20141025伝統シンポ 灸

Post on 28-May-2015

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Health & Medicine

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灸療法における診察診断と治療

経絡治療学会 徳島部会大上勝行

1)鍼と灸の基本的な治療上の特性(特徴)

経絡治療の診断と治療

すべての疾病を

経絡の虚実状態として把握し、

それを主に鍼灸を用いて補瀉し、

治療に導く伝統医術である。          『日本鍼灸医学・基礎編』 

診断と治療1. 診察–四診(望聞問切)  経絡の虚実、病理状態を把握

2. 診断(証をたてる)– 選経・選穴–手技の決定• 鍼• 灸

鍼の補瀉

①大小②迎随③深浅④呼吸⑤出内

⑥開闔⑦提按⑧弾爪⑨捻転⑩揺動

灸の種類• 透熱灸–8分灸–糸状灸

• 温灸–直接灸–間接灸–隔物灸

• 灸頭鍼

透熱灸

透熱灸1. 形状良質の艾を半米粒大から米粒大に柔らかくもんですえる。

2. 手技1. ツボを取り、画びょうを刺すように艾をたてる。2. 火をつけ焼き切る場合と 8分 9分で留める場合とがある。3. 母子次指を添えて、火力を調整する。4. 燃え尽きると同時指頭でゆっくり押さえる。熱が奥にしみ通るようなイメージで、押さえる。

3. 目的虚実にかかわらず、硬結。陽虚の際は、陥凹。

温灸

温灸1. 形状

1cmほどの三角すい状にもみ固めた荒艾を用いる。2. 手技

9分程度燃やしたところで取る。ほんのりと発赤、発汗させる。3. 目的手技は補法。発汗させれば瀉法。させなければ補法。表に近い浅い部位の陽気や水の停滞、硬結に有効。

灸頭鍼

灸頭鍼1. 形状鍼が立つぐらいまで刺し、鍼柄に 2cmほどの大きさに丸めた荒艾をつけて火をつける。鍼は 1寸から 2寸。 3番から 5番。2. 手技体表面が発赤する程度がよい。 1〜 2回温める。3. 目的深部にある陰実の硬結を目標とする。体表部を温め陽気が漏れないようにする。

鍼>灸• 手技による微調整–気–新病

• 技術さえあれば、あらゆる状態に対応できる–虚実–寒熱–瘀血・気滞・痰飲

鍼<灸• 硬結–血–久病

• 極虚–元気の不足–陽虚

• 幅広い適用–家庭でのセルフケア

2)灸による虚実に対する補瀉手技

透熱灸の補瀉

• もぐさを柔らかく捻る• 皮膚に軽く付ける

• 灰の上に重ねてすえる• 熱の穏やかなもの• 小艾炷

• もぐさを硬く捻る• 皮膚に押しつけて密着させる

• 灰を取り除いてすえる

• 熱の激烈なもの• 中以上の艾炷

補 瀉

温灸の補瀉• 表の補瀉• 手技としては補法• 汗をかかせれば瀉• 汗をかかさなければ補

灸療法の実際• 虚実よりも硬結の硬軟–虚<実

• 経絡の流れが悪くなると–空ろなところは虚→柔らかい硬結–滞ったところは実→硬い硬結

3)仮定症例:変形性膝関節症に合併した膝関節水腫に対する灸治療

膝関節症の灸療法• 診察–変形・腫脹・熱感・痛みなどの位置を確かめる–走行経絡をみる

• 施灸–病変部周辺に温灸–走行経絡の遠隔部反応点に透熱灸–陽部反応点に透熱灸もしくは灸頭鍼

4)灸の手技、治療ポイントの選択、ドーゼの決め方

選穴とドーゼ• 選穴–病変部周辺反応点–経絡上反応点–病理病証に合わせた考察による

• ドーゼ–熱が通るまで–硬結が和らぐまで

5)灸治療の適応と不適応

灸の不適応• 患者の不同意• 要注意–糖尿病患者–化膿部位–月経中–出血中–上半身への多壮灸

6)著効を示したケース:症状や愁訴とその方法

灸がよく効く症状• 麦粒腫• 咽喉痛• 膀胱炎• 婦人科系疾患• 逆子

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