インターネットと政治 その現状と課題
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インターネットと政治
―その現状と課題についての整理
「インターネットと『新しい政治』シンポジウム」 2012年11月29日(木)
衆議院第一議員会館
Ⅰ.日本政治にも浸透するインターネット
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1.国会議員(720人)
ホームページ…690人(95.83%)
twitterアカウント...225人(31.25%)
facebookアカウント…208人(28.89%)
当選回数別・twitterアカウント保有数
254
125111
65 59
3626
10
34
111
33 3115 17
6 6 3 3
43.70%
26.40%27.93%
23.08%
28.81%
16.67%
23.08%
30.00%
8.82%
0
50
100
150
200
250
300
1 2 3 4 5 6 7 8 9~14当選回数
0.00%
5.00%
10.00%
15.00%
20.00%
25.00%
30.00%
35.00%
40.00%
45.00%
50.00%
総数 アカウント数 開設率
出所:日本政策学校・日経ビジネス調査結果(『日経ビジネス2012年9
月24日号』)より作成
2,政党
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HP Twitter facebook 動画 メルマガ ネット献金
民主党 ○ ○ ○ ○ ○ ○
自民党 ○ ○ ○ ○ ○ ○
国民の生活が第一
○ × × ○ × ○
公明党 ○ ○ ○ ○ ○ ×
みんなの党 ○ ○ ○ ○ × ○
共産党 ○ ○ ○ ○ ○ ×
社民党 ○ × × ○ × ×
国民新党 ○ × × ○ ○ ×
日本維新の会 ○ ○ ○ ○ × ○
新党大地・真民主 ○ × × ○ × ×
みどりの風 ○ ○ × × × ×
減税日本 ○ × × ○ × ×
(2012年11月26日時点)
Ⅱ.インターネット活用による新しい政治の「夢」
「透明性」が向上し、信頼される政治の実現??
「市民参加」による、新しい政策形成??
開かれた、クリーンな「選挙」??…etc
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”Transparancy”(透明性)
”Participation”(国民参加)
”Collaboration”(官民連携)
オバマ大統領のオープンガバメント指令(2009年1月)
1.「透明性」は高まる? ①recovery.com
景気対策費(76兆円)が、何の分野に、どの地域に、いくら使われているのかが分るアメリカ連邦政府のサイト。経済効果、雇用創出効果についてもわかる。オバマ政権では、「ITダッシュボード」、「USAspending.gov」など様々な、政策執行についての「可視化」サイトが設立されている。
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②what does money go?
オープンナレッジファンデーション
(イギリス)による。自分の給与額
を指定すると、税金の総額、各分
野にどれだけ使われているのか、
直観的にわかる。
③事業仕分け行政刷新会議(2010年~2012年)
事業仕分けの様子は、ニコニコ生放送、Ustream、
DMMなど、ネット各社が生中継をする。
一時はアクセスが集中し、回線がつながりにくく
なるぐらいの盛況を博す。
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1.「市民参加」は進む? (1)政策形成への参加
①We the people(アメリカ)
ホワイトハウスのページから誰でも政策
提言ができる。提言してから1ヶ月以内
に2万5000人の署名を集めると、政府は
返答しなければならない。
②Citizens' initiative(フィンランド)
市民が、政府が運営するThe Open
Ministryというサイトに法案を提出する
ことができる。半年以内に5万人がサポ
ートすれば、その法案は国会で審議され
なければならない。銀行や携帯電話会社
が提供するAPI経由で本人認証を行う。
→直接民主主義?
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(2)政治への異議申し立て
①日本でも現れた、様々なオンライン署名
②LoudSauce(アメリカ)
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• さよなら原発1000万人アクション…オンラインと実際の署名あわせて800万人が署名(2012年11
月28日時点)
• 世界的に展開している、オンライン署名プラットフォーム「Change.org」が日本でもサービス開始。世界中で1400万人以上が利用している。
広告クラウドファンディングサービス。社会運動、政治運動など、活動を伝える15秒間の動画を作成し、ウェブ
ページに掲載することで、広告のための募金してくれるファンを集めるサービス。
(2) 「新しい公共」…市民自らが「公共」を担う、そのためのネットの活用
①See Click Fix
地域の問題(道路のはがれ、ゴミの
散乱、落書き)などの問題をコミュニ
ティで共有し、議論し、解決を図るこ
とのできるプラットフォーム
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②sinsai.info
3.11大震災直後、ボランティアのエ
ンジニア達によって、地震発生からわずか7時間後には立ち上げられ
た支援サイト 。安否情報、公式情報、避難場所など地理に紐づけられたレポートを受け取れる仕組み。
3. 「選挙」の光景は変わる? (1)透明性の高い選挙?―ネットによって様々な分析が可能に。
①Who Bought Your Politician?
大統領候補と議員候補それぞれの、資金提供者トップ10と寄付額が詳細にわかるウェブウィジェット。WIREDとMaplightが制作。ウェブウィジェットなので、自分のブログなどに埋め込んで誰でも公開で使うことができる。
②FactCheck.org
候補者の発言が正確か、事実であるか
を調べ、ソーシャルメディアなどで公開
するサイト。
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③ソーシャルメディアで人々の感情を可視化
Hootsuiteによるツィッター分析サイト。フォロアーの数の推移、話題となっているツィー
トだけでなく、両候補者のアカウントへの人々のツィートに含まれている言葉から、「満足」「親しみ」などといった肯定的な感情から、「不安」「憤り」など否定的な感情も可視化。
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(2)ネット献金は普及する ?
①アメリカ大統領選挙
オバマ大統領は、2012年大統領選挙で候補者として6億3700万ドルの献金を集めたが、うち56%が200ドル以下。
②日本…楽天政治 Love Japan
献金申込件数…3297件
献金申込額累計…4058万円
(2012年10月31日現在)
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(3)最近の選挙とネットに関連するニュース
• 11/21「<橋下市長>ツイッターで「非核2原則で十分だ」」(毎日新聞)
• 11/22「安倍総裁、Facebookで支持者と交流 読者10万人、メディア批判も」(ITmedia
news)
• 11/22「<衆院選>政治家なりすまし 「つぶやき」次々」(毎日新聞)
• 11/26 自民党の安倍晋三総裁が、野田佳彦首相との29日の討論会について、イン
ターネット動画中継サイト「ニコニコ動画」の施設を指定。
• 11/26「ニコニコ動画、民主党に党首討論めぐり抗議文」(日経新聞)
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Ⅲ.インターネット活用への様々な懸念 1 . なりすましの懸念
選挙のたびに、ソーシャルメディアでは、「偽物」が登場。
2.記録改ざんの懸念
2012年大統領選挙、オハイオ州の自動投票機に、共和党ジョン・ハステッド州務長官の指示によって、「実験的」ソフトウェアがインストールされていることが発覚。市民団体から訴訟を起こされている。
3 . SEO対策、検索結果の工作の懸念
「ワグマン事件」… 2009年11月、フロリダ州セントピータースバーグ市において、ワグマン候補が、Google
AdWardsを利用し、対立候補の名前で検索すると、ワグマン候補の選挙運動サイトへのリンクが表示されるようにしたことが問題となった。
4 .ネット上での誹謗中傷への懸念。 5 .サイバー攻撃、情報の漏洩、ハッキングへの懸念 6 .ネットリテラシーの問題
7 .ネットの「民意」をどのように位置づけるべきか。
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インターネット利用が現実に進んでいることを前提にした対策が不十分。
その象徴が公職選挙法。インターネットは「ない」前提のままなので、ネットの活用も、問題点への対応も同時に進まない
Ⅳ ネット選挙運動解禁をめぐる国会の動き
1996年 新党さきがけが自治省に質問 「ホームページは文書図画にあたる」
1998年 民主党が公選法改正案を国会に提出
(2001年、04年、06年にも提出。全て審議未了廃案) ・ウェブ、メールを用いた選挙運動を解禁
・有料による候補者の氏名等の掲載の禁止、
・虚偽表示罪など
2005年 自民党・公職選挙法改正案の骨子をまとめる。 ・ウェブを用いた選挙運動の解禁。メールは禁止
民主党「マニフェスト」にネット選挙解禁を盛り込む。
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2009年 政権交代
2010年 参院選直前に審議会に提出された公選法の改正案に
関して与野党合意。
…鳩山首相の突然の辞任による政局の混乱の中、法案は成立せず。
2011年 総務省・選挙公報を自治体のHPに掲載することを
認める通知
合意内容
・ウェブやブログを使った選挙運動を合法とする。
・メールでの選挙運動は禁止。ツィッターは自粛
・なりすましや誹謗中傷については刑法の名誉棄損罪や公職選挙法の虚偽表示罪などで対処
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2012年 自民党、公職選挙法等の一部を改正する法律案を
衆議院に提出(2010年から継続審議)
みんなの党、公職選挙法等の一部を改正する法律案を
参議院に提出
内容:
・原則自由にインターネットが使えるようになる。
ウェブ、ブログだけでなく、フェイスブックもツィッターも自由に使える
・選挙用メールについては、送信に同意した人のみ送られる。
・有料のインターネット広告禁止
・名誉棄損罪、虚偽表示罪の明記
内容:
・選挙用メールについては、送信しないよう求める人に送ってはならない。
・選挙運動のためのネット上の有料広告を条件付きで解禁
・インターネットを利用する投票方法に関する検討
・名誉棄損罪、虚偽表示罪の明記
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ご清聴ありがとうございました。
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“ウェブに一方的な期待をかけるだけでは政治は
動かない。ウェブは双方向性が命である。最新の
情報技術によってもたらされた豊かなコミュニケー
ション環境を、政治家や官僚との対話に生かさな
ければ世の中は変わらない。…ウェブを利用して
政治家に語りかけ、政治を自らの手で「動かすと
いう」当事者意識が、今我々に求められている。”
津田大介『ウェブで政治を動かす!』