#02 美容師 お客様に輝いてほしい - nhk · − 2 − 高校講座・学習メモ 2...

6
− 1 − 高校講座・学習メモ ラジオ 学習メモ #02 今回は美容師の「秋 あき かず ゆき 」さんにお話を伺い ます。東京都渋谷区にある美容院に勤める秋田さ んは、専門学校で学び、美容師の免許を取得。そ して、美容師として働き始めました。ヘアメイクするときは、人の頭の 形や髪質に気をつかうだけでなく、一人一人のライフスタイルをも考え るそうです。そのため、コミュニケーションを大切にしてさまざまなこ とを聞き出しながらヘアメイクを施すそうです。「お客様一人一人に輝い てほしい」そう思いながら仕事をする秋田さんをご紹介します。 美容師 お客様に輝いてほしい 美容師とは 美容師は、ヘアカットだけでなく、メイクや着付け、ネイルケアなど、トータルに美を作り出 す仕事です。技術だけでなく、みなさんの個性やセンスが発揮できる仕事ともいえます。 美容師になるには 美容師として働くには、国家資格の美容師免許が必要です。 Q 免許を取得するには? (1)厚生労働大臣、または都道府県知事が指定した美容師養成施設に入学し、勉強します。 美容師養成施設は昼間の課程や夜間の課程、通信課程など、学ぶ人のライフスタイル に合わせてさまざまな課程があります。 また、中学卒業者を対象とした高等専修学校では高等学校卒業と同等の資格を取得で き、美容師国家資格の取得も目指せます。 (2)卒業後、理容師美容師試験研修センターが行う国家試験を受験し、免許を取ります。 美容院に就職が決まったら、ほぼアシスタントからのスタートとなるようです。店舗 にもよりますが、3年前後アシスタントとして働きながら、さまざまな研修を受けるこ とでスキルアップが望めます。 2018 年度末現在、美容所は全国に 25 万 1,140 軒あり、53 万 3,814 人が美容師 として働いています。 (2018 年度厚生労働省調べMC・リポーター 米野真織

Upload: others

Post on 16-Oct-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: #02 美容師 お客様に輝いてほしい - NHK · − 2 − 高校講座・学習メモ 2 美容師 お客様に輝いてほしい 美容師・秋田一行さんに聞きました!

− 1 − 高校講座・学習メモ

ラジオ学習メモ

#02

今回は美容師の「秋あき

田た

一かず

行ゆき

」さんにお話を伺います。東京都渋谷区にある美容院に勤める秋田さんは、専門学校で学び、美容師の免許を取得。そして、美容師として働き始めました。ヘアメイクするときは、人の頭の形や髪質に気をつかうだけでなく、一人一人のライフスタイルをも考えるそうです。そのため、コミュニケーションを大切にしてさまざまなことを聞き出しながらヘアメイクを施すそうです。「お客様一人一人に輝いてほしい」そう思いながら仕事をする秋田さんをご紹介します。

美容師お客様に輝いてほしい

美容師とは

美容師は、ヘアカットだけでなく、メイクや着付け、ネイルケアなど、トータルに美を作り出す仕事です。技術だけでなく、みなさんの個性やセンスが発揮できる仕事ともいえます。

美容師になるには

美容師として働くには、国家資格の美容師免許が必要です。

Q免許を取得するには? (1)厚生労働大臣、または都道府県知事が指定した美容師養成施設に入学し、勉強します。

美容師養成施設は昼間の課程や夜間の課程、通信課程など、学ぶ人のライフスタイルに合わせてさまざまな課程があります。

また、中学卒業者を対象とした高等専修学校では高等学校卒業と同等の資格を取得でき、美容師国家資格の取得も目指せます。

 (2)卒業後、理容師美容師試験研修センターが行う国家試験を受験し、免許を取ります。美容院に就職が決まったら、ほぼアシスタントからのスタートとなるようです。店舗

にもよりますが、3年前後アシスタントとして働きながら、さまざまな研修を受けることでスキルアップが望めます。

2018 年度末現在、美容所は全国に 25 万 1,140 軒あり、53 万 3,814 人が美容師として働いています。(2018 年度厚生労働省調べ)

MC・リポーター

米野真織

Page 2: #02 美容師 お客様に輝いてほしい - NHK · − 2 − 高校講座・学習メモ 2 美容師 お客様に輝いてほしい 美容師・秋田一行さんに聞きました!

− 2 − 高校講座・学習メモ

2 美容師 お客様に輝いてほしい

美容師・秋田一行さんに聞きました!

お店の中にコーヒーの木があって、その木から豆を収穫して皆で飲んだり、夏には子どもたちが集まったりして、お祭りのようなイベントをしているそうです。フレンドリーで、奥渋*にぴったりなサロン…という雰囲気でした。インタビュー中に、ときどき秋田さんのパートナー、猫のルーク君が、「何してるの?」ってのぞきに来てくれました。

美容師になりたいと思ったきっかけについて

米野:早速なんですけど、美容師になりたいと思ったきっかけを教えてください。秋田:もともと母親が美容師で、叔母と祖母も美容師だったんですけれど、ちっちゃいころから

この仕事は見て育ったというか。なんですけど、ちっちゃいころは、僕は美容師になりたいというふうには思ってなかったんですけれど、母親を見ていて…というので、あまり興味がなかったんですけれど、僕、秋田県出身なんですけど、大学で陸上やっていて、こっちにくる機会があって…。

米野:じゃぁ、もともとは陸上を目指して東京に出てこられて…。秋田:そうですね。最初埼玉に住んでいたんですけれど、今働いている所に叔母が働いていたの

で、その関係で渋谷に髪を切りに来るっていう。それで渋谷っていう場所も知りましたし。こういう美容室があるんだっていうのも知りましたし…っていうのがきっかけなんですけど…。

米野:ご実家に居られたときは、なんで興味がなかったとかって、なんか理由があったりするんですか?

秋田:僕の祖母が「美容師はいいよ!」っていうのをちっちゃいころからスゴイ言っていて、逆に言われすぎちゃって、なんかそんな決められても…みたいな感じに思っちゃった部分があるんですけれど。

米野:押し付けられてるじゃないけど、反抗したくなる…みたいな。秋田:だったんですけど、違う世界を見てというか、いいな。やってみたいな。というのが

ちょっとづつ出てきて、あとはこう…働いている人たちがメチャクチャ輝いていたっていう…。

米野:それ素敵ですねやっぱり。働いている人に魅力を感じて始められた。じゃぁお母さんとかも、最初は大学に行かれたから、美容師にはならないかも…って思われていた?

秋田:たぶんそう思っていたと思いますね。米野:じゃぁ最終的になってくれて、おばあちゃんとかは喜んでいる感じですよね。

米野リポート

(*奥渋谷の通称:渋谷駅や原宿駅から 10 分ほど歩いたエリア)

Page 3: #02 美容師 お客様に輝いてほしい - NHK · − 2 − 高校講座・学習メモ 2 美容師 お客様に輝いてほしい 美容師・秋田一行さんに聞きました!

− 3 − 高校講座・学習メモ

2 美容師 お客様に輝いてほしい

秋田:そうなんですよ。祖母も美容師になってアシスタントを最初はするんですけれど、その時にも近所には住んでいたので、いろいろ手伝ってくれたりとか、見てくれたりしていたので。

米野:家族が同じ職業で、それを見られるのって逆にすごいソワソワしちゃうのかなって思っちゃうんですけれど…。

秋田:最初はちょっとこう、恥ずかしい部分もあったんですけれど、勉強することのほうが多くて…、もうみんなを使ってやってましたね。ブローのモデルさんもお願いしましたし。

米野:ご家族にですか?秋田:そうですね。米野:じゃぁ皆さん協力してくださって、無事美容師一家を継いでいく感じになられたんですね。

そこから美容師になりたいと思ってから、どうされたんですか?秋田:大学を4年間行って卒業はしたんですけど、美容師免許は持っていなかったので、そこか

ら美容師免許を取りに学校に行きました。で、専門学校2年間なんですけれど、入学した時には4つ下の人たちばかりだったので、まぁちょっとギャップというか、あったんですけれど、そこで頑張らなきゃいけないというのは強かったので…。

ここで美容師として働いているんですけれど、ここで夜、学校が終わった後に3時間ぐらいアルバイトをして、営業が終わってからシャンプーやカラーやパーマやカットや…っていう練習をしてました。

米野:学生さんのころから、ここに通われて練習されていた。秋田:そうですね。ここで美容学校時代に練習していて、やっぱり美容学校ではシャンプーが一

番上手でした。先生と一緒に友達に教えてました。米野:そんなに? じゃぁ秋田さんが先生みたいな感じ。秋田:やったら、やるだけうまくなるので…。米野:その分、経験とか練習に時間を費やした分、成果が出ているってこと?秋田:そうですね。米野:もともとバイトをされていて、実際に就職して

みて変わったこととか、実際にどうでしたか?秋田:お客様とかかわることが多くなって、アルバイ

ト時代は学生もやっていたので、まだ学生という気持ちのほうが強かったので、ちゃんと正式に就職ってなって入社してからは、スタッフも厳しくなりましたし、自分の中では切り替えてというか、そこはすごい変化がありましたね。

米野:同じ場所だけど、しっかり気持ちが切り替わったんですね。あの美容師さんて、アシスタントさんのころが大変だな…と思うんですけど、ここまでどうやってやってこれたんですか?

秋田:そうですね。大変ですね。なんですけど、やったらやった分だけ上手になるっていうのが自分の中で感じることが出来るので、やったことが次、やってみたら出来た!っていうのはスゴイはっきりわかる職業…というか。なのでそれによって、例えばお客様が喜んでく

Page 4: #02 美容師 お客様に輝いてほしい - NHK · − 2 − 高校講座・学習メモ 2 美容師 お客様に輝いてほしい 美容師・秋田一行さんに聞きました!

− 4 − 高校講座・学習メモ

2 美容師 お客様に輝いてほしい

れたりとかっていうのも日々感じられたりとか出来るので、そこが一番アシスタントのとき、もうちょっとこの技術を練習してみようとか。もうちょっと今度はシャンプーのやり方変えてみたら、どんな感じになるかな…っていうので毎日やっていたかもしれないですね。

今思えばあっという間に過ぎちゃってたんですけど、まぁやっぱり2年~3年は普通にかかるので、でも後々時間が経ってみるとあっという間で、あの時はあぁだったな…みたいな感じでしたね、やっぱり。

米野:アシスタントの期間があって実際にお客様の髪を切るってなるとき、どうでしたか?秋田:緊張しました。米野:やっぱりそうなんですね。緊張するのか楽しみなのかどうなんだろうと思って…。秋田:半々だったかもしれないですね。やっぱりお客様に入ったら失敗は出来ないですし、お客

様が喜ぶ顔が見たいっていうのが一番だと思うんですけど、いかに自分が出来る技術を100%出せるか…っていうのに必死でしたね。

米野:お仕事での失敗ってありますか?秋田:アシスタント時代はいっぱい失敗しました。営業中に失敗っていうのは、あんまり無いで

すかね。無いですけど、ひとつ。失敗というよりは、難しいなって思うことはあって、やっぱり

一人一人お客様って頭の形も違えば、髪質も違えば、ライフスタイルも違うじゃないですか。そこでその人に合った髪を作るっていうのが難しくって、そこをいかにその人個人の中に入り込むかっていうか、いろいろ聞き出せるかっていうところが難しくって、そこから僕らもヘアスタイルを考えたりとか、お客様に喜んでもらえるヘアを作ったりするという感じなので、そこが一番難しくって…。そこがうまく行ったときは嬉しいんですけれど、やっぱりこう…自分の中でも、ちょっとあれは違ったかな…って思うことがあったりはするので、そこが…失敗ではないんですけれど、また次こういうスタイルを提案してみようとか、そういうふうな考えにはなりますね。

米野:実際に技術的失敗かな…っていうことよりもやっぱり、face to face でかかわっていくから、どれだけイメージを合わせられるかみたいなことが日々頑張られていることですか?

秋田:そうですね。

いつも使っている道具  

米野:では、秋田さんがいつも使っている道具を見せてください! 私はハサミが何個あるのかが気になっていて…。

秋田:僕は3丁。米野:皆さん3つくらいですか? ハサミは?秋田:いや、人それぞれなので、決まってはいないですね。たぶん

2丁の人もいると思います。シンプルに。

Page 5: #02 美容師 お客様に輝いてほしい - NHK · − 2 − 高校講座・学習メモ 2 美容師 お客様に輝いてほしい 美容師・秋田一行さんに聞きました!

− 5 − 高校講座・学習メモ

2 美容師 お客様に輝いてほしい

米野:そうなんですね。どうやってこれを選んだんですか?秋田:美容学校で一回、自分で買うんですけど、それって本当に安いやつで、切れ味も本当に良

くないんですけど、安いやつからちょっとずつ使って、こういう使い心地があるんだなって。形もちょっとなじむような形になっていたりとか。

米野:指入れるところとかも大事そう。秋田:そうですね。毎日切るので。

コミュニケーションの取り方

米野:私、お話をさせてもらっていて、秋田さんコミュニケーションがすごい上手な方だなと思うんですけど、やっぱり苦手な人とかもいるじゃないですか。そう思っている高校生に何かアドバイスってありますか?

秋田:僕も最初のころはすごい苦手なほうだったので、あんまり人と話すのも本当に緊張しちゃって出来なかったんですけど、美容師になってから日々の仕事の中で勉強したりっていうので、培ってきた部分ではあるんですけれど、まぁこれからコミュニケーションいろいろ取りたいとかって考えている人に対しては、自分の好きなものとかをより追求するじゃないですけど、人それぞれ好きなものって違うと思うので、まずは自分が好きなものってなんだろうって考えて、自分の好きな所から、そういういろんな人の生活だったりとか、話を聞くじゃないですけど、そこでたぶんいろんな友達だったりとか、知り合いだったりとかは増えていくと思うので、そこでやっぱり自分の好きなものっていうと話しってしたくなると思うんですよね。

なので、そこでコミュニケーション能力というかコミュニケーションがより取れてくると思うので、そこから自分の中でいろいろ考えていったりとか、話をしていったりっていうのはひとつ手かもしれないですけどね。悩むことは大事だと思います。いろいろ悩んであれやってみよう、これやってみようって、実際やってみたほうがいいと思いますね。で、それが良かった、悪かったっていうのは、自分の中で経験しないと分からないことでもあったりはするので、そこから自分がなりたい職業とか、今後自分の仕事としてやっていきたいのは、どんどん出てくるとは思うんですけれど、そういうのが出てきたときに1個目標を立てないと、気持ち的にはブレてしまうので、1個これをやってみようって決めたらトコトンやってみた方がいいと思います。それでだめだったらだめで、また次何か他

Page 6: #02 美容師 お客様に輝いてほしい - NHK · − 2 − 高校講座・学習メモ 2 美容師 お客様に輝いてほしい 美容師・秋田一行さんに聞きました!

− 6 − 高校講座・学習メモ

2 美容師 お客様に輝いてほしい

のことを探せばいいとは思うんですけれど。米野:ちゃんとまず、最初に目標を立てて、それにトライしてみる。秋田:ちっちゃいところでいいと思うんです

よ。最終的におっきく目標を立てすぎて、やっぱり無理だって挫折する人もいると思うので、まぁ今も僕もそうなんですけれど、日々、これやってみよう、これやってみようって、ちっちゃいことの繰り返しではあるので、そこを積み重ねていくというか。でもやっぱり僕は美容師として今働いていてお客様をきれいにしたい、かわいくしたい、かっこよくしたい…というのはブレずに仕事はしているので、そこだと思います。

★美容師に必要なスキルは何だと思いますか?

★もし自分がそのスキルを伸ばすなら、どうすればいいと思いますか?

★もしあなたが美容師になったら、利用客にどのようなおもてなしをしますか?