日本における超高速通信の将来について · 2009.1.23 窒化物半導体応用 ict...

36
日本における超高速通信の将来について - NICTの研究を中心に - 松島 裕一 独立行政法人 情報通信研究機構 情報通信研究機構

Upload: dangnguyet

Post on 02-Sep-2018

222 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

2009.1.23 窒化物半導体応用 1ICT Value Chain

日本における超高速通信の将来について- NICTの研究を中心に -

松島 裕一

独立行政法人 情報通信研究機構

情報通信研究機構

2009.1.23 窒化物半導体応用 2ICT Value Chain

OUTLINE

1.はじめに

伸び続ける光通信需要と技術課題

2.課題解決に向けてのアプローチ

効率的な光波利用、省電力

3.NICTにおけるチャレンジ

最近の研究成果トピックス

4.まとめ

未来に向けた光技術のロードマップ

2009.1.23 窒化物半導体応用 3ICT Value Chain

1.はじめに

伸び続ける光通信需要と技術課題

2009.1.23 窒化物半導体応用 4ICT Value Chain

インターネット普及に伴う情報流通量 (トラフィック) の急増

○ 2020-30年代にはペタビット(1000テラビット)に達するトラフィック

を収容するための、超高速・大容量・効率的な光ネットワークインフラが必須。

日本の基幹光ネットワーク(イメージ図)

アメリカへ

ロシア・韓国・ヨーロッパへ

中国・インドへ

○ 2008年4月の全国のトラフィック総量は 880ギガビット(主要なインターネット交換ポイント(IX)の合計から推計)

○1年間に約1.4-1.5倍の伸び(総務省推計より)

情報の単位: ビット(bit/s)(固定電話:64 kbit/s)

キロ:kbit/s = 10*3 bit/sメガ:Mbit/s = 10*6 bit/sギガ:Gbit/s = 10*9 bit/sテラ:Tbit/s = 10*12 bit/sペタ:Pbit/s = 10*15 bit/s

2009.1.23 窒化物半導体応用 5ICT Value Chain

101.9 102.7 107.4 132.0

158.7 193.2

214.9

238.7

294.2

303.3

74.4 75.9 79.3 99.1 116.1

139.3 150.1

167.0

199.4 207.5

269.4 298.1

319.7

424.5 469.1

523.6

636.6

721.7

812.9

879.6

111.8 124.9 133.0

178.3 194.2

226.2 264.2

306.0 339.8

374.7

30.9 31.8 33.0 41.6 48.1 60.1 62.3 70.8 83.4 88.3

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

1��

3��

5��

7��

9��

11��

1��

3��

5��

7��

9��

11��

1��

3��

5��

7��

9��

11��

1��

3��

5��

7��

9��

11��

1��

3��

5��

7��

9��

11��

1��

3��

5��

7��

9��

11��

1��

3��

5��

7��

9��

11��

1��

3��

5��

7��

9��

11��

1��

3��

5��

7��

9��

11��

1��

3��

5��

7��

9��

11��

1��

3��

5��

7��

9��

11��

1��

3��

5��

7��

9��

11��

1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年

5「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算 2008年5月時点の集計結果の公表」(平成20年8月29日 総務省報道発表)より

我が国におけるブロードバンドの現状 - トラフック量の推移

年間

数倍

~1.4

倍の

伸び

協力ISP6社のブロードバンド契約者のトラフィック総量

(参考)国内主要IXで交換されるトラフィックピーク値

国内主要IXで交換されるトラフィック総量

協力ISP6社の国内主要IXで交換されるトラフィック総量

ブロードバンド契約者のトラフィック総量(推定値)

我が国のブロードバンド契約者のダウンロード

トラヒック総量879.6Gbps(推定値)

我が国のインターネットトラフィックの推移

高速回線の普及によりインターネットトラフィック量は急激に上昇し、今後も需要の増加が見込まれる。

トラフック量(ギガビット/

秒)

2009.1.23 窒化物半導体応用 6ICT Value Chain 6

我が国におけるブロードバンドの現状 - 加入者数の推移

ブロードバンドサービス等の契約数の推移【平成20年3月現在】総務省ホームページ「情報通信統計データベース 分野別データ インターネット」より

光回線(FTTH)の契約数が、平成20年6月末には約1,300万件を突破するなど、ここ数年超高速ブロードバンドが急速に普及しつつある。

平成17年3月

FTTH純増数とDSL純増数が逆転

平成18年6月DSL契約数が

純減

【日本経済新聞2008年8月24日朝刊1面】

2009.1.23 窒化物半導体応用 7ICT Value Chain

モバイルアクセス・次世代携帯:100メガビット/秒~最大1ギガビット/秒(現行携帯:最大数10メガビット/秒)

交換(ノード)伝送

基幹光ネットワーク

光アクセス・FTTH:10ギガビット/秒(現在100メガビット/秒)

放送用コンテンツ(非圧縮時)・デジタルシネマ:7.64 ギガビット/秒・スーパハイビジョン:39.8 ギガビット/秒(現在 YouTubeなど)

ワイヤレスアクセス・ 135メガビット/秒以上

インタネットトラヒック牽引状況

アクセス光ネットワーク

(ペタビット)

100GbE

2009.1.23 窒化物半導体応用 8ICT Value Chain

光ネットワークの現状◇幹線系

波長多重(WDM)技術の導入(ファイバあたり最大数64波)都市間: 1波長あたり 2.4~10ギガビット大陸間: 2.4~20ギガビット

◇アクセス系ブロードバンド化が進展ADSL(メタルを広帯域化) 1,200万回線FTTH(光ファイバの普及) 1,300万回線

(@2008.06)

◇ファイバー内は光信号だが交換ノードでの処理は電気信号によっている(電気=光変換を多用)

2009.1.23 窒化物半導体応用 9ICT Value Chain

2.4G

800M400M TDM

10G×16WDM

10G1.6G

2.5Gx16

1G

10G

100G

1T

10T

100M

[bit/s]

200520001990 199519851980 [年]

Ethernet

100G×14014T (NTT)

3.2bit/s/Hz, 12.3T (NICT/Lucent)

3.2bit/s/Hz, 25.6T (NICT/Lucent))

100G×20420.4T (NTT)

100GbE

40G×27310.9TNEC/NICT

1.6bit/s/Hz, 6.4TOCDM/WDM (NICT)

40Gx260,10.4T(Alcatel)

日本 (共同、委託含む)海外研究機関

ファ

イバ

1本

あたり

の伝

送容

20Gx120,2.4T(Tycom)

80Gx25 2TLucent

・ 1981年の光ファイバ伝送方式の本格導入以来、日本の光通信技術は常に世界を牽引・ FTTH (Fibet-To-The-Home)加入者数では日本が世界1位を独走

・ 1981年の光ファイバ伝送方式の本格導入以来、日本の光通信技術は常に世界を牽引・ FTTH (Fibet-To-The-Home)加入者数では日本が世界1位を独走

日本の光伝送技術の優位性

2010

160G Field(NICT)

160Gx81.28TField(KDDI/NICT)

40G160G

2009.1.23 窒化物半導体応用 10ICT Value Chain

でも課題が:例えば通信用電力の問題

• 現状の調査では、通信用の電力(空調設備も含む)は日本全体の総発電量の最大で約5%程度と推定される。

• このまま、年率2倍のデータ通信量の増加を仮定し、それがそのまま、電力量に比例すると仮定する。

(この仮定は信じがたいが。。。

あえて悲観論)

2025年以前に、現在の総電力量を越える??

2009.1.23 窒化物半導体応用 11ICT Value Chain

光通信・ネットワークの当面の課題

• 将来必要とされる光NWの容量は膨大になる

これを現状の技術で解決しようとすると

① 高額なインフラ整備への再投資の問題

② ファイバ数や波長数の増加で対応は可能だがスペースや消費電力の問題が深刻になる

③ 波長数の増加など複雑なネットワークは

回線制御・管理、セキュリティが課題

2009.1.23 窒化物半導体応用 12ICT Value Chain

2.課題解決に向けて効率的な光波利用、省電力

2009.1.23 窒化物半導体応用 13ICT Value Chain

問題解決へのアプローチ

• ネットワークインフラの増強・整備

• スペース・電力に配慮した、光ノード装置の開発

• ネットワークの高効率化・高信頼度化

• 新しいネットワーク管理技術の創出・普及

• これらを導き出す革新的な新技術の開発「徹底した効率化」技術

時間軸上、周波数軸上、2次元空間上、

光/電気処理から全光処理へ

2009.1.23 窒化物半導体応用 14ICT Value Chain

徹底した効率化技術とは

• 超高速伝送技術

160Gbps/波長以上の伝送速度

• 周波数利用効率の向上

変調方式の飛躍的な向上:

多値変調(DQPSK, QAM)、OCDM、誤り訂正

• ノードスループットの高速化、大容量化

全光処理ノード、光3R機能、新規制御プロトコル

• 並列光処理による2次元光伝送方式、光処理、ノード技術

2009.1.23 窒化物半導体応用 15ICT Value Chain

徹底した効率化技術に向けた研究

消費電力、低混信性信号品質などの制限要因により最適な組み合わせが決定される。

超高速化

波長多重化

周波数利用の高効率化

8

Gbit /OTDM

numberWDM

Bit/symbol

1040

80160

320

640

24

10 2 10 310

1パルスあたりの伝送可能な情報容量Bit/Symbol を増大する高効率変復調技術適用

多値化OCDMなど

従来の容量増大化技術高ビットレート化(Gbit/s/波長)

x多波長化(波長数)

2009.1.23 窒化物半導体応用 16ICT Value Chain

3.NICTにおけるチャレンジ最近のトピックス、新しい応用分野の開拓

1) 光伝送方式の高速性・大容量性追求

2) 光ネットワークの大容量性・機能性・省電力化追求

3)新しい光通信分野の開拓に向けて

2009.1.23 窒化物半導体応用 17ICT Value Chain

1)光伝送方式の高速性・大容量性追求

◇ 高速化 =>時間軸上での多重(OTDM,ETDM)

◇ 大容量化=>波長多重(WDM)

=>多値変調方式(DQPSK,QMA)

=>空間多重方式(マルチコアファイバ)

2009.1.23 窒化物半導体応用 18ICT Value Chain

光時分割多重(OTDM)超高速光通信システム160Gb/s 送信系

160Gb/s 受信系

CH1

時分割分離部

(DEMUX)

クロック抽出部

40 GHz

11

22

33

44

光波形歪み補償部

DET1

DET2

DET3

DET4

CH2

CH3

CH4

160Gb/s 光信号40 Gb/s

40 Gb/s

40 Gb/s

40 Gb/s

1 2 3 14 4 ......

2009.1.23 窒化物半導体応用 19ICT Value Chain

NW-A : NW運用管理技術の研究開発

NW-B : テラビットクラス実現のためのテストベッド

GMPLS相互接続技術

10G (1G×8)

当初10Gベース

NICT北九州ITセンター金沢

10G10G

10G×2

10G NICTつくばRC

大手町

NICTけいはんなセンター

NICT小金井

10G

10G

NICT鹿島

10G

仙台

札幌

1G

1G

長野

高知名古屋

1G 1G

1G福岡

堂島

10G (1G×8) 10G

(1G×8)

光光

1G

沖縄

10G

10G (1G×8)

岡山

NICT神戸

1G

金沢

金沢

福岡

福岡

堂島

堂島

岡山

大手町

産学IT北九州

NICTけいはんな つくば

NICT鹿島

つくばRC大手町堂島

NICTけいはんなセンター

光NW : 物理的な検証も可能な光テストベッド

NW-A : NW運用管理技術の研究開発

NW-B : テラビットクラス実現のためのテストベッド

GMPLS相互接続技術

10G (1G×8)

当初10Gベース

NICT北九州ITセンター金沢

10G10G

10G×2

10G NICTつくばRC

大手町

NICTけいはんなセンター

NICT小金井

10G

10G

NICT鹿島

10G

仙台

札幌

1G

1G

長野

高知名古屋

1G 1G

1G福岡

堂島

10G (1G×8) 10G

(1G×8)

光光

1G

沖縄

10G

10G (1G×8)

岡山

NICT神戸

1G

金沢

金沢

福岡

福岡

堂島

堂島

岡山

大手町

産学IT北九州

NICTけいはんな つくば

NICT鹿島

つくばRC大手町堂島

NICTけいはんなセンター

光NW : 物理的な検証も可能な光テストベッド

●OXC・波長多重ネットワーク による 20G/10Gbit/s バックボーン●全国 63 アクセスポイント●海外との接続●実証研究のため光テストベッド部 2 か所を整備

研究開発ネットワークJGN II の構成

2009.1.23 窒化物半導体応用 20ICT Value Chain

ASK-DPSK多値化160Gb/s 光信号の都市間伝送

160Gb/sASK-DPSK♦ ≰ 孔函

160Gb/sASK-DPSK抐≰ 孔函

光テストベッド200km

従来の160Gb/s光信号光パルス間隔~6.25 ps

PMDによるパルス歪深刻な信号品質劣化

160Gb/s ASK-DPSK多値化光パルス間隔~12.5 ps

フィールド光フイバ伝送

PMD自動補償無しでもPMD耐力改善

-3

-4

-5

-6

-7

-8

-9-11-12

- log

(BER

)

-40 -35 -30 -25 -20受信光パワー [dBm]

伝送前

200-km

伝送後

○● : ASK in APSK? ■ : DPSK in APSK△▲ : RZ- ASK

伝送後受信感度劣化(@BER10-7)ASK-DPSK多値化:4~5dB従来方式(RZ‐ASK):8dB

Q

I

・OFC 2005,

世界初の多値化160Gb/s信号による都市間伝送に成功

2009.1.23 窒化物半導体応用 21ICT Value Chain

世界最高速度・最高密度光ファイバ通信

I(実部)

Q(虚部)

12

3 4I(実数部)信号

Q(虚数)信号

レーザ光

高速多機能LN変調器

差動4値位相変調(DQPSK)信号

①世界最高速度光ファイバ通信:25.6Tbps 240km伝送データ伝送容量の世界最大記録 OFC 2007 PDP19信号の密度(周波数利用効率)世界最高→さらなる容量拡大が容易②100GbE対応信号の世界最長伝送: 107Gbps x10 2000km伝送次世代イーサネット規格100GbEを支える技術 ECOC 2006 PDP-3

差動4値位相変調(DQPSK)による高速大容量伝送

超高速位相制御技術で超高密度伝送を実現

2009.1.23 窒化物半導体応用 22ICT Value Chain

超高速光通信ネットワークー 持続的な社会を支える社会インフラ ー

● 20年後(~2025年):年率1.5倍で、20年で情報量3000倍→10,000倍(ムーアの法則)を想定

• Tbpsアプリ(超臨場感、五感、メガデータベース検索)

• マルチサービス(サービススケーラビリティ)→ファイバ当りペタビット、ネットワークスルー

プットでエクサビットの伝送処理能力→NICT主催のEXAT研究会における検討

2009.1.23 窒化物半導体応用 23ICT Value Chain

背景(1):多重化の限界

• これまでの多重化の流れ

– TDM→TDM/WDM→?

– TDM/WDMはそろそろ限界

• TDM:40 Gbpsが実用化→100 Gbps– 課題・限界:高速変復調、ファイバのPMD(偏波分散)

• WDM:~100波システムが実用化→200波– 課題・限界:光増幅器の帯域(40 nm x 3バンド)

2009.1.23 窒化物半導体応用 24ICT Value Chain

背景(2):光ファイバ入力パワー限界

• 光ファイバへの入力パワーはそろそろ限界– ファイバフューズ(コア溶融)閾値~1.5 W

– 現在の基幹(テラビット)システムの入力パワー

~数100 mW→2~3倍しか余裕なし(ファイバ内光パワー密度~MW/cm2 >加工用レーザ)

• 現在の光ファイバでの伝送容量の限界– 受信感度の改善、光増幅のNF改善で X 20

→ 数10~100 Tbps/ファイバ

2009.1.23 窒化物半導体応用 25ICT Value Chain

ペタビット超ファイバインタフェースに向けて

● 光ファイバの耐入力パワーの向上– Holey Fiber構造で

X100程度の向上(閾値~100W)

• 新たな多重方法(例えば)– SDM(Space-division Multiplexing:空間分割多重)

• コア多重(マルチコアファイバ) 一括増幅などメリット

• ファイバ多重

• 光空間通信(マルチビーム)

– MDM(Mode-division Multiplexing:モード分割多重)

2009.1.23 窒化物半導体応用 26ICT Value Chain

2)光ネットワークの大容量性・機能性・省電力化追求

◇ パケットスイッチによる信号粒度を細やかに制御する光ノード

◇ 全光化による省電力NWノード◇ グリーン光NWの視点が今後重要

2009.1.23 窒化物半導体応用 27ICT Value Chain

超高速光技術の導入によりノードのボトルネック解消(電気的処理の限界克服)

光ネットワークのボトルネックは?

ネットワークボトルネックの主な原因はノードに有る

Link High-speed Link High-speed

Node Bottleneck

ノードのボトルネック解消は光処理に頼らなくても可能(電気的パラレル処理の導入)

既存ハイエンドルータや,昨今のマルチシャーシルータのトレンド

2009.1.23 窒化物半導体応用 28ICT Value Chain

光ネットワーク、ノード技術のロードマップ

波長多重(WDM)伝送技術

波長多重(WDM)リング網技術

OADM : Ootical Add/Drop MultiplexerOXC : Optical Cross-connect

OADM

光パケット交換(OPS)技術

1 2 1 3

23

1 2 1 3

23

統計多重帯域予約不要最小データ粒度

ストア&フォワード

統計多重帯域予約不要最小データ粒度

ストア&フォワード

波長提供サービス網技術

WD M

回線交換型集中管理

IPルータとOXCの個別運用最大データ粒度カットスルー

回線交換型集中管理

IPルータとOXCの個別運用最大データ粒度カットスルー

回線交換型IPルータとOXCの機能統合最大データ粒度カットスルー

回線交換型IPルータとOXCの機能統合最大データ粒度カットスルー

WDM

波長バースト交換技術

WDM

WDMリンク高ビットレート化超多波長/超高密度化

トランスペアレンシー拡大

WDMリンク高ビットレート化超多波長/超高密度化

トランスペアレンシー拡大

NICT独自の

研究開発目標

2010~2001 2005

ネッ

トワ

ーク

の効

産業界との連携による研究開発

2009.1.23 窒化物半導体応用 29ICT Value Chain

光パケット交換ノードの構成

.

電気処理

光処理

ルーティング表

光ラベル処理装置

光スイッチ

スケジューラ

光バッファ

光ラベル(あて先)符号と

出力先ポートの対応付け

光ラベル(あて先)読み取り

出力先ポートを決定

パケット同士が衝突しないタイミングを

計算

光パケットを適切な出力先ポートにスイッチ

衝突しないように光パケットを待たせる

ラベルデータ

光パケット

光信号

ノード: 経路制御を行う

○光パケット交換ノードは、光ラベル(あて先)を読み取って、光パケットを適切な出力先へ転送する機能を持つノード

○ペタビット級の高速大容量化のため、パケットの通り道をすべて光回路で構成する必要がある

○光回路化する対象は「光ラベル処理装置」、「光スイッチ」、「光バッファ」の3要素。

2009.1.23 窒化物半導体応用 30ICT Value Chain

大容量・高効率光ノード技術に対する期待

現在の光ネットワーク現在の光ネットワーク 将来の光ネットワーク(例えば,光パケットスイッチ)

将来の光ネットワーク(例えば,光パケットスイッチ)

通信網の端から端まで、データを電気変換せず光のままで交換・伝送。

電気的処理…電子回路の処理スピードに限界ダウンロード遅い、遂にはネットワークダウン

光処理…超高速で伝送・処理。快適ダウンロード、いつでもすぐに繋がる、環境にも優しい信頼できるネットワーク

通信網の中継点や分岐点(交換機)において、電気信号に変換して処理。

超高速・大容量化光→電気変換 電気→光変換

光信号 光信号電気信号

光ファイバ

光信号

電子交換機

電気ルータ

遅延速度大熱い!!装置規模膨大

高速処理低消費電力小型軽量

光パケットスイッチ

電気処理だけに頼った現状インターネット

新世代ネットワーク(将来)

光技術導入のチャレンジ

2009.1.23 窒化物半導体応用 31ICT Value Chain

光通信ネットワークにおいてWDM技術や40Gbps以上の光伝送技術の出現によりネットワークリンクは超高速かつ大容量になった.

しかしネットワークノードにおいては,電気処理に頼ったスイッチやルータが用いられているため,パケット交換処理に際しメモリアクセス等の遅い処理が含まれ,ボトルネックを生じる.電気パラレル処理の導入により,高速性の実現は可能であるが,ノードにおける消費電力の極端な増加という深刻な問題を引き起こす.

パケットのアドレス部に光符号ラベルを用いることにより,ノード内部でのアドレス処理の光化を実現し,世界初の光パケットスイッチプロトタイプ開発に成功した.その結果,上記ボトルネックを解消し,超高速・大容量ネットワーク実現が可能となる.

将来的には高機能かつ低消費電力ノードの実現が期待される。

超高速光符号ラベル処理による光パケットSWシステム

2009.1.23 窒化物半導体応用 32ICT Value Chain

4.まとめ

未来に向けた光技術のロードマップ

超高速・大容量光ネットワークシステムからの視点

2009.1.23 窒化物半導体応用 33ICT Value Chain

100M

陸上系伝送容量の進展と限界予測伝

送容

量/ フ

ァイ

バ[b

ps]

1.6G2.4G

1980 1985 1990 1995 2000 2005

400M

10G E-TDMMoore’s Law

Guilder’s Law 半年で2倍

18ヶ月で2倍

2010 2015 2020 2025

100T

100P

10T

10G

1G

1P

10P

1E

1T

100G

電子デバイス速度制限

増幅帯域制限~25T 100T

100P

10T

10G

1G

1P

10P

1E

1T

100G

第1ブースター光ファイバアンプ

第2ブースター新規伝送路を含めた

イノベーション

O-TDM

40G

WDM

10桁

40Gx40実験システム

商用システム

10Gx80

光パワー制限

1波長当り

現在

2009.1.23 窒化物半導体応用 34ICT Value Chain

1テラ/個人

光・量子技術併用で進展可能か?

2000 2010 2020 2030 2040 2050

安全・安心で持続可能な社会

エクサビット時代ペタビット時代テラビット時代ギガビット時代

総トラフィック

地球規模の危機の顕在化70億

(1.26億)

10G/個人100M/個人

光アクセス

無線アクセス

80億

(1.16億)90億

(0.95億)

世界人口60億(日本1.27億)

光波通信の限界まで追究・コヒーレント(多値化) ・WDM, SDM・全光化 ・オールバンド光ネットワーク

技術の発展政府安全保障グレードの

量子暗号技術実用化

量子制御技術の併用による超大容量セキュア光通信

10G/端末1G/端末100M/端末1M/端末

新世代アーキテクチャNGN よりイノベーティブなアーキテクチャ古典的

光通信技術の限界

有無線一体のアクセスの実現

2025-2030年頃には光波・量子制御技術の併用で壁を乗り越えるその先の地球的危機も乗り越えるべくアーキテクチャを研究する必要がある

2009.1.23 窒化物半導体応用 35ICT Value Chain

おわりに

• 光ICTは我が国がリードしてきた分野で、ブロードバンド大国を支えている重要な基盤技術

• ただし、最先端光ICT技術も変曲点にあり、高速・高効率・低消費電力化に向けたブレイクスルーが必要

• ブレイクスルー技術への挑戦的な姿勢が必要

• グリーンICTを支えるグリーン光NWが今後は重要

• 革新的な光ICT技術の中核は常に新しい機能の

光デバイス、電子回路など基盤研究がその基本

• 効果的な研究・開発には産学官の統一の取れた連携が必須

2009.1.23 窒化物半導体応用 36ICT Value Chain

ご清聴ありがとうございました

http://www.nict.go.jp