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大方潤一郎(東京大学 都市工学専攻 教授)定年記念 連続セミナー熟成期のまちづくりビジョン:包摂と支援の生活圏をつくる第5回:都市・地域空間の共創的マネジメント手法(1)
PD) 大きな緑・小さな緑の保全と育成の計画論と制度論
都市計画制度・計画策定の観点から(市街地の中の話)
東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻准教授
村山顕人
「大きな緑・小さな緑の保全と育成」の基本的視点1.緑の保全・育成の現代的意義・究極的にはSDGsの達成・アメニティ向上+気候変動の緩和と適応、減災・防災・「包摂的な都市再生に向けた自然をベースとした解決策」“Nature-based solutions for inclusive urban regeneration”
2.都市活動(土地利用)を支えるインフラストラクチュア・Grey Infrastructure:道路、橋梁、上下水道、公共建物等・Blue/Green Infrastructure:水と緑(自然物と人工物)・Smart Infrastructure:IoT、AI、都市型エネルギー等(上記3つは相互補完的、重点が変わりつつある)
3.大きな緑をまもる空間戦略と小さな緑をつくる諸活動の課題・都市計画と緑地計画、河川計画、上下水道計画等の縦割り・緑をつくる・まもる諸活動の限界:緑の質と管理作業量
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通常時 降雨時
安全ゾーンと洪水ゾーンの区分
気候変動に適応するコペンハーゲンの計画 © Atelier Dreiseitl (2013)
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気候変動により発生する内水氾濫に対して、雨水管の径拡大ではなく、道路+植栽帯のBlue/Green Infrastructureの整備で対応する。通常時のアメニティも向上
ORTIALTI の Emanuela Saporito さん(博士/コミュニティ・プランナー)が手掛けたイタリア・トリノの屋上菜園のプロジェクト。トリノのあまり裕福でない地区でのプロジェクトには環境面(建物省エネ化)・社会面(移民受入・雇用創出)・経済面(レストランでの野菜提供)の様々な意義がある。
包摂的な都市再生に向けた屋上菜園プロジェクト 4
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環境配慮型まちづくり計画 5
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☆日常活動・行動に対する配慮 人とモノをつなぐコミュニティマネジメントシステムの構築 ~行動へのアプローチ~
環境配慮に向けたコミュニケーションや行動が生まれるまちを形成する
①エネルギーに関する意識を高めるエネルギーマネジメントシステムの構築 ②過度な乗用車への依存を低減させる仕組みの構築とモビリティマネジメントの実践
③住民や来訪者のつながりを作るエリアマネジメントの構築 環境配慮型まちづくりメニュー導入に関する3つの方向性を本地区に展開した時の関係
は図表 4-2のとおりである。3つの方向性は互いに関係し合いながら、環境負荷低減等の価値を創出することから、メニュー単体ではなく重層的な導入が重要となる。
図表 4- 2 環境配慮型まちづくりメニュー導入の3つの方向性の関係
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長久手市公園西駅周辺環境配慮型まちづくり基本計画(2013年)
Grey Infrastructure:道路、橋梁、上下水道、公共建物等
Blue/Green Infrastructure:水と緑(自然物と人工物)
Smart Infrastructure:IoT、AI、都市型エネルギー等
シアトル市の長期オープンスペース戦略
オルムステッド兄弟の提案(1903年)に基づく公園・公園街路のリングは20世紀に完成
次の100年は相対的に緑が少ない都心部周縁にもう1つのリングをつくる
© City of Seattle (2003)
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シアトル市の長期オープンスペース戦略の実現© City of Seattle (2003)
I-5 フリーウェイ(掘割式)のキャップ
高架道路の撤去・地下化と水辺空間の再生
7 シアトル市の長期オープンスペース戦略の実現© City of Seattle
高架道路の撤去・地下化と水辺空間の再生
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シアトル市の長期オープンスペース戦略の実現https://www.facebook.com/FriendsOfWaterfrontSeattle/
高架道路の撤去・地下化と水辺空間の再生:水中及び地上の環境への配慮
9 シアトル市の長期オープンスペース戦略の実現Draft imagery by Studio 216 for Lid I-5, https://crosscut.com/2018/10/how-capping-i-5-could-redeem-seattles-past
I-5 フリーウェイ(掘割式)のキャップ
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デトロイト市の民間団体による土地利用シナリオ 11
Detroit Future City Strategic Framework (2012)
土地利用現況図:都心周縁部(インナーシティ)が空洞化
50年後の土地利用シナリオ:空洞化したところは緑豊かな住宅や緑地へ
デトロイト市内の Sustainable Urban Agrihood 12
https://theheartysoul.com/first-sustainable-urban-agrihood/
“the project of the Michigan Urban Farming Initiative — an all-volunteer nonprofit, which seeks to empower urban communities using sustainable agriculture.”
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(特に、低密度化する街区群の構想・計画をどうするかが課題◆隣接する敷地の統合:条件が合えば・・・◆空地の緑化:誰がどう整備・管理・使用するのか?◆建替時の敷地の交換:緑地をより良い配置へ◆空地の発生を前提とした住宅の設計
)
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人口減少による低密度化の現実を受け止めて、より豊かに暮らせる住宅地の形成を目指す
日本の住宅地の空洞化はもっと穏やか 13
日本のスプロール市街地のアグリ・エコ地区化 14
2018年度都市工学専攻大学院プロジェクト演習(対象地:西東京市住吉町・指導教員:村山顕人・飯田晶子)Luka Ganzorig, Mukhamedjanov Anvar, Tri Atmaja, Daichi Matsumoto, Zhaoting Wei, Moe Moe Aung
・プロ農家の農地と市民菜園の組み合わせ・農ある暮らしの提案
「大きな緑・小さな緑の保全と育成」と計画策定1.都市の空間・都市基盤戦略の一部として水と緑を組み込む・気候変動の緩和と適応、減災・防災のための土地利用・街が空洞化(スポンジ化)する時代だからこそできる・緑の様々な効用に対する理解(×落ち葉がヤダ)・整備・維持管理コストをどのように負担するか?
Grey InfrastructureよりもGreen Infrastructureの方が安い場合も
2.都市計画行政(都市計画審議会)と緑地計画行政(緑の審議会)の一体化・緑地計画行政:公園・緑地・街路樹の整備・維持管理だけ
で精一杯だが、それを超えるためにも・都市計画行政:水と緑を重要な都市基盤として捉え直す・加えて、都市農地、上下水道、河川等も一緒に考えたい→SDGsの大きな目標から都市・地域を総合的に見直す。まずは都市MP・緑の基本計画の統合(的策定)か?
3.市民団体やベンチャー企業の活動を支援するような計画 15
「大きな緑・小さな緑の保全と育成」を支える制度1.公有緑地(都市基盤施設としての緑地)・財源不足→長期未整備都市計画公園緑地の見直し・解除
例:藤巻のさと構想 <http://fujimaki-cho.nagoya/>→民間による収益事業と公園緑地管理例:南池袋公園など多数
・Blue/Green Infrastructureのための新たな財源(気候変動、減災・防災に関わる包括的公的資金など)
2.民有緑地・農地・土地所有者に対する免税・減税措置・民間による管理、エリアマネジメントの一環で活用・様々な形での都市農地・菜園の可能性:食や健康への関心・住宅地の敷地の細分化を止める(⇔相続税)・低環境負荷開発・建築に対する優遇措置・地価が下がれば様々な可能性が出てくる(楽観的?)
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