重症疾患の診療倫理方針の原則 2014
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診療倫理方針の原則
① 意思決定能力について
まず、御本人が病状について理解し治療方針を決める判断力があるのか
確認します。
② 治療の選択肢について
ガイドライン、成書、信頼度の高い論文などに基づいた、「標準的な治
療」についてお勧めします。次に「標準的な治療」を希望されない場合
などの「代替案」についてお話しします。
③ 本人意思の最優先
御本人と御家族で相談して、「標準的な治療」か「代替案」か選んでく
ださい。医療倫理として、「御本人が決めたことが正しい」というもの
があり、基本的には御本人の意見が優先されます。
よくある質問
Q:標準的な治療をすれば良くなりますか? 副作用は出ませんか?
A:良くなって欲しいと思って治療をしますが、治療が効くこともあれば効かないこ
ともあり、副作用も個人差が大きいです。なぜなら、「標準的な治療」は大勢の患
者さんに使った平均データなので、御本人にとってどうかは、やってみないと分か
らないところがあります。
Q:「標準的な治療」ではない治療をしたい
A:当院でできることであれば、できるだけお手伝いします。がんセンターの治験や、
一部の病院で試験的に行っている「標準的な治療」でないものなど、当院でできな
いことであれば、紹介状を用意しますので、御希望の宛先をお知らせ下さい。
Q:補完代替医療(健康食品・サプリメント・アロマセラピー・漢方・
灸など)をしたい
A:当院には専門家は不在ですが、相談したい場合は徳島大学や大阪大学の相談外来
を紹介いたします。四国がんセンターではガイドブックを作っています。
Q:御本人と御家族の人生観・生命観・価値観が違って困っている
A:基本的には御本人の意思が尊重されます。しかし、違法行為や通常の医療から大
きく離れる場合、社会一般に受け入れられないなど「公共性」がない場合は、倫理
委員会などで相談します。
Q:御本人が御家族に病状などを伏せておきたい、または御家族が御本
人に病状などを伏せておきたい
A:御本人と御家族が話し合って意思決定するためには、できるだけ同じ情報を共有
した方が良いです。もし御本人が病状を知りたい場合、御家族が反対されても病状
を伏せておくことはできません。御本人が、病状説明を御家族や医師の判断に任せ
る場合には、一部伏せておくこともできます。
Q:(御家族より)本人が病気への判断力がないと思う
A:判断力を測定できる検査はありませんので、対話の中から総合的に判断します。
判断力がない場合でも、もし判断力があったときに、治療希望や、誰かに任せると
いったことを事前に意思表明されていた場合、そちらを優先します。事前の意思表
明がない場合、御家族などの代理判断者に意思決定して頂きます。
Q:(御家族より)本人が高齢なので、治療方針を家族だけで決めたい
A:御本人に意思決定能力がある場合、御本人の意見を優先し、医療者は御家族を説
得する必要があります。
Q:(御家族より)本人が治療・入院を拒否しているが、治療・入院さ
せてもらいたい
A:御本人が病状を理解されていて、意思決定能力がある場合、御本人の意思に反し
て治療・入院を強制すべきではありません。
「重症疾患の診療倫理指針」を基に作成されています