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No.45 June 2019 発行:公益社団法人 ユナイテッド・ワールド・カレッジ日本協会 開校 10 周年を迎えたオランダ校と同校で開催された日本文化紹介イベント CONTENTS 巻頭言 ----------------------- 3 2019 年度派遣生名簿 ------------ 4 2018 年卒業生の声 -------------- 5 2018 年度 日本協会の活動 -------- 21 特別寄稿 ---------------------- 22 UWC卒業生便り 琳子(イギリス校 2009 年卒) 吉野 真規(カナダ校 2010 年卒) UWC派遣生の推移、UWC卒業生の進学先 - 23 UWC日本協会会員企業、最近の動向--- 24 UWC/UWC日本協会について UWC(ユナイテッド・ワールド・カレッジ、本部:ロンドン)は、世界 155 以上の国から選抜された高校生を受け入れ、 教育を通じて国際感覚豊かな人材を養成することを目的とする国際的な民間教育機関です。現在までに、イギリス、 カナダ、イタリア、アメリカ、香港、ノルウェー、オランダ、コスタリカ、ドイツ、アルメニア、中国等、17 の国・地域にカレッ ジ(高校)が開校されています。わが国でも、UWCプロジェクトの趣旨に賛同して、経団連の協力のもとに、1972 年9 月に「UWC国内委員会」が設立され、同委員会は、1975 年 2 月に社団法人格を取得して「社団法人ユナイテッ ド・ワールド・カレッジ(UWC)日本協会」に改組されました。2012 年 4 月 1 日には、公益社団法人に移行し、UWC のカレッジに派遣される奨学生の選考、奨学生に対する奨学金の支給、UWC事業の日本への紹介等の事業を行 っています。

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No.45 June 2019

発行:公益社団法人 ユナイテッド・ワールド・カレッジ日本協会

開校 10 周年を迎えたオランダ校と同校で開催された日本文化紹介イベント

◆ CONTENTS ◆

巻頭言 ----------------------- 3

2019 年度派遣生名簿 ------------ 4

2018 年卒業生の声 -------------- 5

2018 年度 日本協会の活動 -------- 21

特別寄稿 ---------------------- 22

UWC卒業生便り

呉 琳子(イギリス校 2009 年卒)

吉野 真規(カナダ校 2010 年卒)

UWC派遣生の推移、UWC卒業生の進学先 - 23

UWC日本協会会員企業、最近の動向 --- 24

UWC/UWC日本協会について UWC(ユナイテッド・ワールド・カレッジ、本部:ロンドン)は、世界 155 以上の国から選抜された高校生を受け入れ、

教育を通じて国際感覚豊かな人材を養成することを目的とする国際的な民間教育機関です。現在までに、イギリス、

カナダ、イタリア、アメリカ、香港、ノルウェー、オランダ、コスタリカ、ドイツ、アルメニア、中国等、17 の国・地域にカレッ

ジ(高校)が開校されています。わが国でも、UWCプロジェクトの趣旨に賛同して、経団連の協力のもとに、1972 年9

月に「UWC国内委員会」が設立され、同委員会は、1975 年 2 月に社団法人格を取得して「社団法人ユナイテッ

ド・ワールド・カレッジ(UWC)日本協会」に改組されました。2012 年 4 月 1 日には、公益社団法人に移行し、UWC

のカレッジに派遣される奨学生の選考、奨学生に対する奨学金の支給、UWC事業の日本への紹介等の事業を行

っています。

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令和の時代に自分の土台を作り上げてほしい

UWC日本協会会長(朝日生命保険最高顧問)

藤田 讓(ふじた ゆずる)

今年 5 月から新しい元号「令和」の時代になりました。天皇陛下の即位にあわせ新た

に元年からカウントを始める元号という仕組みは、西暦などのように絶えず年数が増え続

ける紀元とは異なった年の数え方で、実は現在の世界では比較的珍しいタイプのもので

す。また、世界各国の生徒が集まる UWC カレッジでは、仏暦で育ってきた東南アジアの

人、ヒジュラ暦で育ってきた中東の人に出会うことでしょう。年の数え方ひとつをとってみ

ても、世界の多様性を実感できるかもしれません。

令和の由来は万葉集の一節であると発表されましたが、中国の古典にも同様の表現

があるという指摘があります。両者の関係は定かではないものの、当時はちょうど中国を

手本に学問や宗教など多種多様な事柄を学び、貴族にとって中国の書物や詩歌に関

する知識は基礎教養とされていた時代です。そのため、何らか影響があるのでは、という

考え方はあながち的外れではないように思います。

昨今、今までにない新しい価値を生み出す創造性を備えた人材が重要という指摘が

ありますが、全くの白紙から何かを生み出すことは簡単ではありません。そこで役に立つ

のは先人の知見です。特にこれから「決められた答えがない問題」に直面した時に、これ

までの学びを土台にアレンジを加え、自分なりの答えを作り上げるアプローチは、きっと役

に立つことでしょう。その意味では、みなさんには様々な教科での学びを通じて得られる、

歴史的に蓄積された知を大事にしてほしいと思います。

平成の約 30 年間を振り返ってみると、伸び悩む経済や相次ぐ災害など、日本は長ら

く厳しい冬の時代にあったように思います。しかし私は、平成から令和への移り変わりは、

まさに季節の変わり目になるのではないかと考えています。厳しい冬の終わりに凍土を割

るのは、みなさんのように若くエネルギーに満ち溢れた新芽です。新しい時代を担うみな

さんがこれからの 2 年間の UWC カレッジ生活で様々な知見を得たうえで、将来、それら

をご自身の夢や希望の実現に役立てることを願っています。

巻頭言

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◆ 2019 年度UWC派遣生名簿 ◆

UWC Atlantic College(イギリス校)

小宮コ ミ ヤ

南泉ミ ナ ミ

開智高等学校

廣ヒロ

幡ハタ

絢子ア ヤ コ

学習院女子高等科

古畑フルハタ

香琳カ リ ン

白百合学園高等学校

Pearson College UWC(カナダ校)

泉イズミ

桜子サクラコ

洛南高校

竹迫タケサコ

律リツ

貴キ

麻布高等学校

UWC Adriatic(イタリア校)

淺アサ

野ノ

智チ

穂ホ

桜蔭高等学校

山ヤマ

﨑ザキ

凪紗ナ ギ サ

市川高等学校

UWC-USA(アメリカ校)

上野ウ エ ノ

啓ケイ

太タ

浅野高校

坂崎サカザキ

多笑タ エ

徳島県立富岡東高等学校

Li Po Chun UWC(香港校)

植村ウエムラ

ゆり 香カ

東京大学教育学部附属

中等教育学校

沼本ヌマモト

宜子ノ リ コ

藤女子高等学校

UWC Red Cross Nordic(ノルウェー校)

佐藤サ ト ウ

りん 神奈川県立湘南高等学校

UWC Maastricht(オランダ校)

遠藤エンドウ

ゆみか 東洋英和女学院高等部

鈴木ス ズ キ

克カツ

崇タカ

開成高校

UWC Costa Rica(コスタリカ校)

小島コ ジ マ

千依チ イ

佐賀県立佐賀西高等学校

竹内タケウチ

響ヒビキ

茨城県立並木中等教育学校

UWC Robert Bosch College(ドイツ校)

鬼木オ ニ キ

優里ユ ウ リ

広島女学院高等学校

UWC Dilijan(アルメニア校)

指サシ

岡オカ

真シン

太朗タ ロ ウ

福井県立藤島高校

徳永トクナガ

フリージア 須磨学園高等学校

UWC Changshu China(中国校)

岩見イ ワ ミ

春佳ハ ル カ

浦和明の星女子高等学校

鶴ツル

結花ユ イ カ

熊本県立熊本高等学校

*個人情報につき、お取扱いには充分ご注意願います。

一次選考受験人数

国立 公立 私立 計

男子 3 15 32 50

女子 7 14 48 69

計 10 29 80 119

(人) 二次選考受験人数

国立 公立 私立 計

男子 2 5 12 19

女子 3 5 16 24

計 5 10 28 43

(人) 最終派遣人数

男子 4

女子 17

計 21

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◆ 2018 年 卒業生の声 ◆

UWC Atlantic College(イギリス校)

UWC とは

池田 ひとみ

UWC とは、二年間という短い期間の中で計り知

れない数々の発見、出会い、感情、失敗を体験

できる場所であると私は思う。国、人種、宗教が

違えど、ホームシックになり、天気のいい日にはピ

クニックを楽しみ、試験前は不安になる。出会っ

た際には”イギリス人”、”ロシア人”であった”外国

人”は私の中でいつの間にか”マディー”、”ダシャ”という名前の、私と何一つ違わない高校生の女の

子になっていた。イギリス校は、90 か国以上から

の生徒が集まってくる学校で沢山の出会いがある

が、学校外の人との出会いも豊富にあり、そこから

得られるものも大きかった。難民の方に英語を教えた際は、厳しい状況の中でも前を向

き続けている彼らを前に、英語が苦手だからと、くよくよする自分が恥ずかしくなった。家

族が行方不明になる、銃で撃たれるなど、日本ではまず起こらないであろうトラブルが友

達の家族に起きた話を聞き、彼らの痛みを想像してひとり泣いたこともある。それらは、

自分がいかに恵まれているかに気付き、その立場を活かして私に出来る事が何かない

かと考えるきっかけになった。UWC での二年間で、教育が与える影響の大きさを実感し、

卒業後は、教育問題や未来の社会に適した教育システムなどについて学ぼうと考えて

いる。

* * * * *

世界が広がった 2 年間

喜舎場 朝基

2016 年8月16日私は期待と緊張の中、イギリスのヒースロー空港に着きました。そこ

で、最初に同級生達からかけられた言葉は「君のために 3 時間も待ったんだよ。」でし

た。そこから、私のイギリス校での 2 年間が始まりました。この 2 年間を通して、様々なバ

ックグラウンドを持つ友達と出会いことができました。

空港で一番初めに出会い、そして 1 年間ルームメイトだったシリア人からは多くのこと

を学びました。難民としてレバノンにいたり、スナイパーから狙撃されたりと、私がとても想

像できない世界を彼は生きていました。ロシア人の友からは「もっと自分の主張をしろ、自

分の意思を明確にしろ」と言われ、よく喧嘩もしました。コンゴ人の友達からは、初めてコ

雪の日に

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ンゴ内戦について聞き、自分自身いかに世界を

知らなかったのか痛感しました。こうした仲間た

ちと、コモンルームで深夜まで政治や宗教の話

をしたり、キャンプに行ったり、ともに授業で議論

したり、時には喧嘩をしたこの経験は、私の世界

を広げてくれました。

もちろん、最初は英語が通じず泣きそうにな

ったこともありました、しかしイギリス校で 2 年間

過ごせたことは私にとって、多様性の面白さ、大

切さを教えてくれたと思います。最後にこのような、素晴らしい機会を下さった、日本協

会の皆様に心より感謝申し上げます。

* * * * *

夢の実現と現実の夢

白石 菜織

UWC の留学は私の夢だった。だから、その夢

が実現したときは意義ある2年間にしようと身の

引き締まる思いだった。同時に、不安も大きかっ

た。実際に、数々の試練が私を待ち構えてい

た。必死にもがき続け、挫折を幾度も繰り返しな

がら、試練を一つ一つ乗り越えて来た。その過程

で大きかったのは、仲間の存在である。プレッシ

ャーに押しつぶされそうになったときは、励まし合

いながら、共に成長し強くなった。仲間と一緒に

創った心地よい環境の中で培った友情は、何物

にも代えがたい財産になった。

最も印象的だったのは、CAS(Creativity, Activity, Service:課外活動)の社会奉仕

活動である。私はカーディフの難民センターやブリッジェンドの知的障害者施設に通っ

た。そこでは、単に無償の援助という姿勢が求められているわけではなく、彼らにとって私

自身がどのような存在であるべきかを求められた。奉仕活動の在り方を深く考えさせられ

るとともに、自分の将来を考えるきっかけになった。

人生の多感な時期に経験した UWC の留学は、私にとってかけがえのない特別なもの

になった。多くの皆様に2年間の UWC 生活を支えていただき、感謝申し上げます。あり

がとうございました。

* * * * *

ブリストルにて

卒業式のパフォーマンスにて

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数学で芽生えた友情

薮田 隆司

この人に共感することは絶対にできない。そう心の底で感じたのは、食堂で中国人の

友達とお互いの国の政策について話し合っていた時でした。受けた教育が違うために、

同じ歴史的事件の話をしても解釈が違うことがUWCでは珍しくありません。彼との議論に

苛立ちを感じていましたが、熱く口論しても平行線になることは分かっていたので、相手

の意見を尊重してその話題を終えました。

以前は、意見が相入れない時点で相手を避けていたのですが、UWCではどんな相

手とも共同生活せざるを得ないので、できる限り理解するように努めることにしました。先

ほどの中国人の友達とは、幸運にも数学への熱を共有できました。UWCには文系の学

生が多いため、理系の学生に対する援助が足りていないのではないかと二人で話し合

い、数学教師を顧問にして、数学モデル部を設立しました。毎週話す数学の話題を決

めたり、他のUWCと共同で数学コンテストを立ち上げたりしたことはいい思い出です。

UWCでは文化的な違いを乗り越えて深く繋がるという経験を沢山させていただきまし

た。UWCで培った目を将来に役立てていきたいです。日本協会特別奨学金を出資して

くださったゴールドマン・サックスの村田様、経団連の事務局様、ご支援ありがとうござい

ました。

Pearson College UWC(カナダ校)

「素の自分」でいること

香村 巴月

カナダについて一日目、私は自室で号泣していた。地元で典型的な優等生だった私

は、カナダでもうまくやれるだろうという謎の自信を抱いていたのだ。しかし、その根拠のな

い自信は一瞬にして崩れ去った。簡単な質問ですら聞き取れない、わからない。授業で

当てられても何も答えられず、ただただ下を向いていることしかできなかった。楽しみにし

ていた寮生活では、ルームメイトとまともに会話を交わすことすらできず、悔しい思いをし

た。にも関わらず、変なプライドが邪魔をしてなかなか周りに頼ることもできなかった。

悪夢のような数か月が過ぎ、ふと気づくとカナダ校での生活を楽しんでいる自分がい

た。周りの人に低く見られたくないというプライドを捨てたことで、わからないことは素直に

卒業式にて お気に入りの数学のクラスの最後の授業にて

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質問できるようになった。そうすると、逆に周りも私

に話しかけてくれるようになった。楽しむときには目

一杯楽しんで、辛い時には支えあって、何でも話せ

るような一生ものの友達もできた。どんどん毎日が

充実していって、笑顔も増えた。大嫌いだった場所

が自分の第二の家に変わった瞬間だった。卒業し

た日、私は大好きな友達に抱きしめられながら彼

らとともに号泣していた。カナダ校での2年間は、か

けがえのない大切な宝物として、今でも私の心の

支えになっている。

* * * * *

弱者になるということ

高橋 悠貴

‘That‘s awesome!’

‘……what does awesome mean?’

今でも覚えている、授業初日の友達との会話。私がカナダ校で直面したのは圧倒的

な言語の壁だった。他人が何を言っているかも、自分の考えをどう言うかもわからない。

幼稚園児にでもなったような気分だった。

思うと私は、弱者になったことが一度もなかったのだ。日本でそこそこ勉強もできて、

大きな苦労もなく育ててもらえた。だからこそ、カナダ校のコミュニティの中で最弱者だと

いう意識は私を怯えさせた。周囲から迷惑に思われるのではないかと怖かった。

でも私の不安は杞憂だった。友達は英語が分からないときいつも快く説明してくれた

し、日本人のコーイヤーと一緒に号泣した時には先生が辛抱強く支えてくれた。私を受

け入れてくれたのは生徒や先生だけではない。寮の掃除スタッフとは、手作りお菓子を

交換したり人生の相談をしたりする友達になった。英語ができないという弱者のレッテル

で私をバカにする人はひとりもいなかったのだ。

カナダ校でもらったたくさんのやさしさと支えによって、今の私はある。自分がしてもら

ったように、困っている人に対等の立場で手を差し伸べられるようになることが、これか

らの私の目標で恩返しでもある。

最後に、この機会をくださった皆様に深く感謝申し上げます。

集合写真 プロジェクトウィークにて友達と

学校入り口での一枚

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UWC Adriatic(イタリア校)

trem.

楢崎 翔子

「トレモロ」とは、同音または異なる和音を小刻みに反復しながら持続させる演奏法で

ある。その中でも斜線三本の上に trem.と書かれたトレモロは「なるべく細かく刻む」という

意味を持つ。

改めて UWC での二年間に思いを馳せると、ふとした瞬間が脳裏に浮かぶ。イラク・ア

ルメニア人のルームメイト、エジプト人のルームメイトと私の三人で揃って昼寝をした昼下

がりや、反対に寝る間を惜しんで世界情勢を語り合った夜。メンサ(食堂)のハンバーガ

ーが大好きなドイツ人の友達と、アドリア海を一望できる非常階段の特等席でハンバーガ

ーを頬張る水曜日があれば、毎週水曜日だけ割引になるピザを中国人の友達と精一杯

のイタリア語で注文し達成感を得る水曜日もあった。Porto(港)で水面に映える鮮やかな

夕焼けをジェラート片手に眺める時間も、門限に間に合ったと安堵の息を漏らしながら満

天の星を見上げる瞬間も、ちょっとした幸せを感じられるかけがえのない時間であった。

与えられた二年間を過ごすペースやスタイルは十人十色であったと、今あの時の日

常を振り返って気付く。いわゆる「UWC 経験」に絶対的な定義はない。共通していたの

は、各々が全力で毎秒毎秒を刻んでいたことだけだろう。

UWC の二年間で刻んだトレモロを、皆は今後の人生にどのように組み込み、これから

どのような音色を奏でるのだろうか。再開しお互い聞かせ合う日が今から楽しみである。

最後に、このような機会を与えてくださった皆様に心から感謝申し上げます。

* * * * *

できない、できる

難波 拓人

“Would you like to have a toast?”

カレッジに到着して 30 分後にルームメイトから発せられた一言。僕はこれを聞き取る

ことができなかった。あの日はこれが原因だったのか、あるいは初海外での緊張か、朝の

Peace One Dayにてドームメイト達と 地元の学生オケの演奏会

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4 時まで寝ることができなかった。

僕にとって UWC での寮生活とは、本当の uncomfortableness を知ることだったのかな

と今になって思う。これまでの人生でとりたて苦労したことがなかったために、カフェテリア

での会話一つ満足にできない状態が本当に腹立たしかった。

でもその期間を乗り越え、世界各国から来た同世代の仲間と協力し色々なことを成し

遂げた時には言葉にできない満足感があった。特に Peace One Day というダンスショー

のイベントの企画運営代表に挑戦したことは自分の成長に大きくつながったと思う。UWC

は僕に”できない”が”できる”に変わる原体験をさせてくれた。こんな場所で2年間過ごせ

て僕は本当にラッキーな人間だろう。

最後に、派遣してくださった日本協会と関係者の皆様、また両親に感謝申し上げます。

ありがとうございました。次の4年間はアメリカのカレッジで学問に励みたいと思います。

UWC-USA(アメリカ校)

多様性の価値

井坂 鼓地

生態系は、多様であればあるほど安定している。それを学んだのは、アメリカ校での授

業のひとつ、Environmental Systems and Studies(環境学)でのことでした。すべての作

物が同じ遺伝子を持っていては、干ばつなどで環境が変化したときに一斉にだめになり

ますが、多様な種が混在していると、気候の変化や病害虫の発生にもいくつかは生き残

り、適応して栄えていきます。ひとつの水源が干上がってしまえばそれまでですが、いくつ

もの水源があれば、万一ひとつが使えなくなっても生きてゆけます。様々な面において、

多様性が高ければ高いほど、変化に対する適応力、抵抗力が強くなるのです。

同じことは、人の社会に当てはめてもいえるはずです。多様な衣食住文化、価値観、

政治や経済のありかた、言語、宗教などをみても、ひとつに縛ることなく混在させること

で、結果的に社会全体の持続性が高まるのではないかと思います。そして、それがいか

に難しいことか。UWCで過ごした2年間は、その難しさと美しさとを些細なことに痛感する

ボートからの一望。海も夕陽もとても

綺麗でした ルームメイトとの写真

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日々でした。

現在は、日本を含め世界中で失われつつある固定種や在来種の種を継ぐことを目指

して、農学を学んでいます。在学中にネイティブアメリカンの人々によって設立されたシ

ードバンクを訪れたことが、種や作物の遺伝的多様性の保全に興味を持つきっかけにな

りました。UWCで学んだ「多様性の強さ」を活かして、微力ながら次世代に貢献するべく

精進してまいります。

* * * * *

あの夜僕らはきっと星に一瞬届いたのだから

河村 健

ニューメキシコ州の空をふと見上げると、宇宙を

感じる青さに魅せられたのは、私だけだろうか?そう

いえば、あの夜は雲ひとつさえなかった。ただ満天

の星空に僕らは静かに力一杯叫んでいたんだ。な

ぜだかとっても理由の分からない不安に襲われた

夜だった。

皆が寝静まる中、翌日を気にせずに親友の彼と

卓球を朝までする事にした。ささやかな反抗だ。卓

球が出来る建物に移動している時、なんだかんだこ

の空が恋しくなるのだろうと思いふと彼に聞いてみ

た。「いつかあの星に届くのかな?」彼は雪解け水を思わせる碧眼でずっと星空を見据

えて言った。「届くさ。諦めなければ、いつの日か」

その夜、夜風の肌寒いニューメキシコで二つの右手が力強く天に突き上げられてい

た。まっすぐに星たちを目指し。その夜、僕らの右手は「その時」をしっかり握りしめていた。

卓球を終わらせ、日の出に合わせて僕は裏山のお気に入りの場所に行った。30分も

かかった登りもなぜだか苦に感じなかった。でもロッキー山脈を背に砂漠にポツリとある

湖に反射する朝日を見た時なぜだか分かった気がした。だって、あの夜僕らはきっと星

に一瞬届いたのだから。

ほら、もう次の夜空が誰かとともに僕を呼んでいる。

友人と アメリカ校のファームにて

キャンパスでの夜空

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Li Po Chun UWC(香港校)

百聞は一見に如かず

土手 愛未

「百聞は一見に如かず」UWC 香港校での

生活はまさにこの言葉があてはまるだろう。

UWC 香港校に行く前は UWC のミッションや

先輩方の経験談などから自分の UWC 生活

を想像し胸を高鳴らせていた。でも、実際行

ってみると全てが全て想像通りではなく予想

をいい意味で裏切られた。

英語がなかなかできなくて思うようにでき

なかったり、プロジェクトウィークで訪れた中

国では日本人だからという理由で入店禁止

にされたりと楽しくない思い出もたくさんある。でもこれら

の嫌な思い出を含むたくさんの経験は、UWC 香港校

に行かなければできないものだったし、聞いてるだけで

は分からないものだった。そして、その経験を糧にして

今の私がいると思う。でも、この貴重な経験が得られた

のは自分から飛び込みに行き、かつ周りの人のサポー

トがあったからだ。

これからも、「百聞は一見に如かず」の言葉の通り、

自分から色々な事に巻き込まれに行って様々なことを

学んでいきたい。

最後に、UWC 日本協会、経団連の皆様に深く感謝

申し上げます。

* * * * *

Art of Friends

丸山 真由

太陽が照りつけるプールサイドで写真を撮った日を

思い出す。私はカメラを構えていて、友達はプールサイ

ドで 2 枚の濡れた布の間に横たわっていた。私のカメ

ラは愛用の iPhone だったし、シースルーの布も実は私

の部屋のカーテンだった。私のビジュアル・アーツの作

品制作に付き合ってくれた彼女は、「きっといい作品に

なるよ」と言ってくれた。

UWC香港校での経験の中で、友達との思い出は一

際輝いていると思う。香港に来る前、UWCは「世界 80

ヶ国から集まった生徒」とともに学ぶ憧れの場所だっビジュアル・アーツのメンバ

Graduation dinner

ドラゴンダンス

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た。しかし、実際彼ら一人ひとりを知り、同じ時間を過ごすことはそれ以上の楽しさや喜

びがあったと思う。

私があの日友達と共に作り上げた作品は、今は香

港のある人の元にある。ビジュアル・アーツの最終試

験であるエキシビションに出展した私の作品を買って

くれた人がいたのだ。誰かは「UWCははかない夢の

ようなものだ(UWC is the bubble)」と言った。しか

し、私の作ったあの作品は確かに、UWCの枠を超え

て誰かに影響を与えたのだ。

あの日々と前へ進む彼らが、今でも私を後押しし

てくれている。

最後に、経団連、日本協会の皆様に厚く御礼申し

上げます。

UWC Red Cross Nordic(ノルウェー校)

UWC で得られた気づき

山下 千怜

“When you come to UWC, you will be

patriotic.” と始めの頃に先生に言われた。だが

海外に強い憧れを持ち続けやっとの思いで留学

したので、初めはこの言葉の意味を理解できなか

った。

ノルウェー校は空港からバスとフェリーで3時間

半ののどかな村にあり、そこでの数々の経験は私

の人生の財産だ。ここでは難民シミュレーションや

障がいを持った方との交流といった赤十字社に

関連した活動を多く行った。

しかし、最も刺激を受けたのは生

徒たちの話だ。カンボジア出身のル

ームメイトから幼い頃に地雷で片足

を失い義足をつけた話やチベット出

身の友人からより良い教育制度を

受けるために 8 歳の時にインドに送

られ、以来家族とは会えないという

話を聞いたりした。そこで、彼らの生

きる強さに圧倒されたと同時に、自

分が日本でいかに恵まれた暮らしを

友達に手伝ってもらい制作した作品

Christmas Party にて

カヤックでフィヨルドから大西洋へ

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していたのかということを深く実感させられた。また日本が好きな生徒が予想に反して多

かったこともあり、日本について客観的に調べるうちに自国を誇りに思うようになった。そ

して今ではノルウェーでの経験を生かし日本に貢献したいと考えている。

このような貴重な機会を与えてくださった経団連並びに日本協会の皆様に深く御礼

申し上げます。ありがとうございました。

UWC Mahindra College(インド校)

UWC と Community の縁

竹内 純平

Community という言葉は UWC マヒンドラカレッジにおいて学校の生徒、教師、スタッフ

以上の重要な意味を持つ。インド辺境の数々の小さな村が点在する峡谷にあるキャンパ

スは時に Middle of Nowhere と表現されるが、実際はその村々の住人に見守られた温

かい場所なのだ。

卒業式から一夜が経ち、友人等が皆キャンパスを去った後、自分は一人キャンパス

に残っていた。自分が続けてきた活動を遂げるための決断だったが、思い出が残る場に

一人佇むと、大変なる空虚感に襲われるものだ。その虚しさを支えてくれたのが、二年

間見守ってくれた Community であった。

卒業式後の 5 日間、現地での様々な活動を支えてくれた NGO-Akshara が無償で

村隣接のアパートを提供してくれた。Akshara の顔馴染みのスタッフ達は、頻繁に私を

訪問し、様子を伺ってくれた。ホームステイ等で知り合った現地の友人等に誘われ、食

事は彼らの家で頂いた。アパート、キャンパス、村を行き来する際には、道を通りかかっ

た仲の良いキャンパスの現地スタッフがバイクで送迎してくれた。

インドに渡る前に先輩に言われた言葉を思い出す。「MUWCI はね、インドのインパクト

が強すぎて UWC 感薄まるよ」と。彼が言っていた事は、UWC での経験というのは世界

中から集まる若者達と交流する事で得られるものだけでなく、所在地の温かいサポート

が共にあってこそ学べるものでもあるという事ではないだろうか。

* * * * *

卒業式後、現地の友人と ルームメートとサイクリング

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恩返し

圓子 ちとせ

「今日どうだった?」−私のルームメイトは部屋に

戻ると必ずこうきいてくる。また、二言目には「何か

わからない授業あれば、なんでも教えてあげる」と

言い、機嫌が良いと彼女のお気に入りのチョコレー

トをくれる。私はそんな少々お節介焼きの彼女に

大いに救われた。

英語を話せず人と話すのを避けていた中、彼

女が根気強く話しかけ続けてくれることで英語の

壁を乗り越えることができた。それをきっかけに、

交友関係は広がり、授業中や食事での議論にも積極的に参加できるようになり、私の生

活は見違えるほどに楽しく、充実したものとなった。

一年前の卒業式。私は彼女に感謝を伝えるとともに、恩返しができず申し訳ないと伝

えると彼女はこう言った。

「目の前に困っている人がいたら助けてあげればそれでいい。私も色々な人に助けを

受けてここまできたから。」

彼女だけではない。家族、友人、先生、協賛企業の方々や旅先で出会った人々−数

え切れない方々の支えを受けて、最高の二年間を過ごすことができた。

今度は私の番だ。どんな些細な形であれ、私は彼らから受け継いだこの助け合いの

襷を繋ぎ続けたい。それがまた一人、さらに一人と未来へ続いていくことを信じて。

UWC Maastricht(オランダ校)

お茶

都築 萌香

「What is your UWC tea?(あなたにとって UWC を象徴するお茶は何?)」と聞かれた

私は迷いなく「ルイボスバニラ」と即答した。透き通った赤。ほんのりバニラが香る白い湯

気。群青色のマグ。2年間を共に過ごしたお気に入り。

初めてルイボスバニラを飲んだのは、ハウスペアレンツの家だった。悔しさともどかしさ

で泣きじゃくる私に「これおいしくて、身体にもいいのよ。」とそっと差し出してくれたのだ。

魔法のように気持ちが落ち着いた驚きを今でも覚えている。ほっとするとはこういうことだ

と。それ以来、彼らの家にいるときはもちろん、自分でも「ルイボスバニラ」を淹れるように

なった。どんな時も私の気持ちに寄り添ってくれるお茶。

時にぶつかり合い、一緒に泣いて笑った素晴らしい友人たち、先生方との2年間は何

ハウスメイトたちと

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物にも代えがたい特別な時間だった。そんな酸っぱさも甘さもたっぷり含んだお茶は私の

“UWC tea“だ。次のステージでも新たな“お茶”を発見したい。

最後になりましたが、私の UWC 生活を支えてくれた全ての方に心からお礼申し上げま

す。ありがとうございました。

* * * * *

共感と思いやり

李 智瑛

バグダッドの美しい街並みの写真を見せながら、サマは

言った。「イラクは危険な地域だというイメージばかり持た

れていて、悲しいの。」でも実際には、その街並みのすぐ近

くの商業地区で、200 人以上の方が亡くなるテロが起きて

いた。私自身の日常との違いに戸惑った。しかし彼女との

会話を重ねる中で、互いを理解しようとし、次第に距離を

縮めていった。

スペインからのルシアとは夜遅くまで経済について話し

合った。利益のみを追求する資本主義経済の構造を厳し

く批判し、気候変動や海洋汚染なども、無自覚な大衆や

企業に原因があると言っていた。実は私も同様に考えてい

たが、そのような話を学校の友人としたのはこれが初めて

だった。

私は彼女達と本当に仲良くなった。笑いのツボも一緒で、冗談を言っては大笑いを

し、違う場所から来たことを全く忘れた。異文化や多様性を尊重するのに必要なのは意

外にも単純で、それは共感する事と思いやりだと私は考える。

一方で学校から外に出れば、経済格差や人種差別など、それぞれが置かれた現実

の世界に引き戻される事も痛感した。私は、今もこれからも少しでも多くの人達の環境を

良くするために、自分にできる事を常に実行していきたい。

フロアメイトとピクニック 卒業式にてチューターグループで

卒業式

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UWC Costa Rica(コスタリカ校)

大海原への旅立ち

鈴木 海勇

UWC コスタリカ校での 2 年間を一言で表現

するのならば、「ウミガメの旅立ち」だと思いま

す。コスタリカのビーチで、ウミガメの産卵、孵化

を目の当たりにしてそのように感じました。

僕は、日本人の両親のもとに日本で生まれ、

日本で育ちました。UWC に入学する前まで長い

海外経験もなく、日本の外の世界がどんな場所

なのか知りませんでした。その時の僕は、親ウミ

ガメが卵を産んで砂の中にいるような状態だっ

たと思います。そして高校 2 年生の夏、僕は殻を破って、砂から這い出し、海に向かっ

て歩を進め始めました。もちろん、海を見るチャンスを得ることも容易ではなくて、ただの

日本の高校生だった自分にとってはこれから起こる大きな変化を知る由もありませんでし

た。

UWC での始めての海外生活、多国籍の生徒との学びを経験した自分はカルチャーシ

ョックなんて言葉では言い表せないほど大きな衝撃を感じました。この広い世界、大海

原には、自分が知らなかったきれいな風景、素敵な仲間がいると知った一方で、厳しさ

を知ったのも事実でした。でも、それらすべての経験が、この地球、世界で生きることの

楽しさを教えてくれました。UWC は、世界に旅立つ僕らの最初の一歩だと思います。

* * * * *

「変化」をもたらす

三島 理咲

「このプロジェクトを通して、初めて本気で英

語を勉強したいと思ったの。」あるコスタリカの

女子高校生が私にそう言った。彼女は、私が

参加した CAS(課外活動)、貧しい漁村の高

校での教育環境改善を目指すプロジェクトの

現地メンバーの一人だった。学校での勉強より

働いてお金を稼ぐことが重要だと考える地域の

人、勉強に対するモチベーションのない生徒、

教える情熱がもてない先生… 週末に漁村に

通い、現地メンバーとの交流や話し合いを重

ねたが、解決の糸口が見つからない焦りの中

での彼女の言葉に、一筋の光を見出した。

Agents of Change「人や社会に変化をもたらす主体」は CAS 活動の信念で、活動の

たびにこの言葉を耳にした。折り合いがつかず話し合いが決裂した時には、コスタリカの

Independence Day Parade

独立記念日のパレードにて

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Pura Vida「ポジティブ精神」で乗り切った。現地の高

校生、先生、そして私たちUWC生も、お互いに影響

し合い、時間をかけて少しずつ変化していくことがで

き、最終的には素晴らしい体験となった。

私は今、UWCを旅立ち、新しい世界に向かおうと

している。どんな時でも、コスタリカで培った Pura Vida

精神をもち、Agents of Change となるべく、人との出

会いと学びを深めていきたいと心に誓っている。

UWC Robert Bosch College(ドイツ校)

変化

鈴木 健斗

まさか、トランスジェンダーの子が自分の親友になると

は思っていなかった。まさか、自分が難民を救う一大プ

ロジェクトのメンバーになるとは思っていなかった。

2年間、93か国から来た200名の仲間と一つ屋根の

下で暮らした中で様々な経験に恵まれた。

この2年間を一言で表すと、「変化」となると思う。

日本にいるときは、Vegan という言葉も知らなければ、

自分の住む日本という国を客観的に考えることもなかっ

た。それが、UWC で過ごした中で、自分たちの食事がど

れほど環境に影響を与えているのかを学び、宗教や、政治、民族性など様々な観点か

ら日本を改めて見つめる機会を与えてもらった。

卒業式で、お世話になった先生がドイツ校を巣立って行く我々に投げかけてくれた言

葉が印象に残っている。「グローカリゼーション」、グローバリゼーションとローカリゼーション

を掛け合わせた言葉だ。

これから新しい環境に身を置くなかで、新たな「変化」に境遇することになると思うが、

日本の良さを知り、誇りに思いつつ、視野は広く持ち続けていきたい。

最後に、この2年間、かけがえのない経験をさせていただいた日本協会の皆様には心

から感謝申し上げたい。

Movie Character Day にて、グアテ

マラ人の親友と

CAS のメンバーとの話し合いにて

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UWC Dilijan(アルメニア校)

自分を許すということ。

市川 蓮美

UWC アルメニア校での生活は自分への失望

の連続であった。UWC 生だから私は特別であ

る。派遣当初持っていた感情だ。しかしすぐに打

ち砕かれる。第一に英語が話せない。国内では

会話を含め英語学習で困ったことはなかった。

だが現地では英語が聞き取れない。当初は毎

日授業後にトイレに駆け込んで泣いていた。

更に私の期待していた積極性は 2 年間で失

われていった。人間関係も積極的に動けない。

それは私自身が疲れていたからであり、信頼で

きる友人ができたからであり、新しい仲間達に対して臆病になっていたからでもある。

私は自分に失望し続け、ついに満足出来る姿にはなれなかった。

だが今なら言える。私は 2 年間全力で過ごしたと。私は十分に COOL であったと。当

時難しかった英語は他の多くの生徒にとっても同じだった。完璧だと思っていた皆も常に

悩んでいた。この事実は私が私自身を『許す』=『認める』ということに繋がった。私は自

分に好かれる自分になるための努力をしようと考え始めた。

私の 2 年間の経験は表向きには小さく、華々しくなどないかもしれない。それでも私は

確実に広くなった視野と考え方を持っていると自信がある。

次の大学 4 年間では自分自身を応援して目標へのチャンスをつかんでいきたい。

* * * * *

「現実」という殻

山内 陽

成田から飛行機で約 20 時間。経由地モス

クワの無機質な空港でひたすら待ち、アルメニ

アに着いたのは深夜だった。夢の国を模したテ

ーマパークで現実を離れ楽しむ人は日本でも

多いが、あの日午前3時に初めて足を踏み入

れたアルメニア共和国も、ある意味では異質に

現実離れしていた。真夜中特有の、地平線ま

で続くような静けさ、みぞおちから込み上げる高

揚感、そして夜の海のように漠然とした不安

感。日本文化の片鱗など皆無なその国で五感

に流れ込むそれらは、16 歳の「現実」をただた

だ圧倒した。

隣町バナゾルの壁の前で

古代ローマのトーガをテーマに寮のみんな

で撮った写真。(最前列左から二番目が筆者)

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以来 2 年間、様々な苦楽の中で気付いた。アルメニ

アで感じた「現実離れ感」は日本での「非現実的世界を

体感する感覚」ではなく「殻を破って外界に身を投じる感

覚」、つまり「小さな既知の現実から抜け出て更に大きな

未知の現実世界に気付く感覚」であったのだと。

小さな気孔から外界を覗き知識を蓄える事はできる

が、殻の外を這う芋虫や闊歩する馬が見るものは外に

出ないと知り得ない。そしてその殻を最後に蹴破るのは

いつだって己の意志である。その気付きを自身に与える

機会を下さった全ての方々には本当に感謝してもしきれ

ない。殻が何重であろうとも強い意志で破り続けていく事

を楽しむ人生にしたい。

UWC Changshu China(中国校)

パイオニアとして

泉澤 翔

中国校はUWCのカレッジの中では比較的新しく、経団連はカレッジ創立2年目の20

16年から学生の派遣を始めました。

その初めての派遣生が私です。

高校時代に2年間の長期の留学に行くということ自体が、あまり経験できないことです

が、滞在先は中国、さらに 1 年間の間は日本人1人という状況は珍しいと同時に、とても

貴重な環境でした。私は特に英語がすごい流暢に話せるというわけではなくて、ましてや

中国語なんてほとんど話せませんでした。学校に到着して、英語での説明はちんぷんか

ん、日本語で聞く人もいない、友達もできないなど、たくさん辛い経験もしました。

しかし、1つ1つ壁を乗り越えていくことによって自分自身が大きく成長していることをひ

しひしと感じることができた2年間でした。卒業した今では、このUWCでの経験のおかげ

で、この先も頑張っていけるだろうという自信がついています。

これからUWCへ挑戦する方々へ1つアドバイスをさせていただくとすれば、それは「選

択の覚悟」です。UWC挑戦の過程にはたくさんの分岐が存在します。その1つ1つの分

岐を、覚悟を決めて選択してください。

最後に、私を支えてくださったすべての方々へ、本当にありがとうございました。

中国校の綺麗な校舎 たくさんの同級生との卒業式

Second yearの授業最終日をイ

ンドの Holi とラオスの New

Year’s Water Fight と併せて

祝った時。(二列目左端が筆者)

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◆2018 年度 UWC 日本協会の活動◆

【5月】

28 日: 第 14 回理事会(於 経団連会館)

【6月】

20 日: 第7回通常総会

2018 年度派遣生オリエンテーション/激励会(於 経団連会館)

【7月】

6 日~8 日:2018 年度派遣生卒業生会主催オリエンテーション

(於 国立オリンピック記念 青少年総合センター)

11 日: 第 15 回臨時理事会(於 経団連会館)

【9月】

17 日:2019 年度派遣関東地区説明会 <329 名参加>(於 星陵会館)

24 日:2019 年度派遣関西地区説明会 <111 名参加>(於 大阪科学技術センター)

【12 月】

9日:2019 年度派遣生一次選考(筆記)<119 名受験>(於 東京、大阪)

【2月】

18 日:2019 年度派遣生二次選考(面接・グループディスカッション)

<43 名受験>(於 経団連会館)

【3月】

1 日:第 16 回理事会(於 経団連会館)

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~UWC 卒業生便り~ 『UWC での経験が現在のキャリアにどう結びついているか』

呉 琳子 (イギリス校 2009 年卒) UWC 卒業後、米国シカゴ大学に進学し化学を専攻。2013 年にファイザー株式会社に入社。オンコロジー製品の営業部門を経て、ビジネスアナリティクス部門でマーケティング戦略策定のサポートを行う。現在はスペイン ESADE Business School にて MBA 課程に在籍。

私が UWC で得た一番の学びは、主体性を持って人

生と向き合うことだったと思います。カルチャーショ

ックや英語の壁にへこんだり、ピクニックやお茶を飲

みながら友人と話したりした 2 年間は、自分がどうあ

りたいかを考え、ゆっくりでも自ら立てた目標へ一歩

ずつ進んでいく自信を与えてくれました。

学生でいる時間は限られていますが、社会人として

何のために働くのか、どんな社会を実現したいのかを

考え、身近なコミュニティーへ還元していく時間は長

いように感じます。私は大学卒業後、研究よりも多くの人と協力しながら短期的に結果が見

えるビジネスに関わりたいと思い自分の専攻に近く関心のあった製薬業界を選びました。製

品がより多くの患者さんに届き生活の手助けとなることで、多様なライフスタイルが尊重さ

れる社会が実現されて欲しいと願っています。ビジネスを多角的に理解したいという思いが

強くなり今年から学生に戻りましたが、MBA 修了後は知らないことや新しい挑戦を楽しみな

がら違う価値観や目的を持った人に寄り添い、今まで以上に UWC で出会った多様性の尊重さ

れる社会が広がっていくよう仕事を通して働きかけたいと思っています。

吉野 真規(カナダ校 2010 年卒、旧姓:中田) カナダ校(ピアソン・カレッジ)卒業後、京都大学法学部に進学。同校卒業後、株式会社国際協力銀行に入行。営業部にてアジアにおける発電事業支援業務に従事した後、現在は財務部にて資金調達業務を担当。

UWC での経験は、実に様々な形で私のキャリア形

成の根幹となっています。

最もインパクトがあったのはキャリア選択です。

授業や寮生活の中で、日本人としての意見を少なか

らず述べる機会を得て、自らのアイデンティティを

意識するようになり、また、友人が自国をより良い

環境にしたいと勉学に励む姿を見て、将来は日本の

ために貢献できる人材になりたいと思うようになり

ました。これらの経験が現在の勤務先の選択に大き

く関わっています。

また、自身や人との向き合い方についても、留学経験から学んだものが数多くあります。

現在の業務では、人種、業界等が異なる様々なステークホルダーと粘り強く協議することが

多々あります。こういった中で、異なる立場や考え方を受けとめ、相手方と出来る限り歩み

寄ろうとする姿勢や、自身で考え論理的に意見を述べ、諦めずに物事を前に進めようとする

姿勢は、いずれも UWC での課外活動、授業、寮生活を通じ染みついたものと思っています。

今後も新しいことに挑戦しながら日々精進したいと考えています。

特別寄稿

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◆UWC 派遣生の推移◆

(1972 年度~2019 年度)

2019 年5月現在 カレッジ

年度

イギリス カナダ シンガポ-ル イタリア アメリカ 香港 ノルウェ- インド オランダ コスタリカ ドイツ アルメニア 中国 合計

男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女

1972~2010 81 111 40 69 13 19 14 30 17 26 9 6 4 6 3 11 459

11 2 2 1 1 - - - 1 1 2 - - - - - 2 12

12 3 1 1 1 - - - 2 2 1 1 - - - - 2 - 1 15

13 1 3 1 1 - - 1 1 1 2 - 2 - - 1 - - 1 15

14 1 3 1 1 - - 1 1 1 2 1 1 - - - 2 - 1 1 - - 1 18

15 1 3 1 1 - - 1 1 2 1 - 1 - 1 1 1 - 1 1 - - 1 1 - 19

16 2 2 - 2 - - 1 1 1 1 - 2 - 1 1 1 - 2 1 2 1 - 1 1 1 - 24

17 3 1 - 2 - - 1 1 - 2 1 2 - 1 3 - - 1 3 1 - 1 1 1 1 1 27

18 2 1 1 1 - - 1 1 1 2 1 1 - - - 2 - 1 3 - - 1 1 2 1 1 24

19 - 3 1 1 - - - 2 1 1 - 2 - 1 - - 1 1 - 2 - 1 1 1 - 2 21

計 96 130 47 80 13 19 20 41 27 40 13 17 4 10 9 21 1 9 9 5 1 5 5 5 3 4 634

◆UWC 卒業生の進学実績◆

※2006 年以降に UWC を卒業した派遣生の進路のうち、主なもの

【海外大学】

●アメリカ

Brown University 、 Macalester College 、 New York University 、 Earlham College 、 Princeton

University、The University of Chicago、Johns Hopkins University、Massachusetts Institute of

Technology、University of Pennsylvania、Minerva Schools at KGI、

●イギリス

University of Cambridge 、 Imperial College London(ICL) 、 University of Birmingham 、

University College London(UCL)、University of Edinburgh、The University of Sheffield、

Durham University、London School of Economics ●その他

The University of New South Wales(オーストラリア)、McGill University(カナダ)、University of

Toronto(カナダ)、University of British Columbia(カナダ)、Sciences Po Le Havre Campus(フラン

ス)、Leiden University(オランダ)、Politechnika Wrocławska(ポーランド)、IE University(スペイン)

【国内大学】

東北大学、筑波大学、東京大学、一橋大学、慶應義塾大学、国際基督教大学、上智大学、早稲田

大学、京都大学、関西学院大学、近畿大学、長崎大学

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公益社団法人 ユナイテッド・ワールド・カレッジ日本協会

会 員 企 業 2019 年 6 月 7 日現在

(敬称略・順不同)

朝日生命保険 大成建設 富士急行

旭化成 大和証券グループ本社 富士通

アサヒグループホールディングス 東京海上日動火災保険 富士電機

ADEKA 東京ドーム 古河機械金属

安藤・間 東芝 古河電気工業

伊藤忠商事 東レ 本田技研工業

ANAホールディングス トヨタ自動車 丸紅

王子ホールディングス 日清製粉グループ本社 みずほフィナンシャルグループ

キッコーマン 日本軽金属ホールディングス 三井住友海上火災保険

キヤノン 日本製鉄 三井住友フィナンシャルグループ

JXTGホールディングス 日本生命保険 三井物産

島津製作所 日本ゼオン 三井不動産

清水建設 日本通運 三菱地所

住友化学 日本電信電話 三菱重工業

住友商事 日本郵船 三菱商事

住友生命保険 野村ホールディングス 三菱電機

積水化学工業 東日本旅客鉄道 三菱 UFJ フィナンシャル・グループ

ソニー 日立製作所 横浜ゴム

第一生命ホールディングス 富国生命保険

【56 社】

【個人会員】

佐藤 輝英(BEENOSファウンダー/UWC卒業生)

菊池 廣之(極東証券会長)

もともとUWC卒業生はグローバル志向が強いのですが、ここ 2、3 年は特に海外の大学を選ぶ生徒が多い

ようです。また、旧来から進学者数の多かった英米以外の国を選ぶ生徒が増えています。日本ともカレッジと

も異なる社会・文化の下、新たな気付きを得つつ、多様性への理解や国際感覚をよりいっそう深めることを願

っております。

日本協会では、一人でも多くの日本人高校生が UWC における「人生を変える体験」ができるよう、ご支援い

ただける企業会員や個人の拡大に向けて積極的に活動してまいります。

最近の動向

公益社団法人ユナイテッド・ワールド・カレッジ日本協会

会 長: 藤 田 讓 (朝日生命保険最高顧問)

専務理事: 久保田 政一(経団連事務総長)

事務局長: 長谷川 知子(経団連SDGs本部長)

事務局 : 〒100-8188 東京都千代田区大手町1-3-2

一般社団法人日本経済団体連合会 事務局内

電話:(03)6741-0163 FAX:(03)6741-0351

E-mail: [email protected]

Website: http://www.keidanren.or.jp/japanese/profile/UWC/index.html