2018年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要 - …2018 年版中小企業白書...

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2018年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要 平成306中小企業庁調査室

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Page 1: 2018年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要 - …2018 年版中小企業白書 (現状分析) 1.中小企業の景況感は改善傾向にある一方、大企業との生産性格差は拡大。2.未来志向型の取引慣行に向けて、下請取引は着実に改善。(テーマ別分析)

2018年版中小企業白書・小規模企業白書

概要

平成30年6月

中小企業庁調査室

Page 2: 2018年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要 - …2018 年版中小企業白書 (現状分析) 1.中小企業の景況感は改善傾向にある一方、大企業との生産性格差は拡大。2.未来志向型の取引慣行に向けて、下請取引は着実に改善。(テーマ別分析)

中小企業白書・小規模企業白書について• 中小企業白書は、中小企業基本法に基づく年次報告。 2018年版で55回目。• 小規模企業白書は、小規模企業振興基本法に基づく年次報告。2018年版で4回目。

(年次報告等)第十一条 政府は、毎年、国会に、中小企業の動向及び政府が中小企業に関して講じた施策に関する報告を提出しなければならない。

2政府は、毎年、中小企業政策審議会の意見を聴いて、前項の報告に係る中小企業の動向を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。

中小企業基本法上の中小企業の定義

(資料)「平成26年経済センサス-基礎調査」再編加工

中小企業 うち小規模事業者

業種 資本金 または 従業員 従業員製造業その他 3億円以下 300人以下 20人以下

卸売業 1億円以下 100人以下 5人以下

サービス業 5,000万円以下 100人以下 5人以下

小売業 5,000万円以下 50人以下 5人以下

従業者数(2014年)

大企業約1,433万人

(29.9%)

企業数(2014年) 付加価値額(2011年)

大企業約94.3兆円(45.5%)

(資料)「平成24年経済センサス-活動調査」再編加工

大企業約1.1万者(0.3%)

小規模事業者約325.2万者

(85.1%)

中規模企業約55.7万者(14.6%)

小規模事業者約1,127万人

(23.5%)

中規模企業約2,234万人

(46.6%)

小規模事業者約33.3兆円(16.1%)

中規模企業約79.9兆円(38.5%)

中小企業基本法(抄)

中小企業は全企業の99.7% 中小企業の従業者は全体の約70% 中小企業の付加価値は全体の約55%

1

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2018年版 中小企業白書・小規模企業白書の特色• 2018年版白書では、アンケート調査結果に併せて、生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者の事例を豊富に紹介(昨年の倍以上となる113の事例を紹介)。

• 以下の16のポイントを中心に、中小企業・小規模事業者に生産性向上に向けたヒントを提供することを目指す実践的な白書とした。

(現状分析)1.中小企業の景況感は改善傾向にある一方、大企業との生産性

格差は拡大。2.未来志向型の取引慣行に向けて、下請取引は着実に改善。

(テーマ別分析)3.深刻化する人手不足。女性・シニア等の掘り起こしが課題。4.IT導入等を行う上でも、業務プロセスの見直しは生産性向上の

大前提。5.幅広い業種で多能工化・兼任化の取組が進展。生産性向上

にも寄与。6.IT導入のきっかけとして重要となるのは、地元のITベンダーなど

身近な相談相手。7.業務領域や一企業の枠を超えて連携することでITの効果は飛躍

的に高まる。8.生産性向上のためには前向きな投資が重要。引き続き投資を

促進する必要。9.経営者の高齢化から休廃業・解散が高水準。事業承継等を背景

に、中小企業のM&Aは増加。10.中小企業のM&Aは、生産性向上に寄与。今後はマッチング強

化が課題。

2018年版中小企業白書(現状分析)11.小規模事業者数は減少しているが、規模拡大する事業者や

高い生産性の事業者も存在。

(テーマ別分析)12.小規模事業者では、経営者に業務が集中。IT導入等による

経営者の業務効率化が急務。13.IT導入等により小規模事業者の生産性は向上。14.小規模事業者では、ちょっとした工夫で生産性向上。15.小規模事業者で施策を浸透させる上では、身近な支援機関の

役割が重要。16.小規模事業者は、兼業・副業やフリーランス等の多様な働き方

の受け皿。

2018年版小規模企業白書

※「小規模企業」は、中小企業基本法(第2条第5項)及び小規模企業振興基本法(第2条第1項)に基づき、おおむね常時使用する従業員の数が20人以下(商業又はサービス業は5人以下)の事業者を「小規模企業者」と定義されている。小規模企業白書は、ここで定義された小規模企業を対象としているが、この中に会社のみならず、個人事業者も含まれることをわかりやすく記すため、以下、「小規模企業」のことを「小規模事業者」ということとする。

2

Page 4: 2018年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要 - …2018 年版中小企業白書 (現状分析) 1.中小企業の景況感は改善傾向にある一方、大企業との生産性格差は拡大。2.未来志向型の取引慣行に向けて、下請取引は着実に改善。(テーマ別分析)

2018年版中小企業白書(現状分析)1.中小企業の景況感は改善傾向にある一方、大企業との生産性格差は拡大。2.未来志向型の取引慣行に向けて、下請取引は着実に改善。

(テーマ別分析)3.深刻化する人手不足。女性・シニア等の掘り起こしが課題。4.IT導入等を行う上でも、業務プロセスの見直しは生産性向上の大前提。5.幅広い業種で多能工化・兼任化の取組が進展。生産性向上にも寄与。6.IT導入のきっかけとして重要となるのは、地元のITベンダーなど身近な相談相手。7.業務領域や一企業の枠を超えて連携することでITの効果は飛躍的に高まる。8.生産性向上のためには前向きな投資が重要。引き続き投資を促進する必要。9.経営者の高齢化から休廃業・解散が高水準。事業承継等を背景に、中小企業

のM&Aは増加。10.中小企業のM&Aは、生産性向上に寄与。今後はマッチング強化が課題。

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Page 5: 2018年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要 - …2018 年版中小企業白書 (現状分析) 1.中小企業の景況感は改善傾向にある一方、大企業との生産性格差は拡大。2.未来志向型の取引慣行に向けて、下請取引は着実に改善。(テーマ別分析)

1.中小企業の景況感は改善傾向にある一方、大企業との生産性格差は拡大。• 中小企業の経常利益は過去最高水準。景況感も改善傾向にあり、都市と地域間のばらつきも縮小。

企業規模別の売上高図1

図2

図3

企業規模別の経常利益

図1:「法人企業統計調査季報」、図2:「法人企業統計調査年報」(注)ここでいう大企業とは資本金10億円以上、中小企業とは資本金1億円未満の企業とする。図3、図4:中小企業庁・(独)中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」(注)1.景況調査の業況判断DIは、前期に比べて、業況が「好転」と答えた企業の割合(%)から、「悪化」と答えた企業の割合(%)を引いたもの。

2.三大都市圏の平均は、東京圏(東京・埼玉・千葉・神奈川)、大阪圏(大阪・京都・兵庫・奈良)、名古屋圏(愛知・岐阜・三重)の都道府県毎の業況判断DIを、三大都市圏以外の平均は上記の三大都市圏以外の都道府県の業況判断DIを、それぞれ各県の回答企業数で加重平均したもの。

企業規模別業況判断DIの推移図1

05

1015202530354045

1980 85 90 95 2000 05 10 16

大企業 中小企業(兆円)

(年度)▲ 35

▲ 30

▲ 25

▲ 20

▲ 15

▲ 10

ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣ

2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

三大都市圏の平均 三大都市圏以外の平均(DI、%p)

図4 地域別の中小企業の業況判断

131.8

142.4

100

110

120

130

140

150

160

170

ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣ

07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17

中小企業 大企業(兆円・後方4四半期移動平均)

(年期)

▲ 60.0

▲ 50.0

▲ 40.0

▲ 30.0

▲ 20.0

▲ 10.0

0.0

ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠ

07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18

中小企業 中規模企業 小規模事業者(DI、%p)

(年期)

4

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1.中小企業の景況感は改善傾向にある一方、大企業との生産性格差は拡大。

• 他方、依然として大企業との生産性格差は拡大。中小企業の生産性向上が急務。

図1 図2 企業規模別の時間当たり労働生産性の水準

図1:財務省「法人企業統計調査年報」(注)ここでいう大企業とは資本金10億円以上、中小企業とは資本金1億円未満の企業とする。図2:経済産業省「企業活動基本調査」、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」再編加工(注)1.2015年度における労働時間1時間当たりの付加価値額を示している。

2.付加価値額=営業利益+(給与総額+福利厚生費)+動産・不動産貸借料+租税公課+減価償却費

企業規模別労働生産性の推移

999

1,3201,080

1,327

501

549

521 558

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

大企業 製造業 大企業 非製造業

中小企業 製造業 中小企業 非製造業(万円)

(年度)

大企業 製造業+321万円(+32.1%)

大企業 非製造業+247万円(+22.9%)

中小企業 非製造業+37万円(+7.1%)

中小企業 製造業+48万円(+9.6%)

図1

6,470 6,419

3,815

6,565

1,936

3,779

2,230

3,623 4,079

3,548 3,729

1,802

2,877

2,147

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

製造業 情報通信業 卸売業,小売業

学術研究,専門・技術サービ

ス業

宿泊業,飲食サービス業

生活関連サービス業,娯楽業

サービス業(他に分類されない

もの)

大企業 中小企業(円/人時)

5

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2.未来志向型の取引慣行に向けて、下請取引は着実に改善。

• 下請Gメンによる下請企業ヒアリングでは、全体の約25%(※)の企業で具体的な改善を確認。※具体的な改善があった事例を集計した割合であり、残りの75%において不適切な取引が存在しているわけではない。

• 引き続き、未来志向型の取引慣行の実現に向けて、下請中小企業と親事業者の適正な取引を普及定着させ、賃上げできる環境の整備を図るための取組を推進。

図3 取引適正化に向けた取組(世耕プラン)

①業種横断的なルールの明確化・厳格な運用・「不適正な原価低減活動」や「金型の保管コストの押しつけ」等の違反行為事例を、66事例から141事例に大幅に追加。

・親事業者と下請事業者の望ましい取引慣行として、「生産性向上等への協力」等を追加。

・親事業者のうち大企業は、下請代金の支払いを可能な限り現金で行う等、率先して取り組む。

②業種別の自主行動計画の策定等・下請ガイドライン策定業種のうち、まずは自動車等の業種に対して、サプライチェーン全体での「取引適正化」と「付加価値向上」に向けた自主的な行動計画の策定と着実な実行を要請し、フォローアップ。平成29年3月末現在、8業種21団体が策定。

③下請Gメンによる下請企業ヒアリング調査・新たに下請Gメンを配置し、年間2,000件以上、下請中小企業へのヒアリングを実施し、適正取引に向けた取組に生かす。

図1

図2 交易条件指数の推移

▲ 70

▲ 60

▲ 50

▲ 40

▲ 30

▲ 20

▲ 10

0

07 09 11 13 15 17

大企業 全産業 中小企業 全産業

(年)

(交易条件指数、%p)

下請企業ヒアリングによる下請取引の改善状況

図1:中小企業庁「下請企業ヒアリング」により作成。図2:日本銀行「全国企業経済短期観測調査」(注)図2の交易条件指数とは、販売価格DIから仕入価格DIを差し引いた値。

販売価格DI(仕入価格DI)は、3か月前と比較して販売価格(仕入価格)が「上がった」と答えた企業の割合(%)から「下がった」と答えた企業の割合(%)を差し引いた値(%p)

※交易条件指数=販売価格DIー仕入価格DI

改善状況支払条件 300件以上で改善。「100%現金払い」と

なった事例も多数。原価低減要請 100件以上で改善。「要請が無くなった」との

事例も。型管理 100件程度で、「金型保管コストの合理化に

元請が協力」などの事例。平成29年12月21日付報道発表資料(対象:2,040社)をもとに作成。

6

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3.深刻化する人手不足。女性・シニア等の掘り起こしが課題。• 生産年齢人口の減少や少子高齢化を背景に、人手不足は深刻化。今後も継続すると予想されるため、女性・シニア等の潜在的労働力の掘り起こしが重要。

0102030405060708090

100110120130

1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060

0歳~14歳 15歳~64歳 65~74歳 75歳以上(百万人)

(年)

推計値

図1:総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(平成29年推計)(注)1.2016年以降は、将来推計人口は、出生中位(死亡中位)推計による。 2.2015年までは総務省「国勢調査」(年齢不詳をあん分した人口)による。図2:中小企業庁・(独)中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」(注) 従業員数過不足数DIとは、従業員の今期の状況について、「過剰」と答えた企業の割合(%)から、「不足」と答えた企業の割合(%)を引いたもの。図3、図4:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「人手不足対応に向けた生産性向上の取組に関する調査」(2017年12月)(注)人手不足感について、「過剰」の項目は表示していない。

年齢別人口推計の推移図1図1

業種別従業員数過不足DIの推移図1図2

▲ 40

▲ 30

▲ 20

▲ 10

0

10

20

30

ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠ

07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18

全産業 製造業 建設業卸売業 小売業 サービス業

(DI,%p)

(年期)

人手不足感別に見た、女性・シニアの活用状況図1図3

人手不足感別に見た、女性・シニアの業務範囲拡大へ向けた取組の実施状況図1図4

52.5

40.1

33.0

37.8

49.4

52.5

9.7

10.5

14.5

0% 100%

大いに不足(n=805)

やや不足(n=2,519)

ちょうどよい(n=648)

活用しており、3年前に比べて積極化している活用しているが、3年前に比べて積極化はしていない活用していない

37.0

27.8

11.9

5.6 5.5

34.534.3

26.9

11.27.8

3.8

34.831.7

21.4

11.37.3

3.4

40.3

0

10

20

30

40

50

男性・若手の仕事と決めていた仕事を女性・シニア等に担当させた

フルタイム正社員の仕事と決めていた仕事を複数のパート社員等

に細分化した

重作業・軽作業の切り分け等の業務の細分化を行った

重量物を扱う作業台を変更するなど、作業負荷を軽減した

その他 取り組んでいるものはない

大いに不足(n=695)

やや不足(n=2,166)

ちょうどよい(n=524)

(%)

7

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3.深刻化する人手不足。女性・シニア等の掘り起こしが課題。【事例】株式会社加藤製作所(岐阜県中津川市)

60歳以上限定の求人広告をきっかけに人手不足を解消し、シニア人材の活躍の場を広げている企業

【企業概要】プレス板金加工を手掛ける企業(従業員107名、資本金2,000万円)。

【具体的取組】土日祝日の工場稼働を検討するも、人手不足が課題。⇒「意欲のある人求めます。男女問わず。ただし年齢制限あり。60歳以上の方」等のキャッチコピーでシニア人材に限定した求人広告を実施。

⇒ひと目で工程を理解できるように掲示物や作業指示書等の文字を大きくし、かつ写真やイラストを増やした。また、シニア人材が操作しやすい工作機械を導入。

【効果】想定を上回る100名からの応募を得て、うち15名を採用し人手不足を解消。

【コスト】広告費用やシニア人材に配慮した職場環境整備。

シニア人材向けに出した広告

柔軟な勤務形態や無料託児所の設置等の工夫により、女性の確保・定着に成功している企業

【企業概要】 訪問看護事業所、通所介護事業所等を運営する企業(従業員86名、資本金300万円)。

【具体的取組】 創業当初から働いていた従業員二名の妊娠を機に、出産後も働きやすい職場環境整備に注力。⇒事情に応じて勤務時間を4.5~7.5時間で選択でき、待遇は正社員同等の「準社員」制度を導入。

⇒仕事復帰後は、「ならし勤務制度」により、1時間以上からの短時間勤務が可能。

⇒従業員向け「無料託児所」を社内に設置。

【効果】 女性が働きやすい職場としての認知度が高まり、求人をかけると資格を持つ人材が殺到。

【コスト】 無料託児所の運営費用。

【事例】有限会社COCO-LO(群馬県桐生市)

同社で働く女性従業員8

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4.IT導入等を行う上でも、業務プロセスの見直しは生産性向上の大前提。• 設備投資やIT導入などの生産性向上に向けた取組は、業務プロセスの見直しと併せて実施することで一層の効果が期待される。業務プロセスの見直しは生産性向上の大前提。

図1 業務見直しの取組規模

86%の中小企業が何らかの業務見直しを実施

20.7

26.7

14.0

24.9

13.8

全社単位で業務の見直しを行っている

部門単位で業務の見直しを行っている

小集団単位・チーム単位で業務の見直しを行っている

個々の従業員のレベルで、日々工夫しながら、業務の見直しを行っている

特段、業務の見直しは行っていない

(%)

業務見直しの取組単位別に見た、3年前と比べた労働生産性図2

51.8 51.7 49.5

51.6 50.7

34.1 31.9 29.6

36.0 31.7

0

10

20

30

40

50

60

省力化投資を実施

新規投資・増産投資を実施

IT導入を実施

多能工化を実施

アウトソーシングを実施

業務見直し実施企業 業務見直し未実施企業(%)

業務見直しの実施有無別に見た、他の生産性向上策により労働生産性が向上した企業の割合

図1~3:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「人手不足対応に向けた生産性向上の取組に関する調査」(2017年12月)図2(注)1.3年前と比べた労働生産性について、「わからない」の項目は表示していない。

2.労働生産性について、「かなり向上」及び「やや向上」の回答を「向上した」とし、「やや低下」及び「かなり低下」の回答を「低下した」として集計している。

図3(注) 1.「省力化投資」及び「新規投資・増産投資」を実施した者とは、直近3年間で「積極的投資」または「消極的投資」を行った者を指す。2.IT導入を実施した者とは、アンケート上において「企業全体での総合評価」として、「ITを導入した」と回答した者を指す。3.「多能工化」及び「アウトソーシング」を実施した者とは、人手の過不足状況について「大いに不足」または「やや不足」と回答した者であって、かつ「労働人材が不足」または「労働人材・中核人材とも不足」と回答した者のうち、それぞれの取組について「取り組んでおり、積極化している」または「取り組んでいるが、積極化はしていない」と回答した者を指す。

4.「業務見直し実施企業」とは、「業務の見える化」、「不要業務・重複業務の見直し・業務の簡素化」、「業務の標準化・マニュアル化」、「業務の細分化・業務分担の見直し」について一つ以上実施している者を指す。

5.労働生産性が向上した企業とは、3年前と比べた自社の労働生産性について、「かなり向上」、「やや向上」と回答した者を指す。

54.0

50.5

47.2

40.1

25.3

27.8

33.0

38.4

36.9

48.5

18.2

16.5

14.4

23.1

26.2

0% 100%

全社単位で業務の見直しを行っている(n=826)

部門単位で業務の見直しを行っている(n=1,064)

小集団単位・チーム単位で業務の見直しを行っている(n=562)

個々の従業員のレベルで、日々工夫しながら、業務の見直しを行っている(n=976)

特段、業務の見直しは行っていない(n=549)

向上した 変わらない 低下した

図3

9

Page 11: 2018年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要 - …2018 年版中小企業白書 (現状分析) 1.中小企業の景況感は改善傾向にある一方、大企業との生産性格差は拡大。2.未来志向型の取引慣行に向けて、下請取引は着実に改善。(テーマ別分析)

4.IT導入等を行う上でも、業務プロセスの見直しは生産性向上の大前提。【事例】有限会社朋友(千葉県流山市)

業務の徹底的な見える化を行った上で、IT導入を進めたことで生産性を向上させている企業

【企業概要】プラスチック製品製造事業者(従業員17名、資本金300万円)。

【具体的取組】中小企業診断士と二人三脚で徹底した業務の見える化を行ったところ、金型の交換作業等がボトルネックとなり稼働率を低下させ、収益力を低下させていることが判明。⇒設備にセンサーを設置し、クラウドを通じて、設備の稼働状況を収集・分析するITシステムを構築。

⇒社長のリーダーシップのもと、同システムを活用しながら稼働率向上に向けて、PDCAを回していった。

【効果】稼働率は約20%向上。結果、利益率は3.9倍に。

【コスト】 IT導入コスト約110万円。(うちものづくり補助金により

79万円の補助)システム開発期間約1.5か月

金型交換作業の様子

【事例】株式会社鷺の湯荘(島根県安来市)

業務の見直しの結果、設備の入替を行い、業務効率化を実現した企業

【企業概要】島根県安来市で温泉旅館を営む企業(従業員40名、資本金1,000万円)。

【具体的取組】業務を洗い出した結果、客室冷蔵庫のドリンク補充や冷水ピッチャーの入替に毎日1時間半も要していたことが判明。⇒有料型の冷蔵庫から通常の冷蔵庫へ変更。⇒冷水ピッチャーからペットボトルの水を置く形に変更。

清掃業務をマニュアル化。

【効果】平均的に一人当たり30分程度残業時間が減少。

【コスト】 冷蔵庫20台分の更新投資。(約70万円)

変更前の冷蔵庫 変更後の冷蔵庫10

Page 12: 2018年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要 - …2018 年版中小企業白書 (現状分析) 1.中小企業の景況感は改善傾向にある一方、大企業との生産性格差は拡大。2.未来志向型の取引慣行に向けて、下請取引は着実に改善。(テーマ別分析)

業種別に見た、多能工化・兼任化の取組状況図1

図1~4:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「人手不足対応に向けた生産性向上の取組に関する調査 」(2017年12月)図2:(注) 1.3年前と比べた労働生産性について、「わからない」と回答した者は除いて集計している。

2.労働生産性について、「かなり向上」及び「やや向上」の回答を「向上した」とし、「やや低下」及び「かなり低下」の回答を「低下した」として集計している。

図2

42.5

26.5

23.2

22.9

21.2

18.5

29.1

45.6

43.3

42.3

43.4

41.4

51.1

36.4

11.9

30.3

34.5

33.7

37.4

30.4

34.4

0% 100%

製造業(n=1,147)サービス業(n=786)

情報通信業(n=168)建設業

(n=590)運輸業

(n=449)卸売業・小売業

(n=703)その他

(n=151)

取り組んでおり、3年前に比べて積極化している 取り組んでいるが、3年前に比べて積極化はしていない 取り組んでいない

• 人手不足状況下で、多くの業種で多能工化・兼任化の取組が進展しているが、卸売業・小売業、サービス業等の非製造業において製造業並の積極的な取組が必要。

5.幅広い業種で多能工化・兼任化の取組が進展。生産性向上にも寄与。

59.0

41.7

33.6

26.2

36.7

44.4

14.7

21.6

22.0

0% 100%

取り組んでおり、3年前に比べて積極化している(n=1,174)

取り組んでいるが、3年前に比べて積極化はしていない

(n=1,848)

取り組んでいない(n=1,117)

向上した 変わらない 低下した

多能工化・兼任化の取組状況別に見た、3年前と比べた労働生産性

図3

従業員の多能工化・兼任化を進める上での課題図4

従業員の多能工化・兼任化のために行った取組

47.2

34.929.1 29.0

20.5 19.2

1.6

7.5

0

10

20

30

40

50

業務マニュアルの作成・整備

従業員のスキルの見える化

業務の棚卸し・見える化

多能工化・兼任化に応じた昇給・人事評価

ジョブローテーション制度の実施

多能工化・兼任化に向けた能力開発機会の

提供

その他 取り組んでいるものはない

(%) (n=2,886)

42.1

28.9

19.915.7 15.2

7.93.3 2.3

17.9

0

10

20

30

40

50

多能工化を進めるための時間的余裕がない

多能工化を主導できる人材が社内にいない

業務負担増加を懸念する従業員からの反発

多能工化に応じた処遇改善が困難

多能工化を進めるノウハウがない

業務が高度であり、多能工化になじまない

多能工化を行うための相談相手がいない

その他 特に課題はない

(%)(n=2,795)

11

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5.幅広い業種で多能工化・兼任化の取組が進展。生産性向上にも寄与。

【事例】株式会社環境技研(群馬県高崎市)従業員のスキルマップ作成を契機に多能工化を行い、全体の業務を平準化したことで、生産性を向上させている

企業

【企業概要】環境アセスメント調査等を行う会社(従業員82名、資本金5,000万円)。【具体的取組】受注案件に偏りが生じると、特定の調査・検査を行う担当に業務が集中。⇒従業員のスキルを一覧化(スキルマップ)し見える化。

⇒スキルに応じて柔軟に他部門に割り当てることが可能に。

【効果】年間の一人当たり平均労働時間が、1,500時間から

1,400時間に減少。

【コスト】取組に慣れるまでの当初4か月間は、残業時間が増加。

スキルマップ(イメージ図)

【事例】株式会社お佛壇のやまき(静岡県静岡市)業務マニュアルを作成することで、学習する環境を整備。従業員の多能工化により生産性を向上させている

企業

【企業概要】仏壇仏具の製造・販売や仏壇リフォーム(修理・再生)、墓石・墓園の販売を行う企業(従業員35名、資本金3,600万円)。【具体的取組】従業員の残業時間減少と有給休暇取得率を上げるため、多能工化の仕組みづくりを実施。⇒レジのタッチパネル化や商品管理へのハンディターミナルの導入等により、短時間で業務が行えるようにした。

⇒業務全般をマニュアル化し、従業員全員がレジや販売、経理、設計等の全ての業務をこなせるよう教育。

【効果】時間外労働の減少に加え、従業員が休みを取りやすくなった。

【コスト】 マニュアルを覚えるまでに3か月を要した。

同社が作成した業務マニュアル12

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0

10

20

30

40

50

地元のITメーカ・販売会社

公認会計士・税理士

地元以外のITメーカ・販売会社

金融機関 社労士 ITコンサルタント・ITコーディネータ

商工会議所・商工会

市や区役所等の公的機関

特に相談者はいない

トップ層 (n=474) ミドル層 (n=1,920) ボトム層 (n=1,324)(%)

0

10

20

30

40

コストが負担できない

導入の効果が分からない、評価できない

従業員がITを使いこなせない

業務内容に合ったIT技術や製品がない

IT導入の旗振り役が務まるような人材がいない

適切なアドバイザー等が

いない

個人情報漏洩の

おそれがある

技術、ノウハウの流出のおそれが

ある

課題は特にない

トップ層 (n=452) ミドル層 (n=1,866) ボトム層 (n=1,310)(%)

6.IT導入のきっかけとして重要になるのは、地元のITベンダーなど身近な相談相手。

• 中小企業のITに関する相談相手は、地元のITメーカー・販売会社等が多く、こうした主体がIT導入を働きかけていくことが重要。

社外におけるITに関する相談相手

ITの導入・利用を進めようとする際の課題図1 図2

• IT導入によって期待した効果が得られている層トップ

• IT導入によってある程度の効果は得られている層

ミドル

• IT導入が進んでいない層

ボトム図3

中小企業のIT利活用の状況(イメージ)

図2・図3:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「人手不足対応に向けた生産性向上の取組に関する調査 」(2017年11月) 13

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6.IT導入のきっかけとして重要になるのは、地元のITベンダーなど身近な相談相手。

【事例】株式会社宝角合金製作所(兵庫県姫路市)

商工会議所に相談し、各種施策の提案を受け、生産工程の「見える化」により生産性向上を推進した企業

【企業概要】中大物機械加工を得意とする産業機械向け部品の製造業者(従業員40名、資本金2,000万円)。

【具体的取組】納期遅れや人手不足の常態化に対応するため、生産性向上が必要となり、姫路商工会議所に相談。補助制度の利用について提案を受ける。姫路市の「ものづくりIT化推進補助金」を活用。⇒工場内のWi-Fi化を進め、生産管理システムとタブレット端末との連携を実現。

ミラサポの専門家派遣制度を活用し、生産管理システムの導入の指導を受けた。

【効果】 工場内のWi-Fi化によって、移動など、作業員の無駄な時間が削減。1人当たり1日15分、現場全体で1日9時間程度削減。

【コスト】工場内のWi-Fi化は総額約220万円(補助額は100万円)。ミラサポの専門家謝金は総額4万円。制度活用後に総額10万円のコンサル契約を締結。

【事例】有限会社アイグラン (東京都八王子市)

地元のIT販売会社と長期的な関係を構築し、ITに精通した社員がいない中でも着実にIT化を

進展させた企業

【企業概要】東京都八王子市のパン小売製造事業者(従業員70名、資本金300万円)。

【具体的取組】ITに精通した社員はいないが、長いつきあいのある地元のIT販売会社からIT補助金活用の提案を受け、クラウド給与・就業管理を導入。⇒各店舗毎に紙で管理していた出勤データをクラウド上で管理し、給与計算を自動化。

【効果】毎月の事務が7人日から3人日に削減した。【コスト】クラウド給与・就業管理とサポートサービスで約180万円(IT導入補助金を活用)

代表取締役 岩田利夫同社店舗工場内で使用する生産管理システム

14

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38.7

61.3

業務領域間の連携が行われている業務領域間の連携は行われていない

(n=3,549)

7.業務領域や一企業の枠を超えて連携することでITの効果は飛躍的に高まる。

• IT導入の効果を高める上では、複数の業務領域間でデータ連携を図ることが重要。• さらに、企業間でデータ連携を行うことで一層の生産性向上が期待できる。

IT利活用における業務領域間の連携の状況

業務領域間の連携の有無 連携によりカバーされている業務領域77.4

39.4 47.5 46.3

60.9

3.9 0

20

40

60

80

財務・

会計

人事・

労務

顧客管理

在庫管理

受発注

その他

(n=1,654)

図1

図1・2:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「人手不足対応に向けた生産性向上の取組に関する調査 」(2017年11月)図3:経済産業省「情報処理実態基本調査」再編加工。(注)「攻めのIT」とはコスト削減だけでなく売上や付加価値拡大を実現するためのIT活用をいう。

図2 連携している業務領域の数と労働生産性

39.5 47.6 50.5 55.3

60.6

0

20

40

60

80

業務領域間の機能連携無し(n=1,850)

2領域(n=462)

3領域(n=424)

4領域(n=266)

5領域(n=160)

[業務領域の区分:財務会計/人事労務/顧客管理/在庫管理/受発注]

図3 「攻めのIT」の実施に向けた企業間連携の状況

50.6

29.8

44.9

64.2

4.4

6.0

0% 100%

大企業

中小企業

連携している 連携していない わからない

企業間連携の有無

企業間連携の有無別生産性(一人当たり売上高)

7,122

4,051

0

2,000

4,000

6,000

8,000

連携している中小企業 連携していない中小企業

(万円/人)

(%)(%)

(労働生産性が向上した企業の割合、%)

15

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7.業務領域や一企業の枠を超えて連携することでITの効果は飛躍的に高まる。

【事例】株式会社今野製作所(東京都足立区)

同業他社との共同受注・生産管理システムを構築し、企業間データ連携を行うことで、付加価値向上を図る

企業

【企業概要】東京都足立区の板金加工事業者(従業員36名、資本金3,020万円)。

【具体的な取組】自社内のクラウド活用で成果を上げていた同社は、得意分野の異なる同業他社2社との共同受注を立案。⇒共同受注案件の生産進捗や引き合い状況をクラウド上で3社間で共有するITシステムを構築。

⇒顧客向けのポータルサイトも設置。

【効果】共同受注した案件は、年間15件(引き合いは30件)

【コスト】ランニングコストは月額1.5~3万円程度。(自社でのアプリ開発は別途必要。)

今野浩好社長

【事例】株式会社カラーズ(東京都大田区)

クラウド会計の導入後、クラウド人事労務も併せて導入し、機能間連携を行うことで一層の業務効率化を実現

している企業

【企業概要】在宅介護サービスが事業の柱の介護事業者(従業員35名、資本金610万円)。

【具体的取組】事業の拡大に伴い、経理や給与事務の代行先である税理士や社労士による対応が困難に。クラウド会計のアドバイザーを兼任する税理士を見付け、クラウド会計の導入サポートと、経理事務の工程改善を依頼。⇒更にクラウド給与を導入し、クラウド会計と連携。機能間を連携させ、 業務効率化。

【効果】 事務代行先が2か月かけていた事務処理が、週30分程度の社内処理で対応可能になった。

年間約50万円以上事務代行料が削減。【コスト】クラウド・サービスの利用料は、会計・人事併せて月数千円程度。クラウド導入に係るコンサルティング費用は30万円

田尻久美子社長16

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• 中小企業の設備投資は、緩やかな増加傾向。• 足下では設備老朽化等を背景とした維持・更新投資が中心だが、生産性向上につながる前向きな投資をより一層促進していく必要。

8.生産性向上のためには前向きな投資が重要。引き続き投資を促進する必要。

図1:財務省「法人企業統計調査季報」 図2:財務省「法人企業統計調査季報」より(一財)商工総合研究所「中小企業の競争力と設備投資」をもとに作成。(注)ここでいう大企業とは資本金10億円以上の企業、中小企業とは資本金1千万円以上1億円未満の企業とする。図3:内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」 (注)2017年度の上位5項目を抜粋している。図4:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「人手不足対応に向けた生産性向上の取組に関する調査」(2017年12月)(注)ここでいう投資の積極的実施とは、減価償却費や過去の実績と比較して、比較的高額の投資をいう。

中小企業の設備投資目的図3中小企業の設備投資図1

2.9

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣ

2007 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17

(兆円・後方4四半期平均)

(年期)

45.852.7

46.7

33.328.6

53.646.1 41.8

30.122.9

57.446.5 43.2

28.1 25.8

010203040506070

維持更新 生産(販売)能力の拡大

製(商)品・サービスの質的向上

省力化合理化 情報化への対応

2007年度 2012年度 2017年度(%)

企業規模別設備年齢の推移図2 設備投資実績と労働生産性の変化図4

100.0

194.1

100.0

148.6

0

50

100

150

200

250

757677787980818283848586878889909192939495969798990001020304050607080910111213141516

中小企業 大企業(1990年度=100)

(年度)

7.0 2.0

6.4 1.9

6.4 2.2

53.1

31.3

49.2

30.8

48.6

31.6

60.1

33.2

55.6

32.7

55.0

33.8

0

10

20

30

40

50

60

70

積極的実施(n=1,036)

未実施(n=1,312)

積極的実施(n=1,525)

未実施(n=1,146)

積極的実施(n=1,398)

未実施(n=713)

省力化投資新規投資・増産投資更新投資

かなり向上 やや向上 向上全体(かなり向上+やや向上)

+21.2% +22.9% +26.9%(%)

17

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8.生産性向上のためには前向きな投資が重要。引き続き投資を促進する必要。【事例】社会福祉法人友愛十字会(砧ホーム)

(東京都世田谷区)介護ロボット(見守りセンサ、パワーアシスト)の導入により、

介護現場の負担軽減と魅力向上を果たした組織

【企業概要】入所定員64名の特別養護老人ホーム(介護職員と看護職員は合わせて29名)。

【具体的取組】人手不足感が強い介護業界で人材を確保するため、省力化投資による勤務環境の改善に取り組む。

⇒巡回の頻度削減のための見守りセンサと、身体的負担を軽減するためのパワーアシストを導入し、 職員の負荷軽減を図った。(東京都のロボット介護機器・福祉用具活用支援モデル事業に採択。)

【効果】 導入後、見守りセンサは22名中19名、パワーアシストは

21名中6名が勤務負担が減ったと職員が回答。 見守りセンサの導入前後の9ヵ月間の比較で、ベッドからの転落事故発生件数が約30%減少。

【コスト】設備費総額は約616万円(うち525万円の補助)別途ランニングコストとして無線LAN費用が月4万円。

【事例】株式会社コイワイ(宮城工場)

ロボット導入等により人手不足に対応しつつ、生産性を高めた工場

【企業概要】神奈川県の非鉄金属業。宮城工場は金属鋳造が主(従業員140人、資本金2,000万円)。

【具体的取組】金属鋳造は危険な重労働であり、震災の影響もあって、求人難に。⇒特に危険な大型部品の鋳造工程にロボットを導入。⇒女性が使いやすい電動式ハンドリフトを導入。

【効果】ロボット導入で生産性は2.3倍。不良率は10%低減。パートと派遣のうち、女性が過半数を占めるまで増加。

【コスト】ロボット投資額は約5,000万円。(うち、ものづくり補助金による補助額は3,000万円)電動式のハンドリフトの購入費用は82万円。

ロボット導入前 ロボット導入後

パワーアシスト

見守りセンサ(赤外線式)18

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• 事業承継等を背景に、中小企業のM&A件数は増加基調。

9.経営者の高齢化から休廃業・解散が高水準。事業承継等を背景に、中小企業のM&Aは増加。

図3:東証1部上場の中小企業向けM&A仲介企業3社の公表値等より中小企業庁作成図4:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「成長に向けた企業間連携等に関する調査」(2017年11月)(注) 複数回実施している者については、直近のM&Aについて回答している。

休廃業・解散件数、倒産件数の推移図2

中小企業のM&A仲介を手掛ける上場3社の成約組数図3

16,110

24,705

28,142

18,769

15,646

8,405

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17

休廃業・解散 倒産(件)

(年)

図1 中小企業の経営者年齢の分布(年代別)

0

5

10

15

20

25

30歳~ 45歳~ 60歳~ 75歳

(万人)

20年間で経営者年齢の山は47歳から66歳へ移動

1995年最頻値

2000年

2005年 2010年

2015年

157 171234

308

387

526

0

100

200

300

400

500

600

12 13 14 15 16 17

(株)日本M&Aセンター (株)ストライク M&Aキャピタルパートナーズ(株)(件)

(年)

M&Aの相手先経営者年齢別に見た、相手先のM&Aの目的(上位5つ)

図4

28.6

42.9

34.738.8

12.2

38.342.6

47.9

33.0

11.7

49.1

40.236.4

27.1

5.6

67.5

49.4

26.520.5

10.8

0

10

20

30

40

50

60

70

80

事業の承継 従業員の雇用の維持

業績不振の打開

事業の成長・発展

会社債務に対する経営者等の個人保証解除

40歳代以下(n=49) 50歳代(n=94) 60歳代(n=214)70歳代以上(n=83) 全体(n=472)

(%)

図1:(株)帝国データバンク「COSMOS2企業概要ファイル」再編加工 (注) 最頻値とは、各調査年で最も回答の多かった値を指す。図2:(株)東京商工リサーチ「2017年「休廃業・解散企業」動向調査」(注)1.休廃業とは、特段の手続きをとらず、資産が負債を上回る資産超過状態で事業を停止すること。

2.解散とは、事業を停止し、企業の法人格を消滅させるために必要な清算手続きに入った状態になること。基本的には、資産超過状態だが、解散後に債務超過状態であることが判明し、倒産として再集計されることもある。

3.倒産とは、企業が債務の支払不能に陥ったり、経済活動を続けることが困難になった状態となること。私的整理(取引停止処分、内整理)も倒産に含まれる。 19

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• 中小企業のM&Aは、買い手側の企業にとってシナジーを発揮し、生産性を高める契機となりうる。• M&Aの相手先を見つけたきっかけとしては、金融機関等の第三者からの紹介が多く、マッチング強化

が今後の課題。

10.中小企業のM&Aは、生産性向上に寄与。今後はマッチング強化が課題。

図1:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工 (注)ここでいう企業再編行動とは、「事業譲受」、「吸収合併」、「買収による子会社増」をいう。図2~4:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「成長に向けた企業間連携等に関する調査」(2017年11月)(注) 複数回実施している者については、直近のM&Aについて回答している。

M&Aの相手先を見付けたきっかけ図3

第三者から相手先を紹介された

42.3相手先から直接売り込まれた30.2

自社で相手先を見付けた

27.5

(%)

(n=473)

28.5 26.9

16.6

5.2 4.72.1 0.5

15.5

05

1015202530

金融機関 他社(仕入先・協力会社)

専門仲介機関

コンサルティング会社

他社(販売先・顧客)

公認会計士、税理士

事業引継ぎ

支援センター

その他

(%)(n=193)

M&Aの相手先を紹介された第三者

20

M&A実施企業と非実施企業の労働生産性図1

90

95

100

105

110

115

06 07 08 09 10 11 12 13 14 15

2010年度に M&Aを実施した企業

2009~2015年度の間M&Aを一切実施していない企業(労働生産性2010年度=100)

(年度)

M&A実施後の満足度別に見た、M&A実施の具体的効果図2

53.3 50.8

26.8

16.8 14.3 14.0 10.33.7

36.9 38.5

26.2

9.2

13.87.7

16.910.8

0

10

20

30

40

50

60

商圏の拡大による売上・利益の増加

商品・サービスの拡充による売上・利益の

増加

技術・ノウハウ等の獲得による相乗効果

仕入・販売コストの削減

ブランドや信用力の向上

間接部門の合理化

拠点の統廃合による効率化

その他

期待どおり、期待以上の満足度(n=321) 期待を下回る満足度(n=112)全体(n=464)

(%)

M&Aの実施状況別に見た、今後の企業間連携やM&Aの推進に向けた支援策への期待(上位5つ)

図4

60.7

35.228.8 29.7 31.7

52.9

41.934.8 36.9

28.8

39.233.8 33.7 30.3 28.8

0

10

20

30

40

50

60

70

M&Aの実施に係る

税制優遇

マッチング機能の強化

マッチング後の契約や事業化面の支援

M&A後の統合過程における課題解決の支援

政府系金融機関による制度融資

実施をした(n=438) 実施していないが、検討をした(n=597)実施、検討をしていない(n=2,429) 全体(n=3,554)

(%)

Page 22: 2018年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要 - …2018 年版中小企業白書 (現状分析) 1.中小企業の景況感は改善傾向にある一方、大企業との生産性格差は拡大。2.未来志向型の取引慣行に向けて、下請取引は着実に改善。(テーマ別分析)

10.中小企業のM&Aは、生産性向上に寄与。今後はマッチング強化が課題。

21

【事例】株式会社HME(三重県桑名市)

M&Aをきっかけに、付加価値向上を図った企業

【企業概要】計測機器等の開発設計・製造を行う企業(従業員100名、資本金1,000万円)。

【具体的取組】大企業で継続できなくなった事業や倒産した企業の事業、後継者難の企業の事業で、自社の事業と親和性の高い事業等を3社から取得。

【効果】取得した技術と自社技術とを組み合わせてシナジーを発揮し、新たな計測機器・分析機器等を開発。グループ全体の売上・収益向上につながっている。

【コスト】仲介手数料や相手先の事業評価のための費用を含む、事業取得費用等。

同社が製造する赤外線センサー

服部一彌社長

【事例】株式会社シマキュウ(新潟県長岡市)

M&Aを積極的に活用し、シナジー効果を引き出して付加価値向上を図る企業

【企業概要】 産業用高圧ガス、ドライアイスの製造販売、溶接材料、産業機器、鋳造材料、環境医療機器の専門商社(従業員216名、資本金1億円)。

【具体的取組】 1996年頃からこれまでに、関連する異業種を中心に

10社のM&Aを実施。 給与アップや福利厚生の充実等により、相手先の従業員のモチベーションを高めている。

【効果】 取扱商材の販売ラインナップの充実だけでなく、新たな顧客層を獲得できた。メンテナンス等のサービス面も充実し、付加価値向上。

【コスト】 仲介手数料を含む、株式取得費用等。給与アップや福利厚生の充実等の統合後の費用。

島田隆昭社長

Page 23: 2018年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要 - …2018 年版中小企業白書 (現状分析) 1.中小企業の景況感は改善傾向にある一方、大企業との生産性格差は拡大。2.未来志向型の取引慣行に向けて、下請取引は着実に改善。(テーマ別分析)

2018年版小規模企業白書(現状分析)11.小規模事業者数は減少しているが、規模拡大する事業者や高い生産性の

事業者も存在。

(テーマ別分析)12.小規模事業者では、経営者に業務が集中。IT導入等による経営者の業務

効率化が急務。13.IT導入等により小規模事業者の生産性は向上。14.小規模事業者では、ちょっとした工夫で生産性向上。15.小規模事業者へ施策を浸透させる上では、身近な支援機関の役割が重要。16.小規模事業者は、兼業・副業やフリーランス等の多様な働き方の受け皿。

22

Page 24: 2018年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要 - …2018 年版中小企業白書 (現状分析) 1.中小企業の景況感は改善傾向にある一方、大企業との生産性格差は拡大。2.未来志向型の取引慣行に向けて、下請取引は着実に改善。(テーマ別分析)

11.小規模事業者数は減少しているが、規模拡大する事業者や高い生産性の事業者も存在。• 小規模事業者数は減少しつつあるが、企業数は全体の85%を占める。• 2009年から2014年にかけて7.1万者が小規模事業者から中規模企業に拡大。

企業規模別企業数の推移図1

図2 小規模事業者から中規模企業に拡大した企業7.1万者の内訳

0.01

0.4

0.7

0.00 0.1 0.2

0.6

1.4

0.02 0.2

0.4

1.2

0.3 0.2

0.9

0.00

0.4 3.6

0.9 1.9

8.9

3.3 3.2 3.7 2.0

0.6 0.4 2.1 2.2

0.8 2.2

6.6

0.2

3.6

012345678910

0.00.20.40.60.81.01.21.41.6

鉱業,採石業,砂利採取業

建設業 製造業 電気・ガス・熱供給・水道業

情報通信業 運輸業,郵便業

卸売業 小売業 金融業,保険業

不動産業,物品賃貸業

学術研究,専門・技術サービス業

宿泊業,飲食サービス

生活関連サービス業,娯楽業

教育,学習支援業

医療,福祉

複合サービス事業

サービス業(他に分類されないもの)

小規模事業者から中規模企業に拡大した企業数(左目盛)小規模事業者から中規模企業に拡大した企業が、2009年の小規模事業者数(業種別)に占める割合(右目盛)(万者) (%)(2009~2014年)

小規模→中規模7.1万者

図2:総務省「平成21年、26年経済センサス-基礎調査」、総務省・経済産業省「平成24年経済センサス-活動調査」再編加工(注)各調査によって2009年7月、2012年2月、2014年7月の3時点で存在が確認できた企業のうち、2009年7月時点で小規模事業者であり、2014年7月時点で中規模企業に規模拡大した者が対象。

大企業1.2

大企業1.1

61 59 55 53

中規模企業54万者

51

中規模企業56万者

423 410 378 366

小規模事業者367万者

334

小規模事業者325万者

050

100150200250300350400450500

1999 2001 2004 2006 2009 2012 2014

大企業 中規模企業 小規模事業者

図1:総務省「平成11年、13年、16年、18年事業所・企業統計調査」、「平成21年、26年経済センサス-基礎調査」、 総務省・経済産業省「平成24年経済センサス-活動調査」再編加工(注)1. 企業数=会社数+個人事業者数とする。

2. 経済センサスでは、商業・法人登記等の行政記録を活用して、事業所・企業の補足範囲を拡大しており、本社等の事業主が支所等の情報も一括して報告する本社等一括調査を実施しているため、「事業所・企業統計調査」による結果と単純に比較することは適切ではない。

(万者)

(年)

企業数計421万者 企業数計

382万者▲39万者

▲41万者

+2万者

23

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11.小規模事業者数は減少しているが、規模拡大する事業者や高い生産性の事業者も存在。

• 小規模事業者であっても、一部は大企業を凌ぐ高い労働生産性を発揮。

企業規模別の労働生産性(製造業)図1 図2 企業規模別の労働生産性(非製造業)

393

678

1,010

980

1,340

1,812

62

313

590

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

小規模事業者(法人) 中規模企業(法人) 大企業(法人)

中央値 上位10% 下位10%(万円)

400

635

849

1,525

1,782 1,939

40

223 384

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

小規模事業者(法人) 中規模企業(法人) 大企業(法人)

中央値 上位10% 下位10%

図1、2:財務省「平成28年度法人企業統計調査年報」再編加工(注)1.労働生産性=付加価値額/従業者数

2.付加価値額=人件費+支払利息等+動産・不動産賃借料+租税公課+営業純益3.従業者数=役員数+従業員数4.不動産業を除く

(万円)

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43.8

19.1

29.7

21.7

34.3

31.8

33.3

31.3

40.6

34.5

24.3

47.7

38.9

37.8

31.2

0% 100%

財務・会計(n=3,899)

在庫管理(n=4,185)

給与管理・勤怠管理(n=4,031)

受発注(n=4,441)

顧客管理(n=4,242)

パソコン等でほぼ電子化 電子化と紙の併用ほぼ紙で管理している

(注)1.間接業務の業務分担について「ほぼ経営者」、「経営者と従業員」、「ほぼ従業員」と回答した者を集計している。2.「わからない」と回答した者を除いて集計している。

• 人手不足を背景に、小規模事業者では経営者に業務が集中。業務の見直しやIT利活用等を進めることを通じて、間接業務の業務負担を軽減し、経営者の業務効率化を進めることが急務の課題。

人手不足感

図1~4:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「小規模事業者等の事業活動に関する調査」(2017年12月)

間接業務の電子化状況

図1

図4

53.9

35.0 31.2

25.5 22.7 19.9 18.6 17.1 14.6

8.8 2.9

0

10

20

30

40

50

60

経営者の労働時間を増やし対応

パート・アルバイトなどによる対応

従業員の多能工化や兼任化

業務プロセスの改善や工夫

業務の外部へのアウトソーシング

従業員の残業を増やし対応

賃金、処遇など労働条件の改善

女性・シニアなど、多様な人材の積極的な採用

IT化、設備導入による省力化

他企業との連携による経営資源の補完

その他

(%) (n=2,995)

人手不足への対応

経営者自身の業務時間の削減意向

図2

図365.9

45.6 45.4 41.6 39.1

35.6

23.5 20.6 19.0

13.4

0

10

20

30

40

50

60

70

財務・会計(記帳)

(n=1,347)

在庫管理(n=1,422)

給与管理・勤怠管理

(n=1,189)

商品やサービスの製造・生産(受注、仕入を含む)(n=1,721)

商品やサービスの販売(営業、接客、決済を含む)(n=2,020)

顧客管理(n=1,545)

資金調達(n=1,860)

商品やサービスの企画・開発・設計

(n=1,533)

人事・採用(n=1,350)

経営計画の策定

(n=1,729)

(%)

間接業務の削減意向が高い

(注)いずれかの業務で経営者の業務時間を削減したいと回答している者について、従事している業務ごとに削減したいと回答した割合を示している。

65.3

34.7 人手不足を感じている

人手不足を感じていない

(注)ここでいう「人手不足を感じている」とは、人手不足感について「かなり深刻」、「深刻」、「不足しているが何とかやっていける程度」と回答した者をいう。

(%)

(n=4,587)

12.小規模事業者では、経営者に業務が集中。IT導入等による経営者の業務効率化が急務。

25

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13.IT導入等により小規模事業者の生産性は向上。

• 小規模事業者でも手軽に導入できるITを活用することで生産性向上を実現できる。

【事例】スズキ機工株式会社(千葉県松戸市)

計画的な自社商品開発と、IT を活用したプロモーションにより、付加価値を向上する企業

【企業概要】食品加工工場向け産業用機械造業者(従業員17名、資本金3,000万円)。

【具体的取組】 現代表は事業承継後、新商品の開発に着手。⇒顧客が継続的、反復的に利用する「ストックビジネス」に焦点を定め開発を行い、高性能潤滑剤「ベルハンマー」を開発。

⇒顧客アンケートに基づくインターネット割引キャンペーンを実施。SNSを活用しプロモーション。

【効果】4か月で1.3万人が購入、2,000万円超の売上を確保。多くのリピーターも獲得し、安定した売上基盤も獲得。

【コスト】SNSによるプロモーションにかかる費用:30万円

【事例】松尾農園(長崎県松浦市)モバイルPOSレジ等を使い業務を効率化し、売上向上につながる取組を行う小規模事業者

【企業概要】業歴67年の種苗店(従業員3名、個人事業者)3代目の松尾氏が代替わりの際にカフェを開店した。

【具体的取組】経営を多角化したことで業務量が増加。商工会議所の勧めで、クラウド会計とモバイルPOSレジを導入。⇒インターネットバンキングとも連動、経理業務を効率化。

【効果】効率化によって空いた時間を活用し、種苗のネットショップを開始。SNSによるPRが功を奏し、売上向上。

【コスト】クラウド会計は月額900円程度。Airレジのためのタブレット端末等導入費用は合計で17万円。(うち軽減税率対策補助金による補助額は10万円)

カフェの店内 鈴木豊社長 26

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14.小規模事業者では、ちょっとした工夫で生産性向上。• ちょっとした工夫で労働生産性を向上させている小規模事業者も数多く存在。事業計画を立てて先

を見通し、支援策も活用しながら設備投資等を積極的に実施していくことが重要。

【事例】有限会社AOI(東京都中央区)

シャリ弁ロボット

【事例】有限会社すずか園(山形県寒河江市)

LED 照明を導入し、客数増加・在庫ロス減少を実現した企業

【企業概要】従業員2名、資本金300万円の生花販売業者。

【具体的取組】 近年のインターネット販売店との競合激化により来店客数が減少傾向。店舗の演出を見直し来店客数の増加を図った。⇒特に店内が薄暗く、顧客に花の魅力が十分に訴求できていなかったため、寒河江商工会の経営指導員のアドバイスにより小規模事業者持続化補助金を利用し、店舗照明のLED化を実施。

⇒展示方法も変更し、入店しやすい店舗づくりを行った。

【効果】 来店客数50%増加、売上10%増加(前年対比) LED照明への変更により発熱量が減少したため、 商品(花)の寿命も延び、在庫ロスが1割減

店舗の外観

省力化投資によって人手不足に対応しながら業務効率化により売上向上した企業

【企業概要】従業員4名、資本金300万円のハンバーグ専門店。

【具体的取組】 競争の激しい銀座において20年の業歴を持つ繁盛店であるが、今後見込まれる人手不足に対応するため業務の機械化を検討。⇒お皿にライスを盛るシャリ弁ロボと券売機を導入し、人手のかかる業務の削減を図った。

【効果】料理提供時間の短縮により、席当りの回転率が向上し、坪当たり月商は2倍に増加。

【コスト】リースによる設備導入。(経営者のお小遣いの範囲内)

27

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15.小規模事業者へ施策を浸透させる上では、身近な支援機関の役割が重要。• 支援機関による手厚い支援によって、小規模事業者が必要とする施策をスムーズに届けることが可能。

28

【事例】出水商工会議所 (鹿児島県)

商工会議所の支援の下、売上向上を実現した事業者従業員3名、資本金300万円のパン屋。売上減少を商工会議所に相談。持続化補助金を活用した看板の入替えを提案され、大きく背の高い看板を設置。

認知度が高まり、売上が年300万円増となった。看板設置費用は約24万円(うち16万円の補助)。

【事例】有限会社パン工房麦穂(鹿児島県出水市)

出水商工会議所は、持続化補助金を採択された事業者による事例発表会を3年連続で開催。地域の事業者が補助金を活用する動機づけになっている。

また、経産省の補助金のみならず厚労省の助成金等も幅広く案内している。

支援

【事例】精華町商工会(京都府)

商工会の支援の下、売上向上を実現した事業者従業員6名、資本金1,000万円の建設業者。経営者講座を受講。顧客へ事業内容を上手にPRできていないと気付く。⇒施工事例を紹介するホームページを刷新。築20年以上経過した家、庭の植物が手入れされていない家等、対象を絞り込んだチラシを配布。これらのPR費用は60.5万円(うち40万円の補助)。

問い合わせ件数は前年同期比で350%増加、売上250万円の増加。

【事例】株式会社森忠建設造園(京都府精華町)

精華町商工会は、地域の小規模事業者の業況が悪化する中、経営支援員が青年部員へ声掛けを行い、経営勉強会を定期開催。

セミナーを通じ作成した事業計画は、持続化補助金等の申請につながり、事業者の収益向上に寄与。

支援

同社のホームページ入替え前の看板 入替え後の看板

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15.小規模事業者へ施策を浸透させる上では、身近な支援機関の役割が重要。

【事例】福岡県よろず支援拠点

テレビ電話システムによって、遠方の事業者にも専門性の高い相談員による支援を提供しているよろず支援拠点

飲食店経営者やTV制作会社ディレクターなど多様な専門性をもつ相談員を要するよろず支援拠点。

2017年11月から、スカイプ等のテレビ電話システムによる遠隔相談を導入。各地の商工会議所等に窓口を設置し、県内24カ所でテレビ電話相談が可能に。費用もタブレット端末等で約2万円弱と安価。

片道3時間かけて相談にきていた事業者や、これまで利用を躊躇していた事業者が、専門性の高い相談員から気軽に支援を受けられるようになった。

「テレビ電話相談は、お互いの表情がわかるため、電話相談に比べてコミュニケーションの質は劇的に向上する」とチーフコーディネーターの佐野氏は語る。

今後は、博多から遠方の市町村すべてに、テレビ電話相談窓口を設置していく考えだ。

テレビ電話相談の様子29

2014年4月から業務開始。2016年度の相談件数は全国3番目に多く、累計相談件数1,000件を突破。

5名の相談推進員を県内各地域に配置。他の支援機関と密に連携し、相談推進員による支援やニーズの掘り起こしを実施。

【事例】秋田県事業引継ぎ支援センター

事業引継ぎ支援センターを活用し、後継者がいない喫茶店を引き継いで開業した事業者

従業員2名、個人事業者のパン屋。2015年12月に事業譲渡を受け開業。秋田県事業引継ぎ支援センターは、譲渡者との交渉など、手続き全般を支援。⇒菅野氏は譲り受け後に、前オーナーから人気店を継続するための経営指導を受けた。

地元に根差した人気の喫茶店の味を守りながら、新たに出来立てパンの販売を開始。常連客からは更にお店の魅力が増したと好評。

【事例】珈琲とパンの店美豆木(秋田県秋田市)

支援

菅野氏夫妻

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16.小規模事業者は、兼業・副業やフリーランス等の多様な働き方の受け皿。【事例】ASK(エアロ・サプライチェーン・コーディネーティング)

川合勝義氏(愛知県)

定年退職後セカンドキャリアとして、中小企業の航空サプライチェーン構築を支援

【企業概要】ASK (従業員なし、個人事業者)の代表者。フリーランスとして、航空機事業に取り組む中小製造業へのコンサルティング等を実施。

【具体的取組】 大手重工業メーカーで長年航空機製造に携わり、幅広いノウハウを取得。

関連会社に転籍後、航空分野の人材育成事業を担当し、40年かけて経験を積んできたノウハウと人脈が中小企業の役に立つと実感。

定年退職を機にASKを設立し、フリーランスの航空コンサルタント(中小企業庁ミラサポ専門員等)として活動。

【効果】 セカンドキャリアとしてのフリーランスという働き方だからこそ、大企業に勤務していた時にはできなかった業界全体への貢献ができている。

【事例】IGUコンサルティング 磯村幸太氏(東京都)

副業として創業し、キャリアの幅を広げることで本業の勤務先へも貢献

【活動概要】 副業:IGUコンサルティング(従業員なし、個人事業者)

の代表者。 本業:大手メーカー勤務。

【具体的取組】 副業は、個人向けキャリアカウンセリング事業。

20代から30代のビジネスパーソンに対して、キャリアビジョンを言語化する支援を行っている。

優先順位をつけて時間の使い方のバランスを取っている。

【効果】 副業を通じて得たスキルが本業でも活用できている。

(働き方改革の推進、キャリアビジョンのワークショップの企画運営等)

【コスト】 副業のランニングコストはメール使用料の月90円に抑えている。

川合勝義氏磯村幸太氏30

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中小企業・小規模事業者施策について

(生産性向上関連)

31

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【支援措置】 税制支援(固定資産税軽減や即時償却等) 金融支援(融資・信用保証等) 補助金の優先採択

経営力向上計画

1.中小企業等経営強化法の改正による生産性向上の取組

経営革新等支援機関

サポート・商工会議所・商工会・中央会・地域金融機関・士業等の専門家

申請認定

普及啓発人材育成

【事業分野別指針】 経産省:製造業、卸・小売業、石油卸・燃料小売業 国交省:旅館(厚労省と共管)、貨物自動車運送、船舶、自動車整備、建設、不動産 厚労省:外食・中食(農水省と共管)、医療、介護、保育、障害福祉 総務省:CATV、電気通信業、地上基幹放送

業界単位での推進体制を強化するとともに、ベストプラクティスを収集して基本方針や事業分野別指針に反映し、各業種の特性に応じて、更なる普及を促進し、平成30年度以降、雇用関係助成金との連携についても、検討。【運用体制の強化】

あわせて中小企業視点でITツールの評価を可能にする体制の導入、支援能力確保・維持のため、認定経営革新等支援機関に更新制等の導入。【制度的対応】

更に、後継者不足の中で、M&Aにより、事業・経営資源を成長意欲のある企業や有能な経営人材に引き継ぐ枠組を創設。【制度的対応】

主務大臣

中小企業・小規模事業者中堅企業

【事業分野別指針】生産性が低い分野を中心に更なる指針の策定【支援措置】雇用関係助成金など各省施策との連携【推進機関】推進機関を増やし、業界単位での取組強化

●再編を促進する制度的枠組を創設し、以下の支援措置を講じる。・各種税制支援・許認可承継/債務引受等の手続特例

●経営革新等支援機関の認定に更新制等を導入●認定情報処理支援機関の創設等

運用強化

制度的対応

現行制度 今後の方向性

・日本自動車整備振興会連合会・日本自動車部品工業会・情報通信ネットワーク産業協会・日本ボランタリーチェーン協会・放送サービス協会

【認定向上推進機関(H29.12.19日時点)】・全日本トラック協会・日本能率協会・日本電子回路工業会・素形材センター・日本旅館協会・日本CATV連盟・大阪NPO協議会・日本印刷技術協会・ケーブルラボ

事業分野別経営力向上推進機関

32

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• 革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善のために必要な設備投資等を支援しており、積極的にご活用いただきたい。

●企業間データ活用型 補助上限額:1,000万円/者※(補助率 2/3)複数の中小企業・小規模事業者が、事業者間でデータ・情報を共有し、連携体全体として新たな付加価値の創造や生産性の向上を図るプロジェクトを支援します。※連携体は10者まで。さらに200万円×連携体参加数を上限額に連携体内で配分可

●一般型 補助上限額:1,000万円(補助率 1/2※)中小企業が行うサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善に必要な設備投資等を支援。※生産性向上特別措置法案に基づき、固定資産税の特例率をゼロの措置をした市区町村において先端設備導入計画の認定を取得した事業者、又は、中小企業等経営強化法に基づく経営革新計画の承認を取得して一定の要件を満たす事業者は、補助率2/3を適用

●小規模型 補助上限額:500万円(補助率 小規模事業者2/3、その他1/2)小規模な額で行う革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を支援。(設備投資を伴わない試作開発等も支援)

その他:・専門家を活用する場合 補助上限額30万円アップ・生産性向上特別措置法案に基づき、固定資産税の特例率をゼロの措置をした市区町村において、先端設備等導入計画の認定を受けている事業者は優先採択

【採択実績】○平成28年度補正予算 763億円 採択件数:6,157件 ○平成25年度補正予算 1,400億円 採択件数:14,431件○平成27年度補正予算 1,021億円 採択件数:7,948件 ○平成24年度補正予算 1,007億円 採択件数:10,516件○平成26年度補正予算 1,020億円 採択件数:13,134件

2.設備導入による投資に対する支援①~ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業~【29年度補正1,000億円】

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• 集中投資期間中(平成32年度末まで)における中小企業の生産性革命を実現するための臨時・異例の措置として、 償却資産に係る固定資産税の特例措置を講じる。

• また、本特例に合わせ、「ものづくり・商業・サービス補助金」等の予算措置を拡充・重点支援することで、国・市町村が一体となって、中小企業の生産性の向上を強力に後押しする。

• 市町村の認定を受け、高い労働生産性の向上を目指す企業が導入する設備について、3年間固定資産税の軽減(ゼロ~1/2)が受けられる。

2.設備導入による投資に対する支援② ~固定資産税の特例の創設~

指針の策定

基本計画の策定

市町村長

設備投資計画の作成

中小企業者

申請

認定

協議

同意

新法スキーム案 補助事業の一覧

補助事業 概要 予算規模30当初・29補正

ものづくり・サービス補助金

中小企業のロボット導入など生産性の大幅な向上を図る中小企業の設備投資を支援

1,000億円

持続化補助金

小規模事業者が、商工会・商工会議所と経営計画を作成し、販路開拓等の取組を支援

100億円

サポイン補助金

中小企業が大学・公設試等と連携して行う研究開発、試作品開発及び販路開拓を支援

130億円

IT導入補助金

中小企業のIT導入により、バックオフィス業務の効率化や売上向上を支援

500億円

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3.IT導入支援① ~サービス等生産性向上IT導入支援事業 その1~

●以下のような取組に使える今後構築する補助金ホームページに登録、公開されるITツール(ソフトウェア、サービス等)が対象です。補助対象とするITツールには、例えば、パッケージソフトの本体費用やクラウドサービスの導入・設定費用等が含まれます(ハードは対象外)。●ITの利活用イメージ

●補助対象となるITツール・顧客1人1人に応じたきめ細やかな接客サービスが実施可能となり、リピーターの確保や企業イメージの向上等につながることが期待されます。・業務効率化を通じて、顧客のニーズにあわせた新たなサービスの開発、提案が可能となり、新規顧客の獲得等の実現にもつながります。

• 中小企業等に対し、バックオフィス業務等の効率化や新たな顧客獲得等の付加価値向上(売上向上)に資するITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入支援を行う。

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3.IT導入支援② ~サービス等生産性向上IT導入支援事業 その2~ 【29年度補正500億】

●補助対象中小企業、小規模事業者

(飲食、宿泊、小売・卸、運輸、医療、介護、保育等のサービス業の他、製造業や建設業等も対象)●対象額

上限 50万円~下限 15万円 補助率(補助率 1/2)●補助対象となるITツール

補助金ホームページに登録、公開されているITツール(ソフトウェア、サービス等)(例)パッケージソフトの本体費用やクラウドサービスの導入・設定費用等※ハードは対象外

その他:・平成30年通常国会提出予定の生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)に基づき、固定資産税ゼロの特例を措置した自治体において、補助事業を実施する事業者について、その点も加味した優先採択を行います。

【採択実績】○28年度補正:100億採択件数:14,301件

※29年度補正:500億

【スケジュール】・1次公募:4月20日~6月4日 交付決定:6月14日 予定・2次公募:6月下旬 ~8月上旬 交付決定:8月中旬 予定・3次公募:8月下旬 ~10月上旬 交付決定:10月中旬 予定

• 中小企業等の生産性向上を実現するため、業務の効率化や売上拡大に資する簡易的なITツールを導入支援。

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3.IT導入支援③ ~中小企業・小規模事業者のIT導入のための仕組み構築~

• IT導入補助金(H28補正予算100億円)により、中小企業・小規模事業者の生産性向上に資するITツールを導入する際の経費を補助し、民間ベンダーの活力を活用して約1.5万社に導入。

• また、H29補正予算(500億円)により約13万社へのITツールの導入を予定しているので、ぜひ積極的にご活用いただきたい。

• さらに面的にIT導入を進めるためには仕組みの構築が必要であり、中小企業において大幅に導入を促進するため、①生産性向上に繋がるITツールの見える化、及び、②支援機関のITリテラシーを向上し、連携してIT導入を図っていく。

IT導入補助金から見えたこと 約4500者の民間ベンダー、約2万のITツールが登録 予約管理システムや出荷・受注の効率化ツール等が導入され、経営課題の解決に寄与。

中小企業・中小企業支援者からは、どのITツールが効果があり、安全に利用できるか分かりにくいとの声。

民間ベンダー自体は、販路が弱い。(インターネット販売、コールセンターで相談対応など)

税理士・会計士、商工会・商工会議所、金融機関、地域販売代理等の中小企業に身近なネットワークを活用した共同体が、短期間で多くの中小企業へのIT導入を実施。

①ITツール・ベンダーの見える化

IT導入が進んでいない中小企業

②身近な支援機関との連携地域での伴走型中小企業支援機関(地域金融機関、士業専門家、商工会・商工会議所等)のIT活用支援体制構築・ITスキル向上研修・IT専門家を配置

導入促進

中小企業視点でITツールの評価を可能な体制整備・生産性向上実績・セキュリティ・事業継続 等

中小企業へのIT導入のための仕組み構築

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• 経営力向上計画の認定を受けると、M&Aの際に発生する登録免許税・不動産取得税が軽減。

創設

改正概要

○登録免許税○不動産取得税 を軽減

B社Y事業X事業

土地建物

機械ほか

事業譲渡等

A社のX事業をB社が引継ぎ経営を強化

土地・建物

A社X事業

土地建物

機械ほか

【適用期限:平成31年度末まで】通常税率 計画認定時の

税率

不動産の所有権移転の登記

合併による移転の登記 0.4% 0.2%

分割による移転の登記 2.0% 0.4%

その他の原因による移転の登記 2.0%※ 1.6%

<登録免許税の税率>

通常税率 計画認定時の税率(事業譲渡の場合※2)

土地住宅 3.0%※1 2.5%

(1/6減額相当)

住宅以外の家屋 4.0% 3.3%

(1/6減額相当)

<不動産取得税の税率>

※1平成33年3月31日まで、土地や住宅を取得した場合には3.0%に軽減されている。(住宅以外の建物を取得した場合は4.0%)※2 合併・一定の会社分割の場合は非課税※3 事務所や宿舎等の一定の不動産を除く

※平成31年3月31日まで、土地を売買した場合には1.5%に軽減。

経済産業大臣(基本方針の策定)

主務大臣(事業分野別指針の策定)

【中小企業等経営強化法】

改正経営力向上

計画(仮称)

申請 認定M&Aを通じた事業承継を経営力向上計画の認定制度

の対象に追加

4.M&Aによる事業承継支援 ~ M&A時の減税措置の創設(登録免許税・不動産取得税)~

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5.小規模事業者に対する販路開拓支援~小規模事業者持続化補助金~

販路開拓顧客獲得

現状分析~計画策定~事業の実行まで伴走して支援

①現状の整理 ②経営計画の策定③経営計画に基づく取組の実施

小規模事業者

商工会・商工会議所(経営指導員)

事業の流れ

• 小規模事業者が、変化する経営環境の中で持続的に事業を発展させていくために、商工会・商工会議所と一体となって経営計画を作成し、当該計画に基づいて行う販路開拓等の取組を支援。

• 商工会・商工会議所をはじめとする中小企業・小規模事業者団体等が、ブランドの磨き上げ、展示会・商談会の開催、都市部での販売拠点(アンテナショップ)の設置、インターネット通販サイトなどの環境を提供していくことを支援。

(参考)平成28年度熊本予備費 1,433件

1.補助率等

①補助率 : 2/3②補助上限額:

50万円100万円(賃上げ、海外展開、買物弱者対策等)500万円※(将来の事業承継を見据えた共同設備投資等)等※(50万円 × 事業者数)

2.補助対象経費

①機械装置等費、②広報費、③展示会等出展費、④旅費、⑤開発費、⑥資料購入費、⑦雑役務費、⑧借料、⑨専門家謝金、⑩専門家旅費、⑪車両購入費、⑫設備処分費、⑬委託費、⑭外注費

平成28年度補正 22,983件平成27年度補正 14,549件平成26年度補正 33,855件平成25年度補正 13,327件

累 計 84,715件【この取組の一部を補助】

3.公募時期

・3月9日~5月18日下記日程を予定

(※)経営計画の策定及び商工会・商工会議所による指導を条件に、販路開拓等を支援する自治体の支援策も増えつつある。兵庫県 小規模事業者の営業・販路開拓を支援(補助率1/2、上限25万円)

駒ヶ根市(長野) 小規模小売商業者の販路開拓やサービスの提供など売上拡大を目的とする事業を支援(補助率2/3、上限20万円)

東近江市(滋賀) 小規模事業者が経営計画に基づき取り組む事業のうち、店舗の改修などに係る部分を支援(補助率1/2、上限50万円)

【29年度補正100億円】

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