大学リサーチ・アドミニストレータ( 制度の導入によ...
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大学リサーチ・アドミニストレータ(URA)制度の導入による研究力強化
副学長(学術研究担当)
三池秀敏
第2回公的研究費の不正防止計画に基づく説明会2012年9月24日16:30-17:55
教育・社会貢献の要としての研究
• 多様な研究活動を背景に特徴ある教育が可能• 研究を介した教育(大学院教育研究活動)• 研究成果を活用した社会貢献(国際・地域連携、産学公連携)
• 大学の活性化=研究の活性化が基本(大学運営:研究活動に伴うリスクマネジメント)
• 研究の活性化=学生の教育(大学院生が戦力)“教育なくして研究なし”
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1.研究力のバックグラウンド
・科学研究費・共同研究、受託研究
第2回公的研究費の不正防止計画に基づく説明会
過去13年間の科学研究費獲得額の推移(山口大学)
産学公連携
創業支援機
構へ改組
法人化
産学公連携
イノベー
ション推進
機構
0
100,000
200,000
300,000
400,000
500,000
600,000
700,000
800,000
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
系列1
12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
8億
6
4
2
0
23年度採択数:419件採択額:715,560千関節費:214,668千
大学院
部局化
24年度(新規+継続)採択数:445件採択額:780,150千関節費:234,045千=過去最高!
大学研究
推進機構
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• 平成23年度科学研究費の採択状況(新規分)
年度
機関名 採択件数 配分額
1 東京大 1349 49.6% 64.23
2 京都大 1073 46.8% 42.99
8 筑波大 461 13.58
9 広島大 412 10.6
10 慶応大 373 42.0% 10.7
12 岡山大 342 7.82
14 千葉大 305 7.86
27 鹿児島 180 4.25
26 愛媛大 172 3.55
30 山口大 170 29.2% 3.21
総額 28,870 28.1% 717.2億
山口大学の過去5年間の推移
0
50
100
150
200
250
300
350
400
19 20 21 22 23
採択件数
採択金額
採択率
164件
H23年度は科研採択率大幅増:約30%、しかし、大型(基盤A、B)は, 11/52=21.2%, Bのみ採択。Sの応募0件、Aは0/3.
3.2億円
29.2%
2011.5
2011.11
• 平成24年度科学研究費の採択状況(新規分)
年度
機関名 採択件数 配分額
1 東京大 1215 45.5% 39.13
2 京都大 981 44.0% 31.72
8 広島大 377 9.50
9 筑波大 370 8.72
10 慶応大 365 43.0% 9.45
13 岡山大 294 6.67
14 千葉大 293 7.37
27 山口大 159 28.6% 3.79
29 鹿児島 154 2.94
30 愛媛大 140 2.93
総額 24,673 28.4% 566.4億
山口大学の過去6年間の推移
159件
H24年度は科研採択金額大幅増:新規分:+6,700万円(直接)、総額101,420万円基盤(A):15/50=30%,基盤(B):4/8=50%
3.8億円
28.6%
2012.5
2012.09
0
5
10
15
20
25
30
35
40
1 2 3 4 5 620 2422
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過去21年間の共同研究・受託研究件数の推移
地域共同研
究開発セン
ター発足
産学公連携
創業支援機
構へ改組
法人化
産学公連携イ
ノベーション
推進機構
部局化
大学研
究推進
機構
最近4年間(20-23年度)の共同・受託研究金額(件数 、金額 (百万円))
329平成3年度(28件)に比べ10倍以上
1600
1200
800
400
020 21 22 23 (年度)
294 335
15.2億
13.3億
9.67億 10.29億
310
0
200
400
600
800
1000
1200
1400
1600
1 2 3 4
系列1
系列2
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政府の施策と山口大研究推進活動の歩み
地域共同研究開
発センター
H3
科学技術基本法
H7
第1期科学技術基本計画
H8-H12
ポスドク1万人計画
第2期科学技術基本計画H13-H17
重点4分野の設定・ライフサイエンス・情報通信・環境・ナノテクノロジー
第3期科学技術基本計画H18-H22
第4期科学技術基本計画H23-H27
イノベーション創出・大学の人材育成機能・30の世界的研究拠点・社会国民に成果還元・イノベータ日本
震災からの復興再生・グリーンイノベーション・ライフイノベーション・科学技術イノベーション・科学技術人材育成
山口TLO
VBL
知的財産本部
産学公連携・創業支援機構
ビジネスインキュベーション施設
産学公連携・イノベーション
推進機構
大学研究推進機構・
URA室設置
法人化(第一期)
総合科学実験センター
時間学研究所
東日本大震災
リーマンショック
文部科学省
法人化(第2期)
2.URA制度について
第2回公的研究費の不正防止計画に基づく説明会
・米国URAの歴史・URAの役割・URAの職域・URAを育成・確保するシステム整備・山口大学のURA
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米国でのURA制度の歴史的背景
• 戦後の米国での競争的資金の加速的増大
1949年:1,500万ドルから
1965年:130,000万ドルへ・資金の適切な管理・運営の要求
• 80年代:・政府による監査の重視(規制とコンプライアンス案件の整備)
・大学運営におけるRAオフィスの重要性の認識が高まる
・研究費使用の不正等に関わる様々な規制の制定
• 会計面以外の法規制・障害者の雇用、性差別、人体実験、実験動物保護、環境への配慮
• 90年代:・多数の規制整備に伴い管理資金が必要(関節経費では不足)
・資金管理の電子システムの導入
・新たな環境に置かれた研究者の支援(電子化、法人化等)
• 現在のURA・米国全体で約15万人のURA
・ノーベル賞を支えるURA
http://jram.w3.kanazawa-u.ac.jp/ra-usa.html
大学リサーチアドミニストレータとは?
• URA(職位)の役割・研究者とともに、研究活動の企画・マネジメント・成果活用促進を行う人材。作家に対する編集者のような存在
・競争的資金の獲得・管理を行う専門職。研究原資を稼ぎ、研究環境を整え、結果を出させて助成団体の満足を得る職業
・プロジェクトに関わる人々のインセンティブを調整し、全体の整合性をとり、コミュニケーションを深める専門職(大学や企業のリソースを集めて研究を進め、社会からの注目や評価を得て、学生や地域の満足を得る職業
• URAのコアとなる業務「調査」「企画」「調整」「広報(報告)」の4点
http://rpo.jp/index.php?%E3%83%AA%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%81%E3%82%A2%E3%83%89%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF
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Pre-Award(企画・情報収集・申請) Post-Award(採択後から事業終了まで)・学内研究者の研究領域や学内研究施設などの把握
・プロジェクトに必要な人員組織体制の整備
・企業、独立行政法人、国や県などのニーズや研究資金情報などの把握
・プロジェクトの会計、財務、設備管理
・研究者と共に研究プロジェクトを企画し申請書作成を支援
・ファンディング・エージェンシーとの調整、折衝
・競争的資金獲得に対する学内への啓発活動
・ニーズや関係法令などに合致した研究プロジェクトの進捗管理
・学内プロジェクトの調整・競争的資金の予備(内部)監査の実施、監査への対応
・研究計画の法令順守に関する精査 ・利益相反と責務相反の精査
・研究計画案についての提案、交渉・被験者および実験動物の保護、安全衛生要件の精査
・学内の支援体制の整備・知的財産を含む研究成果の管理、技術移転の管理
・学外組織、企業との連携体制構築・プロジェクト成果の広報、アウトリーチの管理
リサーチアドミニストレーションの職域
リサーチ・アドミニストレータを育成・確保するシステムの整備(文科省24年度公募:10機関)
• 目的大学等において、研究資金の調達・管理、知財の管理・活用等を統合的にマネジメント出来る研究開発に知見のある人材(URA)を育成・確保する全国的なシステムを整備し、専門性の高い職種として定着を図り、研究者の研究活動の活性化のための環境整備、研究開発マネジメントの強化による、研究推進体制の充実強化及び科学技術人材のキャリアパスの多様化を図る。
• 背景研究開発内容を理解し、研究資金の調達・管理、知財の管理・活用等をマネジメントする人材不足により、研究者に研究活動以外の業務で過度の負担増の状況。
• 概要①スキル標準の策定、研修・教育プログラムの整備により、URAを育成し定着させる全国的システムを整備
②研究開発に知見のある人材を大学等がURAとして活用・育成する事を支援
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山口大学中期目標(研究)とURA組織整備の関連URAを育成・確保するシステムの整備構想 説明-1
山口大学は、専門分野での学問深化と、分野間の協力で行う総合的な研究によって、人間、社会、自然などの総合的な理解を進める研究、課題を解決する研究、新たな価値創造を目指す研究を推進します。そのために、自己変革を繰り返しながら戦略的な取り組みを展開し、特徴ある教育研究拠点形成やイノベーション創出機能の強化などを実現するとともに、研究基盤を継続的に強化して多様な研究を促進し、「知の重層的なストック(蓄積)」を形成し、社会と大学との「バリュー・チェーン(価値連鎖)」の形成を目指します。さらに、研究推進の取り組みと研究評価にもとづく改善を積み重ねることにより、研究において「複数の強みが連鎖的に生まれる大学」を築きます。
研究に関する中期目標
中期目標を実現するために不可欠な体制構築・整備
1.研究力のさらなる増強が可能な体制の構築
2.事務対応案件の高度専門化に伴う対応体制の構築
URA組織体制の整備・URAによる研究者支援により実現
・若手研究者の育成 ・研究基礎力の強化 ・研究者が研究に使える時間の確保
・契約の複雑化など、高度化する案件対応 ・法律遵守に対する対応
山口大学URAを育成・確保するシステムの整備構想
URAを育成・確保するシステムの整備構想 説明-2
総合科学実験センター
知的財産センター
産学公連携センター
各部局の関連部署
研究推進戦略部(URA室)
学長 丸本卓哉
学術研究担当副学長(理事)
三池秀敏
支援
時間学研究所
各研究推進体等
大学研究推進機構URA室運営委員会・(学術研究担当・理事)・シニアURA 2人・事務部門統括
URA企画支援委員会・(総務企画担当・理事)・外部委員(2人)・URA室運営委員会委員(4人)【+ URA教育・研修プログラム実施部会委員,必要時参加】
URA評価基準等策定委員会・(人事労務担当・理事)・財務施設担当理事・人事労務担当課・課長・事務部門統括・技術経営研究科 1人(アドバイザー)
諮問 助言・提言
URA教育・研修プログラム企画・実施部会・(シニアURA 2人のうちの1人)・事務部門統括・技術経営研究科 1人・理工学研究科 1人・知的財産センター 1人 大学研究推進機構
連絡会議
・実際の活動は、各キャンパスにURA室の分室を設け、そこを拠点に活動・定期的な連絡会などを通じて、相互の活動把握、連携を実施・各センタースタッフとの協働も実施
支援
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研究力のさらなる増強が可能な体制構築とURAの関連
URAを育成・確保するシステムの整備構想 説明-3
異分野融合による新領域研究展開による研究力の増強を目指した取組
時間学研究所(2000年4月~:廣中平祐学長)医工連携(医学系研究科応用医工学専攻の設置 2004年度~)
医工農理連携(医学系研究科応用分子生命科学専攻の設置 2006年度~)
・個人レベルの研究連携に留まっている。
・一大研究拠点への展開ができていない。
URAの積極的な関与(研究者の潜在的研究能力の深掘り、分析によるテーマ設定など)
現状
・教育面では一定の成果(理・工・農学系学生の医学的素養の育成)
・医療関連メーカーなどへの就職(テルモ(医療機器)、(株)テクノメディカ(検査機器)、(株)アークレイ(検査機器)など)
課題
プロジェクト型研究チームの構築支援(→ 副学長へのグルーピング提案等)
産学公連携センター所属の教員、コーディネータのURA的な活動事例(1)無機材料研究者が持つ高温材料調製技術を、半導体プロセスの簡素化に応用可能なことを提案、プロジェクトに参画(2)弊学の科学研究費データベースから、研究者をピックアップし、プロジェクト型研究を実施し、商品化した例
大型研究資金への応募支援(上記チームへの支援)
事務対応案件の高度専門化に対応可能な体制構築
URAを育成・確保するシステムの整備構想 説明-6
2から3年の定期的なローテーションによる一般職員の育成(広く、多くのことを体験させ、ジェネラリストの育成に主眼)
高度な専門性が求められる事務案件の増加
◆契約の複雑化(従来よりも要対応機関が増え、契約内容も多様・複雑化)
◆法令遵守など法務管理の重要性の増加
生物多様性条約
対企業、公的機関、各種財団、外国(企業、政府)
専門性の高い事務職員育成の喫緊性
事務処理に関するノウハウの継承の必要性・重要性
◆プロジェクト研究・異分野融合による新研究領域関連職務により事案の発生頻度高まる。
労働衛生・安全管理 放射線取扱各種申請
現状
課題
URA組織の整備により、これらの課題に即応できる体制を整える。
遺伝子組み換え実験(カルタヘナ法等関係法令)
安全保障輸出管理関係
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山口大学URA室の組織概要URAを育成・確保するシステムの整備構想 参考-11
URA支援事務部門 URA部門
事務部門統括(学術研究部長・
兼務)
シニアURA(1人(本事業)+1人(独自採用)
協議・チーム編成
支援チーム
URA支援事務職員(3~5人)
URA 4→5人(本事業)+2人(独自採用)
各プロジェクト支援
一般事務(経理,契約など)非常勤職員,ポスドク
一般教員,公募応募者等
本事業組織の学内配置
URAを育成・確保するシステムの整備構想 参考-13
総合科学実験センター
知的財産センター
産学公連携センター
大学研究推進機構
支援支援
各部局の関連部署
研究推進戦略部(URA室)
学長 丸本卓哉
時間学研究所
学術研究担当副学長(理事)
三池秀敏
各研究推進体等
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研究の進捗状況と各組織の関与の程度
URAを育成・確保するシステムの整備構想 参考-15
関与の程度
発展研究 応用研究
産学公連携センター知的財産センター
総合科学実験センター
URA室
研究の進捗段階
基礎研究
基礎研究のプリアワードから応用研究のポストアワードまでをシームレスに繋ぐURA(産学CDとの連携)
URAのキャリアパス概略図URAを育成・確保するシステムの整備構想 参考-16
シニアURA
中堅URA
URA
中途採用者については,レベル評価を面接などで行い相当するキャリアレベルで雇用。独自雇用URAも,中途採用者を同じプロセスによりレベル評価を行い職階を決定。
ポスドク等中間審査
中間審査
中間審査
昇任審査
昇任審査
URA支援事務部門職員年齢,一般事務経験,研修によるスキルアップの程度等により,対応するURA職にキャリアシフト
10年間 10年間 10年間
各センター長や学術研究担当副学長など
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3.おわりに
• URAによる研究者の支援により、研究に伴うリスクマネジメント(法令遵守:研究経費不正・研究不正の防止へ)
• URAによる研究者の支援により、研究環境の改善・研究力の革新的な強化
・競争的資金の獲得増(科研費の倍増!)
・研究時間の確保(研究以外の雑務の軽減)
・目的に応じた研究プロジェクトチーム形成
・研究成果の知財化と管理・活用(技術移転)
・研究広報
第2回公的研究費の不正防止計画に基づく説明会
ご清聴ありがとうございます。