創造による学び・成長 - learning by creation
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ITS Workshop #7 for the teachers of elementary school.TRANSCRIPT
創造による学び・成長
井庭 崇(Takashi Iba)慶應義塾大学 総合政策学部 准教授
[email protected] takashiiba
Learning by Creation
ITS-7 at SFCApr. 29, 2012
Iba, Ichikawa, Sakamoto, and Yamazaki, PLoP2011, 2011
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Creative LearningLearning 3.0
C CCConsumption Communication Creation
消費社会 情報社会 創造社会
C CCConsumption Communication Creation
消費社会 情報社会 創造社会
Learning 1.0(Subject Study)
Learning 2.0(Workshop)
Learning 3.0(Creative Project)
本格的な「創造」とは、自分と創造物との間の主客の境界が
あいまいになるなかで、意識の外にある必然的な流れをつかまえるということである。
「創造的行為は、まずその対象となるもの、つまり「客体」を創造するが、同時に、その創造を行うことによって自らをも脱皮変容させる。つまり「主体」も創造されるのであて、一方的に対象を作る出すだけというのは、本当の創造的行為ではないのである。そして創造的であればあるほど、その主体である人間の脱皮変容には目を瞠るものがある。」
川喜田二郎, 『創造性とは何か』, 祥伝社, 2010 (1993)
【創造的行為によって自らが変わる】
「では、創造的行為において「客体」と「主体」の双方が創造されるだけかというと、その行為を通じて主体と客体とは、ひじょうに深い「愛と連帯感」で結ばれるのである。創造的行為が達成された当座は、きわめてホットな愛であり、時がたつと連帯という形で落ち着く。」
川喜田二郎, 『創造性とは何か』, 祥伝社, 2010 (1993)
【創造的行為によって自らが変わる】
「しかも、主体と客体が創造されるだけではなく、その創造が行なわれた「場」も、また新たな価値を付加されて生み出されるのである。
したがって、ひとつの創造的行為が達成された場合、そこには「主体」と「客体」と「場」の三つが生み出されるということで、その「場」というものが、第二の、第三の「ふるさと」となるということである。」
川喜田二郎, 『創造性とは何か』, 祥伝社, 2010 (1993)
【創造的行為によって自らが変わる】
「人間というものは、自分が最も創造的に行動したそこ̶̶̶そこで何かビューティフルなことを達成したときには、そこが第二のふるさとになるということである。さらに同じような達成体験があれば、そこも第三のふるさとになる。……クリエイティブな人生を送るならば、ふるさとは何カ所できても、ちっとも不思議はないということである。」
川喜田二郎, 『創造性とは何か』, 祥伝社, 2010 (1993)
【創造的行為がふるさとを生む】
つくっているのではなく、つくらされているという感覚
「映画を作るって言うと、なんかクリエイティブとか創造、そういう恰好いい言葉並べますけど、実は、こういう映画を作るっていう素材を選ぶまでは、自分が決める。………それは決められますが、一旦決めて映画を作りだすと、映画作ってるんじゃないですね。映画に作らされるようになるんです。」
宮崎駿, 『出発点 1979~1996』, 徳間書店, 1996
「映画を作っているつもりが、映画の奴隷、下僕になってしまうんです。映画というのは映画になろうとしますから、その道筋をこちらが間違いないように見定めて、映画が映画になろうとするのを、ちゃんとやらなきゃいけないんですよ。自分がこれで何かを訴えたいというよりも、映画がこれを言いたがっているんだから、それを言わなきゃ仕様がないですよね」
宮崎駿, 『出発点 1979~1996』, 徳間書店, 1996
つくるというのは、冒険である。
「わたしはよく言うのですが、わたしが書く行為は冒険のようなものだって。その冒険がわたしをどこへ連れてゆき、終わりがどうなるのか、わたし自身さえ知らない冒険です。だから、どの本を書いた後もわたし自身がちがう人間になりました。わたしの人生は実際、わたしが書いた本を節として区切ることができる。本を執筆することがわたしを変えるからです。」
ミヒャエル・エンデ, 『ものがたりの余白:エンデが最後に話したこと』, 岩波書店, 2000
「どんな長い小説でも、最初はいくつかのプロットと、登場人物程度しかありません。いかなる設定も持たずに書き始め、ただただ日々書くことによってストーリーを発展させていく。まわりにあるすべての要素を日々吸い込み、それを自分の中で消化することによってエネルギーを得て、物語を自発的に前に進めていくのです。」
村上春樹, 『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』, 文藝春秋, 2010
「主人公が体験する冒険は、同時に、作家としての僕自身が体験する冒険でもあります。書いているときには、主要な人物が感じていることを僕自身も感じますし、同じ試練をくぐりぬけるんです。言い換えるなら、本を書き終えたあとの僕は、本を書きはじめたときの僕とは、別人になっている、ということです。」
村上春樹, 『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』, 文藝春秋, 2010
「もし物語の結末がわかっているなら、わざわざ書くには及びません。僕が知りたいのはまさに、あとにつづくことであり、これから起こる出来事なんですから。」
村上春樹, 『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』, 文藝春秋, 2010
「書くことによって、多数の地層からなる地面を掘り下げているんです。僕はいつでも、もっと深くまで行きたい。ある人たちは、それはあまりにも個人的な試みだと言います。僕はそうは思いません。この深みに達することができれば、みんなと共通の基層に触れ、読者と交流することができるんですから。つながりが生まれるんです。もし十分遠くまで行かないとしたら、何も起こらないでしょうね。」
村上春樹, 『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』, 文藝春秋, 2010
「頭の中でこんな曲にしようと考えている段階は、あくまで入り口でしかない。作曲の本質は、もっと無意識の世界に入り込んで、カオスの中で自分でも想像していなかった自分に出会うところにある。つくろう、つくろうという意識が強いときは、まだ頭で考えようとしているのだと思う。」
久石 譲, 『感動をつくれますか?』, 角川書店, 2006
「秩序立てて考えられないところで苦しんで、もがいて、必死の思いで何かを生み出そうとする。その先の、自分でつくってやろう、こうしてやろうといった作為のようなものが意識から削ぎ落とされたところに到達すると、人を感動させるような力を持った音楽が生まれてくるのだと思う。」
久石 譲, 『感動をつくれますか?』, 角川書店, 2006
必然的な流れ
養老「さっきからずっと久石さんが話されていた中で、僕が考えていたのは、それぞれの音、音ないしはそれぞれのパッセージが、ある種の必然性をもって組み上がることが、良い作品になっている、おそらく。要するに、ここはこれでなきゃだめなんだと、そういうものを見つけ出したい。それが時間の中で構築していくということではないか、ということなんですね。これがこの位置からここへズレていると話にならないんだよというものがあって、その必然性を求めているわけでしょう?」
久石「はい。」
養老孟司, 久石譲, 『耳で考える:脳は名曲を欲する』, 角川書店, 2009
【必然の答え探し】
養老「創作をされる方は、みんなそう考えているでしょうね。それぞれの石がきちんとはまっている状態をイメージしているのだと思います。そのはまり方が、単純に絵に描いた餅のようなものではなくて、さまざまな要素を含み込んでどこから見ても必然性がきっちりとしたもの。それができると創作者はいいものができたと思う。………そういう本当のことというか、どの部分もまったくゆるがせができないような構築物を、創作する人はおそらくみんな望んでいるんでしょう?」
久石「ええ、おそらく。僕なんかは一番夢見ていますね。」
養老孟司, 久石譲, 『耳で考える:脳は名曲を欲する』, 角川書店, 2009
久石「そうすると、それは自分で勝手に音をいじっていいかどうかという問題になるわけです。選んでいるのは俺だと思うのか、という。
その本当のものは何かを追い求める道をある程度進んでいくと、自分がつくっているわけではない、自分が音を選んでいるわけではない、と思えてくるんです。選んでいるのが自分なのではなくて、どこかにベストの答え、必然的な、すべてのピースがきちんとあるべきところにはまったようなそんな答えが、どこかに必ずある、それを探さなきゃいけないんだと。」
養老孟司, 久石譲, 『耳で考える:脳は名曲を欲する』, 角川書店, 2009
「一つの詩は、作者の意識的であるなしにかかわらず、つくりたい、に出発して、つくらねばならぬ、を通って完成へと導かれるものだと僕は考える。」
谷川俊太郎, 『詩を書く:なぜ私は詩をつくるか』, 思潮社, 2006
「僕が小説を書く意味………僕も、自分を表現しようと思っていない。自分の考えていること、たとえば自我の在り方みたいなものを表現しようとは思っていなくて、僕の自我がもしあれば、それを物語に沈めるんですよ。僕の自我がそこに沈んだときに物語がどういう言葉を発するかというのが大事なんです。物語というのは常に動いていくものであって、その動くという特性の中にもっとも大きな意味があるんです。だからスタティックな枠みたいなものをどんどん取り払っていくことができます。それによって僕らは「自己表現」という罠を脱することができる。」
村上春樹, 『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』, 文藝春秋, 2010
「つまり、自分がやりたいからやるんだという底の浅いものではなく、全体状況が自分にこういうことをやれと迫ってくるから、やむなくやっているという絶対感があるもので、それは絶対的受け身ということでもある。」
「主体性については、よく人に強いられてやるのは主体的ではないと言われるが、それは一般論であって、本当は全体状況が自分にやれと迫るから、やらざるをえないというほうが、じつは真に主体的だと私は思うのである。」
川喜田二郎, 『創造性とは何か』, 祥伝社, 2010 (1993)
【絶対的受け身から、真の主体性が生まれる】
「江戸時代からの庶民の言葉に「ひと仕事やってのける」というのがあって、私は「これだ!」と思った。「ひと仕事する」、これはひとつの問題を初めから終わりまで解決し達成することにほかならない。」
「創造とは何かを、観念的ではなくとらえれば、それは「ひと仕事やってのける」ということで、創造性とは「ひと仕事やってのける能力を持つこと」であると言える。」
川喜田二郎, 『創造性とは何か』, 祥伝社, 2010 (1993)
【「ひと仕事」という創造的問題解決学】
「創造のいちばん初めには、何が何だかわからないという状況がある。何が問題で、何が悩みの種かということすら、まだ漠然としていて掴めない、いっさいがもやもやとしている状況。これを私は「混沌」と呼んでいる。創造は、この混沌から出発するのである。」
「この混沌ということは、ひじょうに大切なことで、私たちが、これまでまったく経験をしたことのない難問題にぶつかったとき、最初に来るのは混沌であって、その混沌のなかから、“何とかしなければならない”という意思が生まれてくるのである。」
川喜田二郎, 『創造性とは何か』, 祥伝社, 2010 (1993)
【混沌、出会い、矛盾葛藤、そして本然】
「創造的行為は、まずその対象となるもの、つまり「客体」を創造するが、同時に、その創造を行うことによって自らをも脱皮変容させる。つまり「主体」も創造されるのであて、一方的に対象を作る出すだけというのは、本当の創造的行為ではないのである。そして創造的であればあるほど、その主体である人間の脱皮変容には目を瞠るものがある。」
川喜田二郎, 『創造性とは何か』, 祥伝社, 2010 (1993)
【創造的行為によって自らが変わる】
本格的な「創造」とは、自分と創造物との間の主客の境界が
あいまいになるなかで、意識の外にある必然的な流れをつかまえるということである。
創造による学び・成長Learning by Creation
Iba, Ichikawa, Sakamoto, and Yamazaki, PLoP2011, 2011
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