いのち 30 1 15 岸和田・中部徳洲会病院で好評!教育プログラム … ·...

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βPepper 10 20 便使Sapporo East Tokushukai Hospital Neurologic Course for Emergency E learn- ing 10 20 30 中部徳洲会病院(沖縄県) は新築移転後初となる病院祭 を開催した。同院は10年ごと に病院祭を企画しており、今 回は30周年記念イベントのひ とつとして実施。目玉企画は 地元ラジオの公開生放送で、 一般社団法人徳洲会の安富 祖久明・副理事長や同院の伊波潔院長などのインタビュー、 会場レポート、ゲストミュージシャンのライブなどを行った。 このなかで安富祖・副理事長は“生命だけは平等だ”とい う徳洲会の理念をアピールしたうえで、「日本の医療全体が、 この理念のように変わっていくことを願っています。私たち の歴史的な役割もそこにあるのだと思います。これからも ぜひ応援してください」と呼びかけた。伊波院長は「30周年 を迎えられたのも地域の方々のおかげです」と感謝を示し、 「スタートは救急医療ですが、がん医療や先端医療なども 積極的に推進し、これからも職員が一丸となり、患者さん に来て良かったと思ってもらえる病院にしていきます」と抱 負を語った。 出店では全国徳洲会物産 展を開催。徳洲会グループの 全国60病院から送られてきた 地元の名産品が並べられ、来 場者は興味深そうに選んでい た。ほかに沖縄そばや地元の 野菜なども販売。なかでも、 おでんが一番人気で、てぃびち(豚足)を含め5品入って100 円という職員からの感謝の気持ちに行列が絶えなかった。 このほか、こくらクリニック(同)の渡辺信幸院長が「あな たの健康のためのお手伝いをする食事法」と題し医療講演 を行った。無料検査測定会、リハビリテーション体験など も実施、来場者数は4,000人を超え、終始にぎやかな雰囲 気のなか、地域の方々と職員との親睦が深まった。 メイン会場では地元ラジオ局の公 開生放送も 全国徳洲会物産展で全国のグルー プ病院が協力 中部徳洲会病院 30周年病院祭に4,000人 全国徳洲会物産展が人気 グループワークの様子を見守る岸和田病院の篠 﨑センター長(右) 「学んだことを現場で実践して ください」と増井部長 中部徳洲会病院では 12 人が受講 中部徳洲会病院では友利医師(中央)がサポー トに 若手や中堅社員らが熱心に聴講 岸和田病院では 20 人を超える参加者が研鑽 湘南厚木 命だけは平等だ 平成 30 1 15 日 月曜日│ No. 1116

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Page 1: いのち 30 1 15 岸和田・中部徳洲会病院で好評!教育プログラム … · 果、治療法などを解説。 ... するひと幕もあですよ」と増井部長がアことから、「あると便利徳洲会病院にはなかったフレンツェル眼鏡が中部を確認する時に装着する

いる。

「アルツハイマー型認知

症の確定診断は、死後の

剖検で脳内のアミロイド

斑と神経原線維変化の病

理学的な証明が必要です。

一方、生存中に診断でき

る画像検査として期待さ

れているのがアミロイド

PETです」と畑下副院

長はアピール。

畑下副院長は物忘れの

原因や臨床診断基準、症

例画像、自院での検査結

果、治療法などを解説。

「認知症の発症リスクを

低減するには身体活動や

バランスの取れた食事が

大切です。物忘れの症状

が出た段階で、早期診断・

治療により発症を遅らせ

ることが重要です」とま

とめた。

参加者のひとりは「“早

い段階から気を付けるの

が大切”ということがわ

かり、とても参考になり

ました」と感想を漏らし

ていた。

同院総務課の岩壁秀夫

副主任は「この検査を受

けに県外から来院される

患者さんもいます。今後

も要望があれば積極的に

医療講演に出向き、若年

世代への情報発信に努め

たい」と意欲的だ。

前から脳内にアミロイド

βタンパク質の蓄積が始

まり、神経細胞の変性や

死滅によって認知機能障

害が進行し、引き起こさ

れると考えられている。

従来の画像診断では同

タンパク質の蓄積を描出

することは不可能だった

が、アミロイドマーカー

としてPET(陽電子放

射断層撮影)用薬剤が2

002年に米国で開発。

同薬剤を用いたPET検

査で描出が可能となった。

同院は畑下副院長を中心

に2007年から臨床研

究として実施、その後も

継続して取り組み、同院

の強みのひとつとなって

湘南厚木病院(神奈川

県)の畑下鎮男副院長(脳

神経外科)は、東京都港

区のソフトバンク本社か

ら依頼を受け、同社社員

に向け「アルツハイマー

型認知症とアミロイドP

ET―アルツハイマー型

認知症の早期診断」をテ

ーマに医療講演を行った。

同院は神奈川県厚木市

周辺地域にとどまらず県

内外の企業・団体に積極

的に出向いて医療講演を

実施。ソフトバンクのロ

ボット「Pepper

」を導入

していることもあり、今

回の講演が実現した。

アルツハイマー型認知

症は、発症する10〜20年

された症例がCT撮影適

応ならAブロック、適応

外ならBブロックに移動

し、楽しみながら学んだ。

両院とも意見が分かれた

のは小児のCT適応。ヒ

ントが出されるたびにブ

ロック間を移動する人も

いた。増井部長は小児に

関して、とくに被ばくの

問題を考慮する必要があ

るとし、データを示しな

がら説明した。

両院とも参加者から好

評で、中部徳洲会病院の

友利医師は「私自身も勉

強になることが多かった

ですし、今後の研修医教

育にも生かしていきたい

です」と絶賛。増井部長

は「ぜひ学んだことを現

場で実践してほしいで

す」とエールを送った。

増井部長は「札幌東病

院で行うSENCEは後

期研修医にも講師を任せ

ていますので、今後はコ

ースディレクターを育て

ていきたいと思います。

他病院で開催する際に、

別のディレクターに任せ

られるようにしたいです

ね」と意気軒高だ。

を確認する時に装着する

フレンツェル眼鏡が中部

徳洲会病院にはなかった

ことから、「あると便利

ですよ」と増井部長がア

ドバイスするひと幕もあ

った。

「軽傷頭部・頚け

部ぶ

外傷C

Tいつ撮るの? 

撮らな

いの?」は講義形式。基

本の講義の後、会場をA・

Bブロックに分け、提示

ピンポイント指摘読影

術」は講義形式。医療面

接と身体所見から画像所

見を推定し、さらには画

像所見と発症時間の関係

も推定できるようになる

のが目的。参加者は提示

された症例をもとに脳の

アトラス(断面図)に推

定病変を書き込み、増井

部長が解説した。

「画像に頼らない、明日

から使えるめまい診察伝

授」はグループワーク。

グループ内で医師役、患

者さん役、指導医役に分

かれ、患者さん役と指導

医役にはあらかじめシナ

リオを提示。医師役がこ

れに対応して、めまいの

診察方法を学んだ。眼振

札幌東徳洲会病院の増井伸高・救急科部長は岸和田徳洲会病院(大阪府)、中部徳

洲会病院(沖縄県)でSENCE(SapporoEastTokushukaiHospitalNeurologic

CourseforEmergency

)をそれぞれ開催した。これは増井部長が考案した教育プ

ログラムで、めまいや脳卒中など神経救急領域の診療センスを身に付けるのが目

的。両院ともに増井部長が訪れて講師を務め、いずれも好評だった。

臨床の現場では、めま

いや脳卒中、頭部外傷な

どは、脳神経外科や神経

内科の専門医以外の医師

るようになりました。そ

こで私が行っている院内

研修に興味をもっていた

だいたことがきっかけで

す」と振り返る。

札幌東病院で開催する

場合は、増井部長がコー

スディレクターを担い、

講師は同院救急科の後期

研修医が分担して務める

が、今回は増井部長がす

べての講義の講師を担当。

岸和田病院では篠﨑正博・

救命救急センター長、薬

師寺泰匡・救急科医長ら、

中部徳洲会病院では友利

隆一郎・救急総合診療部

医師らが、それぞれ増井

部長をサポートして実施

した。

両院ともにSENCE

ではおなじみのE

―learn-ing

を活用。参加者は事

前に講義動画を閲覧、学

習した内容をもとに本番

に臨み、当日は実症例を

マネジメントするグルー

プワークに時間を割いて、

より理解を深めた。

SENCEは5つの講

義で構成。「ER(救急

外来)から専門医へつな

ぐ脳卒中の治療アップデ

ート」はクイズ形式で、

「血圧管理」、「スコアリ

ング」、「手術適応」、「く

すり」、「その他」のジャ

ンルごとに10点、20点、

30点の問題を用意。参加

者がジャンルと点数を指

定し、提示された問題に

対し全員が一斉に回答を

掲げ、すぐに答え合わせ

と解説を行うというもの。

趣向を凝らした難問に会

場は盛り上がりを見せ、

最高得点を獲得した人に

は景品が贈られた。

「こんな時は何点?〜N

IHSSのトラブルシュ

ーター」ではグループワ

ークを実施。NIHSS

とは脳卒中の重症度評価

基準のこと。グループ内

で医師役、患者さん役、

記録係役に分かれ、評価

リストをもとにヒアリン

グ。その際、「リストの

順に施行する」、「患者さ

んを誘導しない(何度も

同じ指示を繰り返さな

い)」など注意点が与え

られた。医師役はリスト

をもとに「今日は何月何

日ですか」、「頭を動かさ

ずに私の指を目で追って

ください」など自分で考

えた質問や指示を投げか

けた。

「麻ま

ひ痺患者のCT(コン

ピュータ断層撮影)/M

RI(磁気共鳴画像診断)

中部徳洲会病院(沖縄県)は新築移転後初となる病院祭を開催した。同院は10年ごとに病院祭を企画しており、今回は30周年記念イベントのひとつとして実施。目玉企画は地元ラジオの公開生放送で、一般社団法人徳洲会の安富祖久明・副理事長や同院の伊波潔院長などのインタビュー、会場レポート、ゲストミュージシャンのライブなどを行った。このなかで安富祖・副理事長は“生命だけは平等だ”とい

う徳洲会の理念をアピールしたうえで、「日本の医療全体が、この理念のように変わっていくことを願っています。私たちの歴史的な役割もそこにあるのだと思います。これからもぜひ応援してください」と呼びかけた。伊波院長は「30周年を迎えられたのも地域の方々のおかげです」と感謝を示し、「スタートは救急医療ですが、がん医療や先端医療なども積極的に推進し、これからも職員が一丸となり、患者さんに来て良かったと思ってもらえる病院にしていきます」と抱

負を語った。出店では全国徳洲会物産展を開催。徳洲会グループの全国60病院から送られてきた地元の名産品が並べられ、来場者は興味深そうに選んでいた。ほかに沖縄そばや地元の野菜なども販売。なかでも、

おでんが一番人気で、てぃびち(豚足)を含め5品入って100円という職員からの感謝の気持ちに行列が絶えなかった。このほか、こくらクリニック(同)の渡辺信幸院長が「あなたの健康のためのお手伝いをする食事法」と題し医療講演を行った。無料検査測定会、リハビリテーション体験なども実施、来場者数は4,000人を超え、終始にぎやかな雰囲気のなか、地域の方 と々職員との親睦が深まった。

メイン会場では地元ラジオ局の公開生放送も

全国徳洲会物産展で全国のグループ病院が協力

中部徳洲会病院

30周年病院祭に4,000人全国徳洲会物産展が人気

グループワークの様子を見守る岸和田病院の篠﨑センター長(右)

「学んだことを現場で実践してください」と増井部長

中部徳洲会病院では12人が受講

中部徳洲会病院では友利医師(中央)がサポートに

若手や中堅社員らが熱心に聴講

も初期対応を求められる

ケースが多い。ところが、

神経救急領域を体系的に

学ぶ機会は限られている

のが現状だ。そこで増井

部長が教育プログラムを

考案、2012年から札

幌東病院で毎年開催して

いる。

今回、岸和田病院と中

部徳洲会病院からそれぞ

れ要請があり、自院以外

での開催となった。両院

ともSENCEは初開催。

開催に至った経緯を増井

部長は「徳洲会の救急部

会で全国のグループ病院

と顔の見える関係ができ

教育プログラム「SENCE」開催

岸和田・中部徳洲会病院で好評!

増井・札幌東徳洲会病院救急科部長

岸和田病院では20人を超える参加者が研鑽

認知症の早期診断テーマ

ソフトバンクで講演

湘南厚木病 院

徳 洲 新 聞生い の ち

命だけは平等だ 平成 30 年 1月15 日 月曜日 │ No.1116 ❹