目 次 - onomichi-u.ac.jp · 1 学 長 中 谷 武 nakatani takeshi...

36

Upload: vulien

Post on 26-Feb-2019

212 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

目     次

ごあいさつ……………………………………………………………………………………………………………… 1

尾道市立大学大学院 アドミッションポリシー… ……………………………………………… 2

■ 経済情報研究科 

経済情報研究科の特色… ……………………………………………………………… 3

教育課程の構成と特色… ……………………………………………………………… 4

履修方法、修了要件、学位、取得できる教育職員免許状… ……………………… 5

社会人・外国人留学生の入学… ……………………………………………………… 6

経済情報研究科で学ぶ… ……………………………………………………………… 7

授業科目の概要… ……………………………………………………………………… 8

講義等の内容……………………………………………………………………………… 9

研究演習・研究指導担当教員………………………………………………………… 14

経済情報研究科の研究状況… ……………………………………………………… 15

■ 日本文学研究科 

日本文学研究科の目的… …………………………………………………………… 16

日本文学研究科の教育理念および養成する人材… ……………………………… 17

日本文学研究科の教育課程とその内容… ………………………………………… 18

履修方法、修了要件、学位、取得できる教育職員免許状… …………………… 19

授業科目の概要………………………………………………………………………… 20

教育課程概念図………………………………………………………………………… 21

講義等の内容…………………………………………………………………………… 22

日本文学研究科の研究状況……… …………………………………………………… 25

■ 美術研究科 

美術研究科の目的・特色… ………………………………………………………… 26

授業科目の内容… …………………………………………………………………… 27

修了生の声……………………………………………………………………………… 28

履修方法、修了要件、学位… ……………………………………………………… 30

授業科目の概要… …………………………………………………………………… 31

講義等の内容… ……………………………………………………………………… 32

1

学 長

中 谷  武 Nakatani Takeshi

 尾道市立大学は「知と美」の探求と創造を理念として、経済情報学部と芸術文化学部の2学部で

2001年に開学しました。そして2005年に、一層高度な専門教育を提供し、創造的な研究活動の進展を

はかるために、経済情報研究科、日本文学研究科、美術研究科の3研究科からなる大学院が設置され

ました。

 本学大学院の教育の目標は、最先端の研究成果を体系的に学び創造的に発展させることを通じて、

地域社会や国際社会に貢献できる意欲的な人材を育成することです。そのためには、専門知識の修得

だけでなく、幅広い学際的な視野を身につけること、そして現実の社会を独自の視点から探求し分析

する能力と感性を磨くことが必要です。高い専門知識を持って社会で活躍したいと考えている皆さん、

そして知と美の探求と創造を生涯にわたって究めたいと思っている意欲ある皆さんの入学を期待して

います。

経済情報研究科長

邵  忠 Shao Zhong

 経済のグローバル化と高度な情報化社会において、創造性に富んだ人材の育成は企業成長ないし国

家発展の源泉になり、大学院修士課程は、まさに創造的人材育成のスタートラインにあります。本研

究科では、経済、金融、経営管理、会計簿記、税務、情報技術及びIT活用などの分野で活躍できる高

度な専門的職人と経済・経営・情報の3分野の研究者を養成するカリキュラムを用意し、学部生の大

学院進学、社会人や留学生の受け入れにも配慮しております。

日本文学研究科長

信 木 伸 一 Nobuki Shinichi

 本研究科(修士課程)で学ぶということの具体的な目標は、学問の進歩に資する研究成果を修士論文にまとめるということです。研究を行うには、先ず問いを発見すること(問題設定)が必要です。先行研究において、何が既にわかっているのかを踏まえた上で、自分が明らかにしたい未発見の問題を設定し、それを解明するための有効なアプローチ方法を模索します。そして、資料の博捜や緻密な分析を経て、論理的な思考によって問いの答えを導き出していきます。その答えが、研究を次の段階に進める礎となっていきます。 本研究科は、日本文学・日本語学・漢文学の三つの柱を基盤に、国語教育学、地域文学、米文学、文芸創作、心理学など広く発展するカリキュラムを有しています。さらに深く探求したいという志のある人を、心よりお待ちしています。

美術研究科長

吉 原 慎 介 Yoshihara Shinsuke

 本研究科では、これまでに培ってきた美術の基本的な素養を糧として、幅広い視野と観察力、専門

的な知識、能力を身につけ、さまざまな模索の中から創造的研究の進展を図っていきます。

 大学院生と指導教員の十分な話し合いのもと、個々の独自性を見出す努力を促し展開させていきた

いと思います。

 自己実現へ向けて、制作に真摯に向き合い持続的な探究心と生涯に渡って活動が出来る力を得てほ

しいと考えています。

ごあいさつ

2

 21世紀と共に歩む尾道市立大学は、時代の要請に対応し、高度な専門的知識・能力、それに裏付けられた創造

性・判断力、高い見識などの育成に特化した実践的な教育を行う大学院修士課程を設置しています。

 学部教育で培われた専門的素養のある人材を、よりレベルを高めた学習と研究への取組みにより、高度の能力

を有する専門的職業人や研究者等、広く時代と地域の要請に応えられる優れた人材へと育成する研究拠点です。

アドミッションポリシー

●経済情報研究科 経済情報専攻(入学定員8名、収容定員16名)

 経済情報研究科は、大きく分けて経済学・経営学・情報科学の3つの研究分野を持ち、学部教育をふまえ、よ

り高度な研究と教育を行うとともに国際的な視野の下、経済学・経営学・情報科学の新しい発展並びに地域経

済の要望をふまえた教育と研究に取り組んでいます。

 このような教育理念のもと経済情報研究科は、経済学・経営学・会計学・税務ほかの諸領域において活躍で

きる専門的職業人及び研究者、高度な情報科学の修得に基づき経済学・経営学・会計学・税務ほかの諸領域に

おいて活躍できる情報分野の専門的職業人及び研究者を養成することを目標にしています。

 更に、国際社会への貢献並びに教育・文化の国際交流の一層の促進のために優秀な留学生の受け入れを積極

的に行います。

 このような教育理念・教育目標に基づき、経済情報研究科は以下のような人を求めています。

・…官公庁や企業において経済・経営・情報分野の指導者を目指す人

・…海外で活躍する国際公務員や公共団体・民間団体の国際交流担当職員を目指す人

・…地域の活性化に貢献し、地域社会の指導者を目指す人

・…税理士や公認会計士を目指す人

・…経済学、経営学、会計学等の分野の研究者を目指す人

●日本文学研究科 日本文学専攻(入学定員6名、収容定員12名)

 日本文学研究科の教育理念は、日本語、日本文学、日本の芸術文化を深く理解し、その理解のもとに国際的

な感覚を身につけ、異文化を共有できる人、また、そうした能力により、社会活動や文化活動に指導的役割を

果たし、社会の発展に寄与する人材を養成することにあります。

このような教育理念・教育目標に基づき、日本文学研究科は以下のような人を求めています。

・…大学の学士課程等において日本文学・日本語学・漢文学に関する基礎的な知識と研究方法を修得している人

・…自分自身の研究テーマをもち、それを自らの力で探究していこうという意志のある人

・…本研究科での高度な学びを通じて、社会や文化の進展に貢献していこうという意志のある人

●美術研究科 美術専攻(入学定員12名、収容定員24名)

 美術研究科は、個々人の資質を尊重し、表現者としてのそれぞれの立脚点と方向性を模索しながら、自己実

現へ向けて、研究科教員と大学院生とのコミュニケーションを軸に研究を展開させたいと考えています。

このような教育理念・教育目標に基づき、美術研究科は以下のような人を求めています。

・…専門分野の基礎的な知識や技術を修得している人

・…明確な研究テーマを持ち、持続的な探求能力を有する人

・…表現の実践的能力の修得と、研究成果の社会に向けた発信を行うことのできる人

尾道市立大学大学院

3

The Graduate Program in Economics, Management & Information Science

経済情報研究科

経済情報専攻(修士課程)

日本文学研究科

日本文学専攻(修士課程)

美術研究科

美術専攻(修士課程)

経済情報研究科 経済情報専攻(修士課程)The Graduate Program in Economics, Management & Information Science

1 経済情報研究科の特色

 大学院経済情報研究科では、多様な専門的知識とその実践的活用能力を備えた専門的職業人の養成を行うことに重点を置いています。もちろん、研究者を目指して修士課程修了後に他大学大学院の博士課程(後期課程)への進学を志す者も受け入れて教育を行っています。

専門的職業人の育成のために、次の2つのポイントを重視した教育を行っています。

(1) 経済学、経営学、会計学という諸領域は学問的研究領域としてはそれぞれ固有の発展の歴史をもっていますが、これらの学問の現在における多様な成果を互いに関連させながら学ぶことにより、現実の政治、経済、社会を見る目を養い、さらにそれぞれの活動分野にふさわしい実践的問題解決能力を養成することがきわめて重要です。たとえば、90年代以来長らく日本経済の足かせになっていた不良債権問題を充分に理解するためには、経済学、経営学、会計学のいずれの知識も不可欠です。

(2) 情報技術を活用した実践的教育が重要です。経済情報、経営情報は現在では情報技術の活用と密接に結びつくようになっているため、理論のみの学習ではなく、実際に経済データ、経営データ、会計データの収集と分析が重要になっています。本大学院は情報機器を充分に活用し、大学院生が各自で実際に情報を処理できるような教育を行っています。さらに、情報科学の学習の深化を目指し、将来その分野の職業人になろうとする者にも配慮した教育を行っています。すなわち、情報化社会の一員として活躍する為に必要な、企業や地域社会という組織レベルでの情報ネットワークシステムの仕組みや実態およびその構築方法についての理解を深める教育を行っています。

4

The Graduate Program in Economics, Management & Information Science

2 教育課程の構成と特色

 経済情報研究科は、教育研究の柱となる領域(分野)としては、経済系、経営系、情報科学系の三つの分野で構成しています。そして、経済系・経営系の連携による経済および企業経営・管理等の研究教育を情報技術が支え、融合した展開を目指すことに主眼を置いています。現代経済社会を捉える基本的視点を確立するために、現実を意識しつつ経済系・経営系の科目を連携して基本から学ぶ必要があり、さらに情報科学の成果をここに導入することにより、経済学、経営学のみで構成する場合には得られない知見と問題処理能力を獲得できると期待されるので、その方向で人材育成を行っています。

 教育課程編成にあたっては、基礎科目、専門科目、研究演習、研究指導(論文指導)という科目区分を導入し、各々について次の考え方を採っています。

①… 基礎科目として、経済系、経営系、情報科学系の3分野からおのおの2科目を選び、配置しています。基礎を重視した科目配置となっています。

②… 専門科目として、経済系、経営系、情報科学系の諸科目を配置し、大学院への進学動機に対応した学習が可能なように配慮しています。たとえば、地域問題の重要性が増している現状を考慮し、地方財政特論、地域経済論特論を、また税理士試験受験者を考慮し、簿記論特論、会計学特論、財政学特論、(基礎科目の租税論特論とともに)税務事例特論を、また情報関係に特化した学習を進めるための諸科目を設けています。

③… 研究演習を1年次の必修科目とし、経済系、経営系、情報科学系の3系列について配置しています。文献研究や事例研究を通し、演習形式でより広く、より深く学習する科目です。

④… 研究指導(論文指導)を2年次の必修科目とし、経済系、経営系、情報科学系の3系列について配置しています。大学院生の研究報告を中心に研究指導を行い、修士論文の作成に至る科目です。

3 授業科目の内容

(8~ 14ページに表の形で2017年度の内容を掲げます。)

5

The Graduate Program in Economics, Management & Information Science The Graduate Program in Economics, Management & Information Science

経済情報研究科

経済情報専攻(修士課程)

日本文学研究科

日本文学専攻(修士課程)

美術研究科

美術専攻(修士課程)

4 履修方法、修了要件、学位、取得できる教育職員免許状

(1)科目等の履修条件

科目等の履修条件を次のように定めています。① 基礎科目6科目の中から3科目6単位② その他の基礎科目を含み専門科目の中から8科目16単位以上③ 研究演習4単位  (注)④ 研究指導(論文指導)…4単位 以上の合計 30単位以上を取得すること。(注) 研究演習を2科目履修した場合は、超過4単位分を専門科目の単位に代替することができます。

(2)標準修業年限と長期履修制度

 標準修業年限は2年としています。ただし、職業を有している社会人大学院生等については標準修業年限を超える最長4年までの長期履修制度を設けています。この制度を利用する場合の授業料は、標準修業年限分の授業料総額を設定された長期履修期間の年数で分割して納めることができます。

(3)修了要件

 2年以上在学し、30単位以上の単位を修得し、修士論文審査および最終試験に合格した者。

(4)学位

 修士(経済情報)

(5)教育職員免許状および税理士試験

 高等学校教諭一種免許状(商業)を取得している方は、本専攻の修士課程を修めて修士の学位を有し、教科に関する科目についての所定の単位数を修得すると、高等学校教諭専修免許状(商業)を取得できます。 税理士試験については、一定基準を満たせば「試験科目免除」制度の適用を申請することができます。

(6) 履修指導・研究指導の方法

 大学院生は各自の研究課題に応じ、1年次の初めに研究指導教員を申請します。 全体的な履修指導は、入学時に大学院生に対し、研究科長と研究科運営委員が行い、さらに上記研究指導教員が各学生に対して個別履修指導を行っています。 修士論文作成の前段階として、1年次で「研究演習」を1~ 2科目履修します。ここで関連文献の検討や事例研究を通し、問題意識を確実にし、また必要な分析ツールの修得ができるように指導しています。

6

The Graduate Program in Economics, Management & Information Science

 修士論文作成の指導は、研究指導教員が担当学生に対し、2年次に「研究指導」(論文指導)の科目として行います。 修士論文審査には大学院担当教員3名が当たります。当該学生の研究指導教員が主査となり、他に2名の大学院科目担当教員が副査となります。

(参考) 大学院経済情報研究科の修士論文の概要が、本学ホームページに掲載されています    (http://www.onomichi-u.ac.jp)。

5 社会人・外国人留学生の入学

(1)社会人・外国人留学生の受け入れ等

①…入学定員8名のうちに、社会人、外国人留学生を若干名受け入れています。②…修業年限が2年を超える長期履修生を受け入れています。③…研究生、科目等履修生も受け入れています。

(2)入学者選抜方法

 論文試験と面接試験で合否を決定する方法を採用しています。

(3)授業の実施方法

 社会人の入学を考慮し、平日の6時限(18:30 ~ 20:00)と土曜日の午前(9:00 ~ 12:10)と午後(13:10 ~ 16:20)にも授業を行っています。社会人学生に対しては、年度毎に履修要望に対応できるよう時間割をできるだけ柔軟に設定しています。

7

The Graduate Program in Economics, Management & Information Science The Graduate Program in Economics, Management & Information Science

経済情報研究科

経済情報専攻(修士課程)

日本文学研究科

日本文学専攻(修士課程)

美術研究科

美術専攻(修士課程)

経済情報研究科で学ぶ

8

The Graduate Program in Economics, Management & Information Science

授業科目の概要

授業科目の名称 配当年次単位数

備  考必修 選択

基礎科目

マクロ経済学特論 1・2 2

(修了要件)

基礎科目から3科目6単位

研究演習 4単位研究指導(論文指導) 4単位

合計30単位以上を修得し、かつ修士論文審査及び最終試験に合格すること。

(注1)3科目6単位を超えて修得した基礎科目の単位は、専門科目の単位に代替可能とする。……(注2)研究演習は2科目履修可能とする。この場合、超過4単位は、専門科目の単位に代替可能とする。

ミクロ経済学特論 1・2 2

経営学特論 1・2 2

租税論特論 1・2 2

情報技術特論 1・2 2

専門科目

経済系

計量経済学特論 1・2 2

財政学特論 1・2 2

金融システム特論 1・2 2

国際経済学特論 1・2 2

経済政策特論 1・2 2

地方財政特論 1・2 2

地域経済論特論 1・2 2

社会保障特論 1・2 2

経済学史特論 1・2 2

日本経済史特論 1・2 2

貨幣経済学特論 1・2 2

公共経済学特論 1・2 2

経営組織論特論 1・2 2

経営系

会計学特論 1・2 2

簿記論特論 1・2 2

生産システム特論 1・2 2

税務事例特論 1・2 2

マーケティング特論 1・2 2

企業法特論 1・2 2

情報科学系

統計学特論 1・2 2

数理計画法特論 1・2 2

データベース特論 1・2 2

情報システム設計特論 1・2 2

情報ネットワーク特論 1・2 2

大規模情報活用特論 1・2 2

研究演習 1 4

研究指導(論文指導) 2 4

経済情報研究科の授業科目の概要(2017年度)

9

The Graduate Program in Economics, Management & Information Science The Graduate Program in Economics, Management & Information Science

経済情報研究科

経済情報専攻(修士課程)

日本文学研究科

日本文学専攻(修士課程)

美術研究科

美術専攻(修士課程)

経済情報研究科の講義等の内容(2017年度)

区分 授業科目と担当教員 講 義 等 の 内 容

基礎科目

マクロ経済学特論

教授 井本 伸

 本講義の目的は、近年のマクロ経済学の主流である「動学的一般均衡モデル」を理解することです。そのためにはまず、「動学的最適化」の理論を修得することが必要になります。「動学的最適化」の理論を修得した後は、「動学的一般均衡モデル」に基づいた、基本的な「経済成長の理論」と「景気変動の理論」について学びます。

ミクロ経済学特論

教授 菅 準一

 学部レベルの確率論とミクロ経済理論、ゲーム理論の知識をベースにして、不確実性や情報の非対称性が、消費者や企業、政府などの個別の経済主体の意思決定に与える影響および市場の効率性や公平性などに与える影響を分析する。まず、不確実性下の意思決定の問題および競争的市場均衡の存在や特徴を簡単に考察した後、情報の非対称性がある場合について逆選抜、モラルハザード、シグナリング、プリンシパル=エージェントなどの問題について講義する。

経営学特論

教授 西村 剛

 現在、企業の経営活動における倫理問題が注目されています。本講義では、「企業経営における倫理問題の理論化と実践」について検討します。例えば、日本企業の経営活動とステイクホルダーとの間に生じているさまざまな倫理的問題の現象について取り上げます。またなぜそのような問題が生じるのかについて考察します。現象面を対象とするのみでなく「企業倫理論」という学問の研究対象、位置づけ、性格づけについて方法論的・学説史的考察も同時に行います。

租税論特論

兼任講師 川田 一義

 最近の高度情報化社会の世界的進展に伴い、わが国への国際会計基準の導入をめざして、連結決算中心の財務報告書の作成、あるいは、金融商品等に対する時価会計制度の適用等が問題になってきている。わが国の税法にあっても、このような企業会計の変化を背景にして、金融所得の統一化の検討、更には IT化により普及してきたインターネット取引の課税や国際企業に対する移転価格税制の在り方といったさまざまな問題が山積している。これら税法上の実務的な問題処理を理論的ならびに実践的に考察する。

情報技術特論

教授 有吉 勇介

講師 木村 文則

(有吉) 情報リテラシー・ネットワークリテラシーの展開として、①…尾道市立大学の情報システムについてのガイダンス、②電子メール・オフィスソフトの活用、③ネット上での操作・作法・倫理事項などについて学ぶ。

(木村) ①正規表現などのテキスト処理の基礎、②テキストマイニングツールによるテキスト分析について学ぶ。

10

The Graduate Program in Economics, Management & Information Science

区分 授業科目と担当教員 講 義 等 の 内 容

経  済  系

計量経済学特論

講師 岡本 隼輔

 計量経済学の基本的な内容を理解し分析する能力を身に着けるための授業とする。実際の統計データを用いて例題を示し、現実社会と照らし合わせながら進行していく。経済データから推計される様々な経済的関係性などを扱う計量経済学の基本的な理論を理解しつつ、経済学を学ぶ者として経済分析を実証的に行うことができるようになることを目的とする。 

財政学特論

講師 金田 陸幸

 本講義では主に税制および社会保障制度の経済への影響について解説する。政府の経済活動である財政が、個々の経済主体や経済全体にどのような影響を与えるかを分析することは、財政学の主要なテーマである。そこで日本の現行の税制、社会保障制度がどのように経済主体に影響を与えるかについて、データを用いて実証分析を行うことで、現行制度の課題を解決する力を身に着けることを目的とする。また講義のほか、財政学に関する文献を用いた輪読も行う。 …

金融システム特論

講師 神㟢 稔章

 本講義では、金融経済を分析する上で必要とされるテーマを部分的に取り上げる。 日本のバブル経済崩壊に伴う金融危機、およびサブプライムローン問題に端を発した米国発金融危機の要因と対応策等を検証する。また、金融危機との関連で、間接金融と直接金融及び市場型直接金融についても考察する。 講義内容としては、①戦後の金融システムの変遷、②バブル経済前後の金融政策、③バブル経済崩壊と不良債権処理、④金融ビッグバンと金融システム改革、⑤米国発金融危機の要因と対応策、⑥金融危機後の金融規制・金融監督政策、⑦金融危機と市場型間接金融などに関連した講義を予定している。

国際経済学特論

兼任講師 中西 訓嗣

 どのような特色を持った国がどのような性質の財を輸出・輸入するのでしょうか、国際貿易によって世界の人々の暮らし向きはどのように変化するのでしょうか、また自由貿易協定(FTA)・経済連携協定(EPA)・環太平洋パートナーシップ協定(TPP)などは私たちの暮らしにとってどのような意味を持っているのでしょうか。本講義では、これらの問題(貿易パターン、貿易と経済厚生の関係、貿易政策の効果)を取り扱うための理論的枠組について、比較優位に基づく古典的理論と規模の経済性・製品差別化・不完全競争等に基づく近代的理論の両方を取り上げて説明します。

経済政策特論

兼任講師 若井 具宜

 「世界史的視野からみた経済政策」をテーマとする。世界、日本、地域の経済政策事例について、長期的、総合的、多面的な議論・評価ができるようになることを目的とする。主軸となる講義内容は次の通り。①経済と情報(情報の重要性)、②ニュービジネスの経済的意義(変化への対応)、③財政・金融と経済政策、④人口と経済政策(高齢化、雇用、経済成長)、⑤国際標準化と日本の戦略的政策

地方財政特論

講師 金田 陸幸

 本講義では地方財政制度を対象に、その経済学的な分析について解説する。地方財政論では政府の果たす役割(財政の 3機能)について「国と地方の役割分担」をどのように整理するかが一つの大きなテーマである。また、それに関連して歳出面では地方自治体が担うべき政策、歳入面では地方自治体に賦与されるべき税源や、目的に応じた補助金のあり方などについて扱う。本講義はこうした論点について(経済学的な分析の特徴である)効率性の視点を踏まえつつ考察する。また講義のほか、地方財政に関する文献を用いた輪読も行う。

11

The Graduate Program in Economics, Management & Information Science The Graduate Program in Economics, Management & Information Science

経済情報研究科

経済情報専攻(修士課程)

日本文学研究科

日本文学専攻(修士課程)

美術研究科

美術専攻(修士課程)

区分 授業科目と担当教員 講 義 等 の 内 容

経  済  系

地域経済論特論

教授 荒井 貴史

 この講義では、地域経済を、地域経済史と経済理論の観点から分析する。 ミクロ経済学、マクロ経済学の理論を用いて、地域経済の「所得」、「成長」、「交易」を分析する。また、地域間格差や都市問題などのトピックスも取り扱う。

社会保障特論

講師 髙間 沙織

 Roger…Cooter…and…John…Pickstone.…2003.…Companion to Medicine in the Twentieth Century.…London:…Routledge…に掲載される論文を批判的に検討する。「Welfare…State」、「Doctors」、「Nurses」、「Surgeons」、「Cancer」、「Mental… Illness」、「Childbirth…and…Maternity」、「Old…Age」、「Pharmaceutical… Industry」などの概念をキーワードに、「The…Golden…Age…of…Medicine」とか「病院の世紀」と呼ばれる 20 世紀について理解を深める。

経済学史特論

准教授 林 直樹

 晩年のロビンズ(Lionel…Robbins,…1898-1984)がロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで行った一連の経済学史講義録を精読する。古代から現代までを幅広く視野に収めつつ、各時代・各人物の経済学説をコンパクトに解説した講義である。

日本経済史特論

講師 森本 幾子

 17 世紀~…19 世紀における日本の社会経済史について、主に、商人と市場の関係を中心に考察します。近世の市場構造の中で、都市や地方の商人たちがどのような経営展開を行っていたのかを、さまざまなテキストや資料を通して紹介し、理解を深めます。

貨幣経済学特論

准教授 河野 洋

 マクロ・ミクロ経済学の中で、金融と貨幣に関係する部分を特に取り上げ、貨幣の存在と機能が経済メカニズムに対していかに関与・作用するかを研究していく。特に、物価と利子率、貨幣の需要・供給関数、最適課税と貨幣発行益の関係、景気循環と貨幣・信用の関係、貨幣的成長理論、貨幣政策の伝達チャネル等についての理論分析を行う予定である。

公共経済学特論

教授 荒井 貴史

 公共経済学は、ミクロ経済学やマクロ経済学の理論を基礎に、政府の役割(政府の経済活動)を主に研究対象とする応用経済学の一分野である。現実の市場経済において、政府は、個人や企業等に課税し、補助金を与え、所得再分配を行うとともに、さまざまな規制を課している。厚生経済学の基本定理が成り立つ世界では、このような形で、政府が市場経済に介入する必要はないのであるが、現実経済では、定理のいくつかの仮定が満たされないが故に、市場機構を補正する役割を政府が持つことになる。それゆえ、公共経済学では、政府の役割を理論的に評価するために、「効率性」と「公平性」が重要な概念となる。この講義では、政治経済学的アプローチによって、上記の政府の役割について考察する。

12

The Graduate Program in Economics, Management & Information Science

区分 授業科目と担当教員 講 義 等 の 内 容

経営組織論特論

准教授 後藤 祐一

 近年、企業間提携や官民協働など複数の組織が協力関係を構築し、さまざまな取組を行っている。本講義では、このような複数の組織による協力関係の構築・維持を分析するための視点の習得を目的とする。具体的には、①組織間関係の基礎的な文献の輪読、②ケース・ディスカッションを行う。

経営系

会計学特論

講師 藤原 靖也

 修士課程において習得すべき会計学の知識を修得するために、会計学における基礎的な文献およびレビュー論文を輪読することにより、最新の研究動向を把握するとともに修士論文を執筆するための素養を養うことを目的とする。そのために、本講義では以下の 2点についてインターラクティブな議論をもとに理解を深めていく。第 1は、会計学研究において基礎となる概念・および視点を習得することである。第 2は、会計学研究がどのように進展してきたのか、そして、現在残された課題としてどのようなイシューがあるのかを理解することである。

簿記論特論

准教授 津村 怜花

 簿記はビジネススキルの一つとして、社会で求められる能力である。ただし、単に検定試験の問題が解けるということだけで、当該能力があるとは言えない。本講義では、日商簿記検定 2級程度の簿記の知識があることを前提とし、様々な会計処理を行う理由を会計基準、当該基準設定や変更の背景も踏まえ理解することを目標とする。このため、会計学との関連、基準設定や変更の歴史的な背景をも意識し、講義を行う予定である。

生産システム特論

教授 邵 忠

 フォード自動車が確立した大量生産のベルトコンベヤ方式、トヨタ自動車が開発した多品種少量生産方式、そして情報化を背景に構築されたコンピュータ統合生産方式、自然環境重視の資源循環型生産方式などの諸生産システムを検討し、特に高度情報化を前提にしたグローバル生産・物流システムのあり方を議論しながら、次世代生産システムのニュー・コンセプトを探る。

税務事例特論

兼任講師 川田 一義

 税法の条文を単に精読するだけでは法の精神を真に理解したとは言えないであろう。税法を理解するには、税をめぐる色々な判例を詳しく見てみることが大切である。この講義では、所得税、法人税や消費税等に関してこれまでに争われてきた主要な判例を通じて、その争点の問題とするところを解きほぐし、今後の税制のあり方に役立てると共に、可能な限り、納税者の具体的主張や状況証拠に耳を傾けることにより、真の問題点が奈辺にあるのかを摘出したいと考えている。

マーケティング特論

教授 小川 長

 学部で修得した基本的なマーケティングに関する知識をベースとして、古典的なマーケティング理論をレファレンスに、新しいマーケティング理論を学んでいきます。現在、マーケティングが対象とする範囲はたいへん広くなっているため、経営学の他分野のみならず他の社会科学、延いては人文科学や自然科学、芸術分野など、ほとんどあらゆる分野の知識の活用が要請されるエキサイティングな学問分野になっています。こうした視点に立って、知識の修得に止まらず、実践的なマーケティングの探求を楽しんでいただきたいと思います。

企業法特論

兼任講師 有田 謙司

 この授業では、まず、企業の効率性と公正性を確保するための法システムとしての会社法という視点から、会社法の基本的ルールについて検討する。次に、企業をめぐるステークホルダー間の利害調整を図るためのルールについて、とりわけ、企業とその従業員(労働者)との利害調整(会社法と労働法の交錯領域)のルールについて、現行法制の抱える問題点を検討する。

13

The Graduate Program in Economics, Management & Information Science The Graduate Program in Economics, Management & Information Science

経済情報研究科

経済情報専攻(修士課程)

日本文学研究科

日本文学専攻(修士課程)

美術研究科

美術専攻(修士課程)

区分 授業科目と担当教員 講 義 等 の 内 容

情報系

統計学特論

准教授 佐野 夏樹

 自然科学、社会科学では様々な現象が確率的現象として表現されている。この客観的な記述には、確率の理論を欠かせず、確率論は統計学の理論的な根拠になっている。本講義では、基本的な確率分布の確率母関数や分布の畳み込み、統計への応用を通して、確率、確率変数、確率分布に関する基礎知識を習得することを目標とする。

数理計画法特論

教授 小泉 伸

 与えられた制約条件のもとで目的関数を最大または最小にするという最適化の手法としての数理計画法はオペレーションズ・リサーチ(OR)やシステム工学、情報工学、経営科学、経済学の分野で幅広く活用されている。例えばマーコビッツのポートフォリオ理論は証券分析に 2次計画法を適用することにより証券分析論に新しい可能性を与えたものである。この講義では、線形計画法、整数計画法、非線形計画法を取り上げて数学的理論付けを行う。

データベース特論

教授 高山 毅

 IT分野で活躍・成功するためには、10 年以上前から知られている基礎知識を習得するとともに、直近 3年以内に開始 /活発化したホットな話題も理解しているのが良い。後者で必要なのが、学生時代には教わらなかった話題やその周辺知識を、雪だるま式に自身の体に取り込んでいく能力である。本科目ではその能力を、広い意味でデータベースと関連する IT分野のホットな話題を取り上げつつ、習得する。

情報システム設計特論

教授 有吉 勇介

 現代社会では企業をはじめ殆どの社会活動が情報システムの支援下で行われている。近年は新規事業の立ち上げ時の、業務の細部が決まっていない時点にその事業を支援する情報システムの設計開発をはじめるという難しい案件が増えている。ここでは、ユーザの要望やビジネス上のニーズをシステム設計に反映させる手法や、システム設計技法を業務設計に応用したビジネスモデリングなど、最新のシステム設計技法の調査分析や実際の事例分析などを行う。

情報ネットワーク特論

准教授 本田 治

 近年、情報ネットワークシステムは高度情報化社会のバックボーンとして、その存在がますます高まりつつある。そして、インターネットをそのインフラとして、いまや世界の経済・社会・教育の発展を支えるだけでなく、地域経済発展のための欠かせないツールとなってきている。この講義では、インターネットで用いられている通信プロトコルの基礎的な内容について講義する。また、それを踏まえた比較的最近の課題やそれを解決する技術についても説明する。

大規模情報活用特論

講師 木村 文則

 インターネットが普及したことにより、さまざまな情報が活用できるようになり、大規模な情報を分析し活用すること、いわゆる「ビッグデータ分析」が注目されている。本講義では、「ビッグデータ分析」の根幹をなす技術であるデータマイニングとテキストマイニングについての基礎知識を学ぶ。また、これらの技術が実際にどのように実践されているかについて、実際の応用・研究事例から学ぶ。

研究演習

研究演習

 経済系、経営系、情報科学系の 3系列についてそれぞれ複数科目を配置し、文献研究や事例研究を通して問題意識や問題処理能力を養うために演習形式でより広く学習させることを意図したものである。1年次の必修科目である。

研究指導

研究指導(論文指導)

研究指導教員

 1年次の研究演習の成果を前提にして研究指導教員が担当して開く。経済系、経営系、情報科学系の 3系列について配置する。大学院生による研究報告をめぐって、教員、学生による討論を通して指導が行われ、修士論文の作成に至る。2年次の必修科目である。

14

The Graduate Program in Economics, Management & Information Science

担当教員 研究演習、研究指導(論文指導) 研究分野

経済系

菅 準一 研究演習、研究指導(論文指導) ミクロ経済学、情報の経済学

荒井 貴史 研究演習、研究指導(論文指導) 公共経済学

井本 伸 研究演習、研究指導(論文指導) マクロ経済学

河野 洋 研究演習、研究指導(論文指導) 貨幣経済学

経営系

邵  忠 研究演習、研究指導(論文指導) 経営工学

西村 剛 研究演習、研究指導(論文指導) 経営学

小川 長 研究演習、研究指導(論文指導) マーケティング・経営戦略

情報科学系

小泉 伸 研究演習 数理計画法、金融工学

高山 毅 研究演習、研究指導(論文指導) データベース、観光情報学

有吉 勇介 研究演習、研究指導(論文指導) 情報システム設計、データ工学

本田 治 研究演習、研究指導(論文指導) 情報ネットワーク

佐野 夏樹 研究演習、研究指導(論文指導) 応用経済学・データマイニング

研究演習、研究指導(論文指導)担当教員(2017年度)

15

The Graduate Program in Economics, Management & Information Science The Graduate Program in Economics, Management & Information Science

経済情報研究科

経済情報専攻(修士課程)

日本文学研究科

日本文学専攻(修士課程)

美術研究科

美術専攻(修士課程)

国際化のなかの日本経済史 講師 森本幾子

 大学院では、学部までに蓄積した基礎知識の上に、より高度な専門性と、幅広い内容に対する深い理解が求められます。講義は基本的に少人数で構成され、文献講読をすすめるなかで、研究の方法論について院生と教員が互いに議論し、理解を深めていきます。教員の一方的な指導ではなく、院生自身が疑問に思ったことに対して積極的に取り組むことが大事です。 とりわけ意識しているのは、自分たちが生活する地域に関心を持つことはもちろんですが、国際化に対応した院生を育てるということです。例えば、本講義(日本経済史特論)では主に、近世近代日本の通商や貿易に関するテキストを使用し、東アジアという地域的枠組のなかで、日本経済史を捉える視点を重視しています。日本人院生はもとより、留学生も興味関心を持つことができるよう工夫するとともに、国際的視野に立って、様々な国および地域の経済史を考察することができる院生を一人でも多く輩出することを目的としています。

経済情報研究科の研究状況

在学生の声

徐  心(2017年度入学 経済情報専攻)

 私は、留学生として大学院の経済情報研究科で勉強しています。私の専攻は、経営系の中のマー

ケティングです。

 経済情報研究科では専攻科目の他に、経済系、経営系、情報系の各分野の講義を受講することが

できます。私は経営系を中心に、自分が興味のある分野の専門科目を選択しています。自分が興味

を持っている分野を勉強し、疑問を発見する中で先生のご指導で解決することができた時に、達成

感と先生方の優しさを感じます。

 研究演習と講義では、経験が豊富な先生方から貴重なお話を聞くことができます。その中で豊か

な思考力、判断力を身につけることができると思います。

 私は、日本と中国の海産物関連企業の経営について比較研究を行っています。分からないところ

は、先生に相談することができ、いつも丁寧に対応していただいています。        … ……

大学院の期間は、自分に投資できる時間が多いので、自分の考える能力を高めることができます。

また、いろいろな国籍の留学生が集まって学ぶ環境の中で、様々な情報を交換することもできます。

 授業だけでなく、その他の活動も充実しています。新入生歓迎会、国際交流イベントなどが豊富

にあり、学会に参加できるチャンスもあります。勉強しながら友人もでき、共に様々な経験をする

ことができています。このように経済情報研究科では、皆さんも充実した学生生活を送ることがで

きると思います。

16

日本文学研究科 日本文学専攻(修士課程)The Graduate Program in Japanese Literature

The Graduate Program in Japanese Literature

1 日本文学研究科の目的

 尾道には古来、多くの文人墨客、作家・芸術家が訪れています。千光寺公園内の「文学のこみち」に象徴されるように、頼山陽・徳富蘇峰・志賀直哉・林芙美子・中村憲吉など、多彩な文学者がこの地の美しい自然を感受して、その足跡を色濃く刻みました。尾道はこうして日本有数の文学・芸術の街として栄えてきたのです。 尾道市立大学大学院日本文学研究科は、尾道の豊かな文学・芸術の歴史にさらなる彩りを添え、発展を期するとともに、周辺の文化・環境にも注目して、地域との関係を充分に認識し、広く社会に貢献する人材の養成に努めようとするものです。 2001(平成13)年4月、4年制の尾道大学芸術文化学部の発足にあたり、日本文学科は、その学科創設の趣旨の中で、技術革新と共に情報化・国際化・多様化が進みゆく現代社会において、社会的倫理や情緒面の欠如などの問題があることを提起し、それら社会的倫理や情緒等のより深い涵養を志すことを高唱しました。日本文学研究科は、この理念を基盤にすえて、より高次の教育研究を策定し、以下の3点を中心に、新しい「日本文学」の創立を志向します。

(1)日本的思考と言語文化の充実

 日本語の特質、そして、それが作りあげた日本文学・日本文化の本源を追究します。『源氏物語』から現代文学にわたる日本散文の内実、『万葉集』から和歌・俳諧に連なる日本音律の構造、それらの本質的追究は、日本の文学や文化に内在する尊厳の確認、また、そこより発する豊かな創造力と表現力の発現に繋がっていきます。

(2)人間・歴史・環境・自然との対話の再興

 芸術文化の長い伝統をもつ尾道は、美しい自然と豊かな歴史風土の上に成り立っています。この尾道において、日本の文学や文化のより本質的な追究や解明を志すことは、確かな人間性や豊かな情操を育む重要な起点となり得ます。

(3)真の国際性の発現

 現代日本社会がいま求めているのは、真の国際的感覚を備えた高度な社会人・職業人です。真に世界を知るとは、真の日本を知ることでしょう。

17

The Graduate Program in Japanese Literature The Graduate Program in Japanese Literature

経済情報研究科

経済情報専攻(修士課程)

日本文学研究科

日本文学専攻(修士課程)

美術研究科

美術専攻(修士課程)

2 日本文学研究科の教育理念および養成する人材

 日本文学研究科は、日本の言語や文学、そして芸術文化への深い理解や幅広い視野、さらには、それらを中軸とした国際的な感覚や異文化を共有する教養を身につけ、その豊かな知性や優れた徳性によって、社会活動や文化活動に指導的役割を果たす人材を養成することを教育理念とします。

【Ⅰ】 養成する人材を具体的に示すと、次のようになります。

(1)文化活動・教育実践の指導者

 日本文学・日本文化に通じ、専門的な知識を持ち、それを生かした文化活動および教育実践の指導者を養成します。

(2)学際性豊かな視野の広い知識人

 語学力が豊かで、視野の広い、多様な職種に適応できる有能な社会人を養成します。

(3)地域の文化活動に寄与する人材

 地域の文化施設や諸機関の職員となり、文化活動を率先する指導者を養成します。

(4)文学表現・執筆活動を通して、社会に貢献する人材

 文学表現・執筆活動に興味関心が深く、情報産業やマスコミで活躍する有能な人材を養成します。

(5)社会に貢献できる人材

 社会人教育・生涯教育に携わり、第二・第三の生きがいある人生を支援することのできる人材を養成します。

(6)研究的意欲のある人材

 高度職業人を養成することを基本としますが、研究者の養成にも努めます。

【Ⅱ】 修了後の進路として、以下のようなものが挙げられます。

(1) 教育・社会の現場に

 日本語・日本文学の専門科目および関連科目の研究を通じて、修得し得た専門的知識、論理的思考力・判断力、日本文化に関する優れた理解力・洞察力を身につけた人材は、進路としては研究者、中学校・高等学校の教員、地域社会の文化活動の指導者などを考えることができるでしょう。

18

The Graduate Program in Japanese Literature

(2)国内・国際交流の場に

 日本語・日本文学以外に、中国文学・欧米文学・比較文学・地域文学などを修得し、また、日本文化を高度に理解した日本人学生・外国人留学生は、国際交流に貢献することができ、進路としては外国人を教える教員、公共団体・民間団体の国際交流担当職員、あるいは企業の日本文化教育職員などを考えることができるでしょう。

(3)地域・生涯教育の場に

 地域性および公立大学という特性に基づいて、社会人教育や生涯教育に興味関心を持ち、その方面の資格を取得すれば、その人材は、地域社会の活性化に貢献することができ、進路としては有資格者としての高度な職業人、市民活動などの中心的な指導者を考えることができるでしょう。

3 日本文学研究科の教育課程とその内容

 日本文学研究科は、大きく日本文学・日本語学・漢文学の三つの教育研究分野を持ち、学部教育のより高度な継続・発展を図るとともに、新たに国際文化や地域文化の教養の充足を視野に入れた教育内容を策定しています(20頁の【授業科目の概要】ならびに21頁の【教育課程概念図】参照)。 教育課程としては、総合科目・基幹科目・専門科目・関連科目の4学科目を設けています。 総合科目には、オムニバス形式で編成した「日本文学・言語文化総論」を置き、多様化した現代社会に対応できる幅広い知の共有を図ります。 基幹科目・専門科目では、日本文学・日本語学・漢文学を重層的に深く考究します。すなわち、古代から現代に連なる日本文学の生成と展開およびその内実の考察、日本語の成立とその構造や機能等の追究、日本語や日本文学の成立と発展に大きな影響を与えてきた漢文学の展開と内質の研究を企図するものです。 専門科目の中に、「米文学特論」「比較文学特論」を、また、関連科目の中に、「語学実践特論」「英語学特論」を編成して、国際化・多様化した社会への知的対応を図りました。また、「地域文学特論」を専門科目の中に設け、豊かな人間性を備えた地域人の養成を期すこととしました。専門科目の中に「国語教育学特論」を、関連科目の中に「心理学特論」を置き、教育界・学界などに貢献するために必要な教育能力や分析力・洞察力の涵養を図りました。専門科目の中に「日本語音律特論」を編んだのは、開音節言語としての日本語の特性が、五七調や七五調の言語文化を生み出していることに鑑み、日本語の音律を学習することによって日本語の表現体系を修得すれば、それが文化の創出につながり、日本文学研究にも資するところがあるゆえです。また、「文芸創作特論」の開設は、創造性および想像性が豊かで、文筆活動に携わる人材を育成しようとしたからです。文筆家を育成するにあたっては、ただ特別な理論や才能を重視するのではなく、日常の執筆活動を積み重ねた末に成るという立場に立ち、日常的・継続的に文章活動ができる人材の育成を期するものです。 なお、各科目の具体的な教育内容については、22頁以下の【講義等の内容】をご参照ください。

19

The Graduate Program in Japanese Literature The Graduate Program in Japanese Literature

経済情報研究科

経済情報専攻(修士課程)

日本文学研究科

日本文学専攻(修士課程)

美術研究科

美術専攻(修士課程)

4 履修方法、修了要件、学位、取得できる教育職員免許状

(1)修業年限

 修業年限は2年です。

(2)修了必要単位数

 修了必要単位数は30単位以上とし、その内訳は以下のとおりです。総合科目          2単位基幹科目         ……16単位専門科目および関連科目   8単位以上研究指導科目        4単位

(3)修了要件

 大学院に2年以上在学し、所定の単位を修得し、必要な研究指導を受けた上で、修士論文または特定の課題についての研究の成果を提出し、その審査と試験に合格すること。

(4)学位

 修士(日本文学)

(5)取得できる免許状

 中学校教諭第一種免許状(国語)または高等学校教諭第一種免許状(国語)を取得している方は、日本文学研究科の課程を修了し、教科に関する科目について所定の単位数を修得することにより、中学校教諭専修免許状(国語)、高等学校教諭専修免許状(国語)を取得することができます。

20

The Graduate Program in Japanese Literature

授業科目の概要

授業科目の名称 配当年次単位数

備  考必修 選択

総合科目 日本文学・言語文化総論 1・2 2

(修了要件)

総合科目 2単位基幹科目 16単位専門科目及び関連科目 8単位以上研究指導(論文指導) 4単位

合計30単位以上を修得し、かつ、修士論文審査及び修了試験に合格すること。

科目担当教員の了解があれば、美術研究科が開設する「基礎理論科目」を「関連科目」として履修することができる。ただし、修得単位は4単位を超えない範囲とする。

基幹科目

日本古典文学特講 1・2 2

日本古典文学演習 1・2 2

日本近代文学特講 1・2 2

日本近代文学演習 1・2 2

日本語学特講 1・2 2

日本語学演習 1・2 2

漢文学特講 1・2 2

漢文学演習 1・2 2

専門科目

日本古典文学特論Ⅰ 1・2 2

日本古典文学特論Ⅱ 1・2 2

日本近代文学特論 1・2 2

日本語学特論 1・2 2

日本語音律特論 1・2 2

国語教育学特論 1・2 2

米文学特論 1・2 2

比較文学特論 1・2 2

地域文学特論 1・2 2

文芸創作特論 1・2 2

関連科目

語学実践特論 1・2 2

英語学特論 1・2 2

心理学特論 1・2 2

研究指導(論文指導) 2 4

日本文学研究科の授業科目の概要(2017年度)

21

The Graduate Program in Japanese Literature The Graduate Program in Japanese Literature

経済情報研究科

経済情報専攻(修士課程)

日本文学研究科

日本文学専攻(修士課程)

美術研究科

美術専攻(修士課程)

日本文学研究科 教育課程概念図

22

The Graduate Program in Japanese Literature

日本文学研究科の講義等の内容(2017年度)

区分 授業科目と担当教員 講 義 等 の 内 容

総合科目

日本文学・言語文化総論

教授  藤沢 毅

教授  灰谷 謙二

教授  柴 市郎

教授  光原 百合

准教授 鷹橋 明久

准教授 小畑 拓也

准教授 藤井 佐美

(概要)言語によって作品化され、個性化された文学の研究成果について、複数の研究者がそれぞれの専門領域の立場から考究し、日本文学研究の全体像に迫ろうとする共同思考、集団思考の総論的科目である。オムニバス形態の科目をおくことによって、グローバルな視野と洞察力を持つ学際性に優れた人材を育てようとする。

(藤沢)日本近世文学の中で歴史性とともに娯楽性の強い読本や実録・通俗軍書の研究方法を考える。

(灰谷)論理と情緒の両面を支える表現媒体であり、日本文化の具体的な形を支える日本語の特質を環境・風土の観点から考究する。

(…柴…) 内田百閒…「阿房列車」を読む。(光原)謎と幻想に魅かれると同時に知と論理に憧れる、人間の両面性が

生み出した文学ジャンルが推理小説である。その源流と歴史を俯瞰し、人間の本質に迫る。

(鷹橋)中国文学史の視点から中国の詩・小説をとりあげ、日本の古典文学にうかがえる中国文学の受容について比較考察し、日中両国の文化・文学の相似性・相違性について考える。

(小畑)現代日本文学・文化を考える上で無視出来ない欧米主導によるグローバル化の中で、間テキスト的に展開する言語文化の位置をアメリカの事例を中心に検証する。その際、従来の文字テクストの枠組みにとらわれることなく、現代のメディア事象を広く考察の対象とする。

(藤井)文学・民俗学・宗教学の研究方法を概観し、具体的な伝承事例から日本文化史における精神性・芸術性について考察する。

基幹科目

日本古典文学特講

教授 藤沢 毅

 特に日本近世文学のテキストを扱い、日本古典文学の研究方法を考える。テキストとは具体的なモノとしての書物であることを意識しながら、構成、表現描写、典拠との差異、それらから生み出される効果などを考えていく。当時の書物の形態、流通と享受の形態も意識していくことになる。

日本古典文学演習

教授 藤沢 毅

 特に日本近世文学のテキストを扱い、分析と評価をしていく。具体的なモノとしての書物を評価対象として、当時の読者の視点から考える。さらに、受講者の興味に従った他の時代、他のジャンルのテキストとの比較を通し、古典文学の論究の方法を考えていく。

日本近代文学特講

教授 柴 市郎

 日本近代文学のテクストをおもな対象として、最新の研究動向にも配慮しつつ、文学史的・歴史的背景をふまえた、分析考察をおこなう。ただし、対象は狭義の文学テクストに限定せず、必要に応じ多様なメディア・ジャンルにも論究する。

日本近代文学演習

教授 柴 市郎

 狭義の文学テクストに限定せず、ひろく近代のテクストを対象として演習形式で分析考察をおこなう。先行研究を確実にふまえ、テクストを論理的に分析するための理論(テクスト論、受容理論、ジェンダー論など)を学びつつ、研究的態度を修得できるよう指導していく。

23

The Graduate Program in Japanese Literature The Graduate Program in Japanese Literature

経済情報研究科

経済情報専攻(修士課程)

日本文学研究科

日本文学専攻(修士課程)

美術研究科

美術専攻(修士課程)

区分 授業科目と担当教員 講 義 等 の 内 容

基幹科目

日本語学特講

教授 灰谷 謙二

 日本語学研究の現在の流れを踏まえて、特に注目すべき研究成果をとりあげ解説する。研究上の意義、特徴、課題を通して、自らの研究課題についての意義・独自性を再確認する場としたい。朝倉書店刊『朝倉日本語講座』全10巻の中から、各領域を代表する研究者の論考をとりあげる。学会を牽引する役割をになう研究者と学会の動向をとらえつつ、日本語学が課題とすべき本質的課題とは何か、どのような方向へ進むべきかを考える足がかりとしたい。

日本語学演習

教授 灰谷 謙二

 現代日本語の口頭音声言語における方言使用の意味と運用の方策について考察する。日常生活の中では方言と共通語の使い分けが行われ、そこには、場面と人間関係の細かい把握・観察が行われている。何がどのような原理に基づいて方言と共通語のスイッチングを支配しているのか、それを支える価値意識はどのようなものであるのかを明らかにする。同時に談話データをとおした言語コミュニケーションの分析の視点・方法論を習得する。

漢文学特講

准教授 鷹橋 明久

 紀元前一千年頃からあるとされる中国の詩は現在に至るまで脈々と続いているが、時代の状況や詩人の個性によって、大きく変化し、様々な様相を現出している。本講では魏から晉へと変遷していく過酷な政治環境の中で、権力に果敢に挑み続けた阮籍、嵇康の詩文を採り上げ、政治・社会・思想などの角度から、多角的に考察をすすめていく。

漢文学演習

准教授 鷹橋 明久

 インドより移入以来、二千年の歴史をもつ中国仏教。中国人はこの外来思想を老荘思想というスクリーンを通して理解することによって新たに中国的仏教を誕生させた。本講では梁・王琰が編纂したとされる仏教説話『冥祥記』を取り上げ、詳細な解読作業を行うとともに、老荘思想が仏教にどのような影響を与えたか、また、当時の人々が仏教をどのようなものとして捉えていたのか考察する。

専門科目

日本古典文学特論Ⅰ

准教授 岸本 理恵

 平安時代の文学作品(私家集・物語・日記文学など)を古写本や古筆切などをもとにしながら、より原典に近い本文を求めて注釈していく。その際には平安時代の仮名文学作品のみでなく、漢籍や歴史資料など幅広く調査を行うことが必須であり、そうする中で注釈するということだけでなく平安時代の歴史的背景や古典籍に対する考え方・文学研究の方法を学ぶ。

日本古典文学特論Ⅱ

教授 藤川 功和

 鎌倉時代中期の和歌作品(勅撰集・私家集・定数歌・歌合など)の注釈作業を通して、文学研究における基礎的知識や調査方法を身につけることを目的とする。具体的には、作品を影印本によって読解、他本と校合し、その上で、語釈、通釈を施し注釈を完成させる。これらの作業を行う過程で、和歌研究の上で必要な文献や、調査方法を学ぶことになる。

日本近代文学特論

准教授 原 卓史 芥川龍之介の文学について考える。様々な文学理論の可能性と限界を見定めつつ、作品の読解を行う。

日本語学特論

講師 藤本 真理子

 菊地康人『敬語』を読み、現代語の敬語についての知識を深めた上で、古典語について検討する。 また古典語の文献資料の扱いや適切な資料の読み取りなどの力を身につけ、古典語への知識を深める。それと同時に,発表と質疑により,論理的な思考のトレーニングも行う。主体的に考え、調べ、報告する技術を習得する。  

日本語音律特論

教授 灰谷 謙二

 本講義では、歌謡・短歌・連歌・俳句などの古今の文字資料を踏査しながら、古今集仮名序から現在の諸仮説に至る音律論史を検証し、日本語韻文を統べる音律原理を考究するとともに日本文学における音律の意義について考察する。

国語教育学特論

教授 信木 伸一

 「国語教育目標論の研究」「書くことの教育の研究」「文学教育の研究」「説明的文章教育の研究」「音声言語教育の研究」「読書教育の研究」などの領域の中で、研究課題を設定し、先行研究を踏まえて、教育現場に有効な知見の導出や具体的なプランの提案を行う。外部の研究会や学会への参加とそれに基づく討議も予定。

24

The Graduate Program in Japanese Literature

区分 授業科目と担当教員 講 義 等 の 内 容

専門科目

米文学特論

准教授 小畑 拓也

 現代アメリカ文学を中心に、近代テクノロジーを前提とする文化状況が、文学という言語文化メディアを通じていかなる形で結晶化・表象化され、またそのメディアを受容する社会に浸透し、拡散していくのかを、最新の研究成果に照らしつつ、考察する。特徴的なモチーフ、テーマの通時的変遷を追究するとともに、近代テクノロジーに基づくグローバル化の中で、そうしたモチーフ・テーマが遍在/偏在するという状況を共時的にも的確に捉えることを目指す。

比較文学特論

兼任講師 松本 陽正

 フランス文学作品へのさまざまなアプローチを試みる。すなわち、その形成過程、構造、語り、主題、作中人物の造型等について具体的に考察していく。本特論の目標とするところは、次の3点である。①さまざまな角度から文学作品の研究方法を学ぶ。②さまざまな角度から文学作品の読解方法を学ぶ。③フランス文学と日本文学の異質性について考える。

地域文学特論

准教授 藤井 佐美

 文学研究は、作家による文学表現の意図を追究し、そこでとらえられる文学的意味(文学主題)を日本文化史の中に位置付けることである。地域文学の研究は、その地域に人間生活の営みがある限り、文学発生の動機がある、そういう思想のもとに、土着の文学を発掘し、市民の文化活動を支援・指導する人材を養成する。文学性豊かな県東部の地域文学をとらえる視点として、次のようなものを考える。①地域の埋蔵文学を発掘し、これを分析して、世界に紹介する。②地域の歌枕や作家の地域における足跡の調査・研究を行い、文学の地域における意義を考察する。

③民話や伝承など民俗学に関する問題、伝承の諸相を考察する。

文芸創作特論

教授 光原 百合

 文学作品において作品世界を作り上げるものは、言語であり文章である。作者が自らの言いたいことをより強く効果的に伝えようと願うならば、何よりもまず、文章の力を鍛え、練り上げることが肝要となる。その視点に立って、この講義においては、文章の力を鍛えるため「翻訳」および「創作」の実践に取り組む。それによって獲得した文章力は、読者として作品を鑑賞する力にも大きく貢献するはずである。

関連科目

語学実践特論

教授 高垣 俊之

 本特論では、英語で書かれた文献を読む訓練、英語で自分の考えを書く訓練、そして英語で口頭発表をする訓練によって、大学院生が最低限もつべき語学実践能力の育成を図ることを目的とする。文献は英米の専門誌から「バイリンガリズム」と「第二言語教育」に関するものを選ぶ。受講者は、文献の精読を通じて各自の専門や関心(例えば、日本語学や日本語教育)との接点を見出し、それを英文レポートにまとめ、英語でプレゼンテーションを行う。

英語学特論

准教授 平山 直樹

 英語学的研究に欠かせない歴史的な視点に立ち、英語で書かれたテキストを読み進めながら、英語がどのような過程を経て、起源であるインド・ヨーロッパ語から現代の英語に至っているのかを概観する。この活動を通して、英語という言語を扱う際の基礎知識とともに、英語の読解力を養う。

心理学特論

教授 塚本…真紀

 人間性探究を課題とする一分野である心理学の研究方法を習得することによって、受講生自身の研究の学問的位置づけを考えて行く上で有効な認知的枠組みの一部を形成していきたい。講義では「文章理解の心理学」に着目する。私たちは日常文章を読むことによってものごとの手順や仕組み、抽象的な概念を理解している。ではその際どのような「読み」を行いながら理解を促進しているのであろうか?文章の読み手の認知情報処理過程について心理学的な視点から論じていく。

研究指導(論文指導)

 日本文学研究科の修士論文の作成に関して、修士論文として適切な問題であるかどうか、問題解決の方法は最善のものであるかどうか、収集された資料は妥当なものであるかどうか、資料に関する解釈は適正であるかどうか、論述のしかたは論理的であるかどうか、など、論文の完成にいたるまで、助言指導を行い、修士論文という学位論文にふさわしい価値を評価される成果に導くものである。  

25

The Graduate Program in Japanese Literature The Graduate Program in Japanese Literature

経済情報研究科

経済情報専攻(修士課程)

日本文学研究科

日本文学専攻(修士課程)

美術研究科

美術専攻(修士課程)

在 学生の声

肥田 伊織(2017年…修了 日本文学専攻)

 本学大学院では、日本文学以外にもさまざまな分野を学ぶことができますが、私は特に地域研究

の方法を学びました。愛媛県松山市の離島、興居島の伝承を研究するために、毎週のようにしまな

み海道を渡り、愛媛県と尾道を往復する日々を送りました。大学や資料館で得た調査資料に基づき

現地で進める調査研究は、大変刺激的な経験でした。

 また、研究室では今もなお目標とする先輩方や心強い後輩達とも出会いました。地域の方々の御

協力のもとで進めた歴史や伝承に関するフィールドワーク、出雲への採訪、また一般の方々に向け

て展示会や報告発表の機会を得た『道成寺縁起』の絵巻研究など、どれも思い出深いものばかりです。

 現在、私は尾道市の市史編さんに関わる仕事をしています。これは、今までの資料調査やフィー

ルドワークによる地域研究を生かすことともつながっています。今後は、少しでも社会に貢献でき

るよう努めて行きたいと思います。                            

学生は先端的な研究に触れながら、自らの研究課題に取り組んでいます。

 日本文学研究科の研究指導は、完全なマンツーマン方式で行われています。 学生たちは、必修・選択の授業において教員の先端的な研究に触れ、また大学院研究室での学生同士の交流によって互いに切磋琢磨しながら、研究指導教員の指導のもとにそれぞれの研究課題に取り組んでいます。 研究指導を担当するのは、日本語学(古典語・現代語)、中古文学、中世文学、近世文学、近現代文学、漢文学、欧米文学、伝承文学、文芸創作、国語教育学の各研究分野を専門とする12名の専任教員です。 日本文学研究科では、日本語・日本文学の研究を志す外国人留学生も受け入れています。日本の学生たちも、留学生との交流を通じて国際的な感覚を磨き、視野を広げています。

日本文学研究科の研究状況

26

美術研究科 美術専攻(修士課程)The Graduate Program in Arts & Design

The Graduate Program in Arts & Design

1 美術研究科の目的

美の山門をくぐって本堂に立つ。何しにここにいるのか、何を尋ねてここに来たか。人生の一つの岐路である。もはや師を頼っているところではない。自分が自分の師であり、その弟子としての自分がいる。それが美術系大学院生の本分である。指導教員と互角の取り組みができることが目的でありこころざしである。

2 美術研究科の特色

(1)教育課程編成の考え方および特色

 多様化する文化生活や社会環境の変化、それに伴う造形のあり方の中で新鮮な視点と表現の創出に留意し、それらの具現化に大学院学生はもとより指導教員と共に切磋して間断ない研鑽を進めるべく考えている。 各研究室のモチベーションをベースに、指導教員と十分な検討のうえ、大学院学生個人の年間カリキュラムを作る。 学年の中期に研究経過発表と指導チェックを受け、その進展を検討しながら成果を目指す。各研究室指導教員により常に当該学生と協議し、コンテンツを深めてゆく。

(2)教育・研究の特色

① 古典研究を重視することにより貴重な伝統の継承を行うとともに、現代の視点に立って新たな絵画・デザイン等の創造に寄与すべく21世紀を展望した美術の制作・研究を行う。

② 技術革新により多様に展開される新素材新技法への研鑽を深めるとともに急進展を遂げつつあるコンピュータをもととした多岐にわたる新たな造形表現の創出のための研究を行う。

③ 全人格的人間形成を目指した教育を通じて豊かな学識を養い、論理的な思考力を鍛えることにより、創作作品を通しての感性的な自己表現のみならず、副論文等を通しての文章表現など多様な表現力を有する制作者の養成を行う。

27

The Graduate Program in Arts & Design The Graduate Program in Arts & Design

経済情報研究科

経済情報専攻(修士課程)

日本文学研究科

日本文学専攻(修士課程)

美術研究科

美術専攻(修士課程)

3 授業科目の内容

 本研究科では持続する創作活動を行うことができるよう、学部と大学院修士課程とを合わせた6年間のカリキュラムを一貫化し、高度な創作能力を育成するための体系的な教育を行う(31ページ「授業科目の概要」参照)。 授業科目は、基礎理論科目並びに専門演習科目と研究指導科目の専門実習科目で構成している。基礎理論科目では、広く芸術に関する幅広い視野と識見を養うため芸術の理論・歴史等を教授し、実技と演習によって構成される研究分野開設科目と合わせて美術の理論と実践の有機的な連携を図っている(32~ 33ページ「講義等の内容」参照)。 各研究分野の教育・研究内容は以下のとおりである。

(1)絵画研究分野

絵画の分野では、日本画と油画に関する制作・研究を行う。

・日本画では古典作品の表現、技法および材料の理解と造形感覚を修得させ、各自の個性的な創作力の育成を図る。教育課程の編成に当たっては各人の個性的な創作力の育成を主とした課程と、創作力の育成並びに古典模写を通して技法や材料の研究を深める課程の二本立てとし、指導の多角化を図る。

・油画では、創作活動の充実を図るため各自のテーマを踏まえ、独自な絵画表現を追求し、また必要となる技法や素材の研究を促す。さらに、学生と教員との作品を介した相互の対話によって、表現の主体性を育み、それを支える造形志向の背景を考究させる。

(2)デザイン研究分野

 デザインの分野は、かつて「口紅から機関車まで」とレイモンド・ローイの語った言葉は今も変わらない。それどころか、範疇は現代のこの錯雑とした社会に生きる人間の、在りようにまで広がってきている。 従って、現代の社会構造の把握と、デザイン表出のあり方には、常時ベクトルの解読を怠れない。美術研究科におけるデザインの分野は、好むと好まざるとに関わらず、広い視野と柔軟、且つ冷静な洞察力を養う能力と訴求性のある表現力の育成を目的とする。 基本的には視覚伝達領域、メディア伝達領域、造形伝達領域の3分野に分かれ、それぞれ、指導教員の研究分野を軸に対応する。

28

The Graduate Program in Arts & Design

修 了 生の声

坂本…文(2007年度 絵画研究分野 日本画コース修了) 私は大学3年生後半から大学4年生の春にかけての半年間、一般企業の就職活動をしていた時期がありました。しかし活動を続

ければ続ける程「まだまだ学び足りない」という気持ちが大きくなり、大学院に

進学することを決めました。

 大学院では自分の想いと向き合い、取り組みたいテーマやモチーフ探しと、そ

れを形作る為の表現方法を模索しました。院生の仲間たちと共に過ごし作品制作

に取り組む中で多くの刺激を受け、先生方からは制作に対する心構えを学び、と

ても濃く充実した2年間でした。

 現在は会社勤めと子育てを行いながら、院展等の公募展や展覧会等への出品を

続けています。日々の生活の中でも、時間を見つけては少しずつでも描き進めて

いけるように環境を整えて制作を続けています。

「一度やめてしまったら再び描き始めるのは難しい。絵を描き続けることが大事。」

と学部時代に先生から頂いた言葉は、生涯に渡って制作を続けていく上での指針

であり、大きな心の支えとなっています。

 今後も、自分の気持ちと作品に正直に向き合って制作を続けていきます。

原 夕希子(2010年度 絵画研究分野 油画コース修了) 学部3年生の時、心惹かれるモチーフを見つけました。見つけてからは、毎日

そればかり描く私の背中を、先生は見守り、押してくださいました。学部で芽生

えた制作に向きあう姿勢を、大学院の二年間で育てることができました。そのか

げで、今でもそのモチーフを描き、制作を続けています。

 今は、尾道市立大学美術館で職員として働いています。学生たちの活力ある作

品にふれることで、毎日制作のことだけを考えていた日々を思い出し、力をもらっ

ています。

 大学を卒業する年に、笠岡市で初個展をしました。それまでは自分と大学の中

で存在していた作品が、外に出ること。作品を発表することは、様々な意見に出

会うことでもありました。その出会いもまた、制作に責任を持つ為には必要な経

験でした。一方で、今でも展示の際には足を運んでくださる方とも、たくさん出

会えました。応援してくださる多くの顔が浮かぶことが、本当にありがたいです。

 毎日絵を描いて過ごした大学・大学院の6年間と、支えてくださる方々のおか

げで、自分と作品を信じながら制作を続けられるのだと思います。

水井 翔(2013年度 デザイン研究分野修了) 私は現在 Drawing and Manual という事務所で、映像やグラ

フィックデザインをしています。大学院での私の研究は、初めの

一年間で様々なアニメーション技法の研究をし、二年をかけて

最終的な作品の落とし所を見つけるというものでした。また、大

学院のカリキュラムでは、専攻分野の異なる人と交流する機会

に恵まれます。新たな視点や目標につながり、今日の自身の活動

や興味もそういった経験に起因しています。大学院はあらゆる視

点で自らの感動の根源に触れる大切な時間です。

 あくまで私の経験談ですが、これから進学される方は学部の

延長として制作を続けるというよりも、自身の研究計画と目標は

もちつつ、その空間で生まれる新たな関係性や視点を尊重して

過ごすと、より充実した時間を築けると思います。

 自分の選んだ分野において、続けていく力や自信、挫けそうに

なっても自分の出発地点として思い出せる時間にしてください。

29

The Graduate Program in Arts & Design The Graduate Program in Arts & Design

経済情報研究科

経済情報専攻(修士課程)

日本文学研究科

日本文学専攻(修士課程)

美術研究科

美術専攻(修士課程)

「こよみ2017」 55×91mm 活版印刷平林…美咲

「融」 181.8×181.8cm 高知麻紙、岩絵具、アクリル、箔吉田…真子

「泌」 194×386cm 油彩、麻布、白亜地、テンペラ菅原…瑶子

「関」 194×130.3cm 油彩、キャンバス田中…夕萩

「todays」 不定形 Photoshop、鉛筆、ペン、絵の具竹内…彩子

「MIMOKA」 130.3×162.0cm 雲肌麻紙、岩絵具、箔大河…千里

30

The Graduate Program in Arts & Design

4 履修方法、修了要件、学位

(1)履修指導および研究指導

① 研究科委員会を組織し、大学院生の入学後直ちに志願書に記載された研究対象等に基づいて学生の指導教員を定める。学生は指導教員の指導を受け、毎学年当初に履修計画および研究計画を定め、所定の期日までに提出する。

② 指導教員は研究計画に基づき、大学院生に対して修了制作および当該作品に係る制作意図や背景、技法、素材に関する研究等をまとめた副論文作成のための研究指導を行う。なお、副論文については、美術理論担当の教員および指導教員が指導する。

③ 修了課程の修了要件を満たす見込みがつき、学位の審査を受けようとする大学院生は、所定期日までに修了作品審査願とともに修了作品および副論文を提出する。学位の審査は修了作品、副論文および口述または筆記による試験によって審査委員が行う。審査委員会は各研究分野の教授、准教授、講師および美術理論担当の教員によって構成し、必要に応じて研究分野以外の教員等の協力を得るものとする。

(2)修業年限

 修業年限は2年とする。

(3)修了必要単位数

 修了必要単位数は30単位以上としその内訳は以下のとおりとする。基礎理論科目・・・・・12単位専門演習科目・・・・・ …2単位専門実習科目・・・・・16単位

(4)修了要件

 大学院に2年以上在学し、所定の単位を修得し必要な研究指導を受けたうえで、修了作品および副論文を提出し、その審査と試験に合格すること。

(5)学位

 修士(美術)

31

The Graduate Program in Arts & Design The Graduate Program in Arts & Design

経済情報研究科

経済情報専攻(修士課程)

日本文学研究科

日本文学専攻(修士課程)

美術研究科

美術専攻(修士課程)

授業科目の概要

授業科目の名称 配当年次単位数

備  考必修 選択

基礎理論科目

美学(芸術学)特講 1・2 4

(修了要件)

基礎理論科目 12単位以上専門演習科目 2単位以上専門実習科目 16単位以上

合計30単位以上を修得し、研究指導を受けた上で、修了作品及び副論文を提出し、その審査と試験に合格すること。

科目担当教員の了解があれば、日本文学研究科が開設する「専門科目」および「関連科目」を「基礎理論科目」として履修することができる。ただし、修得単位は4単位を超えない範囲とする。

美術史特講(日本) 1・2 4

美術史特講(西洋) 1・2 4

芸術論特講Ⅰ(東洋) 1・2 2

芸術論特講Ⅱ(西洋) 1・2 2

デザイン学特講 1・2 4

専門演習科目

日本画材料技法演習 1・2 2

絵画総合演習 1・2 2

デザイン総合演習 1・2 2

専門実習科目

日本画研究AⅠ 1 8

日本画研究AⅡ 2 8

日本画研究BⅠ 1 8

日本画研究BⅡ 2 8

油画研究AⅠ 1 8

油画研究AⅡ 2 8

油画研究 BⅠ 1 8

油画研究 BⅡ 2 8

デザイン研究Ⅰ 1 8

デザイン研究Ⅱ 2 8

美術研究科の授業科目の概要(2017年度)

32

The Graduate Program in Arts & Design

美術研究科の講義等の内容(2017年度)

区分 授業科目と担当教員 講 義 等 の 内 容

基礎 理 論 科 目

美学(芸術学)特講

講師 西嶋 亜美

 芸術作品のまわりには、常に多種多様な言説が取り巻いています。それらは、時に先入観を植え付け、作品経験を妨げる害となる場合もある一方、批評が鑑賞者を導いて芸術の新たな潮流を後押ししたり、芸術家自身が、言葉によって自らの立場と作品の特質を鮮明に印象づけることもあります。また、過去の美術作品を例に挙げた絵画論は、同時代の芸術家に「絵画とはこうあるべき」という指針を提供してきました。異なる時代のそうした言葉に耳を澄ませ、立場や役割を分析することで視野をひろげ、実際に現代の作品や自分自身の作品を位置づけ伝達する言葉にも自覚的に、積極的に臨むことを目標とします。

美術史特講(日本)

准教授 市川 彰

 安土桃山時代から江戸時代にかけての代表的な絵師(画家)または絵画作品を多角的に分析・考察することを主眼とします。各回のはじめに学生諸君(2~3名)によるリポートを行い、それをもとに全員で議論することによって、作品理解を深めていくこととする。

美術史特講(西洋)

講師 西嶋 亜美

 西洋美術史を通じて、物語や何らかの対象を造形として表す営為は、表すものを時間的・空間的に「選択する」ことから成り立っています。ある物語を描く際に、作家は出来事や行為のうちのどの時間を選んでいるのでしょうか?さらに、どの範囲の人やものを、場所を、どのようにして作品内におさめて(あるいは切り取って)いるのでしょうか?このような問題意識から西洋美術の諸作品の様式的特徴や作者の創意工夫を考察します。さらに、調査発表の機会を設けて、作品を調査し、作品や作家についてプレゼンテーションする方法を身につけるのがこの授業の目標です。

芸術論特講Ⅰ

兼任講師 高橋 早紀子

 曼荼羅や仏像といった密教美術をとりあげ、思想や実践と関わる宗教的機能の問題や図像学上の諸問題について考察します。また、神像の成立背景や表現上の特色についても論及します。講義を通して密教美術や神像への理解を深め、作品のもつ意味について思想的観点および図像的観点から考える力を養うことを目指します。 

芸術論特講Ⅱ

兼任講師 倉持 充希

 ヨーロッパの美術館のなかには、王室コレクションや、個人コレクションに由来する作品を有するところが多数あります。王侯貴族や愛好家は、同時代作家に作品を注文したり、財産を相続したり、売立に出された作品を購入したりしていました。本講義では、主に 17 世紀の事例を取り上げ、コレクションの形成について考察します。中でも、ベルニーニやカラヴァッジョ、プッサンの作品を数多く所有していた、ローマの名家のコレクションを比較することで、愛好家の趣味や、芸術家との密接な関係について、理解を深めます。 歴史的背景、多様な収集活動、財産目録など、コレクションを分析するための視点を学びましょう。同時に、個々の作例を丁寧に観察し、作品の造形的特徴を、適切に記述することを目指します。 

デザイン学特講

兼任講師 白木 彰兼任講師 真野 洋介兼任講師 太田 啓介兼任講師 今氏 亮二

(概要)「デザインとは」と云う問いについて説く、企業家や実務家を含む作家・専門家のオムニバス形式の授業。

(白木):デザイン的思考を考察し、その理論を自己の創作研究に応用させる手法をさぐる。(真野):都市の創造性を支える為の様々な方法について、主に建築、都市デザインの視点から

解説する。(太田):景観保全と土木デザインによる地域活性化について、国内外の例とディスカッショ

ンを交えて考える。(今氏):編集からカタチを生みだす。

専門演習科目

日本画材料技法演習

教授   吉原 慎介 絵画組成における「日本画の材料及び技法」について、多様な物性を検証し識見を深めることによって、実技制作・創作研究上の発想と表現に資する。

絵画総合演習

教授   塩川 髙敏教授   矢野 哲也准教授  小野 環講師   稲川 豊兼任講師 大森 啓兼任講師 児玉 香織兼任講師 O JUN

 研究の場に多彩な創作活動を行っている作家を招く。 各作家に作品を紹介しながら制作活動の軌跡について語ってもらうことによって、様々な作家の制作の姿勢や表現の元となる思考に直に触れる。 また各学生が作品を紹介し作家とのディスカッションを行うことによって、新たな観点で自作についての検証を行う。 これらの機会を通じて各学生が、今後自立して活動していく上での視野を広げ、制作研究を行っていくモチベーションを高める事を目標とする。

33

The Graduate Program in Arts & Design The Graduate Program in Arts & Design

経済情報研究科

経済情報専攻(修士課程)

日本文学研究科

日本文学専攻(修士課程)

美術研究科

美術専攻(修士課程)

区分 授業科目と担当教員 講 義 等 の 内 容

専門演習科目

デザイン総合演習

准教授  髙岡 陽兼任講師 石多未知行兼任講師 山崎 曜

(髙岡)『メディアと文字』印刷表現やデジタル表現など、様々なメディアに対応するべくリテラシーが重要です。様々なメディアにおける文字表現を考え、的確かつ先進性のある表現を模索していきます。

(石多)『プロジェクションマッピングの考え方』この表現を奇を衒ったモノ、そしてどこにでもある模倣的な狭い表現手法として捉えるのではなく、創造的で、常に新鮮な表現や感動を生み出すことは、プロジェクションマッピングだけではなく、クリエイティブな意識としてもとても重要なことです。

(山崎)『手製本』手を動かして作業をしてものを考えるということは、自力で考えデザインをすることの基本の基本ですが、手作業の不足を感じることが多い昨今です。手製本の実作例を見ることで、自分のアイデアをデザインし形にすることの一助とします。

専門実習科目

日本画研究AⅠ教授 吉原 慎介

 日本画の伝統技法および材料等の理解をより一層深め、個性的な創造力の育成と精神性の確立に向けて指導する。日本画制作を主体に写実性、装飾性、象徴性等の特質を探究し、独創的表現力を培うべく指導する。

日本画研究AⅡ教授 吉原 慎介

 日本画研究AⅠにおける成果を踏まえ、より高度な創作活動を目指した授業を行う。絵画理念を深め、独創的表現を探究し、新しい自己表現の可能性を図るべく指導する。2年間の研究の成果を修了制作としてまとめ上げる。

日本画研究BⅠ教授 小田野尚之教授 中村 譲

 日本画制作と合わせ高度な模写による古典研究を行い、技法および表現を探究、指導する。

日本画研究BⅡ教授 小田野尚之教授 中村 譲

 幅広い古典研究と新たな実験的創造表現に向け指導する。2年間の研究の成果を修了制作としてまとめ上げる。

油画研究AⅠ教授 矢野 哲也講師 稲川 豊

 学部で培った絵画表現を自己のものとして展開させていく。それに伴って必要となる技法や材料についても研究を行う。作品を介しての教員と学生との間でのディスカッションも重視し自己表現の立脚点を探究する。

油画研究AⅡ教授 矢野 哲也講師 稲川 豊

 テーマ、モチーフをより明確にし、制作を行う。また社会に向けての作品発表等も積極的に行っていく。自分の作品について文章化するなど、自己と表現との関係を見直し、主体性を持った表現者を目指し、2年間の研究の成果を修了制作としてまとめ上げる。  

油画研究BⅠ教授  塩川 髙敏准教授 小野 環

 作品に向き合うプロセスの中で様々な物質、媒体に触れていく。実験的試みを通じて表現の幅を広げ、方向性を模索していく。

油画研究BⅡ教授  塩川 髙敏准教授 小野 環

 各自の問題意識に基づく制作の継続。自己と表現の関係を様々な角度から見直し、より主体的自覚的に制作に取り組み、2年間の研究の成果を修了制作としてまとめ上げる。

デザイン研究Ⅰ教授  稲田 全示教授  野崎 眞澄教授  世永 逸彦准教授 桜田 知文准教授 髙岡 陽講師  黒田 教裕

 表現媒体や技術革新に対応した、素材と表現を研究する。地域との連携を主軸にしてデザインの社会性を追求する。

デザイン研究Ⅱ教授  稲田 全示教授  野崎 眞澄教授  世永 逸彦准教授 桜田 知文准教授 髙岡 陽講師  黒田 教裕

 デザイン研究Iの研究をもとに分析、探究を進め、新たな展開を探る。2年間の「デザイン」研究の成果を修了制作としてまとめ上げる。

尾道市立大学