第38回合同研修会 2013.03.14

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当院における大腸ESDの現状

新潟労災病院 消化器内科

前川 智、野村 亮介、村瀬 貴之、安 泰善、麻植ホルム 正之

悪性新生物の死亡率が1位!

日本人における死亡原因の推移

部位別がん年齢調整死亡率の推移女性(1958〜2005年)

国立がんセンターホームページより

部位別がん年齢調整死亡率の推移男性(1958〜2005年)

大腸がんは男で4位、女性では1位です!

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1974-77 1978-81 1982-85 1986-89 1990-93 1994-97

stageⅣ

stageⅢ

stageⅡ

stageⅠ

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stageⅡ

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年代別TNM病期分類別の症例分布

大腸疾患NOW 2004より抜粋

結腸 直腸

T0 or T1(SM≦1000μm)に対する治療

・Polypectomy・EMR

外科的アプローチ

・開腹腸管切除・腹腔鏡下腸管切除・経肛門的腫瘍切除術・TEM・MITAS

ESD

内視鏡的アプローチ

侵襲度

低い 高い

なぜ胃ESDが行われるようになったのか?

腫瘍の組織多様性(分化度、脈管侵襲etc・・・)

胃・・・低分化腺癌の混在深達度診断の重要性病変範囲が不明瞭

胃癌の再発は根治性が低い場合も!

分割切除後のリンパ節再発

分割切除後のリンパ節再発

2.5年後

理想とされる早期大腸癌に対するアルゴリズム

大腸癌治療ガイドライン 2005年度版

スネアEMRの技術的限界

内視鏡診断の精度

SM浸潤距離測定法

LST-UNI

(n=1) sm

sm sm

sm sm

LST-MIX

(n=27)

LST-NG

(n=30)

sm

結節内 結節外 結節内外

多中心性厚み・陥凹

85.2% 7.4% 7.4%

80.0% 20.0%

SM浸潤例58例におけるSM浸潤形式

T Uraoka . et al. Gut, Nov 2006, 55: 1592-1597 一部改変

* LST-NG(特にPD type)では多中心性にSMに

* LST-MIXの14.8%に結節外SM浸潤を認め、いずれも内視鏡所見から浸潤部を予測することは困難!

→このような病変は特に一括切除が必要!

大腸腫瘍の大半は腺腫であり、その病理学的特性を考慮すると内視鏡的粘膜切除術(EMR)による分割切除

で対応が可能であるが、しばしば遺残再発が問題となる。一方、大腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術

(ESD)の進歩は著しく、病変の局在、腫瘍径によらず高い一括切除率が得られ、詳細な病理学的検索が行える点で非常に有益な治療と思われる。当科では、静岡県立静岡がんセンターなどの有名病

院で研修し、保険適応になった2012年4月より本格的に大腸ESDを開始した。

緒言

大腸ESDの適応

1)内視鏡的切除の適応であるが、スネアによる一括切除が困難な病変

・LST-NG,特にpseudodepressed type(PD type)

・広範囲にⅤi型pit patternを呈する病変、SM浸潤癌

・癌が疑われる隆起性病変(Ⅰs、Ⅰsp)

腫瘍特性からみた適応

2)粘膜下層に線維化を伴う粘膜内病変

→生検や病変の蠕動によるprolapsに起因

3)慢性炎症(潰瘍性大腸炎など)を背景とした局在腫瘍

4)内視鏡的切除後の潰瘍瘢痕を伴う局所遺残再発早期癌

技術的要因からみた適応

田中信治ら胃と腸42;1049-52、2007

使用内視鏡および高周波

内視鏡 :S状結腸までの病変→GIF-Q260J

(Olympus Medical Systems社製)

下行結腸以深の病変→ PCF-Q260AZI(Olympus Medical Systems社

製)

高周波 :ICC200 (ERBE社製)※次年度VAIO300D購入予定

使用デバイス

dualナイフ(1.5mm)

ITナイフ nano

SBナイフJr

大腸ESD症例(静止画)

<病変を十分に観察> <粘膜切開> <粘膜下層剥離(前半)>

<粘膜下層剥離(後半)> <病変を一括切除> <切除標本>

dualナイフを用いた大腸ESD(動画)

ITナイフ-nanoを用いた大腸ESD(動画)

SBナイフJrを用いた大腸ESD(動画)

SBナイフJrを用いた大腸EMR(動画)

教訓的症例(1)

教訓的症例(2)

大腸ESD結果①(2012年4月~2013年2月)

・症例数 例

・病変形態

例LST-G

・病変部位(C/A/T/D/S/R)

2/3/7/2/17/10

LST-NG

隆起型

陥凹型

41

26

9

3

1

SMT様隆起 例2

・平均切除径 33.0±12.4mm

・平均術時間 83.9±56.8分

・一括切除率 90.2% (37/41)

・微小穿孔 7.3% (3/41)

大腸ESD結果②

・平均病変径 23.7±13.0mm

・側方断端陰性率 82.9% (34/41)

・後出血 0% (0/41)

大腸ESD結果③(病理組織結果)

・adenocarcinoma

・carcinoid tumor

・adenoma

(M癌 10例、SM浅層癌 2例、SM深層癌 2 例)

14例

25例

2例

地域への大腸ESDのアピール

・開業医の先生対象の講演会、市民公開講座

・紹介患者さんに関しては、丁寧な返事

・病院ホームページの充実

・地元テレビ・新聞などを利用したアピール

第37回合同研修会(2012.3.8)

市民公開講座(2012.3.17)

地元新聞社で大腸ESD掲載(2012.6.6)

静岡がんセンター山口裕一郎先生をお招きしての大腸ESDライブ

(2012.11.9)

静岡がんセンター山口裕一郎先生による院内講演会(2012.11.9)

当科のCFについて

70歳以上の高齢者を中心に、希望に応じ、2泊3日の入院CFを行っています。また、前処置不良の患者には欠食2日コースという3泊4日の入院CFも行っています。

→該当患者がいれば、是非当科にご紹介ください。

開業医の先生方へのお願い

・大腸ESDの適応となる病変があるときは、生検を

行わずに是非当科にご紹介ください。・EMRでの一括切除が難しい病変、SM浸潤が疑われる病変に関しては、とりあえず当科にご紹介ください。

まとめ

当院における大腸ESDの取り組みについて報告した。今後も上越地域における大腸ESDの啓

蒙活動を行うことで症例を集積し、安全で有益性の高い大腸ESDを施行していきたいと思う。

ご清聴ありがとうございました。

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