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3-2.人工涵養機能を備えた帯水層蓄熱利用技術

・「帯水層蓄熱利用システム」とは地中熱利用の一つで、冷暖房の熱源となる冷温水を地下の帯水

層に貯蔵し、時間をずらして利用する技術であり、「空気熱利用と異なり大気中へ排熱を出さな

い」、「省エネルギーで CO2の排出量を削減できる」などのメリットを有し、ヒートアイラン

ド現象の緩和や地球温暖化対策への効果が期待されている。システムを効率的に稼働させるため

には、揚水した地下水位を全量還水することが前提となり、地盤沈下対策としての人工涵養技術

の側面も持つシステムである。

・海外では既に実用化されており、特にオランダ国では積極的に普及に取り組まれており、国土の

1/4が海抜ゼロメートル地域であるにも関わらず、1990年頃から 20年余の間に 1500件以上の普及に成功している。

・我が国では、環境省において、地下水・地盤環境の持続可能な利用を行うと共に地中熱利用の普

及促進を図ることを目的に「地中熱利用にあたってのガイドライン」が公表されるとともに、帯

水層蓄熱利用の技術開発にも着手されている。

図-3.2.1 帯水層蓄熱利用システムの概念図

-15-

【要旨】・再生可能エネルギーとしての地中熱利用の一つである帯水層蓄熱利用技術は、注水法により人工涵養を行うもので、地盤沈下対策としての機能も備えている。・環境省技術開発・実証事業において帯水層蓄熱利用システムの熱源専用井戸が開発され、汲み上げた地下水の全量還水に成功し、注水法による人工涵養機能が確認された。

3-3.帯水層蓄熱利用システムによる地盤沈下防止効果の検証

①環境省技術開発・実証事業による地盤沈下防止効果の検証 調査の目的と内容

・大阪市内の中心部で実施する「帯水層蓄熱のための低コスト高性能熱源井とヒートポンプのシス

テム化に関する技術開発」(環境省 CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業(以下、実

証事業と記す)の開発成果を見極め、最大限活用するために実証事業周辺の地盤沈下特性を評価

し、帯水層蓄熱利用システムの地盤沈下防止効果の有効性について検証した。

熱源井No.1

熱源井No.2

観測井No.1

観測井No.2

ロッド式沈下計(洪積層以深の地盤変動を計測)

20m

16m

120m

うめきた2期暫定利用区域

配置図

図-3.3.1 技術開発・実証事業の概要

-16-

【要旨】・帯水層蓄熱利用システムの人工涵養機能により、地下水の水位変化が抑制され、地盤沈下防止策としての効果があることが確認された。・施設数が増加しても全量還水により涵養されるため、水収支は保全され、地盤沈下防止効果も有効に機能する。

全量還水の実施

・平成 28年 1 月から注水法による 100m3/hの定格運転を含む連続運転を行っており、これまで累

積 45.6 万 m3(実運転期間 4.5シーズンに相当)の地下水を第 2洪積砂礫層(Dg2)から汲み上げ、全て同一の第 2洪積砂礫層(Dg2層)に還水することを確認できた。

0

50

100

150

H29.4.1 H29.5.31 H29.7.30 H29.9.28 H29.11.27 H30.1.26 H30.3.27 H30.5.26 H30.7.25

還水量(m

3 /h)

図-3.3.2 技術開発・実証事業で還水できた地下水量

還水による地下水位変化の低減効果

・実証事業において、熱源井(No.1)から 100m3/hの揚水を行い、120m 離れた熱源井(No.2)に同時同量の還水を行った場合、熱源井(No.1)近傍観測井の地下水位の低下量は(0.4m)は、揚水のみを行った場合の水位低下量(0.8m)に比べ約半減される。

-2-1.8-1.6-1.4-1.2

-1-0.8-0.6-0.4-0.2

0

H29.8.12 H29.8.15 H29.8.18 H29.8.21

地下水位(TP+

m)

観測井水位(揚水のみ)

連続揚水 (100m3/h)(熱源井No.1)

0.8m

-2-1.8-1.6-1.4-1.2

-1-0.8-0.6-0.4-0.2

0

H30.1.20 H30.2.19 H30.3.21 H30.4.20 H30.5.20

地下水位(TP+

m)

観測井水位(揚水/還水)

揚水-還水連続 (100m3/h)(熱源井No.1揚水→ No.2還水)

0.4m

図-3.3.3 還水による地下水低下量の低減効果

-17-

還水による地盤沈下防止効果

・実証期間中(約 16か月)の地盤高(洪積層)は、7mmの幅(-2~+5㎜)で不規則に変動し、

最も-側(沈下側)の時、地下水位は-0.9mであり地下水位変化と無関係である。また、運転開

始からの地盤の累積変位は+2㎜(平成 30年 7 月 25 日現在)であった。このうち、平成 30年 2月から行った揚水・還水連続運転期間中(約 4か月)の地盤高も、運転期間と無関係に変動し、

その変動幅は水位低下量から②解析的手法による地盤沈下防止効果の評価により得られる理論値

(最大 3㎜)を超えている。

・「地盤変動の沈下傾向の累積が見られないこと」、「地盤変動と地下水位の連動が見られないこ

と」、「地盤変動幅は先述した大阪市域における年内地盤変動量の範囲内にあること」から、帯

水層蓄熱利用による地盤沈下は認められず、地盤沈下防止策機能を十分に備えていることが確認

できた。

図-3.3.4実証事業期間中の地下水位と地盤変動量の推移

-18-

② 解析的手法による地盤沈下防止効果の評価

解析手法による評価

・地盤沈下防止効果の評価には、UNSAF-3D-C※を使用し、当該地の地盤調査結果に基づくパラ

メータを設定し、解析的に地盤変動量の評価を行うことで、還水による地盤沈下防止効果の評価

を行った。

UNSAF-3D-C ※ (3 次元飽和不飽和浸透流解析と圧密沈下解析の連成解析) 西垣誠他,「圧縮に伴う比貯留係数の変化を考慮した地下水浸透に基づく地盤沈下解析手法」 ,土木学会論文集 ,No.799/Ⅲ-72,1-12,2005.9

実証事業のモニタリング結果との比較

・実証事業における揚水/還水時の地下水位、地盤変動量のモニタリング結果と解析値の比較を行っ

た。図-3.3.5、図-3.3.6に 100m3/hの揚水/還水連続運転の再現結果を示す。

・第 2洪積砂礫層(Dg2)の地下水位、Ma12層(洪積粘土層)の間隙水圧の変動は、解析手法で十分

に再現できることを確認した。モニタリング結果と解析値とも揚水/還水によって、第 2洪積砂

礫層(Dg2)の地下水位は観測井No.1地点で±0.3mの範囲で変動し、Ma12層(洪積粘土層)の間隙水圧は±1.0kN/m2で変動する。

-150

-100

-50

0

50

100

150

-1.5

-1.2

-0.9

-0.6

-0.3

0

0.3

H30.2.1 H30.3.3 H30.4.2 H30.5.2 H30.6.1

揚水-還水量(m

3/h)

地下水位(TP+

m)

第2洪積砂礫層(Dg2)の地下水位 解析値との比較(観測井No.1)

5/28~6/30揚水-還水連続

100m3/h(No.2→ No.1)2/2~5/25 揚水-還水連続

100m3/h(No.1→ No.2)

揚水・還水量(熱源井No.1)

地下水位(観測井No.1)

地下水位(解析値) 揚水

還水

図-3.3.5 揚水/還水による第 2洪積砂礫層(Dg2)の地下水位変動と解析値の比較

-150

-100

-50

0

50

100

150

372

374

376

378

380

382

384

H30.2.1 H30.3.3 H30.4.2 H30.5.2 H30.6.1

揚水-還水量(m

3/h)

間隙水

圧(kN/m

2 )

Ma12層(洪積粘土層)の間隙水圧 解析値との比較(観測井No.1)

5/28~6/30揚水-還水連続

100m3/h(No.2→ No.1)2/2~5/25 揚水-還水連続

100m3/h(No.1→ No.2)

揚水・還水量(熱源井No.1)

間隙水圧Ma12(観測井No.1)

間隙水圧Ma12(解析値)

揚水

還水

間隙水圧Ma12(潮汐の影響カット)

図-3.3.6揚水/還水によるMa12層(洪積粘土層)の間隙水圧変化と解析値の比較

・100m3/hの揚水/還水連続運転による洪積層以深の地盤変動量のモニタリング結果と解析値の比

較を図-3.3.7に示す。解析より求めた地盤変動量は、揚水/還水による地下水位変動に応じて約

±2mm前後で変動する。しかし、モニタリングによる洪積層以深の地盤変動量は±2mmの範囲

で変動しているが、地下水位変動との連動は見られない。

・これは、図-3.3.5、図-3.3.6より第 2洪積砂礫層(Dg2)の地下水位とMa12層(洪積粘土層)の間

-19-

隙水圧の連動は若干見られるものの、Ma12層(洪積粘土層)の間隙水圧の変動量が±1.0kN/m2と

十分小さいため、地下水変動に連動した(揚水/還水による)地盤変動は見られなかったと考えら

れる。

図-3.3.7揚水/還水による洪積層以深の地盤変動量と解析値の比較

(※2/2~5/25に実施した 100m3/hでの揚水・還水連続試験)

地下水位の変動による地盤沈下メカニズム

 ・地下水位の低下に伴う地盤沈下は、圧密現象によって発生し、

  ①被圧帯水層の水位(水頭)低下②上下粘性層からの排水による間隙水圧の減少

③上下粘性層の有効応力増大による圧縮

④ 圧密沈下(地盤沈下)のプロセスに従って生じる。

 このとき、過圧密領域では弾性的な地盤変動、正規圧密状態になると不可逆的な大きな沈下が発

生することとなる。

・実証事業における揚水/還水 100m3/hでは、熱源井直近での間隙水圧の応力変化は約 16kN/m2

が生じる。このときのMa12層(洪積粘土層)内の間隙水圧の減少は、Ma12層(洪積粘土層)下端

から徐々に進行し、100 日(3 ヶ月強)で、弓なりから直線状に近い分布へと経時的に変化する。

なお、実証事業における揚水/還水試験の実施期間は 112 日間であり、Ma12層(洪積粘土層)内の間隙水圧の経時変化を検証するのに十分な期間である。

-20-

間隙水圧低下によりやや沈下

間隙水圧上昇によって膨潤(洪積層以深の地盤変動)

-41

-40

-39

-38

-37

-36

-35-20 -15 -10 -5 0

深度(m)

間隙水圧の変化量(kN/m2)

100日後

30日後

1日後

図-3.3.8 Ma12層(洪積粘土層)の間隙水圧の変化(熱源井直近)

-21-

Ma12上端

Ma12下端

約 16kN/m2

・Ma12層(洪積粘土層)内の間隙水圧の経時変化が完了した時、Ma12層(洪積粘土層)に作用する

有効応力の増加は、第 2洪積砂礫層(Dg2)に近いMa12層(洪積粘土層)の下端側で最も大きく、

上端側に行くほど少なくなる。

図-3.3.9 Ma12層(洪積粘土層)の有効応力増大

・実証実験で地盤沈下が生じなかった理由は、帯水層蓄熱利用技術は揚水した地下水を全量還水す

ることで、地下水低下量を低減し、Ma12層(洪積粘土層)に与える応力変化(井戸直近 16kN/m2)が、過圧密量(180kN/m2)に対して十分に小さかったためと考えられる。

・また、熱源井No.1から 20m 離れた観測井No.1では、Ma12層(洪積粘土層)に与える応力変化

は、井戸直近 16kN/m2の 1/10以下の 1.0kN/m2まで小さくなり、ほとんど無視できる応力変化

である。

-22-

180kN/m2

510P0

Pc

P0+ΔP Ma12下端

Ma12上端

図-3.3.10 有効応力増加に伴う間隙の圧縮

-23-

塑性的で圧縮性が大きい

弾性的で圧縮性が小さい

1 目盛が地下水位低下 1m

過 圧 密 量 は180kN/m2 以上。

帯水層蓄熱利用システム による地盤沈下防止効果

・帯水層蓄熱利用における地下水位低下の低減効果(揚水井単独での地下水位低下量と還水を

行った場合の地下水位低下量の比)は、被圧帯水層であれば、井戸間距離が近いほど効果が高

く、離れると効果が低下する。このため、適正な範囲内に設置することが重要である。

 

図-3.3.11 揚水/還水井戸間距離による地下水位低下量の抑制効果

・また、還水割合(揚水量に対する還水量の比率)が大きいほど効果が高く、高い還水割合で運用

することが重要。還水割合 100%であれば周辺地下水低下量は 20%程度まで低減できる。

図-3.3.12 還水割合と地下水位低下量の抑制効果の関係

(※井戸間距離は 100m)

-24-

・帯水層蓄熱利用システムは、複数配置されても全量還水により涵養されるため、水収支は保全さ

れる。

・さらに、井戸間の干渉を考慮しつつ、揚水井と還水井の配置を工夫することで、単数配置よりも

むしろ地盤変動量が抑制され、効果的な地盤沈下防止を図ることもできる。

図-3.3.13 揚水/還水井(各井戸の揚水・還水量 100m3/h)の配置条件の影響に関する感度解析

-25-

還水井

還水井

揚水井

揚水井

還水井

還水井

揚水井

揚水井