4.我が国のリモートセンシング衛星の開発状況 … › space › comittee › dai4...

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①現在運用中の日本の衛星 (ア)米国衛星TRMM搭載PRセンサ 降雨レーダ(PR)を我が国が開発し搭載。 熱帯・亜熱帯域の降雨分布を観測し、気象予報や気象科学研究などに活用。 (イ)水循環変動観測衛星「しずく」 高性能マイクロ波放射計2(AMSR2)を搭載。 降水量、水蒸気量、海洋上の風速や水温、陸域の水分量、積雪深度等の観測 に活用 (ウ)温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」 温室効果ガスの濃度分布を計測し、温室効果ガスの吸収排出量の把握などに 活用。 (オ)米国衛星Aqua搭載AMSR-Eセンサ(平成23年10月停止) マイクロ波放射計(AMSR-E)を我が国が開発し搭載。 降水量、水蒸気量、海面温度などを計測し、気象予報や地球科学研究、洪水 予測などに活用。 ②日本の衛星の今後の計画 (ア)雲、エアロゾル、海色、植生などをグローバルに観測する多波長光学放射計を搭 載するGCOM-C(気候変動観測衛星)を予定。(平成27年度打上予定) (イ)降水を詳細観測する降水レーダセンサ(DPR)を開発し、米国の衛星に搭載予定。 (平成25年度打上予定) (ウ)雲を詳細観測する雲レーダセンサ(CPR)を開発し、欧州の衛星に搭載予定。(平 成27年度打上予定) DPRを搭載する 米国衛星GPM ©JAXA 16 4.我が国のリモートセンシング衛星の開発状況 (3)地球環境観測 「いぶき」 出典:JAXA 「しずく」 出典JAXA

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Page 1: 4.我が国のリモートセンシング衛星の開発状況 … › space › comittee › dai4 › siryou4-2.pdf2005年 2010年 2015年 2020年 4.我が国のリモートセンシング衛星の開発状況

①現在運用中の日本の衛星

(ア)米国衛星TRMM搭載PRセンサ

• 降雨レーダ(PR)を我が国が開発し搭載。

• 熱帯・亜熱帯域の降雨分布を観測し、気象予報や気象科学研究などに活用。

(イ)水循環変動観測衛星「しずく」

• 高性能マイクロ波放射計2(AMSR2)を搭載。

• 降水量、水蒸気量、海洋上の風速や水温、陸域の水分量、積雪深度等の観測に活用

(ウ)温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」

• 温室効果ガスの濃度分布を計測し、温室効果ガスの吸収排出量の把握などに活用。

(オ)米国衛星Aqua搭載AMSR-Eセンサ(平成23年10月停止)

• マイクロ波放射計(AMSR-E)を我が国が開発し搭載。

• 降水量、水蒸気量、海面温度などを計測し、気象予報や地球科学研究、洪水予測などに活用。

②日本の衛星の今後の計画

(ア)雲、エアロゾル、海色、植生などをグローバルに観測する多波長光学放射計を搭載するGCOM-C(気候変動観測衛星)を予定。(平成27年度打上予定)

(イ)降水を詳細観測する降水レーダセンサ(DPR)を開発し、米国の衛星に搭載予定。(平成25年度打上予定)

(ウ)雲を詳細観測する雲レーダセンサ(CPR)を開発し、欧州の衛星に搭載予定。(平成27年度打上予定)

DPRを搭載する米国衛星GPM

©JAXA

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4.我が国のリモートセンシング衛星の開発状況(3)地球環境観測

「いぶき」

出典:JAXA

「しずく」

出典JAXA

Page 2: 4.我が国のリモートセンシング衛星の開発状況 … › space › comittee › dai4 › siryou4-2.pdf2005年 2010年 2015年 2020年 4.我が国のリモートセンシング衛星の開発状況

2005年 2010年 2015年 2020年

4.我が国のリモートセンシング衛星の開発状況(4)日本の主な政府系の気象衛星、陸域観測衛星、地球環境観測の開発・運用計画

レーダ

2012年度

2013年度

2014年度

2006年

2006年

光学

【ALOS】LバンドSAR:分解能10m、観測幅70km

【ALOS】パンクロ:分解能2.5m、観測幅70km可視近赤外:分解能10m、観測幅70km

2011年

2011年

現在

【ASNARO2】XバンドSAR: 分解能1m未満、観測幅未定

陸域観測衛星

地球環境観測

【GPM/DPR】二周波降水レーダ(降水鉛直分布)

【EarthCARE/CPR】雲レーダ(雲エアロゾル鉛直分布)

2013年度

2015年度

2014年度

2016年度

【ひまわり8号】 気象イメージャ(観測機能向上)

【ひまわり9号】気象イメージャ(観測機能向上)

【ASNARO】パンクロ: 分解能0.5m未満、観測幅10kmマルチ: 分解能2m未満、観測幅10km

【ALOS-2】LバンドSAR: 分解能1x3m、観測幅25km

1997年

【TRMM/PR】降雨レーダ(降雨鉛直分布)

2012年【GCOM-W】

高性能マイクロ波放射計2(水蒸気量、海面温度、降水量等)

2005年 2011年【AQUA/AMSR-E】

改良型高性能マイクロ波放射計(水蒸気量、海面温度、降水量等)

【ADEOS2】

高性能マイクロ波放射計

【ADEOS2】

グローバルイメージャ

2002年‐2003年

2009年 【GOSAT】

温室効果ガス観測センサ、雲・エアロソルセンサ

2005年

2006年

【ひまわり6号】 気象イメージャ

【ひまわり7号】 気象イメージャ

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気象

衛星

【ALOS-3】パンクロ: 分解能0.8m、観測幅50kmマルチ: 分解能5m、観測幅90kmハイパー: 分解能30m、観測幅30km

2015年度以降目標

2015年度 【GCOM-C】

多波長光学放射計(雲、エアロゾル、海色、植生、雪氷等)

【GOSAT2】温室効果ガス観測センサ(後継)

2017年度以降目標

Page 3: 4.我が国のリモートセンシング衛星の開発状況 … › space › comittee › dai4 › siryou4-2.pdf2005年 2010年 2015年 2020年 4.我が国のリモートセンシング衛星の開発状況

現在の政府における海外商用画像の活用の状況や海外の衛星との連携等も念頭に置いて、今後、我が国としてリモートセンシング衛星に関するインフラの整備の在り方について、以下のような観点から検討を進める必要がある。

4.我が国のリモートセンシング衛星の開発状況(5)我が国のリモートセンシング衛星インフラ整備の在り方の検討

〇民間ではなく、国が主導して取り組むべきものであるか(公共性)〇宇宙の利用の拡大に資するものであるか(利用の拡大)

-産業、生活、行政の高度化及び効率化に資するものか-広義の安全保障の確保に資するものか-経済の発展に資するものか

〇宇宙活動の自律性の確保(産業・技術・人的基盤の確保)に資するものか(自律性の確保)

〇国が直ちに取り組むべきものであるか(緊急性)

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5.我が国のリモートセンシング衛星データの利用の現状(1)

○行政分野 公的分野においては、安全保障分野、気象分野、防災・地図作成分野などでは衛星データは広く利用さ

れている。衛星データに関する専門知識を有する利用者がその中心となっているのが現状。 実利用に供されているものとしては、例えば以下のようなものがある。

気象衛星「ひまわり」などを利用した気象予報 情報収集衛星を利用した、外交・防衛等の安全保障及び大規模災害等への対応等の危機管理のために必要な

情報の収集 「だいち」などを利用した地図の作成・更新、地震や火山活動に係る地殻変動の監視、船舶の運航等に影響する

海氷の監視

行政分野において、今後利用可能性があるものとして、以下のようなテーマが研究されている。 防災マップへの利用や被害状況の把握などの防災・災害対応 河川やダム等の水資源管理 森林の現況把握、変化把握等の森林管理 世界の主要穀倉地域における穀物の作付面積、作付時期・刈り入れ時期等の穀物生産動向把握 サンゴ礁の白化現象等のモニタリングや産業廃棄物の不法投棄監視などの環境監視 温室効果ガスの動態把握を通じた主要排出国の削減行動の評価等

○産業分野 民間企業による利用としては、以下のような事業があるが、広く利用されているとは言い難い状況。

水稲のタンパク質含有量の分析などの作物の育成状況把握 クリーン開発メカニズムに基づく植林事業などの農林業 民間気象会社による気象予報 資源会社などによる資源探査や資源開発に伴う環境影響評価 など

リアルタイム性(数時間~1日程度)を必要とする用途では、気象業務などに利用が限定されている

○研究分野 地球科学研究、地球環境研究、気象研究などの分野においては、国内外の研究者に広く利用されている。

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5.我が国のリモートセンシング衛星データの利用の現状(2)商用高分解能衛星データの日本国内における配布の流れ(平成24年8月時点)

GeoEye社• GeoEye‐1• IKONOS

DigitalGlobe社• QuickBird• WorldView‐1• WorldView‐2

(TerraSAR‐Xの例)

(株)日立ソリューションズ

(

株)

パスコ

(一財)リモート・セン

シング技術センター

日本スペースイメージング(株)

NTT空間情報(

株)

国内総代理店

2次代理店

衛星画像利用顧客

(Infoterra社)

など など

(株)パスコ

20

(

株)

パスコ

(一財)リモート・セン

シング技術センター

国際航業(

株)

宇宙技術開発(

株)

Astrium Services社(SPOTの例)

(SPOT IMAGE社)

(株)イメージワン

(

株)

パスコ

宇宙技術開発(

株)

(株)東京

スポットイマージュ

安全保障利用民生利用

など

公表データを元に宇宙戦略室が作成

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標準化されたカタログ

文科省(JAXA) 経産省 環境省

コミュニティコミュニティコミュニティ

サービス サービス サービス

利用者A(防災のための効果的利用)

利用者C(科学・研究用途、海外の利用)

利用者B(農林水産業や資源探査、新たなビジネス等のための利用)

民間企業等がサービスに必要なソフト開発を実施

①分散管理データが統合された仮想データベース

②データカタログの標準化による横断検索機能

③地図との重ね合わせや、一般的なフォーマットへの変換などの処理機能

標準化されたカタログ

標準化されたカタログ

標準化されたカタログ

○衛星から取得した写真やデータは、国民生活、行政、産業、科学技術、宇宙外交などの面で、大きな便益をもたらすことが期待される。

○しかし、それらのデータは各機関で別々に管理され、専門家によって個別に利用されている状況。

○衛星データのより有機的な利活用を促進するため、以下のような機能を有する「衛星データ利用促進プラットフォーム」の整備を進める。

①利用者が、どの衛星・センサーかという区別なく、統合的に衛星データを横断的に検索、利用することを可能とする仮想データベース

②衛星データ利用の敷居を下げるため、既存のweb上の地図と重ね合わせ、一般的なフォーマットへの変換などを行うためのデータ処理機能

○これにより、①一層効果的な災害対応への寄与、②農林水産業等の生産性向上や森林管理や水資源管理など環境問題をはじめとする新たなビジネス創出を促進、③利用促進によるアジア地域等における日本の宇宙システムの貢献及び海外展開促進、を目指す。平成23年度に策定したプラットフォームの事業計画(機能要求及び詳細仕様などを含む)をもとに、平成24年度から段階的に整備・運用を開始する。

仮想データベース(※)データ処理機能

(※)利用者から見ると、一箇所で管理されたデータベース

5.我が国のリモートセンシング衛星データの利用の現状(3)衛星データ利用促進プラットフォームの概要

(プラットフォームのイメージ)

国交省(気象庁等)

衛星データ利用促進プラットフォーム

国土地理院等測量や地図の専門家

資源・エネルギー等の専門家

報道機関や気象予報等の専門家

国立環境研究所等地球環境の専門家 主なこれまでのデータ利用

-だいち(ALOS)- -ASTERセンサ- -気象衛星ひまわり- -いぶき(GOSAT)-

衛星データ及び関連データは個別に管理される。今後、打ち上がる衛星についても対象とすることを検討。(標準化等プラットフォームへの対応事項、方法については今後検討)

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現在、「地理空間情報活用推進会議」において衛星データを含めた国の安全にかかわる地理空間情報を適切に取り扱うための指針について検討されている。また、我が国初の民間事業者によるリモートセンシング事業が2013年中には開始予定であり、経済産業省を中心に衛星データの取り扱いに関する方針について検討されている。

以上のような状況に加え、今後、更に衛星データの民間利用を推進していくためには、国として販売事業者等に係る規制事項等について予め定めておく必要がある。

具体的には、以下のような課題につき、検討が必要である。

ドイツ(2007年:衛星データ安全保障法)

目的 ・ドイツ連邦共和国の基本的な安全上の国益、民族の平和共存、あるいはドイツ連邦共和国の外交関係を損なわないため。

規制(許認可)の対象 ・高度リモートセンシングシステム運用者とデータ配布者それぞれ許認可が必要。

・機微性が確定したデータ等の配布については、管轄官庁の許可が必要。

許認可要件 ・データ配布者:①配布者の信頼性②運用施設への立入防止策③関係者以外の閲覧からの保護④最新技術水準による配布の安全の保証⑤安全審査法に基づく関係者のセキュリティ審査

許認可事業者の義務 ・データ配布者:機微性の審査

管轄官庁 ・連邦経済輸出管理庁(安全審査は連邦経済技術省)

罰則 ・安全上の国益を損なう行為などに対して、5年以下の禁固又は罰金

データ価格 ・データ価格については法文上、規定無し(緊急時の国の照会への対応へは平均的市場価格の報酬と規定)。

(参考)ドイツの規制法の例

5.我が国のリモートセンシング衛星データの利用の現状(4)データポリシーの在り方の検討

機微情報の扱い方緊急時における政府のデータアクセス権

画像データの標準化・メタデータの共通化・セキュリティ対策・保存期間

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販売情報の記録・保存価格設定規制手段の在り方

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6.世界の地球観測衛星の現状(1)全球地球観測システム(GEOSS)の概要

全球地球観測システム(GEOSS)は、2003年のG8サミットにて小泉元首相の提唱で開始。GEOSSの活動の調整等を行う地球観測グループ(GEO)が2005年から活動を開始。

GEOSSとは、地球温暖化などの諸問題に対して持続可能な社会の実現を目指し、国際的に共通な9つの利用ニーズ(下表参照)に対応するため、人工衛星観測および地上観測を統合した複数の観測システムからなる包括的な地球観測のシステム。9つのうち、日本は災害被害軽減、気候変動の理解、水資源管理の3分野を担当。

GEOは、国や国際機関のボランティアにより運営。そこでの決議などは拘束力を持たず、また、各機関が運用している観測システムや情報システムの統合のようなことは求めない。複数の分野に相互に関係する事項の調整などを行い、不必要な重複を避け、複数システム間の相互作用を促進。

観測対象となる現象は多岐に亘るため、世界全域を対象とした包括的なシステムとして、国際協力の枠組みにより各国分担しながら10年程度で構築を目指す。

我が国は、マイクロ波放射計や降水レーダなどの水観測に関する多様な技術や、温室効果ガスセンサなどの温暖化防止に資する環境観測技術など、世界最先端の衛星搭載センサ技術等により貢献。

GEOSSは、データ、画像、解析ソフトなどを必要とするユーザーに対し情報を提供するためのインターネット上のアクセスポイントである「GEOポータル」や「GEOSSクリアリングハウス」を構築。既存のデータベースやポータルサイトをつなぐことで、信頼性の高い、最新かつ利便性の高い情報を意志決定者に提供。

*1:気象庁が実施 *2:NASAの衛星にセンサを搭載 *3:NASA、ESAの衛星にセンサを搭載

GEOSS10年実施計画に対する世界各国の貢献

23出典:リモートセンシング政策検討ワーキンググループ第2回会合 資料3‐8

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地球規模の観測においては、効率的・効果的な観測のために、国際的な分担によるリモートセンシングが進んでいるとともに、各国で協調した観測が行われている。

A‐Train(A‐Train:The Afternoon Constellation)計画とは、高度約700km、昇交点通過地方平均太陽時13時30分付近を観測軌道とする複数衛星から構成される米国(NASA)主導のリ

モートセンシング衛星のコンステレーション(衛星群)。各国の衛星が協力して地球全体を観測するシステムで、現在軌道上でA‐Train計画に参加している衛星は、以下の通り。

6.世界の地球観測衛星の現状(2)米国主導のA-Train計画の概要

衛星 開発機関 打上 概要

Aura NASA(米国) 2004年7月15日 地球大気の組成、化学反応、ダイナミクスを解明するための観測データを取得する衛星

CALIPSO NASA/CNES(米国/フランス)

2006年4月28日 エアロゾルや雲が地球の気候に与える影響を解明するための観測データを取得する光学ライダー衛星

CloudSat NASA (米国) 2006年4月28日 雲が地球の気候に与える影響を解明するための観測データを取得する電波レーダ衛星

Aqua NASA (米国) 2002年5月4日 ラテン語で水(アクア)を意味する。大気中及び海からの水蒸気、雲、降雨、海氷、土壌水分等の様々な地球の水循環に関する観測データを取得する衛星

GCOM‐W JAXA(日本) 2012年5月18日 降水量、水蒸気量、海洋上の風速や水温、土壌の水分量、積雪の深さなどを観測する衛星

OCO‐2 NASA(米国) 2014年夏以降予定 大気中の二酸化炭素(CO2)量を観測 する衛星

出典NASA

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・世界各国にSSTL社(Surrey Satellite Technology Limited:英サリー大学発のベンチャー企業)の小型衛星を展開。

・災害監視、土地利用等の調査を目的に同一軌道上で運用する高頻度撮像用の小型衛星のコンステレーション。

・解像度はマルチ36m/観測幅600kmで重量100kg程度の小型衛星から展開(第一世代)。・そこにパンクロの中解像度を付加した衛星や解像度22mへ向上した第二世代へと衛星性能をあげたもので途上国を中心に海外展開を進めてきている。

・第三世代は分解能1mの見込み。

-第一世代(4機)UK‐DMC(英) ‐2003年AISAT(アルジェリア) ‐2002年Bilsat(トルコ) ‐2003年NigeriaSat‐1(ナイジェリア))‐2003年

-第二世代(5機)Beijing‐1(中) ‐2005年 (解像度32mにパンクロ解像度4mの機能追加 重量:166kg)UK‐DMC2(英) ‐2009年Deimos‐1(スペイン) ‐2009年NigeriaSAT‐2(ナイジェリア)‐2010年(解像度32mにパンクロ解像度2.5mの機能追加 重量:300kg)NigeriaSAT‐X(ナイジェリア)‐2010年(ナイジェリア技術者が組み立て(技術移転プロジェクト))

-第三世代(3機以上)中国と衛星3機の打上につき契約済み。

6.世界の地球観測衛星の現状(3)英国SSTL社主導のDMC(Disaster Monitoring Constellation:災害監視衛星群)プロジェクトの概要

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6.世界の地球観測衛星の現状(4)欧州の全球環境・安全モニタリング(GMES)計画の概要

▪ 欧州は、関係する衛星観測と地上観測を統合的に運用管理し、各種サービスを提供することを目指し、GMES(Global Monitoring of Environment and Security:全球環境・安全モニタリング)計画を推進。本サービスは、2014年の本格運用を目指し、 2011年から初期運用が開始された。

▪ GMESでは、Sentinelと呼ばれる衛星群を整備予定。

− Sentinel-1:レーダセンサ(空間分解能5m)

− Sentinel-2:光学センサ(マルチスペクトル(空間分解能10m))

− Sentinel-3:海洋・雲イメージャ、陸面・海面温度放射計、海面高度計

− Sentinel-4:気象イメージャ(大気化学、気象(静止))

− Sentinel-5:多波長光学放射計、赤外サウンダ(大気化学、気象(周回))

▪ GMESでは各国およびESAが保有している衛星データを統合的に管理する方向性(各国間あるいは官民を越えた統合化)。低解像度の画像データについて、無償公開の議論も行われている。

− データシステムは全欧州にあり、それぞれの処理・保存・配布システムを生かしつつ、緩やかな連携を指向

− 分散管理されている各国・各衛星のデータを統合的にユーザに提供するHMAや、長期保存についてのLong-term Data Archiveなどのプロジェクト

− 民間企業の一部も参加(SPOT Image、Infoterra (ともに現Astrium GEO-Information Services )など)

▪ 気象系の担当機関であるEUMETSATもGMESに参加し、気象データも含めた統合化を目指している

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Page 12: 4.我が国のリモートセンシング衛星の開発状況 … › space › comittee › dai4 › siryou4-2.pdf2005年 2010年 2015年 2020年 4.我が国のリモートセンシング衛星の開発状況

静止気象衛星「ひまわり」は、世界気象機関(WMO)の世界気象監視(WWW)計画に基づく全球観測システムの一翼を担うとともに、GEOSSの構築にも資する。我が国は静止気象衛星「ひまわり」シリーズを30年以上にわたって運用している。

【Meteosat-6,7】

【Meteosat-8】 気象イメージャ

【Meteosat-9】 気象イメージャ

【Meteosat-10】 気象イメージャ

【Meteosat-11】 気象イメージャ

米国

【ひまわり6号、7号】 気象イメージャ【ひまわり5号】

【Meteosat】 継続的に運用

【GOES-11、12】 【GOES-13】 【GOES-14】 気象イメージャ、サウンダー 【GOES-16】 気象イメージャ等

【GOES】 継続的に運用

日本

欧州

2005年 2010年 2015年 2020年

気象(静止)

(大気中の雲、水蒸気等の水平方向の分布)

(水平分布) (鉛直分布)

【ひまわり8号】 気象イメージャ

【ひまわり9号】 気象イメージャ

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(参考)国内外のリモートセンシングに係る衛星(搭載センサ)の動向(1/3)

我が国及び欧米の民生分野における主な衛星(民間の衛星も含む)の一覧を以下に示す。(一覧は、 「静止気象衛星」 、「陸域・海域観測衛星」、「環境観測・気象(周回)衛星」に分類。)

国内外で様々な衛星が運用されており、海外衛星については今後も継続的に計画されている状況にある。

この他、安全保障及び危機管理を目的とした衛星システムとして、我が国においては情報収集衛星があり、欧米においても同様の衛星が展開されている。

【GOES-15】 気象イメージャ、サウンダー【GOES-17】 気象イメージャ等

Page 13: 4.我が国のリモートセンシング衛星の開発状況 … › space › comittee › dai4 › siryou4-2.pdf2005年 2010年 2015年 2020年 4.我が国のリモートセンシング衛星の開発状況

【IKONOS】 光学

ドイツ 【TanDEM-X】 レーダ

カナダ 【RADARSAT-1】 レーダ

ドイツ 【EnMAP】 ハイパー

【QuickBird】 光学

フランス 【SPOT シリーズ】 光学

2005年 2010年 2015年 2020年

【ASNARO】 光学

【ASNARO2】 レーダ

【だいち】 光学・レーダ

【だいち2号】 レーダ

【だいち3号】 光学 (予定)

【GeoEye-1】 光学

【Worldview-1】 光学

【GeoEye-2】 光学

【Worldview-2】 光学

カナダ 【RADARSAT-2】 レーダ

ドイツ 【TerraSAR-X】 レーダ

イタリア 【COSMO-SkyMedシリーズ】 レーダ

ドイツ 【Rapid-Eye】 光学

フランス 【Pleiades】 光学

フランス 【Pleiades-2】 光学

【Sentinel-1A】 レーダ

【Sentinel-2A】 光学

【Sentinel-1B】 レーダ

【Sentinel-2B】 光学

【LANDSAT-5,7】 光学 【LANDSAT-8(LDCM)】 光学 継続的に運用米

カナダ

米【Terra(日ASTERセンサ)】光学センサ(日)の他、多波長光学放射計、大気汚染観測装置など多数陸域・海域

(参考)国内外のリモートセンシングに係る衛星(搭載センサ)の動向(2/3)

GMES(Global Monitoring of Environment and Security)計画の衛星

【Worldview-3】 光学

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Page 14: 4.我が国のリモートセンシング衛星の開発状況 … › space › comittee › dai4 › siryou4-2.pdf2005年 2010年 2015年 2020年 4.我が国のリモートセンシング衛星の開発状況

2005年 2010年 2015年 2020年

仏【Jason(米マイクロ波放射計)】海面高度計 仏【Jason-2】【海面高度】

【GCOM-W】 マイクロ波放射計 (水蒸気量、海面水温、降水量等)

【いぶき】 温室効果ガスセンサ 【いぶき】後継機 (予定)

【MetOp-A】 マイクロ波放射計・散乱計など多数 【MetOp-B】 マイクロ波放射計等 【MetOp】 継続的に運用

【Sentinel-3A】 海洋・雲イメージャ、海面高度計など

【Sentinel-3B】 海洋・雲イメージャ、海面高度計など

【ENVISAT】 レーダ、多波長光学放射計、マイクロ波放射計、海面高度計など多数(海面水温、海面高度、水蒸気量等)

【GOCE】

【SMOS】 マイクロ波干渉計(土壌水分、海水塩分等)

重力場・ジオイド

【CryoSat-2】 海面高度計(海面高度、大陸氷床厚等)

【ERS-2】 レーダ、海面高度計、マイクロ波放射計など多数(海面水温、海面高度、水蒸気量等)

【ADM-Aeolus】 ライダ(風)

【Swarm】 磁力計(磁場)

【Sentinel-5Pre】多波長光学放射計(大気化学)

【NOAA-15、16、17】(気象) 【NOAA18】 【NOAA19】【NPP】(気象:JPSS準備) 【JPSS-1】(気象) 【JPSS-2】(気象)

米【Aqua(日AMSR-Eセンサ)】マイクロ波放射計(日)、多波長光学放射計など多数

米【TRMM (日PRセンサ) 】 降水レーダ(日)、マイクロ波放射計など多数

仏【Jason-3】(海面高度)

欧州【EarthCARE(日CPRセンサ)】雲レーダ(日)、ライダ、多波長放射計など多数

米【GPM (日DPRセンサ)】降水レーダ(日)、マイクロ波放射計

環境・気象(周回)

【ACRIMSAT】(太陽放射)

【GCOM-C】多波長光学放射計(予定)

【CLARREO‐1】(太陽) 【CLARREO-2】(太陽)

各国は国際協力によるGEOSS(全球地球観測システム)の枠組みの中で、不必要な重複を避け、複数システム間の相互作用を促進。

GEOSSは、地球環境問題等に対して持続可能な社会の実現を目指し、人工衛星観測および地上観測を統合した複数の観測システムからなる包括的なシステム。 GMES計画の衛星

GMES計画の衛星

【GRACE】 (重力観測) 【GRACE-FO】 (重力観測)

【SORCE】(太陽放射) 【Glory】(エアロゾル、太陽放射)

(水蒸気量、海面水温、降水量等) (雲、海色、植性、雪氷等)

(熱帯・亜熱帯降雨分布)

NASA、NOAAの共同ミッション

【Aura】 (大気化学)

【CloudSat】 (雲鉛直分布)

【CALIPSO】 (雲鉛直分布)【SAC-D/Aquarius】 (海面塩分)

【OCO-2】 (二酸化炭素濃度)

【SAGE-III】(エアロゾル)

【GPM副衛星】マイクロ波放射計(降水分布)

【SMAP】(土壌水分)

【ICESat-II】(氷床高度)

【DESDynl】(植生)

【PACE】(エアロゾル、海色)

(雲エアロゾル鉛直分布)

(降水鉛直分布)

【OCO-3】 (二酸化炭素濃度)

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(参考)国内外のリモートセンシングに係る衛星(搭載センサ)の動向(3/3)