ソバージュ栽培 マニュアル -...
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1、極力人間の手を加えず、トマト本来の自然な姿で栽培する。
2、設備はU字支柱とネットにマルチのみ、設備投資を大きく削減(右の画像参照)。
3、株間は80~100cm、条間、畝間は220cmとゆったり栽培。
5、葉の繁茂量も根も多くなるので、乾燥に強く、裂果や尻腐れの発生が少ない。
6、1株から2m以上の枝が20~30本出る大樹に育ち、多少の雨が降っても
果実の味にあまり影響を与えない。豊富な日射しと新鮮な空気を十分に浴びて特有の香り、コク、風味を増す。
上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下
寒高冷地
一般地
暖地
*晩霜に当たらない定植時期になるように播種を調整する。
*風通し、日当たり、排水性が良く肥沃な土壌を選ぶ
*一般地で8月上旬、寒高冷地で8月中旬に収穫のピークを迎える。
*黄化葉巻病が蔓延している産地では栽培しない。
*土壌病害(青枯れ・半身萎ちょう病など)の発生状況などを考慮し
接ぎ木の有無を検討する。
*株元の風通しと日当たりを良くするため、第2果房までの『わき芽』は
摘み、葉かきも行う。その後は通常のトマト栽培とは異なり、
『わき芽』は取らないで放任することで省力でき、生育のバランスをとらせる。
そうすることで大雨後でも玉割れが少なくなる。
*特に生育初期に主枝を垂直にしっかり誘引する。 *生育中後期は枝が茂り、下垂しないように、マイカー線でパイプに誘引する。
*梅雨明け、台風、長雨後は疫病、細菌病など防除のために薬剤散布する。
*関東では9月中旬以降の開花は低温で収穫までに至らないので、上部の花房の位置で摘心する。
摘心によって上段果実への日当たりが良くなり、熟期が速まり、未収穫果が少なくなる。
収量実績※
トン/10a
※収量実績はあくまで目安であり、保証するものではありません。※3姉妹以外のソバージュ栽培に適正を持つ品種は、下記に記載。いずれも3姉妹に比べると収量は落ちるので予めご了承下さい。ピッコラカナリア(3.5トン/10a)、プリンセスロゼ(4トン/10a)、トスカーナバイオレット(4トン/10a)、プチポンロッソ、プチポンカナリア、プチポンバイオレット(1トン/10a)、以上の6品種をソバージュ栽培する際にも、本手引きをご活用下さい。※記載の収量実績は2014年パイオニアエコサイエンス、宇都宮研究農場で実施の収量調査結果に基づく。
糖度輪紋病
【ソバージュ栽培向きの品種の特性 】(表-2)
5月
果色 果重草勢 果形節間
【 ソバージュ栽培の特徴 】
ソバージュ栽培暦(表-1)
【栽培の要点】
10月7月6月 8月 9月
播種 定植 パオパオ、育苗キャップ等 収穫
4、露地省力栽培のため、誘引や芽かきが軽減でき、ホルモン処理の必要がない。
レッド
シシリアンルージュ
ロッソナポリタン
熟期品種
極早生
ソバージュ栽培とは
栽培地2月
4~5トン
度
3月
6~7
7、ハウス栽培に比べ収穫の作業環境が涼しく快適。
*長期収穫を目指すために、ベットの予定幅に合わせて堆肥・元肥を施肥する。
用途
*主枝、わき芽はマルチ・地面に付かないように誘引する(病害虫の発生の抑止)。
4月
強早生
中 長
長
サンマルツァーノリゼルバ 40~60中生
レッドプラム
長 プラム強
中
中
強 サンマル レッド 6~8 5~6トン
3~4トン10~15
15~25
g
生食・調理
生食・調理
生食・調理
8~10
露地や雨よけで、野性的(ソバージュ)に育てる栽培方法を、わたし達は“ソバージュ栽培”と呼んでいます。
美肌トマト3姉妹(サンマルツァーノリゼルバ・シシリアンルージュ・ロッソナポリタン)は
ソバージュ栽培に適するように育種選抜されたトマトです。
チェックポイント「株間」 チェックポイント「スペース確保」 ☑寒高冷地:80cm ☑アーチの中の風通りを良くする。 ☑一般地・暖地:100cm ☑アーチの中でも収穫作業ができる。
1.圃場の選定と定植
【圃場の選定】
1、畝は南北に立て日当たりと風通し、排水の良い場所を選ぶ。
2、土壌病害を回避する為にも、連作はなるべく避け、接木苗を利用する。
3、全ての土壌病害虫抵抗性品種はないので、まず栽培圃場がどのような病害虫に侵害されているかを認識し、
その対象病害虫に抵抗性を持つ台木品種に接木する(青枯病など)。
【定植準備】
1、基本的には、堆肥・元肥を多めにし、肥効の緩やかな追肥や葉面散布で樹勢をコントロールし栽培する。
2、定植1~2週間前に堆肥・元肥を散布して耕うんする。ただし乾燥している場合は、充分に潅水してからマルチを
張る。(雨上がりの土壌水分が充分にある時に行うのが良い。)耕うんは低速でなるべく深く、少なくとも30cm以上は必要。
3、定植5~7日前に畝立て、マルチを張り地温の上昇を図る。(地温15℃以上を保持する。)
4、定植前日までには支柱を設置し、ネット張りを済ませておく。
支柱は、暴風、豪雨に耐えられるよう、筋違や足場パイプを付けて頑丈に作る。(別紙図3-1、図3-2参照)
通路幅を広くして風通しを良くすると葉の枯れや病気が少なくなるので、必ず2m以上のスペースをとる。
アーチの中でも、収穫作業をするため、高さも必ず2m以上のスペースをとる。
5、通路には防草マルチをすると、泥はね防止、圃場衛生、収穫の作業性の向上、雑草防除にとても役立つ。
(表-3) (kg/10a成分量)
成分 元肥 追肥 総量
N(窒素) 17 3~5 20~22
P(燐酸) 20 3~5 23~25
K(カリ) 15 3~5 18~20
※関東火山灰土における施肥例、有機質を含む緩効性肥料を使用することを想定。
※圃場によっては、苦土石灰、溶性燐肥(ヨウリン)を畝幅の範囲に各50kg/10aとして散布する。
【定植】遅霜の来ない安全な日を定植日に設定し、播種時期を決める。ソバージュ栽培ではやや若苗定植を推奨。
風雨による損傷を防ぐため定植後すみやかにテープナーや麻ひもで仮誘引し、主枝を固定する。活着してから主枝が直立するように本誘引する。
麻ひもによる誘引
ソバージュ栽培の手引き
オススメ資材 葉面散布に弊社の『ダッシュMEネオ 1000倍』、『アーキア酵素むげん 1000倍』、『PSコレイーネM-O 1000倍』を定期的に散布することをお薦めします。(光合成を活発にし、樹勢を回復させることにより、
2.圃場管理と収穫作業
【仕立て方と芽かき】
1、1~2段花房 (草丈50cmくらい)までわき芽をとり、株元の風通しをよくする。
2、草丈50cmから上部は芽かきを行なわず、省力する。
3、誘引は基本的に放任とするが葉が混んだ場合や垂れ下がってくる前に、
早めにテープナー等でネットに固定したり、風通しや日当たりを遮断する枝
はマイカ線で固定する。
【追肥】
1、追肥は、第3花房の開花時期以降から始め、樹勢をみながら実施する。
2、1回当たりの追肥量は、窒素(N)成分で3~5kg/10aとし通路に散布する。
尿素、硫安など肥効の急なものは望ましくない。
3、定植後2~3ヶ月後に収穫のピークを迎えるので、その前に葉面散布や追肥をしっかり行う。
【樹勢の強弱の判断】
樹勢が強い場合 (図-1) (図-2)
【収穫】1、原則として朝の涼しい時間帯(場合によっては気温の下がった夕方)に行い、収穫後も涼しい場所に置く。
2、収穫は2~3日毎、盛夏期は毎日行い、過熟による裂果を防ぎ、草勢低下を防止する。
葉面散布等で樹にスタミナを付け生育促進に努める。
【裂果】
1、収穫初めは降雨の影響で裂果するが、脇芽が伸びて樹が大きくなると雨が降っても裂果しにくくなる。
2、大雨等で裂果した場合、放置しておくと病虫害や着果負担の原因になるため、すみやかに割れた実をとる。
【病害虫防除】
1、使用する薬剤はJA,販売店に相談して使用事項を厳守する。
2、土壌病害・ウィルス等にかかった株は、発見次第抜き取り圃場の外に出して処分する。
3、アブラムシ・コナジラミは発生しやすいので予防としての定期農薬散布が効果的(例:7~10日毎)
3、収穫ピーク時期を過ぎると、老化が始まり枯れ葉が目立つようになる。また、灰色カビ病等にもかかりやすくなるので、
4、畝間に防草シートが敷いてあると、収穫作業の軽減、泥はね防止、病害虫の繁殖予防など圃場衛生にとても役立つ。
樹勢が弱い場合
※茎が太く、生長点付近がカー
ルしているのは樹勢が強すぎる
ので摘葉するか、整枝にて対応
する。また、追肥は控える。
※葉が細く、花柄も細く着果しないなど樹勢が弱い時は追肥、潅水を行う。
チェックポイント「放任しすぎはNG」 ☑生育初期はテープナー、枝数が多く
なれば、内・外両側からマイカ線で挟
んで固定。 ☑生育後半、高温期はテープナーで木陰を作る(リーフカバー)。 ⇒この作業が遅れて、枝が足元に垂れてくると、収穫がしにくくなります。
※寒高冷地:80cm
※一般地・暖地:100cm
販売形態紹介
青果物 観光農園として展開
☑1キロ程度入る箱にマウロトマト各種をアソートで詰め合わせる。※プチポン3品種を散りばめるように入れると、トマトの宝石箱の様に華やかになります。 ☑トマトのアーチは圃場風景として、見栄えも良く体験型の☑品種ごとに用意されているシールをパッケージに貼って差別化販売。 観光農園にはピッタリ。ハウスに比べて涼しく、収穫が快適。☑美肌トマト3姉妹を一緒にパックして、特製2つ折りレシピを入れて販売。 ☑収穫が作業時間の中で最も長くなるので、手間が省ける。☑カラフルなマウロトマトを一緒にパックして、カラフルコレクションのシール貼って販売。☑パッケージなしのバラ出荷 ☑農園訪問者に青果物・加工品の販売も可能。
☑ファビオを利用した生絞りジュース体験も提案でき、食育にも
加工品 繋げられる。☑来園者に出荷先の店舗や通販サイトを紹介することで
☑青果物の販売と合わせて加工品の販路も持つことで、経営の安定化・規模拡大を図る。 商品購入のリピーター客の発掘、農園のファンづくりが可能。
各種加工品 丸ごと冷凍 収穫体験型観光農園 ファビオを利用した加工体験ジュース・ピューレ・ジャムなど
支柱の設置図例
支柱の設置 (図3-1)
ネットの張り方 (図3-2)
☑マウロトマトのノボリを圃場近辺に設置し集客を図ることも可能。
ジュースメーカーファビオ(大・中・小型)
足場パイプ 200cm
50~60cm
90cm
220cm 220cm 220cm
キュウリネット 幅5.4m 18cm目合
足場パイプ
19mmパイプ
マイカー線
200cm 200cm 200cm 200cm
株間80~100cm
※紐等で 足場パイプと結束
テープナー等で ネットに誘引
19mmパイプ
チェックポイント 「風通しと収穫作業に十分なスペースの確保」 「支柱の強度」 ☑アーチとアーチの間の通路幅2メートル以上 ☑荷重の分散、台風対策のためできれば、19mm
☑アーチの中の通路幅2メートル以上 パイプ5本が望ましい。少なくても3本(実線箇所)は必要。 ☑アーチの中の高さ2メートル以上
やや高畝
風通しと快適な収穫作業環境の為にスペース確保を心がける。
栽培品種各項目の数値は
反当たりサンマツァーノ
リゼルバ ミニトマト 大玉トマト
場所 栃木 北海道 熊本栽培方法 ソバージュ 単棟ハウス 連棟ハウス栽培期間 6ヶ月間 8ヶ月間 11ヶ月間
用途 生食・調理 生食 生食単価/1kg ¥300 ¥529 ¥221総収量(kg) 5,000 4,086 12,283
売上総額 ¥1,500,000 ¥2,161,494 ¥2,714,543
出荷経費 選果料/KG ¥0 ¥0 ¥50選果料総額 ¥0 ¥0 ¥614,150
4KG箱、パック ¥75,000 ¥169,365 ¥199,599運賃(5円/1kg) ¥25,000 ¥20,430 ¥61,415
市場手数料(売上の8%) ¥120,000 ¥172,920 ¥217,163出荷経費合計 ¥220,000 ¥362,714 ¥1,092,377
生産費 苗代 ¥33,000 ¥43,000 ¥65,000農薬代 ¥8,000 ¥23,000 ¥84,000
農薬・肥料・ 肥料代 ¥38,000 ¥146,000 ¥160,000
苗代・資材費 雇用労働費 ¥0 ¥366,000 ¥79,000誘引資材その他 ¥30,000 ¥59,000 ¥46,000
光熱費 ¥0 ¥38,000 ¥273,000農機具、車両原価償却費 ¥20,000 ¥37,000 ¥47,000
施設減価償却費 ¥30,000 ¥53,000 ¥64,000その他 ¥4,000 ¥8,000 ¥48,000
生産費 合計 ¥163,000 ¥773,000 ¥866,000
¥383,000 ¥1,135,714 ¥1,958,377
¥1,117,000 ¥1,025,780 ¥756,166
292% 90% 39%
圃場準備(肥料、支柱、マルチ等) 作業時間 32 33 26
定植 作業時間 8 63 37
追肥 作業時間 2 1 5
育苗 作業時間 30 55 97かん排水・保温換気 作業時間 0 25 31
病害虫防除 作業時間 4 27 31
管理作業 作業時間 0 324 443
収穫 作業時間 250 418 304
出荷 パッキング 作業時間 60 114 62後かたずけ その他 作業時間 16 22 20
作業時間合計 402 1,082 1,056作業日数(8時間 ×2人) 25 68 66
作業労務費合計 ¥321,600 ¥865,600 ¥844,800
¥795,400 ¥160,180 (¥88,634)
※上記、サンマルツァーノリゼルバの収量は弊社試験農場の収量調査に基づく。
※比率・数値は品種や対象により異なります。
※天候・販売形態等により数値の変動はありえます。
※上記の比較はあくまで過去の実績に基づく試算であり、収入を保証するものではありません。
※大玉・ミニの出荷経費の選果料、運賃、市場手数料は、弊社による農協組合員からの聞き取り調査に基づく。
労務費(時給800円)
営業利益(農家所得-労務費)
ソバージュ栽培(露地放任)と施設栽培の反当たり収益性比較例
経費合計(出荷経費 + 生産費)農家所得(売上‐経費合計)
経営効率指標(農家所得÷経費)
※対象の大玉・ミニは独立行政法人統計センターの「平成19年産品目別経営統計」を参照。
経営効率指標は大玉(熊本)
に比べ7倍、 ミニ(北海道)
に比べ3倍効率的。
交配・温度管理・摘果は必要な
く、定植・芽かき・整枝・誘引が
大幅に省力化。作業時間は全
体で60%も短縮でき労務費も抑
えられる。
施設栽培では農家所得から労
務費を差し引くと赤字になる事
例も珍しくありません。一方、
サンマルツァーノリゼルバのソ
バージュ栽培ではきちんと利
益を確保。 大玉(熊本)に比
べ88万円、ミニ(北海道)に比
べ63万円の増収となった。
ソバージュの農家所得は大玉
(熊本)に比べ147%、ミニ(北海
道)に比べ109%と高い。
【結論】ソバージュは施設に比べ経費負担が圧倒的に軽く、売上が低い場合でも利益を確保しやすい。 本試算では大玉で88万円、他社ミニに対して63万円の増収となった。 ソバージュ栽培は反当たりの定
植本数が400~500本と通常の施
設栽培の1/5なので反当たりの
収量はハウス栽培に比べて決し
て高くありません。
生食・調理兼用なのでヘタ無し収
穫で歩留まり向上。業務筋への
出荷を想定して、本試算ではSMR
に二つ折りレシピ代は含みませ
ん。
ソバージュはきちんと防除をして
も ハウスに比べ農薬の散布量
もかなり少なめですみます。
施設栽培に比べて確実に導入と
継続の費用負担が軽い!初年
度50万円前後、2年目以降は資
材を再利用できるので20万円以
下!(初年度は支柱代が30万程
度かかる。10年で償却を想定。)