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2004/6/2 2004/6/2 (C)Katsuhiko (C)Katsuhiko Kato Kato 1 1 ブランド価値を高めるには・・・ ブランド価値を高めるには・・・ 東京工業大学大学院 東京工業大学大学院 社会理工学研究科 社会理工学研究科 経営工学専攻 経営工学専攻 エンジニアリング知的財産講座 エンジニアリング知的財産講座 03M42157 03M42157 加藤 加藤 克彦 克彦

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2004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato 11

ブランド価値を高めるには・・・ブランド価値を高めるには・・・

東京工業大学大学院東京工業大学大学院 社会理工学研究科社会理工学研究科 経営工学専攻経営工学専攻

エンジニアリング知的財産講座エンジニアリング知的財産講座

03M4215703M42157 加藤加藤 克彦克彦

222004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

発表内容発表内容

1.ブランドとは何か?1.ブランドとは何か?

2.ブランド価値とは?2.ブランド価値とは?

ブランド価値の定義ブランド価値の定義

(1)ブランドを構成する3つの価値(1)ブランドを構成する3つの価値

(2)ブランド・エクイティ(2)ブランド・エクイティ

(3)ブランド価値を高めるファクター(3)ブランド価値を高めるファクター

3.事例3.事例

4.まとめと今後の進め方4.まとめと今後の進め方

332004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

1.ブランドとは何か?1.ブランドとは何か?

《《ブランドの意義と機能ブランドの意義と機能》》

パッケージ

シンボル

キャラクター

サイン

デザイン

マーク

音楽

言葉

ロゴタイプ

ネーム

ブランド

ブランドの機能①出所表示

②品質保証

③情報伝達(広告宣伝)

④従業員の企業に対するモラル向上

⑤サプライヤー、パートナー企業への認知度アップ

その企業の製品・サービスから消費者がイメージする提供価値

442004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

2.ブランド価値とは?2.ブランド価値とは?

2-1 ブランド価値の定義

①消費者から見ると

購買決定の作用や使用による満足感・優越感などをもたらす

②企業側から見ると

ブランド拡張や流通への影響力、価格の弾力性など競争上の優位性をもたらす

552004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

2-22-2 実験(コーラの実験)実験(コーラの実験)

実験対象:10、20、30、40、50代 男女各1名ずつ 計10名

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

No Brand

Coca-Cola

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

No BrandCoca-Cola

目隠しあり 目隠しなし

味覚に対する点数 味覚に対する点数

さわやかさに対する点数

さわやかさに対する点数

ブランド価値が消費者の味覚に大きく影響している

662004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

1-21-2 ブランドを構成する3つの価値ブランドを構成する3つの価値

基本価値

情報価値

周辺価値 ・・・製品そのものではないが顧客にとって重要な価値(世界に流通している、入手しやすい)

・・・製品の情報がもたらす追加的な価値(ロゴマーク、CM、広告宣伝など)

・・・製品が持つ基本的な価値(深いコク、喉にはじける刺激、爽快感など)

ブランドの価値

772004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

2.ブランドエクイティ2.ブランドエクイティ

知覚品質

ブランド連想知名度

ブランドロイヤルティ

その他

2-12-1 ブランドエクイティブランドエクイティのコンセプトのコンセプト

(David(David A.Aaker)A.Aaker)

単に名前が知られているだけでなく、ロゴマークやブランド名が記憶に残っている

消費者がブランドに対して感じている品質イメージ

消費者のブランドに対する忠誠心

消費者の頭の中に呼び起こす一連の

連想

特許・商標・顧客とのつながり

ブランドエクイティ

882004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

2.ブランドエクイティ2.ブランドエクイティ《《Coca-Colaの場合Coca-Colaの場合》》

知覚品質

ブランド連想知名度

ブランドロイヤルティ

その他

ロゴマーク広告・宣伝

コーラの中で一番さわやか

こだわり愛着

アメリカンスタイル

ノウハウ商標

ブランドエクイティ

992004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

ブランド価値を高めるファクターブランド価値を高めるファクター信頼性信頼性

安全度安全度

高品質高品質

機能性機能性

知名度知名度

ステータスステータス

高級感高級感

耐久性耐久性

不朽性不朽性

ファッション性ファッション性

国際性国際性

先進性先進性

伝統

製造技術力製造技術力

コスト削減力コスト削減力

広告宣伝広告宣伝

商標権商標権

意匠権意匠権

著作権著作権

製造関連特許権製造関連特許権

顧客リスト顧客リスト

経営者の能力経営者の能力

商品開発力商品開発力

デザイン力デザイン力

流通支配力流通支配力

広報・IR力広報・IR力

情報創造力情報創造力

サービス力サービス力

個性的個性的

好感度好感度

価格価格

流行性流行性

ライフスタイルライフスタイル

売上売上

株価株価

経営状態経営状態

企業規模企業規模

従業員力従業員力

財務状態財務状態

取引先取引先

快適性快適性伝統

10102004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

事例1事例1 LOUISLOUIS VUITTON(高級ブランド品)VUITTON(高級ブランド品)

事例2事例2 トヨタ自動車(自動車産業)トヨタ自動車(自動車産業)

事例3事例3 100円ショップダイソー(生活用品)100円ショップダイソー(生活用品)

11112004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

事例1事例1 LOUISLOUIS VUITTON(高級ブランド品)VUITTON(高級ブランド品)

高級感高級感

耐久性耐久性

伝統伝統

ステータスステータス

デザイン力デザイン力

品質品質

流行性流行性

広告・宣伝力広告・宣伝力 ・・・

見栄としてのブランドあるステータスを示す優越感をもたらす

・・・

12122004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

事例2事例2 トヨタ自動車(自動車産業)トヨタ自動車(自動車産業)

技術力技術力

高品質高品質

信頼性信頼性

安全性安全性

環境対応性環境対応性

経営状態経営状態

財務状態財務状態 ・・・

企業理念の基づく一貫性↓

企業らしさ

他社と差別化して、自社を選択してもらう

・・・

13132004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

事例3事例3 100円ショップダイソー(生活用品)100円ショップダイソー(生活用品)

価格価格

コスト削減力コスト削減力

商品開発力商品開発力

経済の状況経済の状況 ・・・

経済不況の中で市場の需要者をうまくとらえた

・・・

14142004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

まとめと今後まとめと今後

● ブランド価値が高い企業 ⇒ 企業ごとに価値が高い要因は異なる

共通点はないのか?

●産業別(消費財、生産財、サービスetc)の要因決定同一産業内での各企業の比較

●知的財産(特許、意匠、商標、著作権等)がブランド価値を高める要因の中で非常に大きな割合を示す産業分野

15152004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

参考文献参考文献

榛沢明浩榛沢明浩 『『図解図解 ブランドマネジメントブランドマネジメント』』 東洋経済新報社東洋経済新報社

デービットA.アーカーデービットA.アーカー 『『ブランド・リーダーシップブランド・リーダーシップ』』 ダイヤモンド社ダイヤモンド社

小川孔輔小川孔輔 『『よくわかるよくわかる ブランド戦略ブランド戦略』』 日本実業出版社日本実業出版社

伊藤邦雄伊藤邦雄 『『コーポレートブランド経営コーポレートブランド経営』』 日本経済新聞社日本経済新聞社

阿久津聡&石田茂阿久津聡&石田茂 『『ブランド戦略シナリオブランド戦略シナリオ コンテクスト・ブランディングコンテクスト・ブランディング』』

ダイヤモンド社ダイヤモンド社

HarvardHarvard BusinessBusiness ReviewReview 『『ブランド・マネジメントブランド・マネジメント』』 ダイヤモンド社ダイヤモンド社

16162004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

17172004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

1-31-3 何が何がブランド化ブランド化の対象となるか?の対象となるか?

ブランドの対象ブランドの対象 例例

消費財消費財 食品、自動車、家電製品、たばこ食品、自動車、家電製品、たばこ

生産財生産財 マイクロプロセッサー(MPU)、産業用ロボットマイクロプロセッサー(MPU)、産業用ロボット

流通業者流通業者 百貨店、専門店、コンビニエンスストア百貨店、専門店、コンビニエンスストアサービス(無形財)サービス(無形財)

その他その他 接客サービス、通信サービス、ファーストフード接客サービス、通信サービス、ファーストフード

組織組織 企業、大学、公共機関、非営利団体企業、大学、公共機関、非営利団体組織・人組織・人

人人 芸能人、政治家、スポーツ選手芸能人、政治家、スポーツ選手

産地産地 イタリア(ファッション)、ボルドー(ワイン)イタリア(ファッション)、ボルドー(ワイン)

その他その他 観光地、行楽地、イベント開催、他観光地、行楽地、イベント開催、他場所場所

製品(有形財)製品(有形財)

固有名詞を持ちうるあらゆるものがブランドの対象となる

18182004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

1-41-4 ブランドの有用性ブランドの有用性

メーカー消費者

①製品の差別化とポジショニングの明確化②ロイヤルティの高い顧客の獲得③法的(商標権など)によるユニークな製品特徴④競争相手に対する優位性の構築⑤売上高の増大と長期的な安定⑥プレミアム価格の実現⑦価格の安定⑧利益率の向上

①製品の製造元の識別②責任の所在の明確化③探索コスト、時間の節約④リスクの低減⑤品質のシグナル⑥イメージ、ライフスタイル、自己術源欲求の投影

社内

①従業員のモラルの向上②企業内部基盤の構築③人材育成

19192004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

3.ブランドマネジメント3.ブランドマネジメント

3-13-1 ブランドマネジメントと組織ブランドマネジメントと組織

社長

企画

開発

製造・技術

宣伝・広報

販売企画

営業

品質保証

物流

研究所

ブランドマネジャー

企業戦略、中長期経営計画

製品内容・パッケージの計画

工程管理、コストダウン

広告媒体の開発、広告代理店管理、パブリシティの計画・実施

販売チャネルの開発、販売計画の立案

人的販売、キャンペーンの実施

クレーム処理、品質管理体制の管理

研究活動、研究成果の広報

在庫管理、不良在庫

調整

20202004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

3-23-2 ブランドマネジャーの役割ブランドマネジャーの役割

ブランドマネジャー

ブランドマーケティング戦略

製品計画

価格計画

販売計画

プロモーション計画

製品戦略

価格戦略

販売戦略

プロモーション戦略

・新製品開発・品質改善

・目標シェア・チャネル計画

・価格体系

・メディアミックス・キャンペーン

・ポジショニング・資源配分

21212004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

3-33-3 マーケティング戦略とブランドマーケティング戦略とブランド

3-3-1 製品(product)戦略

製品の品質や機能などに関する戦略

ブランドイメージを向上させるためには・・・

●知覚品質を高めること

顧客の知覚に基づく総合的な品質「技術的に優れているからといって、直ちに消費者が欲しいと思うとは限らない」

●ターゲット市場の設定、ポジショニングの開発

●ブランドのライフサイクル管理ブランドが置かれた成長段階によって基本戦略が異なる

22222004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

知覚品質を高める知覚品質を高める

企業文化と従業員の行動

マーケティングコミュニケーション

高品質製品の提供

品質改善の長期的努力

製品のコストダウン

プロセス管理・変更、システム開発

製品内容の改善、修正パッケージの変更

新製品・新サービスの提供

消費者の知覚を把握高品質のシグナル発信

従業員教育

システム特許

プロセス特許

ビジネスモデル特許

製品特許

改良特許

意匠

商標

など

これら知的財産を保護・活用することが知覚品質を高める

知覚品質

23232004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

ブランドのライフサイクル管理ブランドのライフサイクル管理

市場規模

市場でのブランド価値向上製品の長期安定

時間導入期 成長期 成熟期 衰退期

24242004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

3-3-2 価格(price)戦略

●知覚価値を高めること

『この製品はこれくらいの価格が適当だ』

留保価格(上限)

プライシング可能領域知覚価値のレンジ

製造コスト(下限)

25252004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

製品ライフサイクルと価格戦略製品ライフサイクルと価格戦略

《導入期から成長期》

製造コスト

価格、コスト

スキミングプライシング

ペネトレーションプライシング

時間、累積生産量

26262004/6/22004/6/2 (C)Katsuhiko(C)Katsuhiko KatoKato

製品ライフサイクルと価格戦略製品ライフサイクルと価格戦略

《成熟期から衰退期》

この時期はシェアの維持と利益の確保の両方を追求

価格の引き下げ ⇒ 利益の圧迫ブランドの下方伸張

製品設計の見直し

新しい製品品質の付加

簡素化、むだの排除

・・・値うち感の提供

・・・低価格の提供

革新的新製品 ・・・市場の活性化、新市場の創造

プロモーション費用の削減 ・・・浮いた費用を価格で消費者に還元