消費税増税に賛成?反対?(2012/9/25)
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Yahoo!みんなの政治が実施した高校生向け授業(2012/9/25@玉川学園高等部)で使用した資料です。 2014年以降に実施される消費税増税の目的や賛成・反対それぞれの代表的な意見を記載しています。TRANSCRIPT
参考資料
消費税増税に賛成?反対?
作成:Yahoo!みんなの政治 監修:言論NPO
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はじめに
消費税が2014年4月1日より8%、2015年10月1日より10%に 引き上げられることになりました。 生活に大きな影響を与える消費税が、どんな目的で導入されるのか、また、 消費税増税に対する賛成・反対の代表的な意見を確認して、 今後の実施について賛成すべきか、反対すべきかを考えてみましょう。
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消費税増税の目的は?
■社会保障の充実・安定化
■財政健全化
消費税増税の目的は大きく2つあります。
それぞれについて、次のページから詳しく確認していきます。
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社会保障の充実・安定化
出生率の低下で子供の数が減るのと同時に、平均寿命が伸びることで、 総人口における高齢者(65歳以上)の割合が急激に増加しています(少子高齢化)
4 出所:日本の財政関係資料 – 財務省 http://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/related_data/sy014/sy014f.htm
主要先進国の中で 日本は最も高齢化が
進んでいる
65歳以上の対総人口比
社会保障の充実・安定化
少子高齢化が進むと、2050年には「1人の働き手が1人の高齢者を支える」 という厳しい社会(少子高齢社会)になります。
5 出所:日本の財政関係資料 – 財務省 http://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/related_data/sy014/sy014f.htm
2000年 2025年 2050年
社会保障の充実・安定化
少子高齢社会で社会保障を実現するための費用を安定的に調達するため、またお年寄りや体の不自由な方の生活を助ける「介護」、少ない負担で病気やけがの治療ができる「医療」など、様々な分野の「社会保障」を充実させるために、消費税の増税分のすべてが活用されることになっています。
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項目 主な充実内容
子育て 保育所を増やすことで、子供を保育所に預けられない問題(待機児童問題)を解消する など
医療・介護等 低所得者の国民保険・介護保険料の軽減 など
年金 低年金となる低所得の高齢者の年金額を加算 など
出所:社会保障と税の一体改革 – 財務省 http://www.mof.go.jp/comprehensive_reform/gaiyou.pdf 8ページ http://www.mof.go.jp/comprehensive_reform/sankou.pdf 19ページ
財政健全化
日本は毎年の国債発行(借金の増加)が積み重なり、債務残高(国の借金の総額)は、世界の中でも最悪の水準に達しています。
7 出所:平成24年度予算政府案 – 財務省 http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2012/seifuan24/yosan005.pdf 7ページ
債務残高は、 GDP(その国の人が1年間に稼いだ
お金の合計)の2倍以上 財政危機のギリシャよりも
悪い状態に
財政健全化
国の収入と支出(歳入、歳出)を見ると、借金の返済額よりも新たに借りる借金のほうが大きくなっています。その結果、国の借金は増え続けています。
8 出所:日本の財政関係資料 – 財務省 http://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/related_data/sy014_21_2.pdf 1,2ページ
国の支出 歳出内訳(平成22年度一般会計予算 )
国の収入 (歳入内訳:平成22年度一般会計予算 )
借金の返済額20.6兆円
収入の48%が 新たな借金 (44.3兆円)
財政健全化
財政状況が悪化した欧州の国々は、信用を失ったことから新たな借金ができなくなり、社会保障費の大幅な削減や大幅な増税などが行われています。
9 出所:社会保障と税の一体改革 – 財務省 http://www.mof.go.jp/comprehensive_reform/gaiyou.pdf 19ページ
財政健全化
10 出所:財政の健全化に向けた考え方について – 財務省 http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia231209/00.pdf 資料16
このまま国の借金が拡大すると、将来世代の負担が拡大していきます。国から 得る利益(受益)と国に支払う費用(負担)の合計(純受益)の格差は60歳以上と将来世代では1億円近くになります。
財政健全化
信用を失う前に財政を健全化するため、消費税増税を中心とした 様々な取り組みを行おうとしています。
11 出所:社会保障と税の一体改革 – 財務省 http://www.mof.go.jp/comprehensive_reform/gaiyou.pdf 25ページ
消費税増税に対する賛成意見
■すべての世代で薄く広く負担できる(公平性)
■景気などの影響を受けない(安定性)
■国債暴落の可能性を避ける(緊急性)
消費税増税に対する代表的な賛成意見としては以下のようなものがあります。
それぞれについて、次のページから詳しく確認していきます。
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すべての世代で薄く広く負担できる(公平性)
13 出所:財政の健全化に向けた考え方について – 財務省 http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia231209/00.pdf 資料17
少子高齢化によって、総人口における現役世代(20歳以上64歳以下の)の 割合は減少しています。そのため、主に現役世代が負担する所得税よりも、 65歳以上の高齢者にも負担してもらえる、すべての世代が薄く広く負担する 消費税のほうが公平性が高く、少子高齢社会の財源に適しているのではないかという考え方です。
景気などの影響を受けない(安定性)
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所得税や法人税とは異なり、消費税は景気や人口構成の変化の影響を 受けにくいため、少子高齢社会における安定的な財源になるという考え方です。
出所:社会保障と税の一体改革 – 財務省 http://www.mof.go.jp/comprehensive_reform/gaiyou.pdf 23ページ
国債暴落の可能性を避ける(緊急性)
日本は国内に1500兆円近い金融資産があるため、国内で国債を購入してもらい やすく、金利も安定していると言われています。しかし、今後債務残高(国の借金)が 拡大して国内で購入できる限界を超えてしまうと、状況が変わる可能性があります。
15 出所:社会保障と税の一体改革 – 財務省 http://www.mof.go.jp/comprehensive_reform/gaiyou.pdf 18ページ
消費税に対する反対意見
■低所得者ほど負担が大きい(逆進性)
■歳出の見直しができていない
■景気への悪影響
それぞれについて、次のページから詳しく確認していきます。
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消費税増税に対する代表的な反対意見としては以下のようなものがあります。
0.00%
1.00%
2.00%
3.00%
4.00%
5.00%
6.00%
7.00%
8.00%
9.00%
10.00%
0
1
2
3
4
5
6
7
8
百万
消費支出(左軸)
消費税額/年収(右軸)
低所得者ほど負担が大きい(逆進性)
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消費税を導入すると低所得者のほうが年収における消費税額の割合が高くなる (逆進性がある)ため、不公平が発生するという考え方です。
出所:平成21年全国消費実態調査 年間収入階級・年間収入十分位階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出 総世帯から作成 http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/Xlsdl.do?sinfid=000008306483
世帯年収別の「消費支出」と「消費税額と年収の割合」
年収(万円)
歳出の見直しが出来ていない
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国の歳出は毎年増加しており、特に高齢化の進行に伴って社会保障関係費が急増しています。支出の増加は消費税増税だけでは負担しきれないのですが、その見直しについては先送りされています。
出所:社会保障と税の一体改革 – 財務省 http://www.mof.go.jp/comprehensive_reform/sankou.pdf 34ページ
440,000.00
450,000.00
460,000.00
470,000.00
480,000.00
490,000.00
500,000.00
510,000.00
520,000.00
530,000.00
名目GDP
景気への悪影響
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消費税の増加は景気の悪化を招くという考え方です。過去には1997年の消費税増税後に、それまで増加していたGDPは減少を始めました。
年次GDP実額(2011年度、名目)- 内閣府 http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html
1997/4 消費税3%→5%
(十億円)
2008/9 リーマンショック