spot-network receiving equ岬ment · 小耳寺集・産業用受変電設備...

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小耳寺集・産業用受変電設備 スポットネットワーク受電設 Spot-Network Receiving Equ岬ment ∪.D.C.占21.311.42.0る2.1:る21.31る.172: 最近,ビルの高層化・大形化に伴って,ビル用受変電設備は大容量・高電圧化が 進んでおり,66kV級受電のビルも増えてきている一■方,都市過密地城に対する22~ 33kVスポ、ソトネットワーク配電網の拡充により,中形ビルの領j或までスポットネッ トワーク受電設傾が採用されるようになってきた。 これらの需要の拡大に伴い,受変電システム構成機器に対するニーズも多様化し, 信相性向上,縮小化及び保守の省力化の要求にこたえるため,スポットネットワー ク受電方式にマッチした新しいハwドゥェアも開発されている。そこで,スポット ネ、ソトワーク受電設備の計画法,機能及び保護協調の説明と合わせ紹介する。 ll 都市過密地士或への配電近代化の一環として,中・大形ビル 受変電設備へのスポ・ソトネ、ソトワーク′受電方式の採用が拡大 している。 日立製作所でも,昭和44年8月世界貿易センタ【ビルに対 し2,000kVAX3バンク,1,000kVAX3バンクのスポットネ 、ソトワⅥク受電設備を納入以来多数を各方面に納入している。 本稿では,スポットネ、ソトワーク受電方式の概要,ビルの 規模に対する受電答:量の計画法,及びスポ・ソトネ、ソトワーク 受電方式の持つ,高信束則生,省力化などの特長を更に伸ばす ための新しい構成機器について述べる。 臣l スポットネットワーク受電方式 2.1 受電方式の概要 スポットネットワーク受電方式は,3~4回線の22kVある いは33kVで受電し,特別高圧側にはしゃ断器を設けず,変圧 器の励磁電流開閉可能な断路器だけを設置する。そして,各 回線ごとに設けたネットワーク変圧器,ネ・ソトワークプロテ クタを介して,各バンクをネットワmク母線で並列運転する ものである。 ループー受電方式が,各需要家の受電しゃ断器を直列に接続 して環状配電線を構成し,区間保護リレー(表示線リレーによ る)で故障区間を除去することにより供給信頼度向上を斑って いるのに対し,スポ、ソトネットワーク受電方式では,3~4回 線の配電線に幾つもの需要家の変圧器が並列的に接続され, 一方,各需要家のネットワーク母線で異なる回線の配電線の 並列運転を行ない,需要家の各バンクごとにおかれたネット ワークリ レーの事故区間除去機能(逆電力しゃ断動作)により ループ受電方式以上の供給信頼度向上を図っている。 2.2 電気方式 ネ、ソトワーク母線電圧を高圧(6.6kV又は3.3kV)とする高 圧スポットネ、ソトワークと,低圧(415V)とする低圧スポット ネットワークがある。 スポ、ソトネットワ爪ク方式は,負荷の集中しているビル受 電設備に採用されることが多く,スポットネ、ソトワーク受電 設備の多くが低圧方式である。高圧方式は,従来高圧受電で 使用していた受変電設備に加えて,スポットネットワーク方 式により特別高圧受電に格上げする場合に適している。 大鋸英五* ogαEJgo 柳田節雄* 粘れαg∫dαSprざ朋√) 斉藤 博** sαi加〃けⅥSんJ スポットネットワーク受電設備の計画 3.1受電芸没備容量の算出 スポットネ、ソトワyク受電方式は,特別高圧側にしゃ断器 及び保護リレーを設けないため,変圧器二次側の保護方式が 電力会社の配電線保護方式と密接な関連を持つ。 スポ・ソトネットワーク受電方式の大部分を占める低圧スポ 、ソトネットワーク方式では,プロテクタヒュ∬ズにより過電 流保護を行なうが,CT比やリレーのタ・ソプ,レバーにより微 調整できる過電流リ レーによる保護方式に比べて,ヒューズ では,きめ細かい動作特性の変更はできない。このため,経済 性,電力会社との保護協調方式の標準化を考えて,500kVA, 750kVA,1,000kVA,(1,250kVA),1,500kVA,2,0 (2,500kVA)のようにネットワーク変圧器の容量とインピー ダンス電圧が段帽▲的に標準化されており,これにマ、ソナLた フレーム電i売値のプロテクタヒューズが準備されている。ビ ルの規模に応じた受変電設備容量は,本特集号中の「ビル用 ′受変電設備の計画+を参照されたい。 3,2 自家発電設備容量の算出 自家発電設偶の容量は,買電停電時,供給されるべき非常 用回路の設備容量によって決まる。過去の実績から,ビルの用 途によっても異なるが,契約最大電力(kW)の16~30%(kVA) である。 3.3 進相用コンデンサ容量の算出 進相用コンデンサ容量Pc(kVA)は,(1)式により求める (図1)。 pc二〔 (去)2-1- (去)2-1〕 (拝+PA)・号(kVA)=‥‥ ここに P′1 早r2 アp PA α 需要率を60%, :一般動力+空調動力の力率 :改善後の力率 :一般動力(kW) :空調動力(kW) :需要率 :一一般動力十空調動力の効率 動力の効率を90%,力率を80%と ・(1) し,最大 電力使用時の力率を95%に改善するとしたときの進相コンデ ンサ容量は,変圧器容量の18~20%となる。 * 日立製作所国分工場 ** 日立製作所機電事業本部 17

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Page 1: Spot-Network Receiving Equ岬ment · 小耳寺集・産業用受変電設備 スポットネットワーク受電設 Spot-Network Receiving Equ岬ment ∪.D.C.占21.311.42.0る2.1:る21.31る.172::725.2

小耳寺集・産業用受変電設備

スポットネットワーク受電設Spot-Network Receiving Equ岬ment

∪.D.C.占21.311.42.0る2.1:る21.31る.172::725.2

最近,ビルの高層化・大形化に伴って,ビル用受変電設備は大容量・高電圧化が

進んでおり,66kV級受電のビルも増えてきている一■方,都市過密地城に対する22~

33kVスポ、ソトネットワーク配電網の拡充により,中形ビルの領j或までスポットネッ

トワーク受電設傾が採用されるようになってきた。

これらの需要の拡大に伴い,受変電システム構成機器に対するニーズも多様化し,

信相性向上,縮小化及び保守の省力化の要求にこたえるため,スポットネットワー

ク受電方式にマッチした新しいハwドゥェアも開発されている。そこで,スポット

ネ、ソトワーク受電設備の計画法,機能及び保護協調の説明と合わせ紹介する。

ll 緒 言

都市過密地士或への配電近代化の一環として,中・大形ビル

受変電設備へのスポ・ソトネ、ソトワーク′受電方式の採用が拡大

している。

日立製作所でも,昭和44年8月世界貿易センタ【ビルに対

し2,000kVAX3バンク,1,000kVAX3バンクのスポットネ

、ソトワⅥク受電設備を納入以来多数を各方面に納入している。本稿では,スポットネ、ソトワーク受電方式の概要,ビルの

規模に対する受電答:量の計画法,及びスポ・ソトネ、ソトワーク

受電方式の持つ,高信束則生,省力化などの特長を更に伸ばす

ための新しい構成機器について述べる。

臣l スポットネットワーク受電方式

2.1 受電方式の概要

スポットネットワーク受電方式は,3~4回線の22kVある

いは33kVで受電し,特別高圧側にはしゃ断器を設けず,変圧

器の励磁電流開閉可能な断路器だけを設置する。そして,各

回線ごとに設けたネットワーク変圧器,ネ・ソトワークプロテ

クタを介して,各バンクをネットワmク母線で並列運転する

ものである。

ループー受電方式が,各需要家の受電しゃ断器を直列に接続

して環状配電線を構成し,区間保護リレー(表示線リレーによ

る)で故障区間を除去することにより供給信頼度向上を斑って

いるのに対し,スポ、ソトネットワーク受電方式では,3~4回

線の配電線に幾つもの需要家の変圧器が並列的に接続され,

一方,各需要家のネットワーク母線で異なる回線の配電線の

並列運転を行ない,需要家の各バンクごとにおかれたネット

ワークリ レーの事故区間除去機能(逆電力しゃ断動作)により

ループ受電方式以上の供給信頼度向上を図っている。

2.2 電気方式

ネ、ソトワーク母線電圧を高圧(6.6kV又は3.3kV)とする高

圧スポットネ、ソトワークと,低圧(415V)とする低圧スポット

ネットワークがある。

スポ、ソトネットワ爪ク方式は,負荷の集中しているビル受

電設備に採用されることが多く,スポットネ、ソトワーク受電

設備の多くが低圧方式である。高圧方式は,従来高圧受電で

使用していた受変電設備に加えて,スポットネットワーク方

式により特別高圧受電に格上げする場合に適している。

大鋸英五* ogαEJgo

柳田節雄* 粘れαg∫dαSprざ朋√)

斉藤 博** sαi加〃けⅥSんJ

田 スポットネットワーク受電設備の計画

3.1受電芸没備容量の算出

スポットネ、ソトワyク受電方式は,特別高圧側にしゃ断器

及び保護リレーを設けないため,変圧器二次側の保護方式が

電力会社の配電線保護方式と密接な関連を持つ。

スポ・ソトネットワーク受電方式の大部分を占める低圧スポ

、ソトネットワーク方式では,プロテクタヒュ∬ズにより過電

流保護を行なうが,CT比やリレーのタ・ソプ,レバーにより微

調整できる過電流リ レーによる保護方式に比べて,ヒューズ

では,きめ細かい動作特性の変更はできない。このため,経済

性,電力会社との保護協調方式の標準化を考えて,500kVA,

750kVA,1,000kVA,(1,250kVA),1,500kVA,2,000kVA,

(2,500kVA)のようにネットワーク変圧器の容量とインピー

ダンス電圧が段帽▲的に標準化されており,これにマ、ソナLた

フレーム電i売値のプロテクタヒューズが準備されている。ビ

ルの規模に応じた受変電設備容量は,本特集号中の「ビル用

′受変電設備の計画+を参照されたい。

3,2 自家発電設備容量の算出

自家発電設偶の容量は,買電停電時,供給されるべき非常

用回路の設備容量によって決まる。過去の実績から,ビルの用

途によっても異なるが,契約最大電力(kW)の16~30%(kVA)

である。

3.3 進相用コンデンサ容量の算出

進相用コンデンサ容量Pc(kVA)は,(1)式により求める

(図1)。

pc二〔(去)2-1-(去)2-1〕

(拝+PA)・号(kVA)=‥‥…ここに P′1

早r2

アp

PA

α

需要率を60%,

:一般動力+空調動力の力率

:改善後の力率

:一般動力(kW)

:空調動力(kW)

:需要率

:一一般動力十空調動力の効率

動力の効率を90%,力率を80%と

・(1)

し,最大

電力使用時の力率を95%に改善するとしたときの進相コンデ

ンサ容量は,変圧器容量の18~20%となる。

*

日立製作所国分工場**

日立製作所機電事業本部

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724 日立評論 VOL.59 No.9(19rト9)

P九IAX=(Pp +PA)・す

COS-1丹2

00S‾‾1p/1

図l進相コンデンサ容量 予想される力率P′lと改善すべき力率P′2よ

りPcを求める。

3.4 標準単線接続図とレイアウト

図2に22kV/415V,1,000kVAX3バンクの代表的な単線

接続図を示す。図3,4は図2に基づく,変圧器プロテクタ

ー体形,及び分離形の1バンク分のレイアウトを示すもので,

変電董の形状により選択される。

口 構成機器

4.1-;欠断路器

一次断路器は二次側の気申しゃ断器とインターロックされ

ているため負荷電流を開閉する必要はないが,変圧器無負荷

22k\ノ3Jご3〕〉5〔)Hz

Nt‾;.1

Jゝ

紹・・・・-L

ー1一-A

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言説棚勤鮒 を89PNt)_1FIWTl

こち・ノ4Wl.0〔)OkVA130ヲ三日】1F22 F2+.5

-R21kV41%Z

-5、5.5

‾t〉F′二3)0V2.()00A RC200kA

ノモ遜_冒2、+㌔5Prt〉F′二3

500V2.()00A F

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△1rJい_2TJWTr

240V若

記入外同左

+‖UHC

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0000■N

SDL

点検通路入口

¢-

8∩しP

血T

F‥P

注:N.WT「=ネットワーク変圧器

Pro.CB=プロテクタしゃ断器

LDS=断路器

NW.Tr

OOOkVA

Fn)T.

FOT一

TOF=テイクオフヒューズ

CHd=ケーフルヘッド

図3一体形スポットネットワークレイアウト 変圧器キユーピク

ル,プロテクタ装置及びテイクオフ装置を一体構成Lた例である。

励磁電流の開閉を行なう必要がある。

一次断路器は,可動接触子が直線運動するリニア形で,キ

ユーピクル内部にコンパクトに収まる形状となっている。本

器の下部にあるシリンダ内部の空気が,可動接触子の先端に

設けられたノズルから噴出する際,アークを吹き消す空気吹

付形である。操作は手動操作であるが,投入,しゃ断ともば

△ Nリ.3N札Tr

∫恥「⊥ 記

「人外【同左

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絶入外周左

非常[岡コンセント

伯怖安動力

一群電灯引

一照電灯∴り

「蝦動力ほ

一肌m動力〓

電灯.コンセント似

電灯、]ンセント〓

同左

注:主な略語説明 CT=計器用変流器

Pro.F=プロテクタ叫ヒューズ

PT=計器用変圧器

EF=筒形ヒューズ

魯=周波数計

⑨=電圧計

S()=静電蓄電器S):=シリーズリアクトル

SS二=セクションスイッチ

R=抵抗器

記入外同左

‥八

T

T

C

記入外向右

甘乙=電力計

唾:・=力事計

旬電流計

極目)ニ積算電力計

MCB:=テイクオフLや鯨器

ACG=交流発電機

NW.T「=ネットワーク変圧器

VS二電圧計切換開閉器

AS=電流計切換開閉器

ZCT=零栢変流器

図2 スポットネットワーク受電設備単線接続図 り氾8kVAX3バンク,非常用発電設備500kVAの例を示す。

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しヽ+

「H‖′ Pro.F

汁仙ル.伽N川

00叫N

00門人N

FOT・

▲T

FOT-

ロリハ>Pl

図4 分離形スポットネットワークレイアウト 変圧器キユーピク

ルと,プロテクタ装置,テイクオフ装置を分離配置した例である。

ねで急速に動作し,手動操作時間の相違によって開閉特性が

変わることはない。

4.2 ネットワーク変圧器

変圧器はスポ\ソトネットワーク受電方式の特質上,年数回

の130%の過負荷運転を8時間行なえるようになっている。

まれに抽入変圧器が使用されることがあるが,多くはビル内

での防災上の観点から乾式変圧器が使用される。近年,信頼

一性,保守性に優れたレジンモールド変圧器(詳細は本特集号の

スポットネットワーク受電設備 725

「レジンモールド変圧器+を参照されたい)が開発され,ネット

ワーク変圧器にも採用されるようになった。

4.3 プロテクタ装置及びテイクオフ装置

プロテクタ装置は,スポットネットワーク受電設備の心臓

部とでもいうべきもので,ネットウークリ レ耶,プロテクタ

しゃ断器,プロテクタヒューズなどを内蔵している。テイク

オフ装置は幹線用配線しゃ断器(2,000kVAX3バンク以上で

はテイクオフヒュmズを組み合わせる)で配電線保護を行なう

ものである。

装置の形態は,縮小化のニーズにこたえて一次断路器,ネ

ットワmク変圧器,プロテクタ装置及びテイクオフ装置を一

体構成とした一体形(図5)と,変圧器キユーピクルと,プロ

テクタ装置,テイクオフ装置を別列盤とした分離形がある。

プロテクタしゃ断器には,三相4線式配電線での中性相の

開閉を容易にした4極気申しゃ断器(図6)が使用され,表1

に示すようにBノた短絡時,他回線のプロテクタヒューズが保

護しゃ断するまでの過電流に耐えるよう,60kA O.7秒,102kA

O.7秒などの特別な短時間電流性能を持っている。

プロテクタヒューズ,テイクオフヒュⅥズはJEM-1325(1974)

を適用して製作されている。必要なしゃ断容量は,プロテク

タヒューズでは100kAを超えることはないが,大電流しゃ断

の必要なテイクオフヒューズと共用とし,200kAとしてある。

同 スポットネットワークプロテクタの機能

スポットネットワーク受電方式は,前述のように供給信頼

度の高い方式である反面,他の需要`家にかかわる特別高圧配

電線変圧器の事故に対しても,事故区間除去のために当該バン

クをしゃ断する必要があり,事故の復旧とともに受電しなけれ

ばならない。このような運転操作が繁雑になることに対処して,

CHd1.240l

W′山、、∧一室NW絶縁母線

11

排気風洞 「 「 (納入タり\\

1+○\ 1

LDS操作器

1,800

l'\声 喜子‾‾丁

,甘2

アース母線

2,000

l

LDS :l

I

3

pro.ACl

2懲+

l

l

⊂⊃

卜こ

検通路

NW

CT

MOF

CT

l / l

NW

モーノ

50

ドTRkVA

(

[コ

田口,B制御器

L__+Pro

Fl 1

】(‾‾、、1一ユh

;lく⊃ l

1,400 600

1,4002,000

3,400 ′

燕耗

l 1 1 l 川l l

く=I

く⊃

(=)(X)

N

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¢「▼▼「

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く=〉

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¢

「-】「

+_____+

+ ▼▼+ + __ +

800 800 800

2,400

TR引出余地(最小) ACB引出余地

(a)側 面 図

図5 一体形プロテクタ装置構造図 高密度実装による保守性の低下を防ぐため,内部に点検通路を設

けている。

(b)正 面 図

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726 日立評論 VO+.59 No.9=977-9)

表l事故時の短絡電流と機器定格 回路のどこで短絡事故が発生Lてもプロテクタヒューズの保護L

や断までの過電流に耐えるよう設計されている。

ネット ワーク変圧器容量(kVA)

1.000×3 1,500×3 2,000×3 2,000×4

ネ ッ ト ワーク変圧器イ ン ピーダンス(%) 5、5.5 7.5~8.25 7.5~8.25 7.5~8.25

20kV

側短絡

A点

LDS定格短時間電流 24kA l秒 24kA l秒 24kA l秒 24kA l秒

Jl(対称値)(kA)

よ2(対称値)(kA)

24

0.35~0.32

24

0.36~0.33

24

0.48~0.44

24

0.53~0.48

P「・CB定格Lや断電流(kA)

ヱ■3(対称値)(kA)

50

17.8~16.4

50

柑.3~16.9

50

24.1~22.0

50

26,6へ24,4

変圧器

二次短絡

B占

Pro・F定格Lや断電流(kA) 200 200 200 200

よ1(対称値) (kA) 27.3~24,8 27.3~24.8 36.1~32.9 36.1、32.9

P「0.CB定格短時間電流

J5(対称値)(kA)

50kAl秒

497へ46.5

60kAO.7秒50kAll秒

53,8~50.5

102kAO,7秒

50kAl秒

69.0~64.9

102kAO.7秒50kAl秒

94.1~88.8

心7(対称値)(kA)

∠り(対称値)(kA)

21.9~20.3

5.9

22.4~20.8

8.9~g.0

28フ~26.6

11.5~11.8

26,5~24.5

14,7-14,9

フィーダ

短絡

C点

TOF定格Lや断電流(kA)

~8(対称値)(kA)

∠++~d+∠7(対称値)(kA)

り,机上7(対称値)(kA)

~9(対称値)(kA)

80.6~74.6

73.9へ67.9

24.6~22.6

6.7

84フ~78.6

74.6~68.5

24.9~22.8

10.1

200

110.1~102,4

96フ~89.0

32,2~29.7

13.4

200

143.9~134.0

126,0~116.2

31.5~29.0

17.9

計算

条件

20kV短絡容凱000MVA(Jし雷獣ス)(%) 0.100 0.150 0.200 0.200

Trインピーダンス(定格kVAベース)(%) 5㌧5.5 7,5~8.25 7.5~8.25 7.5~8.25

プロテクタインピーダンス(定格kVAベース)(%) 0.35 0.44 0.53 0,53

電動機発電効果(Trl台当たり定格kVAベース)(%) 62・2%(動力負荷はTr容量の75%とし,稼動率60%,Jd''=28%)

表1の付図よ1主上しDS LLDS A LDS

′ A†

エ2・Tr

Tr

~3言ご宗:0・Fpro・F

Tr

Pro.F

軋OT;ェ5NW.CT

卦ニ0`CB。,嘗iて二0-CB

NW.C

参,Pro・C

CTi己7

・一TOF ネットワーク母線ヽ

l柏

i乙阜 M

C

歩㌦㌦熟幣

T

B

図6 500V2′000A4極気中Lや断器 プロテクタしゃ断器にマッチL

たしゃ断性能と,耐短時間電流性能を持っている。

20

次の三つの機能により停電,復電に対する運転操作が自動化

され,努めて仝バンクの並列運転を行なうようになっている。

5.1逆電力しゃ断弓幾能

特別高圧配電線のうち1回線に短絡事故が発生した場合,

電力会社変電所のしゃ断器はもちろんしゃ断するが,他の回

線よりネットワーク母線を通して電力が短召洛点に回り込む

(表=こおけるZ3)ので,事故回線につながっているプロテク

タしゃ断器を,ネ、ソトワ▼ク主リレーの引外し側動作(図7)

により閉路する。特別高圧配電線の事故が地終車故の場合,

変圧著畏二次での通電流はケーブルの充電電流だけで,有効分

は変圧器の無負荷才員だけとなる。ネットワーク主リ レーはこ

の微少な連電力でも動作するよう最小動作電力はネットワー

ク変圧器だけの励磁電流の有効分で,しかも電源電圧が定格

の90%に下がった場合としている。

5.2 差電圧投入機能

逆電力しゃ断によりプロテクタが閉路しているとき,事故

復旧により送電されてきたときプロテクタを自動投入する。

例えば,3バンク中1バンクが休+Lして2バンクのネ、ソト

ワーク変圧器が運転し,′なる負荷電流をiずつ分担しているとき,閉路中のプロテクタの極間電圧』Ⅴはほぼiによる変圧器のインピーダンス降下となり,∫より変圧器のインピー

ダンス角tan‾1ズr/月rだけ進み位相となる。この』Ⅴと同相電

流iがネットワ【クCTの三次巻線に流れ,ネットワーク主

リ レーに二次電流を供給する(図8)。

ネットワーク主リレーの投入側接点の位相特性は,リレー

単体では最大感度位相角が進み3度の図9のAなる特性とな

るが,閉路中のプロテクタの極間電圧で応動するときの負荷

電流∫と力率角の関係で描くと,iは∫よりtan‾1ズγ/月Tだ

け進むので図9Aの特性をtan‾1ズr/月Tだけ遅れ方向に回転

させた図9Bの特性となる。

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スポットネットワーク受電設備 727

90度

180

/送電力\、受電

動作

動作

\進

笹 i \

0度3度†

JJl又

遅れ

/

,

90度

図7 ネットワーク主リレー引はずし特性 特別高圧配電線の地絡

事故時のケーブル充電電流に対Lて,動作感度が低下Lないよう最大感度位相

角を進み3度としてある。

1

0.

No.1 No.2 No.3

NW.TrNW.T「

ギT

児r

NW.Tr

∬rズr欝芽芳タンス尺r如変圧器抵抗

ナナNW.CT

ネットワーク

主リレー

67S

PT

78Sネットワーク

位相ルー

B

PT

)P

R

「0,C

』∨ 22

P「0.CBPro.CB

)閉)閉

ネットワーク母線

』∨ 負荷電流

J

t即rl且月r

匡18 差電圧‡受入書見明図 負荷電流Jに比例Lて発生する閉路中のプロ

テクタ極間電圧dVにより,ネットワーク主リレー位相リレーを動作させる。

柑0

90

1l

を蒜1Jてコ、C

度A

最大感度位相角進み3度

動作\Ⅰ

Bネットワーク主リレー

特性 投入特性 最大感度位相/

最大感度位相角・・‥・・・

進ム遍0-ぐa。-1旦肋

不動作

/

角==遅れ(ta〔-1些-3d)/助.

進み1又

0度

膚\

不動作 、こア仰∫投入可能領域

遅れ80度

/

′・・′・・・//′′′・・′・/・・・′・∠/′/

//′/′′■■`・・ノ動作

ロⅠ

9

/

0度

図9 差電圧投入特性説明図 ネットワーク主リレー投入特性Bとネッ

トワーク位相リレー特性CのAND条件で投入されるので,スマッジング部分が

才芸入可能領土或となる。

ここでJがⅠ,Ⅳ象限にあるときが受電方向であー),ⅠIl象

限でネットワーク主リ レ【が動作できるということは,逆電

力状態でも投入側接点が閉路することになり,投入後直ちに

逆電力しゃ断が行なわれて,プロテクタは投入と引外しを繰

返すことになる。このような不具合を防止し,負荷力率角が

進み10度から遅れ80度までの適正か状態で投入操作を行なう

べく,ネットワーク母線電圧に対する』Ⅴの位相角で応動する

ネットワーク位相リ レー(図9のCの特性)を設けて主リレー

とのAND条件で投入操作を行なう。

5.3 無電圧投入1幾能

全回線が停電している状態(ネットワーク母線が無電庄のと

き)でいずれか1回線でも復電すると,その回線のネ、ソトワ∽

クプロテクタは自動的に投入される。

l司 保護協調

図川に保護協調カーブの一例(1,000kVAX3バンク)を示す。

以下,本例に基づいて説明する。

6.t 特別高圧配電線短絡事故

A点事故時,故障回線のプロテクタヒューズを通過する電

流は表lにも示すように16.4-17.8kAで,ヒュ廿ズのi容断時

間は1~2秒となりネットワーク主リ レーによるプロテクタ

しゃ断器の閉路動作(0.7秒)が先行する。

6.2 変圧器とプロテクタしゃ断器間の短絡事故

Bl点の場合,故障回線と健全回線の7Dロテクタヒューズ

にi充れる電流に2:1以上の差があり,ヒューズによる選択

しゃ断が可能である。B2点での短絡事i牧では,各プロテク

タヒューズに流れる電流がほぼ等しいため,ヒューズによる

選択しゃ断は不可能である。ニのため,プロテクタ装置の形

態に一体形を採用するなど,プロテクタしゃ断器とヒューズ

間を極力短く したり,絶縁を強化している。

21

Page 6: Spot-Network Receiving Equ岬ment · 小耳寺集・産業用受変電設備 スポットネットワーク受電設 Spot-Network Receiving Equ岬ment ∪.D.C.占21.311.42.0る2.1:る21.31る.172::725.2

728 日立評論 VOL.59 No.9(柑77-9)

103

102

0

(∽)

10

52F3

52F1 52F3

(F-1.600,1,400AT)

52Fヰ

(L-400,400AT)

52F3,F4

短絡電流(74β~80.8kA)

NW.RY十OCRY十タイマ

P「0.FUSE

(2,000A)

ー短絡電流(A)(16.4~17.8kAx3)

短絡電流(日2.C)

(22.6~24.6kAX3)

短絡電流(Bl)

鮭竃CT

》箭抑仰 M

(46.5~49フkAx3)

。呈

≫52F4AT)

(L-400,400AT)

101 102 103 104 105 106

電一流(A)

6.3 低圧配電線での短絡事故

低圧配電線での短絡事故に対し,選択しゃ断が可能なよう

に配線しゃ断器,テイクオフヒューズが選定される。プロテ

クタヒューズはバックア・ソプしゃ断用として位置づけられるが,

低圧側の事故で電力会社のしゃ断器が閉路しないようにプロ

テクタヒューズの溶断時間は0.5秒以下に設計されている。

8 スポットネットワーク受電方式の配慮すべき問題

7.1非常用自家発電回路との接続方法

非常用自家発電機からの供給方法には,

(1)ネ、ソトワーク母線に接続する方法

(2)二重母線にて切り換える方法

があるが,スポットネ、ソトワーク受電設備においては,

(1)ネットワーク母線に直接接続する方法ではインターロッ

クが褐雉となること。

(2)仝停電でなく,1バンクだけ残ったときのパックアップ

運転も考慮する必要があること。

などの理由により図2に示すように二重母線で切り換える方

法が多く手采用される。

7.2 エレベーター回生電力による逆電力しゃ断

エレベ【ターが全負荷下降運転,あるいは無負荷上昇運転

を行なう場合,特にi成速歯車をもたなし、ギャレスエレベーター

では仝負荷上昇に要する出力とほぼ同じ程度の大きな電力を

電源側に送り出す1)。この回生電力は,昼間の負荷が大きいと

きには受電電力に相殺されて受電電力がやや少なくなる現象で

済むが,夜間の軽負荷時にはネットワーク母線からネットワー

ク変圧器を通して買電へ送電する現象となって表われ(図tl),

仝バンクのネットワーク主リレーが逆電力を検出して全停電

となってしまう可能性がある。

このため,ネットワーク主リレーの逆電力動作時,しゃ断

までの動作に時限を設け,もし全バンクとも逆電力を検出し

ているときは,プロテクタしゃ断器の引はずしをロックする

よう考慮されている。ただし,特別高圧側短絡事故のように

過電i充を伴う逆電力のときは,上記に関係なく瞬時にプロテ

クタしゃ断器を閉路し,故障区分の早期除去を図っている。

22

1-

---■

逆方向

点故事

正方向

▲・一-

------

貰喜向プ

.■■.■■ノ

ネットワーク母線

(a)故障電流

プロテクタし

図10l′000kVAX3バンク

スポットネットワーク受電設

備保護協調図 C点短絡時の

短絡電)充は,各パンクのプロテク

タヒューズに分流するたれ プロ

テクタヒューズの溶断特性は電う充

値を3倍にして描いてある。

や断器A)朋翻ヽ/

ー●ヽ

▲一一一

l

ネットワーク母線;l】

l

Mエレベータ

(b)回生電流

図Il故障電流と回生電;充 故障電流は当該パンクだけが逆方向となる

のに対Lて,回生電流は全パンクが逆方向となる。

l司 結 言

以上,スポットネットワーク受電設備の計画方法,機能,

及び新しい構成機器について紹介した。本稿がビル用受変電

設備の計画,運転保守に携わっておられる関係各位に対し,

多少なりとも参考になれば幸いである。

スポ、ソトネットワーク受電方式は,本稿で述べた多くの特

長によr)大都市の負荷密集地j或の受変電設備として,今後ま

すます普及していくものと考えられる。

ハードウェアの面からみても,信頼性,運転性及び保守性

向上のためレジンモールド変圧器などの新しい構成機器が開

発されてきており,今後とも需要家各位の御指導によって,

ニーズに直結した受変電システムを提供していきたいと考え

ている。

参考文献

1)長谷川:エレベ【タのための電気設備,電設工業,28(昭51-1)