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254NRIメディアフォーラム <2017年度版> 2030年の住宅市場 ~空き家率の抑制に向けて、早急な仕組みづくりが必要~ 2017620株式会社 野村総合研究所 コンサルティング事業本部 グローバルインフラコンサルティング部 部長 上席コンサルタント 榊原 副主任コンサルタント 亀井 敬太 コンサルタント 新谷 一平

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第254回NRIメディアフォーラム

<2017年度版>

2030年の住宅市場~空き家率の抑制に向けて、早急な仕組みづくりが必要~

2017年6月20日

株式会社 野村総合研究所コンサルティング事業本部グローバルインフラコンサルティング部

部長 上席コンサルタント 榊原 渉副主任コンサルタント 亀井 敬太コンサルタント 新谷 一平

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目次

1.新設住宅着工戸数の予測

2.リフォーム市場規模の予測

3.空き家率の予測と抑制策のあり方

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目次

1.新設住宅着工戸数の予測

2.リフォーム市場規模の予測

3.空き家率の予測と抑制策のあり方

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昨年度の予測結果と実績値の比較

2016年度のNRI予測値に比べ、実績値は+約9.8万戸と大きく乖離。これは主に貸家、とりわけ賃貸アパートの増加が大きく影響

0

450

400

350

300

250

200

150

100

50

249

292286266

+6 324

-17

+109433

400

300

200

100

0

1,000

900

800

700

600

500

876

+98974

NRI予測(2016年度実施)

実績(2016

年度)

利用関係別に分解

貸家を建て方・構造別に分解

450

400

350

300

250

200

150

100

50

0

9

427

135

283

318

8

110

201+83

+25

+1

持家 分譲 貸家(給与住宅含む)

新設住宅着工戸数の予測値と実績の比較

全住宅 利用関係別 貸家(給与住宅を含まない)

NRI予測(2016年度実施)

実績(2016

年度)

(千戸) (千戸) (千戸)

出所)実績値:国土交通省「住宅着工統計」、予測値:NRI

賃貸戸建て

賃貸アパート

賃貸マンション

NRI予測(2016年度実施)

実績(2016年度)

注)持家:建築主が自分で居住する目的で建築するもの分譲:建て売りまたは分譲の目的で建築するもの貸家:建築主が賃貸する目的で建築するもの

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今年度の予測における、昨年度からの主な変更点

今年度は全体に加え、持家・分譲・貸家別の予測結果を公開。また予測モデルの精度向上のため、説明変数の一つを「移動人口」から「移動世帯数」に変更

昨年度からの主な変更点① 昨年度からの主な変更点②

持家・分譲・貸家(給与住宅含む)それぞれの予測結果を公開

説明変数のうち人口・世帯数指標を、「移動人口」から「移動世帯数」に変更

昨年度の公開範囲

今年度の公開範囲

住宅全体:XX戸

持家: Y3戸

住宅全体:YY戸

分譲: Y2戸

貸家: Y1戸(給与住宅含む)

説明変数1

説明変数2

説明変数3

移動人口 移動世帯数※

住宅ストックの平均築年数

住宅ストックの平均築年数

名目GDP

成長率名目GDP

成長率

昨年度 今年度

※移動世帯数:当該年に住所を移動した世帯の数

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新設住宅着工戸数に影響を与える因子

新設住宅着工戸数に大きく影響を与えるのは、①移動世帯数、 ②住宅ストックの平均築年数、③名目GDP成長率の3点

新設住宅着工戸数に大きく影響を与える因子①移動世帯数 ②平均築年数 ③名目GDP成長率

人口・世帯数 経済成長住宅ストック

統計的に、新設住宅着工戸数に影響していると言えるか

新設住宅着工戸数に影響する因子として、論理的に適切か

• 総人口• 生産年齢人口• 総世帯数• 世帯主が生産年齢に該当する世帯数

• 移動人口• 移動世帯数など

• 実質GDP• 実質GDP成長率• 前年度の実質GDP• 前年度の実質GDP成長率• 名目GDP• 名目GDP成長率• 前年度の名目GDP• 前年度の名目GDP成長率など

• 住宅ストック総数• 平均築年数• 空家数• 空家率など

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新設住宅着工戸数に影響を与える因子についての将来予測(1)

移動世帯数は、2016年の410万世帯から2030年には360万世帯まで減少する見通し

移動世帯数※の推移と予測

(年)

出所)実績値:総務省「住民基本台帳人口移動報告」 「国勢調査」よりNRI推計予測値:国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数将来推計」よりNRI予測

実績値(推計)← → 予測値

※移動世帯数:当該年に住所を移動した世帯の数

(万世帯)

457

426

410 360

100

200

300

400

500

1988 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030

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新設住宅着工戸数に影響を与える因子についての将来予測(2)

着工時期別に、住宅ストックが建築後にいくら減少するかという「住宅ストックの減少率」を算出(右の図表)。

それに基づき、着工年別住宅ストックを算出することで、平均築年数を算出(左の図表) 。

住宅ストックの平均築年数は、2013年の「22年」から、2030年には「29年」近くに延びる見通し

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

1 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60

~1960

1961~1970

1971~1981

1982~1988

1989~1993

1994~1998

1999~2003

平均築年数の推移と予測 住宅ストックの減少率 (着工時期別)

着工時期

築後年数(年)

出所)国土交通省「住宅着工統計」、総務省「住宅土地統計」よりNRI推計・予測

(年) 実績値(推計)← → 予測値

(年度)

0

5

10

15

20

25

30

35

88 95 2000 05 10 15 20 25 30

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1.1

1.4 1.2

-5

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

1988 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030

新設住宅着工戸数に影響を与える因子についての将来予測(3)

名目GDP成長率は、日本経済研究センターの予測を採用。中長期的な成長力は、概ね現状と同水準のまま推移する見込み

名目GDP成長率の推移と予測

出所)実績値:内閣府「国民経済計算」予測値:日本経済研究センター「第43回 中期経済予測(2017年3月29日発表)」

(年度)

実績値← → 予測値

(%)

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新設住宅着工戸数の予測結果

世帯数の減少や住宅の長寿命化等により、新設住宅着工戸数は2030年度には約55万戸に減少する見通し

消費税増税前駆け込み需要+阪神淡路大震災復興需要

バブル崩壊

耐震偽装事件建築基準法改正 リーマン

ショック

消費増税前駆け込み需要

→ 予測値実績値 ←

新設住宅着工戸数の推移と予測

(年度)

出所)実績値:国土交通省「住宅着工統計」 予測値:NRI

相続税制度改正による貸家増

(万戸)

消費増税に伴う駆け込み需要

貸家の積極供給が2017年度も継続した場合

中長期的な着工戸数見通し

166 167 167

134

142

151 156

148

163

134

118

123 121

117 115

117

119 125

129

104

104

78 82

84

89

99

88

92 97

84

85 79

74 74 73 71 68 66 64 62 60 57 55

92

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

1988 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030

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利用関係別 新設住宅着工戸数の予測結果

持家・分譲・貸家のいずれも漸減し、2030年度時点でそれぞれ18万戸、11万戸、25万戸になる見通し

29 27

23 22 18 25

23 20

16

11

35 31

29 25

43 42

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

1988 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030(年度)

(万戸)

利用関係別 新設住宅着工戸数の推移と予測

出所)実績値:国土交通省「住宅着工統計」 予測値:NRI

実績値← → 予測値

貸家の積極供給が2017年度も継続した場合

中長期的な着工戸数見通し

分譲

持家

貸家(給与住宅含む)

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目次

1.新設住宅着工戸数の予測

2.リフォーム市場規模の予測

3.空き家率の予測と抑制策のあり方

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リフォーム市場規模に影響を与える因子

リフォーム市場規模に大きく影響を与えるのは、①新設住宅着工戸数(8年前)、②平均築年数、③名目GDP成長率の3点

リフォーム市場規模に大きく影響を与える因子①新設住宅着工戸数(8年前) ②平均築年数 ③名目GDP成長率

人口・世帯数 経済成長住宅ストックの質

統計的に、リフォーム市場規模に影響していると言えるか

リフォーム市場規模に影響する因子として、論理的に適切か

• 総世帯数• 世帯主が生産年齢に該当する世帯数

• 移動者数• 移動世帯数• 新設住宅着工戸数など

• 実質GDP• 実質GDP成長率• 前年度の実質GDP• 前年度の実質GDP成長率• 名目GDP• 名目GDP成長率• 前年度の名目GDP• 前年度の名目GDP成長率など

• 平均築年数• 空家数• 空家率など

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リフォーム市場規模の予測結果

リフォーム市場規模は、成長が期待されているものの、6兆円台で横ばいが続く見通し。市場活性化に向けては、政策的支援はもちろん、民間事業者の創意工夫も必要

※ 狭義 : 「住宅着工統計上『新設住宅』に計上される増築・改築工事」及び「設備等の修繕維持費」※ 広義 : 狭義のリフォーム市場規模に「エアコンや家具等のリフォームに関連する耐久消費財、インテリア商品等の

購入費を含めた金額」を加えたもの出所)実績値:住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅リフォームの市場規模(2015年版)」 予測値:NRI

リフォーム市場規模の推移と予測

(年)

(兆円)

実績値← → 予測値

5.8 6.1

6.8 7.1 6.9

7.5

8.1

9.1

8.1

7.3 7.5 7.5 7.2 7.3

7.0 6.6

6.8 6.2 6.0 6.1

5.6

6.4 6.5 6.7 7.5 7.4

7.1 7.1 6.7

6.2 6.3 6.4 6.5 6.8 6.6 6.8 6.9 6.8 6.8 6.8 6.7 6.8 6.8

3.4 3.6 4.1

4.4 4.2 4.5

5.3 5.7

5.4 5.0 5.1 5.3 5.2

5.6 5.4 5.1

5.3 4.8 4.7 4.8

4.4

5.0 5.3 5.4

6.1 6.1 5.9 5.9 5.5

5.2 5.3 5.4 5.5 5.7 5.6 5.7 5.9 5.8 5.8 5.8 5.8 5.8 5.9

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

1989 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030

広義(実績値) 広義(予測値) 狭義(実績値) 狭義(予測値)広義(実績値) 広義(予測値) 狭義(予測値)狭義(実績値)

5.8 6.1

6.8 7.1 6.9

7.5

8.1

9.1

8.1

7.3 7.5 7.5 7.2 7.3

7.0 6.6

6.8 6.2 6.0 6.1

5.6

6.4 6.5 6.7

7.5 7.4 7.1 7.1

6.7 6.2 6.3 6.4 6.5

6.8 6.6 6.8 7.0 6.8 6.8 6.8 6.7 6.8 6.8

3.4 3.6 4.1

4.4 4.2

4.5

5.3 5.7

5.4 5.0 5.1 5.3 5.2

5.6 5.4 5.1

5.3 4.8 4.7 4.8

4.4

5.0 5.3 5.4

6.1 6.1 5.9 5.9 5.5

5.2 5.3 5.4 5.5 5.7 5.6 5.8 5.9 5.8 5.8 5.8 5.8 5.8 5.9

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

1989 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030

(兆円)

実績値← → 予測値

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目次

1.新設住宅着工戸数の予測

2.リフォーム市場規模の予測

3.空き家率の予測と抑制策のあり方

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予測方法

総住宅数・空き家数・空き家率は以下の方法で予測

総住宅数・空き家数・空き家率予測の考え方

5年前の総住宅数

その後5年間の新設住宅着工戸数

その後5年間の除却住宅戸数 =-+

NRI予測値新設住宅着工戸数との相関から

NRI予測

空き家数

居住世帯あり住宅数

居住世帯なし住宅数

一時現在者のみ住宅※数

建築中住宅数

総住宅数 - =

国立社会保障・人口問題研究所の将来予測と同水準で推移すると仮定

実績値:総務省「住宅・土地統計調査」予測値:NRI

総住宅数

過去の傾向を近似して按分

※ 昼間だけ使用している、何人かの人が交代で寝泊まりしているなど、そこにふだん居住している者が一人もいない住宅

空き家率

二次的住宅※

賃貸・売却用の住宅

その他の住宅

※ 別荘、およびふだん住んでいる住宅とは別に、残業で遅くなったときに寝泊りするなど、たまに寝泊りしている人がいる住宅

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総住宅数・空き家数・空き家率の予測

世帯数の減少と総住宅数の増加に伴って、2033年の空き家数は約2,166万戸、空き家率は30.4%となる見通し

総住宅数・空き家数・空き家率の推移と予測

空き家率

出所)実績値:総務省「住宅・土地統計調査」 予測値:NRI

総住宅数・空き家数

空き家率

→予測値実績値←

(年)

(万戸) (%)

3,545 3,861

4,201 4,588

5,025 5,389

5,759 6,063

6,372 6,647

6,899 7,126

268 330 394 448 576 659 757 820 1,083

1,405 1,772

2,166

7.6 8.6

9.4 9.8 11.5 12.2

13.1 13.5

17.0

21.1

25.7

30.4

0

5

10

15

20

25

30

35

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

1978 1983 1988 1993 1998 2003 2008 2013 2018 2023 2028 2033

総住宅数(左目盛) 空き家数(左目盛) 空き家率(右目盛)

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460

633

821

1,035

1,265

41 62 78 97 116

318 388

506

640

785

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1978 1983 1988 1993 1998 2003 2008 2013 2018 2023 2028 2033

賃貸・売却用の住宅数(左目盛) 二次的住宅数(左目盛) その他の住宅数(左目盛)

賃貸・売却用の住宅の割合(右目盛) 二次的住宅の割合(右目盛) その他の住宅の割合(右目盛)

空き家の内訳及び総住宅数に対する割合の予測

除却・減築が進まないことによって、「その他の住宅」が引き続き増加するとともに、世帯数の減少によって「賃貸用・売却用の住宅」が増加すると考えられる。

空き家の内訳は、2033年に「賃貸用・売却用」が約1,265万戸(総住宅数の17.8%)、利活用の目途が立っていない「その他の住宅」が約785万戸(同11.0%)になる見通し

出所)実績値:総務省「住宅・土地統計調査」 予測値:NRI

住宅数

総住宅数に対する割合

→予測値

空き家の内訳及び総住宅数に対する割合の推移と予測

実績値←

(年)

(万戸) (%)

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空き家率抑制に向けた対策の考え方

空き家率上昇の抑制策は、「除却・減築の促進」や「住宅以外への用途転換」のほか、「新築の制限」や「二地域居住・多地域居住の促進」など

= -

空き家率

空き家数居住世帯あり住宅

居住世帯なし住宅

総住宅数

総住宅数

【1】

人口減少を食い止める。

【5】新築を制限する。

=前期の総住宅数

+今期の

新設住宅数今期の

除却住宅数-

【3】

除却・減築を促進する。

【6】

既存住宅流通を促進して、適正水準を引き上げる※。

【2】

二地域居住・多地域居住を促進する。

【4】

住宅以外への用途転換を促進する。

空き家率抑制に向けた対策の考え方

※既存住宅流通市場が活性化すれば、長期間に渡って空き家状態とはならず、ある程度の周期で人が住むことになるため、防犯面・防災面で深刻な問題とはならない可能性がある

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住生活基本計画における空き家に関する目標

2016年に閣議決定された住生活基本計画では、「空き家の活用・除却の推進」が目標の一つ。成果指標は2025年時点で、「その他空き家」を400万戸程度におさえること

①居住者からの視点

②住宅ストックからの視点

③産業・地域からの視点

目標1: 結婚・出産を希望する若年世帯・子育て世帯が安心して暮らせる住生活の実現

目標2: 高齢者が自立して暮らすことができる住生活の実現

目標3: 住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保

目標4: 住宅すごろくを超える新たな住宅循環システムの構築

目標5: 建替えやリフォームによる安全で質の高い住宅ストックへの更新

目標6: 急増する空き家の活用・除却の推進

成果指標

• 賃貸・売却用等以外の「その他空き家」数を、400万戸程度におさえる(2025年)

• 空家等対策計画を策定した市区町村数の全市区町村数に対する割合を、おおむね8割に(2025年)

目標7: 強い経済の実現に貢献する住生活産業の成長

目標8: 住宅地の魅力の維持・向上

住生活基本計画(全国計画) (2016年3月18日閣議決定、計画期間:2016~2025年度) における8つの目標

出所)国土交通省 「住生活基本計画(全国計画)(2016年3月18日閣議決定)」よりNRI作成

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3,545

268

3,861

330

4,201

394

4,588

448

5,025

576

5,389

659

5,759

757

6,063

820

6,272

983

6,186

944

6,186

1,060

6,186

1,227

100

100

461

461

713

713

939

939

7.6 8.6

9.4 9.8

11.5 12.2

13.1 13.5

15.7 15.3

17.1

19.8

0

5

10

15

20

25

30

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

1978 1983 1988 1993 1998 2003 2008 2013 2018 2023 2028 2033

総住宅数・空き家数・空き家率の将来試算

2018年~2020年にかけて300万戸の空き家を除却し、2020年以降は総量規制で住宅ストックを増加させなければ、2033年時点の空き家率は20%を下回る

旧耐震基準時代である1980年以前に建築された空き家数は、2013年時点で約300万戸と推計されるため、それに相当する数の空き家を2018年~2020年にかけて毎年3分の1ずつ除却すると仮定。

出所)実績値:総務省「住宅・土地統計調査」 試算値:NRI出所)実績値:総務省「住宅・土地統計調査」 試算値:NRI

(万戸)

総住宅数・空き家数・空き家率の推移と試算(2018年~2020年にかけて300万戸の空き家を除却し、2020年以降に住宅の総量規制を実施した場合)

(年)

総住宅数・空き家数

→試算値実績値←:総住宅数(左目盛)

:空き家数(左目盛)

:空き家率(空き家抑制シナリオ、右目盛)

268

3,545

330

3,861

394

4,201

448

4,588

576

5,025

659

5,389

757

5,759

820

6,063

985

6,275

952

6,194

1,068

6,194

1,235

6,194

97

97

453

453

704

704

931

931

7.6%8.6% 9.4% 9.8%

11.5%12.2%

13.1% 13.5%

15.7%

15.4%

17.2%

19.9%

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

30.0%

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

1978 1983 1988 1993 1998 2003 2008 2013 2018 2023 2028 2033

成り行きシナリ

空き家抑制シナリオ 空

き家率

空き家抑制シナリオ

成り行きシナリオ

(%)

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349 327 364

420

98 125 131 149

182 212

268 318

388

506

640

785

0

400

800

1978 1983 1988 1993 1998 2003 2008 2013 2018 2023 2028 2033

「その他空き家」数の将来試算

300万戸の空き家を除却し、住宅の総量規制を実施すれば、「その他空き家」数は政府目標の「2025年時点で400万戸程度」を達成できる見通し

出所)実績値:総務省「住宅・土地統計調査」 試算値:NRI

注)「その他空き家」とは、空き家全体から二次的住宅、賃貸用の住宅、売却用の住宅を差し引いたもの

「その他空き家」数の推移と試算(2018年~2020年にかけて300万戸の空き家を除却し、2020年以降に住宅の総量規制を実施した場合)

成り行きシナリオ

空き家抑制シナリオ

政府目標:2025年時点で400万戸程度

(万戸)

(年)

→試算値実績値←

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空き家率抑制に向けた対策案

住宅ストックの総量規制に向けて、例えば、住宅を1戸建築するためには1戸除却することを義務付ける”新築権”の導入が考えられる

新築権:住宅を1戸建築できる権利

①住宅の除却により新築権を獲得

②除却者が新築権を売却

③売却収入を除却費に充当

④新築権に基づき、住宅を建築

住宅の除却者(既存住宅の所有者)

分譲事業者・貸家建築事業者

新築権

住宅の除却と新築が同数発生するため、住宅ストックの総量を抑えることができる。

新築権の売却収入を除却費に充当できるため、利活用の目途が立たない空き家の除却を促進できる。

“新築権”のイメージ

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空き家率抑制に向けた対策案

空き家率3割時代(両隣のうち片方は常に空き家の社会)を回避するためにも、早急な仕組みづくりが必要

空き家率の抑制策として、空き家の除却・減築や、住宅以外への用途転換、新築の制限などが考えられる。これらを促進するためには、政策的支援や民間事業者らによる創意工夫が求められる。

ただし、財源が限られるため、政策的支援だけで空き家率を抑制するには限界がある。

最終的には国民の意識変革が必要となる。従来は住宅を所有するメリットばかりが注目されてきたが、今後は除却費やその後の税負担など、住宅所有に伴う「責任」を問われる時代が来る。

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