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緑と水の環境技術革命について
平 成 2 3 年 2 月
「緑と水の環境技術革命」について
○ 農林水産業・農山漁村に存在する豊富な資源は、他産業の持つ革新的技術と融合することにより、素材・エネルギー・医薬品等の新たな産業の創出を通じて農山漁村の活性化に大きく貢献する可能性。
潜在力を最大限活用し、
・低炭素社会の実現
・農山漁村の活性化
を達成するために
新たな技術の開発・導入による新産業の育成が必要
農林水産業・農山漁村には
・未利用のバイオマス
・太陽光、水力などの再生
可能エネルギー
等、国民生活に新たな
恩恵を与え得る資源が多く存在
現 状 課 題
藻類
木質バイオマス
バイオ燃料
○ こうした「緑と水の環境技術革命」は、農業・農村の6次産業化の一つの柱として、食料・農業・農村基本計画(2010年3月閣議決定)に位置付けられたところ。また、新成長戦略(2010年6月・2011年1月閣議決定)においても、「農林水
産分野の成長産業化」「観光・地域活性化」への取組として位置付けられている。
ナノカーボン
食料・農業・農村基本計画(2010年3月閣議決定)【抜粋】第3の3の(1)① 「地域資源」を活用した「産業」の創造
・・・特に、「緑と水の環境技術革命」として、素材・エネルギー・医薬品等の分野で先端技術を活用した新産業の創出を図ることとし、このための戦略を策定するとともに、これに基づいて各種施策を展開する。・・・
新成長戦略実現2011(2011年1月閣議決定)【抜粋】(別紙2)2011年に見込まれる主要な成果と課題
②その他の新成長戦略関連施策(4)観光・地域活性化○「緑と水の環境技術革命総合戦略」の策定及び「緑と水の環境技術革命プロジェクト事業」の実施
素材・エネルギー・医薬品等の分野で先端技術を活用して、農林水産業・農山漁村に関連する資源を活用した産業を新たな成長産業とすることを目指す「緑と水の環境技術革命総合戦略」を策定。これに併せ、民間事業者が実施する事業化可能性調査に加えて、実用化に向けた技術実証等の取組を支援
機密性○情報 ○○限り
技術の優位性・完成度等
緑と水の環境技術革命総合戦略の概要
農山漁村活性化効果、市場創出効果、早期の産業創出可能性を踏まえて重点分野を選定し、事業化に向けて戦略的・集中的に施策を展開。
客観性と実効性の確保
農林水産物やバイオマス等の供給、新たな業態の創出等による雇用と所得の創出
農山漁村の活性化 【所得と雇用の創出】
一定規模以上の新たな市場の創造
技術・市場・金融等の分野の有識者の意見を踏まえつつ、総合戦略を策定
持続可能な農林水産業・農山漁村の実現
重点分野の選定
○事業化共同体(コンソーシア
ム)の組織化
○コーディネーター等の育成
○事業化に至るまでの切れ目無
い支援(制度資金、調査・実証
事業等)
○新産業創出に向けた研究開
発の推進
課題解決・事業化促進への提案
重点的・効率的な支援
6兆円産業の創出
基本的方針
新たな市場の創造 【市場規模】
新たな素材や新商品の事業化
農山漁村資源の新規用途開拓 農林水産業の新たな事業機会の創出
重点的に取り組むべき分野を明確化
産業化に向けた障壁の解消
生産・流通・販売等の工程の技術革新によるビジネスチャンスの拡大
重点分野選定の考え方
早期の産業創出可能性 【スピード・確実性】
緑と水の環境技術革命を実現するため、昨年8月には「緑と水の環境技術革命総合戦略(骨子)」を策定・公表。本年度内には、重点分野ごとの工程表を含む戦略を決定予定。
「緑と水の環境技術革命総合戦略」で推進する重点分野
農林水産物、バイオマスなどの農山漁村の資源を活
用した、新たな素材、新商品の開拓。
農山漁村資源の新規用途開拓
農林水産物等の生産・流通・販売等の各工程において、革新的な技術を導入することにより、新たな事業機会を創出。
農林水産業の新たな事業機会の創出
他の作物と比較して繁殖速度が圧倒的に早く、
日本が技術的蓄積を有する藻類等について、燃料、飼料、及び水質浄化等の多様な分野における利用。
林地残材、稲わら、さとうきび残渣、余剰てん菜等、食料供給と両立するバイオマスのエネルギー・製品利用。併せて、バイオマス以外の再生可能エネルギーを総合的に利用。
生物由来の医療用素材等の新たな素材、
医療研究用実験動物など、動物や植物等
が有する生物機能の高度利用。
藻類等の新規資源作物の利用
未利用バイオマスのエネルギー・製品利用
生物機能の高度利用
高度な温度管理技術による青果物等の鮮度保持により、生鮮農林水産物の需給バランスの安定化、物流網の効率化、輸出拡大等に貢献しうる超長期鮮度保持技術。
IT、LED等の人工光源、ロボット技術、ヒートポンプ等の「工」の技術を「農」に活用することで周年計画生産を可能とし、露地栽培や施設栽培
の補完的な役割等を果たしうる農林水産物の高度生産管理システム。
超長期鮮度保持技術
農林水産物の高度生産管理システム
例:医療実験用ミニ豚
〈さとうきび〉残渣等
世界的需要を背景とし、天然資源の枯渇が懸念されるクロマグロ等の完全養殖技術。
クロマグロ等の完全養殖
緑と水の環境技術革命プロジェクト事業(拡充)
○ 農林水産業・農山漁村の資源を活用する新たな技術の開発・導入を核とした新産業の育成により農山漁村の6次産業化を推進し、雇用と所得を確保することにより、地域社会の活性化を実現。
○ 事業化につながる可能性のある新技術について採算性等を調べる事業化可能性調査や、事業化が見込まれる新技術についての試行・試作及び技術実証を支援。
農林水産業・農山漁村の潜在力の発揮
緑と水の環境技術革命プロジェクト事業の支援対象ステージ
【1,781(200)百万円】
(主な事業内容)
「緑と水の環境技術革命総合戦略」に位置付けられた重点分野の新技術などに対し、採算性や技術課題等を検討する事業化可能性調査や、試行・試作及び技術実証を支援
(事業実施主体)民間団体等
(補助率)事業化可能性調査 : 定額新技術の開発実証 : 2/3,1/2
研究開発から実証に進む過程を支援することにより、新技術の実用化に向けた取組を推進
H23予算概算決定額
ステージ4:量産・実用化
重点研究分野の選定
・事業化可能性調査
・試行・試作
リスクを伴う設備投資・実証
民間の出資・ビジネス展開
産業化
時間
研究開発の成果を産業化・民間リスクの軽減
ステージ2:
FS・試作
ステージ1:R&D ステージ3:
実証
機密性○情報 ○○限り緑と水の環境技術革命プロジェクト事業採択事例
創出が期待される市場
課題・背景
○チーズ製造時に生乳の90%がホエイとなる(大量発生)
○畜産飼料としての活用が可能であるが、輸送・保存性の観点から流通に限界
○ウシ乳房炎発病時に抗生物質を投与すると、生乳の出荷が停止される
提案概要
家畜の病気への抵抗性を向上させる物質(ガセリシンA)を含む乳酸発酵ホエイ粉末を、高機能性医療用素材・飼料等として事業化
早期の事業化により農山漁村地域における
新産業創出に貢献
○ウシ乳房炎治療
○整腸効果のある家畜飼料・ペットフード
事例1:チーズホエイを活用した高機能性医療用素材・飼料の事業化【生物機能の高度利用】
ホエイとは
別名、乳清。
牛乳に酸や凝固剤を添加して得られる凝乳のうち、固形分を取り除いた液体部分で、チーズを作るときに分離される上澄み。
乳房炎治療剤等への利用
農山漁村の活性化
○抗病性物質を含む乳酸発酵ホエイ粉末を原料とした飼料
や乳房炎治療剤の投与によって、家畜の健康増進、抗生
物質使用量の低減を可能とする乳房炎の治療を実現
→ 酪農経営の安定化(所得向上)
成果品の流通範囲
機密性○情報 ○○限り緑と水の環境技術革命プロジェクト事業採択事例
農山漁村の活性化
創出が期待される市場
課題・背景
○新エネルギー基本計画などにより、石炭火力発電でのバイオマス混焼促進を推奨
○粉砕性、エネルギー密度、耐水性に優れたトレファクション(半炭化)ペレットの商業化が
可能となれば、発電用燃料としての利用拡大が期待
提案概要
国産スギ、ヒノキ等の国産バイオマスを原料としたトレファクション(半炭化)木質ペレットの製造技術の商業化可能性を検証
○発電用燃料としてのバイオマス利用の拡大と利便性の向上
(木質バイオマスの混焼率が大幅に向上する可能性)※ 微粉炭ボイラーでの混焼では、木質バイオマスを微粉化して石炭と混焼させる必要があるが、火力発電所の既存施設
では、粉砕性の低い従来の木質チップ等は混焼出来る量に限界がある
○国内資源を活用した木質ペレット産業の拡大により、バ
イオマス収集、輸送等の関連分野で新たな経済効果や
雇用創出効果の創出が期待
○発電所等で利用される木質ペレット燃料
事例2:国内バイオマスの有効利用に向けたトレファクション(半炭化)木質ペレット製造技術
【未利用バイオマスのエネルギー・製品利用】
〈林地残材〉
〈製材工場端材〉
事業化により農山漁村地域における
新産業創出に貢献
良好な粉砕性→ 既存の火力発電所への対応力up
高エネルギー密度→ 輸送・貯蔵効率up耐水性の向上→ 燃料としての取り扱いやすさup
トレファクションペレット
の特徴
トレファクション(半炭化)
ペレット化