10分で分かる気管支喘息発作のキホン

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梶原 浩太郎 2016.3 初期研修医のための 救急外来での 喘息発作のキホン

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Page 1: 10分で分かる気管支喘息発作のキホン

梶原 浩太郎

2016.3

初期研修医のための

救急外来での

喘息発作のキホン

Page 2: 10分で分かる気管支喘息発作のキホン

初期研修医

あまり内科系が得意ではない

後期研修医

「コハク酸エステルはゆっくり

点滴すればアスピリン喘息でも

大丈夫」って知ってるレベル

10分で

読めます

ごめんなさい

読むのは

時間のムダです

Page 3: 10分で分かる気管支喘息発作のキホン

初期研修医や後期研修医向けに,

• 覚えやすく

• 無難

をモットーに編集しています

Page 4: 10分で分かる気管支喘息発作のキホン

喘息発作は

吐けない・吸えない

陸で溺れるしんどさ

迅速に対応しましょう

Page 5: 10分で分かる気管支喘息発作のキホン

発作でしんどいところ,スミマセン

問診で聞いておくこと

鑑別

心・肺疾患の既往歴.現行の治療薬.

アレルギー・副作用歴(特にNSAIDs).

発作を起こした契機.受診前の発作薬の使用.

ハイリスク群

1年以内の発作入院歴.挿管歴.

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発作でしんどいところ,スミマセン

問診で聞いておくこと

聞ける状態でなければ,大発作 治療を急ごう

① 付き添いの方に聞く

② お薬手帳

吸入ステロイド,テオフィリン,気管支拡張薬,β-blocker

Page 7: 10分で分かる気管支喘息発作のキホン

喘息発作の治療

(喘息管理・予防ガイドライン2015より)

Page 8: 10分で分かる気管支喘息発作のキホン

喘息発作の治療

歩行不能

会話困難

SpO2≦ 90%

大発作

Page 9: 10分で分かる気管支喘息発作のキホン

喘息発作の治療

(喘息管理・予防ガイドライン2015より)

Page 10: 10分で分かる気管支喘息発作のキホン

喘息発作の治療

帰宅可能ライン

(喘息管理・予防ガイドライン2015より)

Page 11: 10分で分かる気管支喘息発作のキホン

大まかな

当院救急外来での発作治療 ① メプチンユニット1本+インタール

1本をネブライザー吸入

② リンデロン8mg+生食50ml div

SpO2 > 94% SpO2 ≦ 90%

ほとんど帰宅可 ほとんど入院

呼吸器内科call

Page 12: 10分で分かる気管支喘息発作のキホン

当院救急外来での発作治療

SABA頓用 1st choice

メプチンユニット1本+(インタール1本 or 生食2ml)を

ネブライザー吸入

最初の1時間は20分ごとに.以後1時間ごとに.

2回やっても改善なければ,入院を考慮.

Background

当院救急外来にはネブライザーが常備

メプチン・インタールはユニットが簡便でお勧め

(企業HPより画像引用)

Page 13: 10分で分かる気管支喘息発作のキホン

当院救急外来での発作治療

SABA頓用 2nd choice

持参のメプチンエアー・メプチンスイングへラー・サルタ

ノールインヘラー,シムビコート 1~2吸入.

最初の1時間は20分ごとに.以後1時間ごとに.

2回やっても改善なければ,入院を考慮.

Background

当院救急外来にはスペーサーがない.

吸入力低下などで吸えないことがある.

ネブライザーは吸入力減弱やタイミングを合わせなくても吸入可能.

(企業HPより画像引用)

Page 14: 10分で分かる気管支喘息発作のキホン

当院救急外来での発作治療

ステロイド点滴

1st choice

リンデロン 8mg+生食 50ml div を 100ml/h

2nd choice

ソル・メドロール 80mg+生食 100ml divを 100ml/h

Background

ガイドラインでは投与量に幅があり,mPSLやPSLが推奨.

アスピリン喘息でも,緩徐に点滴すればコハク酸エステルで良い.

当院救急日ではアスピリン喘息か分からないことが多い.

点滴が早く落ちてしまうと発作リスクあり.

Page 15: 10分で分かる気管支喘息発作のキホン

当院救急外来での発作治療

テオフィリン 1st choice

テオフィリンは入院してから.

2nd choice

アミノフィリン(250) 1A +生食 250 ml div

テオフィリン中毒を避けるため,最初の半量を15分で入れ,残りを45分

で入れる.ただし,テオフィリンが1日600 mg以上投与されている場合

や,テオフィリン血中濃度が 8 μg/ml以上のときは,半量以下に減量す

る.

Background

時間外はテオフィリンは測れない.時間内でも結果が出るのに1時間.

点滴時間の調節が大変

Page 16: 10分で分かる気管支喘息発作のキホン

当院救急外来での発作治療

SAMA

1st choice

持参のアトロベント 1回2吸入

2nd choice

入院してから,スピリーバレスピマット 1日1回 1回2吸入

Background

・SAMAは当院で採用していないので,長時間作用型抗コリン薬のスピ

リーバで代用する

Page 17: 10分で分かる気管支喘息発作のキホン

当院救急外来での発作治療

エピネフリン皮下注 1st choice

呼吸器内科に相談してから ボスミン 0.1~0.3 ml 皮下注

虚血性心疾患,緑内障,甲状腺機能亢進症は禁忌.

妊婦は避けた方が良い.

脈拍>130 /minなら避けた方が良い.

不整脈や心停止の可能性があるため必ずモニターする.

Background

エピネフリンを使う時は他剤無効の大発作であり,呼吸器内科で行う方

が望ましい

Page 18: 10分で分かる気管支喘息発作のキホン

当院救急外来での発作治療

「しない方が良い」こと

• NPPV装着

• ムコフィリン吸入 刺激で発作が増悪しうる

• 心不全と判別がつかないときのボスミン皮下注

• アスピリン喘息か不明なときのコハク酸エステル急速静注 ソルメドロール,ソルコーテフ、水溶性プレドニゾロン

• テオフィリン急速静注 テオフィリン中毒を起こす

Page 19: 10分で分かる気管支喘息発作のキホン

当院救急外来での発作治療 NPPVをつける重症度なら挿管

重積発作では

• 痰が詰まり窒息しやすい

気管支鏡で吸痰

• 換気維持のためにHigh PEEPを要することがある

• 発作が治まれば,抜管できる可能性はかなり高い

Background

ファイバー挿管などの挿管設備が整っている

Page 20: 10分で分かる気管支喘息発作のキホン

当院救急外来での発作治療

軽症例を帰宅させるとき

• かかりつけを持っていなければ,必ず近医

かかりつけを持つよう勧める

• 発作時処方を渡す

メプチンエアー 発作時2吸入 30分あけて4回まで.

PSL (5) 6T/3×N 数日分

• 同居者がいるか確認

重積発作では電話で救急車も呼べない

Page 21: 10分で分かる気管支喘息発作のキホン

電子カルテ

「新規文書作成」

「呼吸器内科」にあり

Page 22: 10分で分かる気管支喘息発作のキホン

施設や状況により

合わせて使うもの

ガイドラインは

一言一句守らなけ

ればならないもの

ではない

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