場70兆日本5兆

当面の目標=価格等価ここでのすべての団体が目指している

スタートアップ

ファンド

NPO

Price Parity

Page 81: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

“Shojinmeat Project”メンバーは各得意分野で活動(実験・勉強会・創作・起業 etc.)

メンバー募集中!→http://shojinmeat.com

Page 82: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

以下、巻末資料

Page 83: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

みよMiyo-san※”Myosin”から

姉・20歳・164cm

火星ホイゲンスクレーターの食糧培養プラントにて、化学工学のインターン中。羽織はディスプレイになっている

あこAco-chan※”Actin”から

妹・13歳・149cm

火星植民コロニーの中学の校外学習として、食糧培養プラントで姉の手伝い中。帯は力場シールドでできている

イメージキャラクター

Page 84: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

2.5頭身デフォルメ(みよ)

Page 85: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

2.5頭身デフォルメ(あこ)

Page 86: Shojinmeat Project : 純肉(培養肉) : 細胞培養による食糧生産へ

※国・自治体・企業・大学等の方へ

純肉に関する共同研究や情報提供等について、制度的、内規的な理由で取引対象に法人格が必要な場合は、インテグリカルチャー(株) 、もしくはそのシードアクセラレーターの(株)リバネスまでご連絡ください。

http://integriculture.co http://lne.st