臨床研究計画書ws(h27/7/12)
TRANSCRIPT
1
臨床研究への取り組み
2015/7/12 臨床研究計画書ワークショップ at 倉敷中央病院
藤原 崇志 倉敷中央病院耳鼻咽喉科 臨床研究支援センター
略歴 2009年3月 愛媛大学医学医学科卒業
2009年4月 倉敷中央病院初期研修医
2011年4月 倉敷中央病院耳鼻咽喉科(後期研修)
2012年6月 愛媛大学医学部附属病院耳鼻咽喉科
2015年4月 倉敷中央病院耳鼻咽喉科医員 兼 臨床研究支援センターフェロー
このあたり。
倉敷中央病院の試み 7年目の医者を “臨床研究支援センターフェロー” に すること自体が新しい試み??
医療における新規治療の開発研究の一例
In vitroでの 治療薬の候補探し
疾患類似 モデル動物確立
動物実験での 治療効果評価
様々なPhaseでの Clinical trial
朝日新聞 2006年9月8日付. 突発性難聴
医学生時代に関わった基礎研究
医学生時代に関わった基礎研究
In vitroでの 治療薬の候補探し
疾患類似 モデル動物確立
動物実験での 治療効果評価
様々なPhaseでの Clinical trial
虚血性内耳傷害モデル動物に対する IGF-‐1の内有毛細胞保護効果の検討
虚血性内耳障害に対するIGF投与
椎骨動脈を遮断し 内耳機能を障害
正円窓経由で IGF-‐1を投与
内耳有毛細胞の 脱落率を評価
Fujiwara T, t al. Neuroreport. 2008;19(16):1585-‐8
研究は大変、、。 自分が関わる基礎研究と臨床応用への距離が随分遠いと感じた大学時代。
マッシー池田との出会い
「グラウンドにはゼニが落ちている」は鶴岡一人の名言だが,臨床研究のネタも臨床現場に落ちている.
あなたがやっている日常診療での疑問が,そのまま,Road to BMJとなる.
マッシー池田 h3p://square.umin.ac.jp/massie-‐tmd/
Road to BMJ 脳梗塞急性期では脳血流を維持するためにしばしば反応性に血圧が高いこと,だから決して降圧してはならないと,駆け出しの私は指導医から教わっていた.一方で, “収縮期血圧60の昏睡患者の頭部CTを撮影して,脳出血がなければ脳梗塞をう”藪医者も大勢いた.
“意識障害患者では,血圧が高ければ脳内病変,血圧が低ければ全身疾患を疑う”そんな仮説を証明できればと,研修医時代から願いつづけて20年がたとうとしていた.
データ収集に着手したのが,2000年の夏休みで,BMJに出版されたのが2002年だった.その間行なったのは,ワークシートへのデータ打ち込みと,基本的な統計処理だけで,研究にかかった費用はゼロに等しい.
Road to BMJ
ふじわらの頭の中
なんか面白そう。自分でもできるかも。
愛媛大学における学生ACLS • 2004年7月 AEDの一般人使用が可能に
• 2005年6月 愛知万博で医学生がAEDを使用し、心肺停止した観客を蘇生
• 2006年6月 医学生対象のACLSコース開催
• 2007年11月 一般人向けのBLSコース開催
心臓が止まってからの時間と蘇生率の関係
生存退院率%
10%
100%
80%
60%
20%
0分 5分 10分
1分間に約7-‐10% 助かる可能性が減っていく
心臓が止まってからの時間と蘇生率の関係
生存退院率%
10%
100%
80%
60%
20%
0分 5分 10分
失われる蘇生率を、1分間に
約3-‐4%に減らせる
心臓が止まってからの時間と蘇生率の関係
生存退院率%
10%
100%
80%
60%
20%
0分 5分 10分
早い段階でショックを行えば より多くの人を蘇生できる!
心臓が止まってからの時間と蘇生率の関係
生存退院率%
10%
100%
80%
60%
20%
0分 5分 10分
早い段階でショックを行えば より多くの人を蘇生できる!
医療従事者以外にも BLSとかAED
普及したらええんちゃう??
国試前だけど やっちゃいます!
みんな来てね!!!
BLSとAEDを 一般人に広めたい!!!
その中での厳しい御指摘!
えーと・・・ それについてはですね・・・
学生同士が教えあうのはいいと思う。 しかし、学生が一般人に
教えて大丈夫なのかね??
その中での厳しい御指摘!
えーと・・・ それについてはですね・・・
学生同士が教えあうのはいいと思う。 しかし、学生が一般人に
教えて大丈夫なのかね?? ん?これって 研究テーマになるんじゃね!?
犯人はあなたです。 主役
©古畑任三郎
試験名 高学年医学生によるBLS指導効果の検討 ―OSCEにおける医療従事者を対照としたランダム化比較試験
対象
介入
主要 評価項目
指導12週後に、3分間の胸骨圧迫を行い、 十分な深さを得られた圧迫の割合
OSCEに参加する医学生93名 randomizaMon
医学生による BLS指導
医療従事者による BLS指導
実際の研究計画
教授を前に倫理委員会審査(≒圧迫面接)
一分
概要
説明
?
れ倫理的
大丈夫?
研究
?
来
。
Background: The effect of peer-‐led training in basic life support (BLS) in the educaUon of medical students has not been assessed. Subjects and methods: This study was a randomized controlled trial with a blinded outcome assessor. A total of 74 fourth-‐year medical students at Ehime University School of Medicine, Japan were randomly assigned to BLS training conducted by either a senior medical student (peer-‐led group) or a health professional (professional-‐led group). The primary outcome measure was the percentage of chest compressions with adequate depth (38–51 mm) by means of a training mannequin evaluated 20 weeks aaer BLS training. Secondary outcome measures were compression depth, compression rate, proporUon of parUcipants who could ensure adequate compression depth (38–51 mm) and adequate compression rate (90–110/minute), and retenUon of BLS knowledge as assessed by 22-‐point quesUonnaire. Results: Percentage chest compressions with adequate depth (mean ± SD) was 54.5% ± 31.8% in the peer-‐led group and 52.4% ± 35.6% in the professional-‐led group. The 95% confidence interval (CI) of difference of the means was –18.7% to 22.8%. The proporUon of parUcipants who could ensure an adequate mean compression rate was 17/23 (73.9%) in the peer-‐led group but only 8/22 (36.4%) in the professional-‐led group (P = 0.011). On the 22-‐point quesUonnaire administered 20 weeks aaer training, the peer-‐led group scored 17.2 ± 2.3 whereas the professional-‐led group scored 17.8 ± 2.0. The 95% CI of difference of the means was –1.72 to 0.57. Conclusion: Peer-‐led training in BLS by medical students is feasible and as effecUve as health professional-‐led training.
Comparison of peer-led versus professional-led training in basic life support for medical students
Fujiwara T et al, Adv Med Educ Pract. 2011;2:187-‐91.
やってみた感想
結果得てから論文書くまでは大変。研修医しながら 英語書くのは大変。 雑誌に投稿して度重なるRejectに心折れそうなことも。
・・・疲れた。 なんで研究してたんだっけ、、。
なぜ論文を書くのか by マッシー池田 自分の仕事を論文にせず埋もれさせておくのは,自分と研究仲間、協力してくれた患者さんに対する背信行為である.
私が自分の論文を一番誇らしく思ったのは,ベス・イスラエル病院で働いている日本人と歓談していた時に “そういえば血圧を測るだけで意識障害患者の頭蓋内病変の有無が推測できるという、とても面白い論文を抄読会で紹介した” と彼が言ってくれた時だ。
自分の論文が,ニューヨーク,ロンドンはおろか,カンパラでも,カブールでも読まれ,診療に役立っていると想像しただけで幸せな気分になれる。
マッシー池田 h3p://square.umin.ac.jp/massie-‐tmd/
なぜ論文を書いてたのか? 自分たち(医学生)がBLSを一般の方に向けて教えるにあたり、それが妥当性のあることなのか確認したい。 少なくとも医学生向けのBLS教育では、医療従事者に比較して劣らないことは分かった。 その後、
他大学で一般人にBLSを教えにいく際に、 この論文で教授の支援・理解が得られた例も
2011年~研修医時代の研究
2011年~研修医時代の研究 急性喉頭蓋炎のレントゲン診断 • もともと患者の少ない疾患なので、過去の研究はケースコントロールスタディで検査制度を過剰に算出してる可能性。
• 救急外来で喉頭蓋炎を疑われてレントゲンを取られた人を 2年間、前向き観察研究を行って診断制度を算出。
頚部リンパ節の硬さと悪性度(良悪性)の研究
• 横波で硬さを推測する新しいエコー機器を使って、 硬さ(推定値)が悪性かどうか見分けられるか検討。
臨床研究の試行錯誤 カテゴリ これまでやってきたこと、いくつか
頻度 突発性難聴の地域疫学(愛媛医学 2015)
診断 救急外来患者の入院をVital signで予測できるか? (だいぶポシャり気味) 急性喉頭蓋炎のレントゲン診断DTA(Emerg Med J 2015) 頚部リンパ節のエコー診断DTA(Ultrasound med biol 2013)
予後 Bell麻痺の予後予測 (Eur Arch Otorhinolaryngol 2013, Otol neurotol 2014)
治療 アレルギー性鼻炎の治療開発RCT(ongoing…) Bell麻痺に対する手術治療(ongoing…) 鼻内内視鏡手術における局所麻酔の効果 — システマティックレビュー —(ongoing…)
害
論文を書いてみて思ったこと Before • 論文を書くなんて自分とは関係がないし、、。 • 統計が分からないと論文は書けないんじゃないか。
論文を書いてみて思ったこと Before • 論文を書くなんて自分とは関係がないし、、。 • 統計が分からないと論文は書けないんじゃないか。
After • 日常診療の疑問でも論文になる(大変やけど) • 統計学の知識は必要、ただ、よりよい研究をするには統計学のウェイトはそれほど大きくない
論文を書いてみて思ったこと Before • 論文を書くなんて自分とは関係がないし、、。 • 統計が分からないと論文は書けないんじゃないか。
After • 日常診療の疑問でも論文になる(大変やけど) • 統計学の知識は必要、ただ、よりよい研究をするには統計学のウェイトはそれほど大きくない
よい論文はどんなものだろう? 論文を読めることが研究につながる??
愛媛大学での試み(2011年9月~) 学生有志との論文のCritical appraisal
愛媛大学での試み 論文読むのに慣れた学生に臨床研究をやってもらう。
過去の研究レビュー 倫理委員会の書類作成 UMIN臨床試験登録へ登録...
2015年~倉敷中央病院に移動して
倉敷中央病院の特徴 論文を書く文化のある診療科 (2015年のcase seriesを除く当院中心の論文が現在12本) 若手の研究を支援する体勢 (海外発表支援、英文校正、豊富なオンラインジャーナル)
2015年~倉敷中央病院に移動して 研究をする風土のある現職場で何ができるか?
臨床研究支援センターでのお仕事 ① 審査 倫理審査申請書類のチェック ② 人材育成 臨床研究ワークショップ ③ 研究支援 臨床研究コンサルト業務 治験支援 院内の統計ソフトの整備・講習会 ④ 統計家への仲介 ⑤ その他なんでも
関与してるのは このあたり。
4月 臨床研究デザインワークショップ 福岡先生
5月 臨床研究ワークショップ:入門 徳増
6月 臨床研究ワークショップ:基礎 徳増
7月 『臨床研究のデザイン』 樋之津先生
8月 臨床研究ワークショプ:Kyoto heart study 徳増
9月 臨床研究ワークショプ:質的研究 徳増
10月 ミクストメソッドを用いた研究 瓜生原先生
11月 (臨床研究セミナー) -‐
12月 お休み -‐
1月 Propensity score 原先生
2月 生存時間解析など 田中先生
3月 お休み -‐
臨床研究ワークショップ(2014年度)
今年度の臨床研究ワークショップ 自分の専門医試験のため7月末まで関わない状況になってますが、継続的な開催をつづけていきたい。
ガイドラインの利用者WS 論文の批判的吟味 コクランレビューの読み方
etc... A 研究にちょっと興味があるんだけどという方への関わり (裾野を広げていきたい)