2010/9/10c-faculty.chuo-u.ac.jp/~nakagawa/h22-seikeishi/01(h22-09...2010/9/10 1 -1919世紀...

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2010/9/10 1 19 19世紀ヨーロッパ社会の基底にあるもの- 世紀ヨーロッパ社会の基底にあるもの- 中川洋一郎 平成22921西洋経済史第1回「概要説明」 昭和25年 東京生まれ 中央大学経済学部教授 専攻 フランス現代経済史 担当 西洋経済史 最近の研究テーマ (1) フランス自動車産業の歴史 (2) 世界経済のジャパナイゼーション (=日本化) (3) 左翼全体主義の生成・展開・崩壊 中川洋一郎 (20) (1)教科書の該当ページを読む (2)HPからレジュメ・資料をダウンロードする (3)HPで参考動画を観る HPへの行き方 中央大学経済学部キャンパスonline 専任教員ホームページ 中川洋一郎 西洋経済史 はじめに 受験勉強と大学での学問 I. 日本人と韓国人 一見,似ているけれどもII. ヨーロッパ社会の生成 蛮族が襲ってきた III. 19世紀ヨーロッパ社会の特質 人民が階級闘争 を戦って勝利した IV. 日本社会の特質 -古代から連続した社会- V. 大学で,どう学ぶか? -現実をよく見て,自分の頭で考 える-

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    --1919世紀ヨーロッパ社会の基底にあるもの-世紀ヨーロッパ社会の基底にあるもの-

    中川洋一郎

    平成22年9月21日

    西洋経済史第1回「概要説明」

    � 昭和25年 東京生まれ� 中央大学経済学部教授

    � 専攻 フランス現代経済史

    � 担当 西洋経済史

    � 最近の研究テーマ

    � (1) フランス自動車産業の歴史

    � (2) 世界経済のジャパナイゼーション(=日本化)

    � (3) 左翼全体主義の生成・展開・崩壊

    中川洋一郎 (20歳)

    � (1)教科書の該当ページを読む

    � (2)HPからレジュメ・資料をダウンロードする� (3)HPで参考動画を観る

    HPへの行き方� 中央大学経済学部キャンパスonline→� 専任教員ホームページ→� 中川洋一郎→� 西洋経済史

    はじめに - 受験勉強と大学での学問 -

    I. 日本人と韓国人 - 一見,似ているけれども… -

    II. ヨーロッパ社会の生成 - 蛮族が襲ってきた -

    III. 19世紀ヨーロッパ社会の特質 - 人民が階級闘争を戦って勝利した -

    IV. 日本社会の特質 -古代から連続した社会-

    V. 大学で,どう学ぶか? -現実をよく見て,自分の頭で考える-

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    � ■■ Japan On the Globe(569)■国際派日本人養成講座■■■■

    � 国柄探訪:「みんな仲良く」の日本人「俺が俺が」の韓国人

    � 日本人の「お手々つないでみな帰ろ」が、

    � 韓国人にはなぜできないのか。

    • 韓国ウォッチャーとして著名な産経新聞ソウル支局長・黒田• 勝弘氏が、ソウルで韓国人の年配の知り合いと会った時に、日• 本の童謡の「夕焼け小焼け」が話題になった。

    • 夕焼け小焼けで日が暮れて 山のお寺の鐘がなる• お手々つないで みな帰ろ カラスも一緒に帰りましょ

    • その知り合いはしみじみとこう言った。

    • 日本ではカラスまで一緒にさそって、みんな手をつない• で仲良くしようというんですよねぇ・・・。それに比べる• と韓国人は、この「お手々つないでみな帰ろ」ができない• んです----。

    • 別の韓国人は、しばらく日本に駐在してから韓国に帰ってき• た。子供たちも日本の学校に通っていて、韓国の学校に戻った• のだが、何かにつけて遅れをとって困ると言う。

    • ボール遊びとか、教室に先を争って入るとか、何かを受け取っ• たりするときなど、「先を争ってわれ勝ち」という場面で、自• 分の子供は弱い。その原因はどうも日本での教育のせいではな• いか、と言う。日本の幼稚園や小学校では「みんな仲良く」• 「みんな一緒に」と、絶えず協調を教えるために、それになじ• んでしまった子どもが、韓国の学校では遅れをとってしまう、• というのである。

    • 日本人と韓国人は隣人どうしで、外見もそっくりのため、お• 互いに自分と似ていると考え勝ちだが、実は似ていない点も多• い。そして、そこにそれぞれのお国ぶりが現れるのである。

    • 「みんな仲良く」の日本人と「俺が俺が」の韓国人の違いがど• こから来ているのか、韓国の著名な作家である李炳注氏は次の• ように語っている。

    • ・・・日本人にある、いやおう盛ですらある協同のマナ• ーもしくは精神がどうしてわれわれにはないかということ• は、実に不可思議なことですけれども、この不可思議な問• 題を可能なところまで追求してみるのも重要だと思います• ね。・・・

    • 私は漠然とですが、恒心という問題を提起してみたいと• 思います。結論からいえば、わが民族は恒心を持たない民• 族、恒心を持ちえない状況の中に生きている民族だと私は• 思います。・・・

    • 韓国人と日本人を比較するとき、周囲の環境をつきつめ• てみなければなりません。安定した環境である程度の確立• した社会に生きる人びとと、常に不安定で価値の乱れた社• 会に住む人びととを対等に比較することはできませんよ。• [2,p4]

    • 安全で平和な島国である日本では、お互いに仲良く力を合わ• せて仲良くやっていくことが、幸福への道であった。時折、台• 風や地震が襲ってくるが、それらも皆で力を合わせて乗り越え• ていく。そうした社会では、恒心、すなわち、安定した価値観• と心持ちを持って、生きていくことができる。

    • それに対して、半島国家である韓国は、周囲の大国のパワー• ゲームの舞台とされやすい。朝鮮半島は古代から中国と日本の• せめぎ合いの舞台であり、近代に入ってからは、ロシアやアメ• リカが加わり、さらに国土も南北に分断されて軍事的対立の中• で生きてきた。韓国国内も親中派、親日派、親露派、親米派な• どに分裂し、抗争が続いてきた。そのような不安定な社会では• 「みんな仲良く」などというのは絵空事である。「俺が俺が」• と他人を押しのけ、生き延びていかねばならない。

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    社会科学の基本的な構造は,社会科学の基本的な構造は,1919世紀のヨーロッパで確立された世紀のヨーロッパで確立された

    �似ていると言われている韓国との間でさえ,このように明確な違いがある.

    �社会科学(法学,経済学,商学,社会学…)は,19世紀ヨーロッパで確立された.

    �では,その本質的な性格は?

    �日本の現実にそのまま当てはまるの?

    � 4世紀から6世紀,「民族大移動」

    → ヨーロッパ社会の枠組みが定まった.

    � さて,その「枠組み」とは?

    征服と支配

    → 少数の征服者(民族A)が多数者(民族B)を支配する

    フン族の来襲フン族の来襲The Huns (1The Huns (1--5)5)

    突然の急襲.襲われた村々の悲劇.

    匈奴からフンへ(西への移動).ローマが送った人質.反転弓という革命的な武器.「奇妙」な生活実態

    ゲルマン諸王国とビザンツ帝国(6世紀初頭)

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    乾燥地帯シナ

    ロシア

    イスラム

    インド

    第二地帯

    西ヨーロッパ

    第一地帯

    日本

    ユーラシア大陸における勢力圏- 梅棹シェーマ -

    平成19年11月06日(火)

    �階級闘争による歴史が基底に流れている

    �支配し,搾取してきた非生産者たち(奴隷主→封建領主・貴族→地主→資本家)への執拗かつ激烈な敵意

    �域内では,虐げられた人々(奴隷→農奴→農民→労働者)による自由と権利の獲得過程が,ヨーロッパの「栄光」の歴史

    �対外的には,他地域の征服・支配による世界のヨーロッパ化という,「栄光」の歴史

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    フランス共和国国歌「ラ・マルセイエーズ」 “ LA MARSEILLAISE ”作詞・作曲:ルジェ・ド・リール

    Allons, enfants de la Patrie, Le jour de gloire est arrivé.(さあ、祖国の子供たちよ、栄光の日がやってきた)

    Contre nous, de la tyrannie, L'étandard sanglant est levé,(我らに向かって、暴君の血塗られた御旗がはためいている)

    L'étandard sanglant est levé.(血塗られた旗がはためいている )。

    Entendez-vous, dans les campagnes, Mugir ces féroces soldats?(戦場で、どう猛な兵士たちがうごめいている音が聞こえるか?)

    Ils viennent jusque dans nos bras, Egorger nos fils, nos compagnes!(息子や仲間たちの首をかっ切りに、ヤツらは我らの元へとやって来ている)

    Aux armes, citoyens, Formez vos bataillons!(武器を取れ、市民たちよ、そして軍を組織せよ!)

    Marchons, marchons, Qu'un sang impur Abreuve nos sillons!(進め、進め、あの汚れた血を我らの田畑に飲み込ませてやるのだ)

    フランス国歌(La Marseillaise)

    中川洋一郎試訳

    行け,祖国の子らよ 栄光の日は来ぬ

    此方(こなた)に迫り来る 暴君の軍旗,血まみれの軍旗

    戦場(いくさば)に響き渡る 非道なる敵 わめき

    奴らはすぐそこだ 子らと仲間を殺しに

    武器だ,市民諸君,列をつくれ

    進め,進め,汚れた血よ 大地にしみこめ

    �征服はあったが,民族A(弥生族?)による民族B(縄文族?)の支配は長続きしなかった→ 日本人として融和が進んだ

    �土着の人々(農民)からの武士の台頭

    → 権威は天皇に,権力は武家に→ 日本に「階級闘争」は存在しなかった→ 天皇を頂点とするなだらかな社会

    君が代は

    千代に八千代に

    さざれ石の

    いわおとなりて

    こけのむすまで

    歌詞の出典.初出は延喜5年(西暦905年)『古今和歌集』(古今和歌集巻七賀歌巻頭歌、題しらず、読人しらず、国歌大観番号343番)

    奴隷制奴隷制

    � 近代的な雇用は、人間を時間ぎめで売り買いする行為であり、奴隷売買の経験があった国では、労働市場は奴隷市場の代替物ないし近代版であると意識される。したがってそれらの国では、できるだけ奴隷の記憶を呼び起こさないように、労働市場、したがって労使関係がつくられている。それゆえ労働者の自由を保障することが至上命令なのである。これに対して奴隷売買の経験のない国(例えば日本)では、無神経に奴隷的要素が導入される。/例えば「終身雇用」は日本では労働者の忠誠心と企業者の親心をあらわす美徳--封建的であるかもしれないが、とにかく美徳--と考えられがちだが、ヨーロッパではこういう一生にわたる固縛は、奴隷的と見なされる。 (pp.69-70)

    � 「正解のない世界」で生きる

    → 自分で自分の「正解」を見つけるしかない

    → 現実をよく見て,たくさん本を読んで,自分の頭でとことん考える