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2012. 9. 21 於 経団連会館 UWC at 50 Celebrate with Action UWC 開校 50周年・UWC日本協会設立 40周年記念 1962 1974 1981 1982 1992 1995 1997 2006 2009 2012 1975

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2012. 9. 21 於 経団連会館

UWC at 50Celebrate

with Action

UWC開校 50周年・UWC日本協会設立 40周年記念

1962

1974

1981

1982 1992

1995

1997

2006

20092012

1975

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プログラム

プレゼンテーションの部 17:30 ~ 18:301. UWC日本協会 会長 藤田 讓

2. UWC日本卒業生会 中田 一志 (Atlantic College 1977-1979)

3. UWC国際本部 理事

4. UWC卒業生によるプレゼンテーション

懇親レセプションの部 18:30 ~ 20:001. カレッジの写真等のパネル展示

2. フォトムービー上映

※アナウンスにより 5分程度上映させて頂きます。

UWC開校 50周年・日本協会設立40周年に寄せて

藤田 譲

本年は、1962 年に英国に最初のUWC カレッジである

アトランティック・カレッジが設立されて 50周年、また、

1972 年に、UWCの教育理念に賛同した経団連の支援を

受けて、日本における UWC 事業の普及や派遣奨学生の

募集・選考のために日本協 会が設立されて 40 周年の

節目の年に当たります。この機会に、卒業生や保護者の

皆さま、UWC日本協会の役員や会員企業の皆さま、教育

機関・大使館関係者の皆さまなどにお集まりいただき、

「祝う会」というかたちで、UWCが国際相互理解やグロー

バル人材の育成においてこれ迄果たしてきた役割や、

今後の活動について改めて考える機会を持てたことを、

大変嬉しく思います。

近年の企業活動の更なるグローバル化や、情報化の急速

な進展に伴い、わが国ではこれ迄以上に、異なる文化や

社会的背景を持つ多様な人々と、外国語でコミュニケー

ションをとりながら、一緒に仕事をし、世界を舞台に活

躍できる人材が求められるようになっています。

そのような時代に求められる外国語能力や異文化コミュ

ニケーション能力、チャレンジ精神や協調性などを身に

つける上で、UWCの教育は、まさに理想的だと思います。

また現在、政府は、グローバル人材育成のため、高校卒

業時に国際バカロレア(IB)資格を取得可能な教育を行う

高校を、日本国内で 5 年以内に 200 校に増やす目標を

打ち出していますが、IB 教育においても、UWC は先駆

者であります。

経団連では、UWCの教育理念に賛同し、1972年に

UWC 日本協会を設立して以来、会員企業からの会費を

原資とする奨学金を提供して、世界各国のUWCカレッジ

に奨学生を派遣しております。これ迄に、日本協会から

派遣した人数は、延べ 487 名になります。このように、

日本協会が充実した活動を続けてこられたのも、本日

お集まりの関係者の皆さまのご支援の賜物と存じ、この

場を借りて、御礼申し上げます。

世界13カ国にあるカレッジで、各国から集まった学生と

一緒に寮生活を送りながら学ぶことのできる UWCの経

験は、大変、ユニークなものであります。

日本協会では、今後も、財政基盤の一層の強化に努め、

一人でも多くの日本の高校生の皆さんに、この素晴らしい

UWCの教育を体験して欲しいと考えています。

本日の祝う会を通じて、ご出席の皆さまが国際相互理解

と多様性への寛容性を育む UWC における教育のユニー

クな価値を再認識され、UWC が国際的教育機関として、

益々発展することを祈念いたしまして、私のご挨拶に

代えさせていただきます。

(公社)UWC 日本協会 会長

UWC卒業生プレゼンター

岡部恵子 Atlantic College (1973-1975) 青年海外協力隊 進路相談カウンセラー

小林りん Lester B. Pearson College (1991-1993) インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢設立準備財団 代表理事

坪内南  Lester B. Pearson College (1994-1996)BEYOND Tomorrow, 一般財団法人教育支援グローバル基金 , 理事・事務局長

小関哲  Atlantic College (1996-1998)ナガサキアイランズスクール(小さな世界学校) 代表

フォトムービー

“What did you learn in UWC ? ” ~ 過去から現在、現在から未来、UWC生の成長の軌跡~

UWCへ行く機会を与えて頂き、又支えてくださった皆様への感謝の気持ちを込めてUWC 生がUWCで何を学び、何を感じ、今どのように生きているか、写真と熱い言葉でお伝えいたします。

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日本からユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)に留学生の派遣を始めて今年で40年目を迎えます。私は第3期の留学生として1974年の夏に、イギリスのアトランティックカレッジへと派遣をしていただきました。私が UWC 奨学生に応募をさせていただいたときには派遣先はイギリス校ただひとつでしたが、今では世界の8ヶ所の学校への留学が可能になり、さまざまな異文化の中での生活を通じて、高校生活の最後の2年間を過ごすことができるようになりました。今、いろんな雑誌や新聞を見ると「グローバルな人材」の必要性が叫ばれ、留学のための広告が目に付きます。私がイギリスに留学をしてからもう40年近くになりますが、私は UWC ほど、しっかりとした、そして恵まれた高校生のための留学制度を知りません。この制度に助けられてこれまで400名を超える卒業生たちが、世界の大学に進学し、社会人として巣立っていきました。

1970年代はロンドンへの直行便がなく、私や同期の日本からの留学生7名を乗せた飛行機は途中アラスカのアンカレッジで給油し、北極の上を通って早朝のロンドンに到着しました。蒸し暑い日本の夏から、いきなり朝が暗く小雨の降りしきる肌寒いロンドンの空港に降り立ったときの不安を、今でも懐かしく思い出します。その直後に知る人ぞ知る英国の食事の味に再度驚いたことも今となってはいい思い出です。

当時は留学することはかなりの冒険でした。社会もそうした学生の受け入れの準備がなく、卒業して戻ってきても門戸を開いてくれる大学は2校のみ、卒業しても職業は英語の教師をすることぐらい、といわれていました。しかし、わずか40年の間に世の中は想像をはるかに超える変遷を辿りました。昨今では逆にそうした体験をした人材が必要とされ、現実に企業が若い世代を採用する

際には海外での体験を当然の条件とするぐらいに社会も変化をしています。

日本を出発をしたときは、英語も十分にしゃべれず右も左もわからない高校生が卒業までにはしっかりと自分の言いたいことを主張できる国際人の卵に育っています。卒業したばかりの人たちに、後輩の新奨学生を送り出すための夏のオリエンテーションキャンプをお手伝い頂いていますが、面接官としてお会いした2年前と比べて大きく成長した姿にいつも驚かされます。そしてその自信にあふれた姿を見るたびに、深い感銘を受けます。多感な16歳の時に、2年間必死になって世界各国からの同僚とともに学び遊ぶことが、どれほど人間を大きくしたかをお見せするには、言葉を必要としません。

UWC を卒業してから35年、社会に出てから30年が過ぎた今、UWC の制度を振り返るとき、その素晴らしさに改めて驚きます。卒業と同時に世界のさまざまな国の大学への門戸が開かれること、そして社会に出てから実に多様な選択肢の中から自らの進路を切り開いていくことができることは、素晴らしいことです。この制度を長きに亘って支えてくださったスポンサーの方々や、UWC 日本協会の皆様に卒業生一同心から感謝をいたします。

私たち卒業生には2つの使命がある、と考えます。ひとつは UWC の卒業生として、それぞれの仕事や活動を通じて社会への貢献をすること、もうひとつはこうした体験を自分や自分の家族だけのためだけでなく、これから後に続く世代の一人でも多くに留学の機会を与えることができるようにすること、です。卒業生は UWC の制度のよき成果の象徴となれるよう、これからも努力をしていきたいと思います。

これまで40年の感謝とこれから

岡部 恵子 ( アトランティック・カレッジ 1973-1975)

UWC 経験から次の世代へむけて青年海外協力隊ボランティアを経て、途上国から世界をみた日本青年はその後何をめざすのか、グローバルな生き方を考える

青年海外協力隊と UWC ?

日本を離れて学ぶ『グローバルな生き方』とは? 『Think globally Act locally』

1992 年慶應義塾大学文学部卒、2007 年東京大学大学院国際貢献修士。UWCでの第 3 世界

理解教育と多国籍学生との生活経験から開発途上国に関心を持ち、ヨーク大学で音楽療法を学

び、企業勤務後、青年海外協力隊員としてタンザニアで2 年活動。外務省、国際協力機構、国連

等勤務を経て2003 年より現職。現在は独立法人国際協力機構(JICA)青年海外協力隊事務局の進路相談カウンセラーと

して帰国ボランティアの進路支援を行っている。

青年海外協力隊とは、日本政府が 2 国間協定によって派遣するボ

ランティアのことです。協力隊員は様々な国(約 80 か国)で色々

な職種の仕事(200 近い職種)に就いており、年間約 1200 人が

2 か月現地語などの訓練後、相手国の組織にひとりで赴任し、課

題にとりくみます(例:トンガ幼児教育、ネパール助産師、ルワ

ンダ自動車整備等)。帰国後の進路は 100 人 100様で、国際協力、

民間企業、教員、医療福祉、地域の活性化など多岐にわたり、一

人一人が異なった将来の夢を抱きます。途上国の人びとの中に飛

び込み、価値観の壁をのりこえて見えてくる『新たな世界観』がその後の人生で大きな意味を持つことを、現在、帰国

した隊員たちと共に日々実感しています。育った環境の異なる学生たちと共に 2 年間生活し生涯の友を得ることのでき

る UWC。途上国からの留学生を含む色々な国の人たちと思いをぶつけあい、一緒に力の限り挑戦する UWC 生は協力

隊よりも若い世代ですが、体験を通じて『新たな世界観』を抱くという点で協力隊と共通していると思います。

日本と逆の立場の人々と共感すると、国際感覚が変わる。『グローバルな生き方』とは『海外で何かする』ことではなく『今

いるところで世界を意識しながら、足元から行動すること』なのではないでしょうか。世界のどこからでも、未来のた

めに働きかけ、周囲を巻き込み長期的にチャレンジしようと努力することが大切だと実感しています。

未知の困難に直面しても、日本人の特性を生かしつつ、世界のどこでも、集団の中の核となって活躍できることが、グロー

バル人材として今後期待される素養であると私は確信しています。

青年海外協力隊 進路相談カウンセラー

ブラックロック・ジャパン株式会社 代表取締役社長出川 昌人

1979年オックスフォード大学卒業、仏系のソシエテジェネラル・アセットマネジメン

ト・ジャパン社長を経て2010年11月より現職

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小林 りん ( ピアソン・カレッジ 1991-1993)

明日のアジアを担う子ども達のために日本人の国際化、社会にインパクトを残せるリーダーの育成、アジアの子供たちに学ぶチャンスを!日本初の全寮制国際高等学校創設への想い

ISAK(International School of Asia)設立の想い

求められる新しいリーダー像

1998年東京大学経済学部卒、2005 年スタンフォード大学国際教育政策学修士。UWCで

真の多様性を肌で感じたことが原体験となり、大学では開発経済を学ぶ。前職では国連児童

基金(UNICEF)のプログラムオフィサーとしてフィリピンに駐在、ストリートチルドレンの非公式教育に携わる。

2008 年に学校設立を決意し、帰国。2009年より現職。

世界経済フォーラムが選ぶ「ヤンググローバルリーダーズ 2012」として表彰される。

前職(UNICEF のプログラムオフィサー)時代、貧困層の識字

率向上のために路上紙芝居などの活動の支援を行うことはやり

がいと限界を感じる日々でした。圧倒的な経済格差が存在する

国で痛感したのは、「リーダー層の意識を変えなければ国は変

わらない」ということ。UWC 時代に真の多様性を肌で感じた

経験、そして前職でのリーダー層の意識改革の必要性という気

づきから、アジア太平洋地域そしてグローバル社会のために、

新たなフロンティアを作り出し変革を起こせるリーダーを育て

ることをミッションとした ISAK の設立を決意しました。私はここ日本で、新しい時代の新しい価値観をリードで

きる人材の育成を目指し、硬直した日本の教育に風穴を開け、新たな風を巻き起こしたいと思っています。

これから益々混沌としていく世の中に、変革をもたらすことができるような人材を育てるには、活躍の舞台が世界であ

ろうと日本国内であろうと、求められる資質は同じだと私は考えます。1つ目は、多様性に対する寛容力。国籍はもちろん、

社会的、経済的に多様なバックグラウンドを持つ人たちの価値観を受け入れ、協業できることが、これからのリーダー

には不可欠です。2つ目は、リスクを取ることを恐れないこと。そして3つ目は、問題設定能力。何が解かれるべき問

題かを嗅ぎ付け、解を見いだす力です。私たちの学校ではこの3つの力を養うことを重視し、どこに行っても自分なり

のスタイルでリーダーシップを発揮できる人材を育てたいと思っています。ISAK では、日本国内、そして世界中から多

様なバックグラウンドを持つ優秀な生徒を受け入れ、1 学年 50 名の少人数教育を実現します。卒業時には国際バカロ

レア資格を取得できるため、国内はもちろん、世界中の大学に門戸が開かれる、それが私たちの学校の大きな特徴です。

インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢設立準備財団 代表理事坪内 南 ( ピアソン・カレッジ 1994-1996)

「生きる力」を創る仕事ー東北被災地からリーダーを輩出社会的ミッションをみつけることで、困難を乗り越えて、生きていく力を体現する、東北発リーダー育成プロジェクト「ビヨンドトゥモロー」

生きる力

求められる新しいリーダー像

2000 年慶應義塾大学総合政策学部卒業。2006 年マサチューセッツ工科大学都市計画修士課程

修了。マッキンゼー・アンド・カンパニー、難民を助ける会カブール事務所駐在、世界経済フォ

ーラム、バーレーン経済開発委員会などを経て、2011 年 6 月より現職。より広い社会、新しい

世界を経験し、志を持つ仲間と切磋琢磨することこそが広い視野を持つリーダーの育成に不可欠と考え、そのような機会を若い

世代が持つことが東北の復興につながると信じて東北被災地発リーダーシップ教育事業ビヨンドトゥモローの設立に参画。

社会に対する自分の使命、それが震災・津波の逆境を乗り越える

彼ら・彼女たちの「生きる力」となっています。ビヨンドトゥモロー

を通して、私はこれまでに、津波で家族を亡くし、住む場所を失い、

学び舎を失う、という壮絶な体験をした学生たちと出会ってきま

した。自分が家族を助けられなかったことを責め、生き延びたこ

とをうれしいと思えないと涙することもある学生たちとの出会い

は、多くのことを教えてくれました。ビヨンドトゥモローの学生は、

どれだけ大変な状況にありながらも、自分が「かわいそうな存在」

だとは思っていない。どの学生も、一人一人が、強い「共感力」と「使命感」を持ち、前に進もうとしています。家族を失い、

家を流され、放射能の恐怖に怯え、それぞれが困難な生活を強いられている中で、誰もが「東北の復興のために、日本

の未来のために、世界の国々のために自分に何ができるか」という意識を失わず、人のため、社会のためになる人間に

なりたいと、自分の進路を真剣に考える姿勢を忘れていませんでした。UWCで学んだ、自ら思考することの大切さが、

ビヨンドトゥモローというプラットフォームを構築する上で活きていることは疑いようがありません。  

ビヨンドトゥモローが目指すのは、「共感する力」を持ったリーダーの輩出。自分や自分の周囲にいる人のことだけでなく、

広い社会に属する人々の状況に想いを馳せ、その人たちのために行動していく力こそが、時代を切り開く上で求められるリー

ダーシップの形だと思います。ビヨンドゥモローの戸をたたく学生たちは、そのようなリーダーシップが東北の若者の多く

に存在することを証明してくれています。震災・津波という困難を経験したからこそ、他者への共感をもって広い社会のため

に行動を起こすことができる人材が出てくると信じ、そんな意欲ある若者たちに、惜しみない支援を送りたいと考えています。

BEYOND Tomorrow、一般財団法人教育支援グローバル基金、理事・事務局長

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小関 哲 ( アトランティック・カレッジ 1996 -1998)

日本の地域社会に根付き、愛されるUWC卒業生たちの試みUWC卒業生と長崎県が創りあげた「世界一の修学旅行」

UWC 卒業生たちの試み

求められる新しいリーダー像

長崎県平戸島出身、2003 年京都大学法学部卒業。2004 年に帰郷。平戸・小値賀島地域の豊

かな自然文化を舞台に新時代の価値・ライフスタイルを問う体験・交流型教育プログラムの提

供を始め、2007 年夏世界最大級の教育旅行組織「ピープルトゥピープル」が派遣するアメリ

カ人高校生 400 名の修学旅行を JTB 社と共に運営、全世界 2 万 7 千人が参加した世界 48 プログラム中「平戸・小値賀・

長崎ルート」が世界第一位の評価を受け表彰されたことが話題となった。

2012年より九州の地域活性化成功事例を東北の諸団体にノウハウ移転するプロジェクトに取り組んでいる。

このプログラムは 5~ 10 人の UWC 卒業生(18~ 25 歳程度)

を中心とするチームによって運営されています。普段は外国人と

交流することのない日本の一般市民とアメリカの高校生が寝食を

共にし、長崎の被爆者や地元高校生と戦争という難しい問題につ

いて心を開いて語り合い、国籍の違いを越えた涙を共に流すとい

うプログラムは UWC で私たちが得た経験があってこそ実現でき

るものです。地域の夏の風物詩として定着したこのプログラムは

長崎の県民一般・九州地域のキーパーソンに深く支持され愛され

ており、その運営主体であるUWC生の存在は地域社会において高い認知・評価を受けています。毎年のように長崎を訪

れ大きな責任を担って働く UWC生の中には地域の深い信頼を得て実の子供のように愛され求められる存在となった若者

もおり、UWC 生の姿に憧れ新しく UWC を目指し合格した地元の高校生(森健太君・PC09-11)もいます。UWC 生

が UWC の設立趣旨に恥じない生き方を目指す上で必要なものとは一体何なのか、そのヒントが「UWC よりも UWC ら

しい」と時に感じられることすらある私たちの島々での生活そして仕事の中に、存在しているように思えてなりません。

様々なモノや文化がゼロから生産される地域社会の現場においては恵まれた教育を受けた若きリーダーが熱望されています。

UWC 卒業生の秘める力は私たちが自覚する以上に大きく、世界でいちばんの学校に行かせてもらった私たちにはそこで知っ

た喜びを他者と分かち合う義務と欲求があります。私はこのプログラムを通して起きた一連の出来事を通して確信した「何か」

を次世代の若者たちと分かち合うため、来るべき時代の最前線にいる誇りと義務感と使命感をもって働き、将来「本当に大切

なものを学ぶための学校」を作りたいと夢見ています。かつてUWCで与えられた何かをお返しする、最高の場所の一つとして。

ナガサキアイランズスクール代表、 ソーシャルプロジェクトコーディネーター

チャールズ英国皇太子がUWC会長に就任

1988

UWCの歴史

アトランティック・カレッジがサウス・ウェールズに開校。タイムズ紙はこれを「第二次大戦後、教育における最もエキサイティングな実験」と歓迎。

1962

シンガポール・インターナショナル・スクールがUWC準会員として開校。

1971

ノーベル平和賞受賞者、レスター・B・ピアソン元カナダ首相の理念を受け継ぎ、ピアソン•カレッジがカナダに開校。

1974

アメリカ、ニューメキシコ州にアメリカン・ウェスト・カレッジ、イタリア、トリエステ近郊にアドリアティック・カレッジが開校。

1982

さらに多くの若者にUWCの経験を与えるべく、UWC短期コースが誕生。

1990

ヌール・ヨルダン王妃とネルソン・マンデラ前南アフリカ共和国大統領がUWC会長に共同就任。北欧8カ国の政府と赤十字の協力により、ノルウェーにノルディック・カレッジが開校。

1995

国際NGOによる児童支援センターを前身としたコスタリカ・カレッジが開校。紛争後の地域統合を目指し、ボスニア・ヘルツェゴビナにモスタル・カレッジが開校。

2006オランダ、マーストリヒトの既存の二つのインターナショナル・スクールを合併したマーストリヒト・カレッジが開校。

2009

インド、プーネにマヒンドラ · カレッジが開校。

1997

香港カレッジ開校。

1992

チャールズ英国皇太子及びルイス・マルカーノ・コエーリョ農学博士の尽力により、ベネズエラにシモンボリバル農業専門カレッジが開校。

1988

南アフリカのアパルトヘイト政策に対抗して、1963年にスワジランドに設立された多民族学校を前身とした南部アフリカカレッジが開校。

1981

生徒の選出を行うため各国にUWC国内委員会が設立。これら国内委員会を中心に各国でUWC設立運動が促進。

1970年代

マウントバッテン卿が初代会長に就任。「ユナイテッド · ワールド · カレッジ」と名を冠し、プロジェクトが始動。

1967

シンガポール・インターナショナル・スクールが正式にUWC会員となり、東南アジア・カレッジと改名。

1975

ベネズエラ政府の決定によりシモンボリバル農業専門カレッジが閉校、公立大学に転身。

2012

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ウェールズの西、ブリストル海峡を臨む位置に立つ十ニ世紀の古城を中心としたカレッジ。第二次世界大戦の教訓を経て、最初に作られたUWC創立校である。海難救助など、自然環境を活かした多彩なアクティビティが行われる。

アトランティック・カレッジ1962年- イギリス

United World College of the Atlantic

北欧を中心に約70カ国から集まった200人の生徒は、オスロ近郊のフィヨルドを望むフレック・フャーレルで生活する。北欧8カ国の政府と赤十字の協力により設立されたカレッジであり、社会福祉や地球環境問題を重視した教育が特徴である。

ノルディック・カレッジ1995年- ノルウェー

Red Cross Nordic United World College

学術・文化都市プーネ近郊の山々とムラ川を望む丘に位置する。生徒は中庭とベランダを持つインドの伝統的な住居に暮らす。持続的発展の追求を最重要テーマとしており、農業を営む地域社会との交流にも力を入れる。

マヒンドラ・カレッジ1997年- インド

The Mahindra United World College of India

バンクーバー島の南端、森と海に囲まれたカレッジは、元カナダ首相でノーベル平和賞受賞者ピアソン氏の意志を継承するべく設立された。ピアソン氏の理念に基づき、生徒全員が奨学金で勉強し、難民や少数民族等、あらゆる背景の生徒の受入れに努力している。

ピアソン・カレッジ1974 年- カナダ

Lester B. Pearson United World College of the Pacific

ニューメキシコ州、ロッキー山脈の中腹の町モンテズマに位置する。100年ほど前にホテルとして建てられたモンテズマ城を中心とし、その周囲に校舎や寮が置かれている。近隣の自然環境を活かしたアクティビティ、特に山岳救助活動がさかんである。

アメリカン・ウェスト・ カレッジ1982年- アメリカ

Armand Hammer United World College of the American West

コスタリカ中央部の農園地帯に立地するカレッジは、南米の恵まれない児童の保護・育成を行う支援センターを前身として設立された。授業は英語とスペイン語の完全バイリンガルで行なわれる。平和教育、多文化尊重、環境保護活動の3点に重点を置いている。

コスタリカ・カレッジ2006年- コスタリカ

United World College Costa Rica

静かな住宅街である新界の沙田地区にあり、緑に囲まれたカレッジからは、美しいトロ湾を望むことができる。授業は全て英語で行われるが、非中国語圏からきた生徒は、第2外国語として中国語を学ぶことが奨励される。地域社会に根差した社会貢献活動もさかんである。

香港 カレッジ1992年- 香港

Li Po Chun United World College of Hong Kong

シンガポール中心部に位置するカレッジは初等部・中等部・高等部からなり、UWCの中でも最も多い生徒数を誇る。その半数は通学生であり、シンガポール在住の外交官やビジネスマンの子弟が多い。各国より派遣されるUWC奨学生、高等部に属し、寮で生活する。

東南アジア カレッジ1971年- シンガポール

United World College of South East Asia

紛争の惨禍を経たボスニア・ヘルツェゴビナ再生への貢献を目的とし、2006年に開校。内戦中対立していた国内のあらゆる民族を代表する生徒に、各国からの留学生を加え、ともに学ばせることで和平教育を図る。生徒は市内の寮に住み、最新式の設備の整った校舎に通学する。

モスタル ・カレッジ2006年- ボスニア・ヘルツェゴビナ

United World College in Mostar

ラテン、ゲルマン、スラブ文化の交わる場所として、スロベニア国境近く、アドリア海に面したドゥイノ村にカレッジは建てられた。UWC初めての英語圏外のカレッジであり、イタリア語が必須科目。教室や寮は村の中に点在し、イタリア社会のなかに自然に溶けこんでいる。

アドリアティック・カレッジ1982年- イタリア

United World College of the Adriatic

マーストリヒト市東部に位置し、その都会環境を活かしたコミュニティ・サービスがさかんである。これらには学生のみでなく教師も参加し、オランダ教育省と協力しながら、オランダ随一のコミュニティ・サービス・センターとして展開していく予定である。

マーストリヒト・カレッジ2009年 - オランダ

United World College Maastricht

アパルトヘイト政策に対抗して1963年に設立された多民族学校を前身とし、1981年にUWCとなった。近年では内戦や内戦後の状況にあるアフリカ各国からの生徒の受入れに主眼を置き、これら地域の平和を実現するリーダー育成を目指している。

南部アフリカ カレッジ1981年- 南アフリカ

Waterford Kamhlaba UWC of Southern Africa

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カレッジ紹介

一面の緑に、真っ白な羊の群れのコントラスト。ブリストル海峡から

の優しい潮風が頬を撫でる。世界で一番ゆったりとした時間が流れて

いるだろうここ西ウェールズには、世界で一番賑やかな空間がある。

それが、格式高いSt.Donats 城を校舎に持つアトランティック・カレッ

ジ。今年もこのハリーポッターのような世界で90 か国にものぼる国々

から個性豊かな 300 人が集まり、国籍、年齢、性別、宗教、経済的

背景の「違い」に直面する。そんな違いを互いに認め合い最大限に生

かそうとする所がアトランティック・カレッジの魅力的な所です。

ピアソン・ カレッジLester B. Pearson United World College of the Pacific

アドリアティック・ カレッジUnited World College of the Adriatic

朝、村のバルで買ったカプチーノを片手に授業の行われる建物に

急ぐ途中、“Buongiorno!” と元気よく地元の住民に挨拶して一

日が始まる。ベネチアから約 2時間の、アドリア海に面したドゥ

イノ村。村中に寮や学校の建物が点在しており、村コミュニティー

とカレッジが統合されており、キャンパスがないカレッジ。それがアド

リアティック・カレッジです。授業は英語で行われるけれどイタリア語

も必修。イタリア出身の生徒は減ってしまったものの、重点の置かれ

ている奉仕活動や、住民との道端での会話を通して地域との交流が深

く、イタリアの都市やスロベニア・オーストリアへ週末に旅行もで

きます。学校内外でイタリア・ヨーロッパ文化に触れる機会が

多くあるのがアドリアティック・カレッジの魅力です。

前には広大な海が広がり、後ろには青々とした森林が生い

茂る、そんな自然に囲まれた中にあるのが、ピアソン・カ

レッジ。芝生の上でウクレレを演奏したり、週末友達とカヌー

に乗って近くのマリーナにコーヒーを飲みに行ったり、森に木の実を

摘みに行く事も。晴れの日は青空の下で授業。アクティビティーでは

カヤックや登山などカナダの大自然を活かした活動が盛んであると同

時に地域との交流を深めるため地域の奉仕活動にも力を入れていま

す。そんなのびのびとした大自然の中で、86ヶ国から

集まった違う意見、価値観を持った生徒が共

に学び、刺激し合い、お互いに日々成長してい

るのがピアソン・カレッジの魅力です。

アトランティック・カレッジUnited World College of the Atlantic

アメリカン・ウェスト・カレッジArmand Hammer United World College of the American West

ニューメキシコを象徴する真っ青な空、カウボーイが駆け巡る砂漠の中に輝く緑、まるで映画の

ような風景の中に私たちの拠点、モンテズマ城は位置しています。広大な

自然を舞台に 80ヶ国からの仲間たちとの厚い信頼関係を築く山岳

活動、そしてグランドキャニオンの旅なしにはアメリカン・ウェスト・

カレッジを語れません。町に出るとスペイン語の看板も多くヒスパ

ニックやネイティブアメリカンの文化の影響も感じられます。お腹を

空かし、食堂のあるお城を目指して 150段の階段を息を切らして駆け

上がる。シェイプアップになると思いきや、ハンバーガーとフライドポ

テトを目の前にして人生がそんなに甘いわけがない。忙しい中でもときに

は温泉でゆったりと。それがアメリカン・ウェスト・カレッジの魅力です。

マヒンドラ・ カレッジThe Mahindra United World College of India

インドは一言でいうと、カオス。街に出ると、人、動物、乗り物すべてが活動

していて、とても賑やかです。この喧噪から離れつつ、共存をなし得ているのが

マヒンドラ・カレッジ。学校周辺は自然豊かで、美しい野生の孔雀を目にする事

もでき、授業に行けば異なった考えを持つ友達にあっと思わされたりする。国際的

な環境を実現しつつ、インドという国を感じる事ができ、自然の中にありながら街

に接している。すべてのものが共存する世界、それがマヒンドラ・カレッジの魅力です。

日本人在校生

日本人在校生

日本人在校生

日本人在校生

日本人在校生

Page 8: UWC at 50, Celebrate with ActionCelebrate with Action UWC開校50周年・UWC日本協会設立40周年記念 1962 1974 1981 1982 1992 1995 1997 2006 2012 2009 1975 16 1 プログラム

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UWC卒業生会の想い

UWCの 2年間は、我々の生き方や、考え方に大きく影響を与えてくれました。

その意義は卒業生毎に異なるはずですが、感動したこと、楽しかったこと、苦労したこと、頑張ったこと、そして寝食

をともにした世界各国から集まってきた友人たちの存在、それら全てが詰まった 2年間が自分を成長させてくれた素晴

らしい経験であったことを否定する卒業生はいないと思います。

卒業生は、個々が様々な考え方を持ち、その生き方も多様性に富んでいます。

しかし、多様性を受け入れ、その機会と接する最高の場であったUWCへの留学体験を共有するUWC卒業生同士の会

話や議論は、連帯感を持ち合わせている気がします。世代やカレッジの壁を超えたUWC卒業生会でのいろいろな議論

や活動は、学生の私にとって、とても貴重な刺激となっています。UWC卒業生が卒業後も、その活動に触れ、卒業生

同士の交流を促しながら、UWC日本協会へのお手伝いを軸に、UWCの活動を広げる拠点として、卒業生会は存在・

活動しています。

また、多少、UWCの活動と疎遠になっていても、UWCの事を思い出した時に、「お久しぶり!」と気軽に顔を出せる

ような卒業生会にしていきたいと思っておりますので、卒業生の皆様には、母校であるUWCへの支援とともに、日本

卒業生会の活動にもご協力頂けます様お願い申し上げます。

UWCの素晴らしさをより多くの人に認知してもらい、チャレンジ精神にあふれた多くの日本の高校生が世界へ飛び出

す事が出来、更にUWCへの留学という機会が発展していくよう、私自身も一卒業生として力になり続けたいと思います。

【卒業生会 年間行事】4 月 選考会5月 新奨学生決定6月 激励会AGM(卒業生が集まり活動報告を行う総会)8月 オリエンテーションキャンプ12月 忘年会1月 説明会

選考会、激励会、説明会では、学生・社会人問わず多くの卒業生がUWC日本協会のお手伝いをボランティアベースで行っ

ております。又、6月に開かれる卒業生会の総会、通称AGM(Annual General Meeting:年次総会)では、その年の

卒業生会会費の使用状況や、各イベントの活動報告を行っております。12月の忘年会では Fund Raising(寄付金集め)

を行う等、卒業生会はUWCの活動を広げる拠点として活動をし、繋がりを深めております。

桶原 葵2012 年度学生代表

(公社)ユナイテッド・ワールド・カレッジ日本協会 会員企業

朝日生命保険

ADEKA

伊藤忠商事

鹿島建設

キヤノン

関西電力

キッコーマン

小松製作所

清水建設

昭和シェル石油

新日本製鐵

JXホールディングス

住友化学

住友商事

全日本空輸

ソニー

ソニー・ミュージックエンタテインメント

第一生命保険

武田薬品工業

DIC

大和証券グループ本社

東京海上日動火災保険

東芝

トヨタ自動車

日清製粉グループ本社

ニフコ

日本軽金属

日本生命保険

日本ゼオン

日本電信電話

日本通運

日本郵船

野村ホールディングス

パナソニック

日立製作所

富士ゼロックス

富士通

富士電機

古河機械金属

本田技研工業

みずほフィナンシャルグループ

三井住友銀行

三井不動産

三井物産

三菱商事

三菱重工業

三菱地所

三菱電機

三菱東京UFJ銀行

横浜ゴム

個人会員

(株)ネットプライスドットコム 佐藤 輝英 ( アドリアティック・カレッジ 1991-1993)

2012年 9月 10日現在(敬称略・順不同)

[ 50 社 ]