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=JASTPRO広報誌電子版のご案内= 裏表紙にJASTPRO広報誌電子版のご案内を掲載しておりますので、ご参照下さい。 448 2016- 02 一般財団法人 日本貿易関係手続簡易化協会 今月号の内容 記事1. ◇連載◇ 貿易の実務と理論(16)………………………………………………… 1 早稲田大学名誉教授 椿 弘次 記事2. 平成27年度「JASTPROセミナー」を開催(結果報告)…………………………… 10 記事3. 国連CEFACTからのお知らせ ……………………………………………………… 12

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裏表紙にJASTPRO広報誌電子版のご案内を掲載しておりますので、ご参照下さい。

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一般財団法人 日本貿易関係手続簡易化協会

今月号の内容

 記事1. ◇連載◇ 貿易の実務と理論(16) ………………………………………………… 1      早稲田大学名誉教授 椿 弘次

 記事2. 平成27年度「JASTPROセミナー」を開催(結果報告) …………………………… 10

 記事3. 国連CEFACTからのお知らせ ……………………………………………………… 12

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記事1. 貿易の実務と理論(16)

早稲田大学名誉教授 椿 弘次

はじめにつとに説明してきたように、貿易実務は、国際売買、物流、決済・金融、貿易管理(WTO, WCOなどを基にする関税関連法)から成る複合領域である。複合領域であるため、説明の便から、慣習的に信用状付荷為替決済モデル(four-corner modelと呼ばれ、主として売買と決済関係者を中心にする取引モデルが使用されている。本誌No.439, p.12参照。)を基に説明されてきた。この事情は、今日でもあまり変わっていない。しかしながら、そのモデルが世界的に見て安定的に確立したのは、第二次世界大戦後、日本では1960年代前後であった。その後の諸変革を反映して、「船荷証券の危機」、あるいは「荷為替の危機」と一般に呼ばれる事情が広く浸透してきている。この危機は、1980年代から顕著になり始め、Incoterms 1990において、コンテナによる国際複合一貫運送を利用する取引も想定した三つの取引条件(FCA, CPT, CIP)が再定義されたことで、強く印象付けられた。すなわち、輸出者が輸入者に提供すべき運送書類に船荷証券と並んで非流通性海上運送状も含まれることが定められた1。これは、国際荷為替モデルの合理性と限界を再検討する重要な契機となった。また、外国為替取引の自由化、海外投資の規制緩和なども加わり、日本企業の国際的展開が一層進捗し、本支店間、親子会社間の取引が増える一方、加工組み立て型の製造業を中心に部品供給に関する長期の企業間関係の確立、製造委託契約に基づく自社ブランド品の一手引取りを委託者が請け負うOEM契約の増加など、資本・技術も絡む長期契約も増えてきた。これらの事情は、単発取引(one-shot contract)ベースの国際荷為替モデルの見直しを促した。今回は、信用状付荷為替決済モデルの合理性を最初に説明し、次いで、今日の事情においては国連CEFACTが提唱する業務フロー・モデルへの移行が望ましいが、その移行に必要な貿易実務上の前提とそれを踏まえた荷為替決済モデルの見直しの試みに若干言及してみたい。

1.信用状付荷為替決済---貿易取引の基本的管理モデルとして貿易は国際売買として、原理的には、国内売買と変わるところはほとんどない。すなわち、契約品の提供

に対して、代金の支払いを交換的に行う原則に則る。しかし、貿易は、法域(jurisdiction)を異にする国際間の取引であり、必然的に隔地者間取引になる。このため、国際運送中の物理的事故の危険を伴い、決済通貨の選択により、当事者双方もしくは一方に、為替変動に対する危険負担が生じる。取引当事者の財務的信用や取引履行における信頼性(integrity)に対する不安が、国内取引以上に大きいことが少なくない。これに、国際政治経済情勢の変動に伴う不可抗力的事情の変動が加わるので、種々の取引危険に対処する措置を契約上工夫しなければならない。そのような配慮を貿易取引慣習として洗練したものが、CIF系の取引条件であった。運送関係書類を中心

に、荷為替手形の附属書類を整え、それにより契約履行の証拠とし、為替手形を輸入者宛てに振り出して国際商業銀行経由で支払請求することにより、契約品の提供と代金支払いの同時交換の原則を、書類面

1  Incoterms 1990(ICC Pub.No.460), CIF A 8(売主の義務、引渡し証拠、運送証券またはこれと同等の電子メッセージ)参照。

◇連載◇

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で実現することにした。運送中に契約品に生じる物理的危険は、貨物海上保険に転嫁するとして、そのような保険手配の義務を輸出者に課すことで、荷為替取引において銀行から見ると附属書類に海上貨物保険証券が加わり担保を強化できる意味も与えられた。また、契約品の提供を運送書類を含む売買関係の書類の提供に置き換え、本船への契約品の積込をもって、一応、契約品に生じる物理的危険の負担を輸入者に移転させることにした。契約品の出荷をもって契約履行の完成とし、書類による取引の迅速処理を狙いとした。これに、手形付属書類と引き換えに銀行が荷為替金融を提供することで、輸出者の資金回転の効率を高めたところにも、CIF慣習の合理性が見られた。日本の港から北米西岸の諸港まで、港湾荷役に要する時間を含めると1カ月以上を要した時代には、これらの点はとても重要であった2。荷為替手形の副担保としての運送証券が、この取引モデルの要であった。すなわち、船荷証券(Bill of

Lading; B/L)制度の国際的な確立が、CIF慣習を支え、前述の通り、海上貨物保険証券(Marine Policy)が銀行から見た担保面でB/Lを補強する仕組みであった。したがって、売買契約上も、商業信用状における提供書類の条件でも、B/Lの記載要件が重要であった。提供されるべきB/Lは、国際統一条約のヘーグ・ルールズに準拠し(したがって、艙内積=under deck

stowage)、直航で契約運送全区間をカバーし、運送品の状態が外観上良好(clean)で、納期限内の船積完了を記載した船積確認済(shipped, on board)、かつ運送賃支払済(freight-prepaid)で、指図人式(order)で発行され、契約品のみを記載し、発行全通数をセット(full set)にして提供することが条件であった。これらの要件は、必ずしもコンテナ運送を利用する取引には円滑に妥当しないものである。CIF慣習が、国際コンテナ運送との間で齟齬を生じるので、理論上はそのような運送による国際売買にはCIF取引慣習を選択すべきでないことになる。にもかかわらず、国際コンテナ運送を用いる貿易取引に、IncotermsのCIF規則もしくはCFR規則を援用すると売買契約上は本船の手すり(ship's rail)を運送品の物理的危険移転の仕切りとすることになり、運送契約におけるCY(コンテナ・ヤード)またはCFS(コンテナ・フレート・ステーション)における運送人への荷渡しをもって運送責任の開始とする原則との間にずれが生じ、売買契約と運送契約の間の調整が必要になった。売買当事者間でこの調整を明確に取り決めておかないと、CYもしくはCFSと本船の手摺通過までの間に生じる恐れのある物理的事故の処理と負担について、紛議の発生が懸念された。独立対等当事者間取引では、国際政治経済情勢や輸入者の財務状況などにより、国際荷為替手形の

引受・支払拒否の可能性が残るから、それをカバーする商業信用状が重要な機能を果たしている。そして、売買契約の履行準備に着手するときには、既にこの信用状が開設され、輸出者に通知されていることが、決済保証の仕組みとして原則的な実務になる。そして、信用状に基づく決済条件(信用状条件)は、売買条件を適当に反映し、両条件の充足が重要になる。このように、売買、物流、決済・金融を一まとめにして商業信用状で体系的に業務処理する仕組みは、貿易実務の基本の習得として、極めて有益であった。それが、永年、貿易実務の必須の中味として講じられてきたことに結びついている。しかしながら、CIF売買は、多数の書類によって履行される取引であり(CIFの書類売買性)、信用状付荷為替決済は、信用状に定める書類の記載内容、通数、有効性などの条件充足を前提に、取引一件毎を対象にするものである。取引の電子化にとり、それらの書類の電子化の難易が問われ、とりわけ船荷証券(言

2  朝岡良平『貿易売買と商慣習』東京布井出版、第3版、1981、M. Bridge, The International Sale of Goods, 2nd ed. Oxford U.P., 2007 Part I参照。

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い換えれば、有価証券)の電子化に多くの課題があり、各種の試みが行われた3。さらに、信用状付荷為替決済は、金融取引として書類の記載と信用状に定める要件の形式的(あるいは文面上の)合致を要求し、売買契約上許容しうる実質的一致が、信用状付決済では通常許されない4。このため、荷為替の取り組みに際して、銀行が慎重な書類審査を行うので、自ずと決済までに多くの時間を要する5。その結果、契約品の仕向地到着に遅れて、関係の荷為替書類が到着することが、特に、近距離の国々

との貿易取引には稀ではなかった。さらに、著しく迅速になったコンテナ運送による遠距離の国際運送を伴う貿易取引でも、同じ現象が目立ってきた。これが、狭義の「船荷証券の危機」である。

2.広義の「船荷証券の危機」他方、繰り返し同じ相手と取引し、信用・信頼関係が深まると、信用状付荷為替に対する必要性が低下し、

信用状なしの決済に移行する。それは、支払渡し条件(documents against payment; D/P条件)、引受渡し条件(documents against acceptance; D/A条件)の決済条件である6。D/PあるいはD/A条件ならば、荷為替手形の使用になるので、依然として船荷証券の危機は残る。しかし、貿易を行う企業の国際的な組織展開が進むと、親子会社間あるいは本支店間取引が増え、信用状付荷為替決済そのものが、送金決済に切り替わったり、一定期間の取引をまとめて包括的に決済する(言い換えれば、精算後に貸し借りを相殺し、その残高を送金決済する)ことも行われるようになると、取引書類と決済の間の結びつきがゆるめられる。さらには、船荷証券に代えて、迅速簡便な運送品の引き取りを容易にするため、海上運送状(Sea Waybill; SWB)が使用されると、それが船荷証券自体を使用しないという意味での広義の「船荷証券の危機」になろう。あるいは、それを「荷為替決済の危機」と呼ぶ方がむしろ相応しいだろう。ただし、SWBや航空運送状(Air Waybill; AWB)を使用して、取立サービスを依頼する輸出地の銀行の輸入地におけるコルレス先を、それらの書類上の荷受人にするいわゆる銀行荷受人方式(bank consignee)では、「船荷証券の危機」に類似の事態は残るが、「荷為替決済の危機」には必ずしも該当しないだろう。なお、このほかに、「船荷証券の危機」への対応については、①船荷証券の原本または写し1通の輸入者宛て直送(fax送信による)、②荷為替付属書類の1セットを通知銀行宛てに直送する(分送方式)、③B/Lの元地回収(surrendered B/L)、④Sea Waybillの使用、⑤送金決済への移行などがある。しかし、いずれも、four corner modelの関係者を、それぞれ十分満足させるところに至っていない。とりわけ、①、③、および④では、担保確保の点で、銀行から見て難点がある。したがって、それらは、銀行から見て本支店間取引や親子会社間取引のように、売買当事者の信用が確実な場合に限られよう7。

3  末尾に掲げる文献のうち、奈良順司氏の論考を参照されたい。4  信用状統一規則(UCP 600)Art.14.aおよび荷為替信用状に基づく書類点検に関する国際標準銀行実務(ISBP) ICC Pub. No.681参照。

5  前注に掲げるUCP 600とISBPにより、書類点検の基準が示され、「厳格一致の原則」に言う厳格性が緩和されたので、提示書類と信用状条件の不一致(discrepancy)の事案は少なくなると期待される。しかし、大手商業銀行は、この書類点検を外為センターで集中的に処理する仕組みにしている。輸出地の受付銀行で書類が受け取られても、このセンターでの点検確認が終わるまで、信用状に基づく決済を輸出者は待たなければならないから、時間の節約効果は必ずしも大きくないだろう。

6  Uniform Rules for Collections(1995);ICC Pub.No.522参照。この取立統一規則を背景に、銀行の荷為替取引副書が顧客に適用され、銀行は為替手形を担保にとって、取立サービスを提供する。

7  航空運送による貿易取引の場合、有価証券性のない航空運送状(AWB)を使用するので、そこでの貿易実務を参考に「船荷証券の危機」への対応が本文に説明するような試みとして行われたと思われる。

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商業信用状に依らずして、決済リスクを他に転嫁する方法として売掛債権などを買い取るファクター(factor)の利用や、売買債務を引き受けるコンファーミング・ハウス(confi rming house)のサービスを利用する方法がある(これに機能的に類似する取引は、商社に委託して輸出入するいわゆる間接貿易取引であろう)。償還請求権を放棄して(non-recourse)、期限付き荷為替、言い換えれば流通性証券を買い取るファクター取引は、フランス語では、an àforfait transactionと呼ばれ、英語でforfaitingと呼ばれている8。媒介もしくは締約の代理を行う代理商が、本人に対し相手方の支払い保証を付けるとき(支払保証代理、del credere agency)も、信用状は利用しないだろう。その意味では、これらは「商業信用状の危機」と呼ぶべき例かもしれない。要するに、「船荷証券の危機」は、信用状なしの決済につながり、かつ、契約履行リスクの管理を、しか

るべき契約履行を前提とした商業信用状による個別管理から、「万が一にも契約が不履行になれば補償する」との包括的保証への転換を示唆していると見ることができる。その背景には、SCM(supply chain management=供給連鎖の管理)やAlliance(企業提携)ならびにConsortium(共同事業)と呼ばれる企業の組織間連携が増え、組織間業務管理の電子情報化の課題があるのは確かだろう。その場合でも、船荷証券の電子化が必要かどうかは、それに要する費用対効果の比較の上で検討すべきことだろう9。

3.信用状付き荷為替から包括的保証に基づく貿易実務の電子化(TSU)へ国際取引の管理モデルを、包括的保証と組織間連携の組み合わせに移行させるのは、容易な課題では

ないと思われる。国際取引量と取引件数の増大には著しいものがある。10万トンを超える大型コンテナ船が9,000TEUほど

のコンテナを運送する時代であり、専門的貿易企業に限らず、貿易事業サービスが各種提供されるようになり、国内取引中心に経営される企業でも比較的容易に貿易取引に参加することができる時代である。しかし、貿易取引は相当多数の情報を活かして、取引危険を経済的に管理する必要がある。コンテナ船の大型化に見られるとおり、取引規模の経済性が顕著に働くので、貿易実務を束ねて一定規模を維持することも重要である。すなわち、取引情報の正確な管理と分析に基づく取引危険の管理および規模の経済性の二点において、市場の競争環境に耐えられるよう、創意工夫することが絶えず企業人に求められている。今日、貿易企業の外側にあるのがTSU(trade service utility)およびBPO(bank payment obligation

=銀行支払確約(売買契約などから独立した取消不能の約束))である10。このセットによる国際荷為替類似の取引モデルが国際商業銀行によって提案されている11。TSUとBPOのセットによる取引管理モデルを採用する場合には、貿易取引企業はこの管理モデルに合わ

8  これには、ICC Uniform Rules for Forfaiting(URF 800)が用意されている。Schmitthoff The Law and Practice of International Trade , 12th ed.(by C.Murray et al.), Sweet & Maxwell(2012), p.269以下および一般社団法人金融財政事情研究会『海外進出支援実務必携』同会刊、2014、p.168参照。

9  詳細は、後掲の文献一覧の内、檜垣拓也論文、『国際金融』1249号に譲る。10  この3.の表題では「包括的保証」としているが、BPOは前提条件付き銀行支払確約であるから、厳密には正確ではない。しかし、TSUサービスのみ利用し、単純な請求払い保証(=simple demand guarantee)でBPOを置き換える選択もありうるので「包括的保証」と題している。

11  SCMを主宰し、多数の企業を束ねる中核的企業は、TSUに倣ってメンバー企業間の業務管理システムを運用し、グループ内決済管理センターを設け、多角的相殺と送金決済を企図するかもしれない。その場合でも、SCM内の取引情報システムの全体的統一が前提になるだろう。

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せた取引情報システムをTSUシステムに、SWIFTのメンバー銀行を介して接続するか、取引情報をそのメンバー銀行に提示してTSUシステムに合わせたData Setの入力 を銀行に依頼する必要がある。すなわち、このセットはSWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)12の銀行間標準メッセージ(ISO 20022 Trade Service Management=TSMT)に、国際商業会議所(ICC)の統一規則(URBPO, ICC Pub. No.750E)を標準約款として取扱基準とするものである。SWIFTメンバーの銀行が、取引情報のゲイト・キーパーになって、貿易業者の情報を点検し、必要ならば標準メッセージにして情報入力を代行してくれる仕組みである。言い換えれば、TSUはSWIFTメンバー銀行間システムであり、貿易企業がこの銀行間システムに直に接続できるわけではない。これの業務手順を図示すれば、以下の通りである。

当事者関係の大枠は、従来の商業信用状の当事者関係に類似している。それに、TSUシステムが加えられ、従来の荷為替附属書類と信用状条件の銀行窓口における照合確認がこのシステムで電子的に行われ、当事者の申請により信用状に代え、BPOによる支払確約が付帯されている点が注目される13。輸出入者間の売買契約が起点になり、①双方が発注書情報をそれぞれの取引銀行に提示もしくはデータ送信し、売買契約条件に従いBPOによる銀行支払確約を申請する。②それらの情報が所定のフォーマットにより入力されて、TSUの中で合致(matching)が確認されると”Established Baseline”となり、その後のSWIFTによるTSUシステムの業務処理の基準になる(これを、Baselineの確定と呼び、商業信用状の発

TSU/BPO取引の流れ

出典:SWIFTの資料を基に檜垣拓也氏作成の図による

12  詳細は、中島真志『SWIFTのすべて』東洋経済新報社、2009年参照。13  これは、Trade Cardの仕組みにおける合致エンジン(compliance engine)にTSUが取って代わり、信用保険会社による保証に代えて、コルレス関係にある取引銀行が貿易取引当事者に銀行支払確約を付帯させる仕組みと思われる。後掲の文献一覧のうち、奈良順司「貿易金融電子化の系譜」『日本貿易学会誌』No.52(2015), pp.28-38ならびに檜垣拓也論文、国際金融、No.1249, p.80参照。

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行銀行による信用状の開設通知と受益者による内容確認に相当する。URBPO Art.3 一般的定義(Baseline)参照)。実際には、Baselineの確定のために、必要ならば、発注書(Purchase Orderなど)の修正が行われ、その確定後に商流情報の合致の通知がTSUシステムから売買当事者双方に発信される。それを受けて、③輸出者が、契約品を出荷し、運送書類(documents)を整えて取引銀行に送り、取引銀行は書類情報(CIP条件の売買であれば、Invoice, B/L, Marine Policyなどの書類)を書類の写しの提供ないしは書類データの送信を受けてTSUシステムにData Set(URBPO Art.3 一般的定義(Data Set)参照)として入力する。他方、それらの書類の原本は、荷受のために輸入者宛てに輸出者から直送される。TSUシステムは、Baselineと入力された物流情報(Data Set)のmatchingを行い、その結果を双方の取引銀行に通知する。Matchingが確認されるとBPOに基づき資金振替操作により輸入者側の銀行から輸出者側の銀行の指定口座に支払資金が振り込まれる。④この段階で、matchingの確認がない(Data Mismatchという)と、従来のdiscrepancy(信用状条件と提示書類の不一致)に該当する。その場合、売買当事者が協議の上、Baseline Amendment Requestを取引銀行を介してTSUシステムに送り、相手方銀行がそのRequestを受諾すると、Baseline Amendmentが確立し、確立したAmendmentがRequestを発した銀行にTSUシステムから通知される(URBPO Art.4 メッセージの定義(Baseline Match Report, Baseline Amendment Request, Amendment Acceptance)参照)。その後、③の後段の処理が行われる。⑤BPOに基づく決済が完了すると、輸入者はその取引銀行に資金を償還して、Baselineの閉鎖手続きが行われる。このように、TSU・BPOは、dataを扱うのであって、dataの背後にある紙の書類、物品、役務の履行を対象としない(URBPO Art.7)。商業信用状と同様に、TSU・BPOは、実体の売買などの取引契約から独立しているものである。

以上により、荷為替附属書類と信用状条件の点検・照合に時間がかかり、かつ、外為センター方式により、そこへ受付銀行から書類が送付されて集中的に専門の行員による処理が行われてきたために要した時間も節減され、決済が迅速になるメリットが見込まれる。また、荷為替附属書類の種類と通数が抑えられ、書類情報の作成と処理が簡素になる点も魅力的であろう。TSUシステムは電子情報システムとして、運用経費が廉価になるだろうと見込まれている14。

4.TSU・BPOについての留意点TSU・BPOについては、留意し確認しておくべき点が幾つかある。輸出入者間の信用が十分に確立していないとか、取引当事国の政治経済事情が不安定などの事情で、輸入者の代金決済の確実性を取消不能信用状で補強することが、貿易金融の便もあって、広く採択されてきた。その要は、当事者の信用(財産)を担保に手形を用い、さらに、売買対象の運送品を流通性証券を用いて担保にとり、信用供与者である銀行の安全性(換言すれば担保)が確保できることにある。取引当事者(輸入者)にとっては、契約の確実な履行が信用状条件と種々の提示書類との合致により確保されることであった。これに対し、銀行手数料や保証料など取引経費が嵩み、多数の提示書類の点検・照合に相当の時間を

14  その他様 な々利点が、檜垣拓也氏により説明されている。『国際金融』第1249号(2013年6月1日)、pp.76-77参照。

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要し、特に、コンテナ運送による迅速な物流を阻害する「提示書類の遅着問題」が深刻になっている。これを解決せんとする電子的貿易取引の試みが様々に行われてきたことは、周知のとおりである15。これらに対し、導入されようとしているTSU・BPOのセットによる貿易決済モデルは魅力的に思われる。しかし、2013年に提案され、2014年7月1日にBPOに関するICC規則が公表され実用に供されてから、まだ日が浅い。すなわち、この規則の日英対訳版は、2015年2月に、ICC日本委員会により発行されたばかりである。したがって、有効・有益性を評価するには、未だやや時期尚早であろう。電子情報システムは、迅速廉価な情報伝達手段で、魅力的である。しかしながら、標準化されたメッセー

ジの交換では機械的な厳密性が要求されるので、Baselineの確立に必要な情報の精粗をどの程度にするのかにより、Baselineの確立に時間を要するかもしれない。仮に、CIP系の売買条件を使用するとすれば、契約品の出荷を確認するのに、運送書類、インボイス、保険証券の他に、各種証明書類をどう取り扱うのかが課題として残るだろう。これに原産地証明書類を含めるか否かも検討しなければならない。TSU・BPOのセットの考え方からすれば、可能な限り簡素なData Setにしたい。取引相手方の信頼性との兼ね合いで、そのような簡素なData Setに同意したくないこともあろう。これも、微妙な検討課題だろう。契約品としての運送品を担保に取る仕組みではなく、「企業の財務的信用」を前提とするBPOという仕組

みでは、その経費の多寡に加え、銀行の財務・信用審査力が問われる仕組みでもある。それを取引一件毎に行うのは煩瑣になりかねないから、同様の取引に一定期間適用することになろう。さらに、運送書類の原本は、輸出者から輸入者に直送されるので、担保性を維持するために指図式の船荷証券が発行されたにもかかわらず、代金未払い(すなわち、支払銀行に対する償還不履行)のまま運送品が輸入者に持ち去られる危険も残る。このため、輸入者の信用の緊密なモニタリングが必要だろう。また、SWIFTメンバー銀行によるData Setの入力手数料、当初のTSU内にある確定したBaselineの修正に伴うBaselineのAmendment経費など、考慮すべき課題も残っていると思われる。これらの課題如何によっては、取引頻度が高く、取引額が多い取引関係者間(とりわけ、SCMメンバー間では、取引1件毎の決済ではなく、定期的精算による一括送金決済が資金管理面でも好まれる)では、TSU・BPOのセットの魅力が割り引かれる懸念は残るだろう。いわゆる中小の貿易企業にとっても、取引経験が積み重なり、一定の信用が生まれると、TSU・BPOの利用に伴う経費の水準如何では、商業信用状付き荷為替決済からD/P決済に移行した例に倣い、当事者間におけるより簡便なFAXデータ、PDFファイルなどの交換により決済を確定し、内部資金が十分であれば、取引銀行のネットワークを利用する国際送金を選択する例が、中小の貿易企業間取引でも増えるかもしれない。すなわち、企業規模の如何を問わず、TSUのみを利用する送金決済になることも予測される。さらに、出港(あるいは船積)24時間前ルールに基づく積荷情報通告義務という企業対官庁(B-to-G)の電子データ処理のタイミングが先に来て、TSU・BPOにおけるData Setによる銀行への輸出者によるmatching申請(Transaction Matching Application=TMA)が後続する。自ずと、コンテナ貨物の正確な出荷情報の迅速な確定が、TSU・BPOの利用にとり重要な前提になる。したがって、輸出者と国際運送業者の間の積荷(運送品)情報の速やかな確定が求められよう。不積み(出荷数量不足)、出荷数量の超過、出荷作業中のミスなどを極力回避しなければ、Data Mismatchとなり物流の遅延を惹き起こす。それは、貿

15  後掲の文献一覧のうち、檜垣拓也、前掲論文、p.79, 小林二三夫「小売業の国際調達と電子L/Cの方向性」『日本貿易学会年報』第46号(2009)、pp.177-183, 奈良順司「貿易金融電子化の系譜」『日本貿易学会誌』No.52(2015), pp.28-38参照。

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易取引の電子化の効果を削ぐことになる。すなわち、電子データ・システムは、その性質上、そのような些事を見逃さないものである。これを回避するためには、特に、数量条件に過不足許容の幅を持たせることが必要だろう。要するに、TSU・BPOの今後の進展を注視しつつ、多少の資本的協力や長期契約により「組織間の業

務調整」を行う、企業間取引における企業人の叡智を尊重すべきだろう。電子情報としてのBaselineの確定とData Matchingの厳格性と取引の実際における微調整の間に大きな齟齬がないことが重要であろう。

終わりに商業信用状付き荷為替決済モデルを巡る諸課題を克服して、電子化によるより簡素で合理的な国際取引決済モデルの提案が、TSU・BPOのセットとして行われた。TSUは既存のSWIFTという国際的に有力な国際金融情報システムの運営組織に基盤を置いている。BPOは、これまで商業信用状の発展を支えてきたICCにより、16ケ条からなる簡素な統一規則で規律されている。この組み合わせに、新しい国際決済モデルとしての魅力を感じるところである。このセットが、事実上の国際標準になることを期待したい。より簡素であるが、商業信用状を巡る原理的蓄積の上に立って、URBPOに関する先例が徐々に加わることを期待したい。それにより、URBPOが商慣習に成熟してゆくことになるからである。留意すべきことの一つは、TSUのData Setの中核をなす運送情報を、海上船荷証券、複合運送証券、

運送状などのうち、いずれをモデルにData Format化するかという点だろう。それに関連して、契約品の輸出出荷データがData Setの基本になると思われるので、Incoterms上のFCA, CPT, CIPの出荷地渡し(shipment contract)の3条件の中から一つが選択されて、Data Setの運送情報、Invoice Dataになるだろうことを指摘しておきたい。TSU・BPOのスキームが安定的に運用されるSCM構成メンバー間の取引では、受発注確認書を基に

BPOを申請する段階で、輸出出荷を待たずに輸出者の取引銀行により貿易金融が実行されうることは魅力的である。これとは逆に、輸入者は取引銀行に対し、BPOによる決済に対する取引銀行への償還を輸入品の到着案内があるとき、または輸入通関後の引取りの時まで猶予してくれるよう要請することもあるだろう。輸入地での契約品の受取りと代金支払いの同時履行に輸入者は固執したいと思われるからである。 荷為替信用状が必要な取引環境及び取引関係は、主として独立対等当事者間取引、信頼・信用関係

が十分成熟していない企業間取引である。特に、それが政治経済的に不安定な相手国との取引として行われる場合である。しかるに印象的な言い方をすれば、諸文献に紹介されている先進事例は、規模の経済性もあって、それらとは逆に、概ね大企業間の取引で、さらに親密な関係会社間取引であるものが大半である16。大手銀行の新業務のマーケティング上の考慮から、まず、そうした企業に採用を勧奨されているのかもしれない。「船荷証券の危機」への対処としての新しい決済モデルの提案というよりも、SCMなどのネットワーク化した国際事業に参画する企業に対して、対外取引の決済業務ならびに財務管理業務(例えば、Asset-Liability Management System=ALM)を銀行へ外注するよう奨めているような印象が残るが、その印象が消える時期が速やかに来ることを期待したい。

16  特に、佐藤武男・美野久志「貿易決済の電子化(TSU・BPO)による貿易ビジネスの革新」『貿易と関税』2016年2月号(No.755), pp.48-64参照。

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TSU・BPOに関する主たる参考文献:黒田 裕 「貿易決済事務電子化時代の幕開け---TSU Payment Serviceの活用について」『金融情報シ

ステム』No.321(2012), pp.73-80。檜垣拓也 「銀行支払確約」付きTSUの仕組み・現状とSME利用への考察」『国際金融』No.1249(2013),

pp.74-81。  同  「L/Cに代わるTSU/BPOの動向、有効性、並びに推進課題の考察」『国際商取引学会年報』

Vol.15(2013), pp.34-47。  同  「TSU/BPOの取引の概要と「銀行支払確約に関する統一規則」」『国際商事法務』Vol.42,

No.1(2014), pp.49-60。  同  「ICCによる銀行支払確約に関する統一規則(URBPO)の特徴とその推進」『国際商事法務』

Vol.43, No.1(2015), pp.50-59。奈良順司 「貿易金融電子化の系譜」『日本貿易学会誌』No.52(2015), pp.28-38参照。佐藤武男・美野久志「貿易決済の電子化(TSU・BPO)による貿易ビジネスの革新」『貿易と関税』2016

年2月号(No.755), pp.48-64(関西学院大学・東京商工会議所・日本関税協会共催セミナーの記録として)。

以上

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記事2. 平成27年度「JASTPROセミナー」を開催(結果報告)

一般財団法人 日本貿易関係手続簡易化協会(JASTPRO)は、国連欧州経済委員会の組織であります国連CEFACT(貿易の円滑化と電子ビジネスのための国連センター)の我が国の窓口として、国連CEFACTが進める「貿易手続きの簡素化や貿易取引の電子化」等に関する国内での普及・促進に向けた活動を展開しております。併せて、諸外国における電子化の進展状況、あるいは我が国をはじめとする世界各国の貿易取引を巡る新たな制度等に関する調査研究活動を行い、その成果を広く国内関係業界等に紹介し、その事業展開の一助となるような活動を行っております。平成27年度におきまして当協会は、調査研究事業としましてアフリカに焦点をあて、同地域が高成長を続け

る中で、多様な経済活動の拠点として、また消費マーケットとして注目を集め、多くの日本企業が事業展開を行っている状況等を踏まえ、アフリカでの貿易取引とその電子化の現状等につきまして調査活動を行い、この度その結果を報告書に要約いたしました。 また、本年は「第6回アフリカ開発会議(TICAD Ⅵ)」が平成5年の日本での開催以降、初めてアフリカ・ケニアで開催される予定であり、今後は我が国の官民一体となったアフリカ市場の開拓や企業交流など、更なるビジネス関係の強化が期待されております。そこで、この度「アフリカでの貿易取引とその電子化の動向」と題しまして、平成28年2月9日(火)13時より、鉄鋼会館(東京都中央区日本橋茅場町所在)8階「801会議室」にて、以下のテーマにより「JASTPROセミナー」を開催しましたので、ここにご報告いたします。

(テーマ1 ):アフリカ概要と日・アフリカ関係等(内容) 本年(平成28年)は、「第6回アフリカ開発会議(TICAD Ⅵ)」が、平成5年の日本での開催以降、

初めてアフリカ地域(ケニア)で開催される。 今回は、外務省様より我が国のアフリカ外交とTICADの概要について、そしてJICA様よりアフリカ

での税関支援を含む貿易円滑化協力の取り組み(OSBP: OneStop Border Postなど)について、それぞれご紹介頂きました。

(当日のセミナー会場の全景) (アフリカ・セネガル、ジャン氏の講演)

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(講師) ①外務省アフリカ部アフリカ第二課  地域調整官兼TICAD事務局次長 望月寿信様  ~我が国のアフリカ外交とTICADプロセス~ ②独立行政法人 国際協力機構(JICA)  産業開発・公共政策部 ガバナンスグループ 行財政・金融チーム  主任調査役 根岸 精一様  ~アフリカにおける貿易円滑化協力の取り組み~

(テーマ2 ):アフリカにおける貿易取引等の電子化に関する調査の概要等(内容) 当協会は、平成27年10月5日(月)~7日(水)までの間、AACE(African Alliance for Electronic

Commerce)主催の「International Single Window Conference 2015(ISWC)」に参加。その参加国から得られた情報等をもとに、アフリカでの貿易取引とその電子化の動向について報告させて頂きました。

(講師) JASTPROシニア・アドバイザー 渡邊 浩吉

(テーマ3) :Africa and Trade facilitation Challenges: Example of AAEC     (アフリカにおける貿易円滑化への挑戦(AACEを例として))(内容) 国連CEFACT(貿易の電子化と電子ビジネスのための国連センター)のアフリカ地区ラポータとして活

躍されているセネガルの「Ibrahima nour Eddine DIAGNE様」を招聘し、AACEおよびアフリカにおける経済共同体等について、逐次通訳によりご紹介させて頂きました。

(講師) Administrateur General Managing Director 国連CEFACT アフリカ地区ラポータ Ibrahima nour Eddine DIAGNE様

今回のセミナー開催につきましては、関係機関及び関係業界等の方々にご案内を差し上げましたところ、アフリカという我が国にとっては比較的関心が少ない中、約80名の方々に参加頂き、盛況のうちに開催することができました。また、各講師の説明に対しましても受講者からの質問が相次ぐなど、関係業界等の各講演テーマへの関心の高さを示すものとなりました。 最後に、本セミナーの開催に当たりまして、外務省様、JICA様、そしてアフリカ・セネガルの地よりお越し頂

いた講師の方々に対し、お忙しい中を貴重な資料を作成し、ご講演を頂き厚く御礼申し上げますとともに、当日来場頂きました皆様に感謝を申し上げ、また、今後とも当協会が主催するセミナーを含め、各種事業に対しご理解とご協力を頂けますようお願いし、平成27年度JASTPROセミナーは閉会となりました。

以上

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記事3. 国連CEFACTからのお知らせ

3-1 16 February 2015: The UN/CEFACT Recommendation 20 Revision 12 has been validated by BPS Validation Team and approved by UN/CEFACT Bureau for publication. It is now available in the Recommendations Section of the UN/CEFACT Website.

 2016年2月16日国連CEFACT 勧告20号「Codes for Units of Measure Used in International Trade(国際貿易に用いられる計測量単位コード)」改訂第12版が手法・技術(M&T)企画開発分野(PDA)の仕様適合性検証チームによる作業が終了し、国連CEFACTビューロにより承認を得ました。国連CEFACTの公式websiteの勧告の参照ページの項で公開されています。

3-2 12 February 2016: The UN/CEFACT Methodology and Technology Program Development Area is pleased to announce the opening of the Public Review period for the Procedure for CCTS 2.01 & CCBDA 1.0 & NDR 2.1 Artefacts Publication Project. The 60 days Public Review period will end on April 12th 2016.

 2016年2月12日国連CEFACTの手法および技術(M&T)企画開発分野(PDA)は「CCTS 2.01、CCBDA 1.0及びNDR 2.1の公開手続きプロジェクト」公開レビューを開始したのでご案内します。この公開レビュー期間(60日間)の終了期日は2016年4月末日です。JASTPRO注: 本プロジェクトはSCRDM(Supply Chain Reference Data Model)プロジェクトの一環として、Supply

Chain関連メッセージ(CIxxx)構造のテンプレートを共通にしてCCBDA(Core Component Business Document Assembly)の利用を実証したものです。SCRDMはSupply Chain PDAのプロジェクト(実証対象はInvoice)ですが、CCBDAの実証という観点からM&T PDAからのPublic reviewとなりました(そのため、1月中に7回の電話会議を行っています)。Reviewのポイントは、次の3点です。(1) CCBDAのMBIE(CCLのBIEをメッセージに合わせて制限して利用)の使い方(2) Supply Chain共通化のためのメッセージ固有Qualifyer(CIIH、CIIL)を使わず、共通の

Qualifi er(Supply Chain Header、Supply Chain Line_)の新設(3) メッセージ固有のQualifi ed Data Type(例えば、メッセージ固有の制限つきコードリスト)の定義特に、(1)については、国内のサプライチェーン情報基盤研究会(SIPS)がビジネスインフラガイドとして

採用している方法と同一で、国連CEFACTにおける本プロジェクト審議中にSIPSのガイドを関係者に配布しています。(2)については、既存CCL(メッセージ別Qualifi er付き)との整合化やCCLへの移行が可能かなどの問題を残します。(3)については、定義方法や管理方法につき審議が進行中です。

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3-3 08 February 2016: UN/CEFACT reminds the cut-off dates for submission of new DMRs for UN/CCL D16A and UN/EDIFACT D16A:  - 07th of March 2016 (for UN/CCL)  - 14th of March 2016 (for UN/EDIFACT)

 2016年2月8日国連CEFACTコア構成要素ライブラリー(CCL)D16A及びUN/EDIFACT D16Aの新たな変更・追加要求(DMR)に係るそれぞれの申請期限についてお知らせします。 ● UN/CCLについては2016年3月7日 ● UN/EDIFACTについては2016年3月14日

3-4 14 January 2016: On-line registration to the 22nd UN/CEFACT Plenary is open.

 2016年1月14日第22回国連CEFACT総会の参加申請登録フォームがWebsiteに公開されています。同総会は2016年4月21日~ 22日の2日間、ジュネーブ・スイスの国連欧州本部にて開催されます。

3-5 14 January 2016: On-line registration to the 27th UN/CEFACT Forum is open.

 2016年1月14日第27回国連CEFACTフォーラムの参加申請登録フォームがWebsiteに公開されています。同フォーラムは2016年4月25日~ 29日の5日間、ジュネーブ・スイスの国連欧州本部にて開催されます。

3-6 31 December 2015: The UN/EDIFACT directory version D.15B has been validated by BPS Validation Team and approved by UN/CEFACT Bureau for publication. It is now available in the UN/EDIFACT section of the UN/CEFACT website and can be downloaded from the UN/EDIFACT Directories.

 2015年12月31日UN/EDIFACT D.15Bは、手法・技術(M&T)企画開発分野(PDA)の仕様適合性検証チームによる作業が終了し、国連CEFACTビューロの承認を得て、国連CEFACTの公式websiteのUN/EDIFACTの項で公開されました。どなたでも同websiteから無料でDownloadし活用いただけます。

以上

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JASTPRO 第41巻 第10号 通巻第448号

・禁無断転載

平成28年2月25日発行 JASTPRO刊15-10

発 行 所 (一財)日本貿易関係手続簡易化協会 東京都中央区八丁堀2丁目29番11号       八重洲第五長岡ビル4階 電  話  03-3555-6031(代) ファクシミリ  03-3555-6032 http://www.jastpro.org編 集 人 山 内 大 二 郎

本誌は再生紙を使用しております。

協会ホームページのリンク集のご案内

http://www.jastpro.org/l ink/index.html

当協会のホームページのリンク集には、当協会の活動にご興味を持たれる方や日本輸出入者コードの

利用者の方々のご参考として関係諸組織・団体ホームページへのリンクを下記の分類で掲載しております

のでご活用下さい。

当協会に関係する我国の官公庁・公的機関(独立行政法人を含む)

輸出入関係手続きに関係する業界団体等

輸出入関係手続きに〔国内物流〕関係する情報源と用語集

国際空港の公式ページ

国際貿易港の公式ページ

貿易簡易化や電子商取引の標準化組織・団体(国内)

貿易簡易化や電子商取引の標準化組織・団体(海外)

貿易振興・簡易化や電子商取引の標準化に関係する国際機関

その他の組織・機関

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   業務部 業務一部長 石垣 充

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