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CopyrightC2014 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 平成25年度国際エネルギー使用合理化等対策事業 インドにおける運輸部門に係る省エネルギー推進等政策共同研究事業 報告書 20142株式会社野村総合研究所 コンサルティング事業本部 100-0005 東京都千代田区丸の内1-6-5 丸の内北口ビル

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Page 1: インドにおける運輸部門に係る省エネルギー推進等 …OISD) インドの石油産業の概要 複数の政府機関がさまざまな役割、バリュー・チェーンの段階で協働し、セクターを管理

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平成25年度国際エネルギー使用合理化等対策事業

インドにおける運輸部門に係る省エネルギー推進等政策共同研究事業 ― 報告書 ―

2014年2月

株式会社野村総合研究所

コンサルティング事業本部

〒100-0005

東京都千代田区丸の内1-6-5 丸の内北口ビル

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目次

1 燃料価格政策に関する情報収集と整理

2 燃料価格政策オプションの検討

3 運輸部門のエネルギー需給に特化したモデルによる推計

4 燃料価格政策の在り方についての検討

1

0 背景と目的

5 まとめと今後の課題

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省略語の説明

2

S.No. Term Description

1 2W Two Wheeler

2 4W Four Wheeler

3 APM Administered Pricing Mechanism

4 BAU Business as Usual

5 BEE Bureau of Energy Efficiency

6 BEV Battery Electric Vehicle

7 BPCL Bharat Petroleum Corporation Limited

8 BS Bharat Stage

9 C&F Cost and Freight

10 CAFE Corporate Average Fuel Efficiency

11 CAGR Compound Annual Growth Rate

12 CHT Centre for High Technology

13 CNG Conpressed Natural Gas

14 DGFT Directorate General of Foreign Trade

15 DGH Directorate General of Hydrocarbons

16 E&P Exploration and Production

17 EV Electric Vehicle

18 FET Fuel Efficient Technology

19 GDP Gross Domestic Product

20 GM Gross Margin

21 HCV Heavy Commercial Vehicles

22 HEV Hybrid Electric Vehicle

23 HPCL Hindustan Petroleum Corporation Limited

24 IOCL Indian Oil Corporation Limited

25 LCGC Low Cost Green Car

S.No. Term Description

26 LCV Light Commercial Vehicles

27 LPG Liquified Petroleum Gas

28 MoPNG Ministry of Petroleum & Natural Gas

29 MS Motor Spirit

30 mtoe million tonne of oil equivalent

31 NEMMP National Electric Mobility Mission Plan

32 OEM Original Equipment Manufacturer

33 OIDB Oil Industry Development Board

34 OIL Oil India Limited

35 OISD Oil Industry Safety Directorate

36 OMC Oil Marketing Companies

37 ONGC Oil and Natural Gas Corporation

38 PCRA Petroleum Conservation Research Association

39 PDS Public Distribution System

40 PHEV Plug-in Hybrid Electric Vehicle

41 PNGRB Petroleum and Natural Gas Regulatory Board

42 PP Petroleum Products

43 PPAC Petroleum Planning & Analysis Cell

44 PSU Public Sector Unit

45 R&D Research and Development

46 RTP Refinery Transfer Price

47 STU State Transport Utilities

48 SUV Sports Utility Vehicle

49 TPP Trade Parity Pricing

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目次

1 燃料価格政策に関する情報収集と整理

2 燃料価格政策オプションの検討

3 運輸部門のエネルギー需給に特化したモデルによる推計

4 燃料価格政策の在り方についての検討

3

0 背景と目的

5 まとめと今後の課題

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インドにおける運輸部門の省エネルギー及び環境保全対策を促すような最適な燃料価格政策及び買替え促進政策について検討を行う。

背景

現在、インドにおいては運輸部門で消費される燃料価格を政府が決定しており、自動車用燃料価格は政策的に低く抑えられている。この政策は、2000年代初頭に撤廃される予定であったが、折からの原油価格の急騰等により撤廃が延期されている。2010年にはガソリン価格が市場価格に移行し、2013年1月からディーゼル価格が市場価格に移行することがインド政府から発表されたものの、移行は進んでいない。

燃料価格が単純に低く抑えられていることで、需要側において、特にディーゼルに関しては燃費の悪い旧型ディーゼル車が代替されずに、石油消費を押し上げる要因となっている。燃費が良く、環境性能の優れた自動車・バス・トラック等への買い替えを進めるインセンティブが抑制されている。

さらに、規制された燃料価格が、国際価格、為替変動、物価上昇等の経済要因や政治的要因によって頻繁に変動するため、民間企業が中長期的な観点から燃費が良く、環境性能の優れた自動車を開発するための投資を困難にしている。

加えて、燃料価格を低く抑えるために政府が負担する費用の増大に対する懸念もある。現在の補助制度の原資は、政府による石油債権の発行及び国営石油会社による負担で成り立っているが、昨今の原油価格の高止まりや燃料需要の増加によって、将来的に補助制度による財政への影響が拡大することが見込まれる。

目的

燃費が良く、環境性能の優れた自動車開発に向けた民間企業の投資を活発化させ、以て政府負担を削減させることを目的に、インドの研究機関と共同研究を行うことで、インドにおける運輸部門の省エネルギー及び環境保全対策を促すような最適な燃料価格政策及び買替え促進政策について検討を行う。

4

0 背景と目的

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目次

1 燃料価格政策に関する情報収集と整理

2 燃料価格政策オプションの検討

3 運輸部門のエネルギー需給に特化したモデルによる推計

4 燃料価格政策の在り方についての検討

5

0 背景と目的

5 まとめと今後の課題

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インドの燃料価格

インドの燃料供給事情

環境配慮型自動車の普及シナリオ

インドの石油産業の概要

インドのエネルギー政策

インドの補助金政策

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インドの石油産業の概要

インドの石油産業は、市場主導要因に対する政府の厳格な規制下で長期にわたり発展を続けてきた

7

インドの石油産業の発展

•インドの石油産業は、1890 年に

アッサム州ディグボイで石油が採掘されたことに始まる

•最初の製油所は 1901 年にディグ

ボイで操業を始め、以後、多くの製油所が建設された

•E&P 活動を請け負うために、ONGC とOIL 社が創設された

・Shell、Esso、Caltex などの国際的な石油会社がインドに参入し、精油事業の大半を獲得した

•石油製品 (PP) の価格統制のために、APM 制度が導入された

・民間企業による石油輸入は禁止され、IOCL がPP 輸入を独占する石油企業となった

•1970 年の石油危機後、石油業界

のあらゆる民間企業は国営化され、精油および販売はすべて政府の管理下のもとで行われた

•BPCL と HPCL が精油セクターにおける新たな 2 つの主要な PSU として台頭した

・Oil Coordination Committee

(OCC) が発足し、生産、輸入、流通、価格決定を規制する役割を担った

•貧困層の消費者を保護するために、市場の影響を受けやすい PP への補助金の導入など、既存の APM

制度が極めて大きく変更された

•1991 年後、民間企業が E&P セク

ターおよび精油セクターで操業することが許可された

•1997 年、政府は、石油業界に対する規制廃止を決定

•民間企業/外国企業による PP の輸入、輸出、精油、および販売が許可される

•余剰石油精製能力により、インドが PP の大規模な輸出ハブとなる

•2002 年、APM が完全撤廃され、市場主導の価格決定方式となる

•その結果、3 つの民間企業が石油販売市場に参入したものの、補助金の存在によって、成長は限定的なものにとどまる

•2010 年、石油に関する補助金が撤廃

•2013 年、ディーゼル燃料の大口販売に対する補助金を撤廃

•現在、ディーゼル燃料小売価格に対する補助金削減および小幅な小売価格引き上げを段階的に実施中

•インドには、約 2,400 の試掘井、22 の製油所、32 の石油生産パイプライン、42,000 を超える小売店があり、雇用者総数は1,400,000

人に達する

国営化前

(1977 年より前)

国営化

(1977 年 - 1991 年)

自由化

1991年 – 2010 年 2010 - 現在

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Ministry of Petroleum & Natural

Gas (MoPNG)

Directorate General of

Hydrocarbons (DGH)

Petroleum and Natural Gas

Regulatory Board (PNGRB)

Petroleum Planning & Analysis

Cell (PPAC)

Centre for High Technology (CHT)

Petroleum Conservation

Research Association (PCRA)

Oil Industry Development Board

(OIDB)

Oil Industry Safety Directorate

(OISD)

インドの石油産業の概要

複数の政府機関がさまざまな役割、バリュー・チェーンの段階で協働し、セクターを管理

8

役割

政策立案 規制 R&D/その他

機関名 作業の範囲

精油 貯蔵 E&P 輸入 流通 販売

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インドの石油産業の概要

石油産業セクターの主要な規制撤廃は 1991 年後に実施されたが、ディーゼル、PDS 灯油、家庭用 LPG など、価格が不安定な石油商品に対する価格統制は現在も残る

9

精油 貯蔵/輸送 E&P 輸入 取引 販売 バリュー・チェーン

分野

- 0-100%

- 条件なし

- 0-100%

- DGFT に登録

- インドでの販売にはマーケティング・ライセンスが必要

- 0-49% & 0-100%

- PSU 精油業者の場合は第 1 条件

- 民間企業の場合は第 2 条件

- 0-100%

- 条件なし

- 0-74%

- 最低 26% のインド出資が 5 年以上必要

- 0-100%

- 最低 INR 20 bn

の投資/ 1 年当たり最低 3MMT の原油を生産

自動手続

FDI

(海外直接投資)

価格決定

以下に補助金

• 小口ディーゼル燃料

• 灯油

• 家庭用 LPG

規制なし

石油産業セクターにおける規制

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インドの燃料価格

インドの燃料供給事情

環境配慮型自動車の普及シナリオ

インドの石油産業の概要

インドのエネルギー政策

インドの補助金政策

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2006年に、インドは、2030~31年までのエネルギー要求を計画することを目標 とする総合エネルギー政策を導入。

11

2005年総合エネルギー政策

現況

• インドのエネルギー要求増加による輸入エネルギー源への高まる依存

• 成長目標レベル達成のために、エネルギー確保は必須。

• 本エネルギー政策は、2030~31年に9%の経済成長を持続するためには、インドの一次エネルギー供給は、年間成長率約5.8%で増加する必要があり、2003~04レベルの6~7倍で発電容量を増加することが必要と予測。

• 適切な国内海外エネルギー源を確保するために供給側と需要側ファクターに介入する

• エネルギー持続可能性に対処し、エネルギー、サプライヤー、地域、取引の特定タイプに固有の妨害と変化を切り抜ける。

目標

• 2031~32年の年間経済成長率8~9%を持続するためにインドの大きなエネルギー需要を満たすこと。

• エネルギー貧者の社会開発、健康、安全に対処するために、全市民のライフラインエネルギー要求を満たすこと。

• エネルギー供給と使用における持続可能性を保障すること。

インドのエネルギー政策

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インドの燃料価格

インドの燃料供給事情

環境配慮型自動車の普及シナリオ

インドの石油産業の概要

インドのエネルギー政策

インドの補助金政策

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インドの総エネルギー需要における石油シェアは約30%:輸送部門 は50%以上の市場シェアを占める石油製品の主消費部門。

13

171 213

271 298

98

116

156

172

23

33

56

49

17

22

25

26

4

8

20

39

2000 2005 2010 2012

インドにおける燃料タイプ別主要エネルギー需要 (mtoe)

313 391 528 584

CAGR

(2000-2012)

その他*

ガス

石油

石炭

水素 21.9%

6.4%

4.8%

4.7%

3.5%

総数

輸送

51% 工業

14%

商業/その他

13%

家庭

18%

農業

4%

部門別石油消費

注: *その他には、原子力/再生可能エネルギー源が含まれる。

出所: BP 統計レビュー 出所: 石油保存研究機関 (PCRA)

インドの燃料供給事情

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インドの輸入燃料依存は上昇: 原油要求の75%以上を輸入で賄う。

14

インドにおける原油の生産と消費 (単位:百万トン)

37.8 37.9 40.8 42.0

128.3 144.7

155.4 171.6

70.4%

75.0% 75.1%

77.0%

66%

68%

70%

72%

74%

76%

78%

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

2006 2008 2010 2012

Oil Production Oil Consumption Oil Import % 石油消費 石油輸入%

出所: BP 統計レビュー 2013

• インドの原油製品需要は現地生産よりも速い速度で上昇。

たとえば、 2006-2012 CAGR

は:

• 需要– 5.0%

• 生産 – 1.8%

• 最近のルピー安で、石油輸入がよりコスト高になってきている。

• 石油輸入は、インドの財政を圧迫。

石油生産

インドの燃料供給事情

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過去4年にわたり 、燃料補助費がほぼ4倍に: 主に輸送に使われるディーゼル補助金は10倍増加。

15

製品別一単位当たり原価未回収分

製品 単位 原価未回収分

(2013年10月1日現在)

ディーセル INR/リッター 10.51

PDS 灯油 INR/リッター 38.32

家庭用 LPG INR/Cylinder 532.86

52 (11%) 22 (3%) 0 0

93 (20%)

347 (44%)

812 (59%)

921 (57%)

143 (31%)

195 (25%)

274 (20%)

396 (25%)

174 (38%)

218 (28%)

300 (22%)

294 (18%)

2009-10 2010-11 2011-12 2012-13

石油製品に対する原価未回収分

100%=

INR bn

461 782 1385 1610

Domestic

LPG

PDS

Kerosene

Diesel

Petrol

注記

1) 石油に対する原価未回収分 は2010年6月25日まで。

2) 2012年9月13日/2013年1月18日発効で、政府は、補助対象のLPGボンベの各消費者への供給を年間9本までとすると決定。

3) 2013年1月発効で、 政府は、無補助でOMCから直接大量供給を受ける全消費者にディーゼルを販売すると決定

Source: PPAC

石油会社別原価未回収分 : 2012-13

53%

24%

23%

100% = INR 1610 Billion

インドの燃料供給事情

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インドの燃料価格

インドの燃料供給事情

環境配慮型自動車の普及シナリオ

インドの石油産業の概要

インドのエネルギー政策

インドの補助金政策

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1976から2002年の間、 インド政府は、石油製品に直接補助金(補助金①)を支給していた

石油製品価格統制の為に、1976年に「Administered Pricing Mechanism(APM)」導入された。

2002年4月の石油製品の輸入自由化に向けて、政府は同年3月にAPMを廃止した。

ガソリン・軽油価格については、APMが廃止され小売市場の自由化に進むかと思われたが販売価格は低位に統制された。

灯油・LPGについては、APM廃止後も直接補助金の支給は継続している。

17

出所:エネルギー総合推進委員会『世界の石油製品に対する補助金政策に関する調査報告書』

項目 概要

導入時期 1976年

廃止時期 2002年

導入目的 •低所得層による石油製品コスト負担を低減すること

•物価上昇を抑制すること

内容 •全ての石油製品への補助金の支給により、小売価格・供給量を統制

廃止理由

•拡大する内需に伴う石油製品の供給体制を拡充する為に、大半の石油製品の輸入を自由化したため

•民間資本による新規参入を促進するため。(しかし実際は、補助金財源となる基金の収支が膨大な赤字に陥ったためとの指摘もある)

APM(直接補助金制度)による価格統制政策の概要

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2002年以降も、石油製品の価格を低位に統制するために、 インド政府は、石油債券を財源とする補助金(補助金②)を支給している

2002年のAPM廃止以降、石油会社の未回収収益(価格統制がされていなければ石油会社が得られた利益;機会損失)を政府が補填することによって、石油製品価格は低く統制されている。

2012年6月のガソリン向け補助金廃止を受け、ガソリンに関しては価格統制は無くなった。

本来は政府が損失補填を行うものであるが、石油債券発行によって調達した資金だけでは、損失全てを賄うには至っておらず、石油会社が一部を負担している。

18 出所:エネルギー総合推進委員会『世界の石油製品に対する補助金政策に関する調査報告書』

石油製品における未回収収益のメカニズム

統制価格での売上高

直接補助金

未回収収益

供給コストと石油会社の利益を加味した本来あるべき価格で販売した場合の売上高

(注)軽油に関しては補助金分は除外

項目 概要

ガソリン・軽油

•政府が未回収収益を補填することで低価格に統制

•販売価格の自由化が進められているものの、7割以上のシェアを握る国営石油会社により、実質的に製品価格は統制

灯油・LPG

• 2002年に、低所得者層によるエネルギー調達費用を軽減することを目的に、直接補助金を支給する新たな制度を整備

• 2007年までに補助金制度の廃止を前提としていたが、民衆の反発により全廃は未達成

2002年以降の価格統制政策の概要

(注)ガソリンについては2012年6月までの適用

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2012年6月に制度的にも実質的にもガソリン向けの燃料補助金が廃止された 一方、軽油・灯油・LPG向けの補助金は継続している

2002年までは石油会社への直接的な補助金(補助金①)支給、石油製品小売価格・供給量の決定を政府が行う制度だった。

2002年以降は、石油債券による調達資金を財源とする補助金(補助金②)の支給が主流となった。

政府は長期的には石油製品市場の自由化を目指しているが、短期的な燃料価格の高騰による民衆の反発を防ぐために、補助金の支給を実施し、石油価格を低位に統制してきている。

19

出所:NNA, PPAC, エネルギー総合推進委員会『世界の石油製品に対する補助金政策に関する調査報告書』

インドにおける石油製品の補助金政策推移

軽油

LPG・灯油

2012年6月- 1976-2002年 2002-2012年6月

補助金①と価格統制 •補助金制度のもとで実施

補助金②と価格統制 •補助金制度自体は廃止されたものの実質的に補助金(補助金②)は支給

•石油債券(Oil Bond)を発行し、財源を確保

市場価格での取引へ移行

•価格統制を廃止し、市場価格による取引

ガソリン

補助金①②と価格統制 •補助金制度は廃止後も補助金①の支給は継続

•上記補助金に加え、補助金②を支給

•石油債券を発行し、財源を確保

補助金②と価格統制 •石油債券を財源とした補助金②の支給を継続

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インド政府は、ガソリン補助金を廃止したが、 一方で、軽油、灯油、LPG向け補助金支給額は徐々に増加している。

2005年以降、灯油・LPG向け補助金①は低水準で推移している一方、補助金②は増加傾向にある。

軽油向けの補助金②も増加傾向にあり、2012年には全体の6割近くを占めている。

主に富裕層向けに使用されているガソリンの補助金②は、2012年以降ゼロとなっている。

20

灯油・LPG向け補助金①の推移(単位:10億ルピー)

出所: Petroleum Planning & Analysis Cell 、NNA

2 3

1 1 1 1 1 1 1 1

2

4

2 2 2 2 2 2 2 2

0

1

2

3

4

5

6

7

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

LPG

灯油

補助金②の推移(単位:10億ルピー)

13 19 35

52

9

35

81

10 11

16

18

14

22

30

14 18

19

28

17

19

27

3 2

7

5

5

2

0

-

20

40

60

80

100

120

140

160

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

ガソリン

灯油

LPG

軽油

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インド政府は財政赤字削減のために、 ガソリン以外の補助金の廃止も推し進めたいが、民衆の反発は大きい

2012 年度予算案を作成するうえで、財政赤字の拡大を背景に、間接税を中心にした増税や補助金削減による歳出削減などの財政再建の姿勢を政府は打ち出していたが、実現には至っていない。

21

出所)IMF, インド政府”Economic Survey 2010-11”

-7

-6

-5

-4

-3

-2

-1

0

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

2007 2008 2009 2010 2011 2012

実質GDP(左軸) 財政収支(対GDP比;右軸)

(10億ルピー)

インドのGDP(実質)と財政収支(対GDP比)の推移 (%)

-

50

100

150

200

250

300

350

400

-

10

20

30

40

50

60

70

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

ガソリン(左軸)

軽油(左軸)

灯油(左軸)

LPG(右軸)

インドの石油製品小売価格の推移

RS/ℓ

出所)Petroleum Planning & Analysis Cell

RS/ℓ /cylinder

(注)LPG cylinderは14.2kgs./cylinder

(参考)Rs1=¥1.47(2012/9/28時点)

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価格決定の政策

これまで政府はいくつかの委員会を設置して適切な石油の価格決定の政策を検討させた。そのすべての委員会が市場主導の価格決定、および補助金の廃止を提言している

価格決定および税制に関する

Rangarajan Committee レポート

Chaturvedi レポート 影響を受けやすい石油製品の価格決定に関する Kirit Parikh レポート

石油製品の価格決定に対する規制を撤廃し、市場競争原理に基く価格決定を提言。

ガソリン価格およびディーゼル価格を月次で段階的に改訂すること。

製品価格は、EPP (輸出等価価格) に移行すること。

ガソリン (MS) & 高速ディーゼル (HSD) 価格を市場原

理に基いて決定するべきである。

ディーゼル価格の引き上げは時間をかけて徐々に行い、全体的な影響を最小限に抑

えること。

世界的に石油価格が高騰した場合には、政府はガソリンおよびディーゼルの価格決

定に適宜介入すること。

石油会社には、小売価格を決定する柔軟性が与えられ

るべきである。

石油製品の価格は、国際的なレートに合わせて決定され

るべきである。

石油業界は、小売価格だけでなく製油所の出荷価格の決定についてもTPP (取引平衡価格) に変更するべきである。

2006 年 2月 2010 年 2 月 2009 年 8月

石油製品の価格決定における政策の変更を提言

財政再建に関する Kelkar

Committee レポート

2 年間で段階的にディーゼル補助金を削減し、2014 年

には価格統制を完全に撤廃

すること。

3 年間 で段階的に LPG 補助金を削減すること。

政治的により難しい灯油の補助金削減は、3 年間で 3

分の 1 にすること。

2013 年 10 月

出典: NRI Research

22

価格決定方式に関する Kirit

Parikh レポート

製油所の価格決定方式として、TPP (取引平衡価格) を提言

ディーゼル価格を INR 5/リッ

トル引き上げて、徐々に補助金を削減

市場原理に基いた灯油価格の決定、貧困層への現金給付

市場原理に基いた LPG の価格決定

2012 年 8 月

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燃料の価格決定

さまざまな委員会の提言を受けて、政府はガソリンの価格統制を撤廃し、ディーゼルについても規制撤廃のプロセスに着手

インドにおけるガソリンおよびディーゼルの規制撤廃

2010 年 6 月 – インドにおけるガソリン価格決定に関する規制廃止

2013 年 1 月 – インドにおけるディーゼル価格決定の部分的な規制廃止

出典: Petroleum Planning and Analysis cell, NRI Analysis

• 政府によるガソリン価格統制は廃止したが、石油販売会社は価格を変更する際、事前に政府の承認が必要

• 規制撤廃後、ガソリン (MS) 価格は、2010 年の INR 51.4

から INR 71.06 に 47.8% 上昇 (デリー)

概要

• 石油省は、鉄道会社、州のバス会社などの大口顧客には、

市場価格を適用すると発表

• 小口顧客の小売価格引き上げは、ディーゼル価格が市場価格に達するまで、段階的に行う (月当たり INR 0.4-0.5/

リットル)

• ディーゼル価格を変更するには、OMC は変更前に政府に報告しなければならない

概要

32.9 37.8 40.9

47.4 48.7 50.6 52.5 53.7 54.3

0

10

20

30

40

50

ディーゼル価格 – デリー

23

44.7

58.4

65.6 67.4 67.2 69.5

72.4 71.0 72.4

42.0 47.0 52.0 57.0 62.0 67.0 72.0 77.0

ガソリン価格 – デリー

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Kirit Parikh レポートの提言

最近の Kirit Parikh レポートでは、ディーゼル補助金に最大 INR 6/リットルという上限を設け、今後 2 年間で補助金を撤廃することを提言

24

規制撤廃後の価格

2014 年 11 月

2015 年 8 月

ディーゼル価格

ディーゼル価格の規制撤廃について想定されるシナリオ

注: 国際的なディーゼル価格および為替レートが一定であることが前提

出典: NRI Analysis

INR 5/リットル引き上げ

• 現在のディーゼル補助金は INR 9.24/リットル (2014 年 1 月 13 日時点)

• Kirit Parikh レポートでは以下を提言 :

• ディーゼル価格を即座に INR 5/リットル引き上げること

• 補助金の上限を INR 6/リットルにすること。これは、この上限を超える価格が自由化されることを意味する

• 固定された INR 6/リットルの補助金は、月次で上限を改訂することによって徐々に削減する

• 委員会の提言に従った場合、ディーゼル価格は 2014 年末までに完全に規制撤廃される

• 現在の方式のディーゼル規制緩和策の場合、価格の完全な規制撤廃は 2015 年夏になる

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インドの燃料価格

インドの燃料供給事情

環境配慮型自動車の普及シナリオ

インドの石油産業の概要

インドのエネルギー政策

インドの補助金政策

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ガソリン価格と石油価格の差

ディーゼル価格統制を完全に撤廃しても、税金によって 7- 9 R の価格差が発生

26

50

55

60

No

v-1

3

Ja

n-1

4

Mar-

14

Ma

y-1

4

Ju

l-14

Sep-1

4

No

v-1

4

Ja

n-1

5

Ma

r-15

Ma

y-1

5

Ju

l-15

Sep-1

5

No

v-1

5

Ja

n-1

6

Diesel - Deregulated price

ガソリン– 市場価格

ディーゼル価格

石油およびディーゼルの価格決定

注: 国際的なディーゼル価格、ガソリン価格および為替レートが一定であることが前提

出典: NRI Analysis

税金の差

ディーゼル補助金

• ディーゼルは、貨物用車両、公共交通機関の主要燃料

• 政府は、ディーゼルと比較してガソリンに対してより高い税金を課しており、ディーゼルは貧困層が利用する燃料と考えられている

• 将来、ディーゼルの規制が完全に撤廃されても、ディーゼルの価格はガソリンよりも約 7-9 R 安価である

規制が撤廃されたディーゼル価格

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付加価値税

石油の小売価格構築 (実績)

DelhiにおけるBS-IV石油の実績価格(2013年8月16日)

27

GM

ディーラー 物品税

ディーラーへの

販売価格

GM

OMC RTP 輸入料

C&F 価格

Ex-refinery

ディーラー

手数料@`1794/KL

付加価値税

Delhi@20%

小売販売価格 物品税

@`9.48/リッター

ディーラーへの

価格 (税金別)

OMC粗利益 製油所

譲渡

価格

輸入料

関税

石油C&F

価格

DelhiにおけるBS-IV石油の小売販売価格

小売販売価格

• 石油C&F 価格: 117.58 $/bbl

• 平均為替レート ($ to `): 66.02

48.83

50.02

52.16

2.14

9.48

1.79

12.69

76.11

1.19

• 輸送コスト

• 売買コスト

• 売買マージン

単位はすべて、 INR/リッター

出所:石油計画分析室 l

RSP内税金分 = ~30%

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付加価値税

ディーゼルの小売価格構築 (実績)

Delhiにおけるディーゼルの実績価格(2013年8月16日)

28

GM

ディーラー 物品税

ディーラーへの

販売価格

原価

未回収分 市場価格

ディーラー

手数料on

@`1090/KL

付加価値税

Delhi

@12.5%

小売販売価格 物品税

@`3.56/リッター

希望価格

(税別) その他課金 R製油所

譲渡

価格

輸入料

関税

ディーゼルの

C&F 価格

DelhiにおけるBS-III ディーゼルの小売販売価格

小売販売価格

• ディーゼルC&F 価格el: 125.58 $/bbl

• 平均為替レート ($ to `): 60.16

47.48

48.68

52.16

2.32

3.56

1.09

5.96

51.39

1.2

• Freight Cost

• Marketing Cost

• Marketing Margin

10.22

原価未回収分 ディーラーへの価格

(税別)

40.78

原価未回収分

OMC コスト

とマージン

RTP 輸入料

C&F Price

Ex-refinery

RSP内税金分 = ~9%

単位はすべて、 INR/リッター 出所:石油計画分析室 l

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ディーゼルの小売価格構築

Delhi におけるBS-IV HSD燃料の実績価格 (2013年8月16日)

29

連番 価格要素 単位 価格 (2013年8月16日)

1 ガスオイル0.05% 硫黄FOB AG 価格 $/bbl 121.08

2 加算:ガスオイル0.05% 硫黄取引プレミアムAG価格 $/bbl 2.51

3 加算: BS-IIIグレード派生品質プレミアム $/bbl 0.13

4 加算: インドの港湾へAGから海上輸送 $/bbl 1.74

5 C&F (運賃込み値段) 価格 ((1)+(2)+(3)+(4)) $/bbl 125.46

C&F (運賃込み値段) 価格 (@ $1 = `60.16) (1bbl=158.98リッター) `/リッター 47.48

6 加算: 輸入料 (保険・Ocean Loss・LC 料/港湾使用料) `/リッター 0.44

7 加算: 関税 @2.58% (2.50% + 3% 教育特別税) `/リッター 1.24

8 輸入パリティー価格 (29.5º C時) ((5)+(6)+(7)) `/リッター 49.15

9 輸出パリティー価格 (29.5º C時) `/litre 46.82

10 取引パリティー価格 ((8)の80% 、(9)の20%) `/litre 48.68

11 BS-IIIディーゼル用製油所譲渡価格 (RTP)

(石油販売会社が製油所に支払う価格)

`/litre 48.68

Calculations

Source: Petroleum Planning & Analysis Cell

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ディーゼルの小売価格構築

Delhi におけるBS-IV HSD燃料の実績価格 (2013年8月16日)

30

連番 価格要素 単位 価格 (2013年8月16日)

11 BS-IIIディーゼルの製油所譲渡価格 (RTP)

(石油販売会社が製油所に支払う価格)

`/litre 48.68

12 加算: BS-IIIをBS-IVグレード用に回収されたプレミアム `/litre 0.04

13 加算: 内陸運賃と配送料 `/litre 0.89

14 加算: OMCの販売コスト `/litre 0.69

15 Add: OMCの販売マージン `/litre 0.70

16 総希望価格 ((11)+(12)+(13)+(14)+(15))

- 物品税、付加価値税、ディーラー手数料除く

`/litre

51.00

17 減算: OMCの原価未回収分 `/litre 10.22

18 ディーラーに課金される価格 (貯蔵所価格) ((16)-(17))

- 物品性、付加価値税除く

`/litre 40.78

19 加算: 特定物品税 @ Rs.3.56/リッター

(Rs.3.46/リッター+ 3% 教育特別税) `/litre 3.56

20 加算 : ディーラー手数料 `/litre 1.09

21 加算 : Delhi適用付加価値税 (ディーラー手数料に対する付加価値税含む) @ 12.50% 空気雰囲気料 @ Rs.250/KL.

`/litre

5.96

22 Delhi でのディーゼル小売販売価格((18)+(19)+(20)+(21)) `/litre 51.40

Note: IOCL Price Break-up

Calculations

Source: Petroleum Planning & Analysis Cell

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ディーゼル価格付けは、一部規制撤廃されたが、補助金効果(原価未回収分) はまだ大きく、政府は、ゆっくりとこの部分の削減を行っている。

31

連番. 価格要素 説明

12 加算 :BS-IIIをBS-IVグレード用に回収されたプレミアム BS-III燃料をBS-IV排気基準に変換するコスト

13 加算: 内陸運賃と配送料

港湾から内陸地点への平均運賃と小売販売所までの配送料からなる。

14 加算:OMCの販売コスト 販売コストとマージンは、財務省コスト会計室による2006年11月の販売コスト研究報告によって定義されている。

15 加算: OMCの販売マージン

16 総希望価格 物品税、付加価値税、ディーラー手数料前の市場ベースのディーラーへの販売価格

17 減算: OMCへの原価未回収分 希望価格と実績は販売価格間の差 (物品税、付加価値税、ディーラー手数料を除く)は、OMCへの 原価未回収分 である。価格における補助金効果

18 ディーラーに課金される価格 (貯蔵所価格) - 物品税、付加価値税除く

物品税、付加価値税、ディーラー手数料を除くディーラーへの実績販売価格

19 加算 : 特定物品税 ディーゼルへの物品税は、Rs.3.46/ リッター + 教育特別税 @ 3%.

20 加算 : ディーラー手数料 ディーゼルへのディーラー手数料は、Mop&NG決定のRs.912/KL (2011年7月1日)。

21 加算 :付加価値税 (ディーラー手数料に対する付加価値税含む)

各州適用のレートの付加価値税。各州で異なる。

現在Delhi,では、ディーゼルに対する州税 は付加価値税 @ 12.50% + 空気雰囲気料金 Rs.250/KL.

22 Delhi でのディーゼル小売販売価格 サービスステーションで消費者が支払う価格

Source: Petroleum Planning & Analysis Cell

Calculations

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インドの燃料価格

インドの燃料供給事情

環境配慮型自動車の普及シナリオ

インドの石油産業の概要

インドのエネルギー政策

インドの補助金政策

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政府は、EV推進のためにエコシステムを作ることを目標としている。

主な政策動向 - NEMMP 2020 - 目的と目標

自国で電気自動車を推進するために、 政府は、インド電気可動性ミッション計画を2013年1月に立ち上げた。

目標:

2020年までにEV 6-7 百万台

需要側介入 供給側介入

• 購入価格低減 (インセンティブ)

• EV用インフラ準備

• 購入者に減税

• 政府公共輸送にEV

• 国内製造推進

• 現地化のためのR&D 推進

• 輸入税の再構築

• 開発のためのOEM投資

インド電気可動性ミッション計画 (NEMMP) の目的:

• 電気可動性の採用を推進するための枠組みを開発

• 国内燃料確保向上

• 手頃で環境にやさしい輸送の提供

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主な政策動向 - NEMMP 2020 - EV コスト

政府は、各構成部品の優先度をもとにインドの能力内でそれをマッピングしたEV用の構成部品レベルの戦略を持っている。

34

採用される戦略

• 技術獲得

• グローバル研究パートナーシップ

• 拡大のためのR&D 投資

バッテリー

• 国内能力の開発

• 新製品開発投資 (PD)

• 国内能力・アライアンスの開発

• 新PD投資

BMS

制御装置

電気モーター

• 新PDのために先頭に立ち、制作するOEM

• 技術アライアンスあるいは買収

トランスミッション装置

55-70%

5-10%

10-15%

5-15%

<5%

技術/構成部品

EV コスト (全体の中の%) 優先度

インド国内の能力

出所 : インド電気可動性ミッション計画 2020

• 国内能力・アライアンスの開発

• 新PD投資

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インド自動車会社がEV開発努力を先導してきた。しかし、高い製造コストと需要の不足がこの分野の成長に影響を与えている。

35

Reva

Company BEV HEV PHEV 現在の製品 コメント

Eeco

Yo Bykes

Hybrid Starbus

Hybus

Hybrid 2W, 3W

Streak

Zion, Maxi

先端技術バッテリー管理システム搭載で Amerigon USが開発。 世界で3200台販売 (インドで1500台)

製造開始時のみで2010年96,5000台販売

2006年製造開始、会社は年間288.000台製造能力を持っているa

UKのUltra Motorsと共同で2007年にe-

バイクを製造開始

32席 CNG 電気ハイブリッド床バス、2010年に製造開始

2010年に製造開始、ハイブリッドCNGバス

I2008年に電気スクーター製造開始。しかし、その後、生産中止。現在、近々の再開

の計画中。

出所 : インド電気可動性計画 2020 BEV – バッテリー電気自動車; HEV – ハイブリッド電気自動車; PHEV – プラグインハイブリッド自動車

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2020までの電気自動車潜在需要

2Wは70%に近い最大のマーケットシェアを占める。 しかし、OEMが補助金と充電ステーションインフラの点で政府支援を要求している。

36

車両部門 2W 4W レンジ バス 総レンジ

2020 計画 (百万台単位) 4.8 1.6 1.7 0.002 5 - 7

部門浸透率 15% 17.8% 18.9% 14% - 16%

総車両販売 (百万台単位) 32 9 9 43

70%

20%

10%

Battery EV (2W) Hybrid EV (4W, Bus, LCV) Other Battery EV (3W, 4W, Bus, LCV)

バッテリー

ハイブリッドEV

その他バッテリ

xEVの2020年向け需要計画

車両技術の分散

• 限定的な消費者の理解

• 充電要求事項の不足とバッテリ交換の不足

• より長い充電時間

• 消費者は、環境への利点よりもより低い運転コストに関心が高い

OEM別懸案事項

出所 : インド電気可動性ミッション計画 2020

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インドの異なる部門でのEVの浸透しやすさ

インドにある様々なOEMとの研究によると、電気自動車の導入は、高い政府補助金があるために、バスがもっとも影響を受けやすい。

37

能力

既存価格パフォーマンスギャップ

投資

低-中 中ー高 中

技術 4輪車 2輪車 バス

中 低

中ー高 低-中 中

巨大 量が多いため巨大

3輪車 LCV

種々のOEMによると、電気自動車の導入しやすさは、バスがより高く、2輪車、3輪車が続く。4輪車が最も難しい。

種々の部門における電気可動性計画の実施しやすさ

出所 : インド電気可動性ミッション計画 2020

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燃費を改善するために、政府は、燃費基準の導入を計画している BEE は、2段階手法を提案した。

38

提案された燃料基準

CAFC – 総合平均燃料消費

Mtoe – 石油百万トン相当

• 提案された燃費基準ノルマでは、燃費を20~25%改善することを目標にしている。

• 現行公式基準提案は、100km

6リッターから2020年までに 100km5.1リッターにすることである。

• BEEは、この提案を2015年までと2020年までの2段階で 達成すると提案した。

• これらの基準で、2015年までに年約3 mtoe、2020年までに11 mtoe、2030年までに20mtoe の節約を助長するであろう。

• 即時の実施は、自動車業界がこの提案に反対しているため、難題となりそうである。

出所: エネルギー効率庁

仮定2006-07CAFC基準

仮定2009-10CAFC基準

2015-16CAFC基準

2020-21CAFC基準

2020-21CAFC基

準 国内でハイオクタン燃料が入手できない場合

装備重量、KG

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目次

1 燃料価格政策に関する情報収集と整理

2 燃料価格政策オプションの検討

3 運輸部門のエネルギー需給に特化したモデルによる推計

4 燃料価格政策の在り方についての検討

39

0 背景と目的

5 まとめと今後の課題

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ケース・スタディ

スリランカ – ディーゼル車に対する高い輸入関税

インドネシア – 燃費の良い小型車の販売促進

USA – EV シェアの拡大

燃料価格政策オプション

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18 5

22 51

23 2 (18%)

1 (20%)

1 (3%)

3 (5%)

6 (18%)

141 125

115 125

148

93

72 73 77

111

0

50

100

150

0

10

20

30

40

50

60

2008 2009 2010 2011 2012

燃料価格

(L

KR

)

登録台数

(単位

:千)

ガソリン車 ディーゼル車 ガソリン価格 ディーゼル価格

ケース・スタディ: スリランカ

スリランカでは、ディーゼル燃料に補助金を提供しているが、ディーゼル車の需要を制限するために、ガソリン車よりも高い関税を課している

41

0

100

200

300

400

500

600

2008 2009 2010 2011 2012

ディーゼル車への輸入税

ガソリン車への輸入税

• スリランカにおける自動車販売は、自動車に課せられている関税率と直接結びついている

• スリランカでは、ガソリン車よりもディーゼル車に高い関税を課すことで、ディーゼル車に対する需要を制限している

• 2010 年、輸入関税を 50% 引き下げることで、ガソリン車の販売増につながっている

• 消費者は、ガソリンとディーゼルの 2 つの燃料の価格差よりも、ガソリンの絶対的な価格上昇の方に関心がある

• ディーゼルは約 40-50%、ガソリンよりも安い

• ガソリン価格が上昇すると、ディーゼル車の販売増につながる

登録された新車 (燃料種類別)

自動車への課税 (燃料種類別)

出典: Department of Motor Traffic Sri Lanka, NRI Research

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ケース・スタディ

スリランカ – ディーゼル車に対する高い輸入関税

インドネシア – 燃費の良い小型車の販売促進

USA – EV シェアの拡大

燃料価格政策オプション

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ケース・スタディ: インドネシア - 背景

インドネシアは石油製品に補助金を出しているが、国民の理解を得ることで、補助金の削減を開始

ガソリン価格とディーゼル価格の傾向

2100

4300 4300

5050 4500 4500 4500 4500

5500

2400

4500 4500

5400

4500 4500 4500 4500

6500

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

ガソリン価格

(ID

R)

ガソリン

ディーゼル

* 2008 年の価格はその年の加重平均。1 月から 4 月までの価格は IDR 4500、5 月から 11 月までの価格は IDR 6000。12 月は IDR 5000 に下落。

出典: Ministry of Energy and Mineral Resources Republic Indonesia

2004 年、インドネシアは、石油のネット輸入国になり、補助金の負担を減らすために燃料価格を引き上げた

2008 年、世界的な燃料価格の高騰により、石油製品の補助金は GDP の 2.8% に達した。燃料価格は、平均 29% 上昇し、世界的に価格が下降し始めると、燃料価格は下落したものの、上昇前よりも高水準にある。

補助金の削減の影響を抑えるため、政府は貧困層に向けたいくつかのプログラムを導入。

• 医療、教育、社会福祉、中小企業向けの低金利貸出に対する予算を増加

• 激しい抗議を抑えこむための無条件現金給付

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インドネシアにおける補助金付燃料に関する多様な抑制策

これまでのトレンドから、補助金燃料が抑制される方向に向かっている。

今後、「完全廃止」へ至らなくとも、燃料の値上げ、数量制限など様々な打ち手が存在する。

44

補助金抑制策 用語の定義

補助金制度の完全廃止 文字通り、補助金制度が完全に廃止され、自由市場となること。

補助金制度の継続

(補助金制度の内容変更、補助金制度の実質無効化)

大きく、「価格の引上げ」と「数量の削減」に分けられる。

制度上は存続しているが、実質的に補助金の対象や量を限定し、政策効果として限定的なものにする動き

特定利用者の制限をするなど部分的な廃止も含まれるが、必ずしも、将来な全廃を前提としたものではない。

補助金燃料の価格引上げ 全ての利用者を対象とした、補助金燃料価格の一律値上げ。

補助金燃料の数量削減 毎年、補助金燃料の数量が前年に定められている。これまで、燃料全体の伸びに対して、相対的に抑制されてきた。

ここで言う、数量制限はそれをより効率的・効果的に制限する方法。

全利用者への制限 SS開店時間の制限、配給制(店頭での給油量制限)、ハイオク専用給油所の設置等を行うこと。

特定利用者への制限 政府系車両の使用禁止等が打ち出されている。

その他に、排気量別、二輪/四輪別の制限なども含まれる。

農業・鉱業用途への補助金燃料への使用禁止の厳格化も含む。

燃料転換の促進 灯油からLPG、軽油からCNGのように、燃料を転換することで補助金を削減すること。

(ただし、LPGについては2013年に補助制度が創設される)

公共交通機関へのシフト 地下鉄、ライトレール等の公共交通機関の整備により、自動車の利用を抑制、結果的に補助金を削減する。

ケース・スタディ: インドネシア

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インドネシアにおける補助金抑制のための政府による対処策(現在までの実績)

45

補助金抑制のための対処策 現状 補助金削減効果

補助金制度の完全廃止 補助金制度廃止に向けた提案が行われているが、国民の反対も一見大きいため、成立に至らない

補助金そのものの支出が不要になるため削減効果絶大だが、別途、貧困層対策を行う必要がある

補助金制度継続

補助金燃料

価格引き上げ Rp.4500からRp.6000への引き上げに失敗した

原油価格と販売価格の差分が補助金になるため、補助金付燃料の販売価格引き上げは、劇的な補助金削減効果がある

補助金燃料販売量削減

供給対象を絞る 農業・鉱業用途への補助金燃料への使用禁止の厳格化、政府系車両への補助金燃料の使用禁止等が打ち出されている。

主力の一般4輪向けガソリン、2輪向けガソリン、運輸用軽油が減少しないため、補助金削減効果は限定的

供給対象は同じで供給原単位を 減らす

給油所開店時間の制限、配給制、ハイオク専用給油所の設置等様々な試みが行われ始めている

政府の計画供給量に合わせて、それ以上の伸びが抑制されるため、補助金削減効果はないが、許容量以上の補助金増加は防げる

燃料転換を行う

灯油からLPG、軽油からCNGのように燃料を転換することで補助金額を削減する

LPGは2013年からの補助金が決まり、貧困対策部分は補金が継続

燃料転換された分についてのみ、補助金支出が削減される

転換後の燃料についても新たに補助金制度が創設されることもあり、ニュートラル

代替手段を 確保する

MRT等の整備が計画され、建設がはじめられている

運賃が一定範囲内であれば、渋滞を嫌うユーザーが公共交通機関に乗り換えるため、一定の補助金削減効果は期待できる。

補助金支出抑制のための政府の対処策

ケース・スタディ: インドネシア

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インドネシアにおける補助金廃止以外の補助金燃料削減に向けた取り組み(1)

46

非補助金燃料利用促進対策 内容

移動式給油所整備による非補助金燃料販売

• 国営石油プルタミナは、タンク車を改造した移動式給油所の操業を開始した。補助金対象外のディーゼル燃料を鉱業用車などに供給し、補助金の支出削減につなげる。6月末までに65台を配備する。1台当たりの改造費用は2億ルピア(約166万円)必要で、給油能力は5,000~8,000リットル。中央政府は移動式給油所の展開で、補助金が付かない燃料の利用を促進しようとしている(2012年 6月 4日 ジャカルタポスト)

給油所開店時間の制限

• リアウ諸島州バタム市は、一般給油所(SPBU)の営業時間の制限を計画していると明らかにした。補助金対象石油燃料の不正使用防止と、今年の割当量を超えないよう消費量を管理するのが狙い。同市商工・エネルギー鉱物局のアフマッド局長は「国営石油プルタミナ、警察、エネ鉱省との協議の中で営業時間の制限案が出た」と説明。25日にはプルタミナ、同社の下流事業提携業者団体である民間石油ガス連合(Hiswana migas)と実施に向けた話し合いを行

う予定という。夜間営業を見直す必要があると指摘した上で、「一斉に営業時間を制限するのではなく、順番で1カ所だけ24時間営業を認める」との方針を示した。プルタミナによると、同市にある一般給油所は30カ所でこのうち3分の1が24時間営業という。(2012年5月24日 ビスニス・インドネシア)

補助金燃料削減策

• ジュロ・エネルギー鉱物資源相によると、

▽すべての政府機関、国営・公営企業の自動車による補助金燃料の使用を段階的に禁止

▽自動車燃料の石油からガスへの転換策を進めるため、技術開発を行い、ガス供給施設を増設

▽鉱業、農園企業による補助金燃料の使用禁止の徹底(国営石油プルタミナは補助金対象外の軽油を専門に販売する給油所を開設し、自治体が販売体制を監視) ▽国営電力PLNによる石油火力発電所の新設禁止

▽政府施設で午後5時以降のエアコン使用禁止と午後7時の消灯

• このほか、鉱業、農園関連の車両と大型トラックが補助金対象燃料を給油しないよう監視を強めるため、石油ガス下流調整機関(BPHMigas)と自治体の役割も政府が規定するという。 (2012年5月10日デティックコム)

非補助金燃料利用促進策のうち既に報道されているもの

ケース・スタディ: インドネシア

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インドネシアにおける補助金廃止以外の補助金燃料削減に向けた取り組み(2)

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非補助金燃料利用促進対策 内容

補助金燃料の購入制限(配給制の実施)

• 国営石油プルタミナは、中部・南カリマンタン両州で来月半ばから補助金対象石油燃料の供給制限を実施する計画を明らかにした。全国に先駆けて両州で試験的に制限を実施し、補助金燃料の消費量抑制に効果が上がれば各地に導入する。

• 広報担当のハルン氏は「補助金燃料の供給制限は、消費量が補正予算の割当量を大きく超えないための措置だ」と話した上で、「両州では自動車に給油した補助金燃料が鉱業や農園業で転用されている疑いが強いものの、取り締まりが難しいため、全国で最初に供給制限を実施することを決めた」と説明。

• 制限の実施では警察と協力する意向も示した。実施方法については、「例えば1日当たりの配給量を二輪車1台につき1リットル、四輪車で10リットルとすることを想定している」と述べ、全車両を対象に購入量を制限する考えを明らかにした。

• 現在は最も低コストで実施できる方法を検討し、両州の車両数に関する資料をそろえている段階。(2012年5月4日 アンタラ通信)

補助金燃料の販売機会制限

(ハイオク専用SSの整備)

• 国営石油プルタミナは、南ジャカルタ・ポンドックインダに補助金対象外の石油燃料だけを販売する給油所の1号店を開設した。補助金燃料の消費量を抑えるための措置で、同社直営以外でもハイオク専用給油所の設置を進めていく方針だ。ポンドックインダの既存のガソリンスタンドを変更した。日量2,500リットルの補助金対象外のガソリンを販売する予定。これまでは補助金対象の普通ガソリン「プレミアム」を日量1万5,000リットルほど販売していた。

• ハヌン販売担当取締役によると、現行では補助金燃料の消費量は通年で4,700万キロリットルとなり、国家予算の割当量である4,000万キロリットルを大きく超える。首都圏で新たにガソリンスタンド5カ所をハイオク専用にする計画も進めており、販売場所を制限することで補助金燃料の消費量を抑える方針だ。

• 同取締役は「今回のガソリンスタンドは当社が保有・運営するものだが、今後は3カ所以上のガソリンスタンドを所有するオーナーに1カ所をハイオク専用にするよう求めていく」と語った。補助金対象外燃料の販売店のマージンを、現行の1リットル当たり325ルピア(約2.83円)から500ルピアに引き上げることで同意を得る考えを示した。補助金対象燃料(プレミアム、軽油)は現在180ルピアとなっている。

• プルタミナの下流事業提携業者団体である民間石油ガス連合(Hiswana migas)のエリ代表は「マージンの引き上げは魅力的だが、給油所ごとに投資額や規模が異なるため、プルタミナの提言に賛同できないオーナーも多いだろう」と語った。(2012年4月30日 ジャカルタ・ポスト)

非補助金燃料利用促進策のうち既に報道されているもの(2)

ケース・スタディ: インドネシア

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インドネシアにおける補助金廃止以外の補助金燃料削減に向けた取り組み(3)

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非補助金燃料利用促進対策 内容

高速道路や高級住宅街での補助金付燃料の供給制限

一台一日当たりの購入量制限

• 石油ガス下流調整機関(BPHMigas)は、首都圏の高速道路や高級住宅街にある一般給油所で補助金対象石油燃料の販売を停止するよう国営石油プルタミナに指示したと明らかにした。自家用車向けの販売量を抑えるのが狙いだ。

• 石油燃料課のジョコ課長は、プルタミナに6月12日付で指示書を出したが、同社からイスラム教の断食明け大祭(レ

バラン)後まで実施を延期することを要請されたと説明。「レバランを過ぎたため、早急に実施するよう書簡で伝えた」と述べた。南ジャカルタの高級住宅街、ポンドック・インダには補助金対象外の石油燃料だけを販売する給油所が4カ所あると指摘し、今後ほかの地域にも広げていく方針を示した。

• このほか、首都圏での高級車への補助金対象燃料の販売禁止と、自動車1台1日当たりの購入量を10リットルに制限する規定を今月中に発布する計画も明らかにした。

• 販売を禁止する高級車は、2005年以降に製造された排気量2000ccを超える40車種で、車名を規定に盛り込む。今

週にもプルタミナや業界関係者からの意見を求める方針。制限実施では、現場の監視に地方自治体、警察、軍隊から2,000人を充てる考えを示した。

• エネルギー・鉱物省のルディ副大臣は、高速道路などで補助金対象燃料の販売をやめることを支持する姿勢を示した。ただ、「高級車への販売禁止と購入量の制限には、監視に大量の人員が必要となるため、実施は困難だ」と指摘した。

• 同省は先に、1~8月の補助金対象燃料の消費量が2,932万キロリットルとなり補正予算の割当量を超える可能性が高いため、400万キロリットルの追加を国会に要求していた。

(2012年9月8日付コンパス)

非補助金燃料利用促進策のうち既に報道されているもの(3)

ケース・スタディ: インドネシア

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ケース・スタディ: インドネシア – 乗用車への影響

インドネシアでは、燃料価格の上昇は、より低燃費の小型車のシェア拡大に結びついた

2400

4500 4500

5050*

4500 4500 4500 4500

52%

62% 62% 66%

72% 72% 75% 75%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

2005 06 07 08 09 10 11 2012 自動車販売合計に占めるシェア

(%

)

ガソリン価格

(ID

RR

)

石油価格 低燃費の自動車のシェア

注: *2008 年の価格はその年の加重平均。1 月から 4 月までの価格は IDR 4500、5

月から 11 月までの価格は IDR 6000。12 月は IDR 5000 に下落。

低燃費の小型自動車は CC < 1.500 (G/D) を対象とする。

自動車販売台数とガソリン価格 エンジン出力別の自動車販売台数 (単位: 千)

137 279

390

583

67

110

115

156

19

36

24

42

2006 2008 2010 2012

小型車* (排気量<1.500)

排気量>1.500*

その他**

合計 223 425 529 781

CAGR

27%

15%

14%

23%

2006 年から 2012 年にかけて、インドネシアでは 23% の年平均増加率 (CAGR) で自動車販売が伸び、d同時に小型車のシェアは 2006 年の 52% から 2012 年の 75%に拡大。

* 4x2 駆動車、** セダンおよび 4X4 駆動車を含む

出典:

出典: Ministry of Energy and Mineral Resources Republic Indonesia; The Association Of Indonesia Automotive Industries

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ケース・スタディ: インドネシア – 低価格グリーン・カー (LCGC) プログラム

政府は、補助金と税金優遇により、低燃費の自動車の販売を促進。いくつかの自動車メーカーがこのカテゴリーで自動車販売を開始

自動車メーカー 車名

低価格グリーン・カー (LCGC) プログラムで提供されるインセンティブ

• Agya

• Brio Satya

• Karimun

Wagon R.

• Ayla

• Go

• Go+

LCGC プログラムの助成を受けるために必要な条件

• 火花点火 (SI) エンジンの場合シリンダー容量が 980cc から 1,200 cc 、圧縮点火 (CI またはディーゼル) エンジンの場合、1,500 cc 未満の自動車

• LCGC による販売価格が IDR 95 百万を超えないこと

• 燃費は 20 km/リットル以上

• 税免除を受けるには、環境に優しい自動車の製造をインドネシア内で行い、部品の 84% が国内産でなければならない

• 低排出量の自動車には、奢侈税を 25% 免除

このプログラムによって想定される利点

• 燃料消費の節約と補助金の負担削減

• 低価格グリーン・カーの輸出ハブとしてインドネシアを発展させる

• 国内労働力に対する雇用機会の増加

出典: News Articles, NRI Research

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インドネシアにおいて、ガソリン需要の伸びによって補助金予算は増加傾向にあるものの、歳出全体から見た補助金のインパクトは徐々に小さくなっている。

燃料補助金予算の推移

0

20

40

60

80

100

120

140

160

2001 2003 2005 2007 2009 2011

兆IDR

出所)Ministry of Finance

メガワティ政権が燃料価格補助金を削減。しかし、国民の反対を受け、元通りに。

ユドヨノ政権が補助金額を改定。国際原油高、補助金による公共投資余力の不足が背景となって、国民の理解を得た。

実績値 予算

51

インドネシア政府予算(歳出)の分野別の割合(単位:%)

28.8 28.0 33.3 32.2 28.3 30.6 33.1 31.3 32.7

21.5 23.7 16.0 19.8 27.9 14.7

18.5 17.9 14.7

14.3 6.5 8.2 8.4

7.4

8.1 7.7 10.7 11.8

12.4

10.6 10.9 11.9

11.5

13.7 14.2 13.9 15.2

3.7

5.7 7.0 7.3 5.7

8.6

9.4 10.8 9.7

14.5

11.4 11.8 10.6 8.9

10.0 8.4 8.1 8.7

0.0

4.9 6.1 6.6 5.9

7.9 6.6 6.2 4.5 4.7 9.2 6.4 3.3 4.5 6.3 2.0 1.1 2.6

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

地方移転支出 補助金 開発支出 人件費

物品費 利払い 社会福祉 その他

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ケース・スタディ –

スリランカ – ディーゼル車に対する高い輸入関税

インドネシア – 燃費の良い小型車の販売促進

USA – EV シェアの拡大

燃料価格政策オプション

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2035 2187 2207 2461

ケース・スタディ: US EV –背景と状況

石油需要の増加と輸入の増大は、米国のエネルギー安全保障と環境に悪影響を与えていた。政府は、乗用車の燃料消費を削減することで、この両方の課題克服に取り組んだ。

米国は、国内の燃料需要に対応するために、石油製品の輸入に大きく依存している

燃料の輸入への依存度が高まることは、国のエネルギー安全保障に悪影響を与える

また、燃料消費の増加は、環境汚染にも大きな影響を与える

エネルギー安全保障と環境問題に取り組むため、政府はさまざまな政策オプションを検討した

Source: EIA Database 53

原油供給と CO2 排出量の傾向 ガソリン需要を抑えるための実行可能なオプション

ガソリンに対する増税

燃費効率テクノロジー (FET) の促進

燃料効率基準の厳格化

ガソリン価格の上昇を意味する

自動車の運転を控えるようになり需要全体が減少する

米国には、自動車の走行可能距離を規制する CAFE 標準がある

この基準をより厳格にすると、より燃費の良い自動車の生産および輸入が促進される

自動車メーカーと消費者の両方に税金面でのインセンティブを与えることで、代替/ハイ

ブリッドの燃料テクノロジー自動車の開発が促進される

26% 44%

52% 61%

74%

56% 48%

39%

1985 1990 1995 2000

(単位

: T

BD

)

生産量

12172

輸入量

13250 13789 14892 (u

nit: M

MT

)

CO

2 排出量

石油製品からの CO2 排出量

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ケース・スタディ: US EV –政府の施策

ハイブリッドなどの燃料効率テクノロジー (FET) 自動車の環境面およびエネルギー安全保障面の利点を考慮し、政府は米国での FET 車を促進するために、自動車メーカーと消費者の両方に対して、インセンティブ・スキームを開始した。

54

ガソリン車と比較したハイブリッド車の利点 政府によって提示されたインセンティブ

+

14

19

非ハイブリッド車 ハイブリッド車

低燃費

173

124

非ハイブリッド車 ハイブリッド車

より少ない

CO2 排出量

Honda Civic

単位: km/l

Honda Civic

単位: g/km

36%

40%

供給側

税額控除

購入側

所得税控除

消費税免除

登録税免除

自動車排ガス試験免除

駐車料金免除

通行税免除

出典: http://go.ucsusa.org/hybridcenter/incentives.cfm#OK; http://www.hybridcars.com;

http://whybuyhybrid.com; http://www.eere.energy.gov/afdc/laws/incen_laws.html

出典:http://www.fueleconomy.gov

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ケース・スタディ: US EV – 供給側に対する政府のインセンティブ

政府は税額控除を活用して、自動車メーカーによる米国市場への FET 車の導入を促進。さらに米国内での FET 車の製造に対してもインセンティブを提供。

55

自動車メーカーに対する政府のインセンティブ

Source: http://go.ucsusa.org/hybridcenter/incentives.cfm#OK; http://www.hybridcars.com;

http://whybuyhybrid.com; http://www.eere.energy.gov/afdc/laws/incen_laws.html

インセンティブ 提供者 受益者 特典 その他の条件

先進技術を導入した自動車に対する税額控除

(2005)

• 国

自社の自動車の燃費を向上した自動車メーカー

販売台数 1 台につき $250-$3,400 の税額控除

• 税額控除は一定期間有効

• 控除額は、前のモデルと比較してどれだけ燃費を改善したかの値によって決定l

• 税控除の特典は、このスキームで定められた期間にメーカーによって販売された台数が一定量に達したら減額、または消滅する

国内生産のハイブリッド車について税額控除を追加 (2005)

• 国

米国内でハイブリッド車を製造した自動車メーカー

米国内で製造された自動車 1 台当たり $3000 の税額控除

• この税額控除は、他の同様の税制面の特典に加えて、自動車メーカーに対して適用される

プラグイン・ハイブリッド車の販売に対する税額控除 (2009)

• 国

プラグイン・ハイブリッド車を販売した自動車メーカー

販売台数 1 台につき $2,500-$7,500 の税額控除

• 資格を満たすには、自動車が特定のバッテリー容量の基準、重量の基準を満たす必要があり、それらの値によって控除額を決定

• インセンティブ・スキームで定められた一定期間内にメーカーによって販売された新車にのみ特典は適用される

• 税控除の特典は、このスキームで定められた期間にメーカーによって販売された台数が一定量に達したら減額、または消滅する

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ケース・スタディ: US EV –需要側に対する政府のインセンティブ

需要側を促進するために、政府は、税額控除、 還付、消費税免除などさまざまなインセンティブを活用して購入を促進し、FET 車で増える顧客側のコストを相殺

56

消費者に対する政府のインセンティブ

Source: http://go.ucsusa.org/hybridcenter/incentives.cfm#OK; http://www.hybridcars.com; http://whybuyhybrid.com;

http://www.eere.energy.gov/afdc/laws/incen_laws.html

インセンティブ 提供者 受益者 特典 その他の条件

プラグイン・ハイブリッド車への買い替えに対する税額控除

• 国

ハイブリッド車をプラグイン・ハイブリッド車に買い替える顧客

買い替えコストの10% (最大 $4000)

• 登録年数が一定年数を超える自動車は対象外

• 定められた日付後の買い替えは、電気プラグイン・システムの証明が必要

相乗り車線の使用許可 (2006)

• 国

• 州 ハイブリッド車を所有する顧客

高速道路の相乗り車線の使用を許可

• 当局によって定められた特定の燃費向上基準を満たす必要あり

電気自動車に対する税額控除 (2010)

• 国

• 州

EV 車を所有する顧客 最大 $7500 の税額控除と $2500 の補助金

• 自動車、自家充電装置、駐車場その他の手数料などの費用を相殺するために補助金を提供

州内の駐車場の駐車料金無料化

• 州 ハイブリッド車を所有する顧客

駐車料金の節減 (約 $30)

• 州のライセンス交付を受けたディーラーから期限後に購入した自動車であること

• 州民であること

• 「Clean Air Vehicle」の認定ステッカーを貼った自動車であること

消費税免除 • 州 新たにハイブリッド車を購入する顧客

消費税の節減 • 自動車が特定の燃費基準を満たす必要あり

低燃費の自動車に対する税金還付

• 州 代替燃料車を購入する顧客

1 台当たり最大 $1000 の税金還付

• 州が適格な銀行に低金利で預け金をしていること

• 顧客が適格な銀行から借り入れをしていること

• 銀行は税金還付として顧客に利子割引を提供

登録手数料の減額

• 州 代替燃料車を購入する顧客

最初の 2 年間の手数料を減額

• 適格なハイブリッド車および EV 車であること

• 3 年目から通常の登録手数料になる

所得税控除 (タクシーの場合)

• 州 ハイブリッド車を購入する顧客 (タクシー用)

$2000-$4000 の税額控除 (1 回)

• 適格なハイブリッド車および EV 車であること

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ケース・スタディ: US EV –ハイブリッド車の販売への影響

政府のインセンティブに、ガソリン価格の上昇要因も加わり、米国におけるハイブリッド車の需要が加速。ハイブリッド車の増加は実質的にガソリンの節約につながる。

57

1.53 1.60 1.75 1.54 1.76

2.01

2.41 2.60

2.76

3.34

2.28

2.74 2.72

3.50 0 1 1 4 8

10 15 19 18

24 33 33

47 38

米国におけるハイブリッド車の年間新車販売

(販売台数)

(自動車販売の合計台数に占める割合

(%) sales)

ガソリンの平均価格 (US$/ガロン)

ハイブリッド車促進のための政府のインセンティブの数

1

2 ×

=

インセンティブとガソリン価格が米国におけるハイブリッド車の販売に与えた影響

Source: 2011 IER, Vol 52 No. 1, Arie Beresteanu & Shanjun Li, Alternate Fuels Data Center (AFDC) Database

0.1% 0.2% 0.3% 0.5%

1.3% 1.7%

2.3% 2.2% 3.1% 2.0% 2.2%

2.9%

17 9367 20,287 35,961 47,525

83,153

2,09,711

2,51,864

3,45,920 3,12,386

2,90,271 2,74,210 2,68,755

3,82,704

3

ハイブリッド車によるガソリン節約量合計

(百万ガロン)

1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

3 5 10 15 19 25 34 49

61

na na na na na

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ケース・スタディ – 世界におけるいくつかの経験から学ぶ

スリランカ – ディーゼル車に対する高い輸入関税

インドネシア – 燃費の良い小型車の販売促進

USA – EV シェアの拡大

燃料価格政策オプション

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従来は、ディーゼルとガソリン間の大きな価格差が、インドにおけるディーゼル車の販売増につながっていたが、補助金の廃止プログラムが徐々に進むにつれて、ディーゼル車の販売は減少することが見込まれる

59

25% 36%

47% 60% 55%

75% 64% 53% 40% 45%

11 13

23 25 19

0

5

10

15

20

25

30

0%

20%

40%

60%

80%

100%

2009 2010 2011 2012 2013e

価格差

(I

NR

)

シェア

(%

)

ディーゼル車 ガソリン車 価格差

ディーゼル車とガソリン車の販売比率と価格差

ディーゼルとガソリンの価格差の増加

• 2010 年 1 月から 2012 年 12 月までの間に、ガソリン価格は 16 倍に上昇、一方ディーゼル価格は 8 倍の上昇にとどまった

ディーゼル価格が安いため、ガソリン車よりもディーゼル車を購入する消費者が増加

2013 年初めから、ディーゼル価格が上昇したことで、2 つの燃料の価格差は縮小中

注: 価格差は、年間の平均値

ディーゼル化の傾向

• 価格差はディーゼル車の販売に直接結びついている

• 補助金の廃止により価格差が縮小することで、ディーゼル車の販売は今後減少することが見込まれる

出典: NRI Analysis, SIAM Data, Press Articles

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政策の傾向

ディーゼル補助金の廃止は、予定されている燃料効率および CO2 排出量の基準と共に、今後の交通セクターにおける自動車のシェアおよび燃料消費への影響大

60

最近の政策イニシアチブ 短期的な影響 (0 – 5 年間) 長期的な影響 ( 5 年超)

業界は、より低燃費の自動車に移行

OEM は燃料効率テクノロジーに投資

CAFE 標準を満たすため、低燃費のテクノロジーを備えた小型車を導入予定

燃費基準

OEM の自動車に対して、平均的な燃費目標を定義

目標は 2017 年と 2022 年の 2 段階で導入予定

BEE は、自動車にラベルを付けることも計画中

より低燃費で、環境に優しい自動車

交通セクターの燃料消費の減少

CO2 排出量の減少

EV、ハイブリッド、プラグイン・ハイブリッドなど、低燃費で CO2 排出量が少ないテクノロジーへの移行

石油会社は、燃料増強のために段階的に製油所に投資する必要がある

自動車メーカーは、段階的にテクノロジー増強に投資する必要がある

ディーゼル車は追加的な環境対策を行う必要があるため、ディーゼル車とガソリン車間の価格差はさらに拡大する

Bharat

Stage-V 燃料タイプ

政府は、Euro V 準拠のCO2排出量基準を導入予定

基準は、2017 年後に導入予定 (段階的)

消費者の xEV に対する理解度が今後深まる

このミッションを支援するための政府によるインセンティブの導入

OEM による、xEV 生産に必要なインフラの構築

国家電気自動車計画

NEMMP 2020 ミッションにより、xEV (BEV、PHEV、HEV 等) の販売をインドで推進

政府は 2020 年までに 6 – 7 百万台の xEV 販売を計画 (うち 4W は

1.6-1.7 百万台)

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インドの異なる部門でのEVの浸透しやすさ

インドにある様々なOEMとの研究によると、電気自動車の導入は、高い政府補助金があるために、バスがもっとも影響を受けやすい。

61

能力

既存価格パフォーマンスギャップ

投資

低-中 中ー高 中

技術 4輪車 2輪車 バス

中 低

中ー高 低-中

巨大 量が多いため巨大

3輪車 LCV

種々のOEMによると、電気自動車の導入しやすさは、バスがより高く、2輪車、3輪車が続く。4輪車が最も難しい。

種々の部門における電気可動性計画の実施しやすさ

出所 : インド電気可動性ミッション計画 2020

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交通セクターにおけるディーゼルの消費

交通セクターはディーゼルを最も消費するセクターであり、燃料の選択は基本的に自動車分野でのみ可能であるため、ディーゼル補助金の撤廃は、燃料混合に影響を与える

69% 13%

18%

交通

セクター

農業

セクター

工業

セクター

自家用車/SUV

商用車/SUV

6%

16%

39%

9%

12%

18%

交通セクターのディーゼル消費

3 輪自動車

トラック

HCV/LCV

バス/STU

航空機/船舶/鉄道

セクターでのインドにおけるディーゼル消費

出典: Kirit Parikh 2013 Report on Pricing of Diesel

重点分野

• 現在、燃料 (テクノロジー) を選択できるのは自動車のみ。

• 今回の検討はこの分野に重点を置く

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交通セクターにおけるディーゼルの消費

ディーゼル補助金を廃止すると、乗用車/SUV の購入者は、代替燃料テクノロジーを検討すると想定され、今後の燃料消費に影響を与える可能性大。そのため、このセッションでは、次の 2 分野に焦点を当てて、将来の燃料消費の方向性を検討する。

63

交通分野において想定される燃料の選択肢、および切り替えの容易性

代替燃料の選択肢

石油 CNG LPG 電気

大きく消費者に依存

大きく当局規制に依存

+

-

無理のある選択肢

代替燃料への切り替えの容易性

重点分野

出典: Kirit Parkih 2013 Report on Pricing of Diesel

69% 13%

18%

6%

16%

39%

9%

12%

18%

交通セクターのディーゼル消費

交通

セクター

農業

セクター

工業

セクター

自家用車/SUV

商用車/SUV

3 輪自動車

トラック

HCV/LCV

バス/STU

航空機/船舶

/鉄道

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GDP 成長率 8% : シナリオの要約

シナリオを概念化し、主要な政策展開が将来のエネルギー消費に与える影響を計測

ディーゼルの価格統制の完全撤廃 (2015 年 12 月までに実施)

BEE の燃費基準 (2017 年までに実施)

NEMMP の導入 (2020 年までに実施)

BAU シナリオ

補助金廃止後、ディーゼル車販売は微減 (ディーゼルの在庫が 1 年当たり 0.4 % 減少)

現在の自動車の燃費向上率のまま (1 年当たり 0.1%)

現在の xEV 車の増加率のまま (2031-32 年 ま で に 約 32,000 台)

中間的なシナリオ

補助金廃止後、自動車販売におけるディーゼル車のシェアは、2031-32 年までに約 15 % に定着

2016-17 年以降、新車の燃費は従来車よりも 10% 向上 (BEE 標準に基づく)

NEMMP 目標の 20% を2020 年までに達成 (4W EV が 335,000 台)

積極的なシナリオ

補助金廃止と BS V 排出基準後、自動車販売におけるディーゼル車のシェアは、2031-32 年までに約 10 % に定着

シナリオ (3) に加えて、2021-22 年以降、新車の燃費は 2016-17 年以降の自動車よりも 13% 向上 (BEE 標準に基づく

NEMMP 目標の 100% を2020 年までに達成 (4W EV が 1.7 百万台)

64

強度

主要因

3

2

1

4

5

6

前提

シナリオ

中間的なシナリオの組み合わせが最も可能性のあるシナリオと思われる 7

以下のすべてのシナリオは、8 % の GDP 成長率を前提として算出

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GDP 成長率 6% : シナリオの要約

近年の景気後退により、政策的含意は、6% という前より低い GDP 予測を基に分析。他のシナリオの前提事項は変わらず。

ディーゼルの価格統制の完全撤廃 (2015 年 12 月までに実施)

BEE の燃費基準

(2017 年までに実施)

NEMMP の導入

(2020 年までに実施)

BAU

シナリオ

補助金廃止後、ディーゼル車販売は微減 (ディーゼルの在庫は 1 年当たり 0.4% 減少)

現在の自動車の燃費向上率のまま (1 年当たり 0.1%)

現在の xEV 車の増加率のまま (2031-32 年 ま で に 約

32,000 台)

中間的な

シナリオ

補助金廃止後、自動車販売におけるディーゼル車のシェアは、2031-32 年までに約 15 % に定着

2016-17 年以降、新車の燃費は従来車よりも 10% 向上 (BEE 標準に基づく)

NEMMP 目標の 20% を2020 年までに達成 (4W EV が 335,000 台)

積極的なシナリオ

補助金廃止と BS V 排出基準後、自動車販売におけるディーゼル車のシェアは、2031-32 年までに約 10 % に定着

上記シナリオ (3) に加えて、2021-22 年以降、新車の燃費は 2016-17 年以降の自動車よりも 13% 向上 (BEE 標準に基づく

NEMMP 目標の 100% を2020 年までに達成 (4W EV が 1.7 百万台)

65

強度

主要因

10

9

8

11

12

13

前提

シナリオ

中間的なシナリオの組み合わせが最も可能性のあるシナリオと思われる 14

以下のすべてのシナリオは、6% の GDP 成長率を前提として算出

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目次

1 燃料価格政策に関する情報収集と整理

2 燃料価格政策オプションの検討

3 運輸部門のエネルギー需給に特化したモデルによる推計

4 燃料価格政策の在り方についての検討

66

0 背景と目的

5 まとめと今後の課題

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TERIモデル

分析結果

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TERI の交通モデルの構造

•経済活動 (GDP 成長率、1 人当たりの GDP)

•乗用車と貨物車

•占有率と利用率

•エネルギー効率 – 従来と今後

•ボトムアップ・アプローチ

•計算ロジックは、専門家と何度も議論した後に決定

•経済的要因、乗車率、利用率などに基づく評価

• 次のそれぞれについて燃料需要を予測

• 車種

• 燃料の種類

• 交通セクターからの co2 排出量

• シミュレーション実行の可能性

出力 (2050 年までの燃料需

要)

入力 & 前提

TERI 交通モデル

TERI の交通モデルの構造

計算

出典: The Energy and Research Institute (TERI)

68

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TERI 交通モデル

交通需要モデルのビルディング・ブロック

交通全体

乗用車

道路

自動車/ジープ

タクシー

3 輪

2 輪

バス

鉄道

ディーゼル

電気

航空

貨物車

道路

HCV

LCV

鉄道

ディーゼル

電気

航空 船舶

注: HCV – 大型商用車、LCV – 小型商用車

出典: The Energy and Research Institute (TERI)

69

占有率 利用率 効率

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TERI 交通モデル

ボトムアップ方式の例

C&J による燃料消費 (リットル)

一人当たりのキロメートル

走行中の C&J

登録済み C&J 合計

廃車 C&J 合計 (耐用年数の過ぎた自動車)

C&J の日次利用率 (Kms)

自動車利用率 - 日次で使用する C&J のシェア (%)

占有率 (平均乗車人数) 平均燃費 (kms/リットル)

÷

X

X

X

­

­

-

例: 自動車およびジープ (C&J) セクターの燃料需要の計算

出典: The Energy and Research Institute (TERI)

1

2

3

4

70

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TERIモデル

分析結果

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BAU のケース

ガソリンとディーゼルを合わせて、乗用車の燃料消費の 93% 以上を占めており、今後 20 年間で約 9% 増加する見込み

72

CAGR

2012 - 2022 2022 - 2032

LPG CNG

ガソリン

ディーゼル

15.1% 15.1%

10.9%

9.2%

-3.1% 11.3%

9.0%

6.7%

0

10

20

30

40

50

60

2011-12 2016-17 2021-22 2026-27 2031-32

EVs 21.1% 13.4%

mto

e

BAU のケースのエネルギー消費

BAU のケースを想定

年間 GDP 成長率 8.3%

燃費基準は 2031-32 年まで導入されない

ディーゼル燃料補助金は 2016-17 年までに廃止

総在庫に占めるディーゼル車のシェアは、2010-11 年の 33 % から 2031-32 年までに 25 % に減少

電気自動車の伸び率は非常に低く、2031-32 年までに自動車の総在庫に占める割合は 1% 未満にしか達しない

8%シナリオ

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0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

2011-12 2016-17 2021-22 2026-27 2031-32

積極的なケース 中間的なケース BAU ケース

シナリオ : ディーゼル補助金廃止のケース

ディーゼル補助金廃止によって、ディーゼル車からガソリン車に買い替える消費者が増えるが、このシナリオには、大幅なエネルギー節減に関する可能性が不在

73

ディーゼル補助金廃止の エネルギー消費と 燃料混合に与える影響

BAU の

ケースの前提

中間的な

ケースの前提

積極的な

ケースの前提

• ディーゼル補助金が廃止されても、税金による価格差がある

• 一部の自家用車の所有者は引き続きディーゼル車を購入すると思われる

• ディーゼル補助金廃止

• 3000 km超/月の平均的な旅行で

使用する消費者は、ディーゼル車を好む

• ディーゼル補助金廃止

• BS-V 標準が導入されると、ディー

ゼル・エンジンの場合資本コストが増加する

• 高級車や SUV を好む消費者はディーゼル車しか購入しない

MTOE 1% 2%

エネルギー節減

39% 38% 37% 37% 35% 32% 32% 28% 23%

54% 55% 56% 56% 59% 61% 61% 65% 70%

7% 7% 7% 7% 7% 7% 7% 7% 7%

ディーゼル ガソリン CNG+LPG 電気

2016-17 2021-22 2031-32

a b

a

b

BAU と比べて積極的なケースでは、2031-32 年までにディーゼル消費は最大 30% 削減

BAU 中間的 積極的 BAU 中間的 積極的 BAU 中間的 積極的 出典: TERI Transport Model, NRI-TERI Analysis

2 1

1

2

8%シナリオ

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39% 39% 39% 37% 37% 37% 32% 33% 33%

54% 54% 54% 56% 56% 56% 61% 61% 60%

7% 7% 7% 7% 7% 7% 7% 7% 7%

ディーゼル ガソリン CNG+LPG 電気

BAU 中間的 積極的 BAU 中間的 積極的 BAU 中間的 積極的

積極的な

ケースの前提

中間的な

ケースの前提

燃料効率シナリオの エネルギー消費と 燃料混合への影響

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

2011-12 2016-17 2021-22 2026-27 2031-32

積極的なケース 中間的なケース BAU ケース

シナリオ : 燃費基準のケース

燃費基準は大きなエネルギー節減効果が期待できるが、ディーゼル車とガソリン車の分別には影響がない

74

MTOE 6% 15%

a b

a

b

BAU と比べて積極的なケースでは、エネルギー消費を

2031-32 年までに 15% 削減

• 燃費基準の導入なし

• 新車の燃費向上はわずかしか見込めない

• 平均的な自動車では毎年 0.1% 以上の燃費向上

• BEE 標準が 2016-17 年までに導入予定

• 新車で 10% の燃費向上

• 厳しい基準を強制適用するのは不可

• 燃費基準を導入

• フェーズ 1 (2016-17) – 新車で

10% 以上の燃費向上

• フェーズ 2 (2021-22) – 新車でフェーズ 1 比さらに 13% 以上の燃費向上

出典: TERI Transport Model, NRI-TERI Analysis 2016-17 2021-22 2031-32

エネルギー節減効果

4 3

3

4

BAU の

ケースの前提

8%シナリオ

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積極的な

ケースの前提

中間的な

ケースの前提

39% 39% 40% 37% 37% 39% 32% 33% 35%

54% 54% 53% 56% 56% 54% 61% 60% 56%

7% 7% 7% 7% 7% 7% 7% 7% 7%

0.0% 0.1% 0.3% 0.0% 0.1% 0.6% 0.0% 0.2% 1.2%

ディーゼル ガソリン CNG+LPG 電気

BAU 中間的 積極的

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

2011-12 2016-17 2021-22 2026-27 2031-32

積極的ケース 中間的ケース BAUケース

シナリオ : EV のケース

xEV のシェアが高まれば、ガソリン消費が減少し、総エネルギー消費量も 2031-32 年には減少する (BAU シナリオ比)

75

電気自動車のシナリオの エネルギー消費と 燃料混合への影響

MTOE

2% 8%

a b

a

b

BAU と比べて積極的なケースでは、エネルギー消費を

2031-32 年までに 8% 削減

• 電気自動車のシェアは 2031-32 年までに微増

• 政府およびメーカーからのインセンティブなし

• NEMMP の影響なし

• 政府から EV 推進のために若干の施策

• NEMMP 目標の約 20% 達成

(2020 年までに EV 335,000 台)

• 2031-32 年までに EV のシェアを

2% にする

• EV 推進のために政府およびメーカーから積極的な施策

• NEMMP 目標を達成 (2020 年までに 1.7 百万台の EV)

• 2031-32 年までに EV のシェアを

10% にする

出典: TERI Transport Model, NRI-TERI Analysis 2016-17 2021-22 2031-32

エネルギー節減効果

EVs

6 5

5

6

BAU 中間的 積極的 BAU 中間的 積極的

BAU の

ケースの前提

8%シナリオ

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39% 38% 37% 35% 32% 29%

54% 55% 56% 58% 61% 64%

7% 7% 7% 7% 7% 7%

0.0% 0.1% 0.0% 0.1% 0.0% 0.3%

ディーゼル ガソリン CNG+LPG 電気

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

2011-12 2016-17 2021-22 2026-27 2031-32

可能性があるケース BAU ケース

シナリオ : 最も可能性があるシナリオ

最新の市場の展開に基いて最も可能性のあるシナリオを作成。大きなエネルギー節減効果が期待できると同時に、将来的にデーィゼル消費も削減可能

76

最も可能性のあるシナリオの エネルギー消費と 燃料混合への影響

最も可能性の

あるシナリオの前提

• ディーゼル補助金廃止による、ディーゼル車の販売への若干の影響

• BEEの2段階燃費基準強化のフェーズ1 とフェーズ 2 の燃費基準の強制適用

• 2020 年までに NEMMP 目標の

20% のみを達成

MTOE

17%

a b

1

b

BAU と比べて最も可能性があるケースでは、エネルギー消費を 2031-32 年までに 17% 削減

本シナリオを選択する理由

• 政府によるディーゼル補助金の廃止は既に進行中

• BEE は、既に燃費標準を策定済み。これらの標準の導入は時間の問題。

• インド政府は、NEMMP を導入したが、この計画の下で設

定された目標は極めて高い。この目標の一部を達成するのが現実的である。

出典: TERI Transport Model, NRI-TERI Analysis 2021-22 2031-32

BAU 可能性ある BAU BAU

エネルギー節減効果

EVs

7

7

可能性ある 可能性ある

2016-17

8%シナリオ

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GDP 成長率 8% : 結果の要約

さまざまなシナリオの分析に基いて、政府が計画した政策を導入すれば、大きなエネルギー節減効果を期待できる

77

BAU ケースと比較した、さまざまなシナリオでのエネルギー節減効果

中間レベルのシナリオの組み合わせ

燃料効率 – 高

EV – 高

燃料効率 – 中

ディーゼル補助金 - 高

EV - 中

ディーゼル補助金 - 低

自動車の燃費向上はエネルギー消費に最も大きな影響を与える

乗用車におけるガソリン車のシェアが増加する

同じレベルの移動の利便性を確保するために、ディーゼル消費の減少分を他の燃料で代替する必要がある。

ガソリンがディーゼル消費の代替燃料となると予測される。 他の代替燃料の入手は限定的であり、EV は資本コストが高く、インフラストラクチャーが限られているため。

電気自動車 (ハイブリッド、プラグイン・ハイブリッドを含む) は、大幅なエネルギー必要量の削減効果がある

エネルギー節減効果

(%

)

出典: TERI Transport Model, NRI-TERI Analysis

0%

2%

4%

6%

8%

10%

12%

14%

16%

18%

20%

2011-12 2016-17 2021-22 2026-27 2031-32

1

3

2

4

6

5

7

8%シナリオ

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BAU のケース

ガソリンとディーゼルを合わせて、乗用車の燃料消費の 93% 以上を占めており、今後 20 年間で約 9% 増加する見込み

78

CAGR

2012 - 2022 2022 - 2032

LPG CNG

ガソリン

ディーゼル

14.9% 14.9%

10.7%

9.0%

-4.0% 10.2%

7.9%

5.7%

0

10

20

30

40

50

2011-12 2016-17 2021-22 2026-27 2031-32

EVs 20.9% 12.3%

mto

e

BAU のケースのエネルギー消費

BAU のケースの前提

年間 GDP 成長率 6.0%

燃費基準は 2031-32 年まで導入されない

ディーゼル燃料補助金は 2016-17 年までに廃止

総在庫に占めるディーゼル車のシェアは、2010-11 年の 33 % から 2031-32 年までに 25 % に減少

電気自動車の伸び率は非常に低く、2031-32 年までに自動車の総在庫に占める割合は 1% 未満にしか達しない

6%シナリオ

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0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

2011-12 2016-17 2021-22 2026-27 2031-32

積極的なケース 中間的なケース BAU ケース

シナリオ : ディーゼル補助金廃止のケース

ディーゼル補助金廃止によって、ディーゼル車からガソリン車に買い替える消費者が増えるが、このシナリオには、大幅なエネルギー節減に関する可能性が不在

79

ディーゼル補助金廃止の エネルギー消費と 燃料混合に与える影響

BAU ケース

の前提

中間的なケース

の前提

積極的なケース

の前提

• ディーゼル補助金が廃止されても、税金による価格差がある

• 一部の自家用車の所有者は引き続きディーゼル車を購入すると思われる

• ディーゼル補助金廃止

• 3000 km超/月の平均的な旅行で

使用する消費者は、ディーゼル車を好む

• ディーゼル補助金廃止

• BS-V 標準が導入されると、ディー

ゼル・エンジンの場合資本コストが増加する

• 高級車や SUV を好む消費者はディーゼル車しか購入しない

MTOE

1% 2%

エネルギー節減効率

39% 38% 37% 37% 35% 32% 32% 28% 23%

54% 55% 56% 56% 59% 61% 61% 65% 70%

4% 4% 4% 4% 4% 4% 6% 6% 6%

ディーゼル ガソリン CNG+LPG 電気

2016-17 2021-22 2031-32

a b

a

b

BAU と比べて積極的なケースでは、2031-32 年までにディーゼル消費は 30% 削減

BAU 中間 積極的 BAU 中間 積極的 BAU 中間 積極的 注: 6% GDP 成長率の場合、エネルギー消費は減るが、燃料混合は変わらず。

出典: TERI Transport Model, NRI-TERI Analysis

9 8

8

9

6%シナリオ

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0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

2011-12 2016-17 2021-22 2026-27 2031-32

積極的なケース 中間的なケース BAU ケース

シナリオ : 燃費基準のケース

燃費基準は大きなエネルギー節減効果が期待できるが、ディーゼル車とガソリン車の分別には影響がない

80

燃料効率シナリオの エネルギー消費と 燃料混合への影響

MTOE

5% 14%

a b

a

b

BAU と比べて積極的なケースでは、エネルギー消費を

2031-32 年までに 14% 削減

• 燃費基準の導入なし

• 新車の燃費向上はわずかしか見込めない

• 平均的な自動車では毎年 0.1% 以上の燃費向上

• BEE 標準が 2016-17 年までに導入予定

• 新車で 10% の燃費向上

• 厳しい基準を強制適用するのは不可

• 燃費基準を導入

• フェーズ 1 (2016-17) – 新車で

10% 以上の燃費向上

• フェーズ 2 (2021-22) – 新車でフェーズ 1 比さらに 13% 以上の燃費向上

BAU ケース

の前提

中間的なケース

の前提

積極的なケース

の前提

2016-17 2021-22 2031-32

BAU 中間 積極的 BAU 中間 積極的 BAU 中間 積極的

エネルギー節減効果

39% 39% 39% 37% 37% 37% 32% 33% 33%

54% 54% 54% 56% 56% 56% 61% 61% 60%

4% 4% 4% 4% 4% 4% 6% 6% 7%

ディーゼル ガソリン CNG+LPG 電気

11 10

10

11

注: 6% GDP 成長率の場合、エネルギー消費は減るが、燃料混合は変わらず。

出典: TERI Transport Model, NRI-TERI Analysis

6%シナリオ

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0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

2011-12 2016-17 2021-22 2026-27 2031-32

積極的なケース 中間的なケース BAU ケース

シナリオ : EV のケース

xEV のシェアが高まれば、ガソリン消費が減少し、総エネルギー消費量も 2031-32 年には減少する (BAU シナリオ比)

81

電気自動車のシナリオの エネルギー消費と 燃料混合への影響

MTOE

2% 8%

a b

a

b

BAU と比べて積極的なケースでは、エネルギー消費を

2031-32 年までに 8% 削減

• 電気自動車のシェアは 2031-32 年までに微増

• 政府およびメーカーからのインセンティブなし

• NEMMP の影響なし

• 政府から EV 推進のために若干の施策

• NEMMP 目標の約 20% 達成

(2020 年までに EV 335,000 台)

• 2031-32 年までに EV のシェアを

2% にする

• EV 推進のために政府およびメーカーから積極的な施策

• NEMMP 目標を達成 (2020 年までに 1.7 百万台の EV)

• 2031-32 年までに EV のシェアを

10% にする

BAU ケース

の前提

中間的なケース

の前提

積極的なケース

の前提

2016-17 2021-22 2031-32

BAU 中間 積極的 BAU 中間 積極的 BAU 中間 積極的

エネルギー節減効果

39% 39% 40% 37% 37% 39% 32% 33% 35%

54% 54% 53% 56% 56% 54% 61% 60% 56%

7% 7% 7% 7% 7% 7% 7% 7% 7%

0.0% 0.1% 0.3% 0.0% 0.1% 0.6% 0.0% 0.2% 1.2%

ディーゼル ガソリン CNG+LPG 電気

EVs

13 12

12

13

注: 6% GDP 成長率の場合、エネルギー消費は減るが、燃料混合は変わらず。

出典: TERI Transport Model, NRI-TERI Analysis

6%シナリオ

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0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

2011-12 2016-17 2021-22 2026-27 2031-32

可能性があるケース BAU ケース

シナリオ : 最も可能性があるシナリオ

最新の市場の展開に基いて最も可能性のあるシナリオを作成。大きなエネルギー節減効果が期待できると同時に、将来的にデーィゼル消費も削減可能

82

最も可能性のあるシナリオの エネルギー消費と 燃料混合への影響

最も可能性のあるシナリオの前提

• ディーゼル補助金廃止による、ディーゼル車の販売への若干の影響

• BEEの2段階燃費基準強化のフェーズ1 とフェーズ 2 の燃費基準の強制適用

• 2020 年までに NEMMP 目標の

20% のみを達成

MTOE

16%

a b

a

b

BAU と比べて最も可能性があるケースでは、エネルギー消費を 2031-32 年までに 16% 削減

シナリオの選択理由

• 政府によるディーゼル補助金の廃止は既に進行中

• BEE は、既に燃費標準を策定済み。これらの標準の導入は時間の問題。

• インド政府は、NEMMP を導入したが、この計画の下で設

定された目標は極めて高い。この目標の一部を達成するのが現実的である

2021-22 2031-32

BAU 可能性ある BAU BAU

エネルギー節減効果

39% 38% 37% 35% 32% 29%

54% 55% 56% 58% 61% 64%

7% 7% 7% 7% 7% 7%

0.0% 0.1% 0.0% 0.1% 0.0% 0.3%

ディーゼル ガソリン CNG+LPG 電気

EVs

14

14

可能性ある 可能性ある

2016-17

注: 6% GDP 成長率の場合、エネルギー消費は減るが、燃料混合は変わらず。

出典: TERI Transport Model, NRI-TERI Analysis

6%シナリオ

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目次

1 燃料価格政策に関する情報収集と整理

2 燃料価格政策オプションの検討

3 運輸部門のエネルギー需給に特化したモデルによる推計

4 燃料価格政策の在り方についての検討

83

0 背景と目的

5 まとめと今後の課題

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日印省エネルギー作業部会で報告

経済産業省とインド電力省は、日印間における省エネルギー分野における協力を促進するため、平成26年1月15日(水)に、官民ビジネスセッションを含む「日印省エネルギー作業部会」にて、研究成果を報告した。

84

ワークショップの開催

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ワークショップでの報告・質疑の様子

ワークショップでの報告は聴衆から好評であった。また、インドにおける乗用車の省エネについて大きな可能性があることについて基本的に合意が得られるとともに、さらなる調査の必要性が共有された。

反応

▪ 政府関係者、および、産業界からの参加者は、基本的に報告内容については好意的であった。

▪ ディーゼル補助金の廃止が、エコカーや燃費の良い車の普及促進に役立つことについて合意が得られている。

▪ 座長からは、インドにおいて自動車分野における省エネも重要課題であり、今後の継続的な調査が必要である旨のコメントがあった。

質疑

▪ 聴衆からは、EVについての質問があり、以下のように回答をおこなった。

▪ EVのインドでの将来について、EVやハイブリッド車は、政府が購入補助金等のインセンティブや必要なインフラの整備などを支援することを前提に、大きな潜在可能性がある。2031年から32年にかけて、EVの全自動車販売に占めるシェアは大きくは変化しないことが予想されるが、絶対数としては増加し、省エネ効果も期待できる。

85

ワークショップの開催

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目次

1 燃料価格政策に関する情報収集と整理

2 燃料価格政策オプションの検討

3 運輸部門のエネルギー需給に特化したモデルによる推計

4 燃料価格政策の在り方についての検討

86

0 背景と目的

5 まとめと今後の課題

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まとめ

87

1. ディーゼル補助金の廃止により、政府の財政負担は大幅に軽減される。ただし、自動車の全体的なエネルギー必要量の削減効果は期待できない。将来的に低燃費車へ移行することで、総エネルギー量の削減が期待できる。

2. 以下の観点で政府によるポリシー・ミックスが必要

• 規制 – 高燃費基準の推進

• 支援-電気自動車やハイブリッド車など、エネルギー効率の優れた自動車の普及を促進するための助成金その他のインセンティブ

3. 交通手段の顧客嗜好における価格差についてより包括的に理解するには、大規模な消費者行動調査を実施する必要がある。

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政府が撮り組むべきデータの問題 NRI-TERI による今後の調査の範囲

• さまざまな交通手段の価格弾力性に関する調査がない

• 価格弾力性を評価するには、ユーザー・グループに対する詳細な消費者調査、およびそれに続く関係者との詳細な一連の議論が必要。

• 消費者調査に基づく計量経済学的分析と既存のモデルを組み合わせることで、より正確な予測が可能。

• 詳細な道路交通データがない

• 使用できるデータは自動車登録情報のみ - 道路を走行する自動車に関する広範な見積りが必要

• さまざまな車種の使用状況に関する一貫性のある情報がない

• Census または NSSO などの全国レベルの調査では、世帯レベルの交通行動パターンに関する情報を取得していない

課題および今後の調査作業

道路交通に関して、統合的で一貫性のある全国レベルの交通データ収集が必要。.

燃料価格と車種切り替えの影響をより適切に理解するには、消費者嗜好に関する調査を実施する必要がある。

88

定期的に全国レベルの交通調査を実施し、加えて消費者嗜好調査を実施する必要あり。 これによって、この検討がより精緻なものとなる。

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