sommerfuglen vol.2

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Free magazine futuring Nordic Countries, Spring in the Nordic Countries/ Easter/ Bread issue

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お祝いの日に食べるデンマークのペストリー、カイングラ。

デンマークのパンに魅せられて ―パン職人 和田哲也さんインタビュー―

 東京都渋谷区、代々木八幡駅近くに、デンマーク大使館御用達のパン屋さん、「イエンセン」があります。店主のパン職人、和田哲也さんは、デンマークのパンを生地から手作りして日本人に紹介し続けて30年。パンに導かれるように歩んでこられた和田さんの人生についてお話を伺いました。

― デンマークのパンとの出会い

 東京農業大学の学生の頃、当時珍しかったデンマークのパンを売っているのに興味を持ち、下宿の近くの「リトルマーメイド」でアルバイトを始めました。オーブンの中で膨らむパン生地は、ダイヤモンドやバラのように魅力あるものに思えました。その頃は外国など別世界で、語学も苦手な自分が外国に行くことになるとは思いませんでしたが、デンマークのパンの本場を見てみたいという好奇心が芽生えました。

― デンマーク留学の夢が叶うまで

 友人を通じて知り合った玉川大学農学部の高井泉先生の下で、まず1年 3カ月英語とデンマーク語を学んで留学に備えました。けれども、当時のデンマークは留学生の受け入れに慎重で現地に身元保証人が必要であり、まして製パン修行のための留学など前例がなく難しかったのです。滞在許

可が得られる当てもないままデンマークに行ってみたところ、当時デンマークの大学院に留学していた高井先生の息子さん(現オーフス大学高井久光先生)が親しくされていたデンマーク人の方が保証人となってくださり、無事に許可が下りました。家族に報告するため、意気揚々と帰国しました。

― 多くの人に支えられた製パン学校での留学生活

 再度デンマークに渡って製パン学校に入り、パンの生地をこねることから修行が始まりました。それまでは冷凍生地しか扱ったことがなかったのです。授業について行くのに必死で、辞書をいつも携えて人生で一番勉強した時期でした。 店の名前「イエンセン」は、この学校で先生だったイエンセン先生から頂きました。先生には公私ともども本当に親切にしていただき、週末にまでマンツーマンでパン作りを教えていただきました。また留学の保証人になってくれた

方は、毎週のように学校の先生に電話をかけて状況を聞いてくださったうえ、実習先のパン屋さんまで紹介してくださいました。 このように様々な方が助けてくださったおかげでパンの勉強ができたので、ここまで来られたのは決して自分の力だとは思いません。奇跡的に出会った周りの人々が道を作って守ってくださったので、前に進まざるを得ない、失敗できないという気持ちでやってきました。

― 日本で店を構えて

 1年半の留学を終えて帰国後、大手製粉会社で研修をしてから代々木八幡に店を開きました。順調でしたので、もう1軒店を出し、さらにデンマークのパンを日本で広めたいと思っていました。その頃良くしてくださっていたデンマーク大使ご夫妻にその計画を打ち明けたところ、「昔のパン屋は1軒を一人の親父が切り盛りしていた。店を増やせばどうしても手が回らなくなり味も落ちてしまう。」と言わ

れ、はっとしました。この時、経営者ではなくパン職人として一生やっていこうと決意しました。 長く職人を続け、技術が一定の域に達したと鼻っ柱が強くなっていた頃、指導者として初めて日本にデニッシュペストリーを伝えたピーターセン先生に出会いました。先生が偶然店の前をタクシーで通りかかった際に看板のデンマーク語に目を止め、タクシーを降り

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