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1 ソニー研究 千葉大学 内山ゼミナール ソニー研究班

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1

ソニー研究

千葉大学 内山ゼミナールソニー研究班

2

目次

序章 はじめに

第1章 財務諸表分析

第2章 商品戦略

第3章 金融戦略

第4章 新たな取り組み

終章 終わりに

3

序章 はじめに

ソニー製品の全世界的な流通

ソフト時代に対応したコンテンツの充実

大幅な赤字の計上

経営を多角的に捉える必要性

4

第1章 財務諸表分析

八十島 泉

5

第1節 収益性分析

総資本事業利益率

(事業利益/総資本)資本の効率性を表す収益性の指標

ソニー単体では2002年以降マイナスとなっているが、連結では安定している。

総資本事業利益率

-4

-2

0

2

4

6

8

1999 2000 2001 2002 2003

年度

ソニー

松下電器

シャープ

ソニー連結

6

総資本経常利益率

(経常利益/総資本)企業の経常的な活動による収益性を表す指標

シャープ、松下が2001年以降改善されているのに対し、ソニーは年々下がっている。

総資本経常利益率

-4

-2

0

2

4

6

1999 2000 2001 2002 2003

年度

ソニー

松下電器

シャープ

7

自己資本利益率

(当期純利益/自己資本)自己資本の収益性を表し、配当の余裕度を示す指標

シャープ、松下が上昇しているのに対し、ソニーは年々下がっている。連結では高い値であるといえる。

自己資本利益率

-8

-6

-4

-2

0

2

4

6

8

1999 2000 2001 2002 2003

年度

ソニー

松下電器

シャープ

ソニー連結

8

売上総利益率

(売上総利益/売上高)利幅の程度を示す利益率の指標

ソニー単体では年々下がっているが、連結は非常に高い利益率を示している。

売上総利益率

0

5

10

15

20

25

30

1999 2000 2001 2002 2003

年度

ソニー

松下電器

シャープ

ソニー連結

9

総資本回転率

(売上高/自己資本)事業活動に投下された総資本の運用効率を示す指標

ソニー連結は非常に高く、少ない資本で大きな売上高を達成している。

総資本回転率

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

3.5

1999 2000 2001 2002 2003

年度

ソニー

松下電器

シャープ

ソニー連結

10

第2節 安全性分析

流動比率

(流動資産/流動負債)一年以内の短期の支払能力を見る指標

ソニー単体では短期の支払能力は低いといえる。

流動比率

0

20

40

60

80

100

120

140

160

1999 2000 2001 2002 2003年度

ソニー

松下電器

シャープ

ソニー連結

11

当座比率

(当座資産/流動負債)当座資産を用いることで、より確実な支払能力を表す指標

ソニーは過剰在庫を抱えているといえる。

当座比率

0

20

40

60

80

100

120

140

160

1999 2000 2001 2002 2003

年度

ソニー

松下電器

シャープ

12

自己資本比率

(自己資本/総資本)資本構成の健全性を判断するための指標

ソニー連結はかなり低く、資本の大部分を他人資本に依存している。

自己資本比率

0

10

20

30

40

50

60

70

1999 2000 2001 2002 2003

年度

ソニー

松下電器

シャープ

ソニー連結

13

固定比率

(固定資産/自己資本)固定資産への投下資金が自己資本で賄われているかを見る指標

ソニーは固定資産への投下資金を他人資本に依存してしまっている。

固定比率

0

50

100

150

200

1999 2000 2001 2002 2003

年度

ソニー

松下電器

シャープ

ソニー連結

14

第3節 セグメント別の状況セグメント別売上高および営業収入

4,758,400753,732

487,457

756,370

565,752

174,680

エレクトロニクス

ゲーム

音楽

映画

金融

その他

(単位:百万円)

15

第2章 商品戦略

山田和大

16

第1節 エレクトロニクス部門の戦略

2001年の売上高、営業利益がピーク、過去最高の数値

2002年、売上高低下、営業損失を計上しているものの、年々売上高は回復の傾向

2001年は、サイバーショット、VAIOの出荷台数が最高

2001年、メモリースティック対応携帯情報端末「クリエ」発売

2000年 2001年 2002年 2003年 2004年

売上高 4,671 5,455 4,897 4,940 5,286

営業利益(損失)

121 251 -35 41 -1

表1 エレクトロニクス部門の売上高及び営業利益(損失) (単位:十億円)

17

メモリースティックの商品戦略

1998年秋発売

音楽、映像などのコンテンツを保存できる。

様々な商品をつなげる“ネットワークメディア”としてサイバーショット、VAIO、など幅広い商品に採用

メモリースティックの戦略

対応機器購入→よりメモリースティックを活用したい

→他の機器もソニーの商品に買い換える

18

エレクトロニクス事業構造改革

2002年、2004年の営業損失→構造改革費用

2004年構造改革目標『営業利益率10%の達成に向けた体制構築』

国内を中心に固定費削減、販売、間接部門のスリム化

主力製品に資源を集中させ売上高増加を図る

構造改革費用増加による収益性の悪化→総資本計上利益率、総資本事業利益率の低迷

19

第2節 ゲーム部門の戦略

2001年…「PS2」導入初期

→立ち上げ費用、追加コスト発生で大幅な営業損失

翌年2002年の売上高は過去最高

2000年 2001年 2002年 2003年 2004年

売上高 655 661 1,004 955 780

営業利益(損失)

77 -51 83 113 68

表2 ゲーム部門の売上高及び営業利益(損失) (単位:十億円)

20

PS2の商品戦略

2000年発売

ネットに接続

→オンラインゲームが可能

PS2に直接、ゲーム、音楽、映画ソフトを有料で配信

DVDプレーヤー搭載

→ゲームソフト市場、DVDソフト市場の両方を牽引

PSX…DVDレコーダー搭載

PSポータブル…音楽、映画再生可能

⇒AV機器やあらゆるコンテンツとの融合

21

第3節 音楽部門の戦略

売上高は年々減少の傾向にある

2001年ごろからCDの違法コピー増加、売上の伸び悩み

2000年 2001年 2002年 2003年 2004年

売上高 707 612 600 598 560

営業利益(損失)

28 21 22 -8 19

表2 音楽部門の売上高及び営業利益(損失) (単位:十億円)

22

CD違法コピーの対処策

CCCD(コピーコントロールCD)の導入

規格外の製品、一部プレーヤーで再生できない

一部消費者の反感

→2004年11月、CCCD仕様のCD発売の終了

有料音楽配信サービス「bit music」開始

ファイル交換ソフトによる、ネットを通じた違法コピー

Apple社のiPod流行

⇒現時点では音楽業界の業績回復は期待できない。

23

第4節 ブロードバンド時代を意識した商品戦略

NACS(ネットワークアプリケーション&コンテンツサービスセクター)の設立

2002年度経営方針発表の際、設立を発表

エレクトロニクス、ゲーム、音楽や映画などのコンテンツをつなぎ、ネットワークサービス化を推進

⇒現時点では必ずしも業績は良いとは言えないが、ブロードバンド時代へ向けた体制を構築している

24

各事業のネットワーク対応化

エレクトロニクス部門

ホームネットワークサーバーとしてのVAIOの機能を強化

ネットワーク対応ホームAV機器を発売

⇒周辺機器やネットワークサービスを融合したトータル事業として利益の増加を図る

ゲーム部門

⇒ PSシリーズをテレビ、映画、音楽などのエンターテイメントの

プラットホームとして、ネットワーク対応化を進める

音楽部門

⇒ネットワーク配信へより重点を置く方針

25

第5節 今後の商品戦略

主力であるエレクトロニクス、ゲーム、コンテンツ(音楽や映画)部門の融合、ブロードバンド化

「ユビキタス」の実現

ソニーの事業展開の3つの柱(情報端末、配信事業、コンテンツ)が融合した商品を開発

⇒あらゆる分野へ積極的に事業を展開しているソニーだからこそなせる

26

第3章 金融戦略

佐々木理英

27

第1節 金融とは

エレクトロニクスの応用

多角経営

金融業務の展開

ソニー銀行他、6つの株式会社からなる

•民生用エレクトロニクスを用いた業務管理•ネットワークの多様による利便性の追求

28

第2節 業績

29

第3節 6つの金融会社

ソニー銀行

‘04年度4-6月期決算で5億円の赤字

⇔口座開設数・預金残高は増加傾向

‘04年度の生保、損保との連動商品

(個人年金商品、火災保険)

30

ソニー生保

金融分野の主力

経常利益上昇中、財務状態健全

⇒さらなる飛躍を目指し

外資と資本提携か

31

ソニー損保

経常損失を計上も縮小の見通し

正味保健収入の増加傾向

独自の保険商品の販売

(走行距離に応じた自動車保険、他)

32

ソニーファイナンスインターナショナル

頭文字「E」事業

「e-SCOTT」 「eLIO」 「Edy」

ネットショッピングを支える非接触カード

「FeliCa」

33

ビットワレット株式会社

プリペイド型電子マネーサービス「Edy」の

運営・推進が目的

ソニー他、業界を代表する11社の出資により開設(現在57社)

⇒今後の成長がもっとも期待

34

マネックス証券

経常利益前年同期比20倍の成長

夜間取引の充実、業界最低限の手数料

個人に身近な金融サービスを目指す

35

第4節 今後の展望

設備活用を通しての多角経営

⇒成長セグメントとしての金融

インターネット金融の利便性の浸透

実際に使用するための設備投資

36

多角経営戦略に伴う成長

グループの基幹はエレクトロニクス

⇒エレクトロニクス事業建て直しの必要性

企業としての社会的責任を果たす

37

第4章 新たな取り組み

永見 健一

38

第1節 環境への取り組み

・地球温暖化の対処

・資源の循環使用

・化学物質の管理

・自然環境保護

39

第2節 環境原価企画

ソニーのモノづくりの流れ

〈商品企画 ~ 設計 ~ 出荷〉

〈環境配慮〉 〈原価企画〉

・それぞれに担当者、セクションを設置し、三つの流れを一体にして環境減価企画を行う

40

環境原価企画2

ライフサイクルのステージ

輸送時 使用時 廃棄時

目標項目 ・小型化

・軽量化

・省エネルギー

・リサイクル容易性

・製品に含まれる化学物質管理

〈ライフステージと目標項目〉

ソニーHP 製品サービスの環境負荷低減

ライフサイクルの各ステージでの環境負荷低減のため、商品企画、設計の段階別に目標に対する達成状況を確認している。

41

環境原価企画の課題1

商品企画、環境部署、企画管理部署の意思の疎通、コミュニケーションの密接化

より戦略的な環境原価企画

マーケティングなどを通した多角的情報にもとづいた意思決定

42

環境原価企画の課題2

ライフサイクルコスティングの導入ex)包装材

環境配慮材→①倉庫での保管コスト②運搬コスト③廃棄物としての処理コスト

などのメリット環境無配慮材→原材料の価格においてコストが

低い〈課題〉

・ライフサイクル全般を通した価格の計算・エコノミーとエコロジーの調和のとれた意思決定

43

第3節 環境ビジョン〈ソニーの活動〉

・環境活動をネットワークカンパニーの業績評価に取り入れている

・ソニーの全世界共通の環境リスクマネジメントのガイドラインを持つ

・リサイクルの推進

・環境配慮型商品の導入

・情報開示

44

環境配慮型商品1・MDウォークマン 2000年9月発売

省電力化デバイスの開発により、世界最小・最軽量・最長時間再生を実現

業界初の塩化ビニルを使わないヘッドホンコードの導入

・デジタルビデオカメラ 2001年3月発売

プリント配線版のはんだ付けに無鉛はんだを使用

液晶バックライトに使われていた蛍光管を発光ダイオードに置き換え水銀の使用をなくした。

45

環境配慮型商品2

・このような商品に

Eco infoマークをつけ環境配慮を具体的にアピールしている

商品カタログ、包装材、取扱い説明書、宣伝媒体などにしようされている

46

第4節 まとめ

・環境会計をより効果的に行うことが課題

・ソニーは積極的な環境投資を行っていると言える

・情報開示により、企業ブランド力・モラルの向上といった企業イメージを得ている

・環境負荷に対する責任の明確化、将来を見越した経営を行っている

47

終章 終わりに

ソニー

「将来性」

企業として環境に配慮することで果たす責任

将来性と収益性ある部門への投資

エレクトロニクス部門の建て直し

48

主要参考文献

ソニーHP アニュアルレポート

川口洋司 『図解ソニーのコンテンツ戦略』

日本能率協会マネジメントセンター 2003

環境省 『環境会計ガイドライン』 2002

経済産業省 『環境会計手法ワークブック』 2002

谷澤秀雄 湯田雅夫 『環境管理会計概論』 税務経理協会

松岡建夫 『ソニー新世紀戦略』 日本実業出版社 1999