平成30年度知的財産権ワーキング・グルー プ等侵害対策強化 ...2...

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経済産業省委託 平成30年度知的財産権ワーキング・グルー プ等侵害対策強化事業(官民合同ミッション 等支援事業)報告書 2019 年 3 月 独立行政法人 日本貿易振興機構 知的財産課

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経済産業省委託

平成30年度知的財産権ワーキング・グルー

プ等侵害対策強化事業(官民合同ミッション

等支援事業)報告書

2019 年 3 月

独立行政法人 日本貿易振興機構

知的財産課

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目次

[1]はじめに .............................................................................................................................2

[2]実施事業の報告 ..................................................................................................................3

1. 国際知的財産保護フォーラム(IIPPF)の活動に係る支援...................................3

(1)総会 .......................................................................................................................3

(2)企画委員会.............................................................................................................3

(3)中国プロジェクト(建議グループ) ....................................................................4

(4)中国プロジェクト(情報収集グループ) .............................................................5

(5)アジア大洋州プロジェクト ...................................................................................6

(6)中東プロジェクト ..................................................................................................8

(7)インターネットプロジェクト ............................................................................. 11

(8)地域横断 .............................................................................................................. 13

(9)情報共有セミナー ................................................................................................ 13

(10)普及啓発........................................................................................................... 14

2. 政府間協議に必要な調査事業 ....................................................................................... 15

(1)調査一覧 .............................................................................................................. 15

(2)調査内容 .............................................................................................................. 15

3. 知的財産保護官民合同代表団の派遣に係る事業 .......................................................... 16

第 16 回知的財産保護官民合同訪中代表団(北京)(実務レベル) .............................. 16

4.侵害発生国と共同で行う事業に係る支援 ....................................................................... 17

(1)ミャンマー政府機関との真贋判定集手交及び意見交換 ..................................... 17

(2)日中知的財産権共同セミナー ............................................................................. 18

(3)インドネシア知財エンフォースメント関係者との意見交換 .............................. 19

5.侵害発生国におけるセミナー等の開催 .......................................................................... 20

真贋判定セミナー........................................................................................................... 20

6.侵害発生国の政府機関職員及び専門家等の招聘事業..................................................... 24

(1)サウジアラビア商業投資省幹部招聘 .................................................................. 24

(2)マレーシア MDTCA・税関招聘 ......................................................................... 25

(3)国家市場監督管理総局招聘 ................................................................................. 26

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平成30年度知的財産権ワーキング・グループ等侵害対策強化事業

(官民合同ミッション等支援事業)報告書

[1]はじめに

近年、我が国と世界各国との経済的な相互依存関係が深まる中で、今後も日本企業の一層

の海外進出が見込まれている。日本企業が海外において事業を展開していく上で、当該国に

おける商標・意匠・特許等の知的財産権が迅速に権利化されるとともに、その権利が適切に

保護されることが不可欠である。

しかしながら、中国をはじめとするアジア諸国、中東・アフリカ、中南米など世界各国で、

あらゆる業種の日本企業が大企業・中小企業を問わず模倣品・海賊版被害に遭遇しており、

その被害は拡大傾向にある。特に近年は、模倣行為が巧妙化・悪質化しており、また、イン

ターネットの普及に伴いネット上で侵害を受ける日本企業の数も増加している。

そこで、権利者である日本企業との協働による官民合同ミッションの派遣、侵害発生国の

執行機関職員に対するセミナー等の開催及び侵害発生国の政府職員等の日本への招聘等を

行うことにより、侵害発生国政府との協力関係を構築し、知的財産権保護の強化を図ること

とする。

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[2]実施事業の報告

1. 国際知的財産保護フォーラム(IIPPF)の活動に係る支援

(1)総会

下記の通り開催し、以下の内容について報告・検討を行った。

日時:2019 年 3 月 7 日

主な議題:

・IIPPF の活動成果と今後の方向性

・2018 年度活動報告および 2019 年度活動方針の紹介

・運営要領の改正について

・2019 年度企画委員について

(2)企画委員会

下記の通り開催し、以下の内容について報告・検討を行った。

ア 第 1 回

日時:2018 年 5 月 28 日

主な議題:

・各プロジェクトチームの活動計画

i. 企画委員会(地域横断活動、情報共有、普及啓発)

ii. 各プロジェクト(中国建議グループ、中国情報収集グループ、アジア大洋州プロ

ジェクト、中東プロジェクト、インターネットプロジェクト)

イ 第 2 回

日時:2018 年 10 月 12 日

主な議題:

・各プロジェクトチームの活動計画(上半期振り返り)

i. 企画委員会(地域横断活動、情報共有、普及啓発)

ii. 各プロジェクト(中国建議グループ、中国情報収集グループ、アジア大洋州プロ

ジェクト、中東プロジェクト、インターネットプロジェクト)

・IIPPF の活動見直しについて

ウ 第 3 回

日時:2019 年 2 月 18 日

主な議題:

・各プロジェクトチームの活動報告および総会資料の確認

iii. 企画委員会(地域横断活動、情報共有、普及啓発)

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iv. 各プロジェクト(中国建議グループ、中国情報収集グループ、アジア大洋州プロ

ジェクト、中東プロジェクト、インターネットプロジェクト)

・総会議事次第について

i. 運営要領の改訂案について

ii. IIPPF の新組織体制

iii. 2019 年度企画委員リスト(案)

iv. IIPPF の成果と今後の方向性

(3)中国プロジェクト(建議グループ)

下記の通り開催し、以下の内容について報告・検討を行った。

ア 第 1 回

日時:2018 年 4 月 10 日

主な議題:

・2018 年度建議グループ活動方針について

・2018 年度 経済産業省 模倣品対策室 中国事業について

・2018 年度 IIPPF 中国 P プロジェクトアンケート(案)の検討について

・中国中央政府の知財関係機関の組織再編について

イ 第 2 回

日時:2018 年 6 月 12 日

主な議題:

・2018 年度 IIPPF 中国プロジェクトアンケート結果について

・2018 年度第 1 回企画委員会(5/28)の結果報告

ウ 第 3 回

日時:2018 年 7 月 10 日

主な議題:

・2018 年度 IIPPF 中国プロジェクトアンケート結果に基づく、建議書素案/骨子の検討

・中国政府機関招聘について

エ 第 4 回

日時:2018 年 9 月 13 日

主な議題:

・IIPPF 実務レベルミッション建議書案の最終確認

オ 第 5 回

日時:2018 年 10 月 11 日

主な議題:

・日中知的財産権ワーキング・グループ (第7回:11/14~15) に関する現状について

・IIPPF 実務レベルミッション:建議書の最終確認

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・蘇州市高新区市場監督管理局との意見交換について

・蘇州工業園区双打領導小組会員機構向け真贋判定セミナーについて

・中華商標協会(CTA)及び中華商標フェスティバル(CTF)の紹介

・日中商標交流会のプレゼン内容の紹介(特に中国側)

カ 第 6 回

日時:2018 年 12 月 17 日

主な議題:

・IIPPF 実務レベルミッションの結果報告

・今後の建議グループの活動について

・日中知的財産権ワーキング・グループについて

キ 第 7 回

日時:2019 年 1 月 22 日

主な議題:

・2018 年度 IIPPF 実務ミッション議事概要(最終版)の共有

・2018 建議まとめと今後の対応について(主な機関についての課題の共有等)

・2018 年度 IIPPF 総会について(建議グループからの報告事項関連)

(4)中国プロジェクト(情報収集グループ)

下記の通り開催し、以下の内容について報告・検討を行った。

ア 第 1 回

日時:2018 年 5 月 23 日

主な議題:

・2018 年度中国プロジェクト模倣品対策情報収集グループ 活動方針について

・取組紹介「中国における調査会社活用について」

・平成 30 年度 経済産業省 模倣品対策室 中国事業について

イ 第 2 回

日時:2018 年 8 月 31 日

主な議題:

・取組紹介「文具業界の模倣品対策について」

・取組紹介「日本自動車タイヤ協会の知財活動について」

・深セン真贋判定セミナー開催報告

ウ 第 3 回

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日時:2018 年 8 月 31 日

主な議題:

・取組紹介「外国商標を根拠とした Alibaba の削除通知」

・取組紹介「MTG の模倣品対策活動」

・蘇州真贋判定セミナー報告

エ 第 4 回

日時:2019 年 2 月 15 日

主な議題:

・事例紹介

・次年度の活動計画及び総会資料について

(5)アジア大洋州プロジェクト

下記の通り開催し、以下の内容について報告・検討を行った。

ア 第 1 回

日時:2018 年 4 月 26 日

主な議題:

・2018 年度度事業について(METI・JPO 両スケジュール)

・専門家招聘について

・マレーシア MDTCA・税関招聘について

イ 第 2 回

日時:2018 年 7 月 6 日

主な議題:

・カンボジア専門家(弁理士)との意見交換報告

・バングラデシュ及びネパール専門家(弁護士)との意見交換報告

・タイ真贋判定セミナーについて(9 月 18・21 日)

・その他の事業について(マレーシア MDTCA・税関招聘、LAZADA 招聘)

・侵害発生国での模倣品対策事例紹介

ウ 第 3 回

日時:2018 年 9 月 6 日

主な議題:

・マレーシア MDTCA・税関招聘について

・ミャンマー真贋判定集手交について

・ベトナム真贋判定セミナー概要について

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・エンフォースメントシートの更新及び共有

・2018 年度実施予定の事業の進捗確認

(カンボジア真贋判定セミナー、インドネシア関係機関訪問、フィリピン模倣品流通

実態調査)

・侵害発生国での模倣品対策事例紹介

エ 第 4 回

日時:2018 年 11 月 2 日

主な議題:

・タイ真贋判定セミナー 実施報告

・ミャンマー政府機関訪問 実施報告

・マレーシア MDTCA&税関招聘事業 進捗報告

・ベトナム真贋判定セミナー 進捗報告

・2018 年度に実施が予定されている事業について

(カンボジア真贋判定セミナー、インドネシア関係機関訪問、フィリピン模倣品流通実

態調査)

・事例紹介

オ 第 5 回

日時:2019 年 1 月 10 日

主な議題:

・マレーシア MDTCA・税関招聘事業 実施報告

・ベトナム真贋判定セミナー 実施報告

・カンボジア真贋判定セミナー 実施報告

・2018 年度に実施が予定されている事業の進捗

(インドネシア関係機関との意見交換会、フィリピン模倣品流通実態調査)

・事例紹介

カ その他(バングラディシュ・ネパール弁護士招聘)

バングラデシュ及びネパールについては、海外各国での模倣品対策に先進的に取り組

む日本企業を中心に、周辺国等からの権利侵害品の流入とその対策の必要性が認められ

ている。その一方で、最新の知財に関する基礎情報や執行機関の実務の実態についての

情報が不足している。本招聘事業で実施するセミナー及び意見交換では、同国における

知財法制度の運用状況や政府及び民間事業者による模倣品対策の実態等ついての情報収

集を行った。

日時:2018 年 6 月 22 日

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被招聘者:

① Shravan Kumar Bansal 氏、UNITED IPR Senior Partner/Advocate

② Janak Bhandari 氏、Global Law Associates Managing Partner/Advocate

結果概要:

【セミナー】

バングラデシュ及びネパールでの基本的な知的財産権保護体制と、知的財産権侵害時

の対応方法や訴訟手続き等のポイントについて紹介があった。また、税関登録制度がな

い等、バングラデシュの税関での取締りが上手く機能しない実情が紹介された。

【意見交換】

摘発の実態や警告状の有用性等、知的財産権侵害対策についての基本的な情報につい

て確認し意見交換を行った。また、税関による国境措置の強化の必要性について確認し

た。

キ その他(カンボジア弁護士との意見交換)

カンボジアにおいては、日本企業の権利侵害事例が発生している一方、知財概況や模

倣品対策についての基礎情報が不足していたため、昨年度、ジェトロにてカンボジアに

おける模倣品流通実態調査を作成した。そこで得られた基礎情報を踏まえ、本意見交換

では同国における知財法制度の運用状況や政府及び民間事業者による模倣品対策の実態

等、実務についての意見交換を行う。本事業を行うことによって、模倣品対策に対応す

る日本企業の、今後の模倣対策方針策定の一助とする。

日時:2018 年 5 月 30 日

被招聘者:大竹徳成氏 Tilleke&Gibbins(タイオフィス)弁理士

結果概要:

模倣品対策にあたってのプロセス、並行輸入や調停費用、税関の職権差止め等のポイ

ントについて確認した。また、税関から真贋判定セミナーの開催を求められていること

から、セミナーの実施態様について意見交換を行った。

(6)中東プロジェクト

下記の通り開催し、以下の内容について報告・検討を行った。

ア 第 1 回

日時:2018 年 4 月 26 日

主な議題:

・2018 年度中東プロジェクト活動方針について

・サウジアラビア政機関招聘事業について

・ナイジェリア弁護士招聘事業について

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イ 第 2 回

日時:2018 年 6 月 14 日

主な議題:

・ナイジェリア弁護士招聘結果

・サウジアラビア MCI 招聘事業の進捗報告

・トルコ・エジプト真贋判定セミナー実施について

・5/28 IIPPF 企画委員会審議内容報告

・イラン税関知財セミナー(特許庁委託事業)報告

ウ 第 3 回

日時:2018 年 7 月 26 日

主な議題:

・サウジアラビア MCI 招聘事業におけるセミナー及び意見交換会振り返り

・トルコ・エジプト真贋判定セミナーについて

エ 第 4 回

日時:2018 年 10 月 11 日

主な議題:

・トルコ・エジプト真贋判定セミナーについて

・来年度のサウジアラビア現地事業に向けた確認事項について

オ 第 5 回

日時:2018 年 11 月 29 日

主な議題:

・トルコ・エジプト真贋判定セミナーについて

・10/12 開催 IIPPF 企画委員会議事要旨

・来期の中東プロジェクト運営体制

・パキスタンでの模倣品対策

カ 第 6 回

日時:2018 年 12 月 18 日

主な議題:

・トルコ・エジプト真贋判定セミナーについて

・2019 年度プロジェクト活動計画について

・中東・アフリカ地域における知財概況等について(ジェトロドバイからの報告)

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キ 第 7 回

日時:2019 年 1 月 24 日

主な議題:

・トルコ・エジプト真贋判定セミナーについて

・2019 年度プロジェクト活動計画について

・サウジアラビア現地事業案検討

ク 第 8 回

日時:2019 年 2 月 28 日

主な議題:

・トルコ・エジプト真贋判定セミナー実施報告

・UAE 司法ワークショップ(特許庁委託事業)参加報告

・2019 年度プロジェクト活動計画について

・2019 年度サウジアラビア現地事業について

・第 3 回企画委員会議事概要

・事例発表

ケ その他(ナイジェリア弁護士招聘)

ナイジェリアは、アフリカで最大の経済大国であり、日本企業の進出も年々増加して

いる。それに伴い、IIPPF 中東プロジェクトでも、ナイジェリアに対しての関心が高

く、注視していた。昨年度実施した、同国の模倣品対策制度及び運用状況に関する調査

を踏まえ、知財専門家として弁護士を日本に招聘し、同国の知的財産保護制度やその実

態等の情報をセミナーで提供してもらうとともに、権利者と直接の対話機会を設けるこ

とで両国での知財保護等について理解を深めることを目的とする。

日時:2018 年 6 月 13 日

被招聘者:① Mr. Timothy Olubor:Partner, Allan & Ogunkeye 法律事務所

② Mr. Obafemi Agaba :Partner, Jackson, Etti & Edu 法律事務所

結果概要:

【セミナー】

・ナイジェリアにおける知的財産権保護機関及び、知財に関わる法制度と裁判のプロセ

スを紹介。また、同国における知財保護の実情について紹介した。

・ナイジェリアでの模倣品流通の現状と模倣品対策法の欠如の中での弁護士としての知

財保護の取り組みを解説。また、いくつかの成功事例を紹介した。

【意見交換】

・SON や NAFDAC などの主な機関の組織体系、警察の役割などの説明がなされ、差止

めのプロセスについて意見交換を行った。

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(7)インターネットプロジェクト

下記の通り開催し、以下の内容について報告・検討を行った。

ア 第 1 回

日時:2018 年 6 月 22 日

主な議題:

・アリババとの継続的な交流について

・新興中国 EC サイトとの交流について

・新興 EC サイト等との交流について

・インターネット上の非典型商標侵害に関する調査について

イ 第 2 回

日時:2018 年 8 月 24 日

主な議題:

・アリババとの継続的な交流について

・新興中国 EC サイトとの交流について

・LAZADA 最新動向について

・事務局より調査事業の進捗共有

・知的財産推進計画 2018 について

・税関における知的財産侵害物品の水際取締りについて

・世界各国における EC サイトの状況について

ウ 第 3 回

日時:2018 年 10 月 26 日

主な議題:

・非典型権利侵害調査の進捗について

・インターネットプロジェクト活動の進捗について

メルカリ CS 仙台訪問のご報告

LAZADA 招聘の進捗について

中東 ISP 調査の進捗について

個人輸入アンケートについての進捗ご報告

・アリババ・ミッションに係るセミナー及び意見交換テーマ検討

・中国新興 EC サイト訪問に係る意見交換テーマ検討

エ 第 4 回

日時:2018 年 12 月 21 日

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主な議題:

・IIPPF インターネット PJ 活動の進捗について

・非典型権利侵害調査の進捗について

アリババ訪問のご報告

中国新興 EC サイトとの交流のご報告

LAZADA サイトシンガポール招聘の進捗について

・最近の電子商取引における取引保証の国際標準化の動向について

オ 第 5 回

日時:2019 年 2 月 1 日

主な議題:

・インターネット上の非典型権利侵害に関する比較調査進捗報告

・中東・アフリカ地域のネット上の模倣品対策に関する調査進捗報告

・LAZADA シンガポール招聘事業について~

・コクヨ株式会社模倣品対策活動~中国でのインターネット上の模倣品を中心に~

・世界税関機構 CAP 年次総会~模倣品対策についての議論報告~

・来年度活動に向けた議論

・ヤフーによる最新の模倣対策に関する取組紹介

カ その他(LAZADA 招聘)

国内外のインターネット上の知的財産権侵害に関して、調査・研究等の活動を実施し

ている。また、IIPPF アジア大洋州プロジェクトでは 2017 年に当該 EC サイトを訪問、

意見交換を実施し初めて交流の場を設けた。今般、本部機能を有する同サイトのシンガ

ポールから担当者を招聘し、セミナーで広く情報提供の場を設ける他、意見交換を通じ

てより深化した関係構築を図る。

日時:2019 年 3 月 5 日

被招聘者:

① Mick Ryan 氏 Alibaba Group Platform Governance, Deputy Director

② Angela XIE 氏 Alibaba Group Platform Governance, Manager

③ Joshua Looi 氏 LAZADA Group, Legal Counsel

結果概要:

【セミナー】

・消費者啓蒙プログラムや権利申し立てシステムなど模倣品対策の現状について説

明。また、キーワードフィルターやノンコンプライアンスポイントに見られる模

倣品出店者への対応についての最新情報を紹介。

【意見交換】

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・当該 EC サイトの規約やガイドライン、再犯対策など現在の模倣品対策の状況と

今後の展開について意見交換を行った。アリババ傘下となったことから、今後は

IPP プラットフォームや罰則などを統合していく方針と確認した。

(8)地域横断

下記の通り開催し、以下の内容について報告・検討を行った。

ア 第 1 回

日時:2018 年 8 月 24 日

主な議題:

・今年度の活動について

イ 第 2 回

日時:2018 年 10 月 4 日

主な議題:

・分析する具体的業種の選定

・各業種の流通ルートの分析と課題の抽出

ウ 第 3 回

日時:2018 年 12 月 10 日

主な議題:

・判明したルートでの対策

・UAE を中心とした中東の物流解析

・中国の内陸通関について

・中通問題を各地域問題の関係を分析

・各メンバーからのトピックのシェア

エ 第 4 回

日時:2019 年 2 月 1 日

主な議題:

・これまでの分析で判明した課題の解析と対策の方向性検討

・第 3 回企画委員会、報告内容の検討

・2019 年度活動の進め方について

(9)情報共有セミナー

各プロジェクトの活動報告や、各プロジェクトで取り扱わない国や地域での知財情報を

IIPPF 会員向けに共有することを目的に、以下の通り2回セミナーを行った。

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ア 第 1 回

日時:2018 年 10 月 10 日

講演内容:

・「IIPPF 地域横断活動の中間報告」

・「ロシアのオンライン上の知的財産権侵害への効果的な対策」

・「ロシアにおける模倣品対策と並行輸入品に関する最近の取り扱い状況」

・「ロシアにおけるしょうゆ卓上びんのデザイン模倣への対処-反独占庁への差止申請」

イ 第 2 回

日時:2019 年 2 月 13 日

講演内容:

・アジア太平洋プロジェクト「タイ模倣品対策事例紹介」

・中国プロジェクト「2018 年度北京実務ミッションの概要報告」

・中東プロジェクト「中東における模倣対策」

・インターネットプロジェクト「アリババ、新興 EC サイト(拼多多)との交流結果」

(10)普及啓発

以下の内容について支援・協賛を行った。

ア 不正商品対策協議会主催「ほんと?ホント!フェア」との連携

イベント主旨:

インターネットを悪用したサイバー犯罪が増加している中、本イベントを通し広く一般

消費者に知的財産の保護と不正商品の排除、情報セキュリティの重要性を訴求する。

開催日:

東京 2018 年 5 月 6 日 ベルサール秋葉原

広島 2018 年 6 月 30 日 イオンモール広島府中

滋賀 2018 年 7 月 29 日 イオンモール草津 1F セントラルコート

石川 2018 年 11 月 4 日 イオンモールかほく 1F グリーンコート

宮城 2018 年 12 月 2 日 イオンモール盛岡 1F イーハトーブ広場

支援方法:

・真正品、模倣品サンプルの展示

・ IIPPF チラシ配布

イ 特許庁主催「コピー商品撲滅キャンペーン」への協賛

事業目的:

主に一般消費者を対象として多様な広告媒体を活用した広報活動を集中的に実施するこ

とにより、産業財産権保護の重要性や模倣品による弊害等について普及啓発を図る。

キャンペーン期間:

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2018 年 11 月 27 日~2019 年 1 月 31 日

支援方法:

・協賛団体として連名。

・特許庁が行う「コピー商品撲滅キャンペーン」を IIPPF 会員向けに案内。また、ジェト

ロ HP 内 IIPPF ページに当該サイトバナーを貼付。

ウ ウェブサイト等による情報発信機能強化に係るコンサルティング

事業目的:

ジェトロウェブサイト内で管理されている IIPPF ページについて、機能強化の検討にあ

たり既存のウェブサイトの運用、メンバー専用画面の導入、セキュリティ、費用などにか

かる総合的なコンサルティングを委託。

委託期間:

2019 年 1 月 15 日~2 月 28 日

結果概要:

現行のウェブサイト等を評価し、費用・セキュリティ・導入が想定される機能やアプリケ

ーションの有効性等の観点から、最適と思われる手法について提案があった。

2. 政府間協議に必要な調査事業

(1)調査一覧

A インターネット上の非典型権利侵害に関する EU 各国及び中国における比較調査

B フィリピンにおける模倣品流通実態調査

C クウェートにおける模倣品流通実態調査

D イスラエルにおける模倣品流通実態調査

E 中東・アフリカ地域におけるインターネット上の模倣品対策調査

(2)調査内容

A. インターネット上の非典型権利侵害に関する EU 各国及び中国における比較調査

EC サイト上では、商標の無断使用事例が増えてきている中、従来の典型的な権利侵

害に当てはまらず、違法性が必ずしも明確になっていないと思われるものが出現する

ようになった。ここでは、7 パターンに類型化された非典型権利侵害事例について、

EU・中国におけるそれぞれの違法性を判断するための考え方、及び、主要裁判例につ

いて調査を行った。

B. フィリピンにおける模倣品流通実態調査

フィリピン市場における製品別にみた模倣品の概況及び流通の実態について調査し

た。また、知的財産保護活動に関わるフィリピン政府機関の情報、フィリピン政府の

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模倣品に対する取組、知的財産侵害を受けた権利者へのアドバイス、模倣品対策に関

する好事例などについてまとめた。

C. クウェートにおける模倣品流通実態調査

クウェートにおける模倣品流通の概況、また、模倣品が多いとされる製品別に模倣品

が流通する市場を調査した。また、クウェートの知的財産権に関する法制度及び規

制、そして、知的財産権行使の手段と水際対策の運用についてまとめた。

D. イスラエルにおける模倣品流通実態調査

イスラエルにおける模倣品流通の概況、また、模倣品が多いとされる製品別に模倣品

が流通する市場をイスラエル全土にわたり調査した。また、イスラエルの知的財産権

に関する法制度及び規制、そして、知的財産権行使の手段と水際対策の運用について

まとめた。

E. 中東・アフリカ地域におけるインターネット上の模倣品対策調査

本調査では、中東及びアフリカ地域においてインターネットショッピングの主要国で

あるトルコ、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エジプト、南アフリカ共和国を取り

上げ、中東及びアフリカにおける EC サイトについて概況を把握するとともに、現地で

有力とされるショッピングサイトの模倣品流通を防止するための取組について調査を実

施した。

3. 知的財産保護官民合同代表団の派遣に係る事業

第 16 回知的財産保護官民合同訪中代表団(北京)(実務レベル)

期間:2018 年 12 月3日~12 月 5 日

場所:中国・北京

訪問機関:最高人民法院、国家市場監督管理総局、国家知識産権局、海関総署

建議事項:

(最高人民法院)

・技術調査官制度の利用拡充/原告被告間の技術議論実施

・侵害者側の帳簿記帳の提供/提供拒否の際の罰則強化

・信用喪失者に関する情報の積極的証拠採用

(国家市場監督管理総局)

・形態模倣行為への対抗可能な制度の整備について

・不正商号問題への対応について

(国家知識産権局)

・機構改革後の執法体制と執法部門連携について

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・商標出願審査における協力について

・馳名商標の一括認定について

・形態模倣行為への対抗可能な制度の整備について

・2020 年知財強国実現に向けた総仕上げ事業の計画について

(海関総署)

・知的財産にかかるリスクコントロールについて

・知的財産侵害にかかる倉庫保管料等について

・知的財産侵害者の処罰について

結果概要:

・最高人民法院、国家市場監督管理総局、国家知識産権局、海関総署の4機関に加え、

現地法律事務所及び中国知的財産権問題研究グループ(中国 IPG)それぞれとの意見交

換を行った。

・国家市場監督管理総局との意見交換では、反不正当競争法の改正に基づく法解釈への

共通理解、また、企業名称登記管理条例の整備について確認した。

・海関総署との意見交換では、組織再編成の進捗状況のほか、知財におけるリスク管理

としてリスクコントロールセンターの設置や、専門家チームによる e コマースや郵便ル

ートでの差止め実績等について確認した。

4.侵害発生国と共同で行う事業に係る支援

(1)ミャンマー政府機関との真贋判定集手交及び意見交換

ミャンマーでは、国境措置として偽造商標などが付された商品の輸入を禁止する制度が

存在するものの、その執行は不十分であったため、経済産業省の模倣品対策強化事業にお

いて 2015 年度から 2017 年度に税関での集中監視プロジェクトを実施し、それまでになか

った侵害疑義品の差止めを 2 件実現した。

ミャンマー税関に対し、当該プロジェクト後の状況を確認すると共に、さらに自主的か

つ恒常的な差止めを促すため、昨年度の真贋判定セミナーの開催に続き、真贋判定情報を

取りまとめた真贋判定集を提供。さらに知財各法の制定を控え、ミャンマーの関連機関と

意見交換を行い、制定後の体制等を確認した。

ア 税関訪問

日時:2018 年 9 月 27 日

場所:税関(ヤンゴン)

参加者:ミャンマー税関局次長以下 13 名

経済産業省(1 名)、ジェトロ(3 名)、JICA(1 名)

結果概要

・真贋判定集の提供(製本版は後日送付)

・経済産業省模倣品対策室のプレゼンテーション

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・2015~2017 年度税関集中監視プロジェクトの振返り

・税関による模倣品対策の取組の確認

・知財法施行後の体制等の確認

イ 商業省訪問

日時:2018 年 9 月 28 日

場所:商業省(ネピドー)

参加者:ミャンマー商業省貿易局課長以下 5 名

経済産業省(1 名)、ジェトロ(3 名)、JICA(1 名)

結果概要

・真贋判定集の提供(製本版は後日送付)

・経済産業省模倣品対策室のプレゼンテーション

・商業省による模倣品対策の取組の確認

・知財法施行後の体制等の確認

ウ 警察訪問

日時:2018 年 9 月 28 日

場所:警察(ネピドー)

参加者:ミャンマー警察刑事捜査部長以下 8 名

経済産業省(1 名)、ジェトロ(3 名)、JICA(1 名)

結果概要

・真贋判定集の提供(製本版は後日送付)

・経済産業省模倣品対策室のプレゼンテーション

・警察による模倣品対策の取組の確認

・知財法施行後の体制等の確認

エ 教育省訪問

日時:2018 年 9 月 28 日

場所:教育省(ネピドー)

参加者:ミャンマー教育省知的財産課長以下 6 名

経済産業省(1 名)、ジェトロ(3 名)、JICA(1 名)

結果概要:

・真贋判定集の提供(製本版は後日送付)

・経済産業省模倣品対策室のプレゼンテーション

・教育省による模倣品対策の取組の確認

・知財法施行後の体制等の確認

(2)日中知的財産権共同セミナー

日中両国においては、日中知的財産権ワーキング・グループ等の政府間対話や権利者団

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体の活動、企業による知財権侵害対策の取り組みが活発に行われている。

第7回日中知的財産権ワーキング・グループの開催に併せて、知的財産権侵害に対する

連携の強化を目的として、両国における官民の知財エンフォースメントに関する取り組み

を共有するセミナーを開催した。

日時:2019 年 1 月 23 日

場所:東京

参加者数:103 名

内容:

「中国の模倣品対策」

楊 偉涛 氏 国家市場監督管理総局

馬 秀栄 氏 最高人民法院知的財産権法廷 上席判事

「商標政策の現状」

佐藤 淳 氏 特許庁 業務審査部 商標課長

「近年の知財エンフォースメントの取り組みと実績」

楊 偉涛 氏 国家市場監督管理総局

「不正競争防止法平成 30 年改正の概要」

渡邊 佳奈子 氏 経済産業省 知的財産政策室長

「中国権利者の取り組み」

周 佳佳 氏 中国国際商会

付 筱林 氏 阿里巴巴集団ブランド協力部長

「越境模倣品に対する取締り強化について」

石井 武 氏 本田技研工業株式会社 二輪・パワープロダクツ事業知的財産部 主任

結果概要:

・不正競争防止法の改正内容、知的財産権侵害に対する損害賠償の考え方、及び、著作

権侵害やインターネット上の知的財産権侵害に対するエンフォースメントにおける取組

の最新情報等について紹介がなされた。

(3)インドネシア知財エンフォースメント関係者との意見交換

インドネシアは TRIPS 等の知的財産に関する国際条約に加盟し、知財保護の強化を図っ

ているものの、保護水準は依然低い状況にあることから、米国通商代表部(USTR)のス

ペシャル 301 条報告書の優先監視国に指定されている。このような状況であるものの、イ

ンドネシアは多くの日本企業が投資先として強い関心を持っていることから、2017 年度、

インドネシア執行機関に対する真贋判定セミナー等の事業を実施した。今年度は、インド

ネシア政府関係者が来日する機会を利用し、意見交換を実施した。

日時:2019 年 2 月 28 日

場所:東京

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参加者:知財総局、国家警察 刑事捜査庁、関税総局、最高裁判所(11 名)

日本企業・団体 5 社・1 団体(8 名)

経済産業省(2 名)、ジェトロ(3 名)、JICA(2 名)

結果概要:

・意見交換では、商標登録までの期間、冒認商標の無効審判、税関登録条件の緩和等に

ついて協議した。

5.侵害発生国におけるセミナー等の開催

真贋判定セミナー

模倣品被害に遭っている企業に対する模倣品対策支援のため、侵害発生国における模倣

品取締り強化の促進を目的として、世界各地で現地執行機関職員を対象とした真贋判定セ

ミナー等を実施。

ア 中国・深セン市真贋判定セミナー

中国・深センで模倣品被害に遭っている企業に対する模倣品対策支援のため、深セン

市市場監督管理局向けの真贋判定セミナーを開催し、現地当局者に対してさらなる取締

り強化を促した。さらに、現地調査会社の訪問を通して、日本企業に情報収集の機会を

提供した。

日時:2018 年 8 月 10 日

場所:中国・深セン市

対象機関:深セン市市場監督管理局、深セン市知識産権局、その他市内各分局(羅湖

分局、福田分局、南山分局、宝安分局、龍岡分局、大鵬分局、光明分局、

坪山分局、塩田分局)

参加者数:32 名

結果概要:

・日本企業 8 社が参加者に対して真贋判定ポイントについて講義を行った。

・セミナー後は、金型などの製造道具の差し押さえの実績や、押収品の扱いなどにつ

いて活発に質疑応答が行われた。

イ 中国・蘇州市真贋判定セミナー

江蘇省においては依然として日本企業の模倣品被害が多く、当局への取り締まり強化

を求める日本企業の声は多い。そこで、は江蘇省の中でもとりわけ模倣品の製造・流通

が多いと考えられる蘇州市にて、税関及び公安局職員等を対象に真贋判定セミナーを開

催し、当局と日本企業の交流の場を創出するとともに、同地における取締り強化を促し

た。

日時:2018 年 9 月 19 日

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場所:中国・蘇州市

対象機関:蘇州工業園区市場監督管理局、経済発展改革委員会、国土環境保護局、科

技・信息化局、宣伝部、公安局、検察院、法院、税関、電信局

参加者数:28 名

結果概要:

・セミナー前に蘇州市高新区市場監督管理局と、模倣品に対する啓もう活動や、最新

の摘発状況、オンライン及び鉄路での取り締まり等について意見交換を行った。

・セミナーでは、日本企業 8 社が真贋判定ポイントについて講義を行った。

・セミナーを受けて、参加者からは、類似するセミナーの開催、実例を含めた詳細の

説明、連絡先が随時更新できる仕組みの構築等の要望が挙がった。

ウ タイ真贋判定セミナー

タイでは、周辺国から流入した模倣品やタイ国内で製造された模倣品が多数流通する

状況が続いており、日本企業の被害が報告されている。

2017 年度は、バンコク及びナコンパノム、ムクダハン税関において真贋判定セミナー

を実施した。2018 年度は、南北経済回廊ルートにも注目し、バンコクだけでなくミャン

マー及びラオスとの国境付近のチェンラーイにて税関職員向けに真贋判定セミナーを開

催し、タイ政府に対し模倣品対策強化及びビジネス活動に関する理解の促進を図った。

i) バンコク真贋判定セミナー

日時:2018 年 9 月 18 日

場所:タイ・バンコク

対象機関:税関、商務省知的財産局、経済犯罪捜査部、法務省特別犯罪捜査局、検察

参加者数:約 110 名

ii) チェンラーイ真贋判定セミナー

日時:2018 年 9 月 21 日

場所:タイ・チェンラーイ

対象機関:財務省関税局 (メーサイ、チェンセン)

参加者数:約 30 名

結果概要:

・バンコク真贋判定セミナーでは、日本企業 11 社から真贋判定ポイントについての

講義のほか、EUIPO 及び USPTO による講演もあり、各機関による活動を知る新た

な機会となった。

・タイで知名度の高い日本企業が一堂に会することもあり、メディアの関心も高く、

バンコクでのセミナーの様子は日本メディア 5 社、現地の日系メディア 1 社、現地

のタイメディア 1 社に取り上げられた。また、前述とは別の現地メディア 3 社が、

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真贋判定セミナーの取組を交えて日本製品の模倣品について取り上げた。

・セミナーのほかに、商務省知的財産局、経済犯罪捜査部、法務省特別犯罪捜査局、

税関との意見交換を行った。

ウ ベトナム真贋判定セミナー

東南アジアの中でも模倣品の流通が多いベトナムにて真贋判定セミナーを実施する必

要性は高く、市場管理総局等との関係を引き続き、維持していきたいという日本企業の

ニーズも依然として高い。そのため、2018 年度も国境付近から模倣品が多く流入するベ

トナム北部のハノイにて政府機関職員向けの真贋判定セミナー及び意見交換会を実施し

た。2017 年度、ベトナム当局に手交した「要監視市場リスト」の更新版を作成し、当局

による市場監視の機能強化の取組を促すと共に、2017 年度の取組実績を確認した。

日時:2018 年 11 月 14 日

場所:ベトナム・ハノイ

対象機関:ベトナム市場管理総局職員、税関職員

参加者数:約 60 名

結果概要:

・参加した日本企業 10 社が真贋判定ポイントについて講義を行った。

・セミナーのほか、市場管理総局及び税関総局、科学技術省監査局との意見交換を行

った。

エ カンボジア真贋判定セミナー

カンボジアでは、周辺国から流入した模倣品やカンボジア国内で製造された模倣品が

多数流通する状況が続いており、日本企業の被害が報告されている。一方、カンボジア

の執行機関であるカンボジア模倣品対策委員会(CCCC)は近年知財権の行使に注力し

ており、2017 年には大規模な摘発に成功するなど実績を上げている。また、CCCC

は、今後も模倣品対策を強化する方針を示している。

2018 年度、経済産業省及びジェトロはカンボジアで初となる税関職員及び知財関係者

向けに真贋判定セミナーを開催し、本セミナーを通じ、カンボジア政府当局に対し模倣

品対策強化及びビジネス活動に関する理解の促進を図った。

日時:2018 年 12 月 6 日

場所:カンボジア・プノンペン

対象機関:カンボジア関税消費税総局、商務省知的財産局、経済警察、カンボジア輸

出入検査不正抑制局、カンボジア模倣品対策委員会

参加者数:約 50 名

結果概要:

・日本企業 6 社が真贋判定ポイントについて講義を行った。また、休憩時間には、多

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くの当局職員が日本企業による真正品及び模倣品のサンプルを展示するブースで熱

心に質問をしていた。

・セミナーの他、カンボジア関税消費税総局、商務省知的財産局、経済警察、カンボ

ジア輸出入検査不正抑制局の意見交換が行われ、税関での差止制度や模倣品の摘発

状況などについて確認した。

オ 中国・義烏市真贋判定セミナー

義烏市は、中国で生活雑貨の物流基地であり、同国内でも有数の卸売市場として知ら

れている。それに伴い、模倣品も多く流通しており、対策を講じることが急務となって

いる。そこで、同市において市場監督管理局職員を対象に真贋判定セミナーを開催し、

当局と日本企業の交流の場を創出するとともに、同地における取締り強化を促した。

日時:2019 年 1 月 8 日

場所:中国・義烏市

対象機関:義烏市市場監督管理局職員

参加者数:42 名

結果概要:

・日本企業 10 社から、真贋判定のポイント、(ある場合には)同省での権利侵害、摘

発成果等をプレゼンテーション形式で発表した。

・会場会議室内に模倣品展示コーナーを設け、義烏市市場監督管理局関係者へ直接に

説明する機会を提供した。

カ トルコ・エジプト真贋判定セミナー

IIPPF では、エジプトについて 2015 年度にサブワーキンググループを発足し、同国

での知財関連法、日本企業の製品への知財侵害被害の実態と対策の研究を行った。2016

年度、エジプトで初の真贋判定セミナーを行い、以降、招聘事業や弁護士との意見交換

など、模倣品対策について理解を深めてきた。2018 年度、2度目となる真贋判定セミナ

ーを実施し、より多くの税関職員に真贋技術を伝え、同国での模倣品対策のさらなる強

化を図った。

また、トルコについては、2017 年度、税関職員及び知財裁判官を招聘し、初めて

IIPPF 中東プロジェクトメンバーとの交流を行った。2018 年度は、同国との協力関係及

び同国での模倣品対策を強化するため、税関職員を対象にトルコでは初となる真贋判定

セミナーを行った。

i) トルコ真贋判定セミナー

日時:2019 年 2 月 1 日

場所:トルコ・イスタンブール

対象機関:トルコ税関職員

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参加者数:約 40 名

結果概要:

・参加日本企業 9 社より真贋判定ポイントの講義が行われた。質疑応答では、通関検

査において職員がこれまで常識としていた実施方法が不十分であったことを認識す

る場面があった。

・セミナー後には、トルコ税関との意見交換が行われ、税関登録の重要さや差止めの

手続について確認した。また、トルコ航空カーゴ内にある輸入側の税関部門を視察

した。

ii) アレキサンドリア真贋判定セミナー

日時:2019 年 2 月 3 日

場所:エジプト・アレキサンドリア

対象機関: エジプト税関職員

参加者数:約 60 名

iii) ポートサイード真贋判定セミナー

日時:2019 年 2 月 4 日

場所:エジプト・ポートサイード

対象機関: エジプト税関職員

参加者数:約 70 名

結果概要:

・参加日本企業8社より真贋判定ポイントについて講義が行われた。

・休憩中は、多くの参加者が模倣品サンプル展示に興味を示し、各社代表からの真贋

ポイントの説明に耳を傾けていた。

・アレキサンドリアではセミナー後、意見交換が行われ、模倣品流入に関する情報を

登録するシステム等について確認した。

6.侵害発生国の政府機関職員及び専門家等の招聘事業

(1)サウジアラビア商業投資省幹部招聘

サウジアラビアが中東における模倣品の一大消費地と考えられている中で、同国商業投

資省(MCI)では、知的財産に関わる政府機関を統括する Saudi Authority for Intellectual

Property(SAIP)を立ち上げ、自国内の知財侵害品対策をする方針を打ち出している。ま

た、日本とは 2016 年9月に経済産業省との間で模倣品対策協力に関する覚書に署名、二

国間の連携が進められている。

この一環として、2017 年 11 月、IIPPF 中東プロジェクトメンバーとともに、サウジア

ラビア税関職員等執行機関に対し、同国での模倣品取り締まりへの強化を目的に「真贋判

定セミナー」を実施。このような現地での活動を踏まえ、今年度は、サウジアラビア商業

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投資省の幹部を招聘し、サウジアラビアにおける知財関連制度、取り組み等への理解の醸

成を目的としたセミナーを開催するとともに、今後の同国市場での模倣品の集中摘発の実

施や、反模倣品啓発活動の実施の要請を行った。

【招聘期間】

2018 年 7 月 24 日~7 月 27 日

【被招聘者】

・Sami A. AlSodais 氏– SAIP 役員及び大臣室知財顧問、前特許庁長官

・Sultan Abdulaziz Al-juried 氏 – 消費者保護副大臣顧問(MCI)

・Hashal Sulaiman Al-Hamdan 氏 – 検査局長(MCI)

・Saleh Al-Onazi 氏– 市場活動局長(MCI)

・Rasheed Abdallah Al-Nasser 氏 – 不正対策部員(MCI)

結果概要:

【関係政府機関の訪問】

・経済産業省、警察庁及び特許庁と意見交換を行った。

【セミナーの開催】

・Al-juried 氏より「商業不正・商標模倣対策における消費者保護庁の役割」、 AlSodais

氏より「商標登録の手続き」及び「サウジアラビア知的財産局の戦略」について国内企

業・権利者に向けての講演を行った。

・質疑応答では、新設の SAIP について、GCC 諸国への影響力がどの程度か等説明があっ

た。

【国内権利者・産業界との意見交換】

・IIPPF との意見交換では、SAIP の位置づけや E コマースでの模倣品対策の取組につい

て理解を深めた。また、集中摘発を合同で行う提案については、合同で行う必要はないと

の回答があった。

・国内大手化学メーカー(主にハイジーン製品・化粧品)及び国内大手自動車メーカーを

訪問し、各社製品についての説明があったほか、海外での模倣品流通の実態と対策につい

て意見交換を行った。

・発明推進協会との意見交換では、同会の知財への取組を紹介。さらに、サウジアラビア

における知財教育について意見交換を行った。

(2)マレーシア MDTCA・税関招聘

マレーシアでは、従来から国内取引・消費者省(MDTCA)を中心として模倣品対策が

図られており、2012 年には米国通商代表部(USTR)が発行しているスペシャル 301 条報告

書の監視リストから除外されている。また、2017 年の意見交換会では、MDTCA の積極

的な活動の結果、摘発額及び不正業者の数が近年減少しつつあることが報告されている。

しかし、罰金が比較的低額であること、刑事訴追まで至るケースが少ないことから再犯が

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未だに後を絶たない等、運用面での改善が求められる。また、マレーシアには、税関登録

制度がない上、権利者からの差止申立てに必要な情報の要件が厳しい等、国境措置に課題

を抱えている。

そこで、MDTCA 及び税関の職員を招聘し、マレーシアにおける模倣品対策の最新動向

についてセミナーを開催することで権利者に対し広く情報提供を図った。日馬相互の協力

関係を深め、今後のエンフォースメント強化を促すことを目的として、権利者等が抱える

課題及び問題事例について当局と意見交換を実施した。

【招聘期間】

2018 年 10 月 30 日~11 月 1 日

【被招聘者】

・YBhg Dato' Iskandar Halim bin Sulaiman 氏、マレーシア MDTCA 執行局副局長

・Rosli bin Ahmad 氏、マレーシア MDTCA 執行局局長補佐

・Aminuddin bin Muhammad 氏、マレーシア MDTCA 特別インターネット捜査班長

・Dato' Seri Zulkifli bin Yahya 氏、マレーシア王立税関次長

・Mohd Badrulnizam bin Mohd Nasir 氏、マレーシア王立税関長官補佐

結果概要:

【関係政府機関の訪問】

・経済産業省や横浜税関を訪問し、両国の取組について意見交換を行った。

【セミナーの開催】

・Ahmad 氏より「MDTCA 概要」、 Muhammad 氏より「オンライン模倣品対策」、そし

て、Nasir 氏より「マレーシア王立税関における最新の取組について」について日本企業

及び権利者に向けての講演を行った。

【国内権利者・産業界との意見交換】

・IIPPF との意見交換では、情報提供に基づいて疑義品の差止めや摘発が可能になること

を確認した。また、刑事訴訟及び民事訴訟の手続等について確認した。

・一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)へ訪問し、オンラインでの侵害コ

ンテンツについて意見交換を行った。

・国内大手 OA 機器メーカーを訪問し、同社製品の模倣品が流通する実情や同社の模倣品

対策の取組について説明がなされ、意見交換を行った。

(3)国家市場監督管理総局招聘

中国では、2018 年 3 月に行われた国務院機構改革の一環で、国務院直属の組織として

国家市場監督管理総局(SAMR)が新設された。この組織再編について、IIPPF 等権利者

からは、担当する機関や部門を異にする法律違反や権利侵害への対応が、より円滑かつ

強力に行われるようになるのではないかと期待する声が上がっており、国家市場監督管

理総局への関心が高まっている。一方、中国国家工商行政管理総局と日本国経済産業省

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は 2009 年に知的財産保護の協力に関する覚書を締結しており、その同意内容の実施を確

実にするため、両国における協力関係を継続する必要がある。

そこで、SAMR の関連担当者を招聘し、新組織の知財法執行業務、職能などの情報の

入手及び近年急増しているインターネット上の模倣品被害に対するエンフォースメント

の強化の要請等を行った。

【招聘期間】

2019 年 2 月 26 日~2 月 28 日

【被招聘者】

・韓 建平 氏、国際合作司 副司長

・汪 世忠 氏、人事司 副司長

・劉 宏偉 氏、ネット取引監督管理司 副司長

・王 勝利 氏、執法稽查局 副局長

・陳 進 氏、国際合作司 副処長

・群 氏、価格監督検査と反不正競争局 副処長

結果概要:

【関係政府機関の訪問】

・経済産業省模倣品対策室及び知的財産政策室との意見交換を行った。

【セミナーの開催】

・韓氏より「中国知的財産権の発展について」、 汪氏より「中国国家市場監督管理総局の

体制・職能について」、劉氏より「インターネット模倣品摘発措置及び関連取組みの状況

について」、そして、王氏より「知的財産権の行政法執行業務状況について」について国

内企業・権利者に向けての講演を行った。

【国内権利者・産業界との意見交換】

・IIPPF との意見交換では、商標権・専利権等、複数の知的財産権侵害事案の対応方法及

びインターネット上での模倣品対策について議論した。

・国内大手ゴム製品メーカーへ訪問し、同社での模倣品流通の実情とその対策について意

見交換を行った。