相馬市仮設焼却炉の概要と問題点
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相馬市仮設焼却炉の 概要と問題点
2014年5月25日(日)
細田公会堂
千葉県放射性廃棄物を考える住民連絡会
事務局長 藤原 寿和
平成24年度東日本大震災により生じた 災害廃棄物の国代行処理業務
(相馬市・新地町)における仮設焼却炉の概要 受注者:㈱タクマ
場所:相馬市光陽2-1-1
工期:平成24年5月7日~平成25年3月31日
設備概要:
①処理対象物:災害廃棄物(破砕・選別処理後の可燃物)
②炉型式及び公称焼却能力
階段式ストーカ炉 300t/24h(150t/24h×2炉) 回転式ストーカ炉 270t/24h(270t/24h×1炉)
仮設焼却施設の概要①
施設の種類:廃棄物処理法施行令第5条第1項に定める一般廃棄物の焼却施設
処理対象廃棄物の種類:災害廃棄物(仮置場集積廃棄物、家屋解体による可燃物、流木類、津波被害の石炭
廃棄物の処理能力:570t/日
炉の焼却能力:1,2号炉:150t/日×2炉
3号炉:270t/日×1炉
焼却炉設置基数:3基
処理方式:1,2号炉:階段式ストーカ炉
3号炉:回転式ストーカ炉
仮設焼却施設の概要② 燃焼温度・滞留時間:850℃以上、2秒以上
燃焼ガス冷却設備:水噴射ガス冷却
排ガス処理設備:有害ガス除去設備、バグフィルタ
煙源条件(1,2号炉):湿り排ガス量61,610㎥N/h/炉
乾き排ガス量33,710㎥N/h/炉
排ガス温度190℃
煙突高30m
煙突ノズル径1.25m
仮設焼却施設の概要③ 煙源条件(3号炉):湿り排ガス量85,540㎥N/h
乾き排ガス量44,180㎥N/h
排ガス温度190℃
煙突高30m
煙突ノズル径1.45m
煙源条件(共通):ばいじん0.04g/㎥N(O2=12%換算)
硫黄酸化物(SOx)K値=6.42
窒素酸化物(NOx)250ppm (O2=12%換算)
塩化水素(HCl)190ppm(O2=12%換算)
ダイオキシン類0.1ng-TEQ/㎥N(O2=12%換算)
大気汚染防止法第6条第1項に基づく 「ばい煙発生施設」の届出状況
工場又は事業場における施設番号:3号焼却炉
名称及び型式:廃棄物焼却炉
着手予定年月日:平成24年9月7日
使用開始予定年月日:平成25年1月10日
火格子面積又は羽口面断面積:49.54㎡
焼却能力:11,250kg/h=270t/日
(最大能力)12,500kg/h=300t/日
ばい煙発生施設の使用の方法①
工場又は事業場における施設番号:3号焼却炉
1日の使用時間及び月使用日数等:0時~24時、30日/月
原材料の種類:一般廃棄物
原材料中の成分割合:硫黄分0.045%、鉛0、カドミウム0、弗素0
1日の使用量:270(300)t
燃料又は電力:灯油(硫黄分0.008%)
排出ガス量(N㎥/h):湿り(最大)85,540(通常)83,540
乾き(最大)44,180(通常)44,000
ばい煙発生施設の使用の方法② ばい煙の濃度:ばいじん(g/N㎥)(最大)0.04,(通常)0.01
硫黄酸化物(ppm)(最大)350,(通常)50
塩化水素(mg/N㎥)(最大)310,(通常)310
窒素酸化物(ppm) (最大)250,(通常)150
ばい煙量:硫黄酸化物(N㎥/h)(最大)22.0,(通常)3.0
ばい煙の処理の方法① ばい煙処理施設の工場又は事業場における施設番号:3号排ガス処理設備
処理に係るばい煙発生施設の工場又は事業場における施設番号:3号焼却炉
ばい煙処理施設の種類、名称及び型式:3号バグフィルタ、乾式有害ガス除去装置
着手予定年月日:平成24年9月7日
使用開始予定年月日:平成25年1月10日
排出ガス量(N㎥):最大85,540,通常83,540
排出ガス温度(℃):処理前190,処理後190
ばい煙の処理の方法② ばい煙の濃度
・ばいじん(g/N㎥):処理前1.31,処理後0.04
・硫黄酸化物(ppm):処理前350,処理後350
・塩化水素(mg/N㎥):処理前1,058,処理後310
・窒素酸化物(ppm):処理前250,処理後250
捕集効率(%)
・ばいじん:97.0
・塩化水素:70.8
排出ガスの排出条件
・排出口の実高さ(Ho):30m
・補正された排出口の高さ(He):59.2m
・排出速度:24.4m/s
施設設置場所と付近見取図
排ガス処理設備計算書(3号炉)①
排ガス処理設備計算書(3号炉)②
排ガス処理設備計算書(3号炉)③
排ガス処理設備計算書(3号炉)④
排ガス処理設備計算書(3号炉)⑤
『一般廃棄物処理施設設置許可申請書』(抜粋) (平成24年7月2日)廃棄物処理法第8条第1項
物質収支(回転式ストーカ炉)(3号炉)①
物質収支(回転式ストーカ炉)(3号炉)②
一般廃棄物処理施設の構造等に関する事項① 廃棄物処理法施行規則第4条に基づく技術上の基準(チェック項目)
一般廃棄物処理施設の構造等に関する事項② 廃棄物処理法施行規則第4条に基づく技術上の基準(チェック項目)
一般廃棄物処理施設の構造等に関する事項③ 廃棄物処理法施行規則第4条に基づく技術上の基準(チェック項目)
一般廃棄物処理施設の構造等に関する事項④ 廃棄物処理法施行規則第4条に基づく技術上の基準(チェック項目)
一般廃棄物処理施設の構造等に関する事項⑤ 廃棄物処理法施行規則第4条に基づく技術上の基準(チェック項目)
一般廃棄物処理施設の構造等に関する事項⑥ 廃棄物処理法施行規則第4条に基づく技術上の基準(チェック項目)
一般廃棄物処理施設の構造等に関する事項⑦ 廃棄物処理法施行規則第4条に基づく技術上の基準(チェック項目)
大気汚染予測手法①
大気汚染予測手法②
大気汚染予測手法③
大気汚染予測手法④
大気汚染予測手法⑤
大気汚染予測手法⑥
大気汚染予測手法⑦
大気汚染予測結果①
大気汚染予測結果②
大気汚染予測結果③
大気汚染予測結果④
大気汚染予測結果⑤
大気汚染影響の分析①
大気汚染影響の分析②
大気汚染影響の分析③
大気汚染影響の分析④
大気汚染影響の分析⑤
大気汚染影響予測に関する総合評価①
大気汚染影響予測に関する総合評価②
大気汚染影響予測に関する総合評価③
大気汚染等影響予測に関する総合評価④
大気汚染等影響予測に関する総合評価⑤
施設の設置計画に反映した対策①
施設の設置計画に反映した対策②
施設の維持管理計画に反映した対策②
仮設焼却炉計画の問題点① 回転式ストーカ炉の問題点
燃焼空気が廃棄物の下部から挿入できず従って後燃焼がうまくいかない。木屑、紙屑、塗料カス等はガス化した後に炭化物が多量に残る。この炭化物がロータリーキルンでは燃え残り、無理に燃そうとすると、クリンカを発生させる。
回転式(キルン型)ガス化溶融炉は、タクマ(北海道渡島広域連合・上磯町に設置された炉で機能トラブルが続出、福岡県玄海環境組合の古賀清掃工場(三井造船)及び北海道江別市のプラントでエアヒーター内のセラミック管が焼損、また北海道西いぶり廃棄物処理広域連合(室蘭市、伊達市等)が地域住民の反対を押し切って導入した三津硫黄泉の炉で発電設備のタービンや送風機の故障等のトラブルが発生し、改修を余儀なくされた事例等多数の不具合や事故事例がある。
直島産廃施設で爆発事故①
直島産廃施設で爆発事故②
直島産廃施設で爆発事故③
仮設焼却炉計画の問題点② 有害ガス除去設備の問題点 バグフィルタの破損等不具合の発生(表参照)
バグフィルタ・ヘパフィルタでも放射性セシウムは除去できない(資料参照)
ばいじん、塩化水素、窒素酸化物、ダイオキシン類等法令規制物質の除去効果が低い
未規制物質(水銀・鉛・カドミウム・クロム等重金属類、多環芳香族炭化水素類、臭素系・フッ素系ダイオキシン類等)の排出データがない
大気拡散シミュレーションの不備 物質収支(マスバランス)の精度
排ガス処理工程における各種設備(ダクト、送風機等)からの有害ガスのリーク(漏れ)の確認がない
バグフィルターの不具合等の事例 市町村名 清掃工場名 メーカー名 BF種
類 年月 不具合の内容
野田市
野田市清掃工場
三菱重工業㈱
ガラス繊維
H13.4 排ガス中のばいじん濃度が市の基準値を20倍も超過。原因はBF内の炉布の破損。約600本のBFのうち78本が破損。121本を交換。
綾瀬市
高座清掃施設組合第2清掃処理場
IHI㈱
テファイヤー(テフロン+ガラス繊維)
H13.1 炉布が破孔。原因は流速が早く粒径の大きなダストの衝突により破孔。
江東区 新江東清掃工場 タクマ 3炉の全ての炉布が脱落
江戸川区 江戸川清掃工場 日本鋼管㈱ ガラス繊維
H12.12 炉布破損。原因は炉布とリテーナとの繰り返し接触による。
堺市
クリーンセンター東第二工場
㈱クボタ H10.1 1号炉のBF2本と2号炉のBF6本破損。原因は①ケージとケーシングとの接触摩耗②火の粉、熱③炉布吊下げ時の踏み傷
バグフィルタ・へパフィルタの除去能力①
バグフィルタ・へパフィルタの除去能力②
バグフィルタ・へパフィルタの除去能力③
バグフィルタ・へパフィルタの除去能力④
ダイオキシンや重金属、放射性物質は煙突だけでなく建屋からも漏れ出ている!
DXN NOx Hg PAHs、放射性物質
建屋からも汚染物質が出ている!
宮古市内焼却炉風下放射能線量の上昇 三陸の海を放射能から守る岩手の会
藤原小
藤原小 重茂小
焼却炉の東北東2.2kmに位置する藤原小学校、東に9km離れた重茂小学校の
空間線量率が放射能汚染牧草等の本格焼却が開始された2013年7月9日以後、
顕著に上昇が見られた。焼却炉排ガス濃度は放射性セシウムND.
焼却炉
ダイオキシン検出、世田谷清掃工場操業停止
東京二十三区清掃一部事務組合は13日、世田谷清掃工場(世田谷区大蔵1丁目)の炉室内部から高濃度のダイオキシン類が検出されたため、5月31日から炉を停止していた、と発表した。操業再開は未定だが、1カ月程度かかるという。
職員の曝露(ばくろ)防止のため、労働安全衛生規則に基づいて行う6カ月に1度の調査でわかった。5月20日に工場の炉室内で採取した空気から、速報値で14・4ピコグラムのダイオキシン類を検出。速報値が出た翌日の5月31日に再採取して炉を停止し、8日に15・0ピコグラムとの結果が出たという。 2011年6月14日 朝日新聞
出典:2011年6月10日「東京23区のごみ問題を考える」ブログより
排ガス中の放射性セシウム不検出の問題
排ガス採取及び測定方法の問題
①排ガス採取時間が短すぎる。
②環境省の測定方法(放射能濃度等測定方法ガイドライン)では、排ガス中に存在する霧状やガス状の放射性セシウムが試料採取系(円筒ろ紙及びガラス吸引びん)を通り抜けて捕捉されない。
焼却プロセスにおけるマスバランスの問題
大林・戸田・アトックス・日立造船・アタカ大機共同企業体が環境省の委託を受けて実施した『警戒区域、計画的避難区域等における除染モデル実証事業(Cグループ)委託業務成果報告書(最終報告)』(2012年6月)によると、焼却処理による放射性物質のマス
バランスの評価結果では、処理対象物中の放射性セシウム(Cs)総量(kBq/日)が焼却主灰・炉内残渣・焼却飛灰中のCs総量に移行する割合は44%から147%までのバラツキがあることが判明。すなわち、前者のケースでは56%のCsが不明、後者のケースでは焼却後に約1.5倍Csが増量していることになる。
焼却処理により焼却灰中に放射能が濃縮される
大成・間組・日本国土開発・三菱マテリアル・アトックス・関場共同企業体が環境省の委託を受けて実施した『警戒区域、計画的避難区域等における除染モデル実証事業(Aグループ)委託業務成果報告書(最終報告)』(2012年3月)によると、「焼却灰中の放射能濃度は、焼却前よりも場合によっては50倍以上の濃
度になり得るため、事前の放射能濃度の把握と焼却灰の放射能濃度予測を行い、作業員の被ばくリスクを回避するひつようがある。」とされている。
原発爆発事故で発生した各種の放射性物質:ヨウ素、セシウム、ストロンチウム、プルトニウム、テルル、キセノン、銀
塩水に浸かった木材や廃プラスチックなどの火災や焼却によって発生した重金属やダイオキシン
家屋やコンクリート建築物等に使用されていたアスベスト
休廃止鉱山から流出した鉱さい汚泥や津波によって陸上に押し上げられた海底堆積物中の砒素や重金属類
震災がれきには放射性物質の他に重金属やダイオキシン、アスベストなどの有害物質も含まれている!
東京電力福島第一原子力発電所の事故により環境に放出された放射性同位体(核種)31種類
マンガン ホウ素
1,1,1-トリクロロエタン
亜鉛 クロム
PRTR第一種指定化学物質の凡例
環境省調査で大気中から検出された化学物質 【平成23年度東日本大震災被災地における化学物質環境実態追跡調査 大気測定結果】
HCB(ヘキサクロロベンゼン)・アルドリン・ディルドリン・エンドリン・DDT類・クロルデン類・ヘプタクロル類・HCH(ヘキサクロロシクロヘキサン)類・ヘキサブロモビフェ
ニル類・ポリブロモジフェニルエーテル類・ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)・ペルフルオロオクタン酸(PFOA)・ペンタクロロベンゼン・エンドスルファン類・HBCD(1,2,5,6,9,10-ヘキサブロモシクロドデカ)
東日本大震災被災地におけるアスベスト大気濃度調査①
平成24年1月10日現在
東日本大震災被災地におけるアスベスト大気濃度調査②
平成24年1月10日現在
アスベスト:阪神大震災がれき処理で中皮腫か 兵庫・明石市職員が発症
兵庫県明石市は6日、阪神大震災(95年)のがれき処理に公務で携わった40代の男性職員が中皮腫を発症したと発表した。がれき処理と発症の因果関係は不明だが、市は原因の一つである可能性があるとして、がれき処理に関係した職員192人を対象に、アスベスト(石綿)検診を実施する。職員は近く公務災害の認定を請求する。昨年の東日本大震災でも多くのがれきが発生しており、防じんマスクの着用など徹底したアスベスト対策が求められそうだ。
2012年7月7日 毎日新聞朝刊(東京)